韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「聖夜の祈り」16話です。
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お待たせしてます!!
検事プリンセス長編シリーズの最新話更新です。
大人描写が少しあります。
自分は精神的に大人だと思う方だけお読みください。
聖夜の祈り(16話)「…そろそろホテルに帰ろう。凍えないうちに」
長いキスからそっと顔を離したイヌは、ヘリを抱きしめながら、
耳元でそう囁いた。
心なしか、寒さで声が小さくなっているようにも感じられたが、
イヌの低く甘い囁き声はかえってヘリの体を熱くした。
「そうね。イルミネーションは目に焼き付けるほど見たし、写真も撮れたから満足したわ。
早く、ホテルに帰って温かいお風呂に入りたい」
それから、人目をはばからずに、もっと存分に抱き合いたい。
ヘリの甘えた顔が、イヌを煽った。
二人はタクシーに乗り込むと、巨大なツリーの広場を後にしてホテルの部屋に戻った。
そして、二人きりの空間に戻ったイヌとヘリは、すぐに抱き合いたい気持ちを抑えて、
お互い平静を装っていた。
メインディッシュをすぐに食べてしまうには惜しい。
この気分をもっとゆっくり、じっくり味わいたい。
そんな思いで、ヘリは「じゃあ、私、先にお風呂をいただくわね」とすました様子でクローゼットからバスローブを取り出した。
「どうぞ。ゆっくり温まって」
イヌもさらっとそう返すと、テレビのリモコンを片手に、ソファにどっかりと座りこんだ。
本当は、照れ隠しなのだ。
いつもと違う国のムードに。ツリーの前で、雰囲気に流されたように、
普段と違う態で甘い告白をしたものだから。
二人きりになって、逆に我に返ってしまった。
…さっきは、いつもと同じで、とくに何もかわった事はなかったさ。
そんなふうに装う考えが背中からにじみ出ているようなイヌの姿に、
ヘリは後ろからこっそりと笑うと、足取りも軽くバスルームに入っていった。
バスルームに入ったヘリは、まず熱いシャワーを浴び、
ホテルに備えてあった高級シャワージェルで体中を丁寧に洗った。
それから、湯のはられたバスタブを一瞥したヘリは、
風呂に入らずに、胸にバスタオルを巻いて、バスルームの扉を開けた。
カチャリ☆
扉の開いた音で、ソファに座っていたイヌが、不思議そうに振り返ってヘリを見た。
「早いな。もういいのか?」
「シャワーは浴び終わったわ。ね、お風呂に一緒に入らない?」
ヘリは、バスルームの戸口から部屋を覗き込むように上半身を出していた。
イヌが、ヘリに先に風呂に入るのをすすめてくれたのは、
気遣いからだと分かっていたが、体を洗った以上、素敵なバスルームで、
イヌと一緒に過ごしたい、と思ったヘリだった。
しかし、今さらな事だったが、
若干照れたようなヘリが、視線を合わさず、
モジモジしながらバスルームの内側に目を向けた姿にイヌが微笑んだ。
ヘリの誘いを断る理由は無い。
「いいよ。どうせなら、バスルームの中であれを飲むか?」
イヌが、テーブルの上に置いてあるサービスシャンパンを指して言った。
ヘリが、目を輝かせて頷いた。
「ええ、いいわね」
「じゃあ、中で待っていて。準備をしてから行くよ」
それから、
ヘリがバスルームに戻って、しばらくすると、
シャンパンクーラーに入れたシャンパンと2つのグラスを手に
衣服をすべて脱いだイヌがバスルームに入ってきた。
細身なのに、筋肉の均整がとれたスタイルの良い裸体。
幾度目にしても、うっとりとため息が出るような体を
惜しげもなく堂々と披露しながら、ヘリの大好きな酒を手にしているイヌの姿に
ヘリは、バスタブの中で、コクリと小さく息をのんだ。
ヘリにとって、鴨がネギを背負ってやってきたような光景だったが、
イヌにとっては、鍋の中にいる料理前の鴨に餌を運んできたようなものだった。
「イヌ」
バスルームに入ってきたイヌの姿に、
ニッコリと嬉しそうな笑顔を向けて、無邪気に手招きするヘリに、
イヌも自然に口元を緩めた。
広い円形のジャグジーバスの湯の中、
泡でヘリの体は見えにくくなっていたが、
ヘリの色香までは隠しきれていなかった。
しっとりと濡れた髪の毛をアップで結わえ、
バスルームの熱気で、ほのかに上気した素顔の美しい顔。
湯上から出ている肩と細いうなじ。なめらかな肌。
ヘリが体を洗う時に使用した高級ジェルの芳香が、
辺りに漂って、まるで催淫効果のようにイヌを誘っている。
イヌは、ヘリの前にシャンパンを置いた。
そして、逆らいがたい吸引力を振り切るように、
シャワーを頭から浴び、ヘリの視線を感じながら体を洗った。
「なんだか、映画のワンシーンみたい」
イヌが風呂に入って、シャンパンをあけ、
それを目の前でグラスに注いで乾杯した後にヘリが言った。
「本当に、まるで夢を見ているみたいなの。
ニューヨークに来てからの何もかもが。ね?イヌ。これも、私の妄想?」
「酒の味は本物に感じる。それ以外は君の妄想でも」
温まった体に、冷たく冷えたシャンパンが染み込んでいく。
「君の妄想では、この後どうなるんだ?」
「この後?この後は、部屋に戻って、クリスマスプレゼントの交換をするのよ。
イヌだって、楽しみでしょ?私のプレゼント早く欲しくない?」
「欲しいよ」
コトリと、イヌが手に持っていたグラスをバスタイルの上に置いた。
そして空いた手をゆっくりとヘリに伸ばした。
「君が欲しい」
…また、ふざけて。
そう言おうとしたヘリの唇がイヌに塞がれた。
今飲んだばかりのシャンパンと同じ味がイヌの唇から流れ込むのをヘリは感じた。
自分が飲んだものよりアルコール度が高そうに思える危険な味。
風呂の湯にのばせたわけでも、シャンパンに酔ったわけでも無い。
イヌがふざけてるわけでも、からかっているわけでも無い。
「ん・・・んん」
イヌとの濃厚なキスでからまる舌が、ヘリの思考を完全に麻痺させた。
さらに、イヌが湯の中でヘリの体をなぞるように触れた時、
ヘリはようやく、弱弱しい力でイヌの体を押しやった。
「イヌ…やめて」
喘ぐような吐息混じりのヘリの声に、イヌがうっすらと笑った。
「…どうして?」
頬をかすめるほど接近したイヌの甘く掠れた声。
ヘリは、頭の中に残った理性という理性をかき集めて、必死に抵抗を試みた。
「だって…だって、まだクリスマスのプレゼント交換がまだじゃない」
「クリスマスプレゼントっていうのは、クリスマスに渡すものだろ」
「え?そうなの?イブに渡すものでしょ」
「どちらでもいいよ」
もう面倒くさそうに答えるイヌをヘリは軽く睨んだ。
「あなたにとってはどっちでもいいことかもしれないけど、私にはずっと夢があったんだから。
…初めて恋人と過ごすクリスマスだから」
最後はぼそぼそと恥ずかしそうに声を落し、
イヌから目をそらして頬を指でかくヘリにイヌが思わず微笑んだ。
…僕もずっと夢見ていたんだよ。
君と過ごすこの日をね。
心の中の声を少し歪曲させてイヌは言った。
「プレゼントより先に、その恋人を受け取る気持ちは無いのか?」
ヘリが失笑した。
「もう。検察泣かせのソ弁護士様の弁論をここでも披露するのね」
「違う」
イヌも笑って言った。
「今はただ、好きな女性をくどいてるだけだ」
「私のこと、好き?」
「分かってるだろ?」
意地悪く返すイヌにヘリはあきらめなかった。
「…愛してる?」
観念したようにイヌが軽い吐息をついて微笑んだ。
「愛してる」
少しの間、じっとイヌを見つめていたヘリが、
イヌの首に両手を巻きつけた。
「私も」
…愛してるわ。
そうして、
抱き合って、再びキスを求めあったイヌとヘリ。
「…でも、ここじゃ嫌」
…思いっきり抱き合いたいから。
赤く火照った顔を近づけ、
イヌの耳元で囁くヘリの声にイヌが黙って小さく頷いてみせた。
イヌはヘリの足の下に腕をまわし、湯船からヘリの体を持ち上げた。
そして、
バスルームのドアの側にかけてあったバスローブで
ヘリと自分の体を滴る水滴を手早くふき取ると、
ヘリの体を包んで抱え、バスルームを後にした。
ベッドに向かう道すがら、火照る体と気持ちを抑えきれないように、
イヌとヘリは唇を重ね合った。
イヌがヘリの体をベッドの上にそっと置くと、
その上に覆いかぶさるように見下ろした。
白いシーツの上に横たわったヘリが、見上げた先のイヌに言った。
「イヌ。あなた、実家でもこうしたいって本気であの時思ったでしょ?」
「君も同じ気持ちだったと思ったけど?」
全く違うと、否定できないヘリは恥かしそうな顔をした。
「部屋を別々にして配慮して下さったお父様に申し訳なくて」
「父の配慮?」
「だって、つきあってるって言っても、私はまだ独身だし…。
きっと私の両親に配慮して下さって、イヌと部屋を別々にしたんじゃないかしら?」
「ああ…」
部屋を別にしたのは、遠い旅をしてきて異国の地に慣れないヘリをゆっくり休ませる為だとイヌは考えていたのだったが、もしかしたら、ジョンの意向はヘリの思いこみに近いものだったのかもしれない。
「お互いいい年の大人なのに、親にはいつまでも気遣われてしまうな」
「ええ…。恥ずかしいけど、何だか嬉しい」
クリスマスにヘリをイヌのいる外国に行かせてくれた両親にも。
ヘリを招いてくれて、厚いもてなしをして受け入れてくれたイヌの養父にも。
目に見えないけど、自分達をあたたかく包んでくれている愛を感じる。
それが嬉しい。
…以前の自分だったら、ヘリの言っている意味が分からなかったかもしれない。
イヌは思った。
ヘリ、君はさっき初めて恋人と過ごすこの日を夢見ていたと言ったけど、
僕は、ずっと切望していた。こんな風の気持ちでこの日を過ごすことを。
…君と。
イヌがそっとヘリの頬に手を置いた。
揺れて煌めくヘリの瞳がイヌを強く誘いこんでいる。
「だが、今は二人きりだ。もう待ったは受け付けないよ」
イヌの言葉に、了。の代わりにヘリが言った。
「メリークリスマス。イヌ」
「メリークリスマス…ヘリ」
ベッドの上で、
キスを交わし、
腕をからめ合い、
次第に激しさを増す抱擁の熱の中に
ヘリとイヌは身を投じていった…。
―――数刻の後…。
「…クリスマスプレゼント交換は明日の朝ね」
そう、イヌに腕枕されベッドに横たわるヘリが、眠そうなあくびをしながら言った。
イヌと思う存分体を重ねて、再び一緒にバスルームに入って、
もうはしゃぐ体力も気力も、ヘリには残されていないようだった。
そんなヘリの髪をもう片方の手で梳いていたイヌも
心地よい疲労を宿した目で優しくヘリを見つめていた。
「明日の日中は、どうしたい?
せっかくだから、ニューヨークで人気のブランドショップにも行ってみたいだろ?
クリスマス休暇でまだ閉まっている店もあるが、この時期でも開いている所も多い。ご両親に土産も買いたいだろうから、まずはその辺でショッピングするか?」
「うん。いいわね。でも…その前に、どうしても行きたいところがあるの」
「どこ?」
ヘリが、じっとイヌの顔を見つめた。
「あなたのお母さんがいらっしゃる場所」
ヘリの言葉に、イヌは動揺するそぶりを見せなかった。
ただ黙って、ヘリの顔をじっと見つめた。
イヌの鏡のような瞳に、
息をつめ、真面目な表情で話すヘリの顔が映っていた。
「イヌ」
名を呼び、ヘリもじっとイヌを見つめ返すと、
再び口を開いた。
「明日、私を、お母さんの眠っていらっしゃる墓地に連れていって欲しいの」
(17話に続く)
大変お待たせしておりました。
検事プリンセス長編シリーズ「聖夜の祈り」の続きです。
もう、軽く4年くらい検事プリンセス二次小説シリーズの更新が停滞している。
これ以上、待ったは受け付けないよ。と、イヌに言われても、
もうちょっと待って下さい。
構成した分、小出しで更新しても、前進することに意義があるんです。←遅すぎ。
でも、ようやく、イヌ×ヘリのラブラブクリスマスイブの回ですよ♪
え?全然ラブラブ話じゃなかった?大人シーン大幅カットすぎて、
何年もたって大事な部分が抜けちゃってるって?
そうですよね。せっかくのクリスマスイブの夜ラブラブがあっさり描写で、
物足りないですよね。
その辺りは、「みつばの裏箱」あたりでじっくり(笑)書かせてもらいますので、
気を長くして(←気が長くないと、みつばのたまて箱に付き合えません)
17話以降の本編と同様にお待ちください。
こんなブログを見捨てず、ずっと影でひなたで支えて下さっている検事プリンセスファンの常連の読者様。本当にいつもありがとうございます!!
完全復帰できなくても、検事プリンセス愛とソビョン病で、これからも続けていきます。
「キング」ファンの方も。コメントありがとうございます!
告知しておいて、まだ未公開の短編小説「君のためのラブソング」と中編「片靴のシンデレラ」。
いつか必ずアップするので、また見に来てください♪
はあ~。今年こそクリスマスに間に合うかな?←何年言ってる。
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