韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「聖夜の祈り」13話です。
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この話はシリーズの最新作になります。「NYへいこう」「招かれるもの」の続編。
聖夜の祈り(13話)ヘリは、イヌと共に2階に上がった。
「ヘリ、忘れ物は無いか?」
「ええ。大丈夫だと思うわ」
「もし、忘れたものがあったとしても、僕が後で持って帰るから安心しろ」
「うん」
ヘリは、前もって部屋で荷造りしていたスーツケースや荷物一式を、
イヌに客室からリビングまで運んでもらった。
リビングでは、ジョンが最新型のカメラを手に二人を待っていた。
「ヘリさんが、ここに来た記念に1枚皆で写真を撮りましょう。いいですか?」
ヘリとイヌは顔を見合わせた。
「もちろんです」
イヌが、ソファの中央にヘリを座らせ、その傍らに腰を下ろした。
カメラをタイマーセットしたジョンが、続いて、ヘリの横に座った。
「はい、私の可愛い子供達、笑って」
ジョンの言葉に、ヘリとイヌが、思わず本気で笑った。
パシャリ☆
シャッター音がして、3人の写真が撮れた。
「うん。とてもいい写真だ」
ジョンが画像を確認して、満足そうに頷いた。
そして、ヘリとイヌの携帯電話にカメラの画像データを転送した。
携帯電話でそれぞれ、画像を確認したヘリとイヌも、自然と顔がほころんでいた。
写真にうつった3人とも、いい笑顔を向けていた。
仲睦まじい、本当の家族のような光景。
ヘリは、韓国に帰ったら、イヌの養父、ジョンの事を気にしていた両親、サンテとエジャにもこの写真を見せようと考えた。
「楽しい時間をありがとうございました」
ヘリは、ジョンに深々と頭を下げると礼を述べた。
「おうちに招待して頂いて、そして、沢山のおもてなしをして頂いて、感謝しています。
お父さんにお会い出来て嬉しかったです。ふつつかな娘ですが、これからもよろしくお願いします」
最後の台詞は、まるで、嫁に来た女性のような台詞だったが、
ジョンは笑顔で「こちらこそ、よろしくお願いします。ヘリさん」と言って、頭を下げた。
「いつでも遊びに来てください。
話していた、友人の葡萄園にも、それから、別荘の方にも一緒に行きましょう。
イヌ、また、近いうちに、ヘリさんをこちらに連れてくるんだよ」
「うん」と、はっきり頷くイヌにジョンが微笑んだ。
「じゃあ、行っておいで。晴れてはいるが、今日は冷え込みが激しいから雪が降るかもしれない。車の運転には気をつけなさい」
「父さんも」
イヌが言って、車のキーをズボンのポケットに入れた。
そして、ヘリのスーツケースと、自分のバッグを持って、ガレージに続くエントランスに向かった。
ヘリが、その後に続き、ジョンが二人を見送る為にエントランス前まで出てきた。
ヘリを車の助手席に乗せたイヌは、荷物をトランクに詰めると、運転席に座った。
「お世話になりました。またイヌと一緒に伺います」
ヘリが車のウインドウを下げて、もう一度ジョンに言った。
「ええ。また会える日を楽しみにしてますよ」
ジョンが手を振ったのを、合図にイヌが車のエンジンをかけた。
そして、“行ってきます”という風にジョンに軽く手をあげると、車を発進させた。
ヘリは、振り返り、遠ざかるジョンの姿が見えなくなるまで名残惜しげに目で追っていた。
やがて、
ジョンの家もすっかり見えなくなって、
イヌの車が、ニューヨークの都心に向かって、大通りを走りだした頃、
ヘリは、次第にそわそわと落ち着きの無い態度になっていた。
それは、運転席にいるイヌにすぐに伝わった。
「トイレか?」
「違うわ。こうして、あなたと二人きりになったのが、
すっごく久しぶりな気がするから、なんだかちょっとね。変?」
「いや。気分的にな」
むずむずするような、こそばゆい感じ。
同意するようなイヌの言葉に、
イヌもヘリと同じような気持ちでいる事が分かったヘリは、
照れた顔をほころばせた。
「それに、今日はクリスマスイブだから。
周囲が楽しそうな雰囲気だと、自分もはしゃいじゃいそうだし、
写真やニュースでは見たことあるけど、ここのクリスマスツリーは綺麗でしょ?
ワクワクして、落ち着かない気分なの」
「十分楽しめばいい。でも、浮かれすぎて調子に乗るなよ。
君は、はしゃぎすきると、何か突拍子もないことをやりそうで心配だ」
「お父さんの前では、何も起こさなかったわ」
「君が起こさないように気をつけていたからな。
街中で野放しにさせたら、何をしでかすか分からない」
「ちょっと、人を運動不足の珍獣みたいに言わないでよ。
私の行動より、あなたの計画の方が予定外になる時だってあるじゃない」
「マ・ヘリが絡んでなければ、完璧に遂行する自信はあるよ」
車中で、軽口を叩き合いながらも、
ヘリとイヌは、ほとんどしまりの無い顔で笑っていた。
イヌとヘリが共に過ごすクリスマスは初めてだった。
そうじゃなくても、恋人との時間に、ときめかないわけがない。
養父と3人で過ごした時も、楽しかったが、
これからの二人の時間は、また違った色をそえられる事だろう。
ヘリ同様に浮かれてはいたが、運転中という身で、
イヌは判断力を鈍らせないように努力していた。
「まずは、今日予約したホテルまでドライブだな」
郊外のジョンの家からは、車で1時間以上かかる場所だった。
「ちょうど、チェックインできる頃に到着する予定だから、
部屋に荷物を置いてから出かけよう」
イヌの計画にヘリも異論は無かった。
「今日泊まるホテルって、どこなの?」
「それは、着いてからのお楽しみだ」
「楽しみにしてる。うーん。でも、やっぱり待ちきれないわ」
両手を身体の前で握りしめてはしゃぐヘリを、
イヌがチラリと横目で見ると微かに笑った。
その顔に、ヘリは、あわてて、手を膝の上におろすと、
「だから、違うんだからね」と、焦って運転席のイヌの方に体を乗り出した。
「楽しみにしてるのは、ホテルだけじゃないんだから。
勘違いしないでね」
「わかってる。ドライブも楽しめよ」
「もちろんよ」
ヘリは、車外を流れる、見慣れぬ景色を目に映した。
大気は冷たく、空は、白く濁った色をして、日中ではあったが、
薄暗さもあった。
そんな地上の電柱を飾るオーナメントや、電飾。
まだ、高い建物の少ない郊外の街中の風景だったが、
車通りも、歩道にもクリスマスの雰囲気が満ちていた。
今まで祖国のクリスマスでも似たような景色を見てきたが、
やはり違う。
そして、今までと一番違うのは、隣にイヌがいることだ。
恋人として、イヌとこうして、一緒にいられることが嬉しくてたまらない。
「私、本当に、楽しみなことはいっぱいあるのよ」
ヘリは、窓の外を見ながら、あふれる想いを口に出すように、言った。
「まずは、有名なあの場所でスケートでしょ?
それから、レストランで食事して…あ、予約を任せてたけど、大丈夫だった?
この時期で、人気のレストランだから、余計に予約も取りづらかったでしょ?」
「誰に聞いてる?ちゃんと予約してるから安心しろ」
「ええ、ソ・イヌさんに任せておけば、大丈夫よね。
1年前くらい前から計画に入っているでしょうから」
いつも自信満々なイヌに、嫌味のつもりでサラリと言ったヘリの軽口だったが、
イヌは言いかえしもせずに、少し口角を上げただけだった。
当然、1年前の今日、まさかヘリと一緒にこんな風にクリスマスを過ごせるなどと思ってもいなかった。
こんな奇跡のような日を迎える事ができたなど、
誰が計画出来たというのだろう。
そんな考えを秘めて、イヌが口を開いた。
「スケジュールはおおまかにたててたけど。スケートにレストランでクリスマスディナー。
他に君が今日やりたい事はないのか?」
「そうね。一番楽しみにしてるのは、クリスマスツリーのイルミネーションを見ることなの。ほら、ニューヨークには有名で綺麗な所がいっぱいあるでしょ?実際に見るのは初めてだから、出来る限り見たいわ。あとは…、そうね。
クリスマスのプレゼント贈呈かしら。イヌ、あなたは?私の希望ばかり盛り込んでくれているけど、何かやりたい事はないの?」
「ほとんど君と同じだ」
ヘリの問いにイヌが答えた。
「君が行きたがったレストランは、ここに来たら、君を連れていってあげたいと思っていた店だ。
スケート場も、この時期、有名なツリーが立つ場所でもあるからね。
それにしても、君は、スケートが出来るのか?」
「やったことあるわ。一応滑れるわよ。そう言うあなたはどうなの?」
「子供の頃から冬に一度は滑っていたよ」
「…プールの時みたいに、競争しようなんて言わないわよね?」
「人が多くて無理だな」
「あなたって、ほんとに負けず嫌いよね」
面白そうに笑うイヌに、ヘリが呆れた眼差しを向けながらも一緒に笑った。
長い道のりのようでもあったが、こうして、たわいのない話で盛り上がっているうちに、
イヌの車は、目的地に着いたようだった。
今夜、クリスマスイブに二人で泊まるホテル。
イヌが予約したホテルは、養父のジョンがプレゼントしてくれたホテルと同じくらい有名な高級ホテルだった。
いつか泊まってみたいと思いながら、
セレブだった頃のヘリも、まだ1度も訪れた事の無いホテル。
この時期に、予約を取るのは難しかったのではないだろうか。
もしかすると、もうかなり前からイヌは、そのつもりでホテルの部屋を予約していたのかもしれない。
…イヌならありえるわ。
そんな事をチラリと考えながらも、ヘリは、チェックインの手続きをしたイヌと、荷物を運ぶベルマンの後についてホテルの中を歩いて行った。
案内された部屋は、エグゼクティブフロア内の高層階で、
窓から街の景色が一望出来る、広いスイートクラスのシティビューだった。
ヘリが、ネット友達のモニカに会ったカフェではなく、本物の“セントラル・パーク”も見下ろせた。
イヌからチップをもらったベルマンが去ると、
それまで、慣れたセレブな淑女のように澄ました顔をしていたヘリが、
とたんに相好を崩した。
そして、部屋の中をうろうろしながら、調度品や設備を眺めて回った。
イヌは、荷物をワードロープにしまった後、
落ち着きの無いヘリの後ろ姿を、ほほえましく見ながら声をかけた。
「どう?お姫様のお眼鏡にかなうお城だったかな?」
「ええ」
答えながらも、ヘリは、部屋の観察に余念が無かった。
重厚的な外観と内装の、老舗の高級ホテルだったが、部屋の中の設備は最新式だった。
インテリアは全体的にモダンで、クイーンサイズのベッドのデザインはアンティークな雰囲気だったが、マットレスや、クッション素材は、心地よい眠りに導く上質なブランドのものだった。
「今夜は、ここで、王子様と一緒に過ごすのね」
ミニバーの冷蔵庫、広めのジャグジー付バスタブのあるバスルームの中まで、
一通り見たヘリが満足げな顔で振り向くと、悪戯っぽい目で、イヌに言った。
「そうなるかな。後悔してる?」
「そんなわけないじゃない。
ただ、なんだか、こっちに来てから、ずっと夢を見てるみたいなの」
ヘリは、本当に、夢見心地のようなうっとりとした表情をしていた。
「あなたのアメリカの実家も、私には、まるでお城だったわ。
ずっと前から住んでたみたいに居心地よくて、それでいて、お父さんやあなたにお姫様みたいに大事に接待されて。その上、ずっと夢見ていたようなホテルの部屋で、クリスマスを好きな人と一緒に過ごせるなんて。もしかして、これも夢?」
あいかわらず、直球で素直に心のままを語るヘリに、
イヌの方が夢を見させられるような気分になった。
「夢じゃないよ」
イヌがヘリの方に近づき、手を伸ばして届く距離で足を止めた。
そして、ヘリの顔にスッと片手を伸ばすと、その頬を指で優しく一撫でした。
「今日は、僕達が初めて一緒に過ごすクリスマスだ。…特別な夜にしよう。ヘリ」
浮かれまくっているヘリに比べて、淡泊な態度で、
いつも通り、冷静に答えているように見えたイヌ。
だが、頬に優しく触れたイヌの指先の温もりと、
最後の台詞が、ヘリの中で、甘い余韻を残して、さらに胸をときめかせていた。
コクリと、恥らった顔を伏せるように頷いたヘリは、
照れ隠しに、イヌから目を逸らせると、「ちょっと喉が渇いたわ」とわざとらしく口元に手をやった。
「あなたも、長距離の運転で喉が渇いているでしょ?どこかでお茶をしてから、出かけない?」
「そうだな。この部屋の宿泊客は、この上の階にある専用特別ラウンジも使える。
軽食や飲み物もあるようだから、行ってみるか?」
イヌの提案にヘリがすぐに二つ返事をした。
そして、特別ラウンジに向かう為に、共に部屋を出た。
部屋の扉を閉め、ホテルの廊下に出たイヌは、
何の気負いもなく、隣にいたヘリの手を握った。
驚きこそしなかったものの、
ドキンと胸の高鳴りを如実に伝える瞳で、イヌを見上げたヘリに、
イヌが優しく微笑むと、手をつないだまま歩き出した。
…こんな甘い行動を、こんなにも自然に、
ふざけもしないで仕掛けてくるなんて、今日のイヌは、変よ。
やっぱり、これは夢かもしれない。
こんな事をイヌに直接言えば、手を離されるかもしれない。
そんな事を考えたヘリは、黙って、夢で無いことを確かめるように、
イヌとつないでいる手を反対の手で自分の頬を軽くひねりながら、歩いていた。
そんなヘリに気付いて、口元に微かに笑みを浮かべながらも、
ヘリの手をしっかり握って、イヌは、前を向いて歩いていた。
異国の街の聖なる日。
ホテルの廊下の壁に設置された、
幻想的な雰囲気を演出する燭台を模した電灯の明かりの下。
ヘリとイヌは、まるで、初めて、互いの気持ちがつながった日のような想いで、
肩をならべ、その先の未来に向かって足を踏み出していった。
(「聖夜の祈り」13終わり、14に続く)
登場人物
マ・ヘリ
ソ・イヌ
ジョン・リー(アメリカに住むイヌの養父)
みつばは、この体調なので、
リアルイヌさんには会いに行けないのは以前から分かってたので、
この夏は、妄想イヌさんと妄想世界に浸ります。←元々そうだろ。
あの辺は、独身の頃、住んでた時は、庭みたいなもので、
よく友人たちとショッピングやランチしたり、相方とデートしたり、バイトしたり。
昔、某芸能人さんのイベントを手伝った場所かな。
結構広い場所で、有名な方だったのに、その日はガラガラだった記憶が…。
懐かし~。また、遊びに行きたいな~。
…いつ行けるかな~(苦笑)
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