韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「NYへいこう」です。
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この話は、みつばの検事プリンセス二次小説シリーズの
最新作になります。NYへいこうその夜、実家に帰っていたヘリは、
遅めの食卓を両親と囲んでいた。
和気あいあいとした一家団欒が進む中、
思い切ったように、エジャが口を開いた。
「今年のクリスマス、ヘリの予定はどうなの?」
昨年は、家族3人でクリスマスディナーを食べていた。
しかし、今年は。
…聞くまでも無い。ヘリは、恋人と一緒に過ごすのだろう。
恋人のソ・イヌと。
サンテにも、ヘリの答えは分かりきっていたようだった。
渋い顔をしながらも、話を聞いていない振りで黙々と食事をする
サンテの顔をチラリと見た後、
「イヌと一緒にアメリカへ行くわ」と、ヘリが答えた。
もともと、エジャから聞かれなくても、クリスマスの予定は
両親に話しておこうと思っていたヘリだった。
ソ・イヌとの交際は、両親の知りうる所だったから、
一緒に過ごすだろうことは悟られている。
それに、隠すこともない事だと思ったから、ありのままに答えたヘリだったが、
単刀直入すぎて、二人には説明不足のようだった。
「ヘリ、それはどういうこと?」
「アメリカに行くだと?」
エジャとサンテの不思議そうな顔に、
ヘリも自分の言葉足らずを認識した。
「だからね、クリスマスはイヌとアメリカのニューヨークで過ごしたいの。
それでね、一緒にあちらに住むイヌのお父様に会いに行くつもりなのよ」
「イヌ君のお父様に会いにいくですって?」
エジャが驚いて、大きな声をあげた。
声こそあげなかったが、サンテもエジャと同じように大きな衝撃をうけたようだった。
「ヘリ、それは、向こうの父親に挨拶に行くということか?」
「ご挨拶っていうのは、つまり、これからの二人の事を報告しに行くってことよね?」
ヘリの言う、イヌのお父様というのが、実父でなく、ニューヨークに住む、
イヌの養父であることは分かっているサンテとエジャだった。
しかし、うろたえている両親に、ヘリは、二人が何を考えたのか察して、
あわてて、首と手を横に振った。
「パパもママも何か勘違いしてるわ。会いに行くって言っても、
ただ、おつきあいしています。っていうご挨拶をするだけよ。」
「それ以上の挨拶じゃなく?…たとえば…結婚の挨拶とか…」
「違うわよ。そんな事になったら、先にパパとママに言っているわ」
ヘリの言葉に、
ほおっ…とエジャとサンテは顔を見合すと同時に溜息をついた。
その溜息の意味は二人とも違うもののようだったが。
エジャは残念そうな、サンテはどこかホッとした顔をしていた。
そんな二人の顔にヘリは苦笑した。
「ちょうどクリスマス前に、イヌが仕事でアメリカに行く予定なの。
それで、私もクリスマス休暇がとれそうだから、行くことにしたわ。
イヌの養父さんにはまだお会いした事がないのだけど、
以前、美味しいワインとご丁寧なお手紙を頂いたことがあって、
そのお礼を直接伝えたいのよ」
「そうだったの」
エジャが頷いた。
「向こうの国で、イヌ君を立派に育てて下さった方だもの。
それに、つきあっているヘリにまでそんなお気遣いをして下さるなんて、
きっと、いい人なんでしょうね。
ヘリ、しっかりご挨拶してくるのよ」
ヘリはサンテを見やった。
サンテは、ヘリと目が合うと、微かに頷いてみせた。
アメリカに行くことも、イヌの養父に会うということも含めて
クリスマスをイヌと一緒に過ごすことを、承諾してくれたようだった。
「くれぐれも気をつけてな」
「はい」
ヘリは、両親の言葉と見守る瞳に感謝しながら、
力強く返事すると、再び、食事の箸を動かした。
ヘリが、イヌから、クリスマスの話を切り出されたのは、
「仲直り記念日」の日だった。
イヌと一緒に泊まったホテルを出て、少し買い物をした後に、
街でランチを食べていた時の事。
気がつけば外の気温は低くなり、寒さも増して、
季節は、秋から冬になっていた。
そして、いつのまにか、街中は、
クリスマスムード一色に染められていた。
街路を歩けば、色とりどりのオーナメントと電飾が飾られ、
繁華街の店からは、クリスマスの音楽が漏れ出でている。
店の中もクリスマス商戦まっただ中で、内装もクリスマス仕様になっていた。
どこもかしこも、クリスマスの楽しそうな空気に包まれている。
イヌと再びいい感じに戻ったヘリも、
ウキウキした予感にときめいていた。
ヘリの中では、当然、今年のクリスマスはイヌと一緒に過ごすつもりだった。
ただ、それをどういう風に過ごすかまでは、決まっていなかった。
それに、イヌにも聞いていなかった。
ここしばらくは、とても、クリスマスをどう過ごすか?
という話を切り出す雰囲気では無かったが、今なら大丈夫だろう。
ヘリは、目の前でランチを食べているイヌをじっと見つめながら考えた。
…どこかの有名レストランでクリスマスディナーを一緒に食べるっていうのは、
定番だけど、憧れだったのよね。
それとも、どちらかの部屋で、ゆっくりと過ごすのもありよね。
いつもとかわらないけど、二人っきりのクリスマスイブ。
部屋中、クリスマスの飾りつけをして、美味しいお酒やご馳走もいっぱい用意して、それから…うん。いいかも♪
そう想像を膨らませながら、
ニンマリと一人笑いを浮かべていたヘリにイヌが声をかけた。
「ヘリ、クリスマスの事だけど」
…きたーっ!
小躍りしたくなるほど浮かれたヘリだったが、
ウキウキした口調で、わざと、恍けた。
「クリスマス?クリスマスが何?イヌ」
「クリスマスの前後に、仕事と所用があるから、僕はニューヨークに行くよ」
「え…?」
…ニューヨーク?
「ニューヨークって、アメリカのニューヨークよね?」
「ああ、13歳から僕が住んでいた街だ」
「…クリスマスはアメリカで仕事なのね」
がっかりした思いが、すぐに声と顔に出たヘリにイヌが
微笑んで首を横に振った。
「前後って言っただろ?クリスマスは休暇をとってある。
だから、ヘリ」
イヌが、食べ終わったランチの皿を横にどけると、
テーブルの上に両手を組んで、ヘリの方に身をのりだした。
「君も来ないか?僕の養父に君のことを紹介したい。
そして、クリスマスを一緒にニューヨークで過ごそう」
…イヌと、イヌの養父さんに会う?
そして、ニューヨークでクリスマスを過ごす?
イヌの誘いをまだよく呑み込めなかったヘリは、
ぼおっとなってイヌの顔を見つめていた。
「ヘリ?」
店内も、大きめのボリュームでにぎやかなクリスマスソングが流れていた。
「聞えてない?」
返事のないヘリに、イヌが怪訝そうに首をかしげた。
「あ、いいえ、聞いているわ」
ヘリがあわてて答えた。
「その、イヌの養父さんにお会いして、
クリスマスをニューヨークで過ごすってことよね。
ええ、いいわよ」
ヘリには、予想外のクリスマスの過ごし方だったが、
思い描いていたものより、ロマンチックなシチュエーションのようだった。
…ニューヨークで、イヌと一緒に過ごすクリスマス。
それに、イヌの養父さんに会える。…ということは、つまり、
イヌが暮らしていたニューヨークの家に行くってことよね。
再び、ぼおっとなったヘリに、イヌが心配そうな顔になった。
「もしかして、ご両親と先約でもあった?」
そう気遣うように聞くイヌにヘリは「ううん」と首をふった。
「パパとママはクリスマスも仕事みたい。
それに、クリスマスの事はまだ話し合ってなかったわ」
…たぶん、二人ともクリスマスは、
イヌと一緒にいるって思っているみたいだから。
イヌがそっと安堵の息を漏らした。
クリスマスまで、まだ間があるとはいえ、
予定をつけるには、少し遅かったかもしれない。
こんな急にヘリに予定を聞くという、イヌらしくない行動。
そのことにイヌも気づいていたが、先日まで、
クリスマスどころか、恋人として、一緒にいられるかどうかという危機だったのだ。
それで、普段、物事を有利に進めるために先回りで動くイヌも、
ずっと冷静ではいられなかったことが窺えた。
しかし、相変わらず鈍いヘリは、その点に関しては、
全く気付いていないようだった。
ヘリの心と頭は、すでに、イヌと一緒に過ごすクリスマスの楽しい予感に支配され、
余計なことを考える隙間など無くなっていた。
そうして、クリスマスイブの1週間ほど前。
イヌは予定通り、韓国での出張先から、直接、ニューヨークに向かった。
ヘリは、職場にクリスマス休暇をもらい、
イヌの後を追って、アメリカ行の飛行機に乗ることになっていた。
ヘリが飛行機に乗る日の朝、ヘリとイヌは電話で、
向こうで落ち合うための最終的な打ち合わせをした。
用事があって、時間的に空港には迎えに行けない、と申し訳なさそうに言うイヌに、
ヘリは、「大丈夫」ときっぱり答えた。
「私、友達と会う約束をしているの」
『友達?初耳だな。こっちに君の友人がいるのか?』
「ええ、ネットで知り合った女性なのだけど、ニューヨークに住んでいるの。
料理が得意で、動画で作り方をネット配信しているのよ。
半年くらい前に料理のことで私が質問したら、すごく丁寧に教えてくれて。
それから、気が合って、よくメール交換していたの。
今回、ニューヨークに行くって連絡したら、ぜひ向こうで会おうって返事が来たのよ。
待ち合わせ場所も決めたわ」
ヘリは、イヌに友人と会う約束をしたカフェの名前を言った。
『そのカフェなら知っているよ。じゃあ、僕たちの待ち合わせ場所もそこにしよう』
打ち合わせも終わって、
ヘリのすでに浮かれた気分は、電話の向こうのイヌにも伝わっていた。
「ニューヨーク。私は観光で行ったことはあるけど、
にぎやかで楽しい街よね」
そう言ったヘリに釘をさすようにイヌが、「そうかな」と答えた。
『にぎやかで楽しい街か…。観光で来たのなら、そういう感想になるだろうな』
「そっか。イヌは、ずっと住んでいたんだものね」
『どこの国もそうかもしれないが、実際に暮らしてみると違う面を知ることになる』
「そうね…」
以前、イヌが、長年住んでいても、住み慣れた祖国の方に住みたかったから、
韓国の司法試験を受けた、とヘリに話したことがあった。
それは、じつは、父親ソ・ドングンの無実を証明するためだったが、
本心からの言葉だったのだ、とヘリは思っていた。
「イヌは、この国が好きなのね」
…本当は、ずっと、すぐにでも戻りたかったに違いない。
ヘリの優しい声にイヌはヘリが何を考えたのかすぐに悟った。
ヘリの言葉にひきずられて、感傷にふけりそうになる気持ちを
誤魔化すように、イヌがフッと息をついた。
『観光も存分に楽しめばいいが、君の知らないこともある街だ。
調子にのって、一人でどこでも行くなよ』
「わかってるわよ。そうやって子供扱いして心配しないでちょうだい」
『君は時々危なっかしいんだよ。…恋人として心配してる』
恋人として、というイヌの言葉に、ヘリがジンとなった。
体はまだ韓国にあったが、心はすでにニューヨークのイヌの元に飛んでいた。
「1週間くらいしかたってないのに、もうあなたが恋しいみたい」
ヘリの素直な言葉に、イヌがからかうように軽く笑ってみせたが、
心は同じだった。
…僕も君に会いたいよ。
『ニューヨークで会おう。ヘリ。待ってる』
「ええ、後でね。イヌ」
名残惜しい気持ちをふっきるように、
ヘリは、わざと明るい声を出して、イヌとの通話を切った。
そして、ヘリは、手持ちの旅行バッグの中を確認した。
「パスポートに、航空チケット、お金…うん。大丈夫ね」
航空チケットは、イヌが予約して購入してくれていた。
遠慮する素振りを見せたヘリに、『僕が出さなかったら、父が航空券を買ったよ』とイヌが答えた。
『養父は君にとても会いたがっているからね』
そんなイヌの言葉を思い出しながら、
ヘリは、イヌの養父、ジョン・リーからの手紙がしまってある鏡台の引き出しの方を見やった。
13歳からイヌを養って育てたジョン・リーという男性。
ヘリは、イヌの話からしか、想像できなくても、とてもいい人だと信じていた。
すでに前日に空港に送っていた大きめのスーツケースの中には、
クリスマスにイヌに渡すプレゼントと一緒に、
イヌの養父、ジョン・リーに贈る物も入っていた。
…イヌ、そして、ジョン・リーさん。今会いに行きます。
いざ、ニューヨークへ!
そしてヘリは、勇ましく部屋の扉を開けて、
ニューヨークに旅立つべく空港に向かった。
(「NYへいこう」終わり)
登場人物
マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・サンテ(ヘリの父親)
パク・エジャ(ヘリの母親)
ジョン・リー(NYに住むイヌの養父)
お待たせしました。
シリーズ最新作、「NYへいこう」ようやく1話更新。
この季節にクリスマス話(汗)
「NYへいこう」は、短編連作になります。
そして全編完成していないので、すみませんが、休み休み更新になります。
とりあえず、序章の「NYへいこう」でした。
コメントレス的な話。
コメント&応援ありがとうございます。
…映画、全都道府県ではないけど、
一応東京皮ぎりに他県ロードショー&前売発売だと
公式ファンサイトでは見たのですが、変更ありました?
ちょうど私も検プリ14話のイヌのスーツ姿を見て(毎日見てるけど)
再び萌えてました。素敵ですよねー♪
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