韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「恋人たちの質疑」です。
二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。
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このお話は突発短編です。
注意するほどではありませんが、ほんわか大人テイスト(?)
恋人たちの質疑「ねえ…ソ・イヌさん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
ヘリが、イヌの事をフルネームで呼ぶ時は、何か機嫌を損ねた時が多かった。
そうじゃなくても、唇を尖らせた表情で、不機嫌になった事は一目瞭然だったのだが。
「なにかな?この状況で」
仕事帰りにヘリの部屋に直行して、一緒にまったりと夕餉をすませて、
甘くいい雰囲気が次第に熱を帯びてくると、勢いでベッドの上になだれこんでいた。
上着のシャツと下着を脱いで、上半身裸で、ヘリの上に覆いかぶさった状態のイヌ。
対して、ヘリの方も上着をほとんどはだけた状態だったのだが。
「状況説明というより、釈明してもらうわ…これの事について」
「ん?」
ヘリは、ベッドの上で、自分の脇に脱ぎ捨てられていたイヌのワイシャツを手にとっていた。
そして、イヌの目の前にグイっと差し出した。
「ここ、何が見えるかしら?」
「僕のワイシャツに見えるな」
「…わざと言ってる?シャツに何か見えない?」
イヌが、怪訝そうに目を細めてシャツに顔を近づけた。
白いワイシャツの襟首の後ろにうっすらと赤い色がついていた。
「いつのまにこんな物が?」
そう首をかしげたイヌに、ヘリが両目を細めた。
「どう見ても口紅の跡なんですけど?」
「ああ、僕にもそう見えるよ」
「あなたの認識を聞いてるんじゃないの。
どうしてこんな物があなたのシャツについてるの?」
…それが聞きたいのよ。
「知らない」
きっぱりと答えるイヌに、ヘリはますます剣呑な目になった。
「…とぼける気?」
「とぼける気も誤魔化す気もないよ」
ヘリが何を完全に疑っているのかすぐに分かったイヌが
苦笑して言った。
「君が妄想してるような事は何もしてない」
「じゃあ、この物的証拠はどう説明するの?」
「尋問か?検事さん。こんなの証拠にならない」
「ソ・イヌ」
「…わかった。一緒に検証してみよう」
イヌは肩をすくめてみせると、ワイシャツを手にとった。
そして、紅い色のついた場所を指差した。
「これ、君は何に見える?」
「ロール・シャッハテストのつもり?私には女性の口紅がついたようにしか見えないけど」
「そうだな」
「見解の一致ね」
ヘリが冷たく言った。
「私の見分結果を先に言わせてもらうけど、これは、
あなたが、『どこかの女性』につけられた跡だと思うわ」
「ヘリ、検証に先入観は禁物だが、僕も同意見だね」
イヌの言葉にヘリが目を見開いた。
「認めるのね」
「ああ、そして、さらに言わせてもらうけど」
イヌが続けた。
「この『物証』は君がつけたものだよ。ヘリ」
「え…」
…私の口紅のあと?
それまで鼻息荒くイヌを睨んでいたヘリが、毒気を抜かれたような顔になった。
「よく見ろ」
イヌの言葉にヘリがワイシャツに目を近づけた。
「さっき、僕の背中にもたれかかった君がつけた物に間違いないと思うが」
…そう言われてみれば…。
ヘリは、そっとワイシャツに顔を近づけると、紅い色のついた部分より、少し下の方に唇を押しつけてみた。
「納得したか?色と形が一致するだろ?」
「・・・・・・」
ヘリが気まずそうにイヌを見上げた。
「君の誤解だ」
…そういえば、さっきじゃれて背中に抱きついた時に顔がぶつかった気がする。
あの時かも。
「…ごめんなさい」ヘリが恥ずかしそうに頬を手でかくとモゴモゴと謝った。
イヌが、フーっと大仰に溜息をついた。
「一体どんな想像をしたんだか。早とちりもいいところだ。そんなに僕は信用されてないのかな」
「疑ってたんじゃないのよ。全然っ」
少し拗ねたように言うイヌにヘリがあわてて弁解した。
「でも、ほら、こんな口紅がつくほど女性と接触したのかと思ったら…」
「嫉妬したのか?」
「・・・・・・」
ヘリの気恥かしそうに膨らませた頬にイヌが手をあてた。
…こんなことで嫉妬する君は可愛いけど。
「大人げないな」
イヌの鼻で笑ったような言い方にヘリはますます頬を膨らませた。
「自分のものじゃないとしても、どこかでぶつかってつけられた物だとか、そういう風にも考えられるだろ?」
こんな、いかにもな展開は。
イヌの言葉に、ヘリが、「そういえば」と言った。
「同期の男性もそんな事を言ってたわ。
満員のバスの中で女性にワイシャツに口紅をつけられた事があるって」
…同期の“男性”?
ヘリの言葉に今度はイヌが反応した。
「そんな込み入った話をいつ聞いたんだ?」
「ランチを一緒にした時に聞いたんだけど」
…ランチを一緒にしただって?
「君の職場の部には同期はいないだろ?」
「ええ。刑事5部の人じゃないわよ。前に担当した事件に関わりのある資料を頼まれて貸したら、お礼がしたいって言われて、ランチをおごってもらったの」
質問に淡々と答えるヘリはイヌの顔色がかわっていくのに気づいていないようだった。
「…二人きりでランチに行ったのか?」
「後輩のキム検事も一緒に連れてったわよ。独身男性検事だったら紹介してって言われて」
「・・・・・・」
イヌは思わず頭を抱えたい気持ちになった。
誰かは知らないが、そのヘリの同期とかいう男はきっとヘリに下心があったに違いない。
資料を仕事で貸したくらいでランチに誘うくらいだ。
それなのに、後輩の女性を誘ってのこのこランチに行くなんて…。
店に二人で現れた時のその男の面食らった顔が目に浮かぶようだ。
しかし…。
「そんな風にランチに誘われるのはよくあることなのか?」
イヌの問いに、ヘリが思い出すように首をかしげた。
「あるわよ。何かを貸したり、手伝ったりすると、お礼をしたいってよく言われるわ。検事の男性って真面目で律儀な人が多いわよね」
…いや、それは違う。
「…まさか、飲みや夕食を『お礼』される事もあるのか?」
「してもらった事はないわよ。誘われた事はあるけど、断っているわ。そこまでしてもらう必要はないって」
…それも違うだろ。
イヌは、フーっと息をついた。
「マ・ヘリ」
「なに?」
ヘリはキョトンとした顔でイヌを見つめた。
イヌが、ヘリを『マ・ヘリ』と呼ぶ時は、何か気にいらない事があったときか、
説教をする時が多かった。
「男性検事達の誘いにのって二人きりでは食事に行くな」
「だから、行かないって」
「君は危なっかしいんだよ」
イヌのつっかかるような言い方にヘリがむっとしたように反論しようとして、
…ん?と何かに思い当ったようにイヌに顔を覗き込んだ。
「…ねえ、イヌ。それって、まさか嫉妬?」
「なに?」
「ねえ、嫉妬したんでしょ?私が男性に食事に誘われているからって、変な誤解したんでしょ?」
形勢逆転のように、ウキウキとからかうように聞くヘリにイヌが眉をひそめた。
「勝手な早とちりをする誰かさんと一緒にしないでくれ」
「うそうそ。気にしちゃったんでしょ?」
…わかるのよね。イヌがやけに説教臭くもっともらしい事を言う時って、
結構本気で私の事を心配しているって。
でも、そういう事を意識したことなかったけど、男性検事達の誘いを断ってる一番の理由は、恋人(イヌ)がいるのに二人きりで食事したくなかったからよ。たとえ、同期でも、友人でもね。
嬉しそうに、ニコニコしているヘリにイヌが浅い溜息をついた。
「…鬼の首でもとったような態度だな。ヘリ。口紅の事はどうしてくれるんだ?」
「もちろん。クリーニング代は弁償するわよ」
「そうじゃなくて、疑いをかけられた精神的苦痛に対する賠償だ。…高くつくぞ」
そう言ったイヌが、ニヤリと笑うと、ヘリの方に手を伸ばした。
「!やあだ。うそ。やめてよ」
ヘリがあわてて制しようとした手はイヌによって難なく退けられた。
イヌがどうやって『損害賠償請求』をしようとしているのか、
すぐに分かったヘリだった。
「人のこと、大人げないって言っておいて。自分の方がよっぱど大人げないじゃない」
…独占欲が強いことを指摘された事にうろたえて実力行使で黙秘させようなんて。
息を切らしながら、何とか抵抗するヘリ。
「わかってないな」
イヌが、そっけなく言った。手の動きは止めずに。
そして、体重をヘリにかけるように覆いかぶさると、耳元に唇をよせた。
「…大人だから、こういう気持ちになるんだろ?」
低い声で囁きながら、イヌの手が性急に動いた。
「っ…異議あり」
必死でまだ抵抗を試みるヘリの言葉にイヌが薄く笑った。
「君の体は異議を唱えていないみたいだけど?」
「~~~~~」
…中断していた続きをしよう。ヘリ。
誤解も嫉妬も質疑応答では片がつかないよ。
…分かったわ。受けてたつわよ。イヌ。
覚悟を決めたように、でも、艶やかに微笑むヘリの顔に、
イヌが満足そうに微笑み返した。
そして、ヘリの体に身を伏せると、
まずは、ヘリの主張をふさぐように唇を重ねた。
そんなイヌの体にヘリも両腕をまわして…―――。
こうして、“大人げない”二人の質疑は終わりを見せて、
大人の恋人達の甘い夜は、これから始まったばかりのようだった。
(終わり)
前回、シリアスな「さめない夢」を書いたので、
甘甘な話か大人話を書きたい♪と思ったのに、
こんな話に。
お互い嫉妬しあうヘリとイヌの話。
ベタな展開ですが、これ、最近実際みつば家でおきた話がネタに。
シャツに口紅なんて、ベタ過ぎる~とよく思いましたが、
あるんですね。自分でつけておいて誤解するような事が(爆)
検事と弁護士カップルの話なんて、自分に書けるのかしら?って
今だに思ってますが…ドラマ見ると結構大人げない会話してる二人。
ムキになって言い合う中学生カップルのように思いました。
そして、いつも最後はイヌが強引に実力行使(笑)
「さめない夢」の感想、コメント、拍手ありがとうございました。
二人の幸せを妄想してはじめたブログなので、基本悪い事にはしないので、
安心してください。…たぶん(苦笑)
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