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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「水路の琴、山路が笛」の後日談です。

二次小説を読む注意点、「陳情令」の他の二次小説も ←(以下、必読の注意書きです)
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とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。

※この二次小説は、「逢月編」シリーズ、「水路の琴、山路が笛」の中にあって、更新する前に、みつばが、カット(没)にしたエピソードのうちの「後日談」。「道侶編」シリーズの「不言実行」に続くエピソードです

「続きを読む」からお入りください
(スマホで見ている方は、すでに小説が開いています)



水路の琴、山路が笛(後日談)




天塩にかけて育てた弟子である甥から、『道侶』となった者と『伴侶』の契り(肉体関係)も結んだと、衝撃的な事後報告をされれば、藍啓仁でなくとも、声を失うことだろう。

格式高い藍家のしきたり(ほとんどは藍啓仁が作ったものだったが)を完全に無視している。

それも、同性。しかも、過去、雲深不知処で一番の問題児。

さらに、藍啓仁が過去に因縁を持った(?)女性の息子。


藍啓仁にとって、魏無羨は、藍忘機との関係を反対する理由は山ほどあれど、認められる要素は塵に等しい。

『夷陵老祖』の悪評の誤解は解けていても。
藍啓仁の中では、魏無羨が未だ「白」なのか「黒」なのかの判別のつかない、いわゆる灰色領域の要注意人物だった。

さらに、心根は「黒」では無いと分かっていても。
性格を知っている分、魏無羨の行動には、今後も目を光らせねばならない、と藍啓仁は考えていた。


しかし、魏無羨の方は、心の中で『おっさん』と呼んでいる藍啓仁を、それほど嫌ってはいなかった。

藍啓仁は、他の仙門の宗主からも頼りにされるほどの知識と教養を兼ね備え、卓越した仙術の使い手だった。

そして、藍忘機を育て、鍛えあげた叔父であり恩師でもある人物。

魏無羨も、かつての師であり、江氏の宗主、江楓眠が一目置いていた藍啓仁に、一種の尊敬の念を抱いてはいた。

藍啓仁も、魏無羨が雲深不知処に身を置くことを許可してくれていた。
それは、藍忘機の説得によるものが大きかったが、魏無羨の『義』の精神を少しは認めていたようだった。

しかし、そんな藍啓仁が、魏無羨と藍忘機の真の関係を知ってしまった。

それも、甥である藍忘機の口から。


魏無羨の『道侶』だという藍忘機が仙督としてどんな権限を持って押し切ろうとも、藍啓仁は、己が納得しないうちは、首を縦に振るような人物ではない。

藍啓仁の生真面目さは、さすが由緒正しい藍家の者といったところだろう。


―――そして、静室に住むようになった魏無羨が、藍啓仁から初めて講義を受ける日。


魏無羨は、心の中で誓っていた。

…おっさんにどれだけ叱られても、懇願されても。
俺は、藍湛と絶対に別れないからな。

そんな覚悟で、藍啓仁の私邸「松風水月」に入った魏無羨は、対面した藍啓仁に挑むような眼差しを向けた。

無言で座している藍啓仁に、魏無羨は、「先生」と口を開き、先攻の構えをとった。

「藍湛からお聞き及びのことと存じますが、藍湛と俺は、『道侶』の契りを結びました。それと…」

魏無羨は、一気に核心をついた話題を畳みかけた。

「『伴侶』の契りも結んだ関係に……」

「閉嘴!(黙りなさい)」

藍啓仁がクワっと目を見開くと、魏無羨の言葉を遮った。


眼をぱちくりさせた魏無羨の前で藍啓仁は、
苦り切った表情で咳払いした。

「今は講義の時間だ。関係の無い話は慎むように」

「……はい」


藍啓仁の機嫌を本格的に損ねれば、雲深不知処を追い出されることは無くとも、今後2度と講義をしてくれることは無いだろう。

それは、今の魏無羨には困ることだった。

魏無羨は口を閉じると、藍啓仁が手渡ししてきた教本を黙って受け取った。


―――その後。

魏無羨は、半刻ほどの藍啓仁の講義を殊勝な態度で受けた。

過去の魏無羨と比較すれば、格段に成長していたが、本来なら、それが、師から学ぶ子弟のあるべき姿だった。


「…これで、本日の講義を終える」と言った藍啓仁に、魏無羨は、藍忘機とのことを蒸し返した。


「藍忘機とのことを、許して頂けたと受け取っていいですか?」

あっけらかんと問う魏無羨に、藍啓仁は、手元の本を丸め、『思いっきり投げつけてやりたい』という気持ちを抑えるかのように、握りしめた。

「雲深不知処に滞在している以上、忘機の足を引っ張るような真似はするな、と伝えたはずだ」

「はい」

「忘機に脅威や被害を与えないと約束したことを忘れるな」

「はい」

「それが、答えだ。
わかったなら、出ていきなさい」


…わかりません。

と言いそうになりながらも、魏無羨は立ち上がった。

そして、藍啓仁に揖礼すると、部屋を後にした。


・・・おっさんは、
俺が藍湛に『悪さ』をしているって誤解してる。


『松風水月』を出た魏無羨は、廊下を歩きながら、すでに姿の見えなくなった藍啓仁に向かって、心の中でブチブチと言った。

…たしかに、あなたの大切な甥御さんは、俺がたぶらかしました。

それは、否定しません。

でも、甥御さんが、俺に何しているか知っていますか?

この衣服を脱いで体をお見せしたら信じてもらえますか?

甥御さんは、毎晩、俺の体のいたるところを吸ったり、噛んだりしている。

それだけじゃなくて。他にも、表から見えないところに、お話出来ないくらいのことをいっぱいしているのです。

一晩で100以上の規則破りもしています。

とにかく、アッチの方は、とっても激しいのです。
毎晩だとこっちの身が持たないと感じるくらい。

『ちょっとは道侶に手加減してあげなさい』とか、注意して欲しいくらいです。


だけど。

真実を知ったら、おっさんは、卒倒してしまうだろうな~…。


苦笑を浮かべながら、そんな事を想像して歩いていた魏無羨の前方に、
いつのまにか藍忘機が立っていた。

「藍湛」

嬉し気に駆け寄った魏無羨は、藍忘機の横に並ぶと共に歩き出した。

「今、おっさん…、いや、先生の講義が終わった」

「ん」

すでに分かっていたように、藍忘機は頷いた。

落ち着いた無表情でありながら、口元をやわらかく緩めている藍忘機の顔に、魏無羨はピンとなった。

「藍湛。俺と先生の講義、覗いてた?」

「ない」

「本当は気になっていたんじゃないのか?」

「ない」

「じゃあ、なんで、こんな所にいるんだ?」

「通りかかった」


…そういうのを、気になって覗いてたっていうんだよ。

魏無羨はニヤつきながら、「そっか」と答えた。


「叔父の講義はどうであった?」

何気なく尋ねていた藍忘機だったが、朝からずっと気にとめていたのだろう。

もしかすると、藍啓仁から講義を受ける魏無羨以上に心していたのは藍忘機かもしれない。

魏無羨は、素知らぬふりをしながら、「まぁまぁだった」と言った。

「気にいらなかったか?」

足を止め、真面目に問う藍忘機に、魏無羨は今度こそ笑いそうになった。

「いや」

…素直じゃないのは、師に似たのだろうか?
それとも、父親似なのだろうか?

どっちにしても。

真面目で。頑固で。
まっすぐで、自分の信念を曲げない。

素直じゃないけど。
よく観察していれば、分かりやすく言動に出ている藍家の人間の純真さを。


「気にいってきた」


魏無羨は藍忘機にニッコリと笑って言った。


魏無羨の雲深不知処での学び直しの修行は、まだまだ序盤だった。

不機嫌ではあったが、藍啓仁は、講義を辞めるとは言わなかった。

今後、藍啓仁の望むような子弟になるかはともかく、いつかは、目標を達すことが出来ると魏無羨は強く信じていた。


―――藍湛と一緒にいるなら何でも出来る。

魏無羨の心の呟きを聞いていたかのように。

敷地内の、周囲に誰もいない場所で、
隣にいた藍忘機が、魏無羨の手をそっと握った。

微笑んでいる藍忘機に、魏無羨も明るく笑いかけた。

そして、握り返した手をブンブンと大きく振ると、
前途洋々な気分で、藍忘機と手を繋ぎながら雲深不知処の道を歩いていった。




(終わり)




(あとがき)


「水路の琴、山路が笛」カットシーンの1部を「後日談」としてまとめました。
1コマ漫画劇場の方でアップしようと思ったのですが、文字数がまずまずあったので、小説版として更新。

「道侶編」シリーズの「不言実行」へと続く話。

今回のエピソードは、すでにアップしていた、未来の話。「永遠の愛」の補足話にもなっています。

「回家編」書いている最中に、未来の「道侶編」話をアップしたり。
イチャイチャ話をアップしながら、純愛のままだったり。
みつばの二次小説シリーズは、時間があっちこっちしていました。

今改めて思いますが、読みずらい二次小説でしたね(苦笑)

これで「道侶編」シリーズの未公開新作以外は、すべての時間が繋がりました。

ブログへのご訪問、記事への拍手、ありがとうございました!
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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