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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「水路の琴、山路が笛」の番外話(カットシーン)です。

二次小説を読む注意点、「陳情令」の他の二次小説も ←(以下、必読の注意書きです)
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


コメント記入に関しての説明は、こちらから。

「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。

※この二次小説は、「逢月編」シリーズ、「水路の琴、山路が笛」の2話の中にあって、更新する前に、みつばが、カット(没)にしたエピソード、番外話です

「続きを読む」からお入りください
(スマホで見ている方は、すでに小説が開いています)


水路の琴、山路が笛(番外話)


※「水路の琴、山路が笛」2話のエピソードから。



「藍湛、俺、沢蕪君と藍先生から、学ぶことになった」


「……」

すでに、藍曦臣から講義の話を聞いていた藍忘機は驚かなかった。

そして、魏無羨が、自ら望んだ理由にも薄々気づいていたが、「何故だ?」と、あえて尋ねた。

魏無羨は、組んでいた足元に目を落とすと、微笑を浮かべた。

「俺は、16年間、眠っていたようなものだった。その間にあった時間を知らない。社会情勢や歴史がどう変わったのか。世の中の変化で分からないことも多い。
俺の知らない術も知識も。新しいものに切り替わったものも沢山ある。それを知りたかった」

「私が教えられる」

珍しく話の途中で口を挟んだ藍忘機に、魏無羨は「うん、そうだな」と相槌を打った。

「藍湛の講義は分かりやすかった。でも、駄目なんだ」

「なぜ?」

「俺が、集中できないから」

魏無羨が笑った。

「教師が藍湛だと、俺、どうしても、気持ちが浮ついちまう。
現に、昨日も、授業の途中から藍湛の話が頭に入ってこなかった。
ああ~…今夜、家に戻ったら、藍湛と何しようか、とか。そんなこと考えて」

「魏嬰」

真面目な話の途中で、ふざけてはいけない。と窘めるように名を呼んだ藍忘機に、魏無羨は、笑いながらも、「本当なんだ」と言った。

「分からないことは、藍湛に教えてもらって。この世にもすぐに馴染むと思っていた。だけど、今の俺に足りないと感じたのは、抜けた時間のことだけじゃない。そして、必要なことは、それじゃ賄えないっってことに気づいた」

話しながら、魏無羨は、藍啓仁と会って話をした時のことを思い出していた。



―――藍啓仁の側近に呼ばれて『松風水月』に入った魏無羨は、藍啓仁に呼ばれた理由を、『天人湯都領』からの帰りが遅くなった件だと思っていた。

魏無羨一人の戻りがどれだけ遅かろうと、藍啓仁は何も思わないことだろう。

むしろ、ホッとし、そのまま旅に出てはくれまいか、とさえ考えていたかもしれない。

しかし、今回出かけていたのは、魏無羨だけでは無かった。

あちらで合流した藍忘機は、魏無羨が巻き込まれた騒動が解決するまで、魏無羨と行動を共にしていた。

さらに仙剣ですぐに戻ることが出来ながら、魏無羨と徒歩で通常の倍の日数をかけ、帰ってきていた。

もともと『道侶』の誓いをたてていた魏無羨と藍忘機だったが、とうとう『伴侶(夫夫)』としての契りも結び、雲深不知処への帰路に蜜月旅行をしていたからだった。

しかし、旅の途中に、困っている人を助けたり、闇狩りをしたりしていたことも事実。

そういうことも、帰りが遅くなった理由のいくつかにはなっていた。

ただ。

かつて、魏無羨が、血気盛ん、天真爛漫な若者だった頃。(…と魏無羨は思っているが、現在も進行形)

雲深不知処に修行に来ていた魏無羨が遊んでいて、授業に遅刻した理由に『途中で妖怪に出くわし闇狩りしていたからです』と言い訳した時くらい、藍啓仁に疑われていた。


「仙督」となった自慢の甥が、己の理想から外れることをしでかす、たった一つの原因は、『魏無羨』だと、藍啓仁には分かっていた。

しかも、今回の旅のことは、藍啓仁には事後報告になっていた。


…さて。俺は、どんな説教をくらうのだろう?

まあ、おっさんに、この際、何を言われても、全然構わないけどな。

俺は、おっさんの御小言を1刻聞いても足りないくらい、藍湛と規則破りを沢山おかしたのだから。・・・その内容は尋問されても言えないけど。

魏無羨は、真面目な顔を装い、渋い表情で目の前に座している藍啓仁を見つめ、発言を待った。

しかし、口を開いた藍啓仁が発したのは別のことだった。


「曦臣から聞いたが、雲深不知処の講義を受けたいそうだな」

「…はい」

「なぜだ?」


…こっちの話だったか。

魏無羨は、心の中で吐息をつくと、隠し事なく話すことにした。

「以前、ここで学んでいた時。俺は修行を終えずに雲深不知処を去りました。
新たな力も得ていますが、まだ知るべきこと、教わることがあると感じたからです」

「なぜ、今になって、そう感じた? 忘機の為か?」

「確かに、きっかけは藍湛です。藍湛と一緒にいて、己の中に足りないものが見えました。そして、それは、自分だけの力では生まれないものだということに気づきました。だから、今一度、あの頃、いろいろな事があって中途になってしまった修行を学びたいのです」

「魏嬰。一つ、確認するが。かつてのお前が雲深不知処での修行を中途にして去った理由を覚えているか?あの頃、『陰鉄』に関わった騒動が起きていたが、それが原因だったか?」

藍啓仁の容赦のない問いかけに、魏無羨は、気まずげに俯くと、鼻の頭を指でちょいちょいと撫でた。

「違います。ここを去った原因をつくったのは俺自身です」


雲深不知処に来た早々、酒を飲んだり、藍忘機に酒を飲ませて規則破りをさせたり。

講義の時間に『鬼』の力を利用することを提案して藍啓仁を怒らせたり。

師姉のことをめぐって、他の仙門の御曹司と喧嘩し、殴りもした。

他にも、魏無羨が雲深不知処にいた頃の騒動は、雲深不知処が創設されてから、史上最多を更新する珍事件勃発の連続だった。

温氏の襲撃がなければ、藍啓仁の記憶の中で、あの頃一番の黒歴史として残っていたことだろう。


「…よかろう」

魏無羨の答えに、『自覚があるなら良い』という風に、目を閉じた藍啓仁が溜息を漏らした。

「今後。曦臣がおぬしに教えるということだが。私もおぬしに講義をしよう」

「……」


かつての魏無羨であったなら、『うっそーんっ。遠慮しま~す』と叫んで、部屋を飛び出したかもしれなかった。

だが、なりは変わらずとも、数々の苛酷な体験で鍛えられた精神が、魏無羨の体を、その場にとどまらせ、禁言の術をかけたように口を閉じさせていた。


「魏嬰。これは、おぬしの為だけでは無い」

魏無羨の本音を見透かしたように、藍啓仁がコホンと咳払いすると言った。

・・・これは、忘機と雲深不知処の為でもある。


魏無羨は、この時点で、まだ知らないことだったが、藍啓仁は、藍忘機から二人が『盟友』以上の関係になっていると明かされていた。


『叔父上。私と魏無羨は、伴侶の契りを結んでいます』


その言葉を藍啓仁が藍忘機から聞いた瞬間。

藍啓仁の意識は、一瞬、次元の違う彼方の空間に飛ばされた。

そして、藍啓仁が何とか現実世界に意識を戻した時。
目の前にいる甥が、今までとは違う男に見えていた。

しかし、それでも、わずかな時間で立ち直ることが出来たのは、すでに藍啓仁が、二人の関係に薄々気づいていたからだった。

過去。どんなに諫めても、藍忘機は魏無羨と関わろうとすることを辞めなかった。

悪評のたっている魏無羨を信じ、かばい続け、何があっても、何が起きても。
彼のそばにいて助けたいという姿勢を見せ続けていた。

その藍忘機に、藍啓仁は、藍忘機の父である、かつての兄の姿を重ねたことがあった。

藍啓仁が敬愛していた、清廉潔白な兄は、ある女性と出会い、かわってしまった。

重い罪をかばい、藍氏のみならず、世を敵にまわしてでも、彼女をかくまい、そばに住まわせた。

それから時が流れ。


藍啓仁は、再び、兄と同じ表情をした男と対峙した気持ちになっていた。

あの頃の藍啓仁は、兄のする事に納得できず、賛同することも助けることも出来なかった。

彼女が兄を悪い道に引きずりこむ存在だと思い、受け入れられなかった。

その息子の藍忘機が同じ轍を踏むことは避けねばならない。

藍啓仁は、ずっと、そう思っていた。


だが、魏無羨が不夜天の崖から消えてから十数年間。
そして、再び現れてからの魏無羨と傍にいる藍忘機を見て、かつてとは違う想いが生まれた。


…二人は、兄たちとは、違う道を歩める。
それを助ける者たちが、彼らの周囲にいる。私も。

……だから。


「魏嬰。私は、おぬしに作法と礼儀を教える。さらに、どこに出ても戸惑うことが無いように、一般教養を身につけてもらう」

藍啓仁の言葉に、魏無羨がコクリと頷いた。

「ただし、今度中途に投げだせば、二度と教えない」

「はい」

真面目に返答した後、魏無羨は、藍啓仁に揖礼した。

「よろしくお願いします。先生」

「…うむ」


顔を上げた魏無羨の真剣な眼差しを見た藍啓仁は、今度は安堵の吐息をもらし、顎髭を手で撫でた。


「心して学びなさい」



―――――忘機の為にも。



こうして。魏無羨と藍啓仁との約束が締結される運びとなっていたのだった。


魏無羨は、藍忘機に藍啓仁との対談の話を詳しく語らなかった。

藍啓仁もまた、藍忘機にその内容を漏らすことはなかった。

ただ、魏無羨が藍忘機に講義を受ける話を打ち明けた後。
藍忘機から、「『私と魏嬰は“伴侶の契り”を結んだ道侶だ』と、叔父に話した」と告げられた。


…じゃあ、おっさんは、もう俺達の関係を知ってるってことか。


魏無羨は、心の中で、『道侶』の言動に頭を抱えた。

藍忘機は、普段、無口で慎重だが、行動力は抜群で、一人で先走る傾向もあることを魏無羨は知っていた。

…身内に隠し事せず、堂々と伴侶を気遣う、藍湛の行動は、実に男らしい。

だけど。俺は。

今度、おっさんの講義を受ける時、いったい、どんな顔して部屋に入ればいいんだ_?


やましいことなど何もないという自負で、どこまでも清らかな瞳を魏無羨に向けている藍忘機。

魏無羨は、その美しい藍忘機の顔に見惚れながらも。
まだ始まってもいない藍啓仁の講義を『前途多難』と、自嘲した。




(「水路の琴、山路が笛」2話のカットシーン終わり)



(追記補足)冒頭部分と、2話でアップした箇所の文章が、微妙に異なっています。

今回アップしたカットシーンは、元の小説からカットし、修正する前のものです。

当初あった二次小説データ(2年前書いていた)では、二人のこのシーンの会話は、「幽邃境」ではなく、「静室」で行われていました。

ブログ更新の前に、いろいろなシーンをカットし、小説を構成したことで、文がかわった箇所があります。



【カットシーン、あとがき】


長編の二次小説を創作し、構成の段階で、書いた箇所をカットすることが度々あります。

このエピソードは、3年前につくったプロットには存在していて、すでに一部書いていながらも「水路の琴、山路が笛」から、みつばがカットしたエピソードです。

もともと「水路の琴、山路が笛」は5話くらいの長さでしたが、それらをカットし、3話にまとめています。

会話の中で魏無羨が藍忘機に、藍啓仁の講義の話をさらっと語っていて。

まるで、自分が決めたみたいな雰囲気になっていますが、当初のプロットでは、藍啓仁から魏無羨に、このように打診された話になっていました。

つまり、学習にやる気になっている魏無羨は、藍忘機の兄にはお願いしたものの、藍啓仁からも講義を受けるのは想定外だったという話。

3話としてまとめるには、魏無羨と藍啓仁との対談シーンは必要ないと判断し、二次小説をアップする時に、カットしました。

ブログにアップされていない、このようなカットシーンや没エピソードは結構あります。

ブログ中締めから、空白の5か月の間に、小説を全く書いていないというわけでは無く、10話ほどの文字数の二次小説を全ボツしています。

理由の一番は、みつば自身が、読み直して面白くないと思ったから。

読んでくれた人が、面白くないと感じたものでも、自分が好きならよいのです。
だけど、自分が面白くないのは嫌なのです(仕事創作はそうはいかないけど)

このエピソードは、右脳くんが途中まで書いていたもので、みつば自身は気にいっていたので、面白いかはともかく(笑)加筆修正して、今回アップしました。

このエピソードの続編が少しあって。
(2年前、スマホのメモ帳に書いていたもの)

1コマ漫画で更新しようかな。と考えていて、それは別の機会にアップします。


(以下、コメントレス的な話)


先日更新した、二次小説「月蝕光(序章)」の感想、コメントで送ってくださった方、ありがとうございます。

みつばの二次小説の更新を、長く待って頂き、お礼申し上げます。

二次小説のラストシーンに仕事が手につかなくなるほど、衝撃を受けられたとは、大変!取り急ぎ、大丈夫ですよ~と伝えたくてコメント書きます。

…みつばの二次小説シリーズの中で、これより未来の話が更新されているので、結末、藍忘機は、そんな深刻なことになっていません。(「月蝕光」の中ではなってますけど(汗))

「序章」の続きが気になる方が多いのなら、2話まで出すか?とも考えましたが、2話のラストは、よりシリアス展開の途中で「つづく」となっている話なので、アップ出来ません。

更新するなら、「月蝕光」全話を一気にアップしないと。

そして、「月蝕光」をアップするなら、その前に「常春の庭」をやっぱり更新しておきたい。

他にも「天に楼閣を描く鳥」完結。
道侶編よみきり。裏箱読み切り。四神編の短編2つ。温宗主の出る番外編話…。

二次小説活動辞める前に、これだけはブログにアップしたいっ。とか、みつばが考えていただけでも、結構な量があります。

続きをアップ出来るのが可能でも、早くとも半年後くらいになるので、それまで、悶々とされないように(←悶々とさせたのは、みつば)

1つ言っておくと。

「陳情令」二次創作、1コマ漫画劇場の中の「藍ぢゃん日記04」は、「月蝕光」の中の1シーンです。

裏箱記事、「藍ぢゃん日記04」の中に、「これは、「常春の庭」の続編の1シーン」と書いているはずなのですが、それが「月蝕光」のことです。

この、ほのぼのしたシーンが、「月蝕光」のエピソードの1つだとしたら、安心しますか?

「月蝕光」は衝撃的な出だしですが、途中、裏箱記事(大人話)も出没するくらいなので、安心してください。

みつばも藍ちゃん好きなので、妄想とはいえ、ひどい目に合わせる気はないです。(ドラマ版のラストの方(最初の動画配信版)で、魏くんを悲しませたので、少し苛めたい気分はありましたけど)

これで、これから仕事も手につきますね?♪←余計に気になります?

「忘羨」の二次小説。
今後は、何を先に更新できるか分かりませんが。

右脳くんが召喚できている間に、アニメ「魔道祖師」版、温宗主の話と、裏箱話は書きあげさせておきたい♪
たぶん、それは、全ボツにすることは無いと思う(笑)


ブログへのご訪問、コメント、拍手をおくってくださった方、ありがとうございます。

「陳情令」みつばの二次小説、今後もまだ読みたい。
没ネタでもカットシーンでもいいと言う方は、「白い拍手ボタン」を押してください♪

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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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