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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「水路の琴、山路が笛」(後編)【「逢月編」最終章】です。

二次小説を読む注意点、「陳情令」の他の二次小説も ←(以下、必読の注意書きです)
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


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「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。

※この小説は、「逢月編」シリーズの最終回です。

「続きを読む」からお入りください
(スマホで見ている方は、すでに小説が開いています)



水路の琴、山路が笛(後編)





魏無羨は、「はぁーーーー!?」という声をかろうじて飲み込んだ自分をほめてやりたいとさえ思った。

藍忘機が、兄の藍曦臣に自分たちのことを話すことは想定していたが、まさか、叔父の藍啓仁にまで、包み隠さず話してしまうとは想像もしていなかった魏無羨だった。

…話すとしても、時機というものは大切だ。

昨日、雲深不知処を留守にしていた藍啓仁に、今朝会って挨拶することは知っていたけど、旅行から戻って早々に打ち明けるとは。

“『伴侶の契り』を結んだ道侶”なんて、最もらしい言葉だけど、捉え方によっては、『私たちは、肉体関係を持った間柄になりました』と、告白したようなものだぞ。

・・・やはり、藍湛は藍湛だ。

身内に隠し事は出来ない。
それは、いいことだと思う。それでこそ藍湛だ。

「そうか。話したのか」

魏無羨は、内心の動揺をおさえ、全く気にしてないという素振りを見せた。

「それで、先生の反応は?何か言った?」

「叔父は何も言わなかった」

「……」

…言わなかったんじゃなくて、言えなかったんじゃないのか?、と魏無羨は思った。

…きっと、衝撃のあまり、おっさんは、声を失ったのだろう。
いや、思考回路も破壊されたのかもしれない。
もしくは、心臓を一瞬止めたか。
または、あまりの事に、自分の耳がおかしくなったと思いこもうとしたのかも。

しかし、藍湛がそんな話をしていたのに、俺と会って話していた時、おっさんは、この件に何も触れなかった。

そうだ。きっと一時的に記憶を失っていたんだな。

いずれ、おっさんが、藍湛の話を思い出したら、今度こそ俺は、罰をくらうことになるのだろう。


「よし。わかった!」

魏無羨は、ポンっと手を打った。

「戒鞭を受ける覚悟は出来ている」

「戒鞭は無い」

「じゃあ、戒板か?」

「罰は無い」

「俺は、雲深不知処から追放される?」

おずおずと尋ねた魏無羨に、藍忘機はかぶりを振った。

「そんなことにはならない」

「いや、でも……」

「君は、私の道侶だ。ならば、私のそばにいる」

「藍家重鎮の叔父さんと藍家ゆかりの者達の意見は?」

「関係ない。君と私の話だ」

藍忘機がきっぱりと言った。

「……」


…おそらく、藍湛のお父さんもこうだったのだろう。

魏無羨は薄っすらと想像した。

結婚に大反対したでだろう、弟や親族、藍氏の重役たちの意見をおしきってというより、ほぼ無視し、後に沢蕪君と藍湛のお母さんになる女性を雲深不知処に連れてきて、強引に「伴侶」とし、静室に住まわせたのだろう。

魏無羨は、静室の前で、藍曦臣が自分たちの母親と父親のことを話してくれたことを思い出した。

『魏公子は、父が母にしたことを、どう思われますか?』

正しいか、正しくないなど、誰が決められよう。

それは、あの二人の話だった。

そして、これは、確かに、藍湛と俺の話だ。

「俺は、藍湛のそばにいたい。
この先、何があっても。そう思ってる。ただ…」

魏無羨が言った。

「“朱に染まれば赤くなる”というけれど。
俺は、藍湛と交わったからって藍色(藍家)に染まらないかもしれない。それでいいか?」

この先もずっと共にいたいからこそ。
心の内が分かっていても、互いの認識を確認しておきたい。

魏無羨は、そんな気持ちで藍忘機に尋ねた。

「ん」

藍忘機が頷いた。

魏無羨は、ほっと息をつくと、藍忘機に笑顔を見せた。

そんな魏無羨に藍忘機が言った。

「魏嬰。君に話しておくことがある」

…藍湛が、おっさんに俺たちのことを話したこと以上に衝撃的な内容では無いだろう。

そう思いながら、魏無羨は「うん」と神妙な顔で頷いた。


「仙督就任式の日取りを決めた。来年の芒種(ぼうしゅ)、吉日にする」


※芒種(ぼうしゅ):6月初旬~中旬。

…緑が青々と茂り、生物が活気づき、世の中が明るい光に満たされる季節。

「そうか。いい時期だ。枇杷も美味しく実っている頃だろう」

…そして、藍湛の『仙督』としての準備も万全に整っていることだろう。

魏無羨は、そっと己の腹部に手をあてた。

――― 俺の金丹も、その日までに結実させたい。

決意を胸に秘め、魏無羨は、藍忘機に笑いかけた。

魏無羨の笑顔に、藍忘機も優しい表情を浮かべた。

二人の道は、決まっていた。
そして、それは、今、同じ場所にある。


「雲深不知処に戻ろう。藍湛。俺、腹が減ったから、食堂に夕食を取りに行きたい」

「私は、新しい風呂桶を取りに行く」

「風呂桶を運ぶのは、含光君に任せた。
今夜の食事の献立と新しい風呂桶は、どんなかな?楽しみだな」


―――余談になるが。

この夜、静室に運ばれた雲深不知処の食事の献立も、新しい風呂桶も、昨夜とほとんど変わらないものだった。

刺激の無い、味付けの薄い精進料理に、
大の男二人で入れば、隙間が出来ないほどの風呂。

それでも、魏無羨は、満たされていた。

風呂に入り食事をした後、
酒を飲み、庭園を眺めながら、藍忘機の奏でる琴の音を聴く。

それから、藍忘機の淹れた茶を飲み、座卓で語り合う。

言葉を交わした後は、寝所に移り、
藍忘機と体を重ね、今度は愛を交わし合った。

帰る家があり、好きな酒があり。
愛しい者がそばにいる。


こうして、その夜も。

魏無羨は、藍忘機の胸の上で甘い吐息をついた後、
藍忘機の口づけを就寝の合図にし、静室の寝所で眠りについた。


――――- 安らいだ眠りの中で、魏無羨は夢を見た。


蓮の花が咲き乱れた湖。

その中央まで伸びた桟橋の先には、四阿(東屋)があった。

四阿は、昔、魏無羨が雲夢に住んでいた頃。
よく江澄(江晚吟)と師姉の江厭離と遊んだり、菓子を食べながら話したりした場所だった。

四阿の中の円卓を囲み、魏無羨は、江澄と江厭離と座り、蓮の実を食しながら、楽しげに話をしていた。

夢の中で、江澄と江厭離は、十代の頃の姿で、魏無羨も少年になっているようだった。


「師姉。江澄の奴、気になる女の子がいるんだってさ」

「おいっ。魏無羨。姉上に嘘を吹き込むな」

「嘘じゃない。江澄。お前、街で会った娘が気になる、と話していたじゃないか」

「それは……。うるさい。お前はどうなんだよ。魏無羨。あちこち声をかけているのに、特定の者はいないのか?」

「まぁ。阿羨は、そんなにあちこちの女の子に声をかけているの?」

「師姉。ただの友達だよ。おい。江澄。余計なこと言うなよ」

「ふん。姉上と父上に、普段の素行を暴露されたくなければ、お前こそ、口を慎めよ」


「何を暴露すると?」

第三者の声に、3人が一斉に振り向いた。

いつのまにか、四阿の中に、江楓眠と、虞紫鳶が立っていた。

魏無羨は、虞紫鳶の姿にギクッと体を硬直させたが、珍しく機嫌が良いのか、虞紫鳶は穏やかな微笑みを浮かべていた。

その瞳は、いつも優しい江厭離にそっくりに感じられた。

現実の記憶の中で、魏無羨が虞紫鳶から、このような顔を向けられたことは無い。

それでも、夢の中では、当たり前の光景として、懐かしい気持ちに溢れた魏無羨だった。

「おじさん。いえ、師匠。俺は何もしていません」

「本当か?」

「はい。つまらないほど大人しくしています」

「そうか。そんなに退屈であれば、姑蘇藍氏に行って、修行をやり直してくるといい」

「嘘です。いえ、冗談です。とても充実した日々を送っています。俺は、ここがいいです。どこにも行きたくありません」

ハハハハと、その場にいた者たちが全員笑った。

「阿羨」

江厭離が呼んだ。

「あなたに、お友達が来ているわ」

「え?」

振り返った魏無羨の目に、桟橋の上で佇む、白い衣の者が映った。

「藍湛!」

魏無羨は、立ち上がると、勢いよく四阿から飛び出した。

走って近づくと、やはり、それは、藍忘機だった。

「藍湛!来てくれたんだな!」

魏無羨は、嬉しくなって叫んだ。

「江澄。師姉。おじさん、おばさん。藍湛だ。藍湛が来てくれた!」

走りながら振り返って言った魏無羨は、そこで、はたと足を止めた。

振り返った先。そこには、四阿が無かった。

4人の姿も無い。

ただ、広い湖一面に広がる蓮の花と花托が揺れている。

……みんな、どこにいったんだ?

夢の魏無羨は、呆然となって、目を凝らした。

だが、なぜか、心の内で理解していた。


これは、夢で。
現実の世界では、もう、彼らは、自分のそばにはいないのだと。

江楓眠と虞夫人。師姉は、もうこの世には、おらず。
江澄も、離れた地で暮らしている。

―――だけど、せめて、夢の中では、ずっといて欲しかった。

魏無羨の胸の内が溢れる寂寥感に押しつぶされそうになった時。

「魏嬰」と、後方から、魏無羨を呼ぶ声が聞こえた。

魏無羨が藍忘機の方を見ると、藍忘機は少年期の藍忘機ではなく、今の姿で佇んでいた。


「藍湛。どうしたんだ?なぜ、ここに?」

「君を迎えにきた」

夢の中の藍忘機が言った。

よく見ると、藍忘機の後ろに、藍氏の門下生たちも立っていた。

藍思追、藍景儀。そして、若い弟子達。

「魏先輩。早く行きましょう」

藍景儀が言った。

「行くってどこに?」

「決まっているじゃないですか」

呆れたような藍景儀の言葉をついで、藍思追が「雲深不知処に」と言った。

「ああ…。だけど、俺」

魏無羨は、右手の中の『陳情』に目を落とした。

「先に行っていてくれ。俺は、後から行く」

仙剣で飛べない俺は、水路を渡り、陸路を歩いて行くしかない。

「じゃあ、早く追いかけてきてくださいね。みんな待っていますから」

そう言って、藍思追と藍景儀を先頭に、藍氏の弟子達は、仙剣に乗り、飛んでいった。

残された魏無羨は、そばに立っていた藍忘機に顔を向けた。

「藍湛も先に行ってくれ」

「共に行く」

「藍湛の仙剣に乗っていくわけにはいかない。俺は藍湛の負担になりたくない」

「魏嬰。君は私の仙剣には乗らない」

藍忘機が、スッと手をあげ、魏無羨の左手の方を指さした。

・・・・・・え?

魏無羨の左手に、仙剣、『随便』が握られていた。

「君は、もう、一人で飛べる」

魏無羨は、おずおずと、『随便』の鞘を抜いた。

『随便』の刀身が輝き、魏無羨の霊力が反応しているのが分かった。

「藍湛。俺は……」

当惑しながら顔を上げた魏無羨の前で、藍忘機が手を差し出していた。

――― 魏嬰。共に行こう。

「…好(うん)!」


魏無羨は、『避塵』に乗った藍忘機の手を取ると、飛行術を発動させ、『随便』に飛び乗った。

スッと浮いた仙剣の上で、魏無羨は、藍忘機と肩を並べた。

魏無羨は、藍忘機と微笑み合うと、一気に上昇した。

魏無羨が乗った仙剣は、どこまでも青い空に吸い込まれるように上がっていき、遥か下に広がる蓮湖を見下ろした。

魏無羨は、体の横を吹き抜けていく、空の風を感じた。

そして、握り合っている藍忘機の手の温もりを覚えながら、
まっすぐに前を見つめ、その先に向かって飛んだ。


――――――魏無羨から一筋の涙がつたった。


魏無羨が目を開けると、静室の天井が見えた。

流れている琴の音と共に、開いた窓から竹林の揺れる葉音が聴こえる。
部屋中に満ちた清廉な白檀の香りと、爽やかな早朝の空気、そして、水と木々の匂い。

魏無羨は、藍忘機に初めて静室に連れてこられ、目覚めた時のことを思い出した。

長い夢のような過去を思い出し。
そして、それが全部夢で無かったことを知った日のことを。

あの時の既視感ともいえる感情。

だが、あの時とは違う。

「魏嬰」

魏無羨が目覚めたことを知った藍忘機が、琴の演奏を止め、魏無羨が起き上がった寝所に歩いてきた。


魏無羨の頬をつたう雫に藍忘機が気づいた。

寝台の上。魏無羨のそばに腰をおろした藍忘機は、指で魏無羨の涙を拭った。
そして、気づかうように、魏無羨の手にそっと己の手を重ねた。

「夢を見たんだ」

魏無羨がぽつりと呟いた。

「悲しい夢か?」

「ううん…」

魏無羨が、藍忘機の手を握り返した。

藍忘機の手は、魏無羨が見た夢の続きのように、頼もしく、そして、温かかった。

「いい夢だった」

魏無羨がにっこりと笑った。

…とても、いい夢だった。


「おはよう」


見つめ合い、微笑み合った魏無羨と藍忘機を、
朝のやわらかな陽光が包み込んだ。


―――その日の午前。

魏無羨は、藍氏の弟子達と共に、外の民に依頼された闇狩りにむかう予定だった。

遠出の為、数日は泊まりとなる可能性がある闇狩り。


待ち合わせの時間通り、雲深不知処の結界門の前に向かった魏無羨は、すでに集合していた藍氏の弟子たちに迎えられた。

「先輩、今日は遅刻しませんでしたね」

いつものごとく、歯に衣着せぬ物言いで指摘する藍景儀を、魏無羨は、じっとりとした半目で見つめた。

「お前に、夢の中でも、せかされたからな」

「僕が、先輩の夢に出てきたのですか?一体、どんな夢だったのですか?」

「私も夢にいましたか?」

横にいた藍思追も、他の弟子達も興味深々の顔をのぞかせた。

一斉に魏無羨を見つめる若い弟子達の瞳。

それは、今も、魏無羨の記憶の中にある雲夢の蓮湖が、日の光を浴びて煌めく様に似ていた。

魏無羨が目を細めた時。

弟子の一人が、「あ、含光君さま」と声を発した。

魏無羨が振り向くと、高台の上に藍忘機が立ち、こちらを見ていた。

「私たちを見送りに来てくださったのでしょうか?」

藍思追の言葉に、魏無羨は「そうだな」と頷いた。

「含光君!」

魏無羨が陳情を持った手を掲げると、藍忘機に向かって手を振った。

「行ってくる」

魏無羨の声が聞こえたのか、藍忘機が小さく頷き、そして、そっと片手を上げた。

含光君が、誰かに手を振るところを見たことなど無かった弟子達は、目を丸くした。
そして、藍思追以外、木漏れ日のせいで錯覚を見たのだと思った。

藍忘機は、魏無羨と弟子達が、雲深不知処の結界門を出るまで、その場に佇んでいた。

やがて、魏無羨の黒い背と紅い帯が見えなくなった頃、藍氏の重役の一人が藍忘機の元に現れ、姑蘇の街を騒がせている怪奇現象を報告した。

「東方の水路に出現した物の怪が暴れ、舟で商いをしている者たちを困らせているとのことです。いかがいたしましょう?」

「私が行く」

藍忘機は、重役に指示を出すと、集まった数人の門下生達と共に雲深不知処を出て、報告のあった場所に向かった。

街の水路についた藍忘機は、舟に乗り込み、琴の『忘機』を取り出した。
それから、ゆっくりと流れる舟の上で、物の怪のあらぶった気を静める曲を奏でた。

藍忘機と共に来ていた藍氏の門下生たちは、藍忘機の琴の音を聴いた物の怪の気配が、とたんに静まっていくのを感じていた。

藍忘機が、ふと視線を上げた。

水路で楽器を奏でているのは、藍忘機一人のはずだったが、別の音が聴こえたような気がした。

しかも、それは、遠くの山に闇狩りに行ったはずの魏無羨の『陳情』の笛の音だった。


―――同じ頃。

闇狩りの地に向かう途中。
藍氏の弟子達と、山の中腹に広がる高原で休憩していた魏無羨の耳に、どこからか琴の音が届いた。


……藍湛?


周囲を見渡せど、藍忘機の気配はない。

「魏先輩、どうされました?」

魏無羨の様子に気づいた藍思追が、不思議そうに声をかけた。

琴の音は、耳の良い藍思追にも聞こえていないようだった。

魏無羨は、小さく首を振ると、立ち上がり、陳情を取り出した。
そして、前を向き、笛を奏で始めた。


―――― 今はここにいない、愛しい者にも届くように。


そんな想いを込めた調べ。

魏無羨の笛の音は、山間に響き渡り、青い空に溶け込むように流れていった。

藍忘機氏の弟子達は、うっとりとした表情で、魏無羨の笛に聴き入っていた。

「いい曲です」

笛をおろした魏無羨に藍思追が言った。

「聞いていたら、疲労がとれ、体が軽くなった気がします。
なんという曲だったのですか?」

「“澄身抄”。含光君が作った曲だ」


魏無羨は、遠くに見える山と空を仰いだ。

流れた風に、長髪と紅い帯が、ふわりとなびき、
露わになった耳に、再び、藍忘機の琴音が届いた気がした魏無羨だった。


「さぁ。そろそろ行くぞ」

魏無羨が、声をかけると、休んでいた藍氏の弟子たちが、起き上がった。

「妖魔なんぞ、軽くひねって、さっさと雲深不知処に帰るぞ」

魏無羨の言葉に、弟子たちは微笑し、近くの者たちと顔を見合わせた。

他の仙家の仙師たちが、束になっても適わず、お手上げだと言われ、藍氏に持ち込まれた闇狩り依頼。

含光君がいるなら、どんな闇狩りも大丈夫。
藍氏の弟子達は、そう信じていた。

そして、今は―――。

「魏先輩が言うなら、本当に、そうなる気がします」

そう答えた弟子に、魏無羨は笑って、「俺とお前たちがするんだよ」と言った。


どんなに遠く離れても、消えない絆。
そして、互いへの強い信頼。

藍忘機への深く大きな想いを胸に。


希望の光に満ちた瞳で見つめる未来の先。

そこには、一点の曇りもない、魏無羨の澄み切った笑顔があった。





(「逢月編」終わり)





【あとがき】

※「山路が笛」とは、山にいる男が、恋する者に向けて吹く草笛(笛)のこと。
詳しく知りたい方は、検索でお調べください。

ドラマ「陳情令」を基盤にした、みつばの二次的妄想小説。
忘羨の二人が、心身共に結ばれ、絆を深める章、「逢月編」シリーズ、完結です。

原作小説「魔道祖師」の話の流れ、設定とは外れています。

ドラマ「陳情令」はBL要素を抜いた、ブロマンスドラマだったので。
ドラマの続編として妄想したみつばの小説は、原作設定を取り入れながらも、別の物語になっています。

すでに更新済の、その後に続く、「道侶編」シリーズの読み切り話は、
「魔道祖師」の番外編にあたる話として読めるところもあります。

ようやく、過去と未来の話。
二次小説シリーズ中にちらばせた伏線を回収し、大方の物語が繋がりました。

今後のブログのこと。
今後の「陳情令」二次小説シリーズの更新については、後日の雑記で発表させていただきます。

ひとまず。2年半続けたみつばの「陳情令」二次小説シリーズを、ここまで読んでくださった方にお礼を。

ありがとうございました!!


(お知らせ)

コメント欄より、コメントを送ってくださった方、ありがとうございます!

20日までに頂いたコメントに返信を書く予定ですが、
現在、体調を崩している状態です(もう、最後の最後まで、こんな感じですみません(涙))
コメントは、複数まとめてお返事することになるかもしれませんが、ご了承ください。

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