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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「燈凉し-ひすずし-」(後編)です。

二次小説を読む注意点、「陳情令」の他の二次小説も ←(以下、必読の注意書きです)
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


コメント欄は、二次小説記事の下方にあります。
コメント記入に関しての説明は、こちらから。

「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


★この物語は、「裏箱」で更新した1コマ漫画「むだ風呂」の小説版。
「道侶編」シリーズの物語となります。


現在、更新中の「逢月撤灯」より、1年近く未来の話。

時間軸だと、「道侶編」では、「永遠の愛」の前。
また、番外編の「秘伝のレシピ-雲夢編-」あたりです。

【注意】この二次小説には、BLの大人向け描写が含まれています。
自分は精神的に大人だと思える方のみ、「続きを読む」から読んでください。


「続きを読む」からお入りください




燈凉し(後編)





昼間、雲深不知処の中で響いていた蝉の大合唱も今は止み、
夜の『静室』の中で、虫たちの輪唱が風流な庭先から聞こえている。

風呂桶の縁にもたれた魏無羨は、虫たちの美しい羽音と、藍湛の自分の髪に触れる手に
恍惚とした表情になって吐息をついた。

「藍湛。今日、弟子達と一緒に行った“雲夢”近くの闇狩りの後、偶然、金凌に会った」

ようやく、人心地ついた魏無羨は、
水風呂の中で、藍忘機に日中あった出来事を話しだした。

金凌は、これから雲夢江氏の領地、“蓮花塢”の叔父の所に行くと話した後、
魏無羨を意識し、チラチラ横目で眺めながら、遠慮がちに「お前たちも一緒に行かないか?」と藍氏の弟子達に声をかけていた。

「まだ遅い時間では無いので、われわれは、今日は雲深不知処に戻ります」と、
一行を代表して、藍思追が金凌の誘いを丁寧に断ると、金凌は、「今度近くに来た時は、遠慮なく寄っていいからな」と、魏無羨の顔を見て言った。


「…金凌は、まるで“蓮花塢”の第一若様だな」

それは、藍忘機に同意を求めたというより、魏無羨の独り言のようだった。

黙って聞いていた藍忘機は、魏無羨の嬉しげな声の響きを感じ取り、そっと微笑を浮かべた。


『静室』の夏庭に穏やかな時間が流れている。

魏無羨が煩わしいと感じていた暑さは今は無く、
釣り灯篭たちの明りも、涼しげに見えはじめていた。

水風呂の冷たさで、さっぱり涼んだ魏無羨は、
風呂桶を出て、今度は、風呂上りの酒を求めて部屋に入った。

裸のまま酒を口にした後、
ふと寝所の方に顔を向けた魏無羨の目にいつもと異なる景色が飛び込んできた。

寝所の天井から白い蚊帳が吊り下げられ、寝台を覆っている。

「蚊帳だ」

魏無羨は、目を輝かせると、藍忘機の準備してくれていた夜着替わりの内衣も着ずに、
寝所の方に駆けだし、蚊帳の中に飛び込んだ。

薄く、手触りの良い、紗(しゃ)の蚊帳は、見るからに涼しく感じる夏の風物詩だった。

「藍湛、さっき、風呂に入る前に、これをつけてくれていたんだな?」

藍忘機が小さく頷いた。

…今夜の暑気では、一晩中、窓と戸を開けて寝ることになる。

そんな見越しで、藍忘機が風呂に行く前に蚊帳を準備していたのだった。

「魏嬰、衣服を」

藍忘機が、魏無羨の夜着を手に蚊帳に近づいた。

「それ、今着る必要ある?」

魏無羨が悪戯っぽく言うと同時に、寝所近くの燭台以外、『静室』内の明りが全部消えた。

魏無羨が術を使って、灯りを消したのが分かっていた藍忘機は、
落ち着いた所作で、蚊帳の中に入ってきた。

「君は虫に刺されやすい」

先ほど、風呂の中で、
魏無羨の肌に虫刺され痕を見つけていた藍忘機が言った。

「蚊帳の中にいれば、虫は来ない」

魏無羨は、クスクスと笑うと、寝台に上がった藍忘機ににじり寄った。
そして、藍忘機の首に両腕を巻き付けると、吐息がかかるほど顔を近づけた。

「藍湛、俺、蚊帳が好きなんだ。秘密基地みたいで」

子どものような無邪気な声で魏無羨が言った。

「昔は、夏の寝所に蚊帳をつけられると嬉しくて眠れなくなった。
遅い時間まで同室の奴と中ではしゃいでいたら、師姉がたしなめに来た。
でも、結局、彼女も一緒になって遊んで、おじさんが、おばさんを気にしながら、注意しに来た。それで、おじさん…師匠が、蚊帳の中で、俺達が眠るまで、よく話をしてくれた」

魏無羨の言う、同室の奴というのは、
今は、雲夢江氏の宗主である江晚吟(江澄)のことだと、藍忘機には分かっていた。

最近になって、魏無羨は、過去の思い出話を、明るい表情で藍忘機に語るようになってきていた。

“蓮花塢”で生きていた時の記憶を楽しげに話す魏無羨に藍忘機は微笑んだ。

「どんな話を?」

魏無羨を両足の上にのせた藍忘機が尋ねた。

「…いろいろ」

フッと笑みを浮かべながらも、魏無羨は半眼になった。

「おとぎ話とか、大昔の仙界の伝説とか。論語の類の時は、俺は、すぐに寝たから覚えていないけど。それで、俺達が大きくなっても、蚊帳の中で師匠の話を聞くのが、夏の定番行事みたいになっていた。夏の夜は長くて寝苦しい。でも、いつも待ち遠しい時間だった」

「……」

魏無羨が話し終えた後、

『静室』の中で、しばしの間、声が止み、外からの虫の音しか聞こえなくなった。

回顧する魏無羨の中で、切ない気持ちが満ちる前に藍忘機が口を開いた。

「魏嬰、君が望むなら」

魏無羨が顔を上げて、藍忘機を見た。

「これからの夏の夜は、蚊帳の中で、私が毎日、君と論語を語ろう」

そう、真面目な顔で言う藍忘機に、魏無羨が、プッと噴き出した。

「藍湛とは違うことをしたい」

朗らかに言って、笑顔に戻った魏無羨が藍忘機に抱きついた。

そして、藍忘機の耳元に唇を寄せると、艶を含んだ声で囁いた。

「俺を、すぐに眠れるようにしてくれ。藍二哥哥」

「……」


どんなに強い幻術で惑わす妖であろうとも、即はねつけられる含光君も、
一糸まとわぬ姿を押し付け、誘惑する魏無羨を拒む術は無かった。

藍忘機が、蚊帳の入口を合わせると、

魏無羨の朗笑と、藍忘機の夜着を脱ぐ衣擦れの音が、寝所の空間の中に閉じ込められた。



―――やがて。


蚊帳の中で営まれた二人の蜜事が一段落すると、
『静室』の音は、微かに漏れる荒い息遣いのみとなった。

そして、軽く口づけを交わす音の後、

蚊帳の紗(しゃ)が揺れ、中から魏無羨の腕が、にゅっと寝所の外につき出た。

燭台の明りに照らされた寝台の上で、
魏無羨と藍忘機が抱き合って横たわる姿が浮き上がった。

蚊帳の中は、秘め事の行為のせいで熱気に蒸され、
衣服を着ていない二人の体は全身汗にまみれている。

それにもかかわらず、藍忘機の手足は、まだ魏無羨の体に絡みつき、
寸分の隙も無いほど密着していた。

美しい白雪のように。一見、冷たく見える藍忘機の肌だったが、
今は、炎で鍛え打った鋼のように熱を発している。

そんな藍忘機から “激しい愛情表現”を、その身に受け続けていた魏無羨は、
さすがに白旗を上げ、藍忘機の熱い腕の中で声を絞り出した。

「…藍湛。あつい…。もう一回、水風呂に入ろう?」

「ん…」


こうなることも分かっていて、すでに先をよんでいたのか。

いつもは、風呂桶をすぐに片付ける藍忘機が、
先ほど入った水風呂に蓋をして、そのままの状態で濡縁に置いていた。


こうして。

魏無羨は、本日、2度目となる水風呂の中に藍忘機とつかりながら、
冷水で、全身についていた自分と藍忘機の汗を洗い流した。

「藍湛~」

藍忘機も、本日、2度目となる魏無羨の洗髪をしながら、
魏無羨の苦笑交じりの呼び声を聞いた。

「見てよ、これ。蚊帳をしていても、こんなに沢山吸われた」

そう言って、魏無羨が己の体を指さした。

魏無羨の肌に赤い斑点が、いくつも散っていた。

おそらく、魏無羨が目視出来ない箇所にもついていることだろう。

それが虫の仕業で無いことは、見た藍忘機にも、言っている魏無羨にも分かっていた。

「蚊帳の中にも虫がいたんだな。
でも、この虫は夏だけに出没しない。年がら年中、『静室』に出るやつだ」

ニヤニヤしながら魏無羨が言った。

「藍二蚊子」

魏無羨のからかいを素知らぬ顔で聞き流した後、藍忘機が口を開いた。

「風呂から出たら、すぐに眠れそうか?」

遠い、夏の夜の記憶。
蓮の花が咲く季節の、家族たちとの思い出。

その過去への感情を包み込むような藍忘機の声が、魏無羨の中で優しく沁みた。

「うん…」

魏無羨は、水風呂の中で、藍忘機の体に甘えるように寄りかかった。

「藍湛が、蚊帳の中で、俺が眠るまで話をしてくれるなら」

「では、論語を」

冗談では無く、本気で提案している藍忘機に、
魏無羨は、「ぐ~…っ」と、寝たふりをして目を閉じた。

そして、すぐに目を開けると、ぽつりと言った。

「なんだか急に、生の蓮の実が食いたくなってきた」

「共に行こう。雲夢に」

そう返した藍忘機に魏無羨は、フッと口角を上げた。

「藍湛。雲夢で俺が言ってたこと、覚えてた?」

「むろんだ。“あの時”約束した」

…君との約束は必ず守る。

力強く頷いた藍忘機の顔を、魏無羨が見あげた。

夏の残り日のような、
とろりとした蜜色の双眸が魏無羨を愛しげに見つめている。

「うん!」

魏無羨は嬉しそうに頷くと藍忘機に笑いかけた。

それは、煌めく夏の木漏れ日のように明るい笑顔だった。


「藍湛、いつ行く?」

「明日にでも」


空には、北斗七星が輝き、
地では、虫たちの美しい調べが流れている。

濡縁上の灯篭の淡い光が、
微笑み合った後、口づけを交わす魏無羨と藍忘機を照らしていた。


これは、『静室』の、
―――ある暑い夏の夜の出来事。




(終わり)





1年ほど前、「裏箱」で更新した1コマ漫画、「むだ風呂」の小説バージョンでした。

大人表現を抑えているので、表で更新しました。

また、この話とリンクする二次小説が別にあるのですが、現在は未公開状態です。
今後、更新出来たときに、記事にリンクつけます。

その他、詳しいあとがきは、また後日にでも。


コメント欄より、小説の感想コメントを送って下さった方、ありがとうございます!

また、初めてコメントを書いてくださった方も、嬉しいです♪

「魔道祖師」アニメのキャライメージで二次小説を楽しんで頂けているなら良かったです。
「陳情令」は未視聴とのこと。ぜひ、機会があれば、ご覧ください。
設定等、原作と異なる点もありますが、過去の話の流れをまとめて見られるので分かりやすいです。
イケメン、美女がいっぱい出ます。ドラマ版のおすすめポイントを書くと小説より長くなるので、このへんで(笑)
また、あとがきの方で、謎等のお返事書かせていただきます。(みつばの知っている範囲ですが)

昨日(8月7日)から、とうとうアニメ「魔道祖師」の完結編がスタートしたようですね。
みつばは、予告カットをいくつか見たのですが、原作、ドラマとは、また違ったエピソードがあって。
萌えシーンも多そうでした♪これは、楽しみです。その話も、長くなるので、また、あとがき雑記で(笑)

みつばの陳情令二次小説、読んで下さった方、ありがとうございました。

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