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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「燈凉し-ひすずし-」(前編)です。

二次小説を読む注意点、「陳情令」の他の二次小説も ←(以下、必読の注意書きです)
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


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とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


★この物語は、「裏箱」で更新した1コマ漫画「むだ風呂」の小説版。
「道侶編」シリーズの物語となります。


現在、更新中の「逢月撤灯」より、1年近く未来の話。

時間軸だと、「道侶編」では、「永遠の愛」の前。
また、番外編の「秘伝のレシピ-雲夢編-」あたりです。


「続きを読む」からお入りください



燈凉し(前編)





「藍湛~。暑いよ~」


私邸『静室』に帰宅してから、
藍忘機は、すでに数度目となる魏無羨のボヤキを聞いていた。



ーーーその夜は、季節が夏に入ってから、一番の暑さとなっていた。

日が落ちた夜の『静室』にも熱が籠り、
窓と戸を開け放した部屋の中に入る風も涼しさに欠けている。

そんな『静室』の床の上に、魏無羨が、ぐったりと寝そべっていた。

藍忘機が、雲深不知処の仙督執務室『宵藍室(シャオランシ)』から戻った時。

灯りもつけずに床に伏せていた魏無羨に、
しばし「何事?」と足を止めていたが、

魏無羨がうつ伏せになったまま「暑い~」と呻きだすと、颯爽と横を通り過ぎた。

藍忘機が、静室の灯篭や燭台に次々と灯を入れていくと、
魏無羨は、「つけなくていいよ」と苦情を言った。

「灯をつけたら、暑さが増す」

「暗闇の中で食事をするか?」

藍忘機は、そう言って、
食堂から運んできた手提げ重箱に視線を向けた。

藍忘機の視線の先を追った魏無羨は、仕方がないという体で溜息をつくと、ものぐさげに起き上がった。

「暑すぎて、食欲無い」

「汁物だけでも飲みなさい」

「じゃあ、酒だけでいい」

すでに半分以上飲んでいた酒甕を振って魏無羨が言った。

そんな魏無羨に、藍忘機は重箱から小壺を取り出して座卓の上に置いて見せた。

…これ、何?という顔の魏無羨に、藍忘機は、「香辛料だ」と言った。

「使いなさい」

香辛料をかけた物を食せば、余計に体が熱くなる。
ただ、辛い物が好きな魏無羨なら食欲が増すだろう。

今日の暑さに、すでに魏無羨の動向を予測していた藍忘機が、
雲深不知処の厨房の料理人から分けてもらっていたのだった。

「うん!」

香辛料の小壺に飛びつき、
とたんに、にこやかな顔になった魏無羨に、藍忘機は微笑を浮かべた。


その後。

食欲は無いと言っていた魏無羨だったが、結局、食事を完食した。

通常、雲深不知処の中では、一人半年は持つ量の香辛料だったが、
魏無羨に、その日の夕食1回分で全て使われた。

軽く出た汗をぬぐいながら、魏無羨は満足気に箸を置いた。

「やっぱり、夏は、辛い物を食するにかぎる」

魏無羨のこの台詞を、「静室」の中で、秋にも冬にも春にも聞いていた藍忘機は、
ただ黙って、空の皿と器を片していた。

魏無羨は、モソモソと這いつくばって
座卓から離れると、先ほどいた場所に寝転がった。

『静室』の中で、比較的冷たく感じる板の間に
うつ伏せで四肢と顔をくっつけ、ジッとしているが眠ってはいない。

しばらくすると

魏無羨は億劫そうに起き上がり、喉の渇きをいやすため酒をちびちびと口にした。

それから、飲み終わった後は酒甕を床上に置き、
また、ひんやりとした場所を求め、ごろごろと転がっていった。

そんな魏無羨を尻目に、藍忘機は座卓の上に琴の“忘機”を出した。
そして、いつもと変わらない、まっすぐな姿勢で座し、ゆったりとした動作で琴の手入れを始めた。

魏無羨は、下方から藍忘機を目で追うと、
藍忘機の注意をこちらに向けさせるように、また「暑いよ~」と声をかけた。

魏無羨の声かけに「ん」と返事をしてはいたが、
藍忘機は、涼し気な顔で、表情を変えない。

ジッとしているだけでも、体と顔からじんわりと汗が噴き出ている魏無羨に対し、藍忘機の衣から出ている肌は滑らかに見えた。

魏無羨は、藍忘機のそんな様子を眺め、拗ねたように唇を尖らせた。

「藍湛。こんなに暑いのに、
どうしたら、そんなに普通にしていられるんだ?」

「無念無想」

端的に答えた藍忘機に、魏無羨は、「はあ~」と吐息をついた。

「さすが、姑蘇藍氏の藍二公子だ。
俺は、心頭滅却しても、夏は熱い。
そもそも、心頭滅却しない」

魏無羨は、ブツブツと文句を言った後、ゆっくりと上半身を起こした。

そして、歩くのも面倒だという体で這うように『静室』の濡縁に出ると、「ここの方が涼しそうだ」と寝転んだ。

魏無羨が濡れ縁に出ると、部屋は静かになった。

露台の真ん中に寝転がっている魏無羨の姿を一瞥し、
琴の手入れを続けていた藍忘機だったが、すぐに静寂は破られた。

「うわっ。蚊だ!」

藍忘機が視線を向けると、
ガバっと起き上がった魏無羨が、腕を振り回していた。

はたから見れば、一人で暴れてている魏無羨は、
かえって、体温を上げているように思えた藍忘機だった。

「そうだ」

魏無羨は、独り言で何か呟くと、腰帯から笛の陳情を取り出した。
そして、陳情を口にあてると、藍忘機も聴いたことの無い旋律を奏で始めた。

手を止め、不思議そうに見ている藍忘機に、
魏無羨は指を止めると、得意げな顔で「俺の作った新曲だ」と言った。

「虫が寄り付かない」

「そんな曲をいつ作った?」

「今、思いついた」

魏無羨は、再び唇に陳情を触れさせると曲を奏で始めた。

たしかに蚊は寄り付いてこないようだったが、
聴いていると、わずかに頭痛を感じる音色の変調に藍忘機は眉をひそめた。

「…魏嬰」

耐えきれずに声をかけた藍忘機に、同じ症状を自覚したような魏無羨が演奏を止めた。

「おかしいな。不快な虫は寄り付かなくなったけど、
俺の耳にも不快に聞こえる」

「この曲は、人にも害を及ぼす要素が含まれている」

冷静に藍忘機が言った。

「楽譜におこし、改良が必要だ。
完成するまで披露しない方がいい」

「うん、そうみたいだ」

素直に頷くと、魏無羨が、そそくさと陳情をおろした。

思いつきだけで、効果の出るものを、
瞬時に生み出す魏無羨の才は計り知れなかったが、
それゆえ、注意が必要なところでもあった。

へたをすると、“乱魄抄”のように危険な音楽を世に生み出してしまう。

「私も君の作曲に協力する。
だが、今は、家の中に入りなさい」

藍忘機が静かに言った。

静室の戸口の柱や窓の上には、虫よけ効果のある掛香(か けこう)が吊り下げてあった。

「うん」

藍忘機の言葉に、魏無羨はまた素直に従うと部屋の中に入ってきた。
そして、座している藍忘機の近くに腰をおろすと、藍忘機の肩にしなだれかかった。

姑蘇藍氏の衣は、通年、同じ白色ではあったが、
夏仕様で、サラリとした質感の物になっていた。

魏無羨は、そんな藍忘機の衣服の感触を愛おしむように
気持ち良さげに顔をすりよせた。

「いい感じだ」

魏無羨がうっとりと囁いた。

「藍湛の体はこうしていても全然熱くない」

言いながら魏無羨は、藍忘機の体に両腕を巻きつけると抱きついた。

「ひんやりして気持ちいい」

「……」

藍忘機の耳が赤く染まり、次第に体内の熱も上がり始めた。
それは、密着している魏無羨の体のせいでは無かったが、“原因”ではあった。

藍忘機は、くっついている魏無羨の背を後ろ手でそっと撫で、
魏無羨の顔を上げさせた。

「魏嬰、風呂を準備する」

「風呂?この暑いのに、熱い湯に入るのか?」

「水風呂にする」

「ああ~。いい考えだよ。藍湛。俺も手伝う」


藍忘機が運んで濡縁に置いた風呂桶の中に、
魏無羨が井戸から汲んできた水を満たした。

井戸水は、雲深不知処の冷泉の水と同じくらい
夏でもとても冷たく感じられる水温だった。

外気が暑いとはいえ、衣服を脱ぎ、風呂桶に入った魏無羨は、一瞬で凍えたように身をすくめた。

魏無羨は、風呂水の中でフルフル震えながら、
まだ部屋の中にいる藍忘機を待った。

しばらく待っていても、
なかなか部屋の中から出てこない藍忘機に魏無羨が不思議に思い顔を向けた時、ようやく藍忘機が濡れ縁に出てきた。

そして、魏無羨の前で衣を脱ぐと、風呂桶の中に入ってきた。

「藍湛、この水風呂は冷たすぎる。
“小冷泉”って名づけよう」

魏無羨は、水風呂の中でも藍忘機の体に寄り添うと、ひっついて言った。

「『イイこと』すれば、ちょうどいい水加減になりそうだけど、
今は縮み上がっているから無理だな。アハハハ」

藍忘機は、冗談を言いながらも震えている魏無羨の頭の帯をほどくと、その髪を冷水で洗い始めた。




(後編に続く)




1年前、更新出来なかった「むだ風呂」の小説バージョンを書き下ろしました。

(お知らせ)現在、ブログ更新時間は、不定期になっています。


ブログへのご訪問、ありがとうございました。
コメント欄にコメントを送ってくださった方、ありがとうございます!!

今年も3年前、藍忘機の姿を解きながら撮影所でバースデーケーキ食べるddの映像を見てしまいます。

ddの隣で、すでに着替えて、現代人に戻った魏無羨役のggも美味しそうにケーキ頬張ってます。

ケーキはその日誕生日主役のddが皆の為に切り分けていたもの。ggのケーキに飾りのチョコもつけるdd♪♪♪
「ありがと」って言うggに、嬉しそうににっこり微笑むdd。
並んで、一緒にケーキ食べていて。
「ケーキの中のタロイモ(?)が美味しい」って言ってるgg。「明日の朝、一緒に(仕事)行こう」って誘っているdd。
「俺には早い時間なんだけど~…」と言いながらも、何度も「8時30分ね」と念押しするddに、「いいよ。行こう」と答えてるgg。
…会話はみつば意訳。

(涙…)


時間がどれだけ流れても。
何もかもが変わってしまっても。

ドラマ「陳情令」の映像と同じくらい。
メイキング映像は、みつばにとって、
永遠に閉じ込めた夏の日のキラキラした宝物です。


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[2021/08/09 Mon] // # [ 編集 ]
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[2021/08/07 Sat] // # [ 編集 ]
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[2021/08/07 Sat] // # [ 編集 ]

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