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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「胡蝶の夢酔い」(2話)です。

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とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この二次小説は、「君への子守唄」の続編です。
また、この話とリンクする過去の話が、「秘密花圃」になります。




「続きを読む」からお入りください







胡蝶の夢酔い(2話)






…何事?

そんな顔で、魏無羨の隣に立った藍忘機に、
魏無羨は、目を輝かせながら竹の切り口の中を指さした。

「これ、見てくれ。“竹水(ちくすい)”だ!」

「“竹水”?」

…なんのことだ?

魏無羨の言っている意味が分からないような藍忘機に、魏無羨は得意げに言った。

「そのまま、竹の水のことだよ。竹がつくった水が、こうして中にたまるんだ」

「…それならば、知っている」

藍忘機が冷静に言った。

「だが、それは、今の時期には出来ない。出来るのは、若竹の成長期である春…」

「うわぁ、本物だ。俺、昔1回だけ飲んだことがあるけど、すげえ美味かった覚えがある」

話をしている藍忘機の言葉を最後まで聞かず、
魏無羨は興奮状態で、竹の中の水の匂いを嗅いでいた。

「うん。いい香りだ!昔、飲んだ時と同じ匂いがする!間違いない。竹水だ」

魏無羨は、顔を上げると言った。

「藍湛、畑の柵を作り終えたら、この竹水を一緒に飲もう」

「……」

ニコニコとした満面の笑みを向けている魏無羨に、藍忘機は、辞退する選択肢を失くした。


「好(わかった)」

そう答えた、藍忘機の心情も知らず、魏無羨は、「ハハハ」と嬉しげに笑うと、
はしゃいだ体で、はりきって竹枝を切る作業に向かった。

それから。

魏無羨と藍忘機は、二人で協力し合いながら、綺麗に切りそろえた竹竿と縄で、畑の柵を新しく作り直した。

「りっぱな柵が出来たぞ。これで、もう魔草と薬草を間違える奴は出ないな」

胸をはり、得意げに言う魏無羨に、

…間違えたのは、過去にも先にも君だけだ。

と、心の中で応えるかのように、藍忘機は、黙々と古い柵を片付けていた。

そんな藍忘機の元に、節間で短く切った竹を2つ、器のように準備し、
その中に、先ほど見つけた竹水を満たして魏無羨が戻ってきた

「じゃあ、藍湛、竹水を一緒に飲もう」

藍忘機は、魏無羨から竹の器を受け取ると、その中の水の香りを嗅いだ。

芳醇な竹の香りが満ちた水。

「…良き香りだ」

藍忘機の感嘆したような声に、魏無羨は、ますます嬉しげに顔をほころばせた。

そして、そのまま竹を口に運ぼうとした藍忘機の手を留めた。

「藍湛、俺、やりたい飲み方がある」

「…?」

不思議そうな眼差しだけで問う藍忘機に、
魏無羨は、黙って器をもっていた腕を藍忘機の腕に交差させた。

―――交杯酒。

※(婚礼の時、夫婦となる者がする固めの儀式)

魏無羨が何をしようとしているのか。

すぐに悟った藍忘機から、小さく息をのむ気配が洩れたが、
魏無羨を拒むことなく、腕を固定させていた。

「藍湛」

名を呼び、にっこりと笑った魏無羨に、藍忘機が頷いた。

そして、腕を絡めると、婚姻の儀、『交杯酒』のように、
二人同時に、竹の器をそれぞれ口に運んだ。

ごくり・・・。

竹水は、二人で分けた分、さほどの量も無かったが、
その上品な香りと味は素晴らしかった。

さらに、藍忘機と“交杯酒”の儀式で飲んだことで、
竹水は、魏無羨の中で、さらに格別な飲み物となっていた。

「はぁ…。天上界の甘露っていうのは、こういう味かもしれない」

魏無羨は、満足気に言うと、目の前の藍忘機の顔に目をやった。

「へへへっ…」

嬉しさと照れくささが混ざり、自分の両耳が熱くなっているのを自覚しながら、魏無羨は、藍忘機も同じような状態になっていると思っていた。

だが、目の前の藍忘機は、伏し目がちな面持ちで、両耳も赤くなっていなかった。

「…藍湛?」

視線の合わない藍忘機に、魏無羨が不安になって呼びかけた。

すると、藍忘機は、持っていた竹の器を手からポロリと落とした。

「藍湛?」

そして、さらに、驚いて名を呼んだ魏無羨の前で、藍忘機は、ふらりと体を揺らすと、魏無羨の腕に腕を絡めたまま、崩れるように前に倒れ込んだ。

「藍湛!」

とっさに藍忘機の体を抱きとめた魏無羨だったが、
全体重を預けている藍忘機に、焦ったように呼び掛けた。

「藍湛?どうしたんだよ? 藍湛?」

藍忘機は、眠っているようだった。

魏無羨は、藍忘機を支えながら、腰を降ろすと、目を閉じている藍忘機の首筋に手をあてた。

首が熱い。

…! 藍湛が酔っている。一体、どうして?

魏無羨は、地に転がっている竹の器に目を落とした。

魏無羨が“竹水”だと言って、藍忘機に飲ませたのは、実は、純粋な『水』では無かった。

竹水は、竹の中で僅かに発酵を進めていた。
そのため、微量の酒度が生まれていたが、酒豪の魏無羨にとっては、水も同然の飲み物だった。

しかし、極端に酒に弱い体質の藍忘機には、そうでは無かった。

今までも、酒を口にした時、藍忘機がこういう状態になったのを、何度か目にしていた魏無羨だったが、その時は、落ちつくまで、隔離出来る部屋があった。

しかし、今は、まだ日も暮れていない雲深不知処の中。

それも、薬草園だった。

静室への帰途に、万が一にでも、酩酊している藍忘機を、姑蘇藍氏の誰かに目撃されれば。
そして、それが、藍忘機の叔父、藍啓仁の耳にでも入ることになれば・・・。

・・・ まずいことになったぞ。

魏無羨は、腕の中で眠っている藍忘機の顔を見つめた。

「藍湛…。藍湛・・・」

魏無羨は、名を呼びながら、腕の中で眠っている藍忘機の体をゆすった。

「起きてくれよ。藍湛。こんなところを、姑蘇藍氏の門下生に見られたら、大事(おおごと)だ」

今、仙督となっている藍忘機は、姑蘇藍氏の中だけでなく、
仙界では、最高位の権威者になっているはずだった。

そうでなくとも、藍忘機は、長年、『含光君』と呼ばれ、
姑蘇藍氏の門下生だけでなく、他の仙家の者達や市井の民にも広く尊敬されていた。

だが、そんな藍忘機の酒に酔った醜態が、他の者達に見られでもしたら…。

魏無羨の頭に、かつて、酒に酔った藍忘機がした事が思い出されていた。

フラフラと歩いていた藍忘機は、他人の家の敷地に勝手に入り込み、
そこで飼っている鶏たちを囲いから出して、魏無羨に渡した。

さらに、家の柱に仙剣で落書きまでしていた。

翌朝、正気に戻った藍忘機は、そのことを覚えていないようだった。


…駄目だ。もし、同じようなことになったら、
藍氏の門下生達の中にある、“尊敬する含光君”像が、崩れてしまう。

『あの含光君さまがご乱心!?』

そんな衝撃が強すぎて、見たことを夢幻だと思ってくれると良いのだが…。

「いや。…そんなわけないか」

魏無羨は、深い吐息をつくと、
藍忘機の体を抱きかかえたまま、座り込み、途方にくれたように、空を仰いだ。

時刻は、まだ門限の刻にもなっていない。

幸い、薬草園に今いるのは、魏無羨と藍忘機だけだった。
薬草園の入口を見ても、誰かが上ってくるという気配も無い。

…このまま、しばらく、この薬草園で、時を過ごし、
せめて、周囲が薄暗くなるのを待ってから、帰路につこうか。

そんな事を考え、魏無羨は、腕の中の藍忘機に再び目を落とした。


微量の酒が混ざっていた竹水で酔った藍忘機は、意識を失っている。

頬と首は熱くなっていたが、美しい白磁肌に寸分の変わりも出ていない。

ただ、体勢が崩れた時に、乱れたのだろう。
魏無羨は、藍忘機の横顔に落ちていた一筋の髪を、そっと指ですくうと、
優しく撫で整えた。

その感触で、藍忘機が意識を取り戻し、うっすらと目を開けた。

「……」

ぼんやりとした眼差しで見上げている藍忘機に、魏無羨はホッと吐息をついた。

「気がついたか? 藍湛、今、ここが、どこか分かるか?」

「…薬草園」

「うん。そうだ」

…良かった。藍湛は、ちゃんと状況が分かっているようだ。

魏無羨は、安堵すると、起き上がった藍忘機の背を支えて、一緒に腰を上げた。

藍忘機は、立ち上がると、魏無羨の顔をジッと見つめた。

そして、その後、何かを探すように、周囲に視線を彷徨わせた。

「藍湛?」

藍忘機は、不思議そうに名を呼ぶ魏無羨に、
『ついて来い』という仕草をした後、ふらりと背を向けて歩き出した。

「藍湛? どこ行くんだよ?」

フラフラと歩いているのに、素早い藍忘機に、
魏無羨は、小走りで追いつくと、慌てて、その腕を掴んだ。

…ここが、どこか分かってるみたいだけど、やっぱり、藍湛は、まだ酔っている。
こんな状態で、薬草園を出て、雲深不知処の敷地内は歩けない。

そんな考えで、御そうとする魏無羨の手を、藍忘機はやんわりとした手つきで外した。

そして、山茶花の並木の下に立つと、木々に手を伸ばし、
そこに咲いていた花を次々と摘んでいった。

それから、藍忘機の動作を見守っていた魏無羨の視線に気づくと、
その花を全部、魏無羨の両手に押し付けた。

「受け取れ」

そう言って、藍忘機は、また無心な様子で山茶花の花を摘み始めた。

…え?

魏無羨は、狼狽え顔で、藍忘機と自分の手の中の花を交互に見つめた。

そんな魏無羨の両手の中に、藍忘機は、摘んだ花を、さらに乗せていく。

しばし、そんな藍忘機を黙って見ていた魏無羨だったが、

藍忘機の摘んでいた花が、受け皿替わりに広げていた外衣の裾からはみ出すほどになってきたのを見ると、慌てて藍忘機の手をつかみ、その行動を止めた。

「待って、藍湛。 何してるんだよ?」

…やっぱり、今の藍湛は、いつもの藍湛じゃない。

魏無羨は、藍忘機が冷静な思考を失くしている状態だと悟った。

「山茶花の実は、整髪剤や軟膏の材料になるって、さっき藍湛が言っていた。
花を全部摘んでしまったら、種が収穫できなくなるけど、いいのか?」

そう問う魏無羨を、手を止めた藍忘機は、うつろな表情で見つめ返した。

そして、顔を俯かせると、ポツリと言った。

「…母が教えてくれた。
山茶花の蜜は甘くて美味しいと」

「え…?」

「母は、私に山茶花の蜜を舐めさせてくれた。
でも・・・。
父と叔父は、蜜を舐める為に花を摘んではいけない、とおっしゃられた」

そう言って。

沈んだ表情で、伏目がちになっている藍忘機は、
しょんぼりと項垂れている小さな子どものようだった。


「…そっか・・・」

魏無羨は、頷くと、自分の衣の裾で包んでいる山茶花の花を一つ手で取った。

そして、その花弁をそっと指で押し開くと、
花芯の奥にたまっていた蜜をあらわにした。

「今日だけは、いいよ」

魏無羨は、

以前、雲夢江氏の領地、蓮花塢から出る時、蓮湖の小舟の上で、
所有者がいる蓮の実を無断で食べていた魏無羨に、藍忘機が言った事と同じ台詞を口にした。

魏無羨の言葉に、藍忘機は、嬉しそうに、やわらかな表情を浮かばせた。

そして、魏無羨の手の中の花にそっと、顔を寄せた。

花の中に顔を伏せ、蜜を舐めている藍忘機は、それでも、上品な佇まいだった。

しかし、どこか艶のような気を発している。

魏無羨は、花の蜜を舐めている藍忘機の姿を見ているうちに、
なぜか胸が熱くざわつき始めたのを感じた。

さらに、体の奥からゾクゾクとした感覚が沸き上がっている。

魏無羨自身、その意味を考える前に、藍忘機が花から顔を上げた。

そして、魏無羨の衣の中にある新しい花を一つ取ると、その花弁を広げ、魏無羨の口元に差し出した。

『君も蜜を食べろ』

そう言っているような藍忘機の眼差しと手に、魏無羨は、「うん」と言うと、
遅れ髪を手で押さえながら、藍忘機の手の中の花に顔を寄せた。

舌で蜜をすくい、舐めとる。

花粉の口当たりと共に、甘く優しい山茶花の蜜の味が魏無羨の口内に広がった。


「甘くて、美味しい」

顔を上げ、にっこりと笑った魏無羨に、藍忘機は、口元を綻ばせた。


「もっと…」

藍忘機が言った。

続く言葉は、おそらく『もっと、舐めろ』。

魏無羨は、藍忘機の言葉に頷くと、「藍湛も」と言った。

そして。

魏無羨と藍忘機の二人は、それぞれ、魏無羨の衣の中の花をつまむと、中の蜜を舐め始めた。

魏無羨は、蜜を舐め終えた花を地に落としていたが、
藍忘機は、なぜか、花を、魏無羨の頭や肩に乗せていった。

それも、白い花は落としていたが、赤と薄紅色の花だけを選び、魏無羨の体につけていく。

魏無羨は、酔っている藍忘機が戯れているだけだと思い、
何も言わず、そのまま、好きなようにさせていた。

やがて、蜜を吸い取り、摘んでいた花がすべて無くなると、
藍忘機の行為で、魏無羨の体は、無数の、赤と薄紅の山茶花の花びらでまみれた状態になっていた。

「藍湛。俺を綺麗に飾ってくれたのは嬉しいけど、この姿じゃ雲深不知処の敷地内を歩いて帰れない。これらの花びらを取ってしまってもいいか?」

苦笑を浮かべながら、そう確認する魏無羨の顔を、藍忘機は黙ったまま見つめた。

「藍湛?」


「私は…」

藍忘機が口を開いた。

「私は、君ほど…」


「…藍湛?」

首をかしげた魏無羨に、藍忘機は口を閉ざし無言になった。

「藍湛? 君ほど、何? 」

「……」


ぼんやりとした顔。

焦点の合わない、藍忘機の琥珀色の瞳の中に、
不思議そうに見つめている魏無羨の顔が映っていた。

「藍湛?」

再び名を呼んだ魏無羨の方に、藍忘機が一歩前に出ると、手を伸ばした。

そして、魏無羨の頬に手をそえると、半眼になった顔を近づけた。


魏無羨と藍忘機。

山茶花の花びらが広がった地の上で、二人の影が重なった。


・・・・・・甘い蜜の味がする。


藍忘機の口づけを受けながら、魏無羨は、そんな事を思い、そっと目を閉じた。





(続く)


薬草園の話は、二次小説シリーズ「逢月編」の中の「静室の二人」でも出てきます。
ドラマ&原作「魔道祖師」の中にも無い、みつばの二次的妄想設定の話になります。


コメント欄から二次創作の感想、応援メッセージを書いてくださった方、ありがとうございました。
個々では無く、まとめてになりますが、この二次小説の更新後にあとがきの中でお返事させて頂きます。

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