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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「秘密花圃」‐秘密の花園-(後編)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


この二次小説は、時間軸では、魏無羨が雲深不知処の修習生だった時代の話です。

「続きを読む」からお入りください





「秘密花圃」(後編)





「ここに入ってはいけない」

魏無羨の前に立った“天女”が言った。

「空を飛んでいたら、いつのまにか、この花園の中に降りていた」

魏無羨の返した言葉に、天女が、ますます訝しげな雰囲気になった。

「何があった?」

「うーん…。よく分からないけど、酒は飲んでいない。でも、気分がとってもいい」

魏無羨は、ヘラヘラと笑うと、その場に座り込んだ。
そんな魏無羨に、目の前の天女も、腰を下ろし、魏無羨の顔を覗き込んだ。

「君は・・・」

何か言いかけた天女を、魏無羨は、焦点の合わない目で見上げた。

えも言われぬほど良い花の芳香が満ち、耳元で素晴らしい旋律が流れる中、
魏無羨のそばにいる天女の顔が、おぼろげに見えた。

「美しいな…」

魏無羨が、恍惚とした表情で言った。

「俺…、お前ほど、綺麗なやつを見たことが無い」

そう言って、差し伸べた手を、
魏無羨は、目の前の天女の頬に這わせようとした。

天女が、息をのむ気配がしたが、魏無羨は、言葉を続けた。

「…欲しい」

魏無羨の目に、紅く熟れ、甘そうな果実が映っていた。


「うまそうだ。…食べていいか?」

そう、うっとりと、口にした後、
魏無羨は、天女の艶やかな唇に顔を近づけていった。

天女が緊張したように身をこわばらせた。

しかし、その唇と手が、天女の顔に届く前に、魏無羨の手がダランと、地に落ちた。

そして、がくり、と、頭を垂れた魏無羨は、
そのまま、花の中に突っ伏すように倒れ込んだ。


やがて―――。


意識を失った魏無羨が、次に目覚めた時。
魏無羨の体は、雲深不知所の救護室の布団の上にあった。


「…さっきまで天界で、美しい天女と会っていたのに、何でお前がいるんだよ。江澄」

二日酔いのような、重い頭痛を感じた魏無羨が、
眉をしかめながら、布団横に座っていた江澄に声をかけた。

「ふざけるな。魏無羨。お前なんぞ、天界に行ったまま、帰ってこなきゃ良かったんだ」

ホッとした表情を浮かべながらも、魏無羨が声を発したとたん、
瞬時に態度を切り替えた江澄が魏無羨をどやした。

「あれほど注意を受けていたのに、勝手に魔草を摘んで食べるなんて。

お前は、とうとう雲深不知所の罰に快感を覚えて、やみつきになっているんだろうよ。罰を受けたきゃ、好きなだけ受ければいいが、この事が父上に知れたら、お前は、今度こそ、故郷で戒鞭を受けることになる」

「そんな…」

魏無羨は、ズキズキする頭を手で押さえながら、江澄の言葉を聞いていた。

「俺が食べたのは、魔草だったのか?でも、名札にはそんなことは書いて無かった」

「前日の嵐で、毒草畑の立札と柵が壊れていた。名札も風で飛んで、違うものが近くにあったらしい」

「なんてこった…」

魏無羨は、溜息をつくと、周囲を見回した。

「聶懐桑は?」

同じ草を食べたはずの聶懐桑の姿は、救護室内には無かった。

「あいつは、草を口にした後、すぐに出したようだ。お前より症状が軽いから今は寮部屋にいる。だけど、しばらくは、意識が朦朧としていて、藍公子(藍曦臣)に支えられながら、薬草園から下山していた。

お前は、花畑でぶっ倒れているところを見つけられ、姑蘇藍氏の門下生達に担架で運ばれて、ここに連れてこられた」

「…俺、花畑に倒れていたのか」

魏無羨は、また盛大な溜息をつくと、布団の上でごろりと寝返りをうった。
そして、蘭室で、自分のことをジッと見ていた藍忘機の顔を思い出した。

「藍湛も焦っただろうな。お目付け役だったのに、俺がこんな状態になって。藍啓仁先生に叱られてなければいいが…」

「人の事を心配している場合か?」

江澄がムッとして言った。

「自分の心配をしろ。魔草の効き目が切れても、しばらくは、副作用で気分が悪くなるらしい。今夜は、ここで泊ることになる」

「江澄。お前が看病してくれるんだろ?」

「バカ言え。俺は寮部屋に戻る。お前は、一晩中、ここで、一人で頭を冷やすんだな」

そう言って、傍らに置かれていた手桶の中の濡れ布巾をぴしゃりと、魏無羨の額に叩きつけた後、江澄は、救護室から出ていった。

…うーん…。

さすがに、反省した顔で、魏無羨は、目を閉じた。
そして、金丹の霊力で、体内をまだめぐっている魔草の成分の中和に、意識を集中させた。


しばらく時が過ぎて―――。

いつのまにか夜になった救護室で、魏無羨は、魔草の副作用にうなされながら眠っていた。

やがてぼんやりと意識を戻した魏無羨は、強烈な喉の渇きを覚えて、近くに置いていたはずの湯桶と茶杯を、寝た姿勢のまま手探りした。

しかし、湯桶の中にも茶杯の中にも、水は残っていなかった。

…はぁ…。

魏無羨は、溜息をつくと、布団から出していた手をバッタリと投げ出した。

異常に重く感じる体を起こして、水甕まで歩いていくのも億劫だった魏無羨は、水を諦めることにした。

ややあって・・・。

コトリ…。

小さな音がして、人が近づいてくる気配に、意識を向けた魏無羨だったが、重い頭を起こすことも面倒だった為、目を閉じたままでいた。

…姑蘇藍氏の救護班の門下生かな?

ぼんやりとそんな事を考えた魏無羨の手に、冷たい茶杯が触れた。

救護室に入って来た何者かが、水甕から汲んだ水を茶杯と湯桶に入れてくれたようだった。

魏無羨は、横たわったまま体を傾けると、茶杯の水を勢いよく飲み干した。

魏無羨の近くに座った人物は、空の茶杯に再び水を注ぎ入れると、魏無羨の手の届くところに置いた。

3度、水をおかわりした魏無羨の額から、布巾が、ポトリと落ちた。

魏無羨が、薄っすらと瞼を開けて見ると、目の前に白い衣を着た人物が座っていた。

何者かは、すっかり乾いている布巾を取ると、手桶の冷水につけ、搾りなおした。
そして、濡れ布巾を手に、魏無羨の顔を見下ろした。

暗闇の中で、顔はよく見えなかったが、まだ魔草の影響を受けていた魏無羨の中で、それは、薬草園で会った天女のように思えた。

「こんなところまで会いにくるとは、俺のことが、そんなに好きになったのか?」

からかうように口にした魏無羨に、天女は無言だった。
しかし、やや動揺したような手つきで、濡れ布巾を魏無羨の額に置いた。

そして、布巾をずらし、魏無羨の目の上まで覆うと、救護室から出ていったようだった。

「アハハハ」

魏無羨は、浮かれた笑い声をたてると、再び、眠りについた。



翌朝。

目を覚ました魏無羨の体調は、すっかり良くなっていた。

傍らに置いていた、茶杯と湯桶の水は、空だった。

…夜、この部屋に、薬草園で見た“天女”が来たというのは、やっぱり夢か幻だったのか。

そんな事を思い、吐息をついた魏無羨は、ふと、救護室の戸口を見やった。

戸口付近に置かれた水甕の蓋が、なぜか半開きになっていて、
濡れた柄杓が、その上に置かれていた・・・。



―――その後。


魔草を食む(はむ)という、厳罰ものの事をしでかしたにもかかわらず、魏無羨と聶懐桑は、3日間の厠(トイレ)掃除と、反省文の提出だけで許してもらえた。

嵐で、毒草畑の柵や立札が壊れていた為、禁止区域が分かりづらくなっていたという事、風で飛ばされた名札も混同していた事から、斟酌(しんしゃく)されたようだった。

そして、そこには、藍曦臣と藍忘機の二人が、情状酌量を求め、
怒り心頭の藍啓仁の説得にあたっていた、という事情も含まれていた。

しかし、そんな事を知らない魏無羨は、呑気な顔で、聶懐桑と一緒にダラダラと厠掃除をしながら、様子を見に来た江澄と軽口を叩き合っていた。

「江澄。暇そうに見てるくらいなら、手伝えってくれてもいいぞ」

「誰が手伝うか。魏無羨。お前は自業自得だが、聶懐桑が気の毒だ。
お前の厄介事に他人を巻き込むな」

「いえ。でも、罰もこれくらいですんで、本当に良かった」

聶懐桑が言った。

「先生は、この件を、不浄世には、内密にしてくれるとのこと。
しかし、もし、今回の事が兄者に知れていたら、私は今ごろ兄者に…」

その続きを想像するのも怖い、という風に、聶懐桑がブルっと身震いした。

「だな。俺も、師匠に知らされなくて良かった」

魏無羨も心から安堵の吐息を漏らした。


…師匠よりも、虞夫人の反応の方が怖い。
おそらく、この事を知れば、紫電でなく、嬉々として俺に戒鞭を振り降ろすことだろう。


「しかし、副作用は、ちときつかったが、魔草の見せた幻覚は最高だった。
天界の花園の中に、美しい天女がいたんだ」

魏無羨が口にした不穏な話に、江澄は、あからさまに顔をしかめて見せた。

「…魏無羨。まだ、魔草の影響を受けているのか?」

呆れたように、しかし、なかば心配そうに問う江澄に対し、聶懐桑は、魏無羨に同意するように頷いていた。

「魏兄も、天女を見たのですね。私も、魔草を口にした後、美しい天女に手を取られて、歩いているという幻を経験しました」

「…それは藍公子(藍曦臣)だ」

薬草園の帰り道。藍曦臣に支えられながら歩いている聶懐桑を目撃していた江澄が言った。

「聶兄の天女も美しかっただろうが、俺の天女は、俺を追っかけて夜にも会いに来たぞ」

得意げに話を続ける魏無羨に、江澄は『やれやれ』という顔で頭を振ると、もう付き合いきれないとばかり、魏無羨達とは別方向に目をやった。

そして、離れた場所に佇み、こちらに顔を向けている藍忘機に気づくと、訝しげに眉をひそめた。

「おい。二人とも、真面目に掃除しろ。藍二公子がいる」

「え?」

魏無羨と聶懐桑が厠から顔を出して外をのぞくと、すでに背を向けて歩き出した藍忘機の姿があった。

「私たちが、しっかり罰の仕事をしているか監視していたのでしょうか?」

そう問う聶懐桑には答えずに、魏無羨は、厠から出ると、「おーい。藍湛」と大声で藍忘機を呼び止めた。

足を止め、少しだけ振り返った藍忘機に、魏無羨は、厠の縁をこすっていた箒をブンブンと振って見せた。

「薬草園、すげえ、面白かった!」

『よせ』と制止するような顔の江澄を無視して、魏無羨は藍忘機に話を続けた。

「俺、やらかしたから、全部見られなかったけど、今度、また連れていってくれよな」

藍忘機は、黙って聞いていたようだったが、魏無羨が話し終えると、すぐさま踵を返し、再び遠ざかっていった。

その背を、にやついた顔で見送っていた魏無羨だったが、
横から、わざとらしく飛んできた、江澄の拳を、身を翻してよけた。

「おい、危ねぇな。江澄。厠の穴に落ちるところだった」

余裕で拳をかわし、笑っている魏無羨に、江澄は、憎々し気に言った。

「魏無羨、お前は、もう、厠でも地獄の底にでも、落ちてしまえ!
自分から墓穴を掘るバカがあるか。お前を目の敵にしている奴に、どうして、いつも、そう、からんでいきたがる」

「藍湛は、俺を目の敵にはしていない」

「そうだろうよ」

江澄がフンっと鼻をならした。

「目の敵どころか、本心は、お前に、目のつく場所にいて欲しくないと考えているはずだ。それなのに、薬草園の花畑でのことといい、お前は、彼のいる近くでいつも問題を起こしている。いいかげんにしないと、次は、蓮花塢に送り返されるぞ」

「薬草園の花畑のことって?」

キョトンとなった魏無羨に、江澄は大仰にため息をついて見せた。

「魔草で酩酊し、花畑で倒れていたお前を、最初に発見したのは藍二公子だ」

「…そっか。俺を見つけてくれたのは、藍湛だったんだな」

無意識に笑みを浮かべた魏無羨に、江澄は、ますます面白くなさそうな表情になった。

「何、嬉しそうな顔をしてるんだ?」

「別に、してない」

魏無羨は、そう答えると、手に持っていた箒の穂先を江澄に向けた。

「江澄。お前は、もう、あっちに行け。掃除の邪魔だ」

魏無羨の、冗談ぽくも、ぞんざいな態度に、江澄は、『厠に落ちろ』という仕草をした後、いかり肩で去っていった。

そんな江澄と魏無羨を、苦笑を浮かべながら見ていた聶懐桑の肩を、魏無羨がポンと叩いた。

「聶兄、早く掃除を終わらせて、こんな臭い所から、さっさとおさらばしよう」

「ええ。まったくです。それに比べて、薬草園は良い香りでした」

聶懐桑は、吐息をついて、そう言うと、再び、厠の掃除に取り掛かった。


…確かに。

魏無羨は、魔草で、意識を飛ばしていた為、記憶が曖昧になっていたが、薬草園の中の出来事を、おぼろげながら思い出していた。


綺麗な花が咲き乱れる花園で。
美しい天女が、魏無羨に微笑みかけ、手を差し伸べている。


その姿が、誰かの面影に重なったが、
魏無羨は、それもまた、魔草が見せた虚像だったのだろう、と決めつけた。


…幻でも、いいものが見られた。

“あいつ”が、あんな顔で、誰かに微笑むのを見たこと無いからな。
見ているだけで、心を奪われるような…。

そこまで考えた魏無羨は、おもむろに箒を構えなおすと、厠を掃除し始めた。


―――この十数年後。

再び訪れた、雲深不知所の薬草園の中で、魏無羨は、あの時の『天人』から、幻では無い微笑みを向けられることになるのだったが…。


この時の魏無羨は、まだ、その事を知らない。





(終わり)



あとがきは、また後日。
明日のブログ更新はお休みさせて頂きます。

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