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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「永遠の愛-生日快乐-」です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


この二次小説は、時間軸では、みつばの二次小説シリーズの中で、一番未来の「忘羨」になります。
魏無羨が雲深不知処に来てから1年以上後の話。


★裏箱記事、追加更新しています(10月31日)

「続きを読む」からお入りください





永遠の愛-生日快乐-




今日は、魏無羨の誕生日。

藍忘機が、雲深不知処の中で、魏無羨の誕生日を祝うのは、2度目だった。

藍忘機は、雲深不知処での業務をいつもより早めに切り上げると、食堂の厨房で魏無羨の為に祝い料理を作った。

料理担当の門下生たちは、仙督自ら料理をしている姿に最初のうちは戸惑いを隠せずにいたが、次第に、厨房に現れる藍忘機に慣れてきていた。

そして、今回も。
前もって藍忘機が頼んでいた食材を用意し、調理場の1つを譲っていた。

雲深不知処の食堂の料理人達も、藍忘機が誰の為の食事を作っているか、もう分かっていた。

激辛料理を好んでいる男。
私邸で、藍忘機と共に住んでいる、魏無羨。

魏無羨の好む食べ物は、姑蘇藍氏の雲深不知処の食堂では、全く出ることが無い料理だった。
雲深不知処内では、動物の殺生が禁じられており、肉や魚の類は食事から抜かれていた。

そんな理由で、普段は置いていない食材も多かったが、
藍忘機が厨房を使うようになってから、香辛料は常備されるようになっていた。

藍忘機は、慣れた手つきで、調理を進めると、
雲深不知処の料理人たちを唸らすほどの、完璧な祝い料理を作り上げた。

藍忘機が、料理の器を重箱の中に並べていると、料理人たちが恭しい態度で藍忘機に近づいてきた。

「含光君さま、これを魏公子に」

料理人頭が、藍忘機に小さな壺を差し出した。

「これは?」

「中身は、香味料です。魏公子好みに調合して作りました。
私達から、魏公子へのささやかな誕生日祝いの品です」

雲深不知処の質素な食事は、味付けも薄かったが、
香味料があれば、魏無羨好みで変化させることも出来る。

藍忘機は、魏無羨の嬉しそうに笑う顔を脳裏に浮かばせた。

「ありがとう。彼も喜ぶだろう」

料理人たちは、藍忘機から礼を言われることも想定していなかったが、それよりも、初めて見る藍忘機のやわらかな笑みのような表情に、幻惑にかかったような顔になった。

そして、その場にいた料理人と門下生たちは、皆、手持ち重箱を持った藍忘機が去って見えなくなるまで、その後ろ姿を、ぼーっと見送っていた。


厨房を後にした藍忘機は、私邸、静室に向かった。

…魏嬰はもう帰ってきていることだろう。

藍忘機は重箱を下げていない、空き手に意識を向けた。

祝い料理は作ったが、魏無羨への祝いの品を今年も用意出来ていなかった。


『いらない』

数日前も、誕生日祝いで欲しいものは無いか?と問うた藍忘機に魏無羨がそう答えていた。

『必要な物は?』と改めて尋ねた藍忘機に、魏無羨は、『今は何も無い』と言った。

『欲しい物も、必要な物も、藍湛が全部くれている。だから、足りてる』

魔道具以外…日常品であれ、高価な物であれ。

魏無羨が「欲しい」と呟いただけで、次の日には、藍忘機によって、その品が用意されていた。

そして、そこに、特別感は全く無かった。

魏無羨が、もし、家を一軒建てられるくらい高価な装飾品を欲しいと言っても、藍忘機は買うのではないか?傍目からそう見えるくらい、藍忘機は、ごく自然に魏無羨の欲しがるものを与えていた。

実際に、藍忘機には、それだけの物を買えるだけの財力がある。
しかし、魏無羨は、冗談でも、そう言えば藍忘機が本気にする、ということを知っていた。

さらに、満ち足りた衣食住で、物欲的なものはほとんど無い魏無羨は、本心から、藍忘機からの祝い品も断っていた。

『でも、酒と、藍湛の手料理は欲しいな』

酒はともかく、手料理を食べたいという魏無羨の声には、甘えが含まれていた。

そんな魏無羨の願いを受けた藍忘機は、普段以上に腕をふるって、豪勢に祝い料理を作り上げていた。

重箱の中の料理の1つは、今年も雲夢から届いた蓮根で作った、蓮根と排骨の汁物。
そして、雲深不知処の料理人が作った、魏無羨好みの香辛料の壺も。

雲夢江氏の宗主、江澄(江晚吟)と、厨房の料理人。

しかし、今回、魏無羨に贈り物をした者は、それだけでは無かった。

清河聶氏の宗主である聶懐桑は、修習生時代から魏無羨と馴染みがあり、
金凌(金如蘭)も、魏無羨の師姉の息子という関係である為、その二人からの贈り物は不思議では無かった。

だが、どこかで魏無羨の誕生日を聞きつけたのだろう。
数日前から、各地の仙家からも、“夷陵老祖”または、魏無羨あてに誕生日の贈り物が続々と届けられていた。

魏無羨は、静室の中で、増えていく贈り物に、最初は珍し気に喜んでいたが、次第に、それが部屋の一角を埋めるほどになっていくと、辟易気味にため息をついていた。

『藍湛…。食べ物はともかく、これ以上は、静室に置き場が無いよ。それに、俺一人じゃ使い切れないものもある。どうしたらいい?』

おそらく、仙督となってから、魏無羨以上に沢山の貢物が届いているであろう藍忘機に魏無羨が相談した。

「礼状で、今後の贈り物は遠慮する、とお願いした」

「ああ、そうなんだ。でも、それまで届いていた物は一体どこにやったんだ?」

祝い事の時に、雲深不知処に、仙督の藍忘機宛に多量に届いていた贈り物は、静室には全く見当たらなかった。

「それも礼状の書簡で、送り主に承諾を得、雲深不知処の門下生で使用できるものは残し、他は、市井の中で、欲する者がいる場所に届けた」

「俺もそうしよう」

魏無羨は、藍忘機の答えに納得して頷くと、贈り物の選別を始めていた。

そんな魏無羨の後ろ姿に、藍忘機は、それ以上、何が欲しいかと問うことが出来なくなっていた。


…魏嬰の昔馴染みの者達や雲深不知処の料理人も、贈り物をしている。
料理以外に、私も何か贈りたいのだが…。

まだそんな気持ちで、静室にむかって歩いていた藍忘機は、ふと雲深不知処の薬草園に続く路に目を向けた。

雲深不知処の薬草園には、さまざまな効能を持つ薬草が植えられていたが、薬草だけでなく、施設内の各部屋で飾られる花々も育てられている。

藍忘機は、立ち止ると、何事か思案した。
そして、薬草園の方に足を向けた。


―――それから、しばらくして。


藍忘機が、静室に帰宅すると、床の上に広げられた多量の紙が真っ先に目に入った。

紙に囲まれた座卓の前に座り、眉をしかめながら筆を動かしていた魏無羨が、藍忘機の気配に気づいて顔を上げた。

「藍湛、おかえり」

藍忘機は、床にある紙の1枚を手に取ると、じっと見つめた。
墨を乾かす為に、床に広げていた紙は、魏無羨が書いた手紙だった。

「誕生日祝いを贈ってくれた仙家に礼状を書いていた」

魏無羨が、両腕を上に伸ばし、うーん、と伸びをしながら言った。

「藍湛の礼状の文章を参考にさせてもらった。
俺、こういう文を書くのは苦手なんだ」

「しかし、君は、論文を書くのは得意だったはず」

そんな記憶で言った藍忘機に、魏無羨はわざとらしくため息をついて見せた。

「論文は、なんとなく、適当に、もっともらしいことを書けばよいけど、手紙は相手がいるから、そういうわけにはいかない」

…論文も、本来、そういうわけにはいかない。と思った藍忘機だったが、修習生時代の魏無羨の論文の課題は、いつも“優”という最高評価がつけられていた。

「藍湛から見て、この手紙の文はどう?」

「ん…。問題ない」

「良かった。なら、藍湛。俺の筆跡を真似て、書くのを手伝ってよ」

「それは、出来ない」

藍忘機は、墨の乾いた紙を拾い集めながら答えた。

「手紙は、送る者の心だ。時間がかかってもいいから、自分の手で書きなさい」

「うん…」

魏無羨は、藍忘機の返事に納得しながらも、小さく吐息をついた。

「今後は、誕生日祝いの贈り物は控えてくれたら助かるって、礼状に書いた。気持ちはありがたいけど」

魏無羨は、座卓の上の筆を片付けながら、
まだ部屋の隅に山積みになっている贈り物の数々に目をやって言った。

魏無羨は、聶懐桑と金凌の贈り物以外は、雲深不知処に寄付するか、藍忘機が行ったように、市井の民に譲るようだった。

「手紙と品々の配布は、私も手伝う。今日はここまでにしなさい。食事にしよう」

藍忘機は、手早くまとめた紙束を棚に仕舞うと、座卓の上に手持ち重箱から出した料理を並べ始めた。

魏無羨が嬉しそうな笑みを浮かべた。

「藍湛の手料理だな。…でも、これは?」

料理と一緒に並べられた小さな壺を手にとって、魏無羨が訝し気に尋ねた。

「雲深不知処の食堂の料理人達から預かった。君への贈り物だ」

「食堂の料理人から?」

魏無羨は、壺の蓋を取ると、くんくんと鼻をひくつかせた。

「あ、すごくいい匂いがする」

「気にいったなら、明日、彼らにも礼を」

「うん。これは、俺が使わせてもらう」

魏無羨は、壺の中身をすぐに理解したらしく、藍忘機が盛ったご飯の上に振りかけた。

魏無羨は、ご飯の上の真っ赤な香味料に目を輝かせたあと、
ふと、座卓の上に置かれた、料理以外の物に気づいた。

小ぶりの細い花瓶の中に、新しい花が活けてあった。

静室の中で、花が飾られていることは珍しいことでは無く、
花も魏無羨の見知ったものだった。

「へえ。桔梗だな」

しかし、魏無羨がよく見かけていた花の色と異なっている。

「紫はよく見るが、白も薄紅色もあるんだな。もしかして、雲深不知処の薬草園で咲いていた花?」

藍忘機が無言で頷いた。

魏無羨は、給仕している藍忘機の顔と、桔梗の花を見比べた。

「この花には、何か意味がある?」

鋭い魏無羨の問いかけに、藍忘機は「なぜ聞く?」と目をふせたまま問い返した。

「いや。だって、俺の誕生日に藍湛が薬草園からわざわざ摘んで飾るくらいだ。
何か意味がある花なのかな?と考えた」

そう言いながら、己の鼻の頭を指で触れ、ちらちらと藍忘機の顔を伺っている魏無羨に、藍忘機が観念したように小さな吐息をついた。

ささやかな秘密も、魏無羨の本能的な直感の前には、隠せない。

「昔、こんな時期に、静室でこの花が飾られていた」

藍忘機がぽつぽつと語った。

「昔の静室というと…、藍湛のお母さんが住んでいた時のことか?」

「ん…」

藍忘機は、頷くと、話を続けた。

「今のような季節。私が母を訪ねて、この部屋を訪れた時、花瓶の中に桔梗が活けられていた。しかし、当時の静室の庭にも桔梗の花は無かった」

藍忘機の母親は、静室に軟禁状態で暮らしていた。
そんな人が雲深不知処の薬草園に入り、桔梗の花を摘むことは無い。

「桔梗の花を部屋に持ち込んだのは、父だと、すぐに悟った。
静室の庭園には他にも咲いている花が沢山あった。それなのに、なぜ、父は母にこの花を贈ったのか。当時の私は不思議だった」

「藍湛は、お母さんに、その理由を尋ねた?」

魏無羨の問いに藍忘機がかぶりを振った。

「ただ、私は、“美しい花ですね”と言った。すると、母は、“”花言葉も美しいですよ”と答えた」


藍忘機は、その時のことを思い出していた。

幼い藍忘機には、母の言う“花言葉”という意味が理解できなかった。

困ったように首をかしげると、『叔父上は、占いは邪道だとおっしゃっていました』と言った。

『花言葉は占いではありません』

藍忘機の母、青蘅夫人は、藍忘機に微笑んだ。

『その花に秘められた意味のようなものです』

『では、この花の意味は何ですか?』

そう問う藍忘機に、青蘅夫人は黙ったまま、桔梗の花を見つめた。

そして、ややあって、『いつか、阿湛も知る時がくるでしょう』と答えた。

母の謎かけのような言葉に、幼い藍忘機はますます当惑を深めた。

『母上は、この花が好きですか?』

また、答えをはぐらかされるかもしれない、と考えた藍忘機だったが、青蘅夫人は、美しい微笑を浮かべると、はっきりと頷いて見せた。

『ええ』

…母の笑顔は、あの時の桔梗のような風情だった。

後に。

藍忘機は、蔵書閣の中の書物で、桔梗の花言葉の意味を知った。
しかし、あの時の母の微笑の意味を、藍忘機が真に悟ったのは、魏無羨と道侶の契りを結んでからだった。


「この桔梗」

魏無羨の声が、藍忘機の心を思い出の空間から、今の時間に引き戻した。

「藍湛から俺への誕生日の贈り物?」

魏無羨の問いに藍忘機が小さく頷いた。

「それで、桔梗の花言葉って?」

何かを期待したような目で問う魏無羨に、藍忘機は、耳を仄かに赤く染めると、視線をそらせた。

「自分で調べろ」

「ハハ。そう言うと思った。うん。今度、蔵書閣で調べる」

朗らかに笑って、魏無羨は、箸を取った。

「今は、この贈り物を頂くことにする。すげえ美味そう。お腹がぺこぺこなんだ。もう食べていい?」

「ん」


藍忘機が作った料理。
蓮根と排骨の汁物。鶏肉の香草焼き。山菜の香辛料炒めが入った饅頭。蓮の実粥。

雲深不知処の料理人が調理した辛味の香味料を振りかけたご飯。

デザートには、金凌が贈ってきた、蘭陵名物の豪華絢爛な高級菓子。
天子笑の酒を注ぎ入れてあるのは、聶懐桑の贈り物、清河で一番の腕を持つ職人が作ったという美しい盃の器。

その横に控えめに飾られている、桔梗の花。

魏無羨は、箸を止め、しばらくの間、それらを一通り眺めていた。

「どうした?」

…お腹がすいていると言っていたのに、食べないのか?

不思議そうに問う藍忘機に、魏無羨が言った。

「調べなくても、何となく、桔梗の花言葉が…。
藍湛が俺に贈ってくれた言葉が分かった。今、すごく、それを感じてる」

魏無羨がやわらかく微笑んだ。

その笑みは、昔、桔梗を見つめていた藍忘機の母が浮かべた表情に似ていた。

だが、それは、母の思い出とは異なった、
藍忘機にとっては、自分だけに向けられた笑顔だった。


・・・あの時、父が母に贈った花に意味があったのか。
本当のことは分からない。

しかし、藍忘機が、魏無羨の誕生日に贈りたかった心は、魏無羨に通じた。

藍忘機は、そう確信した。


微笑みあった二人の横で、
薄紅色の桔梗が、頬を染め、白い桔梗が、優しい彩を添えた。


桔梗の花言葉。

それは、『永遠の愛』


今までも。そして、これからも。
私は、君を、永遠に愛する。


「魏嬰」

名を呼んで、
藍忘機が言った。


「生日快乐(誕生日おめでとう)」




(終わり)




みつばのたまて箱内では2回目の魏無羨、誕生日話です。
昨年、更新した、魏無羨の誕生日話は、こちらから。

桔梗の花は、秋でも、もう少し前の時期なのですが、仙人のいる土地だから♪←ファンタジー設定を都合よく。
桔梗の花言葉は、他にもいろいろあるのですが、この話では「永遠の愛(変わらぬ愛)」を採用させて頂きました。


【お知らせ】

【追記】(2020.10.31)


この記事の「裏箱」にて、裏箱版「永遠の愛」の二次小説とイラストを更新しています。
「裏箱」の二次小説は、表箱の続きなので、表箱の小説を読んでから、ご覧ください。

また、「永遠の愛」の裏箱版が読めるのは、このページの「裏箱」だけです。
他の裏箱創作記事をご覧になりたい方は、「専用ページ」以外の記事の裏箱入口よりお入りください。

誕生日にギリギリ間に合った~♪

裏箱についての説明はこちらから。「みつばの裏箱について

はじめていらした方は、「みつばのたまて箱からのお願い」も一読ください。



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