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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「秘伝のレシピ-雲夢編-」中編です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は、今更新中の二次小説シリーズより未来の番外編(忘羨CP以外のはなし)になります。

「続きを読む」からお入りください






秘伝のレシピ-雲夢編-(中編)



結局、皆の食事が終わる頃になっても、江澄は広間に戻ってこなかった。

江澄が残した食事をどうしたら良いかと当惑している召使に、金凌が、「全部下げていいが念の為取っておけ」と告げた。

空の器を片している召使たちに、藍思追が声をかけた。

「洗い物を手伝わせてください」

「めっそうもございません」

そう慌てて断る召使たちにも、姑蘇藍氏の弟子達が次々と空の器や膳をゆずりうけて運んだ。

「お世話になった仙家には、出来るお手伝いで返礼するのが雲深不知処の教えです。どうぞ、手伝わせてください」

姑蘇藍氏の若い門下生達の品行方正な心掛けに、蓮花塢の召使たちは感服すると、金凌の「食事に行っていていい」と言う言葉に従って、めいめい、まかないご飯を持って、寮の方に去っていった。

姑蘇藍氏の弟子達は、台所に運び入れた食器を洗ったり、片付けたりした。

そんな作業中、召使頭がやってきて、台所で一緒に手伝っていた金凌に伺いをたてに来た。

「皆さまの寝具なのですが、別邸の離れの客間にお運びしてよろしいでしょうか?」

「ああ、いいんじゃないか。でも、なぜ、俺に聞く。舅舅(叔父さん:母方の兄弟)はどうした?」

「江宗主は、先ほどからお部屋の方にいらっしゃらないのです。どちらに行かれたのか側近の方もご存じないそうです」

召使頭が困惑した面持ちで言った。

「分かった。舅舅には、後で僕から伝えておく」

金陵がそう言って、召使頭を下がらせようとした。

お辞儀をして去っていこうとする召使頭に藍景儀が声をかけた。

「寝具を運ぶのも我々がやります」

「え?しかし・・・お客様にそこまでさせたとなれば、私達が後で上の者に叱られます」

召使頭のびくびくした態度で、“上の者”というのが、江宗主を指していることが分かった姑蘇藍氏の弟子達だった。

召使頭が、恐る恐る、金凌に伺いを立てるような眼差しを向けた。

「気にするな。それも僕が後で舅舅に言っておく。それに、これが客の望みなら、かなえさせるのが、もてなしという物だろう。寝具の場所をこの者に教えてやってくれ」

金凌の言葉に、召使頭は、ようやく安心したように、そっと吐息をついていた。

「かしこまりました。お客様用の寝具の置き場にご案内いたします」

「じゃあ、僕は、寝具を取りに行ってくるよ」

藍景儀が、後ろで洗い物をしていた藍思追に声をかけた。

「数が多いので、我々も参ります」

「私も手伝います」

「私は、布団を敷きにいきます」

そう次々と手をあげる姑蘇藍氏の門下生達に、藍景儀が呆れたような顔をした。

「みんなで行ってどうする。ここの片付けもあるだろう?」

そんな藍景儀に藍思追が言った。

「景儀、ここの片付けは、もう私一人で大丈夫です。皆と一緒に寝具の用意をお願いします」

台所を見回すと、残りの洗い物はほとんど無く、後は、食器の片付けくらいだった。

「じゃあ、思追にまかせたよ」

皆がぞろぞろと台所を出ようとした時、「僕も一緒に行こう」と金凌が言った。

「舅舅に鉢合わせることもあるかもしれないからな。
説明できる僕がいたほうがいいだろう」

そう言って、たくし上げていた裾を下ろした金凌は、姑蘇藍氏の門下生達の先頭に立って、台所から出て行った。

皆が台所から出ていった後、残った藍思追が一人、片付けを続けていた。

そして、器を棚に片付け、作業台の上を布巾で拭いていた時、
カタリと後方で小さな物音がし、誰かが台所の戸口近くにいる気配がした。

藍思追は、食事を終えて戻ってきた召使だと思った。

「もうすぐで終わりますから」

そう声をかけたが、返事が返ってこない。

不思議に思って藍思追が振り返ると、そこに江澄が立っていた。

「江宗主」

思追は、思わず手を止めて佇んだ。

江澄は、台所を見渡した後、思追の顔に目を留めると、怪訝な顔で眉をひそめた。

「一人で片付けをしているのか?金凌は?他の者たちはどうした?」

「皆、就寝の準備にむかいました。ここの片付けは私一人で終わりそうでしたので」

「そうか…」

江澄がおもおもしく頷いて、台所の中に入ってきた。

…江宗主は、食事をほとんど召し上がっていなかった。
もしかして、何か食べる物を求めていらしたのかもしれない。

そう思った藍思追が、台所の台の隅に置いていた盆を手で示した。
器で覆いはしていたが、江澄が残した食事が乗っていた。

「あの、江宗主の食事は、こちらに取り置きさせて頂いております。
もし、お召し上がりになられるのでしたら、暖め直します」

「いや。そのままで良い」

江澄が言った。

「では、江宗主のお部屋にお運びいたしますか?」

「それも、しなくていい。ここで食べる」

「こちらで、ですか?」

台所は、片付けられ、整然としてはいたが、宗主が食事をするところとしては雑な空間だった。

一瞬とまどった思追だったが、すぐに江澄が座れる場所を作るために動いた。

台の上を布巾で丁寧に拭いた後、料理の入った盆を置いた。
そして、椅子の上も綺麗に清めると、江澄にすすめた。

「どうぞ、こちらでお召し上がりください」

江澄が黙ったまま、椅子に座った。

そして、箸を取ると、盆の上の料理を眺め、
しばらく、そのままの姿勢で料理を見下ろしていた。

「あれは…」

江澄が小さく呟いた。

「はい?」

「あの蓮根の入った汁物はどうした?私が残したものだ」

「あの汁物でしたら、金公子が全部召し上がられました」

「なに?」

江澄が眉をひそめて顔を上げた。

「人の食べかけを食するとは行儀の悪い。さんざん躾けてきたというのに。
あいつには、後で仕置きをせねば」

そう言い捨てる江澄に、藍思追は、取り繕うように言った。

「金公子は、蓮根の汁物をとても気にいったご様子でした。3回おかわりしたのですが、その後、江宗主の器の分も召し上がられたのです」

「では、もう、あの汁物は残っていないのか?」

そう問う江澄に藍思追が、「鍋に残っていないか見てまいります」と言って、かまどの方にいった。

召使たちも賄いとして持って行った為、鍋の底には、一すくいくらいの汁物しか残っていなかった。蓮根もひとかけ、肉もひとかけ。

思追は、残っていた少量の汁物を丁寧に器の中に全部よそった。

そして江澄の前に置いた。

「これで全部ですが、どうぞ。召し上がっていただけたら、作った私も嬉しいです」

藍思追がそう言った。

江澄は、器を手に取ると、汁を口に含んだ。

そして、無言で、蓮根と肉も口に入れ、ゆっくりと咀嚼すると、
残りの汁も飲み干した。

思追がそんな江澄の様子をじっと横から見つめていた。

江澄は、空の器を台に置いた。


「…これは…」

江澄が口をひらいた。

「魏無羨からレシピを聞いたそうだな」

「はい」

「本当に彼から聞いたのか?」

「はい」

思追がきょとんとした顔をした。

「魏先輩が昔、師姉殿によく作って頂いていて、好きな料理だとおっしゃっていました。
それで、金公子にも食べて頂きたくて、魏先輩からレシピをお聞きしました」

「・・・・・・」

藍思追は決して嘘は言っていないだろう。

だが江澄には分かっていた。

魏無羨は、頭の良い男で、探求心もあり、人とは違う発想力で新術の開発も好んで行っていた。

だが、料理のレシピにこだわった人間では無かった。

料理の良し悪しは分かっても、好んでいたのは、香辛料を多く使った激辛味だった。
繊細な味の料理の作り方が分かるはずもない。
食べていた味で、どんな調味料を使うか、などレシピに起こすことなどしないだろう。

江澄はそんなことを考え、レシピを藍思追に伝えたのは魏無羨にしろ、実際に、レシピを再現したのは、別の者では無いかという答えを導きだした。

…おそらく、今魏無羨がそばにいる、あの男。

江澄はそこまで推理した。
そして、同時に、昔以上に、合わせ貝のようにベッタリとくっついて一緒にいる黒と白の男たちの姿を思い浮かべると、ムカムカする生理的な嫌悪感で顔をゆがめた。

だが、江澄は、目の前にいる若者が、その片割れの白い男の1番弟子だということを思い出すと、胸のむかつきを我慢するように、目を閉じた。


「江宗主?」

藍思追の不思議そうな呼びかけに、ようやく江澄は目を開けた。

「いや…それでは、君は、そのレシピ通りにこれを作ったというわけか」

「いえ」

藍思追が言った。

「魏先輩から教わったレシピと、少し調味料も配分も変えてみました」

「どうしてだ?」

「その…味をみた時に、何となくなのですが、こうした方がもっと良い気がしたのです」

そう答える藍思追に江澄は驚いた顔をした。

「つまり、君は、魏無羨のレシピにオリジナルを加えて料理したのか?」

「はい」

藍思追は、困惑したように伏目がちになった。




(続く)



江澄が出てくる話を、いずれ二次小説で更新です。と書いてましたが、この話ではありません。
この話は、時間の流れでいうと、今更新中の二次小説の時間軸より、もっと後の番外編話です。


ブログへのご訪問ありがとうございます。
予約投稿でも記事の更新時間が違ったり、連日更新では無いかもしれません。
また、拍手コメントレスは、急ぎで無い時は、番外編話が落ち着いてからまとめてさせて頂きます。
よろしくお願いします。



みつばの二次小説を読んで頂きありがとうございました。
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