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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「花は落つれども」です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は読み切り短編です。
時間軸では、魏無羨と藍忘機が恋人関係になっている時期の小説です。

「続きを読む」からお入りください











花は落つれども




静室の庭園にある桜の木の花は満開だった。

寒さも和らぎ、木々や地面から新緑が芽吹く兆しが見え始めていた。

しかし、その日の夜。
時間が一気に遡ったかのように、雪が降った。

静室の中の囲炉裏の火が部屋を暖めていたが、
魏無羨は、開け放した引き戸の側に座って、庭先をボンヤリと眺めていた。

雪は静室の庭を白く染めている。
舞う雪と共に、桜の花びらが落ちていた。

どちらが雪で花びらなのか、一瞬の区別はつかなくても、それが静室の池の水の中に落ちた時、溶けて消えゆくのは前者で、浮かぶのは後者だった。

濡縁の灯篭の灯が、降りしきる雪と花を映し、儚げな影を生む。

雪なのか、花なのか。それらの影なのか。
それとも、別の何かなのか。

無言で外を見つめている魏無羨の目に映っている物が何なのか。

その姿を後ろから見ていた藍忘機には分からなかった。


魏無羨は、いつものように、一番好きな酒である天子笑の酒甕を脇に置いていたが、先ほどからほとんど口にしていないことに、藍忘機は気づいていた。


共に過ごせるこの時間。

いつもなら、魏無羨は、藍忘機にその日経験した事を報告したり、そうでなくても、たわいもない事を冗談交じりで楽し気に沢山話をして聞かせていた。

だが、それも無い。

魏無羨は、静かに深く物思いにふけっているようだった。

しかも、取り巻く雰囲気が、どこか沈んでいる。

シンっとした冷たい空気の中に溶け込み、まるで、その存在が消えてしまうような錯覚すら覚える魏無羨の背姿。

藍忘機は、ハッとして琴を奏でていた指を止めた。

家に戻った時から、どことなく元気の無い魏無羨の様子を感じ取っていた藍忘機は、琴で「清心音」を奏でていた。

しかし、魏無羨の精神は「清心音」で癒せても、心の奥にある何かにまでは届いていないように見えた。

藍忘機は、おもむろに琴の前から立ち上がると、魏無羨のそばまで近づいて行った。

そして、その傍らに立った。

だが、声はかけず、名も呼ばず、藍忘機は、ただ、無言で魏無羨の近くにそっと腰を下ろした。


魏無羨も、そんな藍忘機の気配を感じていたが、藍忘機の方に顔を向けず、視線を外に向けたまま、黙っていた。
藍忘機は、ただ、そんな魏無羨の横顔を見つめ続けた。


しばらくの間、静室に静寂が流れた。



雪が降り、
花が落ちる。


「藍湛…」


ややあって、魏無羨が藍忘機を見ずに口を開いた。



「不思議な光景だよな。雪と花を一緒に見られるなんて。俺たちは、得をしているのか、損をしているのかどっちだろう?」


風情のことを話しているようで、魏無羨の心の中には違う景色が映っている。
そんなことを感じ取っていた藍忘機は、ただ、黙したまま魏無羨の横顔を見つめていた。


外を見つめ続けている魏無羨の目の淵が少し赤く見えた。
魏無羨の瞳が光って見えるのは、白い雪の光を宿している為だけでは無い。


「魏嬰」


静かに名を呼び、藍忘機は魏無羨の意識だけを自分の方に向けさせた。


藍忘機は、魏無羨の側にあった腕をそっと上げた。
そして、魏無羨を自分の膝元に導くように、その空間を示して見せた。

そんな藍忘機を一瞥した魏無羨は、黙って藍忘機の方に身を傾けた。
そして、藍忘機の膝の上に頭を乗せると、床の上に体を横たえた。

藍忘機に膝枕をしてもらいながらも、魏無羨は庭園から目を離さなかった。
魏無羨の長い髪が横顔を覆い、その表情を藍忘機から隠していた。



「藍湛の膝枕、あったかい」

少し甘えた調子が入っていたが、やはりいつもより力無い魏無羨の声色が、藍忘機の耳に届いた。



…魏嬰、今、何を考え、何を想っている?



口に出さず、そんな台詞を心に内包したまま、藍忘機は膝の上の魏無羨の頭に手を置いた。

そして、その髪を優しい手つきで撫で始めた。


魏無羨は微笑を浮かべると、気持ち良さげに半眼になった。
そして、さらに顔を藍忘機の膝の方に伏せた。


…藍湛は、俺の異変に気付いている。

でも、気付き、この状態を気遣いながらも、
何も問わず、ただ黙って傍にいてくれている。


そっと、寄り添い、慰めるように魏無羨の頭をゆっくり撫で続けている藍忘機の手。

その温もりと優しい所作に、魏無羨の心が、じんっと温まるのを感じた。



『魏公子、春になったら、今度は、花見しながら酒を飲みましょう』


かつて、乱葬崗で、雪見酒を共に煽りながら、そう言っていた人々。

『そうだな。それまでに、こっそりと姑蘇に天子酒を買いに行く手段を考えよう。お前達に、あの、この世で一番うまい酒を飲ませてやりたい』

そう笑って、自分が温氏の民に言った言葉は、実行出来なかった。
乱葬崗で、花を愛でながら、共に酒を飲む機会は永遠に失われた。


魏無羨の脳裏に、別の光景と会話も次々浮かんでは、消えていた。
まるで庭に降っている雪のように。


かつての雲夢江氏領、蓮花塢で。

師姉、江澄、その父で魏無羨の師匠と一緒に花見をしていた時の情景も浮かんだ。


『阿羨、花見菓子もあるのよ。食べて』
『師姉。俺は、菓子より酒がいいよ』
『姉上が作った菓子は俺が全部食べるから、こいつにやらなくてもいい』
『うるさいな。江澄。俺も師姉の菓子は食うからよこせ』
『いやだ』
『これこれ。お前達は、また喧嘩をしているのか?』
『おじさん。師匠、違います。これはじゃれているんです』
『そうか。私も一緒に花見に混ぜてもらっても良いかな?』
『もちろん。師匠、今日は特別に酒も飲んでいいですよね?』
『お前は、いつもだろう』

『あははははは』

自分をとりまく美しい花びら。
そして、明るい笑い声と会話。

あの頃。

翌年も、その次の年も。
こうして、皆で里の花を一緒に愛でられると思っていた。
当然のように。


でも、当然など無いのだと。
もう同じ時は無く、そして、めぐる季節は永遠に失われることもあるのだと。

魏無羨は、もう知っていた。


今、彼らが生きていたら。
この雪と花が共に存在する、この時間を共有することが出来ていたら。

そんな事を考えても、それは感傷に過ぎない。

日々、前を向いて生きていても。
ふと、思い出してしまうことがある。

こうした瞬間は、何度も乗り越えてきたはずなのに。

なぜか、今日は、悲しい記憶が心を苦しめ、
酒を飲んでも、藍忘機の「清心音」でも、拭い去ることが出来なかった。

残っている酒を口にすることも。
笛で楽しくなる曲を奏でることも。

何もかもが億劫になって、外の闇と心が同化しそうな感覚。

それでも、魏無羨は、

そばに来てくれた藍忘機の温かい膝と手のぬくもりが、
徐々に魏無羨の心に沁みこみ、深部に掬う冷たい闇を溶かしていくのを感じ始めた。

涙すら凍っているような心が温められ、
そして、むしろ、大声で泣きたくなるような感情に魏無羨は、耐えるように目を閉じた。

何も言わず。
何も問わず。


愛する人は、ただ、そばにいてくれている。


悲しいのか、苦しいのか。
嬉しいのか、喜んでいるのか。


何より、こんな風に自分の傍に寄り添ってくれている藍湛が愛しくてたまらない。


様々な感情が入り乱れ、胸がいっぱいになった魏無羨は、
瞼を閉じても、溢れる涙をとどめることが出来ないでいた。


ぽとり、ぽとり。と。
魏無羨の目から頬をつたって、藍忘機の膝の上に雫が落ちていく。

顔は隠されていたが、藍忘機は、己の膝の上が濡れていく感触で、
魏無羨が泣いていることに気づいた。

「・・・・・・」


藍忘機は、膝の上の魏無羨に目を落としながら、
小さく震えている魏無羨の肩を、魏無羨の長い髪ごと、そっと手で包み、撫でた。


…魏嬰。

優しい手から、藍忘機の心の囁きが聞こえるようだった。


…大切な者たちをゆっくりと悼みなさい。

それは、君が彼らを大事に想っていたという証拠なのだから。
そして、君の事を大切にしてくれた記憶なのだから。

私は、ここにいる。君のそばに。


魏無羨は、手で顔を覆った。


愛する者とはいえ、醜い泣き顔を藍忘機に見せたくなかった。
それは、道侶といえども、男としてのプライドのようなものだった。

藍忘機にもそれが分かっているのだろう。


何も伝えなくても、分かってくれる。
そんな人が今、自分の傍にいることが、どんなに嬉しいか。

どんなに愛しているか。


「…藍湛」


魏無羨が小さく名を呼んだ。


「また、藍湛と一緒にこんな景色を見たい」


何が起こるか分からない未来で。
それでも、この想いは伝えたい。

そんな気持ちで言った魏無羨の言葉に、藍忘機は「ん」と頷いた。


「一緒に見よう」


藍湛は言った約束を必ず守る。


過去に、失ってしまった約束は、降る雪のように消え、この世には戻らない。
でも、落ちた花は、愛する者に受け止められている。

積もった雪も、いずれ溶けるだろう。
名残惜し気に痕跡を残した寒い季節も、もうじき去っていく。

そして、また「静室」に訪れる春を、一番大切な者と共に迎えるのだ。


そんなことを思い、

魏無羨は、おずおずと手を上げ、自分を撫でる藍忘機の手にその手を重ね握りしめた。
藍忘機が魏無羨の指を優しく握り返した。

魏無羨は、やわらかな笑みをその顔に浮かべると、そっと目を閉じた。





(終わり)


「花は落つれども…」弘法大師の説話の一文と、「落花流水」の意味を込めた「忘羨」小説です。
二次小説シリーズより、未来、恋人関係の二人の話。

【こっそり追記】
「落花流水」にはいろいろな意味がありますが、(とくに中国では意味合いが違うらしい)この小説では「相思相愛」の意です。

今日は、満開の桜の中で雪が降り積もったという、みつばの現実から、感傷にふけり、
一気に書き上げてしまった短編。

短時間での書き下ろし小説のため、見直しほとんど無く、誤字脱字チェックもせずにアップしますが、間違いがあれば、後で修正します。


ブログへのご訪問、拍手コメント、コメントを送ってくださった方、ありがとうございます。
「陳情令」メイキング映像は見られています♪実際に、あの時、藍湛先生から教えてもらった振り付けで、本番のダンスしている魏嬰(肖戦さん)のダンスの映像も見てます♪


みつばの二次小説を読んで頂きありがとうございました。
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