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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「迷い路」(5話)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

ドラマ「陳情令」、原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「背馳」の続きになります。


「続きを読む」からお入りください









迷い路(5話)






…姑蘇藍氏の弟子達に冗談は通じなかった。

丘で会っていた思追、藍景儀と別れた後、
魏無羨は、軽いため息をついて、静室へと向かう階段を上っていた。

「知り合いの仙子を紹介しろ」という言葉は、冗談半分、半分ノリで出た言葉だったが、姑蘇藍氏の弟子達は多いに本気にしたようだった。

…前世の俺は、女性と春本にあるようなことをするどころか、恋愛すらできなかった。
一番若くて、美しかった時期なのに。(と、魏無羨は思いこんでいる)

今になって振り返ると、魏無羨はそんな経験が出来ずに終えてしまった前の人生の自分を、ちょっと惨めかもしれないと感じた。

藍湛に縁談が持ち上がっているなら、俺も負けていられない。藍湛の婚姻相手より美人で料理が上手くて、優しい心根の仙子を見つけてやる・・・と、そんな気持ちになっていたわけでは決して無かったが、冗談でも言っておかないと空しい気分に支配されそうだった。

それで、つい藍思追達に、「姑蘇の知り合いの仙子を紹介しろ」と言ってしまったのだったが。

藍思追は、魏無羨の言葉の背景に何かを感じ取って、むしろ案じているような表情をしていたが、藍景儀は完全に鵜呑みにして、魏無羨を見損なったというような呆れ顔になっていた。

まるで、雲深不知処内で春本をかざしながら歩いている男を見るような目。

事実、魏無羨は沢山の春本を目にしていた。

前世の少年期に見た春本は数知れず。雲深不知処に修行に来ていた時でも、こっそりと春本を持ち込んでいた聶懐桑から何冊も借りて盗み見ていたこともあった。男女が情を交わす絵姿や、情景が文で詳しく書かれていた。その中には何度も接吻の場面も出てきていた。

相手と体を重ねる行為の最中、どうやったら相手を喜ばせるか、どうしたら自分が気持ち良くなれるか、まで指南された物を熟読した結果、優秀な頭脳を持つ魏無羨は、知識だけはスペシャリストの域に達していた。

…ただ、いかんせん、実践経験が皆無なのだ。接吻すら、誰ともした覚えがない。

魏無羨は、前世の少年期、何の気負いもなく、よく街ですれ違った好みの仙子(美女)に声をかけることもあった。
うまくいけば、その時一緒にいた江澄や師弟たちと共に菓子を食べながら、茶屋で話をすることもあった。

しかし、それだけだった。

1対1で深い付き合いになったことは無い。

可愛い女の子がいれば、すぐに声をかけて虜にしてしまう男だの、多数の女の子と同時に遊んでいる男だの巷で言われていた魏無羨だった。実際はほとんど手をつないだこともない。師姉以外の女性とは。

夷陵老祖と呼ばれるようになった後など、魔の洞窟に若く美しい女性達をさらってきては、子どもには聞かせられないような饗宴を夜な夜な繰り広げているという噂まで流れていた。

『夷陵老祖の酒池肉林の生活』

実態はそんなものではなく、地味で泥臭い“蓮池大根畑”の生活だった。

温寧の姉、温情が生きていて、魏無羨のボヤキを聞いたら「あなたは、蓮を育てることは熱心だったけど、畑仕事をほとんどしてなかったでしょ」ときつい調子でつっこまれそうではあったが、生まれ変わった今でも大根が入った汁物を見ると、げんなりとしてしまうほど大根は見飽きていた。

そんなわけで、前世で噂だけは優雅で、華やかな美男子(?)ライフな魏無羨だったが、現実は、なさけないほど奥手だった。むしろ、「何も知らない」が口癖の聶懐桑の方がよっぽど何かを知っていて、経験が上だったのではないか、と勘繰ってしまう魏無羨だった。

…そういえば。

魏無羨は思い出した。
昔、聶懐桑から借りた春本を、藍忘機に悪戯で見せた時、激怒した藍忘機によって破砕されていた。

「魏嬰!!」

そう初めて名を呼び、
それまで澄ましていた藍忘機の顔が怒りに震える様は、魏無羨を心底喜ばせて、笑いが止まらなかった。

…あの時の藍湛のあの顔…。

魏無羨は思い出すと、また自然に笑いだしたくなった。

だが、ふと思いたった。

…あの時からもう長い年月がたっている。
藍忘機はあの頃より何か経験を積んでいるかもしれない。・・・俺がいない間に。

誰かを好きになって、そして、誰かと春本のようなことを・・・。

清廉潔白な藍忘機が、姑蘇藍氏の規則を無視して、そんな事をしている姿は想像しがたかったが、先の事は分からなかった。

…玉家との縁談話を、藍湛は何と返事したのだろう?

魏無羨はぼんやりと考えた。

過去には断ったと沢蕪君は言っていたが、今回は分からない。

もし、断っていたとしても、藍湛は、いずれは、誰かと婚姻するだろう。

仙督となった、若く美しい独身男を、他の仙門の宗主達も放ってはおかないはず。
自分の仙家との縁を結ぶために、縁談話が今後もあちこちから湧いてくるだろう。

そうして、いずれ、婚姻した人と藍湛は…。

藍湛が婚礼の赤い礼服を着て、初夜に迎える花嫁。
寝所で花嫁の赤いベールを取り、露わになった顔に、藍湛が他の誰にも見せたことの無い、優しい笑みを向ける。そして、その体をやわらかな褥に横たえて…。

そこまで想像した魏無羨は、急に重苦しい塊が胸につかえたような気分になった。

それは、男として先を越されたという悔しさでもなく、
負けたという敗北感でもなく、置いていかれたという寂しさでも無かった。

ただ、意味のわからない苦しさで、魏無羨は自分の胸を手でさすった。

「…何か食べたものが悪かったかな。香辛料で胸やけしたか?」

そんな事をつぶやいて、魏無羨は静室の門をくぐった。

静室の敷地内は、静まり返っていた。
やはり主はまだ不在のままのようだった。

『しばらく留守にする』

藍忘機の言っていた、しばらく、というのが、どれほどの期間なのか魏無羨には分からなかった。

…2日?3日?それとも1週間?…まさか1か月ということは無いだろうが・・・。


「……酒でも飲もう」

独り言で呟いた言葉も、魏無羨の耳に空しく響き、
それに応える者もいない家にむかって、魏無羨はトボトボと歩きだした。


それから数刻の後。


姑蘇藍氏の門限も過ぎ、すっかり暗くなった雲深不知処の敷地内。

仙督の会議室が建てられる予定地に、提灯の明かりを持って佇む藍曦臣の姿があった。

藍曦臣は、何者かが近づいてくる気配を感じ、後ろを振り返った。

「どうしました?予定より随分と帰りが早いようですが、何かありましたか?」

提灯をかざし、そう藍曦臣が尋ねた相手は、藍忘機だった。

「兄上」

藍忘機は、藍曦臣のそばまで近づくと、立ち止り揖礼をした。

藍曦臣も藍忘機に揖礼をした。
顔を上げた藍曦臣が微笑んだ。

「忘機、今後は、私の方から先に礼をさせてください。あなたは仙督なのですから」

「はい」

不思議な感覚ではあったが、慣れなければならないだろう。
今までは、藍忘機は藍曦臣にとって弟であり、藍氏の門下生であったが、これからは、仙督と宗主という関係になるのだ。

「私には、まだ慣れなければならないことがいくつもあります」

「ええ。私もかつて藍宗主の座についた時そうでした」

…焦らなくても良いのです。

そう労わるような藍曦臣の言葉に藍忘機は小さく頷いた。

藍忘機の手にも提灯が握られていた。
2羽の兎の絵が描かれた提灯。

『藍湛、あの提灯買おう』

あの日、そう言って藍忘機に笑いかけた魏無羨の笑顔を思わせるような明るく優しい灯だった。

だが、提灯の明かりに照らされた藍忘機の顔は、どことなく沈んでいた。

「まだ用事はすんでいないのですが、一度雲深不知処に戻ってまいりました」

藍忘機が口を開いた。

「やり残していた事を思い出したので」

…やり残したこと?

無言で尋ねているような藍曦臣の眼差しに、藍忘機は気まずげに目を伏せた。

「私用です」

藍忘機の言葉に藍曦臣は、何かを悟ったように、小さく頷いた。

「そうですか・・・」

藍曦臣はそれ以上何も問わないかのように藍忘機から視線を外した。

「兄上が会議室の建設予定地に行かれていると、側近の者から聞いてここに参りました。
夜に視察とは、現場で何かありましたか?」

今度は藍忘機が問う番だった。

藍曦臣が小さくかぶりを振った。

「ここはひらけていて、とても見晴らしの良いところです。
それで、仙督会議室を建てる場所に選びました。それに、私の好きな場所でもあります。
子どもの頃、忘機と私が母と一緒にここに来たことがあります。覚えていますか?」

「いいえ」

「あなたは、まだとても幼かった」

藍曦臣が微笑んだ。

「めったに静室を出ることの無かった母ですが、ある夜、ここで、3人で天灯を上げました。そして天灯が見えなくなるまでずっと見ていました。あの時、母が何を祈っていたのか・・・そんなことをふと考えて、ここに来ていました」

「なぜ、今、母のことを思い出されたのですか?」

そう問う藍忘機の方に顔を向けた藍曦臣は、じっと藍忘機の顔を見つめた。

「今日、静室の庭園の東屋(あずまや)で魏公子と話をしたからだと思います」

「魏嬰と?」

藍忘機の顔に動揺の色が広がった。

「兄上は魏嬰と何を話されたのですか?」

「先日の闇狩りのことや、温公子の件。そして、犬の屍傀儡の首輪のこと。
藍宗主として報告すべきことなどです」

藍曦臣の言葉にどこかホッとしたような表情を浮かべた藍忘機の顔を藍曦臣はジッと見つめ続けていた。

「忘機」

「はい」

「あなたに縁談があったこと、なぜ魏公子に話さなかったのです?」

ハッとしたように藍忘機が顔を上げた。
しかし、藍忘機の真意を覗き見るような藍曦臣の視線を逸らすかのように伏目がちになった。

「・・・彼には関係の無いことだからです」

「彼はそう思っていないようですよ」

藍曦臣が言った。

「では、仙督就任を妨害している者たちの話をしなかった理由は?
私は魏公子に忘機を仙督の座から廃しようとしている者達がいるという話をしました」

「・・・・・・」

「あなたの意向を伺わずに勝手にお話してしまいました。しかし、これは、姑蘇藍氏に身を寄せている魏公子にも関わること。お話したほうが良いという宗主である私の判断であり、弟と弟の大切な者を守りたいという兄としての想いからでもあります」

「兄上…」

「忘機は、なぜ、魏公子に伝えなかったのですか?」

話す間が無かったわけではない。
わざと話さなかった理由があるはず。それは何ですか?

そう問う藍曦臣に、藍忘機が今度は強い意思を持つ目を向けた。

「私は、彼に自由に生きて欲しい」

藍曦臣に応えながら、藍忘機はまるで独り言のように言った。

「彼には、そんなことから離れて、志を貫いて欲しい。
彼が彼らしく生きていられるように。
それゆえ、誰かの権力争いに利用され、巻き込むようなことはしたくないのです」

藍忘機の脳裏に、不夜天での魏無羨の前世、最後の日の光景が浮かんでいた。

もう。あんなことにならないように。

あの頃のように。

権力者の圧力で彼の正義が貫けなかったり、
陰謀に利用され身も心も傷つけられたり。

そんなことはさせない。

彼には、もう2度と、あんな辛そうな泣き顔はさせない。

彼と再会できた時、そう心に誓った。

だから・・・。


「忘機、何よりも彼を守りたいという、あなたの気持ちは分かっています。しかし…」

少しの沈黙の間の後、藍曦臣が口を開いた。

「あなたが彼を雲深不知処に誘い連れて来たのに?そして、誰よりもあなたのそばにいさせているのに、ですか?」

言動が矛盾していませんか?と、藍曦臣は藍忘機に指摘していた。

「それで、本当に彼を全く巻き込まないことが出来ると、そして、あなたに関わる事から彼を無関係でいさせて、何もかもから守れると、貴方は本気で考えているのですか?」

「それは…」

藍忘機が辛そうに俯いた。

提灯の灯が、藍忘機の内心をあらわしているかのように揺らめいていた。


…忘機自身、このジレンマに苦しんでいるのだろう。
しかし、その想いは相手に届いていない。
そして、何より、そのことで、かの人も思い悩んでいるようだった。

そう考えていた藍曦臣には、決して藍忘機を責めているつもりは無かった。

むしろ、この弟の苦境を何とかしてあげたいという気持ちで藍曦臣は尋ねた。

「忘機は、本当はどうしたいのですか?」


「…他の者にも、兄上と同じようなことを問われました」

藍忘機が、提灯の兎の絵にボンヤリと焦点を合わせながら言った。


『あんた、一体、魏嬰をどうしたいんだ?』


藍忘機の脳裏に、先日、仲英と会った時の会話がよみがえっていた。



(続く)



ブログ記事への拍手、拍手コメント送って下さった方、ありがとうございます!

今度、あとがきにも書きますが、「陳情令」の魏無羨、ドラマ中、自分の気持ちも藍忘機の気持ちもちょっと自覚してたっぽい台詞があります。(BL要素抜いてるはずだけど)
でも、ドラマのラストで藍忘機が魏無羨にあんな仕打ち…じゃないけど、あんな感じになったので、仄かに期待していた魏無羨が、“俺の勘違いだったんだ…”ってなっているようにも見えました。

みつばの二次小説の魏無羨は、そんなことを含まなくても、他のことには鋭く賢いのに、そっち方面(恋愛面)は、格段に鈍いというキャラ設定になっています。

「陳情令名称一覧」に綿綿ちゃんを追記。
他にも魔道祖師ファンの読者の方から、ありがたくも、とても細かい人物設定(武器、能力等)や地名、名称情報もいただいているのですが、今はとりあえず「みつばのたまて箱」二次小説で、今後(近いうちに)出る人や名称だけご紹介しています。

「陳情令」日本放送開始に伴い、ブログに初めて訪れる方も多くなっているかもしれないので、二次小説冒頭の、このブログを読む注意点の記事をリンクさせました。
初めての方は、極力、出来る限り、1度注意点に目を通して頂けると嬉しいです。


みつばの二次小説を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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