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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「背馳」(1話)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。(2020年3月より初放送予定)
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「邂逅」の続きになります。


背馳(1話)




魏無羨は、考え事をしながら、雲深不知処の階段を下っていた。
頭の中では、「寒室」で藍曦臣とした話が繰り返されていた。


『忘機を仙督の座から廃しようとしている者たちが動き始めています』


藍曦臣も、藍忘機から特に口留めされていた話では無いのだろう。

しかし、藍忘機から仙督に関する話は聞かされていないと伝えた魏無羨に、伝えることを思案する素振りを見せていた。
藍忘機が伝えていないことを自分が話してよいのか?という風に。
藍忘機の意向を気にしていた。

しかし、話を聞いた以上、藍忘機の思惑や、藍曦臣の気遣いは、二の次になっていた魏無羨だった。

確実な筋からの情報ということは、動きにも確信と証拠があるのだろう。
もしかすると、もう相手の正体も分かっているのかもしれない。

「藍湛を仙督の座から廃しようとしている者たちというのは誰なのですが?それに、動いているとは、具体的に何をしているのですか?」


落ち着いた声ではあったが、全部教えて欲しい。という強い意志を持った魏無羨の問いかけに、藍曦臣も内情を打ち明けた。

「動いている者の正体は、今のところ判明していません。ただ、複数いる、または、組織的なものとも考えられます」

「根拠は?」

「姑蘇の中での報告は今のところありませんが、各地で、今まで封じられていた魔性の封印が何者かに解かれたり、塚が壊されたという報告が増えています。同一犯のように見えますが、離れた場所で同時期にそれは行われています。各領地の仙門の者が調査中ですが、一部では、藍忘機の仙督就任に反対する者が、声明をあげたという情報があります」

「ただ、どこの仙家の者か分からないということですか?」

「ええ。しかし、それは別段問題では無いのです」

「何故ですか?」

仙督就任の妨害活動でなくても、民の生活を脅かすようなことだった。
どこの仙術使いたちかは知らないが、稚拙な言い分の上での悪意ある行動に見えてしまう。
どうして、どこの者かは問題で無いのだろう?

そんな気持ちで藍曦臣に尋ねた魏無羨に藍曦臣は「今までの仙督達の世でも就任後によくあったことなのです」とさらりと答えた。

少なからず驚いた様子の魏無羨に藍曦臣は説明を続けた。

「どこの仙門の方が仙督に就任しても、同じような事がありました。すべての仙家、仙術使いに納得して認められる長は今までいませんでした。何らかの思惑があり、反対する者は必ず出たのです。その意思は強制できません」

岐山温氏の仙督であれ、蘭陵金氏であれ、清河聶氏家であれ。
各仙家の宗主たちが就任式で認めたとしても、その実は違う。

反対する者はいて、それは、どこの仙門で誰なのか特定できないくらい、各地に潜んでいたということなのだろう。


魏無羨自身、そんな権力と欲の陰謀に巻き込まれた当事者だったのだったが、そんな争いや思惑はどうでもいいと思っていた。

だが、今は違う。

仙督となっているのは藍忘機なのだ。

「封印を破っている愚か者たちを捕らえる手伝いを、俺にさせてください」

政治的なことは分からなくても、暴挙は止めなくてはいけない。
それだけは分かる。

そんな思いで魏無羨が、藍曦臣に言った。

すでに見えない敵に挑むような目をしている魏無羨に藍曦臣が微笑んだ。

「各地を治めている宗主にはすでに伝達済みで、動いて頂いています。いずれ魏公子にもお力をお借りする時がくるかもしれません。その時はお願いします」


静かに熱くなっているような魏無羨に、落ち着いた藍曦臣の声が届いた。


藍曦臣は、魏無羨自身に動いてほしいという意味で、この話をしたのでは無い。

ただ、藍忘機の周りで起こっていることを知っていてほしい。本当にその思いだけで打ち明けたという意図を念押ししているような言葉だった。

むしろ、魏無羨には出来るだけ、この件から離れていてほしい。

まるで、そんな風にも取れる藍曦臣の雰囲気に魏無羨は、内心ハッとなって、押し黙った。

その顔で、聡い魏無羨が、自分の話を全て汲み取ったことを藍曦臣も分かったのだろう。


「今、魏公子に私がお願いしたいことは…」

藍曦臣が言った。

「どうか、忘機のそばにいてあげて下さい」

それが、私が魏公子に望むことです。

藍曦臣の言外の言葉も魏無羨に伝わった。

…はい。

しかし、そう思いながらも、何故か、そんな簡単な返事が出てこない。
魏無羨は、ただ、コクリと藍曦臣に頷いてみせた。

藍曦臣は、そんな魏無羨に、また柔らかな笑みを浮かべた。


そんな藍曦臣との対談を終え、「寒室」を後にした魏無羨は、静室への道ではなく、雲深不知処の出口に向かって歩いていた。

「静室」で休んでいたい気分では無かった。

藍曦臣が言っていたように、今までの仙督就任の時にも同じような事があったのなら、その対処法は分かっているのかもしれない。

そして、たとえ、どんな敵であろうと、相手はあの含光君。
それだけでなく、その兄の藍曦臣、さらに後ろ盾の藍啓仁。
守りの固い1枚岩のような、姑蘇藍氏の双璧と言われる兄弟とその師匠。

嫌がらせ程度の妨害をする反対勢力など恐れるに足りないということなのだろう。

藍曦臣も各仙門の宗主たちに連絡はしてあると言っていた。
藍忘機の命が狙われているという所までは危険も迫っていないと想定している。

それにもかかわらず、なぜ、藍曦臣は魏無羨に打ち明けたのか?

藍曦臣が魏無羨に話した真意が、大切な藍忘機を守る為ということと、
魏無羨の助力をやんわりと断る理由が今一つ魏無羨の中で結びつかない。

ただ、藍曦臣には、藍忘機の実兄としての想いと宗主としての立場からの考えがある。

それが分かった魏無羨は納得するしかなかった。

でも、不思議なのは、藍忘機だ。

…どうして、藍湛は、俺に話してくれなかった?

魏無羨は歩きながら腕組みをした。

藍曦臣の話は、藍忘機からは、1度も聞いたことの無い話だった。

…忙しいとはいえ、同じ家「静室」で一緒に暮らしているのだ。
雲深不知処に来てから、藍湛が俺に話す機会が今まで全く無かったわけではないはず。

藍曦臣の言う通り、藍湛は、精神も肉体も鍛え上げられた、比類無き強さを持った仙術使いではあるけど、今は仙界全体の長という重責がある身。

長い年月、あらゆる場所に現れて闇狩りをし、沢山の人達や仙家を助けてきたと聞く。
仙督となった今も、各地に飛び回っているのは、きっとその為だろう。

その上、慣れない執政は、想像以上に藍湛に負荷を与えているのでは無いだろうか?

魏無羨の脳裏に、清室を出て遠ざかっていく藍忘機の白い後ろ姿が浮かんだ。

疲れの色を隠した精悍な顔。
前を向いてまっすぐに歩いていく藍忘機の姿は凛々しく眩しかった。

…藍湛が俺に話さなかった理由はどうあれ、

藍湛が仙督である世を、これ以上混乱させたくない。
今は自分が出来ることをして、藍湛の負担にならないようにしたい。


魏無羨は、そんな気持ちで、思考を切り替えると、
今度は山で遭遇した犬の屍傀儡と、目撃された、老婆の屍傀儡の事を考えた。

自分が編み出した術が半端にほどこされた、犬の屍傀儡。

…もしかして、老婆の方も、誰かに術を施された屍傀儡?

仲英の話の中では、通常の屍と違う動きをしていたという。
空師の親子が会った屍傀儡と同じ可能性が高い。

魏無羨は、そこまで考えると、雲深不知処を出て、新たな情報を得るために姑蘇の街に向かった。

姑蘇の街に入った魏無羨は、ついでに知りたい情報を持っていそうな場所を訪ねた。

建造物の為の材木を扱い、職人たちも出入りしている場所。
それは姑蘇の雲深不知処近郊の街では川岸にある一番大きく、かつ昔からある問屋だった。

魏無羨は、そこで、温氏の祠堂を建て直したいという温寧の為に、建造物の材料になる物の相場の値段を聞いた。

「どこか、資材を安く譲ってくれるような所は無いか?」

魏無羨が問屋の店主に聞いた。

「うーん…端材なら譲ってくれるところはあるだろうが、姑蘇藍氏で扱っている資材の相場は昔から他より高い。姑蘇で仙府のある雲深不知処の施設を建て直す時も入手が難しかったくらいだ」

店主が言った。

「十数年前、雲深不知処の姑蘇藍氏が岐山温氏に襲撃されて、中の建屋がほとんど破壊された事があったんだが、その時、他の仙家からも援助を受けて建て直しをしたのを覚えている。わしも片付けの人足で襲撃後の雲深不知処に行ったが、目も当てられないありさまだった」

「・・・・・・」

昔、玄武洞で藍忘機が話していたことだろう。

「ああなっては、必要な物は資材だけでない。藍家は裕福だが、あの時期は、襲撃された時にほとんど略奪されていた。後に取り返したとは聞いたが、しばらくは、さすがの姑蘇藍氏も厳しかったようだ。その時、今の仙督様の婚姻相手と言われている玉家も多額の援助をしたと聞いたよ」

昔の温氏の襲撃の話から、藍忘機の噂話に出ていた玉家が出たことに、魏無羨は驚いた。

「玉家って…聶家の親戚とかいう仙家のか?」

「ああ、清河聶氏のある不浄世の中でも指折りの富豪の仙家だと聞いた。そういう繋がりもあって、姑蘇藍氏の仙督が玉家と婚姻関係を結ぼうとしているんじゃないかって、わしらの仲間うちは噂してるけどな」

「それは政略結婚ってやつか?」

「いや。そこまでは分からないが、大きな家に生まれた者は、婚姻相手も自分では選べないことも出てくるだろう?仙督ともなれば尚更じゃないのか?」

店主の問いかけに魏無羨は言葉につまった。

魏無羨の師姉、江厭離の婚姻も、親同士が勝手に決めたことではあった。
だからこそ、心の内で反対していた所もあったのだったが、後に当事者たちは、互いに愛し合っていたことも分かって婚姻した。

そんな話ならともかく、中には、金光瑤のような婚姻もあるのだろう。

本来ならば避けなければならない縁談。望まない婚姻。

姑蘇藍氏も、昔、他の仙家たちに援助されたからといって、おそらく、とっくに全額返済しているだろう。
義理や後ろ盾や聶家との親戚関係を結ぶ目的の為に、藍家が政略結婚を進めることはあるのだろうか?
しかし、もし、当人同士、合意の上の縁談だったら…?

「…いや、分かった。ありがとう」

魏無羨は、「今度、また来い。端材を安く譲ってくれる所を聞いとくよ」と、気さくに声をかける店主に別れをつげて、問屋を後にした。

魏無羨は、しばしの間、他の店に立ち寄って話を聞くことも忘れ、ぼんやりとしながら街の往来を歩いていた。

考えていたのは、温寧の為の資材の事ではなく、藍忘機の婚姻話。

他の仙家の者や姑蘇藍氏の弟子達、温寧からも、藍忘機の婚姻の噂話を聞いてはいたが、直接聞くのは初めての魏無羨だった。

しかも、藍家と玉家に、姑蘇藍氏の仙女修行以外につながりがあったことも知った。

…あの襲撃の時、そんなことがあったんだな。

魏無羨は、玄武洞で、目を閉じている藍忘機が見せた涙を思い出した。

…生まれ育った場所が燃えるのを見るのは辛かっただろう。
雲深不知処の中でも、施設から離れた場所にあった藍忘機の母親が住んでいた「静室」は無事で良かったが…。

そこまで考えた魏無羨は、ハッとなった。

肝心なことを問屋の店主から聞きそびれたことを思い出した。

…そうだ。裏街道に出たという老婆の屍傀儡の話を聞くんだった。

魏無羨は、慌てて、裏街道を通る旅商人が立ち寄りそうな店を探した。

「ん?」


周囲を見渡した魏無羨は、弁当屋の露店の前に、見知った者たちがいることに気づいた。

二人とも白装束に銀色の仙剣。頭の抹額。姑蘇藍氏一門の弟子達だった。

しかも…。

魏無羨はこっそりと、二人の背後に近づいた。


「これこれ、これが食べたかったんだ」

「景儀。そんなのあっちの街でも買えたよ」

「いや。姑蘇のこの店が僕は一番美味しいと思う」

「じゃあ、後は、先に行った彼らの分まで買って…」


「ごほん。お前達、雲深不知処の規則を忘れたのか?街での買い食いは禁止されておる」

低い藍啓仁の声に、姑蘇藍氏の弟子達は、ビクっと体を硬直させると、
おそるおそる後ろを振り返った。

「罰として、逆立ちして規則100条まで書写しなさい」

弟子達の後ろに、藍啓仁の声色をまねて話す魏無羨が立っていた。

「魏先輩」

二人の弟子達は、ほっと胸をなでおろすと同時に、楽し気に笑っている魏無羨を恨めしそうに見た。


(続く)



背馳(はいち)…タイトルがもう不穏な…。
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