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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「邂逅」(1話)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「」の続きになります。


邂逅(1話)



藍忘機と雲深不知処の中で出がけに話をしたのは昨日の朝のことだったのだが、
魏無羨には、それから、とても長い時間がたったように感じられた。

宿屋の食堂で聞いた藍忘機の婚姻の噂話。
妖魔の大蜘蛛との闘い。
仙剣を振るう流れの仙術使いの男。
闇狩りの後、自分の帰りを待っていた弟子たち…。

1日の出来事が魏無羨の頭の中に次々と浮かんでは消えた。

頬に藍忘機の布を当てながら、魏無羨は、腰帯に差した笛、『陳情』にもう片方の手をそっと置いた。

そして、目を閉じたまま、魏無羨は、しばらくそのままジッと佇んでいた。

しばらくして。

カタリ…。と清室の門の方から音がした。

「藍湛?」

魏無羨は目を開け、弾かれたように振り返ると、とっさに清室の門まで駆け寄った。

門の近くに人影は無かった。

キイっと小さく歪む音を立てて、清室の門が揺れている。

魏無羨が清室の敷地に入った後、門を閉め忘れていた為、風で扉が開いていたのだった。

魏無羨は肩を落とすと、思わず握りしめて持って来てしまった藍忘機の布に目を落とした。

藍忘機に、帰ったら、今夜、一緒に酒と茶を飲もうと話していた。

しかし、魏無羨は、清室に買い置きしていた天子酒がもう無かったことを思い出した。


…門限までまだ時間がある。街まで酒を買いにいこう。

魏無羨は、そう決めると、布を懐の中に仕舞い、そのまま清室の門を開けて外に出た。

雲深不知処を出て、いつもの姑蘇の街まで来た魏無羨は、天子酒を売っている店を目指した。
活気のある繁華通りを歩いていた時、ふと、露店の飴売りに目が止まった。

いろいろな動物が模られた飴が売られている。

その中に兎の形の飴もあった。

以前、姑蘇に初めて来た時、師姉に買って渡した飴に似ている。

そんなことをボンヤリと思い出した魏無羨の脳裏に、兎を抱く藍忘機の姿も浮かんだ。

いつも兎を見ると、やわらかな表情になる藍忘機。
魏無羨は、藍忘機のあの顔が見たいと思った。


…藍湛は、遠いところに仙剣で行っているから疲れて帰って来るだろう。
甘い物を食するのもいいかもしれない。

そう考えた魏無羨は、さっそく飴を購入しようと、懐から巾着を取り出して開いた。
巾着の中に銀はもう無く、天子笑1甕が買えるくらいの銭しか無かった。
飴を買えば、酒は買えなくなる。

しかし、魏無羨は即座に兎の飴を露店の店主に示すと、飴の代金を支払った。

そして、笹の葉にくるんでもらった兎の飴を魏無羨は大事そうに懐の奥にしまった。

こうして、残り銭も少なくなり、すっかり寂しくなった巾着の中身にも頓着せずに、
魏無羨は雲深不知処に戻って清室で藍忘機の帰りを待つことにした。

魏無羨が雲深不知処の帰り道に足を向けて歩いていた時、天子酒が店の前に陳列された酒家の前を通った。外に並べられた卓子で客たちが酒を飲みながら、煮込み料理を食べている。その様子に目を向けた魏無羨の視界に見覚えのある顔が入った。

卓上に仙剣が置かれている。
天子笑の甕の酒を注いで口をつけていた男が、魏無羨の視線に気づいて顔を上げた。

「よお、又会ったな」

魏無羨を見た男が、以前会った時と同じように、気さくな呼びかけをして、フッと笑った。

「よく会うな」

魏無羨もそう言って笑みを浮かべて近づいた。

男は太鼓叩きの芸をしていた、流れの仙術使いだった。
夜に闇狩りをしていた時にも山で会っていた。

「ここに来て俺と一緒に酒を飲まないか?」

男が魏無羨を手招きした。

「連れはいいのか?」

男が座っていた卓子は、ほぼ客で埋まっていた。

「俺の連れはいない。皆相席で座っている。ほら、横は空いている」

男の座っている長椅子は一人分ほど空席だった。

「誘いは嬉しいが、俺は今手持ちの金が無い。酒には付き合えないが、少し話をしたい」

チラリと無意識に天子酒の甕に目をやった魏無羨が言った。
先日から酒を1滴も飲んでない魏無羨だった。

男が飲んでいる天子笑の甕の形、酒の注がれる音、香り、すべてが魏無羨の五感を刺激し、避けがたい誘因力を放っている。

思わずコクリと喉を鳴らした魏無羨に男が笑った。
そして酒家の店員に追加の盃をもらうと魏無羨に差し出した。

「酒は俺のおごりだ。金はいらん。昨日の街の道芸ではあんたの笛のおかげで稼がせてもらったからな。その礼だ」

そう言うと男は立ち上がり、魏無羨の腕と肩を取って強引に引き寄せると椅子に座らせた。
それから魏無羨の目の前に盃を置くと、天子笑の酒をなみなみと注ぎ入れた。

「礼なら俺の方がしないといけない。昨夜闇狩りで助けてもらった」

酒を見ながら魏無羨が言った。

「目の前に妖魔に襲われている者がいるのに見捨てられるか?俺は当然のことをしたまでだ」

魏無羨の横に腰掛けた男はそう言って己の酒の盃を掲げた。

「名を名乗ってなかったな。俺は仲英。
属している仙家も字も称号もない。ただ、仲英だ。そう呼んでくれ」

…ただの仲英?面白い男だ。

そう思いながら、魏無羨は、「俺の字(あざな)は魏無羨。名は魏嬰。今は姑蘇藍氏に身を寄せている」と名乗った。

「魏嬰」

仲英は名前呼びすると、フッと笑った。

「出会えたことを祝おう。魏嬰」

「ああ。仲英」

そう言うと、魏無羨も仲英と一緒に盃を上げた。
そして、盃の中の酒を一気に飲み干した。

1日ぶりの天子笑の酒が、まるで伝承でしか聞いたことの無い天界の甘露のように感じた魏無羨だった。

はぁっと満足気な吐息を漏らすと、魏無羨は口元を手で拭った。

「やはり、この酒はうますぎる」

「確かに。俺も姑蘇に来て初めてこの酒を口にした時からそう思った。
いろいろなところを旅してきたが、この酒はその中でも格別な味だ」

仲英が頷きながら、また魏無羨の盃に酒を注いだ。
それから、これも食せと、酒のつまみや総菜の皿と箸を魏無羨の前に寄せた。

魏無羨は礼を言うと、総菜を箸でつまんで口に入れた。
そして、欧陽氏の闇狩りの件には触れずに、魏無羨は別のことを男に聞くことにした。

「仲英、流れ者の仙術使いと言っていたが、なぜ特定の仙門に入らずに旅を?」

「しょうにあっている」

仲英が答えた。

「見たいものを見て、行きたいところに行く。面白そうな話を聞けば、その場所を目指して旅をする。魔性に困っているという噂を聞けば手を貸す。そんな風に旅をしている」

魏無羨は頷いた。

たしかに昨夜目にした仲英の仙術の腕前なら、ある程度の規模の物なら一人でも闇狩りを遂行できることだろう。それ以外に芸も出来る。生きていくのに必要な技も十分にあるのだろう。

ただ…。

「昨夜も屍の話が気になって興味本位で山をのぞきに来たと言っていたな」

「ああ」

仲英が自分の盃に酒を注ぐ横顔を魏無羨はじっと見つめた。

「俺にも会いに来たのか?」

「ん?」

魏無羨の言葉に、仲英が魏無羨の顔を見た。

冗談めかした口調。
そして、口元は柔らかに綻んでいたが、仲英を見つめる魏無羨の目に酔いの色は無かった。

「あの時、仲英は、旅人が遭遇したという屍の出没は裏街道だと言っていたな」

魏無羨が、酒甕と盃の置かれた位置を指差し、地図に例えて示すように続けた。

「裏街道は、あの山の麓とはこれくらい違う方角にある。様子を見に来るには見当違いだ。
土地勘が無いとしても旅慣れしている仙術使いが、的外れの闇狩りに来るとは思えない。
屍のことは、でまかせを言ってないと信じてる。だが、仲英は、屍を見に来ただけじゃない。何か他の目的もあってあの山に入った。違うか?」

静かに尋ねる魏無羨に、決して相手を咎めたり、問い詰める構えは無かった。
だが、誤魔化しは効かないという雰囲気が漂っている。

そんな魏無羨に仲英がフッと笑った。

「その通りだ。本当に興味があったのは屍じゃなくて、あんただ」

仲英はそう答えると、悪びれる様子もなく甕の酒を魏無羨の盃に注ぎ入れた。

「芸で会う前、姑蘇藍氏一門を率いて街に入る姿を見た。姑蘇藍氏の闇狩りの一行は目立つ。
それで、あんたがあの有名な魔道の技を創始した魏無羨、夷陵老祖だということも分かった。
姑蘇藍氏一門がその夜に闇狩りに行く場所も街で聞いていたからな。
商家の闇狩りを終えた後、あんたに会えるかと、ちょっと様子を見に足を延ばしたってわけだ」

「なぜ夷陵老祖に会いたかった?技に関心があったか?」

「技に関心が無いわけじゃなかったが、山に入ったのは、俺の太鼓に笛を合わせてくれたあんた自身に興味を持った」

「俺自身に興味?」

「うむ。俺と同じような生き方をしている者に見えたからだ」

魏無羨は、自分と同じようなことを感じていたらしい仲英の言葉に驚いた。

「仲英の持つ志は何だ?」

「志なんていう高尚な物じゃないが、俺は自分の持てる能力で助けられる者がいるのなら、そうしたい。それだけだ。魏嬰、あんたはどうだ?」」

魏無羨が頷いた。

「俺もそうだ」

魏無羨に答えに仲英は微笑むと、魏無羨の盃に自分の盃を合わせた後、その中身の酒を飲み干した。

「世間が話す夷陵老祖の噂は様々だ。そのどれが正しいのか俺は知らん。
だが、実際に会ったお前の印象は俺には良かった。それで興味を持って近づいた。一番の理由はそれだ。それに裏街道に出たという屍の話も本当だ」

「そうか…」

「こんな説明で納得したか?同志」

片目をつぶって茶目っ気めいて聞く仲英に魏無羨は思わず笑みを浮かべた。

「ああ。だが、そんな直球で印象が良かったと言われると照れくさい気分だ」

「あははは。あんた自身が聞いたことだろうが」

仲英は面白そうに豪快に笑って、気さくに魏無羨の肩を手でたたいた。

「まあ、飲め。魏嬰。見たところ、いける口だろ?」

「ああ、酒は大好きだ。仲英は?」

「俺もだ」

魏無羨は仲英と酒を飲みかわしながら、楽しい気分になっていた。

仲英の朗らかに笑う横顔で、魏無羨はかつて、ずっと一緒にいた江澄のことを思い出した。

…こんな風に談笑し、よく酒を飲みかわしあったな。

まるで、遠い昔の、夢の中の記憶に感じられる。

そう感傷に浸りそうになる己の想いを、魏無羨は盃の酒と一緒に体の奥へと飲み干した。


「仲英、旅の話が聞きたい。珍しいことはあるか?」

「もちろん。話のタネは沢山持っている。例えば…」


魏無羨が聞いた仲英の旅の話は面白かった。


魏無羨が行ったことの無い場所。知らない景色。見たことも食したことも無い食べ物。
会ったことのない、珍しい仙術の技を持つ仙人や仙女たちの話。

旅の中で、仲英が経験したというそれらの話を魏無羨は目を輝かせながら聞き、思わず吐息をついていた。

「興味深いことばかりだ」

「だろ?いいことばかりってわけでも無いが、旅は面白いことに出会える。
今のところの悩みといえば、俺の太鼓の芸が今一つマンネリで工夫が必要ってとこだ」

「工夫か。仲英はいい声をしている。今度芸をするときは太鼓と一緒に歌うともっといい」

魏無羨がそう言うと仲英がニッと笑った。
そして気分よく歌い始めた。

「『山は動かず、風は吹き、雲は流れる。雨が天から山に降り注ぎ川になり、雲となり風に吹かれ、また山に戻る。人の出会いもまた、偶然か必然か』

誰かの詩だろうか。

体を揺らしながら浪々と歌う仲英の低い美声はよく通った。

「どこの、誰の歌だ?なかなかいい」

「だろ?俺も出どころは知らん。旅をしていた時に会った者が歌っていたのを覚えた」

「旅は長いのか?」

そう聞く魏無羨に仲英は遠い目をした。

「ああ。物心ついた時にはもうずっと旅をしていた。元は、ある仙家に属していたが、俺が子どもの時に両親が闇狩りで亡くなった。その後、両親が助けたという旅芸人一座の座長にひろわれ世話になり、座長が亡くなった後は、一座を離れ仙術の技を身につけながら根無し草の旅生活だ」

「そうか…」

魏無羨は自分と似たような境遇の仲英の身の上話に、そっと目をふせた。

そんな魏無羨に仲英が笑った。

「そんな湿っぽい顔をしないでくれ。旅も芸も楽しいぞ」

魏無羨は顔を上げると微笑を浮かべた。
そんな魏無羨に、仲英も優しい笑みを浮かべた。

「魏嬰、二人で芸をやってみないか?太鼓と歌と笛で」

「ああ、いいな」

そう軽く頷いた魏無羨に仲英は手を伸ばした。
そして魏無羨の背に腕を回し、その肩を抱くと顔を覗き込んだ。

「そして、一緒に旅をしよう」

…ん?

仲英の顔は酒酔いでほんのり赤くなっていたが、魏無羨を見つめる目は真摯だった。

…それは…。

魏無羨が、口を開きかけた時、


「魏嬰」


自分を呼ぶ、隣にいる者ではない男の声が聞こえた。

魏無羨は反射的に、その声の方に勢いよく顔を上げた。


人通りの多い往来の中でも、魏無羨には、はっきりとその白い姿が浮かび上がって見えた。

魏無羨と仲英が座っている酒場通りの向こう側。

こちらを見つめて、藍忘機が佇んでいた。



(続く)


みつばの二次小説を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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