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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「予兆」(前編)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「風雲と隠れ月」の続きになります。



予兆(前編)




…体中が寒くて痛い。

それでも、だんだんと楽になってきた。

朦朧とした意識の中で、自分の手を取り、そこに霊気を送り込んでくれている藍湛の姿が見える。

藍湛の霊気が、悪化した胸の火傷と、高熱で弱っている体を癒してくれているようだ。

藍湛が、これまでよりも、より一層身近な存在に感じる。

それにしても、静かすぎる。

偽玄武の魔物は倒したが、暗い洞窟の中。
早くこんなところから脱出したい。
でも、この体ではすぐに動けそうもない。
心もとない思いにもなってくる。

そんな気分を変えたい。

「藍湛…何か歌ってよ」

無言で霊気を送り続けている藍湛につい甘えた事を口にした。

いつもだったら、たぶん無視されるだろう。

だが、ややあって、藍湛は小さく歌い始めた。

とても美しいメロディだった。

「いいね…。なんて題名?」

だんだん楽になっていくと同時に意識も遠のいていくのを感じる。

ぼけた視界の中で、藍湛がこちらをジッと見つめている。

その唇が何か言葉を発しているのが見えた。

…聞こえない。何て言ったんだ?藍湛。

そう問いかけたくても、もう口を開くことも、目を開けることも出来ない。

あたりが真っ暗闇になった。


ただ、体の内側から温かい気と光が満ちてくるのは感じ続けた。

藍湛がずっと霊気を送り続けてくれているのだろうか。

目を閉じていても、近づく人の気配も濃厚に感じる。

…藍湛?

うっすらと目を開けかけた時、自分の唇に何かが触れた。

やわらかく、温かい何か。

…何?

指先1本、ピクリとも動かせない状態で、ただ、自分の唇が、何かに塞がれている感触だけは鮮明に感じる。

それは、とても長い時間のように感じた。

唇が、その何かに開放された時、少しだけ重い瞼を開けることが出来た。

ほとんど真っ暗な視界の中で、ゆっくりと遠ざかる藍湛の顔と白い輪郭が見えた。

…藍湛?…今。…今のって・・・まさか…。



唇の近くに再び冷たい物が触れた。

そこで、魏無羨の現実の目がぱっちりと開いた。

「・・・・・・」

「目覚めたか?魏嬰」

魏無羨は、自分を見下ろしている藍忘機の顔を凝視したまま固まった。

清室の寝台の上、体を横たえている魏無羨に覆いかぶさりこそしていなかったが、
傍らで身を屈めている藍忘機を信じられないような目で魏無羨は見上げた。

「…何してるんだ?藍湛」

「君の顔をふいている」

藍忘機は手に持っていた濡れ布巾を魏無羨の顔の前で見せた。

「今日は闇狩りに行く予定だと聞いた。何度も呼んだが起きないので、こうしている」

「あ、今、俺の顔に触れていたのは、これ?」

藍忘機が頷いた。

「なんだ。俺、てっきり・・・」

「てっきり?」

言葉を途切れされた魏無羨に藍忘機が不思議そうに問うた。

「いや。なんでも無い」

魏無羨は慌てて答えると、上半身を起こした。

「起こしてくれたのは感謝するけど、これのせいか変な夢を見た」

魏無羨は、藍忘機の手から濡れ布巾を取ると、それを見つめながらぼやくように言った。

「昔の記憶。俺たちが偽玄武と戦った時の夢。藍湛、覚えてる?」

藍忘機はこくりと頷いたが、起きた魏無羨に役目が終わったとでもいうように、寝台から立ち上がった。


「俺、高熱出して覚えてないんだけど、藍湛が歌ってくれた曲の題名聞いたよな?藍湛は答えてくれてたみたいだけど、何て言ったんだよ?あの時にはすでに題名を決めていたんだろ?」

「…なぜ今聞く?」

「今じゃなくても、俺今までも何回も聞いたけど教えてもらってない」

「・・・・・・」

藍忘機は朝の支度を始め、まるで魏無羨の声が聞こえてないようなふりをしている。

そんな藍忘機の背中に向けて、さらに魏無羨が話し続けた。

「あの曲、あの曲~って言うのもいい加減飽きたよ。いい曲なんだから、もったいぶらずに教えてよ。それとも題名に言ってはいけない秘儀みたいなものが隠されてる?」

「秘儀など無い」

「でも、秘密はあるんだ?」

鋭い魏無羨の指摘にも、藍忘機は『沈黙は金』とでも言うように無言だった。

そんな藍忘機にじれた魏無羨はむくれた顔になった。

「藍湛と俺は盟友だと思ってたのって、俺だけ?藍湛は俺に秘密ばかりだ」

ブツブツと不貞腐れた魏無羨の小さな独り言は、耳の良い藍忘機に届いていた。

振り向いた藍忘機は、何か言おうと口を少し開きかけたが、すぐに閉じて目も伏せた。

そして開け放した清室の引き戸から濡れ縁に出た。

魏無羨も寝台から出ると、藍忘機の後を追うように濡れ縁に歩いて行った。
濡れ縁は、しっとりと湿っていた。

藍忘機は、池の魚に餌を落としていた。
魏無羨は、藍忘機の近くに並ぶと周囲を見回した。


清室の庭の池の上には、風で散ったもみじや、ちぎれた笹などが落ちている。
庭の中はすでに藍忘機の手によって綺麗に掃除されていたようだったが、清室を取り囲む木々たちには強風で荒れた痕跡があちらこちらに残っていた。

「俺たちが寝た後に嵐が来たのかな?」

藍忘機が頷くと「すぐに去った」と言った。

「ああ、想定してたより早く収まって良かった。今日の闇狩りは落ち着いて出来る」

「ん」

「藍湛の今日の予定は?」

「私も出かける」

「どこに行くんだ?遠いところ?」

「金麟台」

「ふーん…」

そう相槌を打った後、急に黙って鼻の頭を指でかいている魏無羨に藍忘機が目を向けた。

…何か言いたいことがあるのか?

魏無羨をじっと見つめ、そう問いたげな藍忘機の顔に、魏無羨は観念したように口を開いた。

「藍湛とはいつ一緒に闇狩りに行けるのかなって考えてた」

「その時がきたら一緒に」

「ああ~、うん。そうだな」

コクコクと頷きながら魏無羨は苦笑を浮かべた。

…藍湛、藍湛。『その時』っていつかを知りたい。

しかし、仙督になった藍忘機の多忙さを知っている魏無羨はそれ以上のことが聞けなかった。
藍忘機は嘘を言えない。口約束だとしても不確実なことを言って、実行できなければ嘘になる。

だが、だからこそ、藍忘機の返事に嘘が無いことも分かっていた魏無羨だった。

…藍湛が、その時がきたら一緒にって言うのだから、絶対に行ける。


闇狩りに、今すぐ藍忘機の力がどうしても必要というわけでもない。
このあたりで、最近の闇狩りは、弟子たちや魏無羨だけで十分対処可能なものばかりだった。

弟子たちも成長している。

藍忘機は姑蘇藍氏の闇狩りの引率者を引退し、弟子たちへの教育も他の指導者に任せ、
仙督業務に集中したほうが良いのかもしれない。そうは、思っても。

だけど、ただただ、藍忘機と一緒に闇狩りに行きたいという想いが強い魏無羨だった。

…献舎されるまで時が止まっていたから俺にはまだ子どもっぽい部分が残っているんだな。

のほほんと、自分の気持ちを分析する魏無羨だったが、以前から魏無羨を知る者が聞けば、とくに昔から魏無羨を知る江澄あたりには、時が止まっていなくてもお前は変わらないだろうよ。と言われそうな考えだった。

「その時がきたら一緒に闇狩りに行こう。楽しみだ」


闇狩りに行くのを、ピクニックでも行くかのように楽しみだ、と言う仙人は、魏無羨くらいの者だろう。

しかし、本当に楽しげな想像をしているかのように、嬉しそうに笑う魏無羨の顔に、藍忘機もやわらかな表情を浮かべた。

一瞬、心が通じ合ったと感じた以外に、何かくすぐったくなるような感情が魏無羨の中に生まれた。

その正体も分からずに、無償に照れくさくなった魏無羨は、藍忘機の顔からとっさに視線をそらせた。

「せっかく早起きしたから、着替えて、食堂でご飯でも食ってくるかな」

そう大きく独り言を言った後、魏無羨は踵を変えた。

そして、清室の中に足早で戻ろうとした時、濡れた床に足をとられてバランスを崩した。

「わっ!」

「魏嬰!」

すぐに振り返った藍忘機が魏無羨の方に駆けた。
そして、勢いよく後ろに倒れかけた魏無羨に腕を伸ばし、その体を支えようとした。

だが、一歩距離が及ばない事を瞬時に悟った藍忘機が、
せめて魏無羨の後頭部が床に叩きつけられるのを防ぐように、腕を魏無羨の首の下に差し入れ、魏無羨を抱き包むように一緒に床に倒れこんだ。

ダンっ!

大の男が二人、床の上に勢いよく倒れこむ派手な音が静かな敷地内で響いた。

とっさに後ろ手で受け身を取った魏無羨だったが、頭は藍忘機の腕によって守られた。

魏無羨は、首の後ろに藍忘機の腕を、体の上に藍忘機の重みを感じた。

しかし、それよりも藍忘機の存在を感じたのは顔だった。

魏無羨の横顔に伏せられた藍忘機の顔は、頬と頬が密着するほどに近かった。

魏無羨は、藍忘機の息を飲む気配をまじかに感じ、同時に、
藍忘機の唇が自分の耳に触れているのがはっきりと分かった。

やわらかく、温かい感触。

冷えた魏無羨の耳に、それはとても熱く感じられた。

…この感覚、どこかで…?

戸惑っている魏無羨を置いて先に動いたのは藍忘機だった。
藍忘機が顔を上げた。

その瞳が下にいる魏無羨の視線とかちあった。

一目で動揺しているのが分かる藍忘機の瞳。


「藍湛、わざとじゃないって分かってる」

魏無羨がとっさに言った。

「藍湛のおかげで俺の頭に瘤が出来ずにすんだ。藍湛の腕は大丈夫か?」

魏無羨の言葉に藍忘機は小さく頷くと、魏無羨の首の下から腕を引き抜いた。

すでに藍忘機の顔は平静に戻っていた。
静かな所作で魏無羨の上から立ち上がると、魏無羨の腕をつかんで魏無羨を引き起こした。

「気をつけなさい」

冷静な藍忘機の言葉に「うん」と答えながらも、魏無羨はまだ衝撃から立ち直っていなかった。

どうということは無いはずのアクシデントのはずだった。

ただ、転んだだけだったなら。

「ああ~、そういえば、こんなこと前にもあったよな?藍湛」

そんな動揺を隠すように、魏無羨がわざとらしく明るい声を出した。

「ほら、寒潭洞から出た時。藍湛の抹額を結び付けていたから、二人で倒れこんでしまったこと。
覚えてる?」

すでに清室の部屋の方に歩いていた藍忘機は歩みを止めた。
そして振り返りはしなかったが、魏無羨の方に少しだけ顔を向けた。

「今朝は、昔の話をよくしているが、君にとって思い出したくないものなのでは無いのか?」

寒潭洞のことも。
玄武洞のことも。

陰鉄探しから、そこに続く温氏との確執から生じた悲壮な出来事の記憶。

「…思い出したくないこともある。でも、中にはそうじゃないものもある。
藍湛もそういう記憶があるだろ?絶対に忘れたくないものが」

魏無羨がぽつぽつと語った。


「・・・・・・」

無言の藍忘機に魏無羨が続けた。

「確かに、あの時期のことはいい記憶じゃない。
でも、俺は藍湛と一緒にしたことは忘れてないし、忘れたくない。
それに、その昔の記憶を共有できるのは、藍湛だけだ。だけど…」

魏無羨の時間が止まっていた間に16年間たっている。
藍忘機の記憶が魏無羨より薄まっていたとしても仕方がないだろう。

それに、藍忘機にとっても、あの時期の記憶はいいものでは無いはず。
いい記憶だけ共有したいというのは、魏無羨の都合の良い思いかもしれない。

「藍湛が思い出したくないって言うなら、もう言わない」

藍湛の嫌がることはしたくない。

そんな思いできっぱりと言った魏無羨に藍忘機が振り向いた。

「魏嬰、君が話したいなら話せ。それが君のいい記憶なら私も聞きたい」


「…うん!」


ぱあっと明るい笑みを浮かべた魏無羨の顔を見つめた後、藍忘機は再び魏無羨から背を向けた。

「藍湛も一緒に食事に行こう」

そう背に呼びかける魏無羨に藍忘機はかぶりを振った。

「私は用事を済ませ鍛練を行ってから食事をとる」

「分かった。じゃあ、先に行ってる」

魏無羨は、藍忘機の後に続き、清室に入った後、寝間着から外出着に着替えた。
そして、座卓の前で何か書き物をしている藍忘機に声をかけると、空腹感を覚え始めた腹部に手をあてながら、元気よく外に飛び出した。

藍忘機は、清室の中から魏無羨の背中を見送った後、己の唇にそっと指をあてた。

藍忘機の唇は、魏無羨に触れた記憶を閉じ込めたように、
藍忘機の指先に温かい熱を伝えた。

しかし、藍忘機は何かを振り切るように、唇から指を離すと、その手で横にあった書簡を開いた。

「・・・・・・」

ひんやりとした紙の感触と、中に書かれていた文書が、瞬時に藍忘機の周囲の空気を冷たいものに変貌させた。

そのころ。

そんな藍忘機を知らない魏無羨は、鼻歌交じりで、食堂にむかっていたのだった。


(続く)


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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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