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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「風雲と隠れ月」(前編)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「屋兎の愛」の続きになります。



風雲と隠れ月(前編)



その日の昼過ぎ、魏無羨は珍しく姑蘇藍氏の集会に顔を出した。

姑蘇藍氏領内の掲示板にて、
“火急の用のある者以外、姑蘇藍氏内の門下生は参加するように”と、緊急招集されていたのだった。

広間に藍忘機と藍啓仁の姿が無かったが、藍氏宗主の藍曦臣が集まった門下生達の前に立った。

「この前の月例会で話をした藍忘機の仙督就任式ですが、
しばし延期されることになりました」

―――え?

無言ではあったが、藍曦臣の言葉に広間中の門下生達に動揺する空気が流れた。

「就任式の日取りは決定次第改めて知らせることになりますが、月例会で発表した闇狩り等の日程に変更はありません。
各自、自分の予定を確認すると共に、就任式準備の手配が指示された者は、その手伝いを優先させるように」

「はい」

時間通りに、雲深不知処内各箇所から広間に集まった門下生達は、
「解散」の声と共に、移動符でも使ったかのように、あっという間にそれぞれの持ち場に去って消えていった。

藍曦臣の姿もすでに無い。

魏無羨は、足早に歩いていた藍思追と藍景儀に追いつき、首根っこを摑まえる勢いで、二人を引き止めた。

「おい、どういうことだ?」

「何がですか?」

魏無羨に首襟を引かれながらも歩みを止めない藍景儀が煩わしげに聞いた。

「仙督就任式の延期の話だよ。一体何があった?」

「私に聞かないでください。我々も先ほどの沢蕪君様の話が初耳なのですから」

「俺に隠しても為にならないぞ」

「何を言っているんですか。魏先輩こそ、含光君様からお聞きになっていないのですか?清室で一緒にお暮しになっているのに」

藍景儀の的を得た言葉がグサリと魏無羨の胸に突き刺さった。

昨夜遅くに清室に帰ってきた藍忘機と、酒にほろ酔い気分の魏無羨は、就寝の挨拶程度の会話しかしていなかった。そして、早朝には、すでに藍忘機の姿は清室からいなくなっていた。それは、最近ではいつものことだったのだが。

そんな魏無羨の表情を見た藍思追がフォローするように立ち止まった。

「弟子の私も先ほど初めて知りました。含光君様が仙督になられているのは事実。
ただ、その周知に関してご担当されているのは、含光君様ご自身でなく、他の重役の方々が担っていることもあるのでしょう」

就任式はいわば、就任披露宴。
仙督を輩出した仙家にとっては一大行事となる。
しかし、それまで、華やかな宴会というものに招致はされても、自ら開くこととは無縁だった姑蘇藍氏にとっては、難しい課題が山積みなのかもしれない。

それに、就任式自体が中止されたわけでも、藍忘機が仙督の座から降りるという話でも無いのだ。

弟子や、同居人に話して無くても何の支障も無い。

「無いはずですが・・・」

魏無羨と藍景儀にそう言いながらも、心持ち、落ち込んだような目をしている藍思追と、
同じく、藍思追の話に納得しながらも、どこか釈然としない顔で鼻の頭を指でかいている魏無羨に藍景儀が、思いっきり『やれやれ』という表情で肩をすくめた。

「そんなに気になるなら、今から含光君様に直接延期の理由を聞けば良いのに」

「しない」
「するか」

魏無羨と藍思追が異口同音に言って、互いの顔を気まずそうに見合わせて黙った。

藍思追の方が先に口を開いた。

「含光君様は、とてもお忙しい身。大切な話ならきっとお話し下さるはずなので、その時まで私は待ちます。それまでは自分のすべきことをしなければ。景儀、早く本日の闇狩りに行く準備をしましょう」

「闇狩りに行くのか?俺、今日は暇なんだけど、ついて行っていいか?」

もやっとした気分を憂さ晴らししたい。
そんな思いで、提案した魏無羨の同行は、藍思追と藍景儀にきっぱりと断られた。

「本日の闇狩りは、我々門下生だけで参ります」

「魏先輩がいると非常に助かりますが、助力が大きすぎて、我々の出番が無くなります」

まるで魏無羨が姑蘇藍氏の弟子達の功を全部奪っているというような藍景儀の言い方に、藍思追が慌てて「我々だけで力を試す修行もしなければなりません」と言い添えた。

「魏先輩には、ぜひ次回以降の闇狩りでご指導をお願いします」

それでは、失礼します。

と、藍思追は藍景儀を促し拝礼すると、急ぎ足で魏無羨の前から去って行った。


「・・・なんだよ。どいつもこいつも。俺をのけものか?」

元々、姑蘇藍氏の正式な一員で無いことを自覚しながらも、魏無羨は面白くなさそうに鼻をならした。

闇狩りに関しては、確かに藍景儀と藍思追の言う通りであり、いつまでも力のある指導者に頼っていては、経験が積めないのも事実。
藍曦臣が魏無羨や他の指導者を同行させないという事は、今回の闇狩りは弟子達で対処できると判断したのだろう。

仙督就任式に関しても、藍思追の言う通りなのかもしれない。

仙督となる藍忘機にとっては、大事な式ではあるが、それよりも就任している職務に集中し、他の業務に関しては、藍曦臣や藍啓仁が藍忘機を補佐する役目についているのだろう。今までとは逆の役割。

藍忘機は、兄と叔父よりも“上”の権威者になったのだ。

そうは考えても、やっぱり魏無羨にはその事自体はどうでもいいように思えた。

…藍湛もそう考えたのか?権威を示す仙督就任式はとくに重要な物で無いと。
それよりもやりたいことをしているだけだって。

『弱き者を助ける人でありたい』


「・・・だから、藍湛は俺に就任式延期の話をしなかったか…」


ぼんやりと散歩しながら、
魏無羨は、雲深不知処の結界がはられた中で外縁ぎりぎりに位置するお気に入りの場所についた。

深い緑の木々に囲まれ、清冽な水が流れる川。
澄んだ水の中で魚たちが泳ぐ姿も見える。

そこは、日中、闇狩りの任務などに行っている姑蘇藍氏一門たちは誰も来ない、一人で休むにはうってつけの穴場だった。
魏無羨はつい気を許して、心の声をブツブツと漏らしていた。

さらさらと小川の水が流れる音。

しかし、その音に混ざり、不自然な風が起こっている気配に魏無羨はハッとなって顔を上げた。

獣頭の家紋が描かれた上等の布地の外服を着た人物が川原に立っていた。

手にしている白い扇を仰ぎながら、そこにいた人物は背後から現れた魏無羨に驚く様子も無く、ゆっくりと振り向いた。

「お前・・・!」

…なぜ、こんなところにいる?

驚いて、指刺す魏無羨に、その人物が微笑で返した。

「魏兄が雲深不知処の中でずっと暮らしているという噂は本当だったのですね。
こうして目にするまで半信半疑でしたが」

そこにいたのは、聶懐桑だった。

魏無羨と昔、この雲深不知処の中で共に学んだ同期生であり、
今は清河聶氏宗主である聶懐桑。

「俺が雲深不知処にいる噂をどこで聞いた?」

魏無羨は近づいていき、聶懐桑の隣、人一人分空けた場所に立ち止まった。

「清河聶氏の門下生たちが闇狩りで、他の仙家の者と会う時によく情報交換をしているそうです。
姑蘇藍氏の弟子達は、緘口令を守って黙しているようですが、あなたを雲深不知処あたりの闇狩りで見かけた他の者たちが噂をまことしやかに流したのでしょう」

「姑蘇藍氏も、俺のことに関してとくに緘口令を敷いているわけじゃ無い。
ただ、無駄口叩かず、余計な噂話を流さないというマナーを守っているだけだ」

「・・・魏兄は、もうすっかり雲深不知処の者みたいですね。昔はあれほど姑蘇藍氏の規則を嫌がっていて、すぐに出て行きたいとずっと言っていたのに」

「この広い世界で、俺はどこでも住処にすることが出来るんだよ。雲深不知処もそうだ」

聶懐桑が内包している何かの思惑に気付かないふりで、魏無羨は聶懐桑から小川に目を向けた。

「今日は何をしにここに?」

「仙督へご機嫌伺いです」

聶懐桑が淡々と答えた。

「挨拶ならこの前していただろう?わざわざ遠くの地まで赴いて、何度もご機嫌伺いとは、宗主も大変だな」

そう軽く労う魏無羨に聶懐桑は、とくに何の感慨も湧かない体で手にしていた扇子を閉じた。

「そうそう、魏兄に会ったら差し上げたい土産があったのです」

「土産?」

聶懐桑は、扇子を腰帯にさすと、衣服の合わせの胸元から書物を取り出した。

「これです」

その書物の表紙には『清河の歴史』と書いてあった。

「・・・・・・」

…こんな本をどうして俺に読めと?

いくら土産だといえ、魏無羨には関心の薄い類の書物で、手放しで喜べるような物では無かった。

迷惑そうに、書物の表紙を見つめている分かりやすい魏無羨の顔に、聶懐桑がクスリと笑った。

「中を見てください」

「ん?」

聶懐桑に言われるまま、書物の中を開いて見た魏無羨は目を見開いた。

それは表紙に書かれた固いタイトルとはかけ離れた内容だった。
精密に描かれた男女の絵。それも、衣服を身につけずに絡み合った構図。
事細かく、情交の技法や体位の取り方の注釈も書かれている。

「これは…」

思わず息を飲んだ魏無羨に聶懐桑が我が意を得たり、という顔で頷いて見せた。

「中身は不淨世に住む著名な春本描き作家の新作です。
おおっぴらに売り出すことが出来ないほど過激ゆえ、発行されている部数も少ない希少本ですよ。この製本方法は、昔、魏兄が私に教えてくれた、春本の表紙と中味を取り換える技法で作成しました。どうです?上手く出来ているでしょう?」

得意げな聶懐桑の話を聞くよりも、魏無羨は手にした春本の中味に目も意識も釘づけになっているようだった。


「こんな珍しい春本を、俺がもらってもいいのか?」

「もちろん。魏兄の為に、ここに持ち込んだのですから」

持ち込むのはとても勇気が必要だったのですよ。と聶懐桑が言った。

「今、雲深不知処の警戒はとくに厳しい。客人でも中に入る前に身体チェックをされることもありますから」

「そうなのか?なぜ?」

聶懐桑が、本気で問うているのか?という顔で魏無羨をじっと見つめた。

「姑蘇藍氏に仙督がいるからです」

「・・・・・・」

仙人の世界でその長となる仙督。
前任の仙督なきあと、藍忘機がその座に就いていた。

だが、それはまだ表向きのこと。
4大仙家だけでなく、他の多くの仙門の宗主を招き、姑蘇藍氏が就任式を行い、藍忘機を仙督としてお披露目した後、正式に認められることになるのだ。

その就任式が、当初の予定より延期されると、魏無羨は聞いたばかりだった。

そのタイミングでの、聶懐桑の雲深不知処来訪。

魏無羨は、春本を閉じると聶懐桑の横顔をジッと見つめた。

「何を考えている?」

魏無羨が聶懐桑に問うた。

意図的にでは無くとも魏無羨の声は低くなっていた。


「今日は、含光君へのご機嫌とりの他に何をしに雲深不知処を訪ねた?まさか俺に土産を届ける為に来たわけでは無いだろう?さっきも噂は半信半疑だと言っていた」

「・・・ええ、そうです」

聶懐桑が腰帯から抜いた扇子を開いて、それを胸元で仰ぐと、
魏無羨から目を逸らしたまま小川の向こう岸に視線を送った。

「私は、魏兄が雲深不知処に本当にいるのか知りませんでした。
ここに来て、魏兄を実際に目にするまでは。ただ、私があの日、魏兄と含光君と会った後、魏兄はずっと含光君のそばにいるのではないか?と考えただけです。会えたなら、この土産を渡そうと思いました」

「俺がここにいるか分からなかったのに、含光君のそばに居る?そんな確証もない考えで、雲深不知処にこの土産を胸に入れて持ち込んだのか?」

…雲深不知処内に密偵を送り込んで中の様子を探っていたのでは無いのか?

手の書物を振り、口元に笑みを浮かばせながらも、魏無羨の目は笑ってはいなかった。

「その本は、私のお守り代りですよ」

聶懐桑が魏無羨の手の書物に目をやると、こともなげに言った。

「組織の上に立つ者は、胸に誰かの仙剣が突き刺さるかもしれない、という事態が起こる確率がただの仙人でいる時より高いゆえ」

「物騒な上に、何の根拠も無い話だな」

聶懐桑の言葉に魏無羨が鼻をならした。

「上にいる立場の者が、必ずしも誰かの恨みを買うわけではあるまい?
常に狙う理由も無く、人は人を襲わない。そこに何か別の意図が隠されているのなら話は別だが。たとえば、その者の権力を欲してるとか?」

聶懐桑から目を離さず、無意識に腰帯の陳情に手を置いた魏無羨を聶懐桑はチラリと見た。
そして、またすぐに視線を前に戻すと、軽い吐息をついた。

「魏兄」

聶懐桑は、遠くの景色を眺めているような横顔を魏無羨に向けた。

「魏兄は、昔、この場所で一緒に遊んだ時のことを覚えていますか?」

「あ?」

周囲の景色を見渡した聶懐桑が、視線を小川の中に向けた。

澄んだ水のせせらぎの中で、時折、泳いでいる魚たちの背の鱗が煌めいて見え隠れした。

「この小川に入り、魚を一緒に捕まえました」

聶懐桑の視線の先に一緒に目を向けた魏無羨は、しばらく無言で川の流れを見つめた。

ぼんやりと、昔、姑蘇藍氏で学んでいた時に、聶懐桑を誘って川遊びをしていた記憶が思い出されていた。


「ああ、そんなこともあったな」

頷く魏無羨に、聶懐桑が微笑を浮かべて言った。

「私は、今でもその時のことを鮮やかに覚えています」

聶懐桑が続けた。

「魏兄に誘われていろいろな悪さをしました。それまで大哥(兄)の威光に隠れ、姑蘇藍氏の威厳に恐縮し、大人しくしていた私が、この規律の厳しい雲深不知処で初めて数々の規則を破ったのです」

「それは、悪いことをしたな」

と、悪びれずに言う魏無羨に、聶懐桑は笑みを深くした。

そして、「楽しかった」とぽつりと呟くように言った。

「私には、それらの記憶の中で、楽しかった、という思いしか残っていないのです。
魏兄と、江晚吟と、他の修習生たちと共にここで過ごした時間は短いものでした。だが、私の人生の中で、その後に流れた月日に置いていかれた宝物のような日々でした。そんな感情を、魏兄に理解して頂けますか?」


聶懐桑は泣いてはいなかった。

口元には、仄かな笑みさえ浮かべていた。

だが、魏無羨をジッと見つめる双眸の中に揺れる瞳はどこか悲しげに見えた。

魏無羨は、仙督となった藍忘機のことを案ずるあまり、聶懐桑に対する態度と物言いが、つい意識的にも険しくしていた事を、やりすぎたと感じた。


しかし、いろいろな事がありすぎた。

もう、少年期に無邪気に戯れながら魚を取ったり、夜の寮部屋の中で、一緒にこっそりと春本を見たり、酒を飲みながらくだらない話で笑い合ったりしていた頃には戻れない。

長い年月が二人の間に影のように伸びている。
しかも流れたのは時間だけではない。

年も、場所も、立場も、かけ離れてしまっていた。

そして、それ以上に、観音堂の事件の時に、魏無羨ははっきり知ってしまったのだ。
献舎された後、薄々、感づいていた事が、事実だったことも。

聶懐桑も魏無羨に全部知られたことは分かっているのだろう。
いや。もうずっと前にその事すら、すべての仕組みに入っていたはずなのだ。

何もかも、その通りになって。

そして、その後、魏無羨に自分という人間がどう見られるのかも。
分かっていて、それを実行に移したのだ。

そして、今、聶懐桑は魏無羨の隣に立っている。

言い訳も、説明も、何もしないまま。

この先、問わない魏無羨に、聶懐桑も永遠に何も告げることは無いだろう。

それが分かっていながら、過去の思い出は「楽しかった」と寂しげな顔で話す聶懐桑に、魏無羨は、胸の奥が少し、ちりり、と痛んだ。

自分にも昔の聶懐桑との思い出が。江澄や師姉との思い出が。
黒雲に覆われた闇の中で、時折小さな星灯りのように心の奥底で瞬いて感じられる。

同時に、その後の辛く悲しい記憶も蘇りそうになるが、
それは、魏無羨の中で確かに存在した光だった。

その光を否定する権利は誰にも無い。

それが他人のものであっても。


「・・・わかるよ」

コクリと頷いて見せた魏無羨に、聶懐桑は双眸をやわらかに細めた。



(続く)



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