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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「屋兎の愛」(後編)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「姑蘇藍氏の月例会」の続きになります。


【追記修正】藍思追の本名は「温苑」ですが、姑蘇藍氏に来てからは「藍願(愿)」です。



屋兎の愛(後編)



阿願と藍忘機の間にしばし沈黙が流れた。
丘の上の兎たちが、阿願が持って来ていた餌を食べつくすころ、阿願は思い切ったように口を開いた。

「あの、そっちの兎・・・」

阿願が藍忘機の膝の上の2羽の兎を見て言った。

「含光君様の右手の方の兎です。今日もほとんど食事をしていません」

「ん…」

藍忘機は右手の方でうずくまってジッとしている兎を見つめていた。

その兎は日に日に弱っていくようだった。

藍忘機が匙で薬を飲ませようと試みていたが、それすらも飲みこまずにいた。

もう1羽の兎が心配するかのような仕草で、隣の兎の首に鼻をこすりつけていた。

阿願は前から聞いてみたいと思ったことを藍忘機に聞こうか迷っていた。

それは、兎たちの名前だった。

以前、世話を始めた頃、兎たちに名前をつけようとし、阿願をそばで見ていた藍曦臣にやんわりと止められていた。

「その兎たちには名前があるようですよ」と。

どうやら、藍忘機がもうすでに名前をつけていたようだった。

「その名前はなんですか?」

そう問う幼い阿願に藍曦臣が苦笑してかぶりを振った。

「私も教えてもらっていないのです」

兄の藍曦臣にも教えていない名前を自分が聞けるわけはない。
そう考えて阿願は藍忘機に兎の名前を聞くことを諦めていた。

兎たちを撫でながらも、藍忘機はその名を口に出すことは無かった。
だが、きっと心の中ではその名前を呼んでいることだろう。

いったい、藍忘機は兎たちにどんな由来の名前をつけたのか?阿願はとても興味を持っていたが、それを聞くかわりに、阿願は違う質問をすることにした。

「含光君様はどうしてこの2羽の兎を飼うことにしたのですか?」

雲深不知処の中に野兎は沢山いた。
この2羽も、その中の兎たちと外見も何もかも同じように見えた。

何故、この兎たちだけ先に含光君が飼おうと思ったのか。

今度も答えてくれないかもしれない、と考えていた阿願だった。
だが、藍忘機は、「ある人から贈られた」とポツリと言った。

「贈り物だったのですか?」

驚く阿願に藍忘機は頷いた。

「ある人というのは、誰ですか?」

言ってから、さすがにぶしつけな質問だったと後悔した阿願は、気まずそうに口を引きむすんだ。

しかし、藍忘機は、膝の上の兎に目を落したまま「今はここにいない人だ」と答えた。

阿願は藍忘機の言葉で、何かを漠然と知ったような気になった。

・・・この兎たちは含光君様の特別な人から贈られた兎たちだったんだ。
だから、含光君様にとっては特別なんだ。

留守にしている間も気にかけていたという兎たち。

…でも、そんな大切な兎たちを置いて、どうして含光君様はずっと姑蘇藍氏にいなかったのだろう?

同時にそんな疑問がわいていた阿願だったが、やはり、藍忘機に直接聞くことを無意識に止めていた。

藍忘機には聞きたいことが沢山あった。
もちろん、日々の修行の中で、教えてもらいたいことも山のように出てきた阿願だったが、
成長と共に自分の出自に関してだんだんと知りたい気持ちになってきてもいた。

だが、藍忘機は、阿願と二人きりになる機会があっても、その事を語ろうとしなかった。

何かしら深い事情があるのだろう。

そう思い、阿願は、藍忘機の口からそれらを教えてもらうまで黙していることに決めた。

含光君は、厳しいだけの人では無い。
そして、決して冷たい人では無い。

そんなことが分かってきていた阿願だったが、藍忘機の人を寄せ付けない空気に、さらに見えない壁のような物があるのも感じていた。
だが、兎たちと一緒にいる時は、それが消え、藍忘機の空気はやわらかいものに変わる。

阿願は、そんな藍忘機の姿を見ることが嬉しかった。

過去のことより、今は藍忘機に学ぶことが沢山ある。

そんな思いで阿願は、兎を撫でている師匠を見つめ、この先もずっと含光君についていこうと子ども心に決意していた。

そんな日から、数日たち―――。


元気の無かった兎は、とうとうほとんど動かなくなっていた。

心臓の鼓動は弱まり、微かにしている息は苦しそうに荒い。

丘の上で、そんな兎を見つけた阿願は慌てて袖で弱っている兎を包むと、心配そうにまとわりついているもう1羽の兎を餌籠の中に入れて、私邸「清室」にいた藍忘機を訪ねた。

清室から微かに聞こえていた琴の音が止んで、しばらくして藍忘機が姿を見せた。

阿願は、腕の中にいる兎を藍忘機に差し出した。

阿願はほとんど泣いている状態だった。

「含光君様…兎は、この兎は・・・」


…泣いてはいけない。一番辛いのは含光君様なのだから。


そう思っても、流れる涙を留められずにいた阿願だった。

そんな阿願に藍忘機は頷いて見せると、阿願から虫の息の兎をそっと受け取った。

腕の中の兎が、自分を抱いているのが藍忘機だと分かったように、かすかに鼻をひくつかせた。

藍忘機はそんな兎にジッと目を落すと、何か呟いた。

…え?

キョトンとして突っ立っている阿願に藍忘機は、今度は聞こえるほどの声で言った。

「兎たちは私が預かります。君は寮に戻りなさい。もうすぐ講義の時間のはず」

「はい・・・」

藍忘機と腕の中にいる兎、そして、籠から顔を出している兎に後ろ髪を引かれながらも、
阿願は藍忘機に拝礼して去ることにした。

そんな阿願を藍忘機が「阿願」と呼びとめた。

振り返る阿願に藍忘機は言った。

「ありがとう」

その顔は穏やかで、まるで兎がこうなることをずっと前から覚悟していたようだった。
ただ、いつもの氷が解け、それがむしろ無数の滝の涙のように藍忘機の顔に流れているように感じた阿願は居た堪れない思いになって、もう1度拝礼した後、駆けるように清室の階段を下っていた。

藍忘機の小さな声。

だが、耳の良い阿願にははっきり聞こえていた。

藍忘機が、弱っていた兎のことを「無無」と呼んだのを・・・。


阿願が毎日のように餌を与え、抱いたり、撫でたりしていた兎。
もう1羽の兎より人懐っこく阿願に甘え、よくおどけた仕草をして笑わせてくれた。
厳しい規律がある姑蘇藍氏の生活の中、阿願の心をいつも癒してくれていた兎。

…さようなら、“無無”。大好きだったよ。

阿願は心の中で兎に別辞をつげ、泣きながら雲深不知処の中の階段を下りると、姑蘇藍氏の自分の寮の部屋に帰っていった。


“無無”という名の兎は、その夜清室で藍忘機の腕にずっと抱かれていた。
そして、その腕の中で静かに息を引き取った。

夜明けになっても、
藍忘機は冷たくなった兎に自分の体温を与えるかのように、
両腕で強く抱きしめたまま、外の朝靄の中に長い間立ち尽くしていた。
そして、その足元には、もう1羽の兎が寂しそうにうずくまっていたのだった。

日が少し高く上った頃、藍忘機の元を訪ねた阿願は、その事を知った。
そして、兎を抱いたまま清室から出て無言で歩いていく藍忘機の後についていった。

藍忘機は兎たちがいた丘の上につくと、大きな木の根元に穴を掘り始めた。
阿願も藍忘機を手伝った。深く掘った穴に、眠っているような兎の亡骸を置いた藍忘機は、そっとその上に土を盛った。

姑蘇藍氏で修行中とはいえ、まだ幼い阿願には感情をコントロールする術が無かった。

泣きじゃくりながら阿願は持って来ていた人参をその上に置いた。

こんな辛いことは無いと感じた阿願だったが、
さらに、悲しいことが続いた。

それからたった数日後のことだった。

もう1羽の兎が、息を引き取った。


雨の降る夜だった。

“無無”がいなくなってから清室の敷地内で、それまで藍忘機のそばにいたはずの兎の姿がいつの間にか消えていた。

藍忘機は胸騒ぎを覚えて、傘をさして兎たちのいる丘に向かった。

丘の上の大きな木の下、
“無無”の塚があるそばで、兎は冷たくなっていた。

まるで先に逝った“無無”の後を追うように。

目を閉じた兎の表情はとても安らかに見えた。


「・・・すぐに会えて幸せか?」


うつむき、そうポツリと呟いた藍忘機の言葉は、誰にも聞かれることは無かった。

藍忘機は手に持っていた傘を横たわる兎の上に置いた。
そして、自らは、雨に打たれるまま、しばらくその場を動かなかった。


阿願は、もう1羽の兎のことも翌日知ることになった。

同じ塚に埋葬したという藍忘機に、やはり阿願は泣いてしまったが、
ふと見た藍忘機の顔に涙を止めた。

「含光君様は悲しくないのですか?」

ついそう聞いてしまった阿願だったが、藍忘機は黙したまま、頷くこともかぶりを振ることも無かった。

ただ、「・・・君は生きている」と言った。

「君は彼らの分まで生きなさい」

藍忘機は続けた。

「生きて、学び、人と出会い、人を助け、そしていつか・・・」

…そしていつか?・・・いつか何ですか?

言葉の続きを待って、不思議そうな眼差しを向ける阿願に藍忘機は1度口を閉じた。

そして、ややあって「君に教えたいことがある」と言った。

「それは何ですか?」

「問霊」

この時の阿願には、“問霊”が何なのか分からなかった。
ただ、それがとても貴重な秘儀だということは理解出来た。
秘儀だけでなく、藍忘機の隠された想いや意図、責務、そのすべてを阿願が背負うことになるということなのかもしれない。

子ども心に、阿願はその事を重くうけとめ、了承するように、藍忘機にコクリと頷いていた。


―――それは、阿願…藍思追の、兎たちとの出会いと別れの記憶。




当時を思い出していた藍思追は、「そうだ!」と突然大声をだした魏無羨によって意識を現在に戻した。

「ああ、思い出した。2羽の兎。そういえば、藍湛にあげたことがあったな」

ポンッと手を叩いて、魏無羨はようやく記憶の片隅から何やら引き出したようだった。

「雲深不知処の原っぱにベッタリくっついていた兎たちがいたんだよ。
逃げ惑っていたんだけど、俺が1羽を捕まえたら、もう1羽も戻ってきてまとわりつくから2羽まとめて、含光君の所に持って行った」

「やっぱり、昔、魏先輩が含光君様に差し上げたんじゃないですか。この姑蘇藍氏の中で生きものをそのように誰かに贈る方はいませんから」

藍景儀が呆れたように言った。

「よく含光君様が受け取りましたね」

「ああ。最初は遠慮していたけど、いらないなら、俺が誰か兎を食べたい他の奴に渡すって言ったら、受け取るから置いていけ、と言っていた。ハハハ。ああ、すっかり思い出したぞ」

「はぁ…」。
当時の師匠の苦労を思い、藍景儀は大仰にため息をつき、藍思追は苦笑した。

「そっか~。あの時の兎たちか。長生きしたんだな。きっと含光君が大切に可愛がって、面倒を見てくれたんだろう」

そう言って、塚の前にしゃがみこみ手を合わせる魏無羨を、背後から藍思追がじっと見つめた。

その時、丘の上を吹く風の香りが変る気配がした。

藍思追と藍景儀は振り返った。
魏無羨は振り返らずとも、丘をのぼってくる人物が誰であるか分かったようだった。

琴を背負った藍忘機が、丘の上に立ち、そこにいた3人を見回した。
その視線が魏無羨に止まった時、藍忘機の口角が少し上がったのを藍思追は見逃さなかった。

魏無羨は立ちあがると、にこやかな顔で藍忘機の方に歩いて行った。

「藍湛、今、こいつらから塚に眠る兎たちの話を聞いた。藍湛も兎たちに供えものをしに来たのか?」

「ん」

藍忘機は頷くと、背の琴を取り出した。

藍忘機が何を始めるつもりなのか分かった藍思追は、藍景儀の衣服の袖を手で引くと目配せした。

そして「含光君様、魏先輩、我々は鍛錬の時間なので失礼します」と言って、藍景儀と一緒に拝礼すると二人のそばから立ち去った。


「しっかり修行しろよ」

そう藍思追と藍景儀の背中を見送った後、魏無羨は腰帯にさしていた笛“陳情”を取り出した。

「藍湛、俺にも兎たちに手向けさせてくれ」

頷く藍忘機に魏無羨は陳情を口にあて構えた。


しばらくして、

丘を下りていく藍思追と藍景儀の耳に、琴と笛の音が届きはじめた。

「この曲は?」そう問う藍景儀に藍思追は「“鎮魂”という曲だ」と答えた。


ぴったりと寄り添うように聞こえる美しい琴と笛の音の旋律。

藍思追は振り返り、丘の上の方を見上げると微笑んだ。


10年以上そばで見ていた師匠であり、命の恩人でもある含光君。
今の含光君は、もう昔から知っている含光君とは違って見えた。

そう、魏無羨と再会してから。

魏無羨を見る時、魏無羨と一緒にいるとき、含光君をとりまく雪は、いつも白い花になる。

そのことに、含光君自身は気づいているのだろうか。


…“無無”という名の由来と、無無と仲良しだった兎の名前を私は知らないままだった。
でも、おそらく…。

ふふっと一人笑いを浮かべた藍思追に隣の藍景儀が訝しげに首をかしげた。


兎たちの名前をあてたかもしれない藍思追。
だが、彼もまた知らなかったのだった。

のちに、藍忘機が名づけた彼の字(あざな)の意味を。

幼名は阿願(阿苑)、名は藍願、
字(あざな)は、思追。

「思君不可追,念君何時歸」

君に思いを馳せています。君はどこにいますか?
君はいつ帰るのですか?私はここでずっと君を待っています。

・・・ 魏嬰。


それは誰も知らない、藍忘機の屋兎の愛。



(終わり)



藍思追の字は藍忘機が名づけたそうです。
その字(あざな)の由来、意味はrさんから頂いた情報より抜粋し、許可を頂いて翻訳文も掲載させて頂きました。

兎たちの名前、原作でも出て無かったと思います(設定であります?)。番外編(香炉編)で藍忘機が名前をつけているらしい、という記載は確かありました。

前編のあとがきでも書きましたが、本来のことわざは「屋鳥の愛」です。
思追も兎も、藍忘機の魏無羨を想う「屋鳥の愛」だと、みつばは思っています。

「屋兎の愛」の詳しいあとがきは又後日。
読んでいただき、ありがとうございました。

【拍手コメントレス】
…全部見てます。感想を少しだけ。あの二人は会話中に名前くらい出てくるかな?くらいに思ってたのですが、まさかの後ろ姿に声。紅色の帯と黒い衣服だけで泣きそうになりました。みつば一押しの人があまりにかっこ良すぎてキャラ変してる?とさえ感じてしまったのですが、やっぱり黒い人は数十秒だけ出番でも(中の人本人じゃなくても)、みつばの意識を全部持って行かれました。

拍手、拍手コメントを送って下さっている方、ありがとうございます!
早く日本語翻訳版のドラマ見たいですよね♪

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