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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「帯他回家(後編)」です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


以下、主要人物、名称紹介
(全く知らない方の為にみつば解釈のものです。日本語漢字翻訳には自信ありません。
間違いを気づいた段階で随時修正(汗))

静室…雲深不知処にある藍忘機の私邸。元は藍忘機の母親が住んでいた家。

闇狩り…悪鬼や悪霊など、人間に禍をもたらす類のものを討伐すること。
日本語訳をどう書くか悩んだのですが・・・「夜警」「夜狩り」など。
みつばは「闇狩り」と書かせて頂きました。

雲深不知処…藍忘機が生まれ育ち、所属する姑蘇藍氏一門の場所

小林檎…魏無羨の飼いロバ

抹額…姑蘇藍氏一門が頭に巻いている帯。父母と妻(夫)以外の者は触れる事の出来ない重要なシンボル。

藍曦臣…藍忘機の兄、別名、沢蕪君(称号)姑蘇藍氏の宗主。藍忘機と正反対の雰囲気を持つ。

藍啓仁…藍忘機、藍曦臣の叔父であり師匠。姑蘇藍氏一門の最有力者。

魏無羨…別名、魏嬰(親しい人が呼ぶ名)夷陵老祖(称号)
天真爛漫で自由奔放な美青年。笛の音で鬼神や屍を操る魔道の創始者。
無類の酒好き。1度死んでから、十数年後に強引に召喚されて復活した。※「羨羨」(魏無羨の愛称)

藍忘機…別名、藍湛(親しい人が呼ぶ名)含光君(称号)
困った人がいればどんな些細な依頼も解決する名士。
門下の弟子以外にも多くの人に尊敬されているが、常に冷たい表情で近寄りがたい雰囲気を持つ美青年(美中年?)←この世界では仙術使いの外見は年をとっても20代らしい。

日本語訳の名前呼びではありませんが、音声で名前呼び、
魏嬰(ウェイユウ)藍湛(ランチャン)と聞こえます。
ドラマを観たことがある方はそのイメージでお読みください。

(注意)

この話は、ドラマ最終回のラストシーンの続きから始まりますので、
ラストのネタバレが含まれています。
ネタバレを見たくない方はこの先の話を読むのをご遠慮ください。





帯他回家(後編)



魏無羨と藍忘機は藍曦臣に拝礼すると顔を上げた。

「兄上」

「忘機」

藍曦臣は藍忘機を見て頷いた。そして隣の魏無羨を見ると微笑みを浮かべた。
魏無羨には、藍曦臣の顔が少しやつれたように見えた。

「魏公子、忘機から話は聞いています」

「沢蕪君、これからお世話になります」

「ええ、よく来てくれましたね」

あっさりと藍曦臣が魏無羨の雲深不知処の滞在を認める発言をした。
すでにそれは想定内だったように藍忘機は「叔父上はいずこに?」と藍曦臣に聞いた。

「叔父上は自室に戻っておられます。忘機、今から会いますか?」

頷く藍忘機に「私も一緒に行きますか?」と藍曦臣が問うた。

「いえ、一人で会いに行きます」

藍忘機の答えに魏無羨が「え?」と藍忘機の方を見た。

「俺も一緒に行く」

藍忘機はおそらく藍啓仁に魏無羨の滞在許可をもらいに行くのだろう。
自分も藍啓仁のところに赴いて、頭を下げるべきなのではないか、と思った魏無羨だったが、藍忘機は静かにかぶりをふった。

「君は清室に先に帰っていなさい」

「でも…」戸惑っている魏無羨に藍曦臣が再び微笑みかけた。

「魏公子は私が清室まで送っていこう。忘機、行きなさい」

「はい。では後ほど」

そう言って、藍忘機は拝礼すると、魏無羨の方を見た。

…何も心配しなくていい。

藍忘機の目がそう語っているのを読んだ魏無羨はコクリと頷き返していた。
藍忘機もそっと頷き返すと、藍啓仁の部屋の方に向かって去って行った。

魏無羨は藍曦臣に促されると、連れだって清室の方に向かった。

歩く道すがら、二人を目撃した藍氏の門下生たちが、魏無羨の姿を見てギョッとしたように立ち止まったが、すぐに藍曦臣に拝礼すると、何も言わずにそそくさとその場を後にしていた。

藍氏の家訓に無駄口を叩かないという規則もあったようだが、おそらく部屋に戻った彼らの口から今夜の内に魏無羨の雲深不知処来訪の噂は広がることだろう。

観音堂の一件で、それまでの夷陵老祖、つまり魏無羨の数々の誤解は完全に晴れた。
しかし、各仙門の重役たちは、あまりにも大きなこの出来事をまだ門下生全体には知らせていないかもしれない。仙家だけでなく、世間を大きく揺るがす事態だからだ。
礼儀と貞節を重んじる姑蘇藍氏なら尚更だろう。

しかも“おたずねもの”だった魏無羨が、たった一夜でその立場を変えたことも世間はすぐには受け入れにくいだろう。

魏無羨は隣を歩く藍曦臣をチラリと見た。

「俺の滞在はご迷惑ではありませんか?」

藍曦臣は首を横に振って、優しい笑みを浮かべた。

「いえ、むしろ歓迎しています。それに、魏公子を連れてきた忘機の、あんなに嬉しそうな顔は私も初めて目にしました」

…嬉しそうな顔?

魏無羨は記憶の糸をたぐった。

あの時の藍忘機はいたって、通常通りの顔だった。
美しいが、少し目を伏せた無表情。

…あれのどこが嬉しそうに見えたんだ?

不思議そうに首をかしげている魏無羨に気付いたが藍曦臣が「どうかしましたか?」と問うた。

「いえ、俺には藍湛の顔がいつも通りに見えたので。
沢蕪君にはそう見えたのですか?」

「ええ、雨が降る前と後の花くらい表情が違って見えました」

にっこりとほほ笑んでそう答える藍曦臣に、魏無羨はひきつった釣られ笑いを浮かべた。

…沢蕪君。その例えが余計に分かりません。

そんな言葉を、藍曦臣に失礼の無いように魏無羨は呑み込んだ。

そんな魏無羨に藍曦臣は、また口角を上げた。

「忘機がずっと望んでいたことですから」

「望んでいたこと?何をですか?」

まるで恍けているような魏無羨の発言に藍曦臣は魏無羨の顔を見たが、
その顔はいたって真面目に何も分かっていない、という体だった。

「魏公子は、とても聡明なのに、分からないこともあるのですね」

「…はい」

決して馬鹿にされているわけでは無いと分かっていたが、
藍曦臣の言葉の意味が本当に理解できずに魏無羨は内心首をかしげた。

「これから分からないことがあったら沢蕪君に尋ねます。その時はご指導ください」

魏無羨は藍曦臣に拝礼し、心から思ったことを素直に述べた。

「私より先に、まず忘機に聞いてください。魏公子の質問には忘機が一番答えを持っているはずです」

…それで、藍湛がすぐに何でも答えてくれたら俺も沢蕪君に聞かないでしょう。

魏無羨は、また喉まで出かかった言葉を呑み込んだ。

無表情で沈黙する弟に、微笑みで優しく煙にまく兄。
全く似ていないようで、肝心な事を秘める所は同じだった。

ただ、嫌な気分にはならない。
魏無羨は、この兄弟との会話を心地よく思っている自分に気付いた。

それは、清室で、藍忘機に隠されるように過ごした日々で得た信頼関係のようなものだと魏無羨は考えた。

きっと、魏無羨が自分ではどうすることも出来ないほどの難問にぶつかった時には、藍曦臣は藍忘機同様に手を貸してくれる。そう信じることが出来た。

そんな魏無羨の心に応えるように藍曦臣が言った。

「魏公子、今後、もし何か困ったことが起きて、それが忘機にも言えないことでも、良かったら私に話してください。私で出来ることがあれば何でも力になります」

「はい。ありがとうございます。沢蕪君」

魏無羨はまた恭しく拝礼した。

藍曦臣はコクリと頷くと、清室に続く階段の前で立ち止まり魏無羨の方に向きなおった。

「雲深不知処の食堂の夕食時間は終わっていますが、お腹はすいていますか?」

魏無羨はかぶりを振った。

雲深不知処に着く前に魏無羨は藍忘機と街中で軽く食事をしていた。

「では、遠くから来てお疲れでしょう。清室でゆっくりと休んでください。
忘機の帰宅はもしかしたら遅くなるかもしれません。眠かったら待たずに寝ていていいですよ」

「はい」

頷きながらも、少し戸惑いが魏無羨の顔に出ていたのだろう。
藍曦臣は微笑を浮かべて、小さくかぶりを振った。

「大丈夫です。魏公子が寝ているうちに追い出されるということにはなりません。
魏公子と忘機が来る前、私も叔父上と話をしています。事態は良い方向に進むでしょう」

藍曦臣の言葉に、魏無羨は、もう魏無羨と藍忘機が雲深不知処に着く前に、藍曦臣と藍啓仁との間で、魏無羨の滞在に関しての話し合いはある程度ついていたことを察した。
今、藍忘機が藍啓仁の部屋に話をするために向かったが、説得にはそう時間がかからないかもしれない。
ただ、藍啓仁の苦りきった渋い顔を想像して魏無羨は藍忘機に申し訳なさを感じた。

冤罪は晴れたが、藍啓仁の中では魏無羨は依然として“悪しきもの”というレッテルが貼られているように思えた。前世の少年の時から、その印象が変わるどころか、後世の出来事でさらに悪くなっている気さえしていた。

何せ夷陵老祖は、藍啓仁にとって大切な甥であり手塩にかけて育てた出来のいい弟子をたぶらかし、かどわかした極悪人という印象だったのだから。

いくら藍曦臣が口添えし、藍忘機が粘り強く説得にあたっても、
藍啓仁が「はい、そうですか」とすぐに首を縦に振ることは想像しがたかった。

だが、弟の藍忘機といい、目の前の兄といい、魏無羨の雲深不知処滞在には絶対の自信を持っている様子なので、魏無羨は、姑蘇藍氏の双璧に背を預けるつもりで、「わかりました」と返事をした。

藍曦臣は、魏無羨との会話の中で観音堂での出来事に触れることは無かった。
なので、魏無羨もその件に関して何も問わず話さずにいることに決めた。

魏無羨はもう一度藍曦臣に丁寧に拝礼すると、一人、藍忘機の私邸「清室」へ向かう階段を上り始めた。


すっかり暗くなっている清室の敷地内に入ると、魏無羨は門の灯りをつけた。
そして、清室の部屋の中に入った。

幾日も過ごして部屋に慣れていた魏無羨は、どこに何があるのかも把握していた。

灯りをつけ、閉じていた窓を開け、香炉を炊いた。そして、藍忘機が帰ってきたらすぐに飲めるように、茶の湯を沸かす準備を始めた。

それが終わると、魏無羨は床の上に大の字に寝そべり手足を伸ばして天上を仰ぎ見た。

周囲はとても静かで、小さな虫の声が大きく聞こえるほどだった。
じっとしていると、妙に気持ちが落ち着いていく。

魏無羨は横になりながら、寝所横の奥間の台の上にある、藍忘機の清室用の琴に目をやった。

魏無羨が清室に最初に連れて来られた時、そして、金麟台で金陵に刺されて連れて来られた時、藍忘機が琴の旋律で魏無羨の精神と体の回復を促してくれていた。

…藍湛はまだ藍啓仁と話をしているのだろうか?

茶の湯が沸く音がして、さらに、魏無羨が鉄瓶に新たに水を付け足す時になっても、
藍忘機は清室に帰って来なかった。

街で軽く食事をしていたはずの、魏無羨の腹の虫が鳴った。

…せめて酒があれば…。

魏無羨は周囲を見回したが、もちろん酒は置いていない。

街で購入しておけば良かったのだったが、雲深不知処に滞在する許可を得る日に、
禁酒が規則の場所に初日から酒を持ちこむのは、さすがに気がひけた魏無羨だった。

魏無羨は空腹感と寂寥感を抑えようと目を閉じ、ごろごろと床を転がった。

しばらく時が流れて・・・。


「魏嬰」

自分の肩を優しくゆする手と、藍忘機の声に魏無羨が目を開けた。

魏無羨のぼんやりとした視界の中で藍忘機が自分を見下ろしている姿が浮かんだ。

「藍湛…帰ってきたんだ」

魏無羨は寝ぼけた掠れ声を発した。

「俺、いつのまにか寝てた」

「ん。待たせた」

藍忘機はそう言うと手に持っていた天子笑の酒甕を魏無羨の目の前に示した。

「これは明日飲むか?」

魏無羨の目がぱっと開いた。

「ううん。今飲む」

そして、がばっと起き上がると、天子笑の酒甕を手に取った。

「藍湛、ここに来る前に街に行って買ってきてくれた?」

藍忘機は頷くと、座卓の上に目を向けた。
そこには、魏無羨の好きな香辛料の入った料理が何品か置かれていた。

「食事も買っておいた。お腹がすいていたら夜食に食べなさい」

「藍湛!」

魏無羨は感動して思わず言った。

「俺、藍湛が俺の妻子(妻)だったら抱きついて接吻したい気持ちだ」

藍忘機の息が一瞬止まり、眉がピクリと動いた。

酒と料理に目を奪われていた魏無羨は、そんな藍忘機の表情に気付くことなく、浮かれた足取りで座卓の前に座るとすぐに料理に箸を伸ばしていた。

「わっ。これ、俺の好きな店の料理だ。・・・ん~。うまい。
なあ、藍湛も一緒に食う?」

「私は食べない」

「そっか。藍湛は辛い食べ物はあまり好きじゃなかったよな。そういえば、前に俺がここにいた時も藍湛が時々買ってきてくれたことあったな。今度こそ街の店で一緒に食べよう。藍湛は辛くない料理を食べればいい」

「今度こそ、というのは?」

「昔、俺が食事に誘っても藍湛は断ってばかりだっただろ?ああ、昔っていうのは、前の人生で俺たちが雲深不知処で出会ったばかりの頃」

パクパクと食事をしながら、魏無羨は天子笑も酒甕から豪快に口に流し込んでいた。

「ああ、天子笑はやっぱり一番うまい酒だ!」

そう言って、魏無羨はしごく満足そうに口元を手の甲で拭った。
そして、再び、料理を食べ始めた。

「雲深不知処に住んでも時々街で食事したい。それは許される?」

「許されなくても昔の君はしていた」

「うん。うん。そうだった。あはははは」

屈託なく笑う魏無羨の顔を藍忘機はじっと見つめていた。
そして「見た…」とポツリと呟いた。

「え?藍湛、何か言った?」

小さな音も聞き逃さない魏無羨が箸を止めて藍忘機に問うた。

「魏嬰、君がそうやって笑う顔を久しぶりに見た」

藍忘機が言った。

魏無羨はキョトンとして自分の頬に手をあてた。

自分ではあまり意識していなかった。
笑っていたような気もしたが、確かに、何のおそれもなく、声に出して笑ったのは久しぶりかもしれない。

「そうか・・・」

魏無羨は苦笑して天子笑の甕を手に取った。

…俺、心底笑えるようになったんだな。

思い出したくないほどの前世の記憶を抱えて、献舎された後、謎を解く旅をしていた中で、
もう、黒幕が誰であれ、自分にはもうどうでも良いことのように思えていた。

そばにずっと藍忘機がいてくれた。世界中が自分を敵だと言う中で藍忘機だけは味方でいてくれた。それで十分だった。

ただ、自分のそばにいる藍忘機が自分と同じように世間から見られる前に解決したいという思いがあった。

それが叶った今。もう何の心配も無い魏無羨だった。

魏無羨は、天子笑の甕を持ち上げ、ごくごくと酒を飲んだ。
天子笑も格別に美味しい気がした魏無羨だった。


「うん。本当にうまい。藍湛、ありがとう」

魏無羨の礼に藍忘機は、ほんの少し口角を上げて応えた。

「食事を終えたら寝なさい。もうじき就寝の時間だ」

「わかった。でも、これだけは今聞かせて。藍啓仁先生は俺の滞在を許してくれた?」

魏無羨の問いに藍忘機が頷いた。

「叔父上は了承してくれた。君はこれからこの清室で暮らす」

「俺、藍氏には入らないよ。それでもいいのか?」

また藍忘機が頷いた。

「そのことも、兄上、叔父上の承諾を得ている」

「藍氏の白い服も着ないよ。家訓も全部従わないかもしれない。それでもいい?」

藍忘機が頷いた。

「じゃあ・・・」

魏無羨が藍忘機の方に身を乗り出した。

「清室で酒を飲んでいい?街での買い食いしていい?闇狩りに行っていい?他にも…」

さらに続けようとする魏無羨の言葉を止めるように藍忘機が手で制した。

「食事中は黙って、食べることに集中しなさい」


魏無羨は、口の中の食べ物を少し飛ばしながら話していた。
雲深不知処の規則とは関係無しに、マナーとしてそれは良くないことだと、幼少の頃に江宗主や師姉からも教わっていたことを思いだした魏無羨は、気まずげに口を閉じた。

無言になった魏無羨に藍忘機が口を開いた。

「詳しい話は明日ゆっくりとしよう」

魏無羨が黙ってコクリと頷いた。
そして、残りの料理をもぐもぐと平らげると、天子笑の甕が空になるまで飲み干した。

そして、口の中の食べ物が無くなったことを確認してから魏無羨は口元を手で拭った。

「風呂も明日入れる?」

「ん。朝起きたら風呂湯を沸かしておこう」

「藍湛から風呂に入って。ゆっくりと。俺は、その後で入るから起こさないで。いい?」

「・・・・・・」

藍忘機の無言が果たして、好(よし)なのか、不好(駄目)なのか分からず魏無羨は苦笑を浮かべた。

藍忘機との会話の間合いにももうほとんど慣れてきていた魏無羨は、それ以上つっこむこともせず両腕を上に伸ばして盛大なあくびをした。

「じゃあ、寝るよ。今日はいっぱい移動したから疲れた」

魏無羨はほとんど小林檎の背に乗って移動していただけで、歩いていたのは藍忘機だったのだが。

藍忘機は、箪笥から寝間着替わりの清潔な内衣を出して魏無羨に渡した。
そして、就寝のため、寝台以外の清室の灯りをすべて消していった。

魏無羨は藍忘機から渡された内衣に着替えると、藍忘機の寝台の上に登った。
そして、離れた場所にある簡易寝台の方に行こうとする藍忘機を呼び止めた。

「藍湛、一緒に寝よう」

藍忘機が振り向いた。
残り1つの灯りに照らされたその顔は、ほとんど影になっていて、ただ、琥珀色の瞳だけが闇夜の中で光っているように見えた。

「本気で言っているのか?」

藍忘機の声が妙に低く聞こえた。

だが、魏無羨はその声は藍忘機の就寝前の睡魔から来ているものと思っていた。

「だって、俺たち、時々一緒に寝ていただろ?ほら、清室を出る前の夜も一緒に寝た。
それに宿だって、2つ取るのがもったいないから1つの寝台で寝ていたし。この寝所はもともと藍湛の寝る場所だ。俺がここにこれから住むのに、家主の藍湛はずっと簡易寝台で寝るのか?一緒が嫌なら、俺がこれから簡易寝台で寝る」

「・・・・・・」

じっと無言で佇む藍忘機は、何事か思案している風だった。

「大丈夫。寝ている時も体に触れないから。あ、不可抗力はあるかもしれない。でも宿場でだってそうだっただろ?変わらないって。俺はかまわないし、むしろ俺、一人で寝るのが嫌かも。子どもの頃は江澄と同じ部屋で寝ていたし、修習生の時は、あいつらと一緒に朝まで同じ寝台で・・・」

魏無羨の言葉を遮るように、藍忘機がつかつかと近づくと、魏無羨のいる寝台の上に入ってきた。

そして、足元にあった布団を勢いよく捲り上げると、それを自分と魏無羨の上にかけた。

「藍湛?」

「…就寝時刻だ」

藍忘機はそう言うと、ついていた残り1つの燭台の灯りを仙術の風で消した。

あたりは静寂の闇に包まれたが、寝台の上で、同じ布団の中にいる藍忘機と魏無羨は両手、両足が触れるか触れないかの距離で直立不動で並列に横になっていた。

「藍湛、あのさ。二人で布団の中は熱くない?まだ涼しい季節じゃない」

「…黙りなさい」

「でもさ。布団はいらないと思う」

「それ以上話すと禁言だ」

「・・・・・・」

…何か気にいらないことでもあったかな?

魏無羨は、急に不機嫌な空気を醸し出した藍忘機を不思議に思いながら、
やはり旅の疲れのせいか眠気が急速に増してきているのを感じた。

「藍湛、あのさ…寝る前にもう1つだけ聞いていい?」

「・・・・・・」

魏無羨はすっと息を吸いこんだ。
本当は、ずっと前に聞いておきたかったこと。

「どうして引き返して、俺をここに連れて来てくれたの?」

藍忘機の方から無言の返事が返ってきた。
魏無羨はかまわずに続けた。

「俺が住むところが無いから?まだ夷陵老祖の評判が悪いから心配してくれた?それとも、危なっかしくて世に放しておけないから、ここで見張っておこうと思った?」

矢次早に魏無羨は藍忘機に問い続けた。
しばし無言状態だった藍忘機が口を開いた。

「魏嬰、君はどうしてここに来た?」

魏無羨の質問に答えずに、藍忘機の方が問いかけてきた。

…こんなやりとり、前世でもあったな。

そんなことをボンヤリと思いだしながら魏無羨が言った。

「藍湛に誘われた時に答えた。雲深不知処には藍湛がいるからだって」

「私も同じだ」

藍忘機が言った。

「君だから連れてきた」

…俺だから連れてきた?

魏無羨は頭と心の中で、藍忘機の言葉を反芻した。
魏無羨は、こくりと小さく息をのんで、一番聞きたかったことを声にした。

「…俺と一緒にこれからもいたかった?」

無言の藍忘機が身動ぎし、魏無羨と反対方向に顔を向けた気配がした。

灯りの消えた部屋は暗く、視界はほとんど闇に隠されていたが、
寝台横の窓からの月明かりでほんの少し藍忘機の頭が浮かび上がって見える。
その後頭部が、なぜか照れているように見えた魏無羨は、心の中で忍び笑いをした。

「俺は、これからも藍湛と一緒にいられて嬉しいよ」

魏無羨は藍忘機の後頭部にそう話しかけた。

藍忘機の言葉は返ってこなかったが、魏無羨は満足したように微笑むと、
天上を仰ぎ、眠りにつくため目を閉じた。

すると、

布団下で、伸ばしていた魏無羨の手に藍忘機の指がそっと触れた。
そして、そのまま藍忘機の手が魏無羨の手におずおずと重ねられた。
それは不可抗力では無く、意識的に行われた。

…藍湛。

胸の鼓動の早まりは、驚きからでは無いような気がした魏無羨だった。
そして、逆方向を向いている藍忘機の顔を覗き見たい衝動に駆られた。

しかし、あえて魏無羨はにやつく顏を窓辺に向けると、
「おやすみ」と藍忘機に声をかけ、藍忘機の指に自分の指をからめた。

藍忘機の指が返事をするように、魏無羨の手を一瞬強く握りしめた。

以前、似たようなことがあった時、あまり眠れずにいた魏無羨だったが、
…明日起きたら、また藍湛の顔が見られる。
そう思ったら、とても安心して安らかな眠りについていた。


こうして、魏無羨の雲深不知処での生活が始まったのだが、

魏無羨を連れて来た翌朝の藍忘機が、珍しく眠そうな目で、そして、妙にそわそわとしたり、嬉しそうな様子で颯爽と歩いたりする姿が雲深不知処内で目撃された。
もちろん、それは門下生たちには分からず、藍忘機の兄、藍曦臣にしか分からない変化だったのだが。

藍曦臣は、弟、藍忘機のそんな姿を見守りながら、密やかな笑みを浮かべていたのだった。



(終わり)


まず訂正を。
みつばは、原作ふまえて、藍湛の目の色を二次小説に書いてました。
ドラマ「陳情令」の藍湛の目は黒ですけど。
いつも「魔道祖師」情報教えて下さるrさんが藍湛の目の色は「薄い琥珀ですよ~」と教えて下さいました。
…あれ?みつば、「薄い翡翠色」って今まで書いていた?(汗)
そうですよ。魔道祖師ファンの方たちがイラストやアートで藍湛の瞳色、琥珀色で描かれているじゃないですか!!アニメも確かそうだったかな。翡翠色なら緑ですよ。琥珀なら金色に近い黄色。どっかで勘違いしていた模様(汗)原作読んでいたのにな~(自分の翻訳が曖昧な上に記憶も曖昧)
さらに自分の今までの二次小説読み直して、間違い直しておかなくては。。。
そっか、琥珀か~。なんか又危険な妄想に走ってしまうみつば♪←何かまた妄想話を思いついたらしい(笑)


みつばの書いた二次小説では、原作と雲深不知処への帰宅後のエピソードが違っています。

しかし、おそらく、藍啓仁に許可をもらいに行くところは同じだと推測しました。
まず、あのおっさん(←おっさん呼び)が、魏無羨が雲深不知処に来ることに一番の障害ですから(汗)
藍啓仁(おっさん)も本当に渋々許可したんだろうな~。藍湛が16年(13年)のうちに力をつけて、発言力も増していることもあるのだろうけど、この長い年月、魏無羨を誤解して悪者にしていたこと。正義や礼節を重んじる藍氏の藍啓仁からしてみたら、かなりの失態のはずです。
魏無羨が現状のようになったことも、藍氏に責任が全く無いとは言えません。
重い懲罰受けた藍湛に負い目も出来ましたし。。。

ということも踏まえて、藍湛が説得にあたったのでは?と。

なので、原作同様、みつばも、藍湛一人でおっさんに会いに行ったと推測しました。
魏無羨が同行したらおっさんが怒りとかいろんな感情で興奮しすぎて、まとまる話もまとまらないだろうから(汗)

しかし、原作「魔道祖師」では本編中で、もう完全に恋人になっている二人と比べ、
ドラマ「陳情令」では肉体関係どころか、手をつないだりキスもしていません。あからさまな告白シーンも無しです。(実際にドラマ中、原作のようなラブシーンがあったら全世界共通でアウトレベルです)

なので、みつばが原作の番外編で大のお気にいりのエピソード。二人が雲深不知処に帰宅してからの藍氏の宴会シーンもドラマ続編としては、すぐには結び付けれらませんでした。藍湛の手料理も、いずれ・・・ね。

二人の素敵な帰宅後エピソードに関心ある方は、ぜひ原作「魔道祖師」を読んでみてください♪

二次小説の詳しいあとがきはまた後日♪
読んで頂きありがとうございました。

【拍手コメントレス】

「陳情令」ファンの読者の方が増えてきて嬉しいです♪
自動翻訳機の翻訳、むしろ意味不明になることありますよね(汗)
翻訳アプリと辞書アプリ併用で、原作小説楽しんでください!
もしかしたら来年日本でも翻訳本出版されるかしら?
でも、それまで待てませんよね。
小説、私も本編すっとばして「忘羨」編の「天天・・・」を一番最初に読みましたよ(笑)

毎日のように読んでくださっている方。ありがとうございます!
「陳情令」私も抜け出せないばかりか、ズブズブと深みにはまってます(笑)

「陳情令」「魔道祖師」知ってますよ♪観ましたよ♪
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