韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説「鏡の女」です。
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※この二次小説は、時間軸では、「
温泉へいこう」後あたりのお話です。
鏡の女「動くな」
イヌに拳銃を向けた女が言った。
それは、イヌが、マンションの自室でシャワーを浴びた後。
夜風に涼もうとテラスに出た矢先のことだった。
手すりの近くにいた女に、イヌは驚きもせず、「びっくりさせる為に、テラスに潜んでいたのか?」とノンビリと言った。
イヌは、時々突拍子もないことを思いつく恋人、マ・ヘリの悪戯だと思っていた。
だが、女は、ヘリでは無かった。
暗がりの中で、そっくりな容姿に、一瞬見誤ったが、雰囲気が全く違う。
ハッとなったイヌが気づいた時には、女に鋭い眼光と銃口を向けられていた。
ショートヘアのやつれた顔。
薄汚れたシャツと破けたジーンズから出ている手足には、傷が沢山ついている。
かろうじて立っている様子だったが、女の目はギラギラと生気に満ちていた。
「声を発しても、動いても撃つ」
女の言葉に、イヌは、両手を上げてみせた。
「こんな所で撃てば、サプレッサーがついていても、
周囲に気づかれるが、それでもいいのか?」
冷静な態度で言ったイヌに、女は険しく目を細めた。
「…そのまま、後ろに下がって、部屋に入れ」
…このなりと身のこなし。彼女は、一般人じゃない。だが、公的機関に属している者にも見えない。持っているのは、小型の自動銃。本来なら殺傷能力は低いものだが、改造している可能性があるな。
イヌは女と、持っている拳銃を観察して、そう考えた。
手をあげたまま、女の言う通りに部屋に入ったイヌの後を、女が拳銃を向けたままついてきた。
「君の要求はなんだ?金か?いや、その前に治療か?」
イヌが冷静に尋ねた。
「…救急箱をよこせ。それと電気コードを」
不愛想な調子で言った女の声も、ヘリに似ていた。
イヌの四肢を縛り、自由を奪った後、女はこの部屋の中で必要なことをするのだろう。
女の行動が読めていたイヌだったが、黙って言うとおりにした。
救急箱を手に戻ってきたイヌは、女に渡さず、ソファの方に来るようにジェスチャーした。
「手当してやるから。そこに座れ」
「お前が命令するな。立場を分かってるのか?」
女がイライラした口調で言った。
「妙な真似をしてみろ。下の階にいる、私と顔がそっくりな女がとばっちりを受けることになる」
女の言葉に、イヌの周囲の空気が一変した。
「彼女に何をした?」
「まだ、何も。ただ、さっき、下の階の部屋の中に爆弾を仕掛けておいた。何かあれば、すぐに起爆装置を押す」
女は、起爆装置はここにあると言わんばかりに、羽織っていたジャンバーの胸元に手を置いた。
「下の階の女は、お前の大切な女だろう。彼女を守りたいなら、言うとおりにしろ」
「…わかった。だが、脅すのなら、縛る必要はないだろう」
「ふん。私を見くびるな。お前は体術が使えそうだ。隙を見て、私を一瞬、抑えられるくらいにはな。その電機コードを前に置いて、後ろを向け」
女は、イヌの両手をコードで後ろで縛り上げると、救急箱から取り出した物で、傷の応急手当を始めた。
「どこの機関の者だ?」
「黙れ。余計な口をきくな。クッションで銃声を消すことも出来るんだぞ」
女がイヌを睨みつけた時、銃声以外の音が女の方から聞こえた。
あまりにも大きな腹の音に、女は、ハッとなって赤面し、イヌは、苦笑を浮かべた。
「空腹なんだな。今何か作ってやるから、縛りを解いてくれ」
「ふざけるな。…インスタント食品がどこかにあるだろう。その場所を教えろ」
イヌは、顎でキッチン棚をさすと、女は、イヌを睨みながら歩いていった。
そして、キッチン棚と冷蔵庫を物色したあと、中から鍋と袋麺、卵と葱を出し、調理を始めた。
「キムチは、下の棚にある。・・・おいおい。危ない手つきだな。拳銃の扱いは慣れていても、包丁の使い方が分かってないんじゃないか?」
座っていたソファから声をかけたイヌに、雑に葱を切っていた女は「うるさい」と言って睨んだ。
「刃物の使い方にも慣れている。葱のようになりなくなかったら口を閉じていろ」
「物騒だな」
イヌが大げさに溜息をついて見せた。
「彼女と顔が似ているから、なんだか、見ていられなくてね」
「『あの女』は、お前の恋人か?」
『あの女』と言ったことで、イヌは、女がヘリの素性を知らないことを悟った。
…この女は、ヘリが検事だということを知らない。
知っていれば、余計に危ない橋を渡ることを避けたはず。
彼女が、この部屋に来たのは偶然。
それとも、冷静な判断ができないほど追い詰められているか…。
「なるほど。君が、ここに来た目的は、僕や彼女じゃない」
「よく動く口だな」
女は呆れたように言った。
いつでも放てる拳銃を向けられ、脅されているのに、怯えた様子を見せないイヌに、女は警戒心をあらわにしながらも、感心しているようだった。
「お前は、何者だ?」
女が油断の無い顔でイヌに尋ねた。
「一市民だよ」
飄々と答えたイヌに、女は眉をしかめた。
「…調子が狂う」
ポツリと呟いた後、女は、煮込まれたラーメンをキッチンの鍋から、直接、立ったまま食べ始めた。
「安心しろ。命はとらない。お前も、お前の恋人もな。」
よほど、お腹がすいていたのか、ラーメンを口にかけこむように食べながら女は言った。
女は、鍋の中のラーメンの汁もすべて飲み干した。
さらに、冷蔵庫の中にあったペットボトルの水も一気に飲み干すと、ようやく人心地ついた顔になった。
それから、女は、納戸の中に入り、非常避難用のロープを見つけてくると、イヌの体を柱に縛り付けた。
「少し眠ったら、ここをすぐに去る」
「ああ、そうしてくれると助かるよ」
イヌがのんびりと言った。
「明日の午後は、彼女とデートの約束をしているんでね」
「デートの約束が守れるかどうかは、今夜のお前の態度しだいだ。
私が仮眠をとる間、大人しくしていれば、明朝には解放する」
「その言葉、約束しろ。彼女には、絶対に手は出さないと」
「ああ。約束する」
女の約束が信用できるのか分からなかったが、イヌは、なぜか本当だと感じた。
女の雰囲気と身のこなしは常人のものでは無かった。
おそらく、相当、戦闘訓練を積んだ者だろう。
ならば、拳銃で無くとも、イヌの命を奪うことは出来ていた。
一時的な避難所を求めていても、部屋の住人のイヌを生かしておく理由は、逃走の為の人質というわけでは無いようだった。
ベッドの方に向かって歩き出した女にイヌは「ベッドは駄目だ」と声をかけた。
「なんだと?」
「そこで寝ればいい」
イヌはソファの方に目を向けた。
女は一瞬唖然とした顔でソファを見やった。
「女性にソファで寝ろっていうのか?」
こういう場合、普通男は女にベッドを貸すものだろう?
…と言うような女の視線にもイヌは素知らぬ顔をした。
「こんな居直り強盗のような仕打ちをする『奴』が、寝る時だけ女性扱いされたいのか?だが、確かに君は女性に見える。だから、ベッドを貸すのはお断りだ。僕の彼女は、例え友人でも女性が部屋のベッドで寝るのを嫌がるんだ。悪いね」
全く悪いと思っていないようなイヌの口ぶりに女はますます眉をひそめた。
「黙っていれば分からないだろう」
尚も食い下がる女にイヌが顎で窓の方を指した。
「ソファが嫌ならテラスで寝るといい。寝袋を貸すよ」
「…お前の彼女は、よっぽど心の広い女なんだな」
女は唖然を通り越して憮然となって言った。
「こんな冷たい男のどこが好きなんだ?」
独り言にしてはあまりにも大きな声で聞こえよがしに言う女に
イヌが黙ったまま冷笑を浮かべた。
「君は、その答えを本気で知りたいと思っていないはずだ」
「……」
女は、拳銃の中身が麻酔弾なら今すぐ撃ってやるのに。という表情で、イヌを見やった後、言うとおりに、ソファの上に横たわった。
ほどなくして。柱に縛られているイヌの耳に女の寝息が届いた。
…顔も似ているが、年齢もヘリと変わらないくらいだろう。
彼女が何者か分からないが、危険な世界にいる人間のようだ。
つくづく、今夜、この部屋にヘリがいなくて良かった。
イヌは、遠目から女の寝姿を見ながら思った。
そうして、イヌは吐息をつくと、自らも就寝の為に目を閉じた。
「…おい起きろ」
イヌは、女の声で目をあけた。
部屋の窓の外は、まだ薄暗かったが、夜明け前の時刻なのだろう。
イヌの目の前に、拳銃をむけた女が立っていた。
休息をとったせいか、女はイヌが最初に見た時より顔色が良くなっていた。
「このマンションを出る。外に出るまで一緒に来てもらおう」
「勝手に一人で出ればいい」
「この部屋を出たとたん、お前が通報するかもしれない。
それに、廊下に防犯カメラがある。お前と外に出れば、都合がいい」
「どこまで一緒に行けばいい?」
「大通りで、タクシーを拾うまでだ。それまでに妙な真似をしたら分かってるな?下の階の恋人の部屋を吹き飛ばす。通報したところで、いずれ『無かったこと』になるが、少しの間でも騒ぎになるのは面倒だ。私が消えた後は好きにしろ」
「…わかった」
女は、拳銃を向けながらイヌの縛りを解いた。
それから、すぐに、キッチンの方に歩いていくイヌに、女は「どこに行く?」と再び銃口を向けた。
イヌは、棚から非常食のビスケットバー数本と、冷蔵庫にあったジュースを1本取り出し、袋に入れて女に差し出した。
「朝食がわりに持っていくといい」
「……」
女は、無言でイヌから袋を受け取ると、『部屋を出ろ』という風に目で合図した。
イヌは、女と共に歩き出すと、マンションの部屋を出た。
人が起床するには早い時間。
だが、イヌと女は、マンションのエントランス近くで、ペットの散歩に出るような老婦人と
行き会った。
それも、イヌとヘリが顔見知りの人物だった。
「あら?ヘリさん。髪型かえたの?」
ヘリを知っている老婦人が不思議そうに女を見つめた。
「ええ。似会います?」
女はあわせたようにそう聞いた。
「ええ、似会うわよ。美人ってどんな髪型にしても似会うわよね」
老婦人は、にこやかな愛想笑いで答えると、
イヌに向かって、「いつも仲がよくていいわね」と言って去って言った。
…ばれてなかったみたいだな。
まだ周囲が十分に明るくなっていなかったことも幸いだった。
顔も体型もヘリにそっくりな女はイヌといたことで完全にヘリに見えたようだった。
大通りに出るマンション前の小路を歩いている時、イヌが「これからどうするんだ?」と尋ねた。
「その答えを、本気で知りたくて尋ねているわけじゃないだろう?」
女の言葉に、イヌがおどけたように肩をすくめて見せると、女は軽い吐息をついた。
「人に会いにいく」
女が言った。
「…恋人ではないがな」
危険をおかしてまで、会いにいこうとする相手だ。
恋人でなくとも特別に想う者のことなのだろう、とイヌは察した。
「あいにく、外見も中身も、お前に似ても似つかない男だ」
女の言葉にイヌが笑った。
「君も、外見は彼女にそっくりだが、中身は全く違う」
「しかし、私が恋人に似ていたから手加減していたのだろう?
お前は、その気になれば、私の拳銃を取り上げ、抑えつけることも出来た。だが、しなかった」
女が鋭く言った。
「恋人の部屋に爆弾を仕掛けているからという理由でも、私から起爆装置も奪えたはずだ」
「かもな。もし、起爆装置というものを本当に君が持っていたのならね。
だけど、そんなものは無いんだろう?君は、部屋に爆弾なんて仕掛けていないのだから」
「……」
イヌの言葉に女が無言でイヌを見上げた。
…なぜ、分かる?という目をしている女にイヌは話を続けた。
「下の階の部屋に彼女は住んでいない。今は、まったくの空き家状態だ。もし爆弾を本当に仕掛けたのなら、誰も住んでいない事に気づいたはずだ。君は、以前、あの部屋にいる時のヘリと、一緒にいる僕を見かけたことがあったんだろう。そして、昨夜、何等かの理由で、この地に逃げ込んだ君は、その事を思い出し、僕を利用しようとした」
「…それだけ、最初から見抜いていて。なぜ、大人しく私に協力した?」
「さあな。君が、彼女にそっくりだったからかもしれない」
とぼけたように言ったイヌに女は呆れたように苦笑した。
その顔は、ヘリがイヌに苦笑を浮かべる時にそっくりだった。
「おまえみたいな男と付き合っている私に似た女に会って話をしてみたかった。だが、もう時間が無い」
ちょうど、大通りに出たイヌと女の前に『空車』のタクシーが走ってきた。
女は手をあげると、止まったタクシーの中に滑り込んだ。
そして、外に立っているイヌに、「迷惑をかけた。彼女を大事にな」と淡々と言った。
「ああ」
タクシーのドアが閉まると、女は、ふいっと目をそらせ、前を向いた。
そして、タクシーが動き、去っていくまで、イヌの方を見ることは無かった。
イヌは、冷たい女の横顔を見送った後、踵を返し、マンションの自室に戻っていった。
―――その日の夕方。
イヌは、ヘリと外で待ち合わせ、レストランで夕食を食べた後、一緒にマンションに帰って来ていた。
ヘリは、今は、職場の春川地検の近くにマンションを借りて住んでいた。
そして、休みの日は、ヘリかイヌ、どちらかが、高速道路を車で走って会いにいくという遠距離恋愛になっていた。
マンションのエントランスに、二人が入ろうとした時、イヌが朝会った、老婦人とまた遭遇した。
飼い犬を抱いていた老婦人は、首をかしげて、挨拶したヘリの顔を見つめた。
「ヘリさん、それウィッグ? 髪、もっと短かったわよね?」
住人の言葉にヘリがきょとんとした顔をした。
「えーっと。まとめ髪していた時の事でしょうか?」
「ああ、そうだったの」
住人は、納得したように頷いた。
ヘリが不思議そうにイヌを見やった。
「あの方、視力が落ちたのかしら?」
イヌが、黙って微笑んだ。
部屋に入って。
ソファに座り、イヌのいれたコーヒーを飲んだヘリが一息ついた頃、
イヌが、ヘリに女の話を切りだした。
とくに秘密にしておくことでも無いと思ったからだった。
それに、ヘリの反応も見たかった。
『銃でおどされた?そんな危ない事があったの?』と驚き、怯えるか、
『どうして、捕まえておかなかったの。そんな怪しい人』と、驚き、叱咤するか。
…かくして、話終えた後の、ヘリの反応は。
聞き終えて、深い溜息を1つついた後。
「そんなにそっくりな人、私も会いたかったな~」だった。
のほほんと、本気で、会えなかった事をがっかりしているようなヘリ。
ある意味、予測外で、ある意味、予想通りのヘリの言葉にイヌが笑った。
「似ていたのは顔と体型だけだよ」
「ね?美人だった?」
「だから、君とそっくりだったって」
ヘリが、ベッドの方をチラリと見た。
「今朝まで、私のそっくりさんが、そこに寝てたのね」
そう言うヘリにイヌが首をふった。
「彼女はそこでは寝ていない。ソファで寝たよ」
「えっ?どうして?」
「僕がソファで寝ろって言ったから」
「女性にソファで寝ろって言ったの?」
しかも怪我をして、疲労している女性に。
「ベッドに女性を寝かせるのは君が嫌がると思ったから。寝かせても良かったのか?」
うーん・・・ヘリは真面目に考え込んだ。
「他の女性だったら嫌だけど…自分とそっくりの女性だったら許せるような気がしないでもないかもしれない」
「別人だ」
イヌが素っ気なく言った。
「君は、もし、僕とそっくりの男が君の前に現れたらどうする?」
そう問うイヌに、ヘリは、「以前、会ったことあるわ」と答えた。
「そうなのか?いつ?」
多少なりとも驚いたイヌに、ヘリは「あなたがアメリカに行ってた時期」と答えた。
「街で偶然見かけたから、とっさに声をかけちゃった。
あなたと、顔と体型がそっくりな人だったけど、口調や雰囲気は全然違った、赤の他人だったわ。じつは、あなたに、生き別れの双子がいたって新事実があれば別だけど」
「無いな」
「でしょ。だから、別にどうもしないわ。だって似てるだけってこと。私は、あなたを顔で好きになったわけじゃないもの」
女の言っていた「あなたのどこが好きかわらかない」という言葉が蘇ったイヌがフッと笑った。
「じゃあ、どこが好きなんだ?」
「あれ?そう言われてみると、一体どこなのか分からないわ」
視線を泳がせ、とぼけるヘリにイヌが苦笑しながら近づくと、ヘリの横に座った。
「素直に白状しろよ。全部好きなんだろ?」
「んーっ…自信過剰な所はちょっとNGね」
「それ以外は?」
「それ以外は……」
じょじょに体も顔も距離をつめていくイヌにヘリがクスクスと笑った。
「そういえば、イヌは、その女性と一晩一緒に過ごしてどうだったの?
別人だけど、私に顔が似ているってところで、惹かれたりしなかった?」
「たしかに。僕の方は、正直、君の顔が好きなところがあるからね」
「本気で言ってる?そっくりさんに惹かれちゃった?」
焦ったように聞くヘリに、イヌは微笑を浮かべた。
「残念だけど。彼女は、僕とは全然違うタイプと顔の男が好みらしい」
「その人と、そんな話までしたの?」
ヘリは、興味深々で目を輝かせると、イヌの顔を覗き込み、甘えたように肩に寄り掛かった。
「ねえ。もっと詳しく聞かせて。顔が似ている女性がどういう人だったのか知りたいわ」
「話すことは、もう無いよ」
イヌは吐息をついた。
…まるで、夢だったと錯覚するほど。
出会いも別れも一瞬だった。
ヘリと顔は似ていても、心は動かされなかった女。
名前も素性も知らない。
おそらく、すぐに忘れてしまうことだろう。
ただ、女は、あの後、会いに行くと言っていた男に、無事、会えたのだろうか?
ふと、それだけが気になった。
遠くにいる想い人に。
何をしてでも、すぐにでも会いたいという気持ち。
あの時、イヌは、女と共感しあった気がした。
―――例えるなら、鏡に映ったヘリと視線が合った時のような感覚。
「僕は、君の話が聞きたい。
ヘリ、今週は、どんなことがあった?」
イヌは、ヘリの肩を抱くと、優しく笑いかけた。
それは、鏡ではなく、本物の愛しい女に向けた笑顔だった。
(終わり)
(「鏡の女」 最終更新日、2012年7月18日。2022年5月加筆修正版)【あとがき】
この二次小説中、リンクしている、ヘリの言っている話は、「
Without you」(イヌのそっくりさんが出てくる話)
ヘリと似た女のことは、中の人(女優さん)が、他で演じられたドラマのキャラ(たぶん、当時放送していた韓国ドラマ「IRIS-アイリス-」)のイメージより。
「検事プリンセス」みつばの二次小説、第2シーズン(ドラマ後1年以上たった世界)。
二次創作設定で、ヘリは、ソウル地検から、春川地検に異動になり、住んでいたマンションも引っ越して、イヌと離れて暮らしている頃の話です。
(経緯は、シーズン1で更新している「
追憶の香り」「
高く飛ぶ君へ」)
これで、以前(10年前(?))更新していた「温泉へいこう」や「
月が見ていた」などの話とようやく時間がつながっています。
来月、6月20日まで。あと、いくつ話が更新できるか分かりませんが、蔵で未公開になっていて、未完でも少し修正すればアップできそうなものは、更新していきます。
二次小説シリーズ、シーズン2(遠恋編)、シーズン3(夫婦編)は、ドラマ世界から時間がたっている続きで、オリジナル要素が増す二次創作物ですが、それでも、イヌ×ヘリ世界が好き。という方は、お読みください♪
ブログへのご訪問ありがとうございました!
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