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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「背馳」(4話)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。(2020年3月より初放送予定)
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「邂逅」の続きになります。


背馳(4話)




姑蘇の街はずれから、裏街道に向かった魏無羨は、先ほど仙剣の上から見た、屍傀儡らしき姿を探していた。

…たしか、このあたりで見かけたが。

魏無羨は、裏街道につくと、注意深くあたりを見渡した。
先日助けた空師の親子が遭遇したという時刻も場所も似ている。

しかし、裏街道を歩く人影もなく、屍傀儡の気配も無かった。


…まだ、このあたりにいるのかもしれない。

魏無羨は、腰帯の陳情を取り出すと、口にあてて構えた。

そして、笛の音色に念と術を入れて奏でた。
旋律には、屍や幽鬼の類を惹きつける術が込められていた。
噂の屍傀儡が近くにいるのなら、陳情の音色に寄ってくるかもしれない。

魏無羨は、裏街道から林の中に入り、岩場の影に腰を下ろすと、陳情を吹き続けた。

周囲の風が変わっていく。

魏無羨は林の周辺にいた幽鬼たちが集まってくる気配を感じた。

今の時代ではなく、遠い昔に亡くなった者。
旅の途中で行き倒れた者。
戦いのような争いごとで命を落とした者。
中には、幼い姿の者もいた。

人に害を及ぼすまでの力も邪気も持ってはいなかったが、地上を彷徨い歩いている魂たちだった。

魏無羨の陳情の音色に惹かれ、魏無羨の周囲を取り巻くように近づいてくる。

魏無羨は陳情を吹きながら、幽鬼たちを観察したが、その中に、噂の屍傀儡らしき姿は無かった。


『…もっと、聴かせて』

もう外見の原型はとどめていないまでに魂も薄れていたが、何かの未練がこの世につなぎとめているらしい幼子の幽鬼が言った。

魏無羨は、曲名を“鎮魂”に変えた。

幽鬼たちは、目を閉じ、その音色に耳を傾けた。
次第に、魏無羨を取り巻いていた幽鬼たちの姿が消え始めた。

魏無羨の“鎮魂”の効果で、魂が浄化され、成仏していく。

魏無羨は、囁くような声が胸に響いていくのを感じた。

『ありがとう…』


どれくらい時間がたったのだろう。

魏無羨は、自分を取り巻く幽鬼の気配がすべて消えた事を察して、陳情を口から離した。

この周辺にいた幽鬼たちは、魏無羨の音色ですべて成仏したようだった。

すっかり夜更けになった林の中は、暗闇と静寂に覆われていた。
獣たちの寝息や息遣いすら聞こえない。

夜空を見上げると、星は瞬いていたが、月の姿は無い。

魏無羨は、まるで、この世に自分一人残されたような感覚に陥った。
それは、別段、怖いことでは無かった。

暗闇にも、一人でいることにも慣れていたはずだった。

それなのに、なぜか全身大きな寂寥感に蝕まれていた。
孤独という闇に耐えきれない自分がいる。

先日も野宿をしていた魏無羨だったが、その時は温寧が魏無羨のそばにいた。

…そうだ。前世でも、あの日までは温寧がいてくれた。
そして、献舎されて蘇った後、再会してからは藍湛がずっと俺のそばにいてくれた。

魏無羨は胸の内で大きく去来した藍忘機のことを考えた。

…藍湛は、今ごろ、どうしているだろう?

場合によれば、泊りになると言っていた。
どこかの仙家に泊まっているのだろうか。
それとも、どこかに闇狩りの視察に行っているのだろうか。

短い時間だったけど、朝会った時、いつもの覇気のような物が弱かった気がする。
無理をしていないだろうか。

もし、藍湛が、沢蕪君の話していた理由で、飛び回っているのだったら、この屍傀儡の件は、俺が早く片をつけなくては。

藍湛は、今世で再会してから、ずっと俺を助けてくれた。
そんな藍湛に迷惑をかけたくない。


「藍湛…」


魏無羨は小さく藍忘機の名を呼ぶと、再び陳情を口にあてて、藍忘機が玄武洞で口ずさんでいた旋律を奏で始めた。

こうして、

魏無羨は夜通し、陳情を吹き続けたが、結局、日が昇る頃になっても、魏無羨の追っていた屍傀儡が現れることは無かった。


一方。

日が少し高く昇った頃の雲深不知処では。

前の日、魏無羨の通行玉礼を借りて、無事に結界門を通過出来た、姑蘇藍氏の弟子達が、静室を目指して歩いていた。

魏無羨に通行玉礼を返す為だった。

「含光君様も静室にいらっしゃるだろうか?」

「いや、この時間にはもう家にはいらっしゃらないはず」

時刻は巳の刻(9~11時)に入っていた。

「しかし、今朝、雲深不知処の中ではお見掛けしなかったぞ」

「昨日お出かけになられてから戻られていないか、また雲深不知処の外に出られたのでは無いか?」

弟子達は、ひそひそと声をひそめ、そんな会話をしながら、静室の門の前にたどり着いた。

「魏先輩。魏先輩いらっしゃいますか?」

先頭を歩いていた藍思追が静室の門を叩いて言った。

ややって、静室の方から人が出てくる気配がした。
そして、門が開き、中にいた人が現れた。

藍忘機だった。

「!!」

てっきり静室にいるのは魏無羨だと思いこんでいた弟子達は、驚きの表情で固まった。
しかし、すぐに一斉に背筋を伸ばし、慌てて藍忘機に揖礼をした。

「含光君様」

藍忘機は、姑蘇藍氏の若い弟子達を見渡すと、「何事?」と静かに問いかけた。


「あの、用事があって、魏先輩にお会いしたいです」

藍思追が答えた。

「先輩はいらっしゃいますか?」

「いない」

「もう、どこかにお出かけになられましたか?」

「昨夜から戻っていない」と瞬き一つせずに答えた藍忘機に、藍思追は思わず隣にいた藍景儀と顔を見合わせた。

「魏先輩、まだ、あれからあのまま。朝にも帰っていないのか」

戸惑いと動揺が弟子達の間に広がった。

そんな弟子達の様子を見渡し、藍忘機は眉をひそめた。

藍忘機のそんな表情を見逃した弟子達は、勝手にひそひそ話を始めた。

「また鬼将軍と一緒にいるのかな?」

「いや、姑蘇の街で降りたから、夜は宿に泊まったんじゃないか?」

「でも、魏先輩、まったく金を持っていなかったじゃないか。あれじゃ宿には泊まれないよ」

「そうだ。景儀。もしかしたら魏先輩、あの姑蘇の街で会った仙術使いの宿に泊まって、一緒にいるのかも。闇狩りで手助けしてもらったっていう、魏先輩とやけに親し気だった男の人」

「ああ~…。あの、先輩が仲英って呼んでた、手首に黒数珠をつけた仙術使い」

藍景儀が頷いた。

「あの人、魏先輩に言ってたしな。『一緒に酒を飲もう。“また”俺のいる宿の部屋にも泊りで遊びに来いよ』って」

正確には、仲英はこう言っていた。
『また一緒に酒を飲もう。俺のいる宿の部屋にも泊りで遊びに来いよ』

藍景儀は、話の中で「また」の挿入位置を間違え、仲英が言った本来の文の前後が混ざっていたのだったが、とくに気にするところでは無いと思っていたようだった。

しかし、聞いた者には、そうでは無かった。

藍景儀の言葉の後、弟子達は、なぜか藍忘機の周囲の空気が一気に冷え込むのを感じて、無駄口を止めた。

「昨日、魏嬰と、どこで何をしていた?」

低く、静かな藍忘機の問いかけが逆に弟子達の顔を一斉にこわばらせた。



藍忘機と弟子達の間で、そんなやり取りが繰り広げられているとはつゆ知らず、
魏無羨は、その頃、裏街道脇の林の中で、ぐっすりと眠っていた。

夷陵近くで闇狩りを行い、夜はずっと屍傀儡を誘いだす為に陳情を奏でていた魏無羨。

その前日もあまり休んでいなかったため、さすがに夜が明けた頃には気絶するように入眠していた。

裏街道を通る旅人達が多くなってきた騒めきの気配で、ようやく魏無羨が目覚めたのは、日が真上よりもずっと下方に傾いていた頃だった。

…うーん…。どれくらい寝ていたんだ?俺は。

ぼさついた頭をかき、寝ぼけ眼で、林の中から突如、裏街道に出現した魏無羨に、旅人たちは、ぎょっとしたような顔をした。

「このあたりで怪しい屍を見なかったか?」

魏無羨は、歩いている旅商人たちを捕まえては聞いた。

「…見てねえな」

…屍傀儡とやらより、あんたの方がよっぽど怪しい。

旅商人たちは、皆、そんな不審そうな目で魏無羨を見た後、そそくさと去っていった。

よれよれした出で立ちだけでなく、魏無羨から仄かに悪臭が立ち込めていた。

…一度、雲深不知処に戻ろう。昨日街はずれで別れた、姑蘇藍氏の弟子達も無事に帰れたのか気になるし。

そう考えた魏無羨は、大きなあくびをしながら、フラフラと雲深不知処への帰路についた。



雲深不知処の静室に辿りつき、
門を開けて、敷地内に入った魏無羨は、周囲を見渡した。

藍忘機がいる気配はない。

…藍湛は、まだ帰ってないんだな。

そう思った魏無羨は、静室に入って天子笑の酒を思いっきり飲みたい気持ちを抑え、まず、体を清めることにした。

先日の魔物との闘いや、裏街道探索で、魏無羨の体は全身埃と汗まみれで据えた匂いになっていた。


風呂を準備しようと、風呂桶を納屋から出そうとした魏無羨は、その重さに顔をしかめた。

持ち上げられないことも無かったが、疲れた体には億劫だった。

…藍湛は、こんな重い風呂桶をいつも軽々と持ち上げてたな。

そんな事を、思い出しながら、魏無羨は、風呂湯を沸かすのも面倒になり、行水ですませることにした。

魏無羨は静室の裏手に、まわると、そこで衣服を脱いだ。そして井戸の水を手桶にくむと、頭からかぶった。

「うわっ。つめてーっ!」

思わず魏無羨が叫んで、身震いするほど、水は冷えていた。

…これじゃ、冷泉だ。やっぱり湯くらい沸かせば良かったな。

そんな後悔すらも我慢して魏無羨が井戸の冷水で体を洗っていた時。


「魏嬰」


低いが、静かな敷地内に響いて聞こえた呼び声に、
魏無羨は思わずびくっと体をこわばらせて、振り返った。

静室の家屋の角で、藍忘機が魏無羨を見つめて立っていた。

「藍湛。いつから、そこに?」

藍忘機の突然の出現に驚き、魏無羨は、全身から冷水の雫を滴らせた身体で突っ立った。

目をしばたたかせている魏無羨を見据えたまま藍忘機が言った。


「話がある」



(続く)


【拍手コメントレス的な話】

みつばも中国語分からないのに、パっと見した「陳情令」の映像に惹かれ、公式から配信されていた「陳情令」ドラマを見て、どっぷりとはまりました♪そして、やっぱり中国語も英語も堪能で無いのに、原作「魔道祖師」の小説を読むまでに。…雑記ではしゃいだ記事書いてましたが、おそらく解釈間違っている箇所多数。なのに、勢いで二次小説まで書いているという。萌えパワーがあれば、成せば成ります!(笑)

「魔道祖師」日本版のラジオドラマ、無料部分、ちょっとだけ聴きました♪
江澄、最高!!かっこいい!!ずっと聴いてたい♪(声)…今のところ、感想それだけですが、魔道祖師の内容や詳細を知るには、これを聴くのが一番早そうです。

みつばの二次小説では、江澄の登場はまだです。ある話では沢山登場予定ですが、みつばの「陳情令」二次小説は、最終回間近になります。
…昨年、来年の今頃(12月頃)は、二次小説最終回かも?とか雑記で書いてましたが、「陳情令」の日本語訳のドラマが最終話放送頃に、ようやく今の二次小説シリーズ話が完結していたら御の字かも(汗)←遅筆。

ピンク拍手コメントの方。

もう、大爆笑させて頂きました(笑)うらやましい!そのチャットにみつばも混ぜて欲しかったです。脳内でみつばも一人チャットします。yy×gg×dd妄想で♪♪♪
しかし、何て美しく麗しい3人なんでしょうね。現実の姿が美しすぎて、腐妄想の中でも、何やっても美しい(うっとり)…ちなみにyyも攻めなんですね?萌えすぎて、腹筋がよじれそうです♪

シリアスな雰囲気の二次小説の、あとがき拍手コメントレスで、はしゃいですみません。
今、リアルの世界では、必須業務にてんぱってまして(←そのわりに余裕そうに見える)

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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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