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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「邂逅」(1話)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「」の続きになります。


邂逅(1話)



藍忘機と雲深不知処の中で出がけに話をしたのは昨日の朝のことだったのだが、
魏無羨には、それから、とても長い時間がたったように感じられた。

宿屋の食堂で聞いた藍忘機の婚姻の噂話。
妖魔の大蜘蛛との闘い。
仙剣を振るう流れの仙術使いの男。
闇狩りの後、自分の帰りを待っていた弟子たち…。

1日の出来事が魏無羨の頭の中に次々と浮かんでは消えた。

頬に藍忘機の布を当てながら、魏無羨は、腰帯に差した笛、『陳情』にもう片方の手をそっと置いた。

そして、目を閉じたまま、魏無羨は、しばらくそのままジッと佇んでいた。

しばらくして。

カタリ…。と清室の門の方から音がした。

「藍湛?」

魏無羨は目を開け、弾かれたように振り返ると、とっさに清室の門まで駆け寄った。

門の近くに人影は無かった。

キイっと小さく歪む音を立てて、清室の門が揺れている。

魏無羨が清室の敷地に入った後、門を閉め忘れていた為、風で扉が開いていたのだった。

魏無羨は肩を落とすと、思わず握りしめて持って来てしまった藍忘機の布に目を落とした。

藍忘機に、帰ったら、今夜、一緒に酒と茶を飲もうと話していた。

しかし、魏無羨は、清室に買い置きしていた天子酒がもう無かったことを思い出した。


…門限までまだ時間がある。街まで酒を買いにいこう。

魏無羨は、そう決めると、布を懐の中に仕舞い、そのまま清室の門を開けて外に出た。

雲深不知処を出て、いつもの姑蘇の街まで来た魏無羨は、天子酒を売っている店を目指した。
活気のある繁華通りを歩いていた時、ふと、露店の飴売りに目が止まった。

いろいろな動物が模られた飴が売られている。

その中に兎の形の飴もあった。

以前、姑蘇に初めて来た時、師姉に買って渡した飴に似ている。

そんなことをボンヤリと思い出した魏無羨の脳裏に、兎を抱く藍忘機の姿も浮かんだ。

いつも兎を見ると、やわらかな表情になる藍忘機。
魏無羨は、藍忘機のあの顔が見たいと思った。


…藍湛は、遠いところに仙剣で行っているから疲れて帰って来るだろう。
甘い物を食するのもいいかもしれない。

そう考えた魏無羨は、さっそく飴を購入しようと、懐から巾着を取り出して開いた。
巾着の中に銀はもう無く、天子笑1甕が買えるくらいの銭しか無かった。
飴を買えば、酒は買えなくなる。

しかし、魏無羨は即座に兎の飴を露店の店主に示すと、飴の代金を支払った。

そして、笹の葉にくるんでもらった兎の飴を魏無羨は大事そうに懐の奥にしまった。

こうして、残り銭も少なくなり、すっかり寂しくなった巾着の中身にも頓着せずに、
魏無羨は雲深不知処に戻って清室で藍忘機の帰りを待つことにした。

魏無羨が雲深不知処の帰り道に足を向けて歩いていた時、天子酒が店の前に陳列された酒家の前を通った。外に並べられた卓子で客たちが酒を飲みながら、煮込み料理を食べている。その様子に目を向けた魏無羨の視界に見覚えのある顔が入った。

卓上に仙剣が置かれている。
天子笑の甕の酒を注いで口をつけていた男が、魏無羨の視線に気づいて顔を上げた。

「よお、又会ったな」

魏無羨を見た男が、以前会った時と同じように、気さくな呼びかけをして、フッと笑った。

「よく会うな」

魏無羨もそう言って笑みを浮かべて近づいた。

男は太鼓叩きの芸をしていた、流れの仙術使いだった。
夜に闇狩りをしていた時にも山で会っていた。

「ここに来て俺と一緒に酒を飲まないか?」

男が魏無羨を手招きした。

「連れはいいのか?」

男が座っていた卓子は、ほぼ客で埋まっていた。

「俺の連れはいない。皆相席で座っている。ほら、横は空いている」

男の座っている長椅子は一人分ほど空席だった。

「誘いは嬉しいが、俺は今手持ちの金が無い。酒には付き合えないが、少し話をしたい」

チラリと無意識に天子酒の甕に目をやった魏無羨が言った。
先日から酒を1滴も飲んでない魏無羨だった。

男が飲んでいる天子笑の甕の形、酒の注がれる音、香り、すべてが魏無羨の五感を刺激し、避けがたい誘因力を放っている。

思わずコクリと喉を鳴らした魏無羨に男が笑った。
そして酒家の店員に追加の盃をもらうと魏無羨に差し出した。

「酒は俺のおごりだ。金はいらん。昨日の街の道芸ではあんたの笛のおかげで稼がせてもらったからな。その礼だ」

そう言うと男は立ち上がり、魏無羨の腕と肩を取って強引に引き寄せると椅子に座らせた。
それから魏無羨の目の前に盃を置くと、天子笑の酒をなみなみと注ぎ入れた。

「礼なら俺の方がしないといけない。昨夜闇狩りで助けてもらった」

酒を見ながら魏無羨が言った。

「目の前に妖魔に襲われている者がいるのに見捨てられるか?俺は当然のことをしたまでだ」

魏無羨の横に腰掛けた男はそう言って己の酒の盃を掲げた。

「名を名乗ってなかったな。俺は仲英。
属している仙家も字も称号もない。ただ、仲英だ。そう呼んでくれ」

…ただの仲英?面白い男だ。

そう思いながら、魏無羨は、「俺の字(あざな)は魏無羨。名は魏嬰。今は姑蘇藍氏に身を寄せている」と名乗った。

「魏嬰」

仲英は名前呼びすると、フッと笑った。

「出会えたことを祝おう。魏嬰」

「ああ。仲英」

そう言うと、魏無羨も仲英と一緒に盃を上げた。
そして、盃の中の酒を一気に飲み干した。

1日ぶりの天子笑の酒が、まるで伝承でしか聞いたことの無い天界の甘露のように感じた魏無羨だった。

はぁっと満足気な吐息を漏らすと、魏無羨は口元を手で拭った。

「やはり、この酒はうますぎる」

「確かに。俺も姑蘇に来て初めてこの酒を口にした時からそう思った。
いろいろなところを旅してきたが、この酒はその中でも格別な味だ」

仲英が頷きながら、また魏無羨の盃に酒を注いだ。
それから、これも食せと、酒のつまみや総菜の皿と箸を魏無羨の前に寄せた。

魏無羨は礼を言うと、総菜を箸でつまんで口に入れた。
そして、欧陽氏の闇狩りの件には触れずに、魏無羨は別のことを男に聞くことにした。

「仲英、流れ者の仙術使いと言っていたが、なぜ特定の仙門に入らずに旅を?」

「しょうにあっている」

仲英が答えた。

「見たいものを見て、行きたいところに行く。面白そうな話を聞けば、その場所を目指して旅をする。魔性に困っているという噂を聞けば手を貸す。そんな風に旅をしている」

魏無羨は頷いた。

たしかに昨夜目にした仲英の仙術の腕前なら、ある程度の規模の物なら一人でも闇狩りを遂行できることだろう。それ以外に芸も出来る。生きていくのに必要な技も十分にあるのだろう。

ただ…。

「昨夜も屍の話が気になって興味本位で山をのぞきに来たと言っていたな」

「ああ」

仲英が自分の盃に酒を注ぐ横顔を魏無羨はじっと見つめた。

「俺にも会いに来たのか?」

「ん?」

魏無羨の言葉に、仲英が魏無羨の顔を見た。

冗談めかした口調。
そして、口元は柔らかに綻んでいたが、仲英を見つめる魏無羨の目に酔いの色は無かった。

「あの時、仲英は、旅人が遭遇したという屍の出没は裏街道だと言っていたな」

魏無羨が、酒甕と盃の置かれた位置を指差し、地図に例えて示すように続けた。

「裏街道は、あの山の麓とはこれくらい違う方角にある。様子を見に来るには見当違いだ。
土地勘が無いとしても旅慣れしている仙術使いが、的外れの闇狩りに来るとは思えない。
屍のことは、でまかせを言ってないと信じてる。だが、仲英は、屍を見に来ただけじゃない。何か他の目的もあってあの山に入った。違うか?」

静かに尋ねる魏無羨に、決して相手を咎めたり、問い詰める構えは無かった。
だが、誤魔化しは効かないという雰囲気が漂っている。

そんな魏無羨に仲英がフッと笑った。

「その通りだ。本当に興味があったのは屍じゃなくて、あんただ」

仲英はそう答えると、悪びれる様子もなく甕の酒を魏無羨の盃に注ぎ入れた。

「芸で会う前、姑蘇藍氏一門を率いて街に入る姿を見た。姑蘇藍氏の闇狩りの一行は目立つ。
それで、あんたがあの有名な魔道の技を創始した魏無羨、夷陵老祖だということも分かった。
姑蘇藍氏一門がその夜に闇狩りに行く場所も街で聞いていたからな。
商家の闇狩りを終えた後、あんたに会えるかと、ちょっと様子を見に足を延ばしたってわけだ」

「なぜ夷陵老祖に会いたかった?技に関心があったか?」

「技に関心が無いわけじゃなかったが、山に入ったのは、俺の太鼓に笛を合わせてくれたあんた自身に興味を持った」

「俺自身に興味?」

「うむ。俺と同じような生き方をしている者に見えたからだ」

魏無羨は、自分と同じようなことを感じていたらしい仲英の言葉に驚いた。

「仲英の持つ志は何だ?」

「志なんていう高尚な物じゃないが、俺は自分の持てる能力で助けられる者がいるのなら、そうしたい。それだけだ。魏嬰、あんたはどうだ?」」

魏無羨が頷いた。

「俺もそうだ」

魏無羨に答えに仲英は微笑むと、魏無羨の盃に自分の盃を合わせた後、その中身の酒を飲み干した。

「世間が話す夷陵老祖の噂は様々だ。そのどれが正しいのか俺は知らん。
だが、実際に会ったお前の印象は俺には良かった。それで興味を持って近づいた。一番の理由はそれだ。それに裏街道に出たという屍の話も本当だ」

「そうか…」

「こんな説明で納得したか?同志」

片目をつぶって茶目っ気めいて聞く仲英に魏無羨は思わず笑みを浮かべた。

「ああ。だが、そんな直球で印象が良かったと言われると照れくさい気分だ」

「あははは。あんた自身が聞いたことだろうが」

仲英は面白そうに豪快に笑って、気さくに魏無羨の肩を手でたたいた。

「まあ、飲め。魏嬰。見たところ、いける口だろ?」

「ああ、酒は大好きだ。仲英は?」

「俺もだ」

魏無羨は仲英と酒を飲みかわしながら、楽しい気分になっていた。

仲英の朗らかに笑う横顔で、魏無羨はかつて、ずっと一緒にいた江澄のことを思い出した。

…こんな風に談笑し、よく酒を飲みかわしあったな。

まるで、遠い昔の、夢の中の記憶に感じられる。

そう感傷に浸りそうになる己の想いを、魏無羨は盃の酒と一緒に体の奥へと飲み干した。


「仲英、旅の話が聞きたい。珍しいことはあるか?」

「もちろん。話のタネは沢山持っている。例えば…」


魏無羨が聞いた仲英の旅の話は面白かった。


魏無羨が行ったことの無い場所。知らない景色。見たことも食したことも無い食べ物。
会ったことのない、珍しい仙術の技を持つ仙人や仙女たちの話。

旅の中で、仲英が経験したというそれらの話を魏無羨は目を輝かせながら聞き、思わず吐息をついていた。

「興味深いことばかりだ」

「だろ?いいことばかりってわけでも無いが、旅は面白いことに出会える。
今のところの悩みといえば、俺の太鼓の芸が今一つマンネリで工夫が必要ってとこだ」

「工夫か。仲英はいい声をしている。今度芸をするときは太鼓と一緒に歌うともっといい」

魏無羨がそう言うと仲英がニッと笑った。
そして気分よく歌い始めた。

「『山は動かず、風は吹き、雲は流れる。雨が天から山に降り注ぎ川になり、雲となり風に吹かれ、また山に戻る。人の出会いもまた、偶然か必然か』

誰かの詩だろうか。

体を揺らしながら浪々と歌う仲英の低い美声はよく通った。

「どこの、誰の歌だ?なかなかいい」

「だろ?俺も出どころは知らん。旅をしていた時に会った者が歌っていたのを覚えた」

「旅は長いのか?」

そう聞く魏無羨に仲英は遠い目をした。

「ああ。物心ついた時にはもうずっと旅をしていた。元は、ある仙家に属していたが、俺が子どもの時に両親が闇狩りで亡くなった。その後、両親が助けたという旅芸人一座の座長にひろわれ世話になり、座長が亡くなった後は、一座を離れ仙術の技を身につけながら根無し草の旅生活だ」

「そうか…」

魏無羨は自分と似たような境遇の仲英の身の上話に、そっと目をふせた。

そんな魏無羨に仲英が笑った。

「そんな湿っぽい顔をしないでくれ。旅も芸も楽しいぞ」

魏無羨は顔を上げると微笑を浮かべた。
そんな魏無羨に、仲英も優しい笑みを浮かべた。

「魏嬰、二人で芸をやってみないか?太鼓と歌と笛で」

「ああ、いいな」

そう軽く頷いた魏無羨に仲英は手を伸ばした。
そして魏無羨の背に腕を回し、その肩を抱くと顔を覗き込んだ。

「そして、一緒に旅をしよう」

…ん?

仲英の顔は酒酔いでほんのり赤くなっていたが、魏無羨を見つめる目は真摯だった。

…それは…。

魏無羨が、口を開きかけた時、


「魏嬰」


自分を呼ぶ、隣にいる者ではない男の声が聞こえた。

魏無羨は反射的に、その声の方に勢いよく顔を上げた。


人通りの多い往来の中でも、魏無羨には、はっきりとその白い姿が浮かび上がって見えた。

魏無羨と仲英が座っている酒場通りの向こう側。

こちらを見つめて、藍忘機が佇んでいた。



(続く)


みつばの二次小説を読んで頂きありがとうございました。
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ブログへのご訪問ありがとうございます。

「陳情令」二次小説、うまく構成が進めば、近々シリーズの次作話を更新出来るかも?のお知らせです。

プロット通りに書いていると、…終わりまでまだ先は長いな。という気持ちで(汗)

なぜ、こんなプ面倒なプロットを作ってるの?って、同じこと8年前も記事で言ってました。自分。
時間がどれだけ経過しても、同一人物なんですね。←当たりまえ。

でも今、昔の二次小説の記事見たら、編集や構成の出来ないガラケーの携帯電話で、一発書きおろしで小説書いてる。読み切りだけでなく、連作まで。自分が信じられない。何故書けた?どうやっていたんだろう?

スキルアップどころか、おそらくブランク中に劣ってしまった力があるのは仕方無いけど、また楽しんで創作が出来るようになって本当に嬉しいなって思います。

みつばの二次小説は、本来なら、ネームを起こして漫画で描きたかったもの。
でも、もう媒体にこだわらないで、自分が楽しく表現できればいいって気持ちで創作してます。

なので、自分が実際に読みたい話や、見てみたいドラマの映像を妄想してプロット(ネーム)作成しているので、自分の能力で書けるものか、とか、その時は考えてない。だから、実際に書き始めると、うまく表現が出きない~。ってなってるのでしょうね。←今ごろ気づく。

素直に書きたいのは、イチャラブ話だから、それはすらすら書き下ろせる♪

そんな創作裏話的なことをブツブツ雑記で語るくらいなら、更新する二次小説の編集と修正を進めなくては(笑)


気分アップに「陳情令」の魏無羨役さんと藍忘機役さんのお姿を♪




肖戦さん(魏無羨役さん)




王一博さん(藍忘機役さん)





※あくまで画像の紹介です。
クリックすると商品説明ページにリンクしますが、
後のことは自己責任でお願いします。

やっぱりかっこいい!!でも、王一博さんを見ていたら何も手につかなくなってしまうので、ぐっと我慢。バイク姿もかっこいいし、ダンスは素敵すぎるし。甘い声にうっとり♪
でも、笑顔は超キュート♪♪♪(肖戦さんを見る笑顔が特に)←これこれ。
もし…みつばが10代のころ、王一博さんのような方を知っていたら、きっとリアルにはまりすぎて恐ろしいことになっていたかも。
あ、でも、そのころのみつばは、年上のお兄ちゃんタイプの男性が好みだったから、やっぱり兄様(藍曦臣)かな?(笑)

「陳情令」二次小説更新まで、もうしばらくお待ちください♪


(追伸)

…結局、もう一つの二次創作よりこっちが先になってしまって、「検事プリンセス」ファンの方、ごめんなさい。「陳情令」の二次創作は、まず片恋状態を何とかしないと、いちゃラブ話が書けないから、ちょっと急いでます。

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テーマ:更新報告・お知らせ - ジャンル:小説・文学

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・・・みつばが耐えきれずに裏箱イラスト描きました。
どうしても、「陳情令」藍湛×魏嬰のいちゃラブが創作したくて。

二次小説は、今シリーズ話を書き進めているのですが、
これが、今はシリアス路線に。

なので、裏箱といえども、未来の話であまりラブラブした物を更新出来ないのです。

BJYX(中の人達をカップルにしたリアル妄想)の話でも書いてみようかな?なんて思ったら、きっと本気になってしまうので、今はやめておきます。

藍湛×魏嬰、構図は、あの船の上の膝枕シーンから♪
藍湛×魏嬰がイチャイチャした後、ピロートークでもしている感じ…のイラストです。

原作の「魔道祖師」ではなく、「陳情令」の藍湛×魏嬰なので、
藍湛の体がちょっと細めかな(汗)でも、みつばの中で藍湛は細マッチョなイメージ。

そして、体がスリムでも、色白でも、肌が美しくても、仙子みたいでも、
藍湛は攻めです。ええ、何と言われようと攻めですから!←しつこい(笑)

「陳情令」の二次小説は、順調(???)に書き進んでます。
やはり、次作も5話の予定。…完結まで終わりがまだ見えないところが怖いです(苦笑)
3月にドラマ「陳情令」が日本上陸するまでには、確実に終わらない予感。

日本上陸したらしたで、翻訳見て勘違い設定とかに気づいて、二次小説全部書き直すはめになるのでは(汗)と思ったり。



裏箱の見方はこちらから。

「陳情令」2枚以外は、韓国ドラマ「検事プリンセス」(CPは男女カップル)の大人話やイラストなどが入っているので、それぞれのファンの方は、見る時、「もっと送る」ボタンを押して、画面をめくってください。

スマホの方はトップページの赤い拍手ボタンを押しても「裏箱」は見られないようです。
記事に入り、PC版に画面を切り替えてから「ピンク色」の拍手ボタンからお入りください。


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みつばは、ドラマ「陳情令」の藍湛×魏嬰のCPが大好きです。

(原作「魔道祖師」の藍湛×魏嬰も好きです)

それとは別に、リアルの方、中の俳優さん、藍湛役さんと魏嬰役さんも好きです。

魏嬰役さんは、みつばの中で魏嬰のイメージと混ざってます。
藍湛役さんは、役者さん自体に、ちょっと思い入れが深くなってきていて、いろいろ自制中。


そして、同時に「博君一肖」「bjyxszd」(藍湛役さんと魏嬰役さんをリアルで腐女子乙女視点の名称)もはまりそうになっていて、本当に厳しい状況に。

妄想は妄想。創作は創作。リアルはリアル。
一線ひいていこう。一線を!と唱えながら。

みつばは、あくまで藍湛×魏嬰の妄想をしてるんだから。
中の人は、あくまで中の人だから、影ながら応援するだけにとどめよう!

そう決めました♪



bjyx00.jpg



   bjyx!






…どこが一線?
イラスト描いてるし(汗)。


雪が降ってるから、つい、こんな妄想しちゃったんですもの。
dd(王一博さん)が、gg(肖戦さん)に雪兎をプレゼントしている図が。

これ描くのだったら、藍湛と魏嬰で描けば良かったのに。

でも、へた絵描いて自分がちょっと満足したぽいので(笑)
これで「陳情令」の二次小説シリーズの続きを書き進められます♪

…でも、正直、「陳情令」ももう一つの二次創作の方も、今はラブシーン抜きのエピソードばかり書いているので、結構辛いです(涙)
バレンタイン頃は、もうふっきって2つとも裏箱系短編書いちゃおうかな…。ぶつぶつ。


自分も「博君一肖」好きです!という方も、やっぱり藍湛×魏嬰よね♪って方も、
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先日の、みつばの慌てふためいた雑記も読んで頂き、ありがとうございました。
「陳情令」の特別編。日本じゃ見られなくなってる~。とか、ほざいてましたが、見られました。ばっちりと。

ブログへの拍手コメントで、皆さんから視聴する方法をいろいろ教えて頂いて、本当に感謝です。視聴の方法1つじゃないんですよね。
みつばと同じように、見られないという方もいらっしゃったので教えて差し上げたいのですが、ブログで明記していい方法か分からないので、みつばが最初に試した正規の方法。
検索エンジンを変えて検索してみてください。
そうすると、「陳情令特別版」が見られる公式サイトさんも見つかります。…いつもの動画サイトではうまく検索できなかったんですよね。
「陳情令特別版」も今は、中国語字幕か英語字幕ではありますが、1度オリジナル版を目にされている方なら内容は大丈夫かと♪
「特別版」藍湛の冷泉半身浴のロングバージョンは必見です!←おすすめはこれだけじゃないですよ(笑)

初めてコメント頂いた方も多かったのですが、それだけ「陳情令」好きな日本の方にブログに来て頂いていたんだなって分かって嬉しかったです♪ありがとうございます。

「陳情令」「魔道祖師」関連の記事と二次小説は、日本ではあまり読まれていないと思って、好き勝手に書いてましたが、読んでくださっている方が少しずつ増えていたのですね。誤字脱字や間違い表記が多くてお恥ずかしい。。。←8年前から。

「陳情令」の二次小説シリーズの続編を楽しみにしている、というコメントも多くて、恐縮ですが、嬉しいです。

「噂」の続きからは、波乱づくめで、戦闘やアクションだけでなく、恋愛面でも複雑な展開になるので、書きあげる前から…すでに重いです。
このシリーズは、魏無羨君、受難の物語ですが、主人公が成長する為に乗り越えなければならない試練が、今後の物語でいっぱい出てくるのです。←…原作やドラマの魏無羨君ファンの方に怒られそう(汗)

原作「魔道祖師」とは、恋愛もラストからの展開も違う藍湛と魏嬰なので、みつばが妄想し二人の物語をちゃんと書き上げられたらいいな~と思ってます。

次作の二次小説もどこで一度区切るかな?も試案中ですが、「噂」くらいの長さかな?

…ここで考えて雑記書いているより、創作に時間を使おう(汗)

というわけで、「陳情令」の二次小説更新まで、もうしばらくお待ちください。

応援ありがとうございます!

【拍手コメントレス的な話】

拍手コメント送ってくださった方々、ありがとうございました!
個々へのお返事では無くてごめんなさい。
でも、全部ありがたく読ませていただいてます。

現在。「陳情令」以外の記事や二次小説を見に来てくださっている方もいらっしゃるかしら?
何か気にいった物があったら、好きな時に見ていってください♪

有料放送は見られませんが、動画の方は、みつばもみつばの道侶もそれぞれ別の物を契約しています。時々ポイント消失してしまうくらい利用出来てませんが、たまに、見たかった韓国ドラマや中国ドラマも見られます。「陳情令」もいずれ来ないかな…。←2年後くらい。

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先ほど、「陳情令」の特別版が日本で見られないかも~。という雑記をアップしたのですが、
訂正します。

…見られました。14話までは全部。

ブログアップした後に、コメントを送ってくださった方々ありがとうございます!


初めて(?)拍手コメント送ってくださった方もありがとうございます。
すみません。「検事プリンセス」記事でハンドルネームが同じ方が過去にいらっしゃっているのですが、「陳情令」ファンの初めてコメントの方ですよね?

オリジナルドラマ「陳情令」50話は、一応全部視聴しているのです。
今、それに新しいシーンが加わって編集された「特別版」全20話が配信されているので、それが見たくて。

「見られますよ~」と拍手コメント送ってくださった方の方法で、オリジナル版全50話を見る方法も新しく分かったのですが、「特別編」も普通の検索でも14話まで見られることが判明しました。

おそらく検索エンジンの関係ですね。

見られましたよ~!
オリジナル版には無かった、藍湛の裸の上半身がばっちり見られる特別版のシーンが(うれし涙)
見えてます。裸の胸も…〇首もばっちりと見えます♪着替えのシーンも増えてます。素敵♪えへっ。
もう、今日は100回くらいリピートして見ます(笑)

これで、萌え萌えモードで「陳情令」の二次小説も書けます♪



情報教えてくださった方、ありがとうございました!
皆さまも、ぜひ!「陳情令」特別版お楽しみくださいね。

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「陳情令」…日本上陸しますね。はい。楽しみです。
昨年の夏からずっと待っていたのですから。

ただ「博君一肖」(主役お二人のことを腐女子乙女目線で見た名称)のことで、ちょっと(かなり)落ち込んだことがあったのです。←ご心配なく、勝手に盛り上がって、勝手に沈む妄想屋なんで。

だから、みつばの場合。リアルにはまっちゃダメだって。
妄想とリアルと混同し始めて、何かあったら、立ち直れなくなるんだから。
そう、分かっていたのですけど。

そんなみつばに、いつも「陳情令」「魔道祖師」の情報を教えてくれるrさんが、魏無羨役の肖戦さんの素敵な歌情報を教えてくださいました。

肖战(肖戦)さんと、女性歌手の那英さんがデュエットされた2つの歌です。

・原題「被风吹过的夏天」
みつば訳「風に吹かれた夏」

・原題「心动」(心動)
みつば訳「ときめき」

「心动」は、心が動かされる。ドキっとする。動揺する…の意味。

情報を教えてくださったrさん日本語訳のタイトルは「キュッとした」です。
たしかに「キュン」とする歌です♪

みつばも動画で目にしていたのですが、中国語字幕でも歌詞をほとんど理解出来ていなかったのです。だから、肖戦さんと女性の歌手の方の素敵な歌声とメロディー♪映像としか分からなかったのですが、rさんに歌詞の内容を少し教えてもらって、

「陳情令」の藍湛×魏嬰の歌に聞こえる!!
リアルの博君一肖(王一博さんと肖戦さん)の歌に聞こえる!!(夏に「陳情令」撮影していた時の)

という気持ちで歌を聴いたら、ちょっと元気でました♪



でも、この動画は見られるのですが、
rさんから情報を教えてもらった限り。

やはり、「陳情令」特別版は、見られなくなってるみたいです。

「陳情令」特別版、全20話で、そのうち、もう15話まで、新シーン公開されてるみたいです。…他国では。

というのも、他国では配信されている動画。rさんは見られている物も、みつばのネットでは機器を変えても、現在見られていないからです。
みつばだけですか?日本の方で見られてる方いらっしゃいます?そうしたら、みつばの検索の仕方が悪いのかもなんですけど。。。
おそらく、見るやり方はあるので、それが出来ている方は、日本にいても見られます。

教えて頂いた特別編集版のシーンは、あるのと、無いのと大違いの新シーンや、新編集ばかりでした。(みつばは7話まで。カットシーンだと12話までしか見られていない)

特別版の13話以降は、魏嬰が復活して生き返った後の話なので、絶対見たいところ。

この特別版見たら、本当に、藍湛がどれだけ魏嬰の事を愛してるかが、分かりやすくなってます。
さらに、さらに、魏嬰も藍湛の事を凄く好きだって(恋とは自覚してないけど)行動も分かりやすい。まさに「忘羨」編。
原作の「魔道祖師」より、ドラマ「陳情令」(特別版)の方がある意味、二人の関係は秘めているのに甘いし、絆も強く描かれています。

これ、知ってるのと、知らないとでは、二次小説妄想の材料として、全然違うんだけど。
それに、日本のファンだって、見たいはず。

~と、思いながら、rさんに感謝しつつ、

「どなたか分かりませんが、出し惜しみしないで。全世界の「陳情令」ファンの方に特別版の公開お願いします!」と、
ひっそりと、(全然ひっそりじゃないかも)叫ぶみつばなのでした。

教えてもらった情報、また今度、少しだけでもブログで紹介出来たらしたいです。


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テーマ:中国ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

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中国ドラマ「陳情令」。とうとう、日本放送日、日本公式さんから発表がありました♪
3月ですね。

「~に入ろかな?やっぱりやめようかな?♪」のCMの有料放送さんみたい。

でも、・・・無理です。みつばは、おそらく見られません。

我が家の江澄が、有料放送(ケーブル)を入れることを許してくれないです。
…みつばの相方(道侶)を無理やり「陳情令」のキャラに当てはめると90パーセント江澄に似てます(外見じゃなくて中味の話)
残りの10パーセントくらい藍湛入ってるかな。←どのあたりが?は、のろけになるので言わない。
10代の頃の、昔の相方は80パーセント金陵だったのにな~…(そして20パーセント藍湛だった(笑))

普段は江厭離(魏無羨の師姉)のみつばも←え?(笑)、本気で怒ると江澄も震え上がる虞紫鳶(江厭離、江澄の母)になるので、ケーブル引き入れ強行も可能なんですが、テレビに関しては子ども対応でしょうがありません。…動画サイトだったら、こっそり登録するんだけど。


やっぱり、こうなると、動画で特別版すら、日本では見られなくなるのかな?(泣)
「陳情令」日本上陸嬉しいけど、みつば上陸には、まだ時間がかかりそう。

きっと、今年の3月以降、ドラマ放送で、日本ファンの皆様の「陳情令」旋風が巻きおこる中、みつばは、ひっそりと、「陳情令」の二次小説書き続けながら、DVD販売を待ってます。

…役者さんたちの来日もひそかに期待してます。。。

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中国ドラマ「陳情令」の原作「魔道祖師」のラジオドラマ(ボイスドラマ)が、ドラマより一足先に日本語翻訳版、(日本声優版)いよいよ今日配信ですね♪

みつばはアプリのダウンロードすら、まだです。
なぜか出来ません←機械音痴。

時間がある時に、今度、ゆっくりダウンロードしてみます。

声のサンプルだけ聞けました。

兄様♪みつばには、イメージ通りです。
…そんなに藍忘機と年が離れてない気がするのだけど、いろいろ達観キャラです。兄様。
奥手(とは言わない?)の藍忘機と鈍い魏無羨の恋を取り持つ仲人さんですから♪

アプリをダウンロードされた方、日本版「魔道祖師」、楽しんでください。



…魏嬰役の声優さん、ご結婚おめでとうございます。←ネットニュースで目にしたので、ひっそりとお祝い。

【拍手コメントレス】

二次小説「藍湛生日快乐」の感想、コメントを送ってくださった方、ありがとうございます!
BL描写って、こんなのでいいのでしょうか?←いまさら。
「魔道祖師」の日本版ボイスドラマも熱く語るBLドラマ、BL漫画、BL声優さん詳しい方が、最近ブログにいらしている気がする…。←する、じゃなくて、そうなんです。そういうジャンルなんです。よく分かってないので、もしかしたら、BLはずれたところで書いてるかもしれませんが、二次創作はみつばなりに萌えだけで続けます♪


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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「藍湛生日快乐」です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。


※ 読み切り短編です。時系列だと、現在更新中のシリーズ話より後の話になります。

【注意】この小説には、BL大人向けの描写、表現が含まれます。
自分は精神的に大人だと思う方のみ、お読みください。




藍湛生日快乐



「含光君、誕生日おめでとう!!」

雲深不知処の姑蘇藍氏領内。

朝の時間。姑蘇藍氏一門の者たちがそれぞれの持ち場に行きかう中、聞こえた大声に、皆はぎょっとなって足を止めた。

声の発信源を見ると、「寒室」から藍曦臣と一緒に出てきた藍忘機に、出会いがしら朗らかな笑みを浮かべて揖礼する魏無羨の姿があった。

周囲の姑蘇藍氏一門だけでなく、祝いの言葉をかけられた藍忘機も「寒室」の前で固まった様子で魏無羨を凝視した。

たしかに、今日は藍忘機の誕生日ではあったのだが。

この姑蘇藍氏の施設内で大声を出すことは規則で禁じられていた。

そんな姑蘇藍氏の規則など、魏無羨には、ほとんど無いも同然だったが、
一門の有力者、しかも規則を作った者にとってはそうでは無かった。

魏無羨の大声は、「松風水月」の部屋にいる藍啓仁にも届いているかもしれない。

魏無羨は、満足気にへへっと笑うと、目的は達したとばかり、藍啓仁が血相を変えて駆け付けてくる前に、まるで移送符でも使ったかのように、素早くその場から逃走して行った。


この数刻前の早朝。
まだ眠っていた魏無羨を寝床に置いて、用事のあった藍忘機は「清室」を先に出ていた。

だから、目覚めた魏無羨と会ったのが誕生日では先ほどが初めてだった藍忘機なのだが。

後に残され、呆然と佇んだままの藍忘機に、その場にいた姑蘇藍氏の門下生たちが「仙督、お誕生日、おめでとうございます」と口々に言って、揖礼していった。

藍忘機の耳にかすかに赤みが差した。


「賑やかにお祝いをしていただいて良かったですね。忘機」

嫌味では無く、心からそう思って言っている兄に、藍忘機はますます耳を赤く染めた。

そして、黙したまま藍曦臣に揖礼すると、足早に自分の仕事場に向かった。

魏無羨は、今日は雲深不知処付近で闇狩りの視察に行く予定だと聞いていた。

『早く帰ってくるから。藍湛の誕生日。一緒に祝おうな』

そう前夜、清室の寝床の中で、
抱き合った熱が冷めやらぬ睦言で、魏無羨が藍忘機に言っていた。

「何か欲しいものはある?なんでも言ってくれ、藍湛。
でも、高価な物は後払いでいい?俺、今は手持ちの金が少なくて。あ、そんな顔で見ないでくれよ。酒を買いすぎたからじゃない。また弟子達に食事をおごってしまったから。ほら、その目。甘やかすなって言いたいんだろ?分かってる。分かってる。そんなに豪勢な物は食わせてないから。もちろん酒も。ああ、話が脱線した。つまりだ。買えるものだったら、藍湛は欲しいと思ったらすぐに手に入れられるくらい沢山金を持ってる。それに、各仙家からのお祝い品も山ほど届くかもしれない。じゃあ、俺のあげられる物は、金では買えない物ってことで考えて。何がいい?」

体を重ね合う行為の後、疲労困憊して、睡魔が襲っている時の魏無羨は逆にいつも饒舌になる。

それを知っている藍忘機は、ただ無言で魏無羨の話を聞きながら、
汗に濡れ、顔の前で乱れている魏無羨の長髪を手で優しく撫で整えていた。

藍忘機の予想していた通り、やがて魏無羨の瞼がトロンと下がってきた。
しゃべり続けていた魏無羨の声のトーンが小さくなり、次第に、発する言語が曖昧になってきた。

「…おやすみ。魏嬰」

魏無羨は藍忘機の答えどころか就寝の挨拶さえ耳にすることなく寝息を立て始めていた。


そんな、誕生日前夜。

まさか、朝から魏無羨がこんな驚きの行動を取ることまでは想定していなかった藍忘機だった。

幸い、松風水月から、叔父が飛び出してくるような事態にはならなかったが、
藍忘機にとって、ある意味初めて体験する誕生日となった。

しかし、夕方までは、仙督としての仕事と姑蘇藍氏の門下生の指導など。
藍忘機には、普段の日常と変わらない時が流れた。

そして、雲深不知処の門限の鐘が鳴るころ、藍忘機はいつもより早く「清室」に帰った。

「おかえり、藍湛」

そう言って、一足先に清室に帰っていた魏無羨がにこやかに藍忘機を迎えた。

「清室」の座卓の上に、綺麗に盛り付けされた祝い向けの料理が何皿も乗っていた。

「姑蘇藍氏の食堂の料理人が作ってくれた。本当は俺が料理を作ろうと思って行ったのだけど、俺が食堂の台所を使用すると香辛料をいっぱい使うから控えてくれって言われて。含光君の為の食事を作るって言ったら、なおさら、料理はやめてくださいって懇願までされた。
姑蘇藍氏の料理人達は俺が仙督に変な物でも食わせるって思ってるみたいだ」

鼻の頭を指でかきながらブツブツ言う魏無羨の少しむくれた表情が微笑ましくて、藍忘機は口元を綻ばせた。

「魏嬰、一緒に食べよう」

「うん。でも、その前に風呂を準備している」

魏無羨が言って、振り返った先に、湯をはった風呂桶があった。

「一緒に入ろう。藍湛。ああ、でも、イイことするのは、食事の後で。
今日は風呂では駄目だからな」

唇に指をあて、悪戯っぽく笑いながら、そう言う魏無羨の方が、その約束を守れるのか?と問いたかった藍忘機だった。


あまり広くない風呂桶の中に、長身の恋人たちが二人一緒に入り、何とか自制心を保つと、
風呂桶を壊さずに入浴をすませた。


その後、食事も済ませた二人は、いつもと変わらない夜と同じように過ごした。

折しも、ちらついてきた雪を、「清室」の中で眺めながら魏無羨は酒を飲み、
藍忘機は、その傍ら、琴で「忘羨」を奏でた。

美しい光景だった。

愛しい者がそばにいる。
それも、恋人として。

藍忘機には、これ以上無いほど満たされた誕生日だった。


「藍湛、欲しい物、決めた?」

ややあって、そう聞く魏無羨に、藍忘機が琴を弾く手を止めて真面目な顔で頷いた。

…私の欲していることは一つだけ。

「魏嬰、君が、これからも私の誕生日にそばにいてくれること」

「それだけ?」

「…約束出来るか?」

はたからすれば、簡単そうに聞こえるかもしれない。
だが、十数年間、それを渇望しても、成しえなかった藍忘機の願望だった。

その間、不夜天の崖から落ちていく魏無羨の姿を藍忘機は何度も悪夢で見ていた。

口約束でも、その誓約をどんなに欲しているか。

…もう私を一人、置いていかないでくれ。

そんな想いで魏無羨を見つめる藍忘機の心情が、魏無羨に伝わった。

「藍湛、俺、藍湛にもう何度も言ってる。ずっとそばにいるって」

藍忘機を安心させるような、魏無羨の落ち着いた声。
そして、魏無羨の優しい眼差しが、揺れる藍忘機の瞳を優しくとらえていた。

「・・・・・・」

「心配になったら、不安になったら俺に触れてよ。
こうやって、そばにいる俺を見て、触れて、感じてくれ。
藍湛の魏嬰がここにいるって。それに…」

魏無羨は、藍忘機の右手に手を置くとギュッと握りしめた。

「藍湛も、俺の事、もう離さないんだろ?」

藍忘機が頷いた。

これから先。

魏無羨がやむをえない事情で雲深不知処を出なければいけないことになったら
藍忘機はすべてを捨てて、魏無羨と共に行くことも辞さないと考えていた。

だが、もし。

魏無羨が藍忘機と別れたいと言って雲深不知処を出ることになった時は、
魏無羨を雲深不知処の中に閉じ込めて離しはしない。

そんな物騒な事すら考えてしまう。


「…私は欲深い」

藍忘機が自戒するように呟き、心の中で続けた。

…君のことに関しては。

生きていてくれるだけでいいと思っていた。
生きていたら、今度はそばにいたいと思った。

なのに、そばにいたら、今度は自分だけを見て欲しいと思うようになってしまった。
そして、自分を見る魏無羨の目を他に向けさせたくないという想いすら感じた。

心が寄り添ったら、今度はその心を全部自分のものにしたいと願い、
気持ちだけでは飽き足らず、体も欲しくなった。

体が結びついたらついたで、毎日のように抱いていたくなる。


「たった一つの欲しいものが妥協できない」

そう言って、恥じるように俯く藍忘機に「俺もそうだよ。藍湛」と、魏無羨があっさりと言った。

「本気で欲しいものは妥協したり我慢したりしない。禁じられたって酒は飲むし、雲深不知処の魚や鳥も食いたくなる時は、こっそり外れで食うし、春本だって見たい時は見る」

雲深不知処の規則違反を堂々と胸を張って言うことでは無かった。
魏無羨の告白を聞いて、…君は少し自制しなさい。という台詞を藍忘機は心の中で押しとどめた。

「我慢は体に良くない」

魏無羨が飄々と続けた。

「だから、藍湛の欲することを遠慮なくすればいい」

「遠慮なくか?」

「うん。遠慮なく」

コクコクと真顔で頷く魏無羨に藍忘機は頬を緩ませた。

そして、魏無羨の横顔に手を伸ばすと同時に、その唇に口づけした。

素早い藍忘機の動きに、一瞬驚いて目を見開いた魏無羨だったが、
すぐに、自らも藍忘機の首に両手を巻きつけると、目を閉じ藍忘機の口づけに応えた。


重なりあう唇が、欲情のまま、相手を求めあった。

互いに唇を開き、相手の舌を導き合うと、
触れている個所がさらなる刺激と感触を欲して探り合う。

舌を絡ませ合い、より深く相手の口内の領域を侵し合うと、
次第に、唇だけでは物足りない想いが体中を駆け巡り始めた。


長い口づけの後、顔を離した魏無羨が、
少しはにかんでいるように伏し目がちの藍忘機の顔を見つめた。

「…藍湛の欲しいものってこれだけ?」

魏無羨の小さな囁き声に甘い色が含まれている。

「本当は、もっと欲しいだろ?」
…俺のこと。

挑発的な誘惑。
藍忘機が上目遣いで魏無羨を見つめ返した。

「今夜は遠慮しない」

そう宣言する藍忘機に魏無羨が面白そうに笑った。

「ハハハハハ。藍湛、藍湛、藍湛」

楽し気に名を連呼し、魏無羨は藍忘機に抱きついた。

「いいよ。藍湛。でも藍湛はいつもだって、遠慮してるように感じない」

「では、今夜からもっと遠慮しない」

「うん。うん。わかった」

まだ可笑しそうにクスクスと笑っている魏無羨は、藍忘機の言葉を半分冗談の域でとらえていた。

だが、藍忘機は嘘も冗談も言わない。

そのことを、魏無羨はこの1刻後に身をもって思い出すことになるのだが・・・。


「新しく年を重ねたんだ。藍湛。これからの人生、もっとやりたいことを、どんどんやっていこう。俺と一緒に」

魏無羨の、やっていこう、の内容は自分と同じものでは無いような気がしていたが、
『一緒に』という言葉は素直に受け取ろうと思った藍忘機だった。

「ん」

…君が一緒にいてくれるなら。

藍忘機が、魏無羨の背の方に手をまわすと、その体を抱きしめ返した。
そして、魏無羨の肩口で小さく頷いた。

「私と一緒に」

…いつまでもそばにいて欲しい。

藍忘機の心の声に応えるように魏無羨も頷いた。

「誓うよ」

魏無羨の声が藍忘機の耳元で響いた。

そして、藍忘機は、自分の背中を魏無羨の指がなぞっていくのを感じた。

抱き合っている為、藍忘機に見えない誓約の印である3本の指を、
魏無羨が藍忘機の背中に示していた。

「たとえ、今度この世を去ったとしても、
俺、ずっと藍湛と一緒にいる」


…だから、そんな想像しただけで苦しくなる例えは聞きたくない。

そう思った藍忘機だったが、魏無羨の精一杯の誠意と真心から出た言葉に、
胸が、締め付けられるほど切なく、そして同時に熱くなっていった。


…何度も。何年も。
君がいなくなってから。
君のいない世で誕生日を迎え、そして、また年を取ることを空しく感じた。

だけど、今日の誕生日。これからはずっと、君がそばにいると誓ってくれた。


藍忘機は、魏無羨の体を両手できつく抱きしめた。

熱い抱擁は、誓約の承諾だった。

さらに、それを念押しするように、藍忘機は魏無羨の首筋に唇を押し当てた。

「…ぁっ」

思わず漏れ出た魏無羨の小さな喘ぎ声は、藍忘機の身の内の男としての欲を刺激するには十分だった。

…そんな甘い声で私を煽るな。本気で加減が出来なくなる。

そう、理性で魏無羨を責めながらも、体はすでに魏無羨を求め、本能のまま藍忘機は行動をとっていた。

藍忘機にとって、魏無羨は、声だけでなく、その体を知ってからは余計に
全身、何もかもが中毒性のある媚薬のような存在だった。


「…本当に遠慮しない」

そう最終確認するような藍忘機の言葉に魏無羨は又クスクスと笑うと「了解」と答えた。

「藍湛の誕生日祝いだ。貢物の俺を存分に受け取って」

魏無羨の艶然とした顔から堪能するように、藍忘機は魏無羨の横顔に唇を這わせ始めた。

そして、床の上に魏無羨の体をゆっくりと押し倒すと、男としての欲が赴くままに、
藍忘機は魏無羨を抱き始めた。

魏無羨も藍忘機の体に四肢を巻き付け、吐息を荒くしていった。

二人の衣服が解かれていく衣擦れの音と魏無羨の喘ぎ声が「清室」の中で発せられていく。

「藍湛、誕生日おめでとう」

二人の体が一つに重なる前、掠れた声で、もう1度祝いの言葉を藍忘機に伝えた魏無羨。


それが、その夜、理性の残った藍忘機が最後に聞いた魏無羨の言葉だった。


その後の会話といえば、やはり、いつも通り。

沢山の甘い睦言と、不用意な発言で、自分の首をしめたと、ようやく気づいた魏無羨のボヤキ。


「来年の藍湛の誕生日には、もう『存分に』なんて言わない」


…言わなくも、そうさせてもらう。

そう心の中で宣言した藍忘機は、

悔悟と快楽の渦の中、涙交じりで嘆願をつむぐ魏無羨の唇すら容赦無く口で塞ぐと、
その日は夜が更けるまで、誕生日祝いの、『貢物』を存分に愛で続けたのだった。



(終わり)




…あれ?

魏無羨の誕生日話は、ベッドシーンがあってもしっとり書けたのに、
どうして藍忘機の誕生日話は、「裏箱」寄りになってしまったのかしら?
「裏箱」の説明はこちらから。
それは、藍湛が藍湛だから♪魏無羨の誕生日話と比べてみてください。←こちら

いろいろ書き足りないのですが、二人が恋愛関係になるシリーズ話がまだ更新途中なので、
甘さも、大人話描写も控えめにしておきます。
控えめじゃないっていうのは、原作「魔道祖師」の恋人になってからの二人のように、入浴中のいちゃつきで木製の風呂桶を何個も壊しちゃうくらいのことかな。
でも、原作の魏無羨は藍忘機と一緒に風呂に入るのが好きみたいです。「香炉」でも夢見ていたくらいだから。
「陳情令」藍忘機と魏無羨で想像したら…鼻血が出そうになります。←創作中に脳内で見える映像が凄くて、内心ジタバタします(笑)
いずれ、二次小説シリーズ話が落ち着いたら、思いっきり書いてみたいです。
魏無羨に『遠慮のない』夜の営みをする藍忘機を♪

とにかく。

藍湛、藍忘機、含光君、仙督。

お誕生日おめでとう!!いつまでも魏無羨とお幸せに♪
来年の藍忘機の誕生日には、みつばの「陳情令」二次小説シリーズが完結していますように(祈)


二次小説読んで頂きありがとうございました♪
記事を気にいって頂けたら、
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「陳情令」みつばの二次小説INDEXを更新しました。

・「噂」1~5話、あとがき。

二次創作漫画INDEXにもイラストを1つ更新。


さて、明日、1月23日は「魔道祖師」(「陳情令」)藍忘機、藍湛の誕生日ですね。

ブログに更新出来るとしても雑記かな?と思っていたのですが、
読み切り短編小説を書き上げたので、藍湛の誕生日にアップします。

魏嬰の誕生日話は、以前更新したのですが、今回は藍湛。

タイトルも「藍湛生日快乐」

「陳情令」(魔道祖師)の藍忘機。
ブログでの初めての誕生日くらいは、ちゃんと祝いたい思いで創作しました。


本日は、「二次創作INDEX」更新のお知らせと二次小説更新予告雑記でした。
藍湛の誕生日と二次小説更新まで、しばしお待ちください。

【拍手コメントレス】

「魔道祖師」ラジオドラマ。日本版。キャラデータが細かく発表されていて助かります♪
思追くんの誕生日も1月でしたね♪そして、金陵の声もイメージ通りな感じ♪
やっぱり、江澄の声最高!!日本版ラジオドラマで江澄萌えになるみつば。
でも、中国版アニメの江澄の声も好きでした♪どちらにしてもかっこいい江澄。
ドラマ版の江澄役さんもかっこいいし、この前雑記でふざけて書いた江澄×思追の妄想に本気に行きそうな自分が怖い(汗)
やばい。今に本当に二次小説書いちゃうんじゃないだろうか…いや、せめて4コマ漫画ギャグにとどめよう。←世界広しといえど、他のファンの方から聞いたことも見たことも無いCP。

ラジオドラマ日本版声優。兄様の声希望の方。その方です!みつばが、藍湛の声って最初にイメージした声優の方!
美声ですよね~。兄様だったら嬉しいな~。。。どうなのかな~。受け声の方らしいけど…。

昏睡状態の魏嬰に藍湛が『おいた』妄想、私も考えましたよ(笑)
たしか3日間、眠っていて、その間毎日藍湛は通っていたって師姉が言っていた気がします。
師姉が席を外してる間、藍湛、琴弾いてただけじゃない気がしますよね?だって藍湛だから♪


初めてコメント書いてくださった方、ありがとうございます!
日本語、とても堪能で素敵です。日本語の勉強、楽しんでください。「魔道祖師」ラジオドラマ日本語版も配信されますし♪
国や言語が違っても好きな気持ちが一緒のファンの方がいるって、とても嬉しいし、心強いです♪
みつばの二次小説でさえ、いろんな国からアクセスして頂いているようなので、「陳情令」「魔道祖師」ってすごいです。
これからも一緒に「忘羨」応援しましょう!

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「陳情令」特別版、7話まで動画配信していたものを視聴しました。
でも、現在、特別版のカットシーン版は12話まで出てますね。
11話は、魏無羨が助けた温氏の生き残り達と一緒に生活しているエピソード。
師姉の結婚決定などの話。
12話は、もう見るのも辛い、不夜天、魏無羨の最初の人生最後の日の回(泣)


特別版は、どうやら全20話くらいみたいですね。

「忘羨」シーンがギュッとつまった特別版♪

編集されているので、いろいろエピソードもシーンもかなりカットされてはいますが、
藍忘機と魏無羨の愛の物語としては、よくまとまっています♪←みつば目線感想。

なんといってもですね。
新シーンが増量中なんですよ。

1度、本編をご覧になった方は比較できると思いますが、
とくに藍忘機が魏無羨を見つめているシーンの時間が長くなっているんです♪♪♪

藍忘機が魏無羨のことだけを見つめているシーン。
藍忘機が魏無羨のことだけを想っているシーン。

藍忘機の心の中には、厳密には魏無羨しかいないんじゃない?って思っているみつば。

特別版は、魏無羨を想う藍忘機の心情が分かりやすい映像が増えている。

あの、例の雨の中で温氏の生き残りを連れて、藍忘機の前から去っていく魏無羨のエピソード。

藍忘機を映した新しいアングルも加わり、魏無羨が去った後、立ち尽くし、佇む藍忘機のシーンも長くなってます。

なので、切なさもより増量!(涙)

特別版では10 話にあたるところ。


温氏の生き残りを連れて逃走する魏無羨。
道の途中で待っている藍忘機。

「藍湛、俺を止めに来たのか?」



弱き者たちを助けたい。すべてをなくしても。
そんな魏無羨の熱い想いに藍忘機は魏無羨を留めることが出来ず、道をゆずる。

その横を馬で駆けて去っていく魏無羨たち。

傘を地面に落として佇む藍忘機。
ふりしきる雨の中、頬をつたう藍忘機の涙。

切ない。切なすぎるよ。藍忘機。
何度見ても、何度見ても、特別版はシーンが長くて余計に切ない(涙…)

そして悲しい場面なのに美しすぎます。王一博さんの藍忘機…(うっとり)

みつばは原作読んでいるから、数度目には原作寄り設定(BL)でこのドラマ鑑賞した為、
藍忘機が魏無羨を友情以上の感情で想ってるっていう目線でドラマ見てます。
なので、このシーン、藍忘機の心を想うと、萌え萌えが本当に止まりません。

あ~、雨に打たれて、泣いている藍湛をみつばが抱きしめてあげたい!!



…はい。いったん落ち着きましょう(笑)

でも、

日本上陸の時、このシーンじっくり見たいので、いれてもらえないかしら?
または、DVDで編集していただけませんか~?…と、ひっそりと誰かに祈る。


他にも、みつばの好きなエピソードの藍忘機のシーンも増量♪

温氏討伐後、昏睡状態だった魏無羨。
毎日、早く目覚めるように「清心音」を聞かせる為、魏無羨の寝ている部屋に足しげく通う藍忘機。

それを魏無羨が目覚めた後、師姉からその話を聞いていた時、噂の藍忘機が訪問。

藍忘機は、寝台の上に座っている赤い内衣を着た魏無羨に気づき、凝視するシーン。

あまりにも熱視線で見つめられる魏無羨。
気まずいような、恥ずかしいような、で、藍忘機から視線をそらしているところが可愛い♪
…または、ほら、やっぱり。と怒られると思っていたのかな?

そんな魏無羨から目をそらさずに見つめ続ける藍忘機。

みつばには、「陳情令」藍忘機がまともに「攻め」に見えたシーンです。←こらこら。

藍忘機のこの時の心情は。

『私の愛しい眠り姫がようやく目覚めた』

または、

「魔道祖師」ファンの方なら誰しもがきっと想像したであろう。
まるで婚姻式(初夜)に着るような赤い内衣の魏無羨を見て。

『私の妻よ』


(爆)

でも、ドラマのサービス演出にも見えるのです。
もちろん、温氏領の部屋ってこともあり、象徴の赤色が多用されているのですが。
このエピソードの部屋のあらゆるところに「婚姻」の暗示的な赤色をちりばめて見える♪

それから、「魔道祖師」の原作読んでいる方は「香炉」の話を知っていると思うのですが、
藍忘機という男の妄想力は只者じゃないですからね。みつばの妄想すら超えます。

涼しい顔をして、魏無羨に対して、あ~んな事やこ~んな事を考えている男ですから。
「陳情令」の藍忘機も、何考えているか分かりませんよ♪

上記のみつば妄想も、本当かもしれません。

いずれ、みつばの妄想小説の中で、藍忘機のあんなことや、こんなこと妄想を実現させてみたいなって気持ちでいます♪←藍忘機妄想じゃなくて、みつば妄想ね。

「特別編」、他にも「忘羨」エピソード満載なので、最後まで楽しみです。
もしかして、ラストシーンも変更編集されていたり?♪♪♪あれ、エピソードの順番、ちょっと編集変えるだけで、話が違ってきますしね。ドラマ中に「帯他回家」になる♪←たぶん、変わらないかもしれないけど、小さな期待を持ち続けて。

陳情令「特別版」配信も今後目が離せません。


…ちょっと目を離すと、なぜか、動画が見れなくなってるから。公式さん…。(涙)

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「陳情令」みつばの二次小説「噂」のあとがき雑記です。

この二次小説。藍忘機、出て来てません。

主人公が魏無羨なので、そういうこともあるのですが、ドラマでも藍忘機が出てこないエピソードは.、みつば的にかなり寂しいです。

というか、ドラマでも藍忘機が魏無羨と離れる度に魏無羨に大変なことが起こっている気がしているのですけど…。

16年も、そばにいられなかったこと(もしかして完全に味方になり切れなかったという意味?)を後悔していたのに、じゃあ、なぜ「陳情令」ラストはああなった?とドラマの藍忘機に言いたいところなんですが、それは二次小説の中で藍忘機が説明してくれる予定です。

あの人(藍忘機)、無口だから、妄想花畑の中で、みつばと何回も会談したんですけど、なかなか真相教えてくれなくて(笑)

さて、でもこの作品。
みつばの中では、「陳情令」ドラマのラストシーンから、藍忘機と魏無羨が恋愛関係になるまでの妄想話としてひとくくりのシリーズになります。

なので、各話、読み切りにはなってますが、

「屋兎の愛」は完全読み切りなので、別として、
「帯他回家」から「噂」、そして~以下続編予定話。は、一つの長編物語になります。

今後の展開で重要になる伏線や台詞なども所々に混入してます。

後で、そのシーンが出た時は、ここか。と思い出すか読み直ししてくださいね。

(…伏線入れ忘れてないかな?)
↑思いっきり入れ忘れに、今気づいた点があったけど、後で何とか修正しよう。


こういう創作の仕方をすると後で自分の首をしめることもあるのですが(早速しめてる)
上手く伏線が回収できると完成した時に達成感が出るはず…という気持ちで。

あと、一人称の書き方なんですが。

日本語翻訳で、ドラマではどうなるか分かりませんが、
みつばの二次小説の中では。

自分のことを言う時。

魏無羨「俺」
藍忘機「私」
藍思追「私」
藍景儀「僕」公の場や師匠に対しては「私」
欧陽子真「俺」公の場や目上の人に対しては「僕」

…日本語、ちょっと面倒(汗)

中国語だと「我」。または名前(自分のことを名前呼び)
他にも、相手のことを呼ぶ時、中国語「你」、英語だと「YOU」で済むところ、
日本語だと、いろいろあってニュアンスが全然違うから。


「陳情令」二次小説。今回のシリーズ話。
「噂」でようやく物語の起承転結の「起」が終了です。

藍忘機の噂の婚姻相手の仙女の名前。
まだ名前は出てませんが(名称一覧では紹介)謎の仙術使い登場。
他にも物語の展開に必要な伏線台詞やシーンがいくつか。

今後の、みつばの二次小説展開の注目ポイント(自分で覚え書き)

藍忘機の婚姻の噂話の真相は?
魏無羨が会った、流れの仙術使いは今後魏無羨にどう関わってくるのか?
謎の屍たちの正体は?
魏無羨が何かについて考え悩んでいる様子。一体何に?
藍忘機が魏無羨と一度離れた理由。そして、すぐに迎えに行ったわけとは?
魏無羨と藍忘機、二人の関係はどうなってしまうのか?
藍忘機の想いは?魏無羨の気持ちは?
欧陽子真君の魏無羨への想いはかなうのか?(冗談です(笑)4コマ漫画はギャグで、欧陽子真君の魏無羨への気持ちは純粋な憧れです(たぶん))
みつばは、今年中に、「陳情令」ドラマが日本に上陸するまでに、この話をラストまで書ききれるのか?←ここが一番のポイント。

もう、この後の展開の藍忘機×魏無羨の小説の方がほぼ完成状態で待機中なのにね(汗)


「陳情令」二次小説続編、次回更新まで、しばしお待ちください。

それと、以前にもお知らせしたのですが、みつばは、しばらく別のジャンルの二次小説創作にも入ります。もう6年(8年)お待たせしているバレンタインデーの話なので、これはもう、体調の良い今、今年こそという想いで仕上げてしまいたいのです。

更新しておけば、8年前の読者さん達が気が向いて来てくださった時に読めるかも。
たとえ読者さんがいなくても、中途半端にしている物語は完結させておきたい気持ち。

ただ、これもすぐには完成出来ないくらいの中編な上に、ミステリーアクション物なので(←なぜ、こんなプロット作った?過去の自分)完成と構成に時間がかかりそう。

「噂」の続編話もこれから波瀾万丈(?)展開なので、こっちも完成まで時間がかかりそうですが(←だから、なぜ、こんな面倒なプロット作ってるの?今の自分)

どっちのジャンルでもいいから、カップルがイチャイチャラブラブしているだけの話が書きたいです!本当は今すぐ裏箱ちっくな小説が書きたいです!←本音(笑)

創作している間も「陳情令」の雑記は書いて時々更新する予定です。

「魔道祖師」の日本版ラジオドラマの事とか。
「陳情令」特別編の視聴感想とか。
「博君一肖」の話とか。

・・・そんな感じで。
「陳情令」に関しては、雑記でもいろいろ、まだ語りたいことがいっぱいあるのです。

他の二次小説を更新していても、「陳情令」「魔道祖師」にも萌え萌え状態のみつばなので、
また何か記事が読みたい時に「みつばのたまて箱」にいらしてください。お待ちしております。

【拍手コメントレス】

「魔道祖師」ラジオドラマ、江澄役の日本声優さんも発表されましたね。
皆さま、情報、いつもありがとうございます!←自称ファンで、情報ノーチェックのみつば。
そして、いよいよ配信も近い♪江澄役の声優さんは情報に疎いみつばでも知ってる方。
それも、大好き!な声の方なんですよ。どはまりしたキャラクターの声の役を何人も演じていらしていて。
ラジオドラマの日本版を聞いたら、江澄好きになってしまうんじゃないだろうか。自分(笑)

教えてもらったサイト。「陳情令」の公式ゲームサイトだったのですね。
よく分からなかったので、中国のファンの方に尋ねました(汗)
遊戯特色って説明あるけど、やっぱりよくわからないみつば。
登録して、ゲームしました?何系ゲームなのかしら?バトルみたいなシーンあるけど。
乙女ゲーム系ならやってみたい♪←みつばは今はゲームする時間ないので、誰か登録してゲームした方がいれば
教えてください。

みつばの中でも、二次小説の魏無羨イメージは演じている肖戦さんイメージが混ざっています。
魏無羨は原作ではもっとポジティブなキャライメージなんです。
でも、ドラマだと、結構繊細に描かれている印象です。悩んだり、考えたりしているシーンを映しているせいかも。
それに不夜天での最後の行動もシーンも切なすぎます。優しくて、内面が繊細。
なので、みつばの二次小説は原作の魏無羨とは違う感じになってます。BL的にも誘い受けではあるのですが、
原作イメージより、「照れ」が入ってる魏無羨君なのです♪(みつば好みにしている)




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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「噂」(5話)です。

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「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「予兆」の続きです。


噂(最終話)




闇狩りを終え、魏無羨率いる姑蘇藍氏一門の弟子達と欧陽子真一行が宿屋に戻った時には、すでに丑の刻(1時~3時)に入っていた。

弟子達は、それぞれにあてがわれた部屋に入ると、疲れた体を休ませる為就寝についた。

魏無羨もその夜は珍しく酒も飲まず、すぐに眠りについていた。

そして、翌朝。
巳の刻(9時~11時)に宿屋の前で姑蘇藍氏一門は集合した。


「なんだ、お前たちも出立か?」

姑蘇藍氏一行の横に、まるで同じ集団のように巴陵欧陽氏一行も並んでいた。

「途中まで帰る方角が一緒だからいいだろ」

欧陽子真が言って、魏無羨の方をチラリと見た。

「皆、食事はとっているか?」

魏無羨の問いに、各々、様々な反応を示した。
闇狩りで昨晩の疲れが残っているような顔で、朝食も抜いて眠っていた者が多そうだった。

魏無羨は軽い吐息をつくと「何か食べてから帰るか?俺のおごりで」と言った。

姑蘇藍氏の弟子達が嬉しそうな顔で頷く中、巴陵欧陽氏一行たちは微妙な表情で、欧陽子真の意向を気にした。

「我々はどうします?食事してから帰りますか?」

「でも、私は、あまり手持ちの金が…」

「俺たちも今日の食事代は持って来てなくて…」

違う仙家がいくつか集まった集団ゆえに意思の統率も難しそうだった。

「わかった」

魏無羨が場を収めるように言った。

「お前達も来い。食事代は俺が出す」

「え?いいのですか?」

そう聞きながらも、すでに行く気満々に顔を輝かせている若者たちに魏無羨は苦笑すると、歩き始めた。

それまで厳かな顔をしていた姑蘇藍氏一門の弟子達は、とたんに気をゆるめ、欧陽子真一行たちとわき合い合い談笑しながら魏無羨の後について歩いていった。

普段は、とても礼儀正しい態度の姑蘇藍氏一門の弟子達だったが、こうして見ると街の若者たちと変わらなかった。

魏無羨は、かつて蓮花塢に住んでいた時の雲夢江氏一門の弟弟子達の事を思い出した。

『師兄』

そう呼び、魏無羨に懐き、その後をいつも追って来ていた師弟達。

しかし、温氏の襲撃の時に師匠の江宗主と共に皆倒されていた。
あの時、誰一人助けることが出来ずに、魏無羨は領内に横たわる彼らの亡骸を見た。

魏無羨は様子を見る体で後ろを振り返った。


笑い合って、活き活きと歩いている姑蘇藍氏一門の弟子達。
その姿がかつての師弟たちの姿と重なった。

魏無羨は、そっと陳情に手をあて俯きかけたが、すぐに顔を上げた。

目の前に大きな食事処の店が見えた。

「あの店に入るぞ」

そう言って先を歩く魏無羨に、姑蘇藍氏の弟子達と巴陵欧陽氏一行は、弾んだ足取りで後に続いた。


魏無羨は、藍忘機から当面の資金として沢山の銀塊を受け取っていた。
魏無羨の好きな酒を毎日買っても、必要な衣服などを買いそろえても、外食をしたとしても、ゆうに3か月はもつほどの金だったのだが…。


食事を終えて店を出た時、魏無羨の財布代わりの巾着の中には銀塊は無く、釣りとしてわずかな銭しか残っていなかった。

高級な食事をしたわけでは無かったが、
何せ、人数が人数。そして、若者たちの食欲は旺盛だった。

弟子達の中で、魏無羨の懐事情を慮ったのは藍思追だけで、食事を取りながらも時折、魏無羨の方を心配げな目つきで見ていた。

「魏先輩、ご馳走様でした!」

満足気に膨らんだ腹をさすりながら巴陵欧陽氏一行が挨拶するのを魏無羨は無理やり浮かべた笑みで応じた。

さすがに、少々まずいぞと思った魏無羨だった。

…こんなに早く使ってしまったら正式な闇狩りの成功報酬が支給されるまで持ちそうもない。
藍湛に正直に話して、こずかいを追加で借りよう。

つい大判振る舞いをしてしまった魏無羨だったが、持っていた銀の出どころは藍忘機だということを思い出した。

藍忘機と一緒にいて、旅をしていた頃は、欲しい物や必要な物は全部藍忘機が購入してくれていた。手元に銭を持っていなくても、藍湛の財布は俺の財布♪的な感覚でいたのだったが、今はそういうわけにもいかない。

そんなことを考えていた魏無羨の横顔を見つめて藍思追がおずおずと声をかけてきた。

「魏先輩、食事代の支払いは大丈夫でしたでしょうか?もし足りないようでしたら、私もわずかながら手持ちがありますので出させて下さい」

「問題ない。この有銭哥哥に任せておけ」

そう、ひらひらと手を波立たせて見せた魏無羨に藍思追は仄かに頬を染めた。

昔のことを思い出したのだろう。

幼い時に、初めて会って、おもちゃを沢山買ってくれた藍忘機のことを藍思追は「有銭哥哥(金持ちお兄ちゃん)」と呼んでいた。

あの時、いつも一緒にいる魏無羨から離れ、まるで心を買収されたように、藍忘機に懐き、まとわりついていた幼い藍思追。

「食事代は出してやるから、おもちゃは自分で買えよ」

藍思追の心を読んだ魏無羨がからかうようにニヤリと笑って言った。

「どうした?思追」

赤い顔でうつむき魏無羨から離れて列に戻る藍思追に藍景儀が首をかしげて声をかけていた。


食事処を出て、しばらく歩き、街を出たところで巴陵欧陽氏一行は姑蘇藍氏一行とは別の道に入った。

そして、姑蘇藍氏一門と魏無羨に深く揖礼すると、欧陽子真率いる一行は去っていった。

別れる前に、欧陽子真は魏無羨に「いつか、ぜひ、僕の仙家に遊びに来てください」と熱心に誘い文句を残していた。

その後、
姑蘇藍氏一行は、無事、雲深不知処の帰路についた。

姑蘇藍氏の門をくぐると、弟子達は、魏無羨に揖礼し、弟子寮の方に帰って行った。

魏無羨は、その足で藍曦臣に闇狩りの報告をするため「寒室」に向った。

「お疲れ様でした。魏公子」

藍曦臣はいつものように、にこやかな笑みを浮かべて魏無羨を部屋に招き入れると、座った魏無羨に丁寧に入れた茶をすすめた。

「寒室」にも藍忘機の私邸「清室」と同じ白檀が炊かれていた。
だが、部屋の香りが違う。昔はその違いがよく分からなかった魏無羨だったが、今はそれをはっきりと感じることが出来た。

魏無羨は、まず闇狩り引率責任者として所持していた通行玉礼を藍曦臣に返した。
そして藍曦臣が入れてくれた茶に口をつけた後、闇狩りの報告を始めた。

依頼された3体の屍。
その1体は妖魔が潜んでいたために護符が効かなかったこと。
妖魔が大蜘蛛だったこと。
その大蜘蛛が屍の中に入り、その邪気を浴びて他2体の屍も動き出していた。
しかし、3体とも依頼された屍に相違なかったことも述べた後で魏無羨は続けた。

「街で気になる噂を2つ聞きました。木を折って盗んでいくという屍の話と、素早い動きをする年配の女性の屍の話です」

「どちらも初耳です」

そう答えた藍曦臣は魏無羨に詳しい情報を求めた。

「木を盗むという屍の話は、目撃情報で特徴などもはっきりとは分かりません。ただ、某なにがしという豪商の土地の木を折っているそうです。素早い動きをする屍の方の話は、流れの仙術使いが旅人から裏街道で会ったという話を聞いたという又聞き情報です。こちらもそれ以上の詳しい話を聞けていません」

頷きながら魏無羨の話を聞いていた藍曦臣だったが、『流れの仙術使い』という言葉に意識を向けたようだった。

「流れの仙術使いというのは?」

「じつは、闇狩りで俺が大蜘蛛の妖魔と戦っている時に、助けてもらいました」

魏無羨は街で最初に太鼓を叩いていた仙術使いの男と会った経緯や、闇狩りで再び会った時の共闘と会話をかいつまんで藍曦臣に話した。

「巴陵欧陽氏一門が依頼された闇狩りを行った者と同一人物の可能性は高いのですが、俺も名前を聞きそびれました。彼の仙術能力は高く、でも驕りたかぶった態度でもありませんでした」


…それに、俺と同じ志を持つ者に見えた。

魏無羨は、心の中でそう続けた。

「そうですか…」

藍曦臣が感心したように言った。

「魏無羨公子は、その仙術使いの方を高く評価されているのですね」

「はい」

そう返事する魏無羨に藍曦臣は面白そうに笑みをこらえたような顔をした。

「なにか?」

「いえ…魏公子が、その方を高く評価されているだけでなく、会ったばかりなのに、とても心を開いているように見えました」

「沢蕪君は、藍湛の表情が読めるだけでなく、他の人間の心も読み取れるのですか?」

「そんなことはありません。ただ魏公子は、私の中では、すぐにどんな方とも親密に接することが出来る印象です。昔の忘機ともそうでした」

「誰とでもってわけでもありません」

…気にいらないと思った相手にはつい態度が表に出てしまう。
だから、敵も多く作ってしまったのだろうか。


魏無羨は、観音堂で金光瑤に言われたことが心の中でまだ消化できずにいた。

自分の直情的な言動が災いを招いた原因だったのか。
あまりにも自分の感情や志を優先するあまり、思慮に欠けていたのでは無いか。
たとえ魔道に精神を蝕まれていなくても。

魏無羨は藍曦臣との会話の中でボンヤリとそんなことを考えた。

藍曦臣はそんな魏無羨の顔をジッと見つめた後、小さく首を振った。

「何かを決断する時、己が感じたこと、直感が大事だというのも姑蘇藍氏の教えの1つです」

まるで魏無羨の思い出したことを悟ったかのような藍曦臣の言葉だった。

「・・・・・・」

「ただ、それを実行にうつすのに私も難しさを感じたことがあります」

そう続けた藍曦臣はおもむろに自分の手前にあった茶を口に運んだ。

…沢蕪君。

魏無羨には、藍曦臣の今の話が、魏無羨と仙術使いとの出会いだけの話をしているのでは無いと気づいた。

脳裏に再び金光瑤のことが浮かんだが、魏無羨は口を閉ざしたまま、藍曦臣の動作にならって、再び自分の茶に口をつけた。

少しの間、藍曦臣と魏無羨に沈黙が流れた後、

「失礼します」と重役らしき門下生が一人、部屋の入口で藍曦臣に揖礼してから入ってきた。

「どうしました?」

「今しがた、大工の者たちが到着して、建築場所に材料を運び入れて良いのかと指示を待っています。いかがしますか?」

「施工の者が入ることは聞いています」

重役の問いに藍曦臣が答えた。

「念のため、同意の上身体チェックをお願いします。その後、問題が無ければ門を開けて、その者たちを迎え、建築場所に案内してください。後で私も参ります」

「はい」

重役は藍曦臣に揖礼し下がっていった。

「雲深不知処内で何か新しい建物を造るのですか?」

話に興味を持った魏無羨が聞いた。

「ええ、会議をする大広間と、仙督の執務室です」

藍曦臣が答えた。

…会議をする大広間と仙督の執務室。

「それは、仙督となった藍湛が使用する為ですか?」

「そうです。会議室や広間はありますが、規模はそれほど大きくありません。
仙督がいる雲深不知処に他の仙門から宗主たちが集まるような場所が必要です。
それと、執務を行う部屋も私邸でというわけにはいかないので、別邸を設立することになったのです」

「初めて聞きました」

そう呟くように言った魏無羨に「私も重役以外の者では魏公子に初めて話しました。皆には次の月例会の時に話をする予定です」と微笑んだ。

「もしかして、仙督就任式が延期される理由は、仙督の執務室や会議室を造るのに時間がかかるからですか?」

藍忘機は準備に時間がかかると言っていた。
仙督就任式は、施設の設備が整ってから行うつもりなのだろうか。

そう思いついた魏無羨の問いに藍曦臣は静かにかぶりを振った。

「仙督就任式の延期は忘機が決めたことです」

「藍湛が?」

「ええ。執務室と会議室設立に関しては、姑蘇藍氏内の事で、私と叔父が提案したことです。
しかし、忘機が就任式延期を申し出た理由は、それとは別にあるのでしょう。魏公子はご存じですか?」

今度は魏無羨が曖昧にかぶりを振る番だった。

「藍湛からは、準備に時間がかかる、とだけ聞きました」

「そうですか…」

藍曦臣は少しためらった後、意を決したような顔で口を開いた。

「観音堂でのことがあった後、忘機と魏公子は一度別れましたね?」

「え…あ、はい」

仙督就任式の話から急に話が変わったことに驚きながらも魏無羨は返事をした。

藍曦臣が小さく頷いた。

「忘機から、魏公子と別れたと聞いた時、忘機は、仙督としての準備がすべて整ってから、魏公子を迎えに行くつもりなのだと、私は思いました。仙督としての地位を確実にし、あなたが雲深不知処の中で安心して暮らしていけるような体制を築いてから一緒にいるつもりなのだと」

「藍湛がそう言っていたのですか?」

「いえ、これは私の思い込みです。
それに、事実、忘機はすぐにあなたを迎えに行きました。
それはどうしてだと思いますか?」

「わかりません」

藍曦臣の問いに魏無羨が首を振った。

「俺はここに来た夜に藍湛に理由を聞きました。藍湛は、『君だから連れて来た』と言いました」

…それで答えは十分だと思っていた。
だけど、それは藍曦臣の考えのような思い込みかもしれない。

「こうかもしれない、と俺も思うことがあります。
でも、それは俺の考えが混ざったもので、藍湛の事実と異なるでしょう。
俺は藍湛自身からその真意を聞きたいです」

「そうですね」藍曦臣が言った。

「忘機も今日雲深不知処に戻る予定です。会ったら話してみてください」

「はい」

コクリと頷いて見せた魏無羨に藍曦臣は、柔らかな笑みを向けた。

「最後に一つお聞きしたいのですが…」思い出したように魏無羨が言った。

「何でしょう?」

「仙督の建物設立の他に、姑蘇藍氏から何か新しい発表はありますか?」

「新しい発表ですか?…いえ、今のところ他には特にありませんが、何か?」

しばし考え込んだ後、真顔でそう答える藍曦臣が真実を隠しているように見えなかった。

「…いえ、何でもありません。失礼します」

魏無羨は、茶の残りを飲み干し、藍曦臣に揖礼して立ち上がると、寒室を後にした。


魏無羨は、噂になっている藍忘機の婚姻話のことを藍曦臣に聞かなかった。
具体的な相手の名前まで挙がった話ではあったが、真実であれば藍宗主であり、兄である藍曦臣が知らないはずがない。

魏無羨は無意識に長い吐息をつくと、藍忘機の私邸、清室に戻った。

藍忘機はまだ清室に帰ってはいなかった。
藍曦臣の口ぶりだと、おそらくまだ雲深不知処にも戻っていないのだろう。

魏無羨は誰もいない部屋を見回した後、外にでた。

清室の裏手にある井戸の近くに洗濯物を干す竹竿があった。
そこに布が1枚かかっていた。

藍忘機が出がけに洗って干していた物。

手で触れると、それはもうすっかり乾いていた。

魏無羨は布を手にとると顔に近づけた。
雲深不知処の象徴である雲が描かれた布からは仄かに藍忘機の香りがした。

起こすために藍忘機が布を濡らして魏無羨の顔をふいていた。
その感触を思い出した魏無羨の胸に、無償に、藍忘機に会いたいという気持ちが強く込み上げてきた。


「藍湛…」

そう小さく呟くと、魏無羨は、藍忘機がそうしていたように、布を自分の頬に押しあてた。
そして、藍忘機の香りを吸い込みながらそっと目を閉じた。


(「噂」終わり)




「噂」の詳しいあとがきは又後日に書かせて頂きます。
この後の話は、タイトルを変えて続編として更新予定です。

【拍手コメントレス】

拍手コメント、感想ありがとうございます。欧陽子真くんは、また今後の二次小説で登場予定です♪

「陳情令」原作の「魔道祖師」のラジオドラマの日本版。
とうとう魏嬰役、藍湛役の日本の声優さん発表されましたね♪
情報を送ってくださった方々、ありがとうございます!相変わらず、読者さん達からの情報で知るみつば。ありがたいです。

受けの声優さん、発表される前に、みつばが偶然何度も動画で聞いていた声優さんだったので、びっくりしました。何かの前触れ?(笑)なぜ聞いていたかというと、別の声優さんを検索していた時に知り、顔も声もイケメンなのに、あっち系の話を活き活きと語っていらしたので、BL描写の参考になる♪って思わず聴きほれていました。
みつばは声優さんの情報に疎いのですが、そういう意味では、この声優さんは魏無羨のイメージに合っているかな~思っています。日本版「魔道祖師」でも凄くいやらしい素敵な演技を期待してます♪
そして、攻めの藍湛の声優さん。名前だけだと詳しくないので検索してみたら、知っているアニメキャラの役が何人か。
ああ~…少年期の藍湛のイメージ…だったら……うーん。。。

BL声優事情は全く詳しくないので、この件は純粋に配信を待つ気持ちでいます。

…ただ、やっぱり、おそれていた事が現実になりそうですね。名前は日本語漢字読みかも。「がんこうくん」「ぎむせん」「えちょう」「おんねい」…になるのかな?(汗)でも、中国声優版と日本声優版の両方が同時配信ぽいので、そこは、ほっと安心してます。こうなるとアニメ版上陸もありえそうです。
ラジオドラマの話はコメントレスで書ききれないので、また今度熱く語り合いましょう♪←雑記とコメントで。


二次小説読んで頂きありがとうございました♪
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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「噂」(4話)です。

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原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「予兆」の続きです。


噂(4話)



魏無羨は差し出された男の手に引き起こされるように、地面から立ち上がった。

「ありがとう。助かった」

魏無羨の礼に男は頷くと、それまで浮かべていた笑みを引っ込めて、
離れていく大蜘蛛の方に鋭い視線を向けた。

「あんたとは、もっと話をしたいが、まずは、あいつを退治してからだ。
これ以上妖気をふりまかれると厄介だからな」

そう言うと男は仙剣を手に大蜘蛛の方に駆けた。

魏無羨もすぐに男の後を追った。

大蜘蛛は、仙剣を手にしている男に不利だということを感じたのだろう。
退散する道を選んだように、一目散で逃げていく。

だが、追いかける男の方の足も速く、行動は素早かった。

木々を抜けた場所で男は高く跳躍すると、大蜘蛛の背に乗った。

そして、チラリと魏無羨の方を見た。
まるで、魏無羨の術を知っているかのような合図に魏無羨もすぐに行動を起こした。

魏無羨は、呪符から糸を編み出すと、大蜘蛛の足に放って、その動きを止めた。
さらに、霊符を投げつけ、妖気を封じ込めた。

全身から放たれていた大蜘蛛の強い妖気が消えたことを確認すると、
男は大蜘蛛の急所めがけて仙剣を打ち込んだ。

大蜘蛛の妖魔の断末魔があたりに響き、しばらく魏無羨の呪符の糸を震わせていたが、
やがて、すべての足を折り、地面に巨体を倒した。

男がひらりと大蜘蛛の背から飛び下り、魏無羨の近くに着地すると、
魏無羨は、霊符に血文字で新しく編み出した符号を書き込み、大蜘蛛の体に投げつけていった。

暗い紫色の冷たい炎のような魔力が大蜘蛛の体を包み込み、大蜘蛛の体を滅していく。

大蜘蛛の体が煙のように消えようとしたころ、魏無羨の隣にいた男が片手で印を結んだまま、仙剣をふるった。

仙剣は青白い光跡を残して、大蜘蛛の体とあたりの邪気を完全に消し去った。

魏無羨は見たことの無い仙術だったが、場を浄化させる技のようだった。

…大蜘蛛の固い体も一撃で仕留めるだけの力。
仙剣の腕は確かで使用した術も高度だ。
この男はかなり手練れの仙術使い。しかも闇狩りに慣れている。

消えゆく大蜘蛛から男に目線をうつして、そんなことを分析していた魏無羨の視線に男が気づいた。

「おい、そんな眼差しを俺に向けないでくれ。男に惚れられても困る」

片眉をあげて、おどけたように言う男に魏無羨は思わず噴き出した。

先ほどまでの緊迫した空気を一瞬でやわらかい物にして魏無羨に笑顔を向けていた。
この男の人となりを、すぐに気にいった魏無羨だった。

「術に見惚れて少し驚いただけだ。初めて目にしたからな」

「そうか。さっきのは最近覚えたばかりの術だが、よく効いたな。俺も驚いてる」

おどけたように言う男の言っていることが本当かどうかは分からなかった。
だが、なぜか男が信頼に値する人物だと思えた魏無羨だった。

街で芸をしていた時は座っていた為分かりづらかったが、こうして並びたつと男は長身の魏無羨よりさらに少し背が高かった。

「このあたりの仙家の者か? 街で見かけた時は芸をしていたが」

そう聞く魏無羨に男は「属している仙家は無い」と答えた。

「俺は、流れ者の仙術使いだ。生業の基本は芸にしているが、時々闇狩りの依頼を引き受けてもいる」

「ここに来たのも、闇狩りの依頼を受けたからか?」

「闇狩りの依頼は受けていない。ただ、屍の話は気になって興味本位で山をのぞきに来た」

「屍の話とは、山の麓の村に出ていた3体の屍の話か?だったら、1体はさっきの妖魔が体を乗っ取っていたやつで、残り2体は今頃、姑蘇藍氏に確保されているころだろう」

「いや、それらとは違うな」

「じゃあ、木を盗む屍のことか?」

「木を盗む屍?」

男は呆れたような顔をした。

「ずいぶん、酔狂な屍もいたもんだな」

「それとも違うのか?一体、話の屍とはどんな屍のことなんだ?」

魏無羨の問いに、男が思い出すような目をして胸の前に腕を組んだ。

「話を聞いた限りではただの屍じゃない。さっきの奴のように妖魔が入り込んでいる魔物とも違う。特徴は傀儡に似ているが、変わった動きをしていたらしい。まるで生きているように滑らかな動きで素早い」

魏無羨は一瞬、脳裏に温寧の事を浮かべた。

「それは、若い男の姿をした屍傀儡か?」

「いや、俺の聞いた話だと年配の女性の屍だ。だが、力は強いらしい」

魏無羨は心の中でホッと息をつくと同時に、新たな屍の情報を姑蘇藍氏の宗主に持ち帰るために、話を記憶にとどめた。

「噂の出どころは?」

「実際に裏街道で屍に遭遇したという旅人から聞いた話だが信憑性はありそうだ」

「…信憑性があるなら、なおさら。その旅人から闇狩りを依頼されていないのに、物見遊山で一人で正体不明の屍を探しに来たのか?向こう見ずだな」

魏無羨を知る者が聞いたなら、「お前に言われたくない」と返されそうな台詞だった。

「うむ…じつは、今はちょっと街にいたくなくて」

それまで闊達だった男の口調が急に歯切れ悪くなった。

話の続きを促すような魏無羨の視線に、男は観念したようなため息を漏らした。

「昼間、街で芸をしていた時に見物料をはずんでくれた者から幽鬼に悩ませられているという話を聞いて礼代わりにその家の闇狩りをしたのだ。それはあっさりと終わったんだが、やっかいなことが生じてな」

「やっかいなこと?」

男は、指で頬をかくと不思議そうな魏無羨に苦笑を浮かべてみせた。

「じつは…」
そう男が言いかけた時、

「魏先輩」と、魏無羨を呼ぶ声が林の向こうから聞こえた。

「魏先輩、どこですか?」

魏無羨と男が声のする方向を見ると、松明を持った者たちがこちらに近づいてくるのが目に入った。
姑蘇藍氏一門ではなく、宿屋で魏無羨が会った巴陵欧陽氏一行。
魏無羨の気配に気づいた欧陽子真を先頭にこちらに駆けてきている。

「あれは…まずいな」

男は、罰の悪そうな顔になって小さく呟いた後、仙剣を鞘にしまった。

そして、後ずさると、魏無羨の方を一瞥した。

「面倒なことになる前に俺は行く。次に会えたら、その時はゆっくり話をしよう」

そう言うと、男は、欧陽子真一行と反対の方角に疾風のように駆け、魏無羨の元からアッという間に去っていった。

魏無羨は呆気にとられた顔で佇んだ。

互いに名前を名乗っていなかったことに今さらながら気づいた魏無羨だった。

流れ者の仙術使いと言っていたが、今後、またあの男と会う機会はあるのだろうか。
ただ、もっと話をしてみたかった。

そんな思いで魏無羨は男が去った方角に目を向けていた。

「魏先輩!」

男の姿が完全に消えた直後に巴陵欧陽氏一行が茂みをかきわけて、魏無羨の姿が見える位置まで到達した。

「魏先輩、ご無事ですか?」

「ああ。この通りだ。どうして、ここにいる?自分たちの闇狩りはどうした?」

…巴陵欧陽氏一行は、こことは別の商家の闇狩りを依頼されていると聞いていたが。

そう問う魏無羨に、巴陵欧陽氏一行は、黙ったまま各々の近くの者と当惑した顔を見合わせた。

そんな一行を代表して欧陽子真が口を開いた。

「闇狩りはもう終わったので、魏先輩たちの方の様子を見に来たのです」

「終わった?やけに早いな。そんなに簡単だったのか?」

「それが…、我々は闇狩りをしていないので分からないのです」

「あ?」

…どういうことだ?

魏無羨は、いぶかしげに首をかしげた。

「依頼を受けた我々では無く、何者かが先に闇狩りをしてしまっていたのです」

欧陽子真は思い出すと納得がいかない様子で憤然とした口調になっていた。

「依頼を受けた家につくと、主人から、もう他の仙人に退治してもらったから大丈夫だと言われました。念のため、調べましたが、確かにもう幽鬼の存在は無く、場も清められていました。主人の話では街で道芸をしていた仙術使いの男が見物料の礼替わりにと闇狩りをしてくれたそうです。
男は名前も名乗らなかったそうですが、報酬は、依頼した者たちに渡してほしいと言い残して去ったそうです。だから、約束通りの金は受け取れたのですが…」

実際に闇狩りをしていないのに、報酬を受け取って良いものか、悩んだ一行だった。

しかし、商家の主人も、申し訳ないという態度で頭を下げていた。

『まさか。私もたった一人で闇狩りが出来ると思わなくて。ただ、彼が幽鬼の様子を見せて欲しいというので家に案内しただけのつもりでした。それが、あっという間に終えられて。せっかく来て頂いたのですから、皆さまにはご足労代としてお受け取り下さい』

そう言う主人に、欧陽子真は報酬を無碍に断るわけにもいかず、規定通り受け取ったのだった。


「良かったじゃないか」

憮然としている欧陽子真に魏無羨は、そう、あっけらかんと言い放った。

「依頼人はこれで安心して生活出来るし、お前たちは労せず報酬を受け取れた」

「良いですか?どこの誰かもわからない仙術使い一人に先を越されて功を持っていかれたのですよ?幽鬼はかなり強いと聞いていたので、他の仙家の者たちとも共同戦線をはった我々の立場はどうなりますか? 」

「立場は変わらない」

魏無羨が事もなげに言った。

「お前たちは約束通り依頼人の元に行った。先方も報酬をけちるためにわざと流れの仙術使いに頼んだわけでは無い。むしろ貸しが出来た。もし今後何かあったら、きっとお前達に又依頼するだろう。それに、その仙術使いも闇狩りをしながら報酬を受け取らずに去ったのなら、主人の言うように礼以外の他意は無かったのだろう。様子を見て、すぐに闇狩りが出来そうな相手だったからおこなった。それだけだ」

「…たしかに魏先輩のおっしゃる通りです」

欧陽子真は肩を落とした。

「せめて闇狩りを行ってくださった仙術使いの名前が分かれば、探してご挨拶出来たのに」

「そうだな」

そう言いながら、魏無羨は心の中で、話に出てきた仙術使いが誰なのか目星がついていた。

先ほど、魏無羨を助けた男。
街で芸をしていて、一人で闇狩りが出来るほどの腕を持つ仙術使い。

欧陽子真達一行の気配を察して、急に場を立ち去ったことも、これで合点がいく。

…せめて名前を聞いていたら、街で探せるのだが。
もし会えたら、他にも聞きたいことがある。

そんなことを考えながら、魏無羨は、まだ沈んだ表情を浮かべている欧陽子真を慰めるように、背中をポンと優しく叩くと、姑蘇藍氏一行が集まっている場所に戻ることにした。

姑蘇藍氏一行は問題なく、屍2体を確保した状態で、魏無羨の帰りを待っていた。

地面に横たわった屍たちの中にすでに邪気は無く、動かない身体に戻っていた。

「魏先輩、もう1体の方はどうなりましたか?」

そう問う藍思追に魏無羨が手に持っていた屍の衣類の破片を見せた。

「内に大蜘蛛の妖魔が取り付いていて実体化した。だが、それは滅したから心配ない」

「さすが魏先輩ですね」

感嘆する姑蘇藍氏一門の弟子達の眼差しを受け、魏無羨はきまり悪く曖昧な笑みを浮かべた。

実際は、一人で滅したわけではなく、流れ者の仙術使いに助けてもらっていた。
だが、今ここでその話をすると長くなるばかりか、そばにいる巴陵欧陽氏一行達も話を聞くことになる。

商家の闇狩りは、はずんでもらった見物料の礼代わりということだったが、この場の闇狩りは違う。

魏無羨は男の実力を間近で見ていたが、巴陵欧陽氏一行はその強さを知らない。

危険な闇狩りに一人で好奇心だけで訪れたと言っても信じられないだろう。

報酬を受け取らずに去った英雄としての男の印象が、とたんに正体不明の胡散臭い者に変わるかもしれないと考えた魏無羨は、折を見て説明することに決めた。

「まずは、村長たちのところに戻ろう。屍たちが依頼された闇狩りの対象かどうか確認してもらう。妖魔にとりつかれていた方は、この衣服と見た特徴を話して判断してもらうことにする。2体の屍を運ぶぞ」

「わかりました」

魏無羨の指示で、姑蘇藍氏の弟子達が動いた。

その後を巴陵欧陽氏一行もぞろぞろと着いてきた。

「なんで、ここにいるんだよ?」

藍景儀が隣を歩く欧陽子真をじろじろ見ながら聞いた。

「その話をすると長くなる。宿屋に帰ったら話すよ」

そう答えながら、隣にいる藍景儀より、前を歩く魏無羨の背中をうっとり眺めて歩いているような欧陽子真の顔に藍景儀は「ふーん…」と相槌を打つと、藍思追の方に視線を向け肩をすくめて見せた。

藍思追はそんな藍景儀に黙ったまま微笑で返した。


こうして、魏無羨率いる一行が、村人達がいる村長の家についた後、魏無羨は周囲に張っていた結界陣を解いた。

そして、出てきた村長と村人たちに、確保した屍たちを確認してもらった。
魏無羨が妖魔が取り付いていた屍の衣類の破片を見せ、その特徴を話すと、家に侵入されたと話していた一家が頷いて見せた。

「間違いありません。このような服を着ていて、そんな特徴の屍でした。
でも、中に妖魔が潜んでいたなんて。無事で良かった」

想像して身震いする家主に「もう、家に帰っても大丈夫です」と魏無羨が言った。

「ありがとうございます」

規定の報酬を差し出す村長をはじめ、村人たちは、口々に姑蘇藍氏一門に礼を言うと頭を下げた。

屍たちは、墓地に手厚く埋葬されることになった。
依頼された闇狩りは完了したが、魏無羨の中でいくつか引っかかっていることが出来ていた。

噂で聞いた木を盗む屍。
仙術使いの男が聞いたという、謎の屍。

今回の闇狩りの対象では無かったが、留意しなければならないだろう。

…雲深不知処に戻ったら、沢蕪君に報告しておこう。それと…。

魏無羨は、己の腹部にそっと手をあてた。

「魏先輩?」

姑蘇藍氏一門と一緒に巴陵欧陽氏達も村人たちから労いの茶と夜食がふるまわれている中、うかない顔で何やら考え事をしている魏無羨に気づいた欧陽子真が声をかけた。

「どうされたのですか?」

「いや…」

何でもない。と言いかけて、魏無羨は欧陽子真の顔を見据えた。

「確か、お前の父親は医術師だったな?」

「はい、そうです。このあたりの仙家では特に優れていると評判の医術を会得しています」

そう父親のことを誇らしげに語った後、欧陽子真は心配そうな表情を浮かべた。

「あの、もしかして魏先輩、先ほどの闇狩りでどこかお怪我でもされましたか?」

魏無羨はかぶりを振ると、己の腹部から手を離した。

「何でもない。怪我もかすり傷だ。でも、案じてくれるとは、お前は気がきくな」

そう薄っすらと笑みを浮かべた魏無羨に見つめられた欧陽子真は照れながら頭をかくと「先輩の分のお茶を頂いてきますね」と、湯飲みや夜食を配っている村人たちのところに小躍りするように駆けて行った。

村人たちと弟子達の楽し気な話声を耳にしながら、魏無羨は一人離れた場所に腰掛け、腰帯にさしていた笛、陳情を手にとった。
そして、己の中に潜む闇と向き合うかのように、黒色の陳情を見つめ続けていた。


(続く)



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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「噂」(3話)です。

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「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「予兆」の続きです。


噂(3話)




姑蘇藍氏が闇狩りを依頼された山の麓にたどりついた時、すでにあたりは闇と化していた。

冷ややかな風が時折木々の葉をざわめかせ、汚泥の中の枯葉の腐臭が仄かに周囲に立ち込めている。嵐の後で荒れているとはいえ、雲深不知処の清涼な大気と異なり、それこそ雲泥の差のある瘴気のような空気が漂っていた。

そんな鬱蒼とした林の中のあぜ道を、松明を持つ弟子が集団の先頭と背後で周囲を照らして進んだ。

姑蘇藍氏の一行はまず闇狩りを依頼した村の長の家を訪ねた。

村長の家の門には屍と幽鬼除けの護符が貼られていた。
それらが正常に機能するものか確認した後、魏無羨は村長に話を聞いた。

「これらの護符は村の家全部に貼っている物ですか?」

「はい。同じ物です」

「護符が効かない家もあったと聞いたのですが」

「はい。この先の道をしばらく歩いて行き止まりの家です。
護符を門と家の戸の内外に貼っていたにも関わらず、屍が入りこんできたそうです」

「今、その家の住人は?」

そう聞く魏無羨に「ここに」と村長の後ろに集まっていた村人達の中からおずおずと一人の男が妻と子らしき者たちと一緒に歩み出てきた。

「今は村長さんの家に世話になっております。護符の効かない家にいる気になれなくて。
これが貼っていた護符です」

魏無羨は男が差し出した護符を手にとった。

「村長の家に貼られている物と同じですね」

横から見ていた藍思追が魏無羨に言った。

魏無羨は頷くと、村人から家に入り込んだ屍の特徴を聞いた後、その護符を懐に仕舞った。

「…明日には家に戻れるでしょうか?」

護符が効かなかったという家主の男が不安そうに聞いた。

安心させるように魏無羨が男の肩に手を置いて頷いて見せると、村長の方に目をやった。

「村人はここにいる人たちで全員ですか?」

「はい」

「では、ここから離れた場所に屍たちを誘導します。
今夜は村長さんの家の周囲に結界をはりますので、皆さんは、我々が良いと言うまでその中から出ないようにしてください」

「分かりました」

こくこくと頷く村人の面々を見回した後、魏無羨は再度確認するために村長に聞いた。

「屍は3体出ると聞いていますが、間違いないですか?」

「はい、3人です」

「分かりました」

村長に頷いた後、魏無羨は弟子達を振り向いて、結界を張る指示を出した。

含光君、沢蕪君、藍啓仁くらいの術者であれば一人でも広範囲に結界を張ることも出来たが、
弟子達は総出で取り掛からなければならなかった。

もちろん、魏無羨も一人で結界を張ることが可能だったが、引率者が何もかもお膳立てしてしまうと弟子達の為にはならない。

魏無羨は、弟子達の張った結界に不備が無いか確認すると、念のため、自分で作成していた護符を結界の周囲に置き二重の守りを築いた。

それから魏無羨は弟子達と共に結界を張った場所を離れて歩き始めた。

そして、林を抜けた見晴らしの良い空き地に召陰旗を設置させ、円形を組み、今後の闇狩りの手はずを確認した。

一通り、各自の役割や手順の確認を終えた後、魏無羨は、「聞いておきたいことは無いか?」と弟子達に聞いた。

弟子達は、かぶりを振った。

「では、先ほど街で何か気になった情報があった者は話せ」と魏無羨が続けた。

弟子達は互いの顔を見回した後、気まずげに目を泳がせた。

「遠慮しないで話せ。団体行動の時は些細な情報も共有しておいた方がいい」

魏無羨の促しに、弟子の一人がおずおずと手を挙げた。

「あの…、先ほど、街で情報収集をしていた時に又話を聞きました」

「何の話だ?」

「含光君様の婚姻の話です」

「・・・・・・」

「今は闇狩りの話をしています。その事は関係ないでしょう」

藍思追が横から口をはさむように言った。

「それは、そうなんだが…」

挙手した弟子は助けを求めるように隣にいた者に目をやった。
隣にいた弟子も、恐る恐る口を開いた。

「街では我々の外見で姑蘇藍氏だと分かる者に会うと、まず『含光君様のご婚姻、おめでとうございます』と言われるのだ。まるで婚姻がもう決定しているような口ぶりで。今日はもう5人に言われた」

「わたくしも…仙督様の婚姻式はいつですか?と問われた。仙督就任式の話より、婚姻式の話の方が有名になっている」

「それで、そうやって言われたり、問われたりして何て答えたんだよ?」

藍景儀が聞いた。

「まさか『ありがとうございます。もうじきです』なんて返事していないよな?」

「していない。ただ、『我々にはわかりかねます』と答えただけだ」

「景儀は街で聞かれなかったのか?」

「僕は闇狩りの情報収集するのに必死でそんな話はしていない」

「…景儀はゲームを仕掛けられて、躍起になっていただけじゃないのか?」

「情報を教えてもらうためだ」

脱線しそうな雰囲気になった話を止めるように、
魏無羨が黙したまま手をスッと上げると弟子達の会話がピタリと止まった。


「…他に闇狩りのことで新しい情報を聞いた者は?」

静かな口調で問う魏無羨に、弟子達がシンとした。

「先ほど村長や村人から聞いた話以外の情報は聞きませんでした」

藍思追が代表するように答えた。

魏無羨は小さく頷くと、「では、俺が聞いた話を伝えておく」と前置きして言った。

「少し気になる噂話を聞いた。木を盗んでいく屍がいるという話だ」

…木を盗む?

弟子達は、きょとんとした後、また近くの者と顔を見合わせた。

「今回の闇狩りで出没している3体の屍たちの中の一人ですか?」

「そうかもしれない。しかし、そうでは無いかもしれない」

藍思追の問いに魏無羨が言った。

「今回の闇狩りの情報では無かった話だ。もしかすると、この依頼された闇狩りの対象以外にも付近で別の屍が出没しているのかもしれない」

「木を盗む…」

しばし考えこんだ後、藍思追はハッとしたように顔をあげた。

「もしかして、誰かに操作された屍傀儡?」

魏無羨が重々しく頷いた。

「そうなると対応を変えなくてはいけない。しかし、情報が不鮮明な上に未確定だ。
まずは、今回の闇狩りの対象3体の屍の確保。もし、召陰旗に引き付けられ、噂の屍も現れた場合は、作戦を変更し俺が指示を出す。ただ、そうなっても狼狽えるな。確保する手順は同じだ。落ち着いて行動しろ」


「はい」

魏無羨の言葉に弟子達が気合のこもった返事をした。

何度か魏無羨と闇狩りに同行し、その実力や能力が含光君と同じくらい信頼に値すると分かっていた弟子たちだった。

「でも、なぜ魏先輩は、先ほど、村長に木を盗む屍の話をしなかったのです?」

藍景儀が不思議そうに聞いた。

「不確かな情報でただでさえ怖がっている村人たちをこれ以上不安にさせないためですか?」

魏無羨の代わりに半分答えたような藍思追の問いかけに魏無羨が微笑を浮かべた。

「そうだ。もし被害があったのなら、村長や村人たちは知っていただろう。だが、屍が木を盗むという話はしていなかった。俺の聞いた話でも出没した場所は今回の闇狩りの場所からは遠い。それに3体だということも先ほど再度村長に確認している。村人達が見た屍の特徴は3体以上は無い。まずは、確保した3体を確認してもらい、木を盗むという屍がその中にいるかいないかは後ではっきりする。対応はそれからだ」

「もし、今回の闇狩りで、噂の屍傀儡がいなかった場合は?」

「今回の闇狩りを完了させ、姑蘇藍氏に戻った後、まず藍宗主に情報を報告する。捜査や指示はそれからになるだろう。藍景儀この説明で納得したか?」

「はい」

「では、各自、持ち場につけ。そろそろ屍たちが現れる時刻だ」


魏無羨の指示に弟子達全員が動いた。

魏無羨は一人、陳情を手に召陰旗が設置された場所から離れた岩陰に身を潜めた。

準備を終え、口を閉じ、屍の出現を待つ姑蘇藍氏一門。

しばらく、あたりは不気味なほど静まりかえっていた。

だが、やがて頬を撫でる風の匂いが変わったのを感じた魏無羨だった。
生臭い瘴気がこもっている。

魏無羨は岩陰から召陰旗の方を覗き見た。
林の中から何者かが召陰旗の方に近づいてくる気配が濃厚になってきた。

…来た。

ユラユラと体を揺らし、足をひきずるような動きで現れたのは2体の屍だった。

傀儡では無く、怨念のような霊気に魔の邪気が入り込み、屍体を動かしている類。

計画通りの動きで、確保は可能だろう。

姑蘇藍氏一門の弟子達も息をひそめて、屍の動向を見守っていた。
2体の屍はゆっくりとした動きで召陰旗の周囲をうろつきはじめた。

…あと1体はどこにいる?

魏無羨は岩の上に足をかけ上から周囲を見回した。

すると、かなり離れた場所にもう1体の屍らしき姿が見えた。

屍は、こちら側の様子を伺うかのような姿勢でジッと立ち尽くしていた。
しかし、何かを察したように後ずさり場から離れていく。

…やはり、この屍は、他とは違う。

離れていくもう1体の屍に弟子達も気づいていた。
だが、動くことは出来ない。
召陰旗の近くにいる傀儡たちは結界符の中にいたが、これ以上時間をかけるとその結界陣から出てしまう恐れがある。

…魏先輩、どうしますか?

そんな眼差しを向ける弟子達に魏無羨は手話で指示を出した。

『あの1体は俺が追う。お前たちは、計画通り残り2体を確保して待機しろ』

魏無羨の指示を了解したという合図で、弟子達が結界を張った。

召陰旗の近くにいた屍たちが結界の中で暴れまわった。

藍思追と藍景儀が結界の中に入り、霊符を屍たちに向けるのを横目に魏無羨は岩陰から飛び出し、もう1体の屍の姿を追って、林の中を駆けた。

逃げた屍の動きは素早かった。

…聞いた特徴が同じ。おそらく、これが護符が効かなかったという屍だ。
屍の体の中に別の魔性が潜んでいる。

魏無羨は懐から霊符を取り出すと、新たに組んだ術を書き込んだ。
そして、それを目の前で走っている屍の方に放った。

霊符は屍の背中に直撃し、屍は足をもつれさせ倒れこんで動かなくなった。

しかし、完全に倒せてはいないことは魏無羨には分かっていた。

魏無羨は陳情を構え、慎重に倒れた屍に近づいて行った。

うつ伏せに倒れていた屍の体がぴくりと動いた。

屍の体から一気に大量の妖気が噴き出した。

「!」

まるでボロ布でも裂くように、屍の体が真っ二つになり、
黒黒とした邪気と共に中から大きな影が現れた。

影がみるみる膨れ上がり、実体を作った時、それは魏無羨の身長よりはるかに大きな魔物だった。

…大蜘蛛の妖魔か。

この相手に既存の術符や護符は効かない。

そう瞬時に判断した魏無羨は懐から再び霊符を出すと、指先を噛み、血で新しい術を組みこんだ符号を書き込んで大蜘蛛に放った。

効果はあったようだが、想定した以上に大蜘蛛の表皮は強固だった。
衝撃は与えられたが、決定的な打撃は与えられていない。

大蜘蛛の魔力の保有はそれほどでも無いようだったが、体力は格段に大きい。
符術では、長期戦でしか体力を削れない。
魏無羨の編み出した邪気を利用した陳情の魔力も、同じ質を持つ者に放つには、練るのに時間が必要とされた。

こんな時は、仙剣での攻撃の方が有利に進められる。

そんなことは分かっていた魏無羨だったが、今の魏無羨には仙剣をふるうことは出来ない。
以前のように印を結び、即座に霊力で念糸を出す術も不可能だった。

魏無羨は大蜘蛛を観察しながら術式を編み込んでいる霊符を放った。

大蜘蛛の動きが少しでも止まっている間に結界の陣を張り、中で消滅させる策だった。

魏無羨の目論みは、うまくいったかに見えた。

魏無羨に足を振り上げていた大蜘蛛の動きが止まった。

魏無羨はすぐさま結界の陣を張るために霊符を取り出そうとした。

だが、想定していたより早く大蜘蛛が動いた。

魏無羨は瞬発的に身をよけることが出来たが、
大蜘蛛の複数の足が魏無羨の動きに合わせてゆるみない攻撃を仕掛けてきた。

動き続けて攻撃はかわせても、陳情も霊符も使えない。
大蜘蛛の動きは素早く、拘束が出来る糸を呪符から繰り出す猶予も無い。

魏無羨は頭の中で策略を巡らせながら、勝機を待つように大蜘蛛の攻撃を避けた。
大蜘蛛の足は細い木をなぎ倒すほどの威力を持っている。
接触すれば、姑蘇藍氏の秘薬でも簡単に治療できないほどの打撃を受けることだろう。

魏無羨は大蜘蛛の動きをかわしながら、周囲に目を向けた。

林の中で木々の間隔が狭くなっている場所を見つけた。

…あの場所に大蜘蛛を追い込めば…。

魏無羨が身を屈めて、その木の間を駆けた。
魏無羨を追うように大蜘蛛が追いかけてきた。

案の定、狭くなっている木々の隙間に大蜘蛛の体がひっかかった。

…今だ。

魏無羨が霊符で結界を張ろうとした時、木々に挟まれた大蜘蛛が大きく身を震わせ、
内から膨大な邪気を放出し体を阻んでいる木々を粉砕した。

「!!」

魏無羨は腰帯の陳情を抜くと、口にあて構えようとした。

しかし、魏無羨は目の前の大蜘蛛に集中していた為、気づいてはいなかった。
足元に窪みがあり、そこに先日の嵐で出来た深い泥濘(ぬかるみ)があったことを。

魏無羨の片足が泥濘にはまり、動きを封じられた魏無羨は横向きに倒れた。

一瞬の過失だったが、この戦いにおいて、その短い間は命取りに値するほど危険だった。

魏無羨の上で大蜘蛛が巨大な足を上げ、魏無羨の体めがけて勢いよく振り下ろした。

霊符が間に合わない。


魏無羨の脳裏に藍忘機の姿が浮かんだ。
危険の時にはいつも駆け付け、助けてくれた藍忘機。

…藍湛!!

心の中で藍忘機の名を呼び、魏無羨はとっさに身をかばうように陳情を掲げた。

大蜘蛛の足が魏無羨を直撃しようとした寸前、
魏無羨と大蜘蛛の間を白刃の煌めきが走った。

ザクッと大きな幹が切られたような音と共に耳をつんざくような妖魔の叫び声が聞こえた。

魏無羨を突き刺そうとしていた大蜘蛛の足は切り離されていた。

もがきながら、後退していく大蜘蛛を目で追いつつ、魏無羨は急いで、泥濘から足を抜いた。

そして、白刃が通った方向を振り返った。

とっさに魏無羨は「藍湛」と呼びそうになったが、背後にいる人物を見て目を見開いた。

闇夜の中で、まるで熱い炎をまとわりつかせているかのように青白く光る仙剣。
その仙剣を手に構え、魏無羨の後ろに佇んでいたのは、藍忘機では無かった。

…この男は。

男には見覚えがあった。
それは、魏無羨が宿屋に向う前に街で見た太鼓叩きの芸をしていた男だった。

「よお。又会ったな」

そう言って、男は、腰を落としたままの魏無羨に数珠を巻いた手を差し出すと、ニッと人好きするような笑みを浮かべた。


(続く)



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※この話は「予兆」の続きです。


噂(2話)



『含光君様が婚約者様と近々婚姻されるという話』

食堂の中が一瞬シンっと静まり返った。
藍景儀が咳込む音以外は。

ゲホゲホゲホゲホゲㇹォ!

首元を手でおさえ、顔を真っ赤にして咳込んでいる藍景儀の方を見ずに、
魏無羨は無言で茶の入った湯飲みをスッと差し出した。

その湯飲みを藍景儀の横にいた藍思追が受け取ると、藍景儀にゆっくり茶を飲ませて、その背を軽くたたいて介抱した。

魏無羨の目は欧陽子真の顔を見たままだった。

魏無羨にジッと見つめられ、ドギマギしたように欧陽子真は両手を膝の上に置いて座っていた。

ややあって、魏無羨が盛大に噴き出した。

「あははははは」

魏無羨の高笑いが食堂に響くと、欧陽子真はきょとんとした顔になり、
姑蘇藍氏一門は逆に不安そうな面持ちになった。

ひとしきり笑った後、魏無羨が聞いた。

「お前、冗談が面白すぎる。含光君が婚姻?婚約者?それは、どこの含光君の話だ?」

「あの、姑蘇藍氏の含光君様のことですが」

「俺の知ってる含光君、藍忘機のことか?」

「はい。そうです」

「どこから、そんな冗談が出たんだよ」

「冗談?」

欧陽子真が、これはどういうことだ?と問いたげに姑蘇藍氏の弟子たちの顔を見回した。

弟子たちは皆、気まずそうに俯いたり、目をそらせたりした。
欧陽子真は最後に、ようやく咳が止まって、涙と鼻水を台拭きでぬぐっている藍景儀と、困惑している藍思追の顔に目を留まらせた。

「もしかして、魏先輩は知らないのか?」

姑蘇藍氏の弟子一同はその問いには答えられずに黙したままだった。

「おい」

沈黙をやぶったのは、魏無羨の呼びかけだった。

「ちょっと待て。こいつの話が全く見えてないのは俺だけか?もしかして、お前たちは全員、今の話を知ってるってことか?」

抑えた声色だったが、逆に魏無羨の静かな問いかけに、姑蘇藍氏の弟子たちはいたたまれない顔つきになった。

「違うのです。魏先輩」

口を開いたのは藍思追だった。

「私たちも前回の闇狩りで、偶然、他の仙家の者たちに会った時に耳にした噂話なのです。
正式に姑蘇藍氏から発表されたことではありません」

「噂話って、どんなだ?いいから言ってみろ。思追」

有無を言わさないような雰囲気の魏無羨に藍思追は「それは…」と口ごもった。

「含光君様が不浄世の仙女とご婚姻されるという話です」

言いあぐねている藍思追の代わりに、藍景儀が口を開いた。
あやうく藍景儀の息の根を止めようとしていた鶏肉の欠片は、どうにかこうにか藍景儀の食道を通過したようだった。

「我々もそれ以上の詳しい話は知りません。ただ、他の仙家の者たちや、姑蘇の街でも広く噂になっていて、姑蘇藍氏一門の中でも聞いた者がいます。ただ、誰もその真偽を沢蕪君様に問うてはいません」

「含光君にもか?」

藍思追が頷いた。

別の姑蘇藍氏の弟子が横から口をはさんだ。

「我々姑蘇藍氏では、闇狩りに関する民の噂話であれば注視しますが、真偽の分からぬ世間の噂話を広めたりすることは禁じられています。
その話が本当であれば、他の仙家の者よりまず姑蘇藍氏で発表されるはずです」

「そうです。こんなに重要な話なのですから」

「だから、我々も相手にしなかったのです」

「そうです。そうです」

ようやく息をふきかえしたように、口々に言って頷く姑蘇藍氏の弟子たちに、
分かった、とでも言うように魏無羨が軽く片手をあげて話を制した。

「でも、皆、かなり気になってはいたんだろ?だから、俺にずっと何か聞きたそうな顔をしていたんだな」

「…はい」

魏無羨は、しゅんとしている弟子たちを見回した。

「そんな面を並べるな。俺はお前たちに怒ってるわけじゃない。
姑蘇藍氏一門の対応は正しい。それににわかに信じられない話だ。どこからそんな作り話が出てるのか、俺は、そっちの方に関心がある」

「噂の真偽は分かりませんが、婚約者様は作り話ではありません」

欧陽子真がおずおずと言った。

「婚約者だとお噂になっている含光君様のご婚姻相手の方は実在されています」

「不浄世の仙女って言ったな。どこの誰なのか聞いているか?」

「はい。僕は、清河聶氏一門の弟子から聞きました。彼は聶家の遠い親戚なのですが、お噂の仙女も聶家ゆかりの者だそうです。名を玉翠花。玉家のご息女です」

「玉家…」

数ある仙家の中の一つだろうが、魏無羨にはやはりピンとこなかった。

「聶家というと、清河聶氏宗主の親戚というわけか?」

「はい。正確には、玉家は前の聶宗主様のお母上のご親戚と伺っています」

扇子を仰ぐ聶懐桑の顔が浮かんだ。
魏無羨と修習生時代同期だった、清河聶氏宗主の聶懐桑。

前宗主である聶明玦と聶懐桑は腹違いの兄弟だった。
魏無羨の中で、聶明玦は性格から体格から何もかも弟の聶懐桑とは正反対の宗主の印象だった。

「その玉家のご息女が、なぜ含光君と婚姻の噂になっている?」

「僕が聞いた話では、玉翠花嬢は、以前、姑蘇藍氏で修行をされていたことがあって、含光君様とは相識の間柄とか」

・・・え?

姑蘇藍氏一門の弟子たちが皆それぞれ驚きの顔を見合わせた。

…知ってるか?
…いや、知らない。

「知っているか?」

まとめて確認を取るように、魏無羨が藍思追を見た。
藍思追は幼いころから雲深不知処にいた。そんな仙女がいたのなら知っているはず。
そんな考えで聞いた魏無羨だったが、藍思追はかぶりを振った。

「いえ。私は存じません」

「では、噂話は間違いか?玉翠花嬢は姑蘇藍氏にいたことが無かった?」

「いえ、そうとも言い切れません」

藍思追が戸惑いながら口を開いた。

「雲深不知処では、短い期間ではありますが、礼儀作法を学ぶために修行に来る仙女がいます。
女性の門下生たちと同じで、雲深不知処の中では男の門下生とは学び屋も住まいも分けられていますので滅多に会うことが無いのです」

「俺が昔修習生だった時は同じ学び屋だったぞ」

「それは、修習生だからです。他の仙門から学びに来られる一族の方々は特別扱いされています。
短期間修行に来る仙女も修習生のように預けられることは同じですが、基本、門下生と同じで男女分かれて生活をします。だから、我々男の門下生は女性の門下生や修行者を詳しく知らないこともあるのです」

「そういや。月例会には重役や門下生らしき仙女も集まっていたが、普段は歩いていて、修習生以外の仙女を滅多に見たことが無い。食堂でも、どこでも。そういう理由か」

魏無羨が感心したように納得すると、別の仙家の者がおずおずと口をはさんだ。

「私の幼馴染の仙女も以前姑蘇藍氏に修行に行かされようとしましたが、姑蘇藍氏から断られたことがあったそうです」

他の仙門の門下生たちがその話にくいついた。

「姑蘇藍氏で修行できる仙女とそうでない仙女に何か違いがあるのか?」

「家柄とか、能力とか?」

「能力は多少あるようだが、家柄は関係ない」

興味しんしんで話にくいつく者たちに、訳知り顔の若者は、得意げに話し始めた。

「邪心がバレれば、断られる」

「邪心って?」

「ようするに、姑蘇藍氏の中の門下生との婚姻をひそかに目的としている場合だ。
姑蘇藍氏は格式の高い名門だ。そこで修行すれば花嫁修業として箔がつく。
さらに、うまくいけば、修行中、姑蘇藍氏の中で出会った由緒正しい仙人と婚姻関係を結べるようなことになるかもしれない。そんな考えで娘を姑蘇藍氏に送り込む者がいるということだ」

「へえ。でも邪心があるってどうやって分かるんだ?」

「幼馴染の話だと修行に受け入れてもらえるかは、厳しい審査があるらしい。
筆記に実技。武術。仙術。芸術。学問。何より藍宗主様と藍啓仁先生との面談が難関だと。
それで、甘い考えで行った娘や仙家の者たちの多くが断れる」

「お前の幼馴染が断られたのも、その理由だからか?素行でバレたのか?」

他の仙門の弟子が興味深々で聞いた。

「ああ。面談の時、目の前にいた藍宗主様に見惚れるあまり、何も答えられなかったらしい」

「それは、仕方ない」

話を聞いていた姑蘇藍氏の門下生たちも心ならず笑ってしまった。

「もっとも、試験に合格しても、厳しすぎる戒律と生活に嫌気がさして途中で修行をやめてしまう仙女もいると聞いた。たいてい、修行に行く仙女は長くても1年から2年の滞在らしい」


「姑蘇藍氏なのに、初めて聞く話です」

一人がぼそりと言い、他の面々も頷いた。

「女性の門下生はたまに見かけますが、修行者の仙女と区別が出来ませんでした。施設内で立ち話をすることは禁じられていますので」

もし会っていたとしても、名前を知らないのも無理はない。

今の話を聞くかぎり。
姑蘇藍氏一門の者より、他の仙門の者の方が内部事情に詳しい理由も説明がつく。

そうなると、含光君の婚姻話のことに関しては…。


黙したまま聞いている魏無羨の顔を伺うように藍思追が見た。

「それにしても、今の話から玉姑娘(ユークニャン※玉嬢)と含光君様のつながりは分かったが、どうして婚姻というところまで話がいくんだ?」

藍景儀が欧陽子真に聞いた。

「じつは、数年前から玉家と姑蘇藍氏の含光君様の間で婚姻話がもちあがっていたらしい。
だが、昨年から…まあ、いろいろあって、話がうやむやになっていたこともあったが、ようやく落ち着いたから、再浮上した話だということだ」

「でも、やっぱり、ただの噂話じゃないか」

藍景儀が呆れたようにわざとらしいため息をついた。

「含光君様もそのお嬢様も合意している婚姻話ではなかった。だいたい雲深不知処で修行していたのなら尚さら、師と弟子の恋愛はご法度だ。ありえない」

「いや。でも・・・」

まだ何か言いかけた欧陽子真の言葉を遮るように、姑蘇藍氏の弟子たちが次々と食卓から立ち上がった。

「そろそろ行きましょう。闇狩りの対象も現れる時刻です。現地で先に準備をしておかねば」

藍思追が言って藍景儀も頷いた。

宿屋の食堂から出ようとした藍思追は、まだ椅子に座ったままの魏無羨に気づいて振り返った。

「魏先輩」

「あ、ああ」

何かボンヤリと考え事をしていた魏無羨は、藍思追の呼びかけでようやく意識を取り戻したように立ち上がった。

話の途中からずっと無言だった魏無羨に藍思追は気づいていた。

「先ほどの話でまだ気になることがありましたか?」

「…いや」

そう答えながらも、魏無羨はまだ釈然としない思いに囚われていた。

だが、これ以上ここで話を続けていたとしても噂話以上の情報は出まい。
信憑性があるものといえば、実際に姑蘇藍氏に修行を申し込んだ仙女から直接聞いた話を言っている者の話だけだろう。

各仙門にはそれぞれ大なり小なり秘密が隠されているが、雲深不知処は特に規則の多さや修行の厳しさにおいて他の仙門より守りが固い印象がある。

魏無羨自身、修習生のころ、世情に疎くなりそうな姑蘇藍氏の雰囲気を好ましく思っていなかった。
しかし、学び終えれば出る場所だと思っていた為何の気負いも無かった。

むしろ、雲深不知処の伝説になりそうなほど、好き勝手自由気ままに過ごした少年期の魏無羨だったのだが。
しかし、そんな者は姑蘇藍氏の歴史において魏無羨だけだったことだろう。

好き勝手動く者もいなければ、雲深不知処に入って中の秘密を外に漏らす者もいない。
正式に修行を終え、雲深不知処を出た仙女たちも、中で知った事は修行内容以外は漏らさないようにしつけられているはず。

玉翠花が姑蘇藍氏で修行をしていたと仮定するなら、まだ決定もしていない話を流すような仙女ではあるまい。

しかし、姑蘇藍氏の者以外に広まっているという噂話。
それは作為的に行われているように見えた。

ならば、この噂話は誰が広めているか・・・。


…聶家の親戚…。

魏無羨の脳裏に、雲深不知処の中で会った時の聶懐桑の姿が浮かんだ。

…彼は、あの時、この話のことを言っていたのか?それとも…。

「魏先輩?」

再び、少し心配そうな藍思追の呼びかけで、魏無羨は今度こそ思考を切り替えた。

魏無羨は腰帯にさした陳情に手をおくと姑蘇藍氏の弟子たちを見回した。

「闇狩りにむかうぞ。気をひきしめろ」

「はい!!」


一致団結した気迫で姑蘇藍氏の弟子たちは返事をし、
先に歩き始めた魏無羨を先頭に、綺麗な整列を組んで宿屋から闇狩りにむかった。

姑蘇藍氏一門がいなくなると、食堂に残っていた他の仙門の門下生たちも、立ち上がり始めた。

「俺、魏先輩に何か悪いこと言ったかな?」

欧陽子真がそばにいた門下生に不安そうに聞いた。

「まさか魏先輩が含光君様の話を知らないなんて思わなかったから。
魏先輩、機嫌が悪そうだった」

「そうか?でも、悪い話をしたわけじゃない。むしろ、めでたい話だ。だけど、姑蘇藍氏の者たちにしてみれば、自分たちの仙門の、しかも仙督の話を知らないってことがショックだったんだろう。きっと魏先輩もだ。お前が気に病むことは無いさ」

ポンと肩をたたかれ、そう慰められても欧陽子真はしょぼんとした顔で俯いた。
そして、他の者たちと一緒に闇狩りの準備をするためにトボトボと歩き始めた。


一方。
夜の街で、白装束に身を包み、闇狩りにむかう姑蘇藍氏一門。

颯爽と歩く一行の姿は、傍目からとても頼もしく神聖な集団に見えた。
しかし、一行を見た者の中には、先頭で率いている黒装束の魏無羨の姿に首をかしげる人間もいた。

「まさか、あれが夷陵老祖?…本当に生きていたんだ」

道の端のあちらこちらで指差し、ひそひそ話をしている者たちを魏無羨は無視した。

心無しか足が重く感じるのは、この先に待つ闇狩りに臆しているせいでは無い。

急に漠然とした不安のような感情がわき、魏無羨を支配している。

その謎の感情を押し込めるように、魏無羨は腰帯の陳情に手を置き、ただ前だけを見据えて歩いていた。



(続く)


【拍手コメントレス】

中国ドラマの声は、確か吹き替えで、役者さん達自身の声で無いことが多いです。(地方のなまりとかの関係で)
たしか、「陳情令」の主役お二人も声優さんが吹き替えされています(よね?)←誰かに確認。

主題歌の「忘羨」の歌はもちろん、魏無羨と藍忘機役の肖戦さんと王一博さんの声です♪

役者さんお二人も、他のイケメン君たちも全員地声がとても美声なので、みつばは普通に会話している陳情令」メイキング映像が大好きです。別に声優さんを使わなくてもいいのでは?くらいに。
藍忘機の「魏嬰」呼び、素敵ですよね~。なので、みつばはラストシーンだけでも数十回は見てます(笑)

ドラマ版とラジオドラマ(アニメ)版の藍忘機の声優さんは違いますが、ラジオドラマ版の藍忘機の声も好きです♪
でも、でも、王一博さんが肖戦さんを呼ぶ「戦哥」の声もとっても好きです♪←年下攻め♪

「帯他回家」は、好きと言ってくださっている方が意外に多いので、恐縮ですが、
間違い記述が多い小説なんです(汗)物語や台詞は変えませんが、こっそり後で言葉を修正します。
…今後更新する二次小説と食い違いが出て来ちゃうので。


二次小説読んで頂きありがとうございました♪
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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「噂」(1話)です。

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「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「予兆」の続きです。


噂(1話)



姑蘇藍氏が依頼され、魏無羨達が行う闇狩りの場所は街よりやや離れた山の麓だった。

街からは離れていたが、麓にはいくつかの村があった。

近頃、夜になると、フラフラと彷徨い歩く屍が現れるという話。
畑の中をうろつき、育てている作物を荒らしたり、帰宅途中の者たちを驚かせたりしていた。

まだ襲われた者はいないようだったが、追い払おうとした人達をしつこく追いかけて来て逃げた者が怪我をしたという報告もあった。
しかも現れるのは1体ではなく、3体。

家に護符を貼っても効かず、入り込んできたという話もあることから、ただの屍では無さそうだった。

それで対処に困った村人達と道を使用している街の商人たちが相談し、姑蘇藍氏に闇狩りを依頼したのだった。

魏無羨率いる姑蘇藍氏の弟子たち、総勢9名の一行は、まず近くの街に入り、先に今夜の宿泊先である宿屋にむかって歩いていた。

宿屋の食事処で早めの夕食を取ってから闇狩りに赴くつもりだった。

賑やかな繁華街。

普段の生活とかけ離れた街の雰囲気は、若い姑蘇藍氏の弟子達にはとても魅力的だった。
己の意志で姑蘇藍氏に入門したとはいえ、興味をそそる物で溢れた外界。

皆、品行方正な態度で歩いていたが、時折、見廻る体を装って、ちらちらと周囲に目をやっている弟子たちの姿を振り返り、魏無羨は立ち止った。

「まだ時間がある。ここで自由行動にして、一刻(2時間)後、宿屋で集合にしよう」

そう提案する魏無羨に一瞬顔を輝かせた弟子達だったが、すぐに表情をひきしめた。

「いけません。依頼された闇狩りを終えていないのに遊興にふけるわけには参りません」

真面目な顔で返す藍思追に魏無羨が苦笑した。

「遊興しろとは言っていない。情報収集だ。依頼された時に聞いた話以外に街で事情を知っている者がいるかもしれない。もしかすると、有益な新しい話も聞けるかもしれない。
それには団体で行動するより、別れた方が効率がいい」

…なるほど。

魏無羨の話には説得力があった。

「2名以上で行動しろ。買い物は良いが、高額な偽物はつかませられるな。姑蘇藍氏の服を着ていて詐欺をしかける奴はいないかもしれないが、恐れを知らない旅商人もいる。口の上手い奴には注意しろ」

姑蘇藍氏は有名な仙門だった。おそらく旅人でも知らない者などいないほどに。
しかも今回仙督についた含光君のことで余計に知名度が上がったことだろう。

こうして姑蘇藍氏一門が街中を歩いているだけで、注目の的になっている。

姑蘇藍氏の弟子たちは、尊敬のまなざしを向けられて、それが例え、自分たちで無く、背景に含光君や藍宗主の評判があったとしても、誇らしく高揚した気分になっていた。

世の中には、そんな純粋で若い弟子達をカモにする輩もいるかもしれない。

厳しくしつけられているとはいえ、こういう経験は頭だけで身につくものでは無い。

魏無羨は、そんな考えで弟子達に忠告した。

魏無羨の言葉をどこまで深刻にとらえたのかは分からないが、真面目な弟子たちは「はい」と聞き分けの良い返事をしたのち、さっそく別行動をとるためにチーム分けを始めた。


「魏先輩はどうされるのですか?」

藍思追が聞いた。

「俺ももちろん情報収集に向う」

「本当に情報収集ですか?新しい酒を収集しに行くんじゃないですか?」

疑わしそうに聞く藍景儀に、魏無羨は「目的と手段は時によって同じこともある」と飄々と言い放った。

「じゃあ、そういうわけで、お前たちも真剣に楽しく情報収集して来いよ。また後でな」

そう藍思追と藍景儀に軽く手を振ると、魏無羨は真っ先に往来の人込みの中に消えていった。

その背を目で追った後、藍景儀は呆れたような顔で吐息をついた。

「思追、魏先輩に上手く言い含められたような気がしないか?」

尤もらしい事を弟子達に言いながら、とどのつまり、魏無羨が自由に街中を散策したいだけ。
旅商人たちの間で闇取引されている品や珍しい酒が目当てに見えてしまう。

信頼が無いわけでは無いし、昔の夷陵老祖の評判を鵜呑みにしているわけでも無い。
行動を共にするようになってから魏無羨のことを少し分かったような気がしていた藍景儀だった。

手の内を見せながらも、煙に巻くようにあっという間に相手を説得してしまう。
それでいて、自分の思う通りに行動する。
魏無羨が醸し出す雰囲気は、含光君や宗主の沢蕪君とはまた違った大きな存在感で人を魅了するものだった。

藍景儀は細かく深く思考することを得意としない性格だったため、自分が感じたことが間違っていないか、何気なく藍思追に尋ねただけのことだった。

藍思追は苦笑して軽く首を振った。


…あの人のことは他人がどうこう考えても図り切れない。
もし、分かる人がいるとしたら含光君様だけなのでは無いだろうか。

そんな思いで、藍思追は藍景儀を促すと自らも『情報収集』に赴いたのだった。


街はとても活気があった。

弟子達と別れた魏無羨は、一人街を散策していた。

時折、気になる物を売っている露店に行き、品を吟味しながら、店主に闇狩りに関して何か気になる情報は無いかと聞いた。

「ああ、近くの山の麓で屍が出るという話を聞いた」

カラクリ細工を売っていた露店の店主が言った。

精巧に作られた木製のカラクリ箱。
細工も精密だったが、しかけも複雑で魏無羨の興味をそそっていた。

魏無羨は小さなカラクリ箱を手にとってしかけを目で探しながら耳は店主の話に傾けた。

「どんな特徴があるか聞いてないか?」

「何体もいるという話だ。見た目は墓場から出てきた風。よく聞く屍と変わり無いらしい。だが、今まで聞いたことのある屍と違うところもある」

「違うところ?どんなところが違うんだ?」

魏無羨がカラクリ箱をまわしていた手を止めた。

「普通の屍や幽鬼の類に効力があった護符が効かないって話だ。家につけても、身につけていても近寄ってくる。払うことが出来ないって点だ」

「その話なら聞いた」

魏無羨が言った。

護符が効かない事はしばしば起こる。護符に間違いがあった場合。または、ただの屍や幽鬼だと思っていても、正体が違う場合だ。
魏無羨はこの依頼を聞いた時、使用したという護符を藍宗主の沢蕪君から見せてもらっていた為、それは本物で効力のあるものだと確認していた。ならば理由は後者なのだろう。

一見、屍に見えても、正体は別の魔性かもしれない。

または・・・。

「他にも気になる噂話を聞いた」

店主が周囲をあたりを警戒するように見回すと、魏無羨に近寄るように手招きした後、小声で続けた。

「じつは夷陵老祖が裏で操っている屍傀儡なんじゃないかと」

「は?」

魏無羨が怪訝な声を上げるのと同時に指先でカラクリ箱のしかけを開けた。

シャンという鈴の音と共にカラクリ箱の引き出しが一斉に開き、中から小さな美しい仙女の像が現れた。

「このカラクリ箱をこんな短時間で開けた客は、あんたが初めてだ」

思わず感嘆する主人の言葉にも魏無羨は何の感慨もわかずにカラクリ箱を元通りの形で陳列台の上に戻した。

「今の話だが、どうしてこの話に夷陵老祖が出てくる?」

魏無羨の問いに店主は小声で答えた。

「あんたも、あの有名な夷陵老祖のことを知ってるだろ?復活して生きていると。でも、十数年前にあったことや、最近起きた数々の仙界での事件も黒幕は違うやつの仕業だということだ。それに夷陵老祖は、今は雲深不知処で『監視』されているとも聞いた。もう悪さもしないって聞いていたが、今回の屍騒動に関わってるんじゃないかって言う奴もいるんだ」

店主は、目の前にいるのが、その夷陵老祖だということを露にも思っていないようだった。
魏無羨は苦笑して鼻を鳴らした。

「なぜ関わっていると?何か結び付ける点があるのか?」

「ああ」

店主が何かにおびえるように、さらに声を落として言った。

「この街の付近では無い山なんだが、某なにがしという豪商の私有地の木を折って盗んでいく奴を見たという話だ。意識の無い屍がなぜ木なぞ盗むんだ?おかしいだろ?誰かに操られている屍傀儡としか思えない。それで屍傀儡を操ると言ったら、夷陵老祖だ、と結びつけたんだろう」

「…木を折って盗む屍?」

魏無羨も初めて聞く話だった。

依頼に来た者たちからは無い情報だった。

…もしかして、屍たちは、複数でいる者と単独で行動しているものがいるのか?
そして、目撃情報が同じ時期でも、違う種類の者かもしれない。

魏無羨は瞬時にそう考えた。

折しも、魏無羨が弄んでいたカラクリ箱を近くで目にした人々が、カラクリ箱に興味を示して、店の商品を眺めに集まって来ていた。

店主はその客たちの相手に行き、魏無羨はその隙に露店をそっと離れた。

再び街の往来を歩きながら、魏無羨は思考を巡らせた。

…今回の闇狩りの対象は屍3体。だが、もし今の話が事実だとしたら、他にも複数いると用心したほうがいい。それにしても・・・。

魏無羨は小さなため息をついた。

…夷陵老祖の名前がまだ出てくるとは。ほとぼりも冷めてくるかと思ったが、そうは簡単に世間は忘れてくれないか。

十数年、語り継がれた悪評だった。

黒幕は違って、その正体も衝撃的な事実だったにも関わらず、
退屈しのぎに裏には裏があるのでは?と考える輩もいるのだろう。

…しかも、夷陵老祖が雲深不知処に監視されているだと?
全く、面白い想像をする奴もいるものだ。
まあ、仙督となった含光君と夷陵老祖がずっと一緒に行動していたと知れば、そう見えるのも仕方無いことだが。

魏無羨がそんなことを思いながら歩いていると、道角で小さな人だかりが出来ているのが見えた。

太鼓の音が聴こえる。

楽しげでよく響く魅惑的な音だった。

魏無羨は心惹かれて、その太鼓の音のする方に足を向けた。

そして人の垣根から、その中心を覗き込んだ。

一人の男が座って太鼓を叩いていた。

だが、ただ太鼓を演奏しているだけでは無い。
男の前にある小さな台の上で紙人形たちが動いていた。

男、女、動物、鳥などを描いた紙人形たちが、男の太鼓の音に合わせ、
ひらひらと舞ったり、くっつきあったりしている。

台の下には人の姿は無い。
紙人形を動かしているのは太鼓を演奏している男のようだった。

…なるほど。紙人形符のような仕組みか。ということは、この男は仙術使いか?
見たところ流しの旅芸人のようだが…。

魏無羨は、ひそかに座っている太鼓叩きの男を観察した。

座ってはいるが、長身のようで体格もいい若者。見た目の年の頃は魏無羨と同じくらい。
健康的な浅黒い肌、黒黒とした長髪は頭の後ろで紺色の帯によって1つに結われている。
彫りの深い顔立ちに、人好きするように柔和に細められた黒い瞳のアーモンド型の目。
両手首に黒玉の数珠。藍染の質素な木綿の衣服を身につけていたが、清潔感があり女性受けしそうな美丈夫。

魏無羨の見解が正しいと立証するように、人だかりの大半は若い女性だった。
その他は子連れの親。

太鼓の音色で勝手に動く紙人形を子どもたちは不思議そうに凝視していた。

見ていて、とても愉快な気持ちになってくる芸ではあったが、
魏無羨は何か少し物足りないと感じた。

ここに歌か、他の楽器の音があればもっと良いのに。

そう思ったとたん、考えるより先に体が動いた。

魏無羨は腰帯にさしていた笛の陳情を取り出すと、それを口にあてた。

そして、太鼓の音に合わせて笛を奏で始めた。

太鼓を叩いていた男が顔を上げて、魏無羨の方を見た。

太鼓と笛の音がぴったりと合わさって、台の上の紙人形たちの動きもより複雑になっていった。

見物人たちは歓声をあげ、その盛り上がった声で、さらに新しい見物人を次々に増やしていった。

太鼓叩きの男がフッと魏無羨に笑いかけた。
魏無羨は笛を吹きながら、微かに目で合図すると、男は誰もが知っている有名な流行り曲のリズムをとった。魏無羨も笛をそのリズムに合わせた。

やがて、見物人が道の往来の真ん中まで達するほど大だかりになった時、曲が終わった。

大喝采を浴びながら、太鼓叩きの男が見物客から銭を受け取るのを横目で見ながら、魏無羨はその場を離れた。

人だかりを出る寸前、魏無羨の方に目礼を投げかける男に気づき、魏無羨も笑みを返した。

楽しい気分でひと時を過ごした太鼓叩きと言葉を交わさなかったことを少し心残りに感じた魏無羨だったが、弟子たちとの待ち合わせ時刻がせまっていることに気づいて、足早に宿屋の方にむかった。

魏無羨が姑蘇藍氏の宿泊所である宿屋に着くと、そこには姑蘇藍氏の弟子達だけでなく、他の仙門の門下生の姿もあった。

ほとんどが、見覚えのある者たちばかり。

一行の中からいち早く魏無羨の姿を見つけた者が魏無羨に駆けよってきた。

「魏先輩!」

魏無羨の目の前で揖礼する若者に魏無羨は記憶の糸を手繰った。

「えっと、お前は…たしか」

「巴陵欧陽氏の欧陽子真です」

「あ、ああ。そうだったな」

思い出して頷く魏無羨に欧陽子真が嬉しそうな顔になった。

「我々も闇狩りの依頼を受けて、今夜はこの宿に泊まることになっています」

まだ何か話したそうな欧陽子真を手で制して、魏無羨が頷いた。

「分かった。話は後でしよう。まずは、姑蘇藍氏の者たちの点呼をとらせてくれ」

「点呼ならもう行いました。魏先輩が最後です」

目の周りに朱色の丸をつけた藍景儀が言った。

「…その顔、どこかで喧嘩の押し売りでもされたか?」

「違います。情報を教えてやるからゲームをしろと露店で言われて、負けたので紅で描かれただけです」

「あれほど、口の上手い奴に気をつけろと言ったのに」

「口はそれほどでしたが、ゲームは上手い奴でした」

藍思追から差し出された布で顔をふきながら、そう真面目に返す藍景儀に魏無羨は苦笑してため息をつくと、弟子達や、巴陵欧陽氏一行を促して宿屋の中に入った。

そして、それぞれ当てがわれた部屋に入り荷物を置くと、皆、宿屋の1階にある食堂に移動した。

食堂の椅子に座った魏無羨の食卓には藍思追と藍景儀。他2名の姑蘇藍氏の弟子達が腰を下ろし夕食を注文した。
その直列の食卓に姑蘇藍氏の他の弟子達が。
反対側の直列の食卓に、魏無羨の横に並ぶように欧陽子真たちが座った。
欧陽子真がいる闇狩りの一行は、10名。巴陵欧陽氏一門だけでなく、他の仙家の者も混ざっていた。

小さな仙家は、他の仙家と協力して闇狩りを行うことも珍しくない。

魏無羨が話を聞くと、彼らは姑蘇藍氏の依頼とは別の幽鬼退治の依頼を受けたということだった。
宿屋は同じだったが、闇狩りの場所は街はずれの商家だった。

皆の食事が終わるころ、欧陽子真がそわそわしながら魏無羨に声をかけてきた。

「魏先輩、またお会いできて嬉しいです」

「ああ、元気だったか?」

「はい。この通りです。魏先輩が雲深不知処でお暮しになっているというお噂を聞いていました。姑蘇藍氏に入門されたのですか?」

「いや、雲深不知処にはいるが、俺は客人だ」

「でも、姑蘇藍氏の門下生を率いているのはなぜですか?」

「俺は含光君の闇狩りの相棒だからだ。弟子たちの引率もする」

「なるほど。仙督の、含光君様がいらっしゃらない時に魏先輩が引率されているのですね。
含光君様も近々妻帯される身。婚姻式も仙督業もあって、ますますお忙しいことでしょう」

欧陽子真が頷いた。

茶を飲みながら、適度な相槌で、うんうん、と聞いていた魏無羨だったが、話の中にひっかかる言葉が聞こえたため、「ん?」と顔を上げた。

「今何か変なことを言わなかったか?」

そばにいて、二人のやりとりを聞いていた藍思追の顔色が変わった。

藍景儀は、口にいれたばかりの鶏肉を思わず丸呑みしそうになって激しくむせた。

「魏先輩が仙督様のかわりってことですか?」

「いや、その後」

「仙督様がお忙しくなるってことですか?」

「その前」

魏無羨は、とぼけているわけでなく、本当に分からないらしい欧陽子真に焦れて聞いた。

「妻帯とか、婚姻式とか何とか言わなかったか?」

「言いました」

欧陽子真が目をぱちくりさせながら答えた。

「含光君様が婚約者様と近々婚姻されるという話のことですか?」

「・・・・・・」

コトリ…。

魏無羨は手にしていた湯飲みをゆっくりと台の上に置いた。



(続く)


なぜ4コマ漫画で欧陽子真くんを描いたのか分かりました?(笑)
この小説のための伏線でもあります♪4コマ漫画はこちら
ドラマを覚えている方もいるかもしれませんが、二次小説で出した時に思い出しやすいといいかな?という気持ちがありました。(単に描いてみたい思いもありました)


「陳情令」二次小説の物語、まだ「起承転結」の「起」なんですが、文字数が多くなってます。
仕方ありません。原作の「魔道祖師」と異なり、ドラマ「陳情令」の魏無羨と藍忘機は、最後まで恋愛(BL)に関係性が発展していません。続きを妄想創作するなら展開設定しなくてはいけないので、どうしても話が長くなってしまいます。原作の小説を読んでいる上で、二次創作とはいえ、ドラマ版の物語を書くのはいささかプレッシャーでもあります。原作の二人が結ばれる流れを知っているので、それとは別で、設定も異なる魏無羨と藍忘機のドラマ最終回後の世界。みつば節ですが、それでも大丈夫という方は、最後までおつきあい下さると嬉しいです。

【拍手コメントレス】

二次小説読んで情景が浮かぶと言って頂けて嬉しいです。
創作中、みつばの頭の中で映像がはっきり浮かびます。実際にドラマを見ているかのように。
たぶん、萌えパワーが最高潮の時に脳内物質が見せるリアルな幻覚のような物かもしれませんが、
その現象が楽しくて二次小説が書けています。ただ、表現する言葉が上手く出てこない事があります。時々、それが難しいです。でも、みつばが脳内で見ている映像が二次小説読んだ人に伝わって、共有出来ていたら、創作物をブログで更新していて良かったと思います♪


二次小説読んで頂きありがとうございました♪
記事を気にいって頂けたら、
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先日、「陳情令」二次小説の次作を4話までアップする予定と書いたのですが、
4話分にまとめきれず5話になってしまいました。

キャラクター達が勝手にプロットと違うこと言い出したり、動き回ったりする現象(汗)

短編の時は、それで一気に書けるからいいけど、長編では辞めてほしい。と、脳内花畑に訴えたいです。

連日更新を目標にしていたのですが、5話までの1話ずつを数日間隔で更新するかもしれません。



【拍手コメントレス】

最近、「bjyx」と検索してしまうみつばです♪

「博君一肖」好きなのですが、この前「战(戦)山为王」映像を思わず見てしまい…。
やっぱり、自分が思っている受けと攻めが逆だと違和感が(汗)

(注釈)「博君一肖」(王一博さん×肖戦さん)に対して、「战(戦)山为王」は(肖戦さん×王一博さん)という意味です。

そして、さらになぜか「陳情令」の魏嬰×藍湛の映像もうっかり見てしまい。

やっぱり「違う…」と感じてしまいました。

受け、攻めの役割がはっきり決まっている「魔道祖師」はともかく「陳情令」に関しては、とくに受け、攻めはっきりさせてないのはあるのですが…。



「魔道祖師」のラジオドラマ。
ラジオと言ってますが、おそらくサンプル通りの有料アプリ配信だと思います。
音声に日本語翻訳がついて、1話にイメージイラストがついた音声ドラマ。
1話、いくら?だったとしたら、全話購入したら、いくらなのだろう?(汗)
もし、好きな話の部分だけ購入出来るとしたら「忘羨」と「香炉」はしたいです♪

日本の声優さんの吹き替え版がもし出来るとしたら…。
または、アニメ版が来て、日本語吹き替えが出来るとしたら。

藍湛と魏嬰は、どの声優さんにしてほしいか?

そんな話をいつもお世話になっている魔道祖師ファンのrさんとした時。

みつばが「日本だったら、この声優さんの声が藍湛のイメージです♪」と伝えたら、

「その声優さん、『受け』声の方ですよ」と教えてもらいました。


・・・自国のBL事情にすら疎いみつば(苦笑)


声優さんでも、よく『受け』の役をされている方の声だったが「攻め」で聞けないとかあるのかもしれません。

でも、よりにもよって、みつばの藍湛イメージの声が「受け」とは(汗)

みつばの中で「陳情令」藍湛は攻めですよ~。
BL描写に慣れてないので、今後、慣れた人が読むと「え?」という小説書いちゃうかもしれませんが、藍湛は攻め。魏嬰は受けです。

リバースしても変じゃないと考えたりしたことありましたが、
そういう映像を拝見して、やっぱりはっきりしました。
受け、攻めの逆(リバース)はみつばには無理でした♪

早く、藍湛と魏嬰のイチャラブ話を思いっきり書きたい…。

趣味で創作してるはずなのに、時々、どうして苦しんでいるんだろう?って思うこともあります←自分が読みたい物のプロットを作成しているけど、自分自身に書く能力が足りないから。


「陳情令」二次小説。構成が無事にできれば明日とりあえず1話更新予定です。

更新まで、あとしばらくお待ちください。


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「陳情令」の二次小説。
1話~2話だけでも先行更新と思いましたが、
4話まで一気にアップさせたいので、しばしお待ちください。
5話以降は、波乱づくめ(?)の展開になるので、長編小説の場合、伏線の台詞を入れ忘れると後で構成が難しくなっていくので慎重にしたいのです。。。


ずっと魏嬰は大活躍になります。というか、物語の主人公は魏嬰だった(笑)
今回の小説、基本、魏嬰目線で書き進んでます。
長編が完結したら、藍湛視点の短編小説も補足でアップ予定ですが。

…でも、ドラマ見ている時もそうでしたが、藍湛が出てこないエピソード書いていると、
藍湛はどこにいった?藍湛を出せ!と自分でも悶々とします。


小説書きながら、「陳情令」イメージの音楽や、役者さんたち、肖戦(魏嬰)さん、王一博(藍湛)さんの歌を聞いていたりします。とくに肖戦さんの歌声は本当に素敵です。王一博さんは歌と一緒にキレキレのダンスが素敵すぎて、動画を思わず魅入ってしまうので、小説書いている時は見られない(涙)

ドラマの魏嬰もすごくカッコいいのですが、藍湛といる時、雰囲気がいつも甘えた感じの話し方や言葉に見えます。可愛い仕草もしてます。あれは、江澄や仲間たちの前では見せない表情です。…リアルの「博君一肖」の肖戦さんといる王一博さんみたいな…♪←この件は妄想にとどめましょう。


リアルを追っかけするくらいのめりこんではいないのですが(←そう?)
今は藍湛×魏嬰の魏嬰も「博君一肖」も好きすぎて、映像を見たらおもわず


阿姨愛你!


(おばちゃんは、あなたを愛してます)

って、叫びたくなります。

…姐姐愛你。と言うにはおこがましいので(苦笑)


本当には叫ばないので(陳情令イベントに行けることがあったら叫ぶかも)今はその想いを妄想小説に込めます♪
萌え萌え二次小説の更新は、もう少しお待ちください。


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年始にどうしても見たいドラマがありました。

「きのう何食べた?」の正月スペシャル。




長子に番組表見せられ「これ、録画予約してきた?」と聞かれ、

しまった~!!してこなかった(汗)

なので、「これだけは見せてください!」と頼んで実家のテレビを貸してもらい、
ちびーず達を寝かしつけた後、長子と「きのう何食べた?」を観賞しました。

長子も「きのう何食べた?」が好きなんです。

「おっさんずラブ」といい、たまたまなんです。
みつばと好きなドラマがかぶっているのは。
決してBLドラマだから、という理由では無く、
お互いに、面白い!と思ったドラマが、たまたまBL風味なだけなんです。

それに「きのう何食べた?」は、ドラマ見ていたら設定とかなんとなく分かってきますが、
一見、BLだと気づかないみたいです。

原作を知らない知り合いが、主役の二人が『恋人』だって知らなかったとか言ってました。

仲良い男性二人が同居してる話だと。

それくらい、ほのぼのしていて、キスシーンもラブシーンもありません。

でも、すごくいいです♪

みつばは主演のお二人の役者さんが昔から大好きだったので、
このお二人が揃って出演されていることも嬉しいです。

シリーズの時も欠かさず見ていましたが、
今回のお正月スペシャルは、また凄く良かったです。

・シロさんの誕生日に傘をプレゼントするケンジの話。
・ジルベールと小日向さんの話。
・同棲していても、仕事が多忙すぎてなかなか会えないシロさんとケンジの話。

見ていて、泣きたくなるくらいジンとして素敵なお話でした。

とくに最後のオムライスの話。


↓ネタばれしてます。




帰れると言っていたシロさんが仕事で家に帰れなくなったと知ったケンジが、ヤケ飯のように、材料贅沢に使って大きなオムライスを作って食べようとしたら、フラフラのシロさんが一時帰宅してくる。

お腹のすいているシロさんとオムライスを分け合って食べるケンジ。

「すごく美味しいよ」とケンジの作った料理をほめながら、嬉しそうに食べるシロさん。

そんなシロさんの顔にケンジもとても幸せそうにオムライスを食べる。

このシーンがとても感動でした。

お互いを思いやって、
忙しくても、少しの時間でも。そういう時間を共有して、話をする。
好きな人と一緒にいて、たわいもない話をして、一緒に美味しいごはんを食べる。

恋人の関係だけじゃなくて、
このドラマは主役の二人を取り巻く、周囲の人々が皆暖かい。

子どもを想う親。親を想う子。同僚を気遣う人々。
知り合った人と一緒に食事したり、料理の材料を分け合ったり。

人との交流がとても丁寧に優しく描かれている、このドラマも原作も大好きなみつばです。
真面目(?)なシーンなんだけど、笑ってしまったのは、小日向さんがいろいろなタンクトップ姿で料理しているシーンが何度も出てきたところ。
かっこいいんだけど、これ、笑わせにいっている気が。

あと、たしか、攻め受けで言うと、実はケンジの方が攻めなんですよね?←誰に確認?
ドラマ中にシロさんが「俺、タチ(攻め)かネコ(受け)かで言ったら、ネコだけど…」って台詞があって。なので、この二人の関係ではケンジの方が攻めみたいですが。
でも、普段の生活とかの台詞だと逆に見えることも。

忙しいシロさんのいない家で、ケンジがシロさんのワイシャツにアイロンかけたり、ご飯を作ったり(普段はシロさんが作っている)しているところみたら、良妻だな~て、すごく感動しました。あんな妻が欲しい。←え?

見たら、とっても癒されて、幸せな気持ちになれるキャラクター達とドラマです。
1年に1回でも、半年に1回でも、スペシャルドラマ。また作成してもらったら嬉しいな♪


…日本の他に少し見た某BLドラマの方は、番外編も見たのですが・・・うーん…みつばの中で無かったことになって、見ていない録画も消してしまいました。役者さん達は好きな人いっぱいだったのに(汗)

ただ、前シリーズの映画版はまだ見ていないので、そっちはいつか絶対に見ようと思ってます♪



今回は、みつばが好きな日本のドラマの感想雑記でした。


【拍手コメントレス】

拍手コメントを送ってくださった「陳情令」ファンの方、今後ともよろしくお願いします。
いつまでも待てるという読者さんに甘えて4年ほどブログを休止している間に、さすがに数人の方くらいしかいなくなっている二次小説シリーズも抱えてますが(ごめんなさい)「陳情令」二次小説は、とりあえず、主役の二人が恋人関係になる話はしっかり完結させたいです。

萌えている時は、誰かに語りたいですよね。
現在、拍手コメントは非公開設定なので、みつば以外の方には見られないのですが、想いのたけを良かったら語ってくださいね。
大丈夫です。日本でも同志は増えてますが、世界にも熱い「陳情令」ファンの同志たちがいっぱいいます♪
「陳情令特別版」公開の時リアルタイムで見て、動画サイトで他国のファンの方々とコメント欄で盛り上がることも可能ですよ♪(みつばはリアルタイム視聴が難しいので、後でゆっくり見てます)


紹介して頂いた「魔道祖師」ファンの方が作成したイラスト動画見ました!ありがとうございます。
初めて見ましたが、凄く素敵でした!!切ない音楽も手書きのイラストに合っていて。
師姉とのエピソード。魏嬰の壮絶な前世。ずっと、控えめな立ち位置で魏嬰を見守り愛し続ける藍湛の姿。どのファン作品も素敵です。

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テーマ:ドラマ感想 - ジャンル:テレビ・ラジオ

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中国ドラマ「陳情令」の原作「魔道祖師」。

その小説本の表装が凄く綺麗で、みつばがとっても好きなのがこちら。






クリックすると商品紹介ページにとびますが、あくまで画像の紹介です。
購入等に関しては自己責任でお願いします。


1巻から4巻までの素敵なイラスト表紙も見られます。♪
ただ、この小説本は台湾版なので、繁体字版です。

絵師、千二百さんの藍湛と魏嬰の表紙イラストがとっても素敵なんです。

1巻のイラストは、最初、みつばは蔵書閣シーンだと思ってたんです。
でも、よく見ると茶器とかが置いてあるので、もしかして、同棲してる清室の二人?♪

2巻のイラストは、例の魏嬰が藍湛に芍薬の花を上から投げてよこすシーン。
これですよ。ほら、藍湛の頭の上に芍薬の花が乗ってるでしょ?
藍湛は女の子たちから沢山の花をもらってます。
でも、魏嬰からもらったこの芍薬の花だけを後生大事に押し花のしおりにするんですよ♪
ああ、けなげな魔道祖師の藍湛(涙)

3巻のイラストは、弓術大会のシーン。

4巻のイラストは、黒幕との最終決戦場。
そして、藍湛と魏嬰の恋が実るシーンです。




この表紙の小説本。たしか、韓国語版もあったような…。

だったら、日本語版が出る時も、この表紙だと嬉しいな…。
出版されるかな…。

商品紹介を読むと、番外編の小説もちゃんと掲載されているみたいですね。

「家宴」はあれで、「香炉編」はあれで、「朝暮」も分かるのですが、「悪友」は、あれかな?金様が出てくるやつだったかな?←魏嬰と藍湛が出てこない話はうろ覚え。

それにしても、番外編ってこれだけでした?

原作の番外編は同じタイトルの中にいろいろ話があるのでした?

あれ?みつばはもっと読んだような…。
まさか、以前読んだの二次小説の類じゃないよね?(汗)←大丈夫?

うーん。。。やっぱり「魔道祖師」の日本語翻訳版も上陸して欲しい。

ラジオドラマは日本語翻訳が確定しているみたいなので、そっちを聞けば、「魔道祖師」はほとんど分かるも同然なんですけど。
番外編のキスシーン、大人シーン台詞までしっかりと音声化されてますし♪(行為中は音楽が流れる演出(笑))


それにしても、「魔道祖師」の藍湛。

やっていることがまるで恋する純情な乙女のようです。

好きな人から戯れで受け取った花を押し花にするとか、好きな人が他の女からもらった香り袋を奪って自分の物にするとか、好きな人と同じ刻印を体に焼き付けちゃうとか(入れ墨みたいなもの?)好きな人の好きな酒をいくつも部屋に隠しておくとか。泥酔しているとはいえ、他人の家の木の実や鳥を盗んでプレゼントするとか。…純情かな?

けなげすぎる美人。

でも…、

むりやりファーストキス奪うとか、強引に添い寝させるとか。強引に抱っこするとか。
恋人になった後は、もう夜の営みは天天(毎日)ですから。天天…((笑))
やることはしっかり男の雄々しい「魔道祖師」の藍湛。…萌える♪


ああ、本当に、魔道祖師の二次小説だったら、今ごろ、思いっきり天天…な話ばかり妄想していただろう、みつば。←もうしてたよ。

「陳情令」の藍湛は、「魔道祖師」の藍湛とは違うところもあるけど、やっぱり藍湛は藍湛です。

仙子のように美しいし、綺麗だし。でも凄くかっこいいし。

仙人の年齢のとりかたが分からないけど、ドラマ設定でもたぶん30代半ば~30代後半のはずなんだけど、藍湛は永遠の20歳♪(撮影時の役者さん年齢と同じ)

公開されている「陳情令」スペシャルエディション版のドラマタイトルの画像が、「忘羨」なんだけど。藍湛の横顔を魏嬰が見つめているあの画像。

あれ?逆じゃないの?

藍湛の方が一瞬受けに見えちゃったのだけど(汗)

うーん、でも、受け攻めはともかく、
「陳情令」はそういうスタンスなのかな?

「魔道祖師」だと密かに藍湛が魏嬰をジッと見つめ続けているイメージなんだけど、
「陳情令」は、秘めた想いでうつむく藍湛を魏嬰がまっすぐな瞳で見つめている話ってこと?


そういう解釈でいいの?←ひとりごと。

でも、「陳情令」の藍湛も、みつばの中では絶対に「攻め」です!!
はい。決まり!

という…萌え萌え雑記を書いてますが、
二次小説も書き進めてます。。。


でも、「陳情令」の次作は長編なので、全部書いていると更新が数か月後になりそう。
本当は、長編は全部書いてから構成したいのだけど…。

【拍手コメントレス】

「陳情令」二次小説を楽しみにしてくださって本当に嬉しいです。

近くにもう話せる人が全くいないので、ブログ雑記で萌え心をぶつけるしかなくて。
韓国ドラマ話が出来た友人も義母も遠くに行ってしまったし、華流ドラマの話をできる人も近くで見つからないし(涙)

「陳情令」二次小説の次作。最後まで書けていませんが、どこで一旦更新するか悩み中。

本当は5話を一気にアップする予定でした。
でも、6話目が5話の続きなので、止めると、すっごくモヤモヤする所で一旦「陳情令」は長期休止しないといけなくなるんです。(他の二次小説を先にアップしたいので)

なので、今は又2話だけ(前後編)先行でアップするかな?と考えてはいるのですが、同じくらいモヤモヤする所で止まります(汗)

・・・結局、「陳情令」二次小説は話を最後まで更新しないと、どこで止まってもモヤモヤさせてしまうかも。
書いているみつばが、もうモヤモヤ続きで(苦笑)

あと、プロット状態だったので、なんとなく、なのですが、
この調子だと完結まで20話くらい…薄い単行本並みの文字量になりそう。

なので、申し訳ないですが、二次小説の合間に雑記か、「陳情令」記事が休止になる予定です。

これからの数か月はかなりリアルで忙しくなりそうで(想像しただけで怖い)
でも、今は創作したい気持ちがいっぱいなので、何とか時間は捻出したいです。
竜宮城に行って帰ってこれないということは無いように頑張ります。

手が動けなくても、せめて、「博君一肖」の王一博さんが肖戦さんを見つめている動画を見て萌え心を忘れないようにします♪←「陳情令」動画の藍湛と魏嬰じゃないの?


王一博さんと肖戦さんの2ショット映像、見ました?
やっぱり、そう思いますよね?みつばだけじゃないですよね?
いくら、撮影所のシーンで、二人でいるところを抜き出した映像にしても、イベント会場にしても、あんなに仲良さそうな共演者を今だかつて見たこと無いのですけど。。。そう思うのは、BLアンテナ持ってる腐女子乙女だけじゃないですよね?男女の共演者だったら、今頃「熱愛」報道出てるレベルのように見えます。
いいんです。現実は、原作(BL)を意識したファンサービスで演出の一部だって言われても、ドラマ見ている時と同じくらい、見たら幸せな気持ちになれた二人だから、みつばは、本当に感謝です♪

ちょっと今は、「博君一肖」をモヤモヤ二次小説書いているより、熱く語ってしまいます(笑)


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テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

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中国ドラマ「陳情令」の魏無羨と藍忘機の役者さん達について、
みつばの妄想花畑的に好きに語っている雑記です。

「博君一肖」、「bjyx」という言葉の意味を知っている方。
または、どんな雑記でも大丈夫♪読んだ後で文句言いません。という方のみ「続きを読む」からお入りください。
続きを読む

テーマ:中国ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

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今回は中国ドラマ「陳情令」記事なので、先に休み中に頂いたブログの拍手コメントのお返事をさせて頂きます。

【拍手コメントレス】

「検事プリンセス」ファンの方へ。

読者が最後の一人になっても検事プリンセスの二次小説は書くと言っていた通り、ブログに全部のプロットが公開できなくても、ブログを閉める前には最終回の話は更新予定です。でも、それは最終手段です。まだ健康であるなら、今年は「ゲレンデへ行こう」の完結と、長編シリーズの再開を目指します。ずっと待って頂いている方、感謝してます。

みっぷ~さん。
長い間、応援してくださって本当にありがとうございます。
もう駄目かな。ブログやめようかな。と弱気になっている時に、いつも励まして頂いて嬉しかったです。
とうとう長子がみつばの身長を抜くほどの年月がたってしまいました。
でも、まだ検事プリンセスの録画は消せません。今でもみつば大奥のナンバー1側室はイヌです♪←この話が分かるブログ読者の方はもうほとんどいないかも(汗)

「陳情令」ファンの方へ。

お休みの間に拍手コメントを送ってくださった方々、ありがとうございました。
「陳情令」二次小説、新作が書けたらアップしますね。


さて。雑記。

年末年始の夜。

1年の終わりを「忘羨」で過ごし、「忘羨」で迎えたみつばです。
今まで話を聞いてくれていた義母の代わりに義妹に「忘羨」話を熱く語ってしまいました。←迷惑。

帰省とはいえ、いつも通り、ちびーず達を先に寝かしつけた後、
スマホとpadで「陳情令」動画や、中国の年末歌謡祭のライブ配信動画や、「博君一肖」動画を見て、一人寂しく楽しく盛り上がってました。←長子と相方達はリビングテレビで日本のバラエティ番組を見て盛り上がっている。

「陳情令」ファンの方なら、もうご存じですよね?♪

現在、ドラマ「陳情令」The Untamedの特別編

スペシャルエディション版がネットで公式から動画配信始まってます♪
日本でも見られてます。日本語訳はありませんが、英語、中国語字幕で見られます。
オリジナル版とどう違うかというと、エピソード4まで視聴したみつばが簡単に説明します。

「陳情令特別版」のドラマは、いわば、

スペシャル


「忘羨」編集版♪


シーンやエピソードがかなりカットされて編集されたドラマ構成になってます。

オリジナルドラマでは、魏無羨が不夜天の崖から落ちていくシーンから始まり、そこから16年後の世界で、魏無羨が献舎されて蘇り、藍忘機と再会した後、再び昔の時代。魏無羨が江澄や師姉たちと姑蘇藍氏に学びに来たシーンから前世のエピソードが始まります。

しかし、「特別編」はエピソード1は、魏無羨と藍忘機の出会いから始まります。
エピソード1では、酒の取り合いで、魏無羨の酒甕を壊す藍忘機。藍忘機に酒を飲まし、魏無羨の部屋で二人で夜を明かし、罰を受け、冷泉に行くエピソード♪
エピソード2では、寒譚洞。エピソード3では天灯式。エピソード4では玄武洞。と、
魏無羨と藍忘機の物語を語るには重要なエピソードはしっかりまとめられてます。

もう、「陳情令」を一度ご覧になった方も、そうでない方も、「忘羨(藍忘機×魏無羨)」好きの方も、このスペシャルエディション版は必見です。

なぜなら、オリジナル版には無かった新シーンや新アングルシーンが、この特別版の各話の中にあるから♪
魏無羨と藍忘機の二人に焦点をあてて編集されているようで。
魏無羨と藍忘機の触れ合いのシーンが強調された作りに見えます。

なぜ、そう言い切るかというと、このドラマの主人公は魏無羨のはずなのですが、藍忘機以外の人間と触れ合ったり、会話しているエピソードは、ばっさばっさ切られているから。
魏無羨の温寧との出会いやエピソード。温情との会話。江澄とのシーン。

物語としては大事な他の人達の心情を映したエピソードや周囲の状況がほぼカットされているんです。
せめて、魏無羨と温寧との出会いとか玄武洞で使用する薬をどうやってもらったかのエピソードは入れようよ。と思ってしまったみつば。←温寧好き。

だけど、魏無羨と藍忘機の新シーンはいろいろ盛り込まれている。

見つめ合うシーンがちょっと長くなっていたり、新アングルになっていたり、新カットも入ってました。
一番おいしいシーンは、やっぱり、魏無羨の部屋で泥酔した藍忘機が魏無羨に抱かれるように寝台に寝かせられる新シーンでしょう♪何度もフラフラ歩く藍忘機に手を焼く魏無羨。魏無羨が離れる度に寝台から出てしまう藍忘機の姿に萌え!
寝かせられた後、顔をそむけてますが、藍忘機役の王一博さん。密かに笑ってますね♪←照れ笑い?

「陳情令特別編」は、「忘羨」目線のファンにはたまりません♪

いったいこの編集版はエピソード何話まであるのかな?
かなりエピソードやシーンがカットされた編集なので50話までは無さそうですが、
今後もおそらく続きそうです。これからも続々新シーンが見られるかもしれません。

「陳情令」を今まで全く見た事無い方も、前回見逃した方も、今年、日本上陸したら見るよって方も、特別編もお見逃しなくですよ。

今見ないと、オリジナル版のように期間限定公開でしばらくしたら見られなくなるかもしれない(汗)←ある動画サイトでは現在オリジナル版も全エピソード公開されているので見ようと思えば見られそうですが。日本語字幕ももしかしたらつけられる?(ぼそっ)

また、「陳情令」(魔道祖師)を見はじめようとしている方には、「特別版」は時間経過が分かりやすい編集かもしれません。
アニメ「魔道祖師」のように、過去と未来が交差するより、過去から順番に時間を追っていく方が物語が初心者にはわかりやすいかも。

そして、魏無羨と藍忘機の関係が深くなっていく過程も分かりやすいかも♪

今年、日本に上陸する「陳情令」はもちろんオリジナル版だと思いますが、特別版の新シーンも盛り込んでもらえたら嬉しい♪

オリジナルで好きだった萌えシーンもカットされていたところは残念でしたが、もう日本上陸してDVD購入するまで見られないと思っていたドラマ「陳情令」。

また、ドラマの魏無羨と藍忘機に会えて嬉しいみつばです(涙・・・)


年末に、藍忘機役、王一博さんと魏無羨役、肖戦さんがイベント行事で再び一緒の姿を見られた事も、「博君一肖」、「bjyx」押しのみつばには感涙でした。

それに、年末、それぞれの歌番組での歌とパフォーマンス姿。

ドラマでもリアルでも、キャラでも中の人でも、このコンビ、かっこ良すぎです。

「博君一肖」、「bjyx」の意味の説明や、
イベントの話は、語ると長くなるので、後日の雑記で♪


今年もまだまだ、みつばの中で「陳情令」祭りは終わりそうもありません。


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「みつばのたまて箱」妄想花畑主催「合同飲み会」のイメージイラスト。

みつばだけが盛り上がるイラストですみません。

ブログ内でみつばが二次小説書いている

「検事プリンセス」のイヌ×ヘリ
「陳情令(魔道祖師)」の藍湛(藍忘機)と魏嬰(魏無羨)

二組のカップルが飲み会をしたら?・・・



WとHイラスト00



こうなります(笑)


酒好きで酒豪の「受け(ヒロイン)」達と、かたや酒に弱い「攻め」の男たち♪

「攻め」の共通点。
ソ・イヌと藍湛。

酒の弱い「攻め」の男たちはドラマ中、泥酔してつぶれているシーンが2回ある。
受け(ヒロイン)に料理を作ってくれたり、つくしてくれるところ(魔道祖師の藍湛)
行き過ぎる受け(ヒロイン)をいさめたり、守ったりするところ。
むりやり強引キスかますところ(笑)(魔道祖師の藍湛)
相手をひそかに愛し続けていたところ♪

15年間、父親の無罪を立証するために生きた男(ソ・イヌ)。
16年間(13年間)、好きな人をひたすら待ち続けた男(藍湛)。


対する受け(ヒロイン)の共通点。
マ・ヘリと、魏嬰。


酒好きで、酒に強い「受け(ヒロイン)」たち、ドラマ中、よく酒を飲んでる♪
美形で、天才系。天真爛漫。異性に凄くもてそうな外見だけど、意外に「攻め」以外の人と恋愛経験無し。
自由奔放に見えるけど、とても繊細で思いやりのある優しい性格。
魏嬰のファーストキスの相手は藍湛(原作、魔道祖師の魏嬰)。ヘリの方もイヌ(?)


たぶん、ヘリも魏嬰も、みつばが理想とする「受け(ヒロイン)」キャラクターなのです。

そして、だからこそ、ドラマの続きの物語を創作してみたかった♪

完璧に見える受け(ヒロイン)だけど、恋愛値0の人達が、恋人が出来たら、
どういう風につきあって、どういう風にさらに成長していくんだろう?って。


公式設定で共通点は多いのですが、創作上に関しての共通点は、みつばが妄想で勝手に設定しているものもあります。二次創作なので、そのあたりは好みでカスタマイズ。

どっちの受け(ヒロイン)も、攻めも、ドラマも大好きなので、
妄想の中でも幸せになってほしい気持ちで二次創作続けたいです♪


★ブログご訪問ありがとうございました。
この記事は予約投稿です。
拍手コメントレスなどは遅くなりますが、ブログを再開しましたら、お返事させて頂きます。


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