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中国ドラマ「陳情令」、みつばの二次小説「寒い日に」(前編)です。

二次小説を読む注意点、コメント記入、「陳情令」の他の二次小説も
「陳情令」二次小説INDEXページからお願いします。


「陳情令」の登場人物・名称紹介のページはこちらから(名称、説明、更新しました)

とくに初めてこのブログにいらした方は注意点を一読してから
二次小説をお読みください。

「陳情令」は現時点、日本語翻訳未公開のドラマです。
原作「魔道祖師(作者):墨香銅臭」、アニメ「魔道祖師」をご存じない方。
これから見る予定の方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

二次小説はドラマ50話最終回後の話になります。
また、この小説にはBL(男同士の恋愛)描写があります。
そのあたりが受け入れられる方のみお読みください。


※この話は「魏嬰生日快乐」より後の話になります。



寒い日に(前編)



大気が冷え込んでいる。

その日の雲深不知処は、雪こそ降ってはいなかったが、とても寒かった。
そんな中、幼い阿湛(アチャン)は清室へと続く階段をのぼっていた。

かじかむ手も気にならない。

久しぶりに母に会えるのだ。

両手に抱えた雅正集を、早く母に読んで聞かせたい。
前に清室を訪れた時より、沢山字が読めるようになっている。

『阿湛、とても上手ですよ』

微笑みながらそう言って、
母はいつものように優しく頭を撫でてくれるだろうか。

「母上」

逸る気持ちを抑え、清室の門を開けると、
阿湛は白い息を吐きながら母を呼んだ。

しかし、返事が無い。

夕暮れ時、日が早く沈む晩秋、清室の敷地も薄暗くなっている。
しかし、門の所以外、部屋の中にも灯がついていない。

「母上?」

シンっとした清室の敷地内で、幼い阿湛の小さな声が響く。

阿湛は、心細げに周囲を見まわしながら、清室に近づいて行った。


「どこにいらっしゃいますか?母上?」

薄暗い中、寒い空気が余計に阿湛の不安を煽った。

世界の中で、阿湛だけが雲深不知処の中に残されたような、そんな孤独感が、
阿湛の体だけでなく、心にまで冷気を送り込んでくる。

心細さで清室の前で立ち尽くした阿湛の耳に、
どこからか、かすかに物音が聞こえた。

カサカサカサ・・・。

地面を枯葉がこするような音。

その物音は、清室の裏庭からしている。

「母上・・・?」

阿湛は、恐る恐る音のする方に歩いて行った。

そして、裏庭へと続く、清室の角を曲がって、そこに目をむけた阿湛は・・・。



「……」

カサカサカサ・・・。

清室の寝台の上で目を覚まし、意識を戻した藍忘機の耳に、
夢の中でもしていた物音が続いていた。

寝台横の障子窓がぼんやりと明るくなっている。


藍忘機は、夢の中で、自分が幼い時の記憶を見ていたことを知った。

かつて藍忘機の母が住んでいて、寝泊りしていた清室は藍忘機の私邸になり、
寝台も、藍忘機の寝所になっている。

そして、今、その寝所を使用しているのは藍忘機だけではない。

藍忘機の現実はそう認識していたはずだったのだが。

「…魏嬰?」

藍忘機は寝所の中にあるはずの温もりが無いことに気づいて、上半身を起こした。

共に眠っていたはずの魏無羨の姿が無い。

恋人になってから、朝に藍忘機が目を覚ました時、魏無羨は必ず横にいた。

藍忘機の腰に手をまわして、抱きつくように眠っているか、
藍忘機の腕を枕にして大の字で眠っているか。

目覚めたとき、
魏無羨の気持ち良さげな寝顔を見て、その温もりを感じるのが藍忘機の日課の始まりだった。

今は、その姿は見えず、横の空間にはひんやりとした敷布の冷たさがあった。

…魏嬰、どこにいる?

藍忘機は、夢の中で、母の姿を探し、彷徨っていた記憶を引きずっているような思いで寝所を出ると、上着を羽織った。

上着を着ても底冷えする空気が藍忘機を取り巻いた。

清室の外から、物音は続いていて、人の気配も感じる。

藍忘機の私邸、清室の中には、他人は入り込めない。
魏無羨以外は。

藍忘機は、清室の濡れ縁に続く引き戸を開けて外を見た。

清室の庭。
そこで、落ちた枯葉を箒で掃き集めている魏無羨の背姿を目にした藍忘機はそっと安堵の吐息を心の中でついた。

「魏嬰」

藍忘機の声に魏無羨が振り向いた。

そして、藍忘機を見ると手に持っていた竹帚を大きく振った。

「藍湛、おはよう」

魏無羨に屈託のない明るい笑顔を向けられた藍忘機は、つい先ほどまで感じていた寒さを忘れた。

「私は寝過ごしたか?」

思わずそう問う藍忘機に、魏無羨が朗らかに笑った。

「いや。俺が早く起きただけだ。起きたついでに厠に行ったら、この寒さだろ。
すっかり目が覚めてしまって、こうして体を動かしていた」

魏無羨は箒を刀のような持ち方で振り回した。

「で、ついでに、庭も清めてた」

庭に、落ち葉の小山がところどころに点在していた。

藍忘機は清室から出ると、納屋から箒と麻袋を取り出し、それを手に魏無羨の方に歩いて行った。

「藍湛、これらの落ち葉はどうする?」

「菜園の腐葉土にする」

「わかった。その袋に集めればいいんだな」

魏無羨はうなずくと、藍忘機の広げた麻袋の中に落葉を入れはじめた。

「うーん。これが姑蘇藍氏名物のあの薬草スープの素を育てる栄養になるわけだな」

魏無羨が苦笑した。

姑蘇藍氏の食堂で、毎回の食事に必ず出る苦い香草のスープ。
その香草は、雲深不知処の菜園で育てられている植物だった。
魏無羨は雲深不知処に来るまで、それは薬用として毒消しの効果はあっても常食するものでは無いと思っていた。

一度、こっそりと魏無羨好みの香辛料を加えて飲んでみたこともあったが、
かえって、強烈な苦さを増しただけの試練物に成り果ててしまっていた。


「せめて俺が集めた恩を感じて、お前たちはいい土になり甘い草を育ててくれ」

魏無羨が、そう呪文のように言いながら、落葉を手ですくった。

そして、その落葉を袋の中に入れようとしたとき、
袋を持っていた藍忘機が、心ここにあらずという顔で立っていることに気づいた。


「藍湛?」

藍忘機がこのようにぼんやりとした表情をするのは、酒を口にした時以外あまり見たことの無かった魏無羨は不思議そうに藍忘機の顔の前に手をひらひらさせた。

「藍湛?どうした?」

魏無羨の再度の問いかけにハッとしたように藍忘機が意識を戻した。

そして、珍しく当惑したような顔を魏無羨に向けた。

「思い出したことがあった」

「思い出したこと?何?」

魏無羨の問いに藍忘機は、少しためらった後、

「魏嬰と同じことを話していた」と言った。

「俺と同じこと?」

きょとんとした魏無羨が首をかしげた。

「誰が俺と同じことを言ったんだ?」

「・・・母だ」

藍忘機が答えた。

「藍湛のお母さん?」

藍忘機が頷いた。

そして、腰を落とし、落葉を手ですくうとそれにジッと目を落とした。


まだ藍忘機の母、青蘅夫人が清室にいた頃。

落葉を集めていた青蘅夫人を、当時、『阿湛』と呼ばれていた幼い藍忘機が手伝ったことがあった。

『この落葉は腐葉土にして、雲深不知処の畑で肥やしになるそうよ』

青蘅夫人がそう言った。

「肥やしとは、栄養のことですね」

そう言った阿湛に青蘅夫人は嬉しそうに頷いた。

「よく知ってますね。阿湛」

阿湛は母の言葉に誇らしい気持ちになった。

「阿湛は、毎日、薬草スープを飲んでますね。あの草の栄養になるのです。阿湛はあのスープが好きですか?」

阿湛は、母の言葉に頷くことも首を振ることも出来なかった。

とても体に良い物だから、と聞かされて、ずっと飲んでいた為慣れてはいたが、
「好きか?」と問われると素直に答えることは出来ない。

「・・・『妙薬は口に苦し』と聞きました」

「そうですね」

阿湛の答えに青蘅夫人は楽しそうにコロコロと笑った。

姑蘇藍氏の中で、このように朗らかな笑い声を聞くことが滅多に無い阿湛は、母が笑うのを好ましく思った。

「私も何度か口にしたことがあります。小さなあなたが、しっかり飲んでいることにとても感心します」

青蘅夫人が言って、阿湛の頭を優しく撫でた。


…今になって思い返せば・・・

藍忘機はそっと吐息をついた。

「母の言葉から察するに、母は姑蘇藍氏の薬草スープが苦手だったのだろう」

「へえ」

藍忘機の話を聞きながら落葉を袋に入れていた魏無羨は、興味深げに目を大きく開いた。

「俺、藍湛のお母さんと気が合いそう。俺もあのスープは苦手だ」

魏無羨の言葉に藍忘機は更に伏目になった。

「母は魏無羨と同じようなことを口にした」


落葉を袋に入れながら、藍忘機の母、青蘅夫人は言っていた。

『阿湛が口にする野菜の為にいい土になるのですよ。栄養がいっぱいの甘いスープになりますように。』


「そうか・・・」


ぽつぽつと話し終えた藍忘機に、魏無羨が優しい顔で頷いた。

「藍湛のお母さんは、藍湛をとても愛していたんだな」


幼い藍忘機の健康を祈りながら落葉を集めていた青蘅夫人。

藍忘機の兄、藍曦臣に話を聞いていた人だったが、こうして藍忘機の口から聞いたのは初めての魏無羨だった。

少年期、酒を飲ませた藍忘機と魏無羨が話をした時『私に母はいない』と語っていた藍忘機。

後に藍曦臣の話から、母親との最後の記憶は藍忘機にとって思い出したくないほど辛いものだったことを悟った魏無羨。

しかし・・・。


「なぜ、笑っている?」

藍忘機が、ひそかに一人笑いを浮かべている魏無羨に気づいて、訝しげに聞いた。

「いや。嬉しくて」

魏無羨が口元を隠すように拳を添えながら答えた。

「何がだ?」

ますます訝しげに眉をひそめる藍忘機に魏無羨は拳を外して微笑んだ。

「藍湛がお母さんのことを俺に話してくれたこと」

嬉しくて、つい笑みがこぼれてしまった。

辛い記憶だけでは無かった。
藍忘機の中には、藍忘機を愛してくれた母親の記憶がしっかり残っていた。
そのことも、嬉しい。

「藍湛の話が聞けて良かった。やっぱり早起きは3文の得って言うのは本当だったんだな。藍湛の話には3文以上の価値があった。」

「では、明日からも早起きを続けなさい」

照れくさい気持ちを隠すような、藍忘機のそっけない言葉が魏無羨に返ってきた。
藍忘機の耳朶がかすかに薄紅色に染まっている。

「へへっ」

魏無羨は返事の代わりに藍忘機の横顔に笑顔を向けると、落葉を袋の中に入れる作業を続けた。


やがて、大きな麻袋10つ分の落葉が集まった。

「じゃあ、俺、これらを菜園に届けてから闇狩りに行く」

魏無羨が、よっこらしょっと袋を担いだ。
しかし、6つ目の袋を持とうとした時、その重みに足をよろけさせた。

「うわっ」

「魏嬰」

とっさに手を出し、よろけた魏無羨の体を支えると、藍忘機は魏無羨の担いだ麻袋を全部下ろさせた。

「これは私が後で菜園に持っていく。君は食堂で朝食を食べてから闇狩りに向いなさい」

「いや、でも。これ全部は重い。俺も運ぶよ」

そう言う魏無羨に、藍忘機は10つの麻袋すべてを軽々と担ぎ上げて見せた。

「問題ない」

まるで担いだ麻袋の中に空気しか入っていないかのような藍忘機の涼やかなたたずまいに魏無羨は感心して口笛を吹いた。

「さすが含光君。じゃあ、お言葉に甘えて任せた」

藍忘機が頷いて、麻袋を地面に下した。

「魏無羨、闇狩りは気をつけて行きなさい」

「うん。今日は、何かが起きそうな予感がする」

「どんな予感だ?」

魏無羨を案じるような表情を浮かべた藍忘機に魏無羨が振り返って朗らかに笑って見せた。

「心配しなくていいよ、藍湛。俺の早起きパワーを存分に発揮出来そうだって思っただけだ。
じゃあ、行ってくる。藍湛もお勤め、頑張って」

こくりと頷く藍忘機の顔を見て、再び笑いかけ手を振った後、魏無羨は清室から出て行った。

藍忘機は魏無羨の背中が見えなくなるまで見送った後、仙督勤めの準備をする為に清室の中に戻って行った。

それから、数刻後のこと。

雲深不知処内の執務室で業務をこなしていた藍忘機の元に藍思追と藍景儀が訪れた。

急用で駆け付けたように二人とも少し息が切れている。

藍思追と藍景儀は、今日は魏無羨と共に同じ闇狩りに行っていたはずだった。
しかし、魏無羨が率いていた闇狩りの一行はまだ全員戻って来てはいない。

胸騒ぎを抑えて、藍忘機は「何事?」と平静な声で二人に問うた。

「魏先輩から含光君をお呼びするように、お願いされました」

藍思追が言った。

「なぜ信号灯を上げなかった?」

闇狩りで助けが必要な時はその仙門の信号灯を上げる手はずになっていた。

「闇狩りで何かあったのか?」

「いえ、今回の闇狩りは滞りなく行いました。ただ、魏先輩が足を少し怪我されましたが」

藍景儀の言葉に藍忘機が表情にこそ出さなかったが、弟子の藍思追にはわかるような動揺を見せた。

「どのような怪我なのだ?」

「ほんの少し、かすり傷程度です。魏先輩は何も心配ないとおっしゃってました。
それに、闇狩りは完了しているから信号灯は打ち上げなくて良いともおっしゃってました。」

「・・・・・・」

闇の者との闘いにおいて出来た傷は、見た目はかすり傷程度でも、魔の影響を多分に受けることもある。呪いや毒。知らずに放置すると全身に広がって、取り返しがつかないこともある。

憂慮している藍忘機の深刻な顔を見て、藍思追と藍景儀は当惑したように顔を見合わせた。
藍思追が懐から取り出した物を藍忘機に差し出した。

「魏先輩から、これを含光君様にお渡しするように、言付かりました」

それは魏無羨の紙人形符だった。

藍忘機が魏無羨の紙人形に触れると、込められていた思念話が藍忘機の脳裏に響いた。

『藍湛、外せない用事がある時は、この紙人形を破棄して、二人を俺のところに戻してくれ。もし、1刻ほど時間がとれそうなら、二人と一緒に俺のところに来てほしい』

思念話を聞き終えた直後、藍忘機はすぐさま己の仙剣を取ると部屋を出た。

「含光君様?」

藍思追と藍景儀は慌てて藍忘機の後を追った。

「どうしたのですか?魏先輩は何と?」

この様子では、今まで共にいたはずの藍思追も藍景儀も、魏無羨が藍忘機を呼ぶ理由を知らされずに使いに出されたのだろう。

後ろの弟子の問いかけに答えず、藍忘機はただ「魏無羨の居場所に案内しなさい」と言って、足を止めなかった。


…君のこと以外で、私に外せない用事など無い。

そう、心の中で魏無羨の思念話に答えると、藍忘機は唇を引き結んだ。

そして雲深不知処の結界を出た後、仙剣で藍思追の示す方向に勢いよく飛び立った。


(続く)


今回の二次小説は藍忘機目線で書いてます。
阿湛は、藍忘機(藍湛)の幼名です。

シリーズ話では、魏嬰と藍湛の二人が恋人関係になっている時期の話になります。

拍手、拍手コメント送ってくださった方、ありがとうございます!

二次小説読んで頂きありがとうございました♪
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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