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みつばのたまて箱で、ここ最近創作した二次小説のINDEXを更新しました。


「検事プリンセス」INDEX2

・聖夜の祈り17話~最終結 あとがき

「検事プリンセス」夢小説INDEX

・甘い指先

「キング~Two heart」

・君のためのラブソング 前編 後編


「聖夜の祈り」が完結したことが一番です。
もう悔いはありません(涙・・・)←物語自体は全然完結してないのでここでブログを辞めると悔いだらけになる。

「聖夜の祈り」の後は、番外編の「MISS YOU」になりますが、
シリアス系なので、息抜きに、短編ラブコメ話を更新するかも?です。
もちろん、イヌ×ヘリの♪
「恋人としたい33のこと2」も完結話がまだですね(汗)

「キング~Two heart」の二次小説の次回は
「片靴のシンデレラ」(中編)予定です。←何年も前から言ってるけど。
すごく書きたいのに、書くのにエネルギーが多く必要な話で時間かかってます(汗)

「デュエリスト」は、第一話の話も公開してませんが、
こちらは構成次第で♪←みつばの場合、この「構成」っていうのがくせもの。


今年は(もう半分すぎた)は体調良くて、時間にも余裕があると思うので、
創作できるだけ続けたいな♪来年の話をすると鬼が笑いそうだから(汗)


中国ドラマ「假凤虚凰」のカテゴリ作っちゃいました。

言語が半分も分からないのに、こんなにはまると思ってなかったのですが(汗)
そして、日本ではまだ翻訳未公開のドラマですよね。たぶん。
華流ドラマ。すごく面白そうなドラマがいっぱいあるのに、日本でDVD化するのは
ほんの一部なんですよね。しかも高い(涙)

このドラマは、話も面白かったのですが、
みつばは特に、女装男子の姫(本当は皇子)にズブズブと堕ちちゃいまして。

はまるドラマに毎回言ってますが。最初は「好みのタイプじゃないんだけど…」な
“イケメン”さんに、見れば見るほど、はまるマジックってなんなんでしょう?
演技に魅せられてるんですよね。ほとんどは。

でも、この女装皇子「苏域」役の男優さんの素のお姿の画像見たら、

「あ、みつばの好みのお顔!」でした(笑)

ぱっちりお目目。綺麗なお肌。キュートで色気のあるイケメンさんでした♪
素顔の方が、女の子のように可愛くて綺麗。

・・・ドラマでは、あの化粧と女装姿のインパクトが凄くて(苦笑)

でも、甲冑姿は凛々しくて、武闘シーンはかっこよくて♪

笑ったり、怒ったり、おどけたり、意地悪そうな顔したり、かと思ったら甘~い顔になったり♪。
涙ぐんだ顔、悲しげな顔も、目が離せないくらいせつない!!
くるくる変わる表情の演技がすっごく素敵で。

それで、それで、キスの演技が、もう~~~!!!←もう何?(笑)



一応「假凤虚凰」カテゴリ作りましたが、
更新しても、ドラマ感想とかイラストくらいです♪(たぶん)

好きな人(妄想世界でも)がいる時っていいです♪
毎日、わくわくドキドキ。
年齢が数歳若返る感じで(笑)




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雑記でも書いたのですが、今年のみつばのマイブームは、
女装男子、乙女男のドラマ!
たまたま、好きな役者さん達が出ていて、
面白かったドラマが、そういう感じだったのですが(汗)

日本のドラマで多かったので、
もしかして、ドラマ業界もそういうブーム(ニーズ)?とか考えちゃいました。

しかし、海外のドラマでも思わず深みにはまってしまったんです。

今日は、その感想雑記をハイテンションで!←本当にハイテンションで。
興味の無い方はスルーで。
また、もしドラマ自体を後で見る予定の方は、ネタバレ多数あるので、ご注意ください。



中国ドラマ「假凤虚凰」(漢字でる?)

・・・なんて読むのかも分かりせん(汗)

動画サイトで、何かのはずみで中国では無い国の方のファンの方がつくられたMVを見てしまったんです。

それで、最初は「なんだこれは!?」な衝撃をうけて。

時代物で、なんとなく、見ていてどこかの国(中国)の姫と皇子の映像ではあったのですが、
この姫が、長身でごっつい体型の女装男で、皇子の恰好してるけど、どうみても女性との恋愛ドラマっぽい。

女装男子のこの姫の女装姿が、最初見た時、おもわずあんぐり口を開けてしまいそうになるくらいだったんです。

「女子的生活」とか「海月姫」に出ていたような美女な女装じゃないんです。
かといって、「おっさんずラブ」の乙女おじさんの部長みたいなナチュラルでも無いんです。

化粧していて、真っ赤な口紅に、紅色のアイシャドー。
短いショートムービーの中でも、演技が凄くて、「乙女」な仕草をしながらも、
ある場面では、りりしい甲冑姿で剣を優雅に振り回して戦う「漢」←漢と書いておとこ(笑)

ギャップが凄い分、魅かれる惹かれる!←みつば、ハイテンション!(笑)

目が離せなくなって、これは何てドラマなんだ?と思わず調べてしまいました。

それで、中国のドラマで1話30分くらい、シーズン3(1シーズン12話)で完結する「假凤虚凰」ってドラマだと知ったんです。
・・・中国語分からないけど思わず全部見ちゃった。

こちらは、その原作小説なのかな?読めないけど、面白そう。







ドラマの画像を見たい方は、「假凤虚凰」(画像)で検索して見てみてください。
素敵な女装皇子と男装姫が見られます。

それで、中国語が分からないけど、演技とか見ているうちにいくつか分かってきた言葉で(外国語ってこうやって学ぶのか(笑))、みつばなりのあらすじと感想書きますね。

基本めちゃくちゃラブコメディなんです。

姫として育てられた男と、皇子として育てられた女の政略結婚から始まる恋の物語。
シーズン1、最初の方は、見た目に違和感ありまくりました。
結婚式シーンがまたすごくて(苦笑)

恋愛ドラマにありがちの、出会いの印象は最悪!から始まります。

お互い、「こいつ男(女)なんじゃないの?」と疑いますが、巧妙に女装、男装していて。
女装している方は、にせものの胸をつくってるし、男装の方は、胸が小さくなるという秘薬を飲んで、誤魔化してます(笑)おそるべし秘薬。

一緒な寝所だけど何もしないので、下の方は気づかない(らしい)(笑)

それでも周囲に違和感ありまくりの夫婦←まわりも何故気づかない(笑)

お互い、最初はいがみあっていて、特に嫁にやられた女装男子は、夫(男装女子)が気にいらない風。
何、このナヨナヨ男は?って感じで。
何かと、性格悪い女並みにいびったり、からかったりしてます。この演技も凄いの♪

しかし、いろいろあって(これもお約束ね)だんだん、お互いのこと見直してきたり、
そして、密かに、相手が実は男(女)だという証拠も知ってしまう。でも黙ってる。

相手が異性だと分かって、感情にもさらに変化が。

女装男子は、夫をさりげなくかばったり、相手を女として意識しはじめて、逞しい男の部分が出てくるし、男装女子の方は、妻が男だと分かったから、無意識に頼りにしはじめたり、接近するとドキドキし始めたり。

赤い口紅つけた女装男子が男装女子に壁ドンのシーンもあるんですよ。ときめきます♪(笑)

なんか、いい~感じになってくる二人なんですが、事件が勃発。
戦争(?)内乱(?)が起きて、場面は戦場に。

戦いに出るのは、甲冑に身を包んだ女装男子。
これがまた「惚れちゃう」くらいかっこいい!武術もすごすぎ、指揮姿もかっこいい。
完全に、「漢」!←だから漢と書いておとこ。

夫(男装女子)は、妻(女装男子)の無事を祈りながら陣営でお留守番。

それで・・・ちょっと関係の方が、言語が読み切れなくて、はっきりとは分からないのですが、女装男子には、昔別れさせられた「恋人」?みたいな男性がいるんです。
その男性は、女装男子をずっと想っているようで、配下みたいな立ち位置で、見守ってたりしてるんですよね。

だんだんと、ドラマの流れは、その男性と男装女子と女装男子の三角関係のように。

シーズン1で、女装男子の身代わりとなって、かばって重症を負う男性の件がきっかけで、
いい感じになっていた夫婦の間に溝が・・・?
そして、お互いが男だと、女だと、はっきり確信。
そこで、シーズン1終わり。うわーっ!めっちゃ気になるところで終わるし!
続きどうなるの!?って。いう感じで、みつばはますますはまっちゃった次第。

そして、シーズン2は、さらにいいです!!

いきなり、女装男子が、戦闘で死亡したかも?という知らせを受けるところから始まるシーズン2。

そこで、男装女子が、自分が相手をすごく好きになっていたことに気付くんですよね(たぶん)
やもたてもたまらずに、戦地に赴き、女装男子の姿を探す男装女子。
部下もいなくて、一人で敵に囲まれ、危機一髪!っ。

そこに、ささっと敵を倒して、颯爽と、ワイヤーアクションで(笑)上から現れた妻(女装男子)の無事の姿に、男装女子、思わずかけよって抱きしめます。微笑んで抱きしめ返す女装男子。

良かったね。キュンってするシーン♪

そこでね。そこでね。←どこまでネタバレする。


女装男子が男装女子に、
世界各国、乙女どもがさらにキュンキュンする台詞を言うんですよ!


「我愛你」って!

これは聞いても見ても、意味は分かるみつば(笑)

ついに「愛してる」って告白。

うわっ。このタイミングで、この場面でそれ言っちゃう!?
かっこいいよ。かっこよすぎ、女装男子!

男装女子の方も「私も」って言ったかどうかは分からないのだけど(汗)

それで、お互い、どうして女装してたのか、男装してたのか。と
打ち明けて。

こうして、波乱の展開から、一気に甘~い両想い(?)になった逆転夫婦なんですが。
(たぶん、ある国の王と王妃)

基本コメディで、でもシリアスな展開や、悲しいシーンもあり。

微妙な三角関係もあって、でも絆と愛を深めていく二人が、ついに・・・のシーンは必見!

良かった(涙)
本当に、素敵でした(はあ~)

女装男子の王妃を演じてる男優さんの演技がすごい。
キスシーンも素敵なんですが、ラブシーンが本当に綺麗。

なんというか、男性の逞しさと、女性の優美さをあわせもったラブシーンの所作に、
クラクラするほどでした。
最初は苦笑してたんだけど、だんだん「男」になっていっても、
時々、乙女なしぐさが出ちゃうところがとっても可愛く見えてくるし(笑)

あと、映像が綺麗なんですよね。
ファッションとか、装飾とか。建物とか。景色とか。色づかいのコントラスト。

見てるだけでうっとりします。

シーズン2で、夫婦としての絆を結んだ二人…だったのですが、
またまたシリアス波乱の展開が…!?で、シーズン3に。

どうなる!?男女逆転夫婦。
これ以上はネタバレしません。

感動の結末は、最新ドラマを配信する動画サイトでご覧ください♪
有料でも、日本語字幕は出ないかもですが(汗)

このドラマ。
もう、日本で、日本語字幕でDVD出たら、手元に置きたいくらい好きかも。

みつばと同じように
「女子的生活」
「海月姫」
「おっさんずラブ」にはまった方がいらっしゃったら、
もしかしたら、このドラマも好きかもしれません。おすすめです♪
・・・中国語が分からなくても、だいたいストーリー分かる感じで。


という、本日は、みつばがはまった中国ドラマに関する雑記でした。


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ずーっと見たいな~と気になっていた韓国ドラマ
「ハートレスシティ」-無情都市―をようやく見られました♪








テレビ放送の録画をためにためまくって(汗)

今回は、その感想雑記になります。

ドラマのネタバレが多く含まれるので、未視聴の方、これから見る方は気をつけてください





簡単にどんな話かというと、
警察の特捜部VS麻薬組織、そして、潜入捜査官と麻薬売人グループの人間たちと友情、兄弟愛、恋・・・。


麻薬売人組織で「博士の息子」と呼ばれている謎のボスは潜入捜査官だった。
自分の母親を死に追いつめた人間と組織に復讐するために潜入捜査を続ける男。

男には子どもの時施設で親しくしていた幼馴染の女性がいた。
女性は警官となってから「博士の息子」を捜査していたが、その正体が幼馴染だとは知らない。

そして、二人が衝撃の再会の中で、警官の女性は狙撃され亡くなってしまう。
婚約者だった刑事は犯人を「博士の息子」だと思いこみ捜査を続ける。
さらに、女性が妹のように可愛がって一緒に暮らしていた女性も又、警官になって、姉の復讐のために潜入捜査官として麻薬売人グループに入り込む。

そんな中で、偶然出会ってしまった「博士の息子」と警官の女性。
会うたびに惹かれあい、お互いの正体を知らずに結ばれる二人の恋の行方は・・・。

陰謀、裏切り。真犯人。潜入捜査。一体誰が黒幕なのか?
幼馴染、婚約者、姉を撃った犯人は誰なのか?
ハードボイルドの中で、サスペンス的な要素も絡んで。

みつばの大好物な設定なんです♪


・・・で、見ている時は、「続きが早くみたい!」って、のりのりだったのですが、
ラストまで見ると。


・・・うん。黒幕、そのままだったね(苦笑)
・・・うん。「博士の息子」が交流していたアチラ側の人間のほとんどがサヨナラするのは予想出来た(汗)
・・・ハードボイルドの映像。怖かったけど、緊迫感があまり無いシーンが多かったかな。とか。

ボコボコにやられて、頭から顔から血だらけなのに、次のシーンではお顔がとても綺麗だったり。←時間経過?

めっちゃ、やられて、何発か撃たれているのに、ふつうに座ったり、歩いたり、酒飲んでいたりとか。←自然治癒能力高い?

ちょっとリアリティに欠けたところが。
見どころそこじゃないからかな?


潜入捜査官「博士の息子」シヒョンと潜入捜査官スミンのお互い正体を知らずに落ちる恋。
事件と「博士の息子」と追う刑事、ヒョンミン捜査官。
麻薬グループ系の売春宿の女将ジンスクとスミンの義姉妹愛。
シヒョンとサファリの師弟愛。
ジンスクのシヒョンに対する恋にも兄弟愛にも似た愛情。
サファリ(ドクペ)とジンスクの愛憎にも似た縁。
シヒョンと親友ヒョンスの友情。

その人間模様が複雑にからみあったドラマで。
キャラ萌えもあって、ストーリー追っていたのですが、最後になってみると、
背景自体。黒幕が分かりやすく、組織のボスも単純なキャラで。
「お代官さんも悪よの~」でした♪←こらこら。

それに長い人生、利用され、操られて、本当に辛い思いをして生きてきた潜入捜査官「博士の息子」のシヒョンが可哀そうでした(涙)
それで、ラスト話で(これまた、お約束の油断しちゃダメ~。「シムラ、後ろ~」的な(笑)感じで撃たれる)あれで。←漫画でも映画でも。このパターンで、みつばの大好きなキャラがやられるのを過去に何回も見た(泣)

もう、このまま終わっちゃったら、もう切なすぎる~。という感じだったのですが。

ラストシーンで。おや?
車運転している手だけ見えてるけど、シヒョンの手じゃないの?
シヒョンの走馬灯?思い出?
あれ?ラストシーン。街中で携帯電話もった後ろ姿ってシヒョンだよね?で終わる。

なので、


あ~!みつば妄想でいう「デュエリスト」「キング」のような感じね♪(笑)

愛するヒロインを残してサヨナラする男。
幻のような姿を見せておいて、実は生きていた!って妄想余地を残してくれてるんだね!って。思ったのですが。

ちょっとネットで調べたら、ラスト部分、カット編集されたアナザーストーリーがあるとのこと!

それで、カット部分を観させてもらったら・・・

妄想じゃなかったんだ(笑)
公式でシヒョンは「生きてる」だ!やったね♪

以下、本当にラストネタバレなので、見たくない方はスルーで。




「デュエリスト」でいう、通常版とスペシャル版の違いに似てます。
デュエリストもスペシャルに、サヨナラしたはずの「悲しい目」君の後ろ姿が街中で映るんです。あれ?生きてるの?的に。

「ハートレスシティ」の場合、もっと確実に生きてます設定。

ちゃんと、他の人(ヒョンミン刑事)とも会話しちゃってますし、「生きてるよ」アピール。
そして、放送されたラストシーンで、シヒョンが電話をしている相手こそ。
愛した女性。警官に復帰したスミン!!!(たぶん)…ってところで終わる。

シヒョンは死んだことになって、しかも警官に戻らなかった。
ということは、またどこかで潜入捜査官を続けるということなんでしょうか?
それとも新天地で新しい人生を生きるのでしょうか?
どちらにしても、海外に行ってしまうらしい。

しかし、そう仕組んでくれただろうヒョンミンの気遣い無視?して(笑)
スミンに連絡をとったシヒョンが~~~(涙)

本当は、亡くなったことにして、永遠に別れたほうが相手には良いのかも。という感じだったのかもしれません。
事実、ジンスクにはそう思わせて別れてるので。

シヒョンはそんなにスミンを愛してたんだね。離れることは出来なかったのねって思ったら、このラストシーン。ありですね♪

え?でも、もしかして、シヒョンが行った外国って、ジンスクが行きたかったフランスだったりして?
それだったら話がかわっちゃうけど(汗)
シヒョンにとって、本当に愛してたのはジンスクだったってことに気付いて追いかけていったとか。いやいや、そんなラストじゃないよね。たぶん。
ジンスクはシヒョンを本心ではどう思っていたかちょっと分かりづらかったけど、(だんだん弟じゃなくて、男として愛しはじめていたみたいにも見えた)シヒョンはジンスクのことを「姉」として愛情持って接していたと思うから。精神面の結びつきは強くても体の関係は無かったように見えた(たぶん)

どうか、今度こそ、シヒョンに幸せになってほしい!
スミンとね♪


…話かわって、時々、ドラマ見ていて思うのだけど、ヒロインが電話するときに、相手のヒーローは体を鍛えてる真っ最中。よくあるある(笑)
きっと視聴者に、外見は細くても、逞しくて男らしくて素敵なのよ♪ってところをアピールなんですよね。「検事プリンセス」のイヌもそんなシーンあった(笑)

ドキドキはらはら、したい方は是非おすすめのドラマです!!←ネタバレしすぎて、ドキドキしないかな?(汗)


「デュエリスト」見たくなってきた(笑)・・・というか、
いいかげん、もうほとんど書いていた二次小説の続き完結させないと。

「悲しい目」君がじつは生きていて、それで捜査官として任務についてるって話はブログで更新してるけど、肝心のどうして生きてたか?っていう話を更新してないから。

こちらは10年ものになってます(汗)漬物を超えて、熟成酒みたいな。

「キング」のシギョンも見たくなってきた(笑)
二次小説の続きの中編プロットも早く小説化できるといいな・・・。


夏休み入りますね(遠い目)
創作は余裕のある時にまた出来たら更新したいです♪


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韓国ドラマ「検事プリンセス」、みつばの夢小説9(二次小説)です。
夢小説というのは、読み手(書き手も(笑))が主人公になりきって読む小説のことです♪

普段の二次小説とどう違うかというと、
登場人物、三人称(へり、イヌ等)で書いている小説を、
一人称(私)というヘリ目線で書いてます。

なので、読んでいる「貴女♪」が主人公ヘリになりきって、読むことが可能です。
もちろん、イヌ×ヘリ好きの方は「私」を「ヘリ」で読んで下さいね。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


【警告】この話には大人向けの表現、描写が出てきます。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。




夢小説9-甘い指先ー






…イヌの指、どうしてこんなに魅惑的に見えるの?



「どうした?」

イヌの不思議そうな呼びかけに
私はハッとして目の焦点を合わせた。

「え?…あ、何?何か言った?」

「サラダのドレッシングは何がいい?と聞いてる」

「えっと…。いつものイヌお手製オリーブオイルベースがいいわ」

「了解」

休日。

私は、夕方からイヌの部屋に来ていた。

本当は、休前日の夜から、または、休日の朝から
イヌと会いたかった。

でも、仕事が立て込んでいて、夜遅くまで仕事をしていた私は、
休日の夕方近くまで泥のように眠りこんでいた。

『夕食を食べに来ないか?』

そう、イヌに電話で誘われた私は、二つ返事で電話を切ると
飛ぶようにバスルームに入ってシャワーを浴び、30分後にはイヌの部屋を訪れていた。

そうして、イヌの手料理で夕食を一緒に食べた後、
私がソファに座って寛いでいる間にもイヌはキッチンで作業を続けていた。

「それは夜食?」

いつも控えぎみに食べている私でも、
今夜はもう食べ物は口に入らない、そう思って聞いたのだったが、
イヌは「違う」と答えた。

「明日の朝食だ」

「明日の朝食の準備を今してるの?どうして?」

「寝坊しても、すぐに食べられるように」

首をかしげた私の質問にもサラリと答えてイヌは料理を続けていた。

…寝坊しても、すぐに食べられるように?


とぼけているわけでなく、本気でキョトンとしていた私だったが、
ややあって、イヌの言葉の意味を理解すると恥ずかしくなってイヌから目をそらせた。

今夜は、この後イヌの部屋に私が泊まっていく。
だから、イヌは、寝坊しても良いように、夜のうちに朝食の準備をしてくれていたのだ。

「寝坊」を想定しているイヌの考えは、
説明されなくてももう私にも分かった。

ただ、イヌの中では、当たり前の事で、暗黙の了解のようになっていることが
改めて照れくさくなった私だった。

チラリと、キッチンに目をやった私は、
そこで、サラダを盛り付けているイヌの器用な手つきに再び釘づけになった。

スラリと長く形の良いイヌの指。

それが滑らかな動きでレタスの葉やミニトマトを摘まむ様に
私は思わずコクリと喉をならした。

…さっきから料理をしているだけのイヌの指先を見ているだけで、
体の中が熱くなってくる。どうしちゃったのかしら?私。


再びぼーっとした表情でこちらの方を見ている私にイヌが気づいた。

「もしかして眠いのか?」

「う、うん、ちょっと寝ぼけてるみたい」

私はそう答えながらも、あわてて誤魔化すように手の甲で目元をこすった。


「疲れているのに電話で起こして悪かったな」

「いいの。あなたが電話してくるちょっと前には目が覚めてたから。
それにいっぱい眠ったから平気よ。
今はあなたの手料理でお腹いっぱいになったからちょっとぼーっとしちゃっただけ」

「なら、いいけど」

イヌは盛り付けたサラダボールにラップをかけると、冷蔵庫の中に入れた。
そして、調理器具も洗って片づけたイヌが私の座っているソファに歩いてきた。

「無理するなよ。仕事が忙しくても、
しっかり食べて、ちゃんと寝ないと、いい仕事が出来ないぞ」

「あなたのその言い方。まるで私の親か上司みたい」

私が吹き出した。

「僕は、君の監督者の一人だからな。側にいるかぎり、君の体調管理も担うつもりだ」

イヌは私の横に腰を下ろすと、隣の私の顔に手を伸ばした。
そして、私の頬の輪郭をなぞるように、そっと撫でた。

「な、何?」

ドキリとした私が思わずたじろいだ。

「うん。ちょっと丸みが出たな。血色も良くなってきた」

「え?」

「再会した頃は、以前より痩せていたから。
あいかわらず兎のエサみたいなご飯ばかり食べていただろ?」

「そんなことないわ。ちゃんと食べていたわよ。
でもイヌの手料理は美味しくてつい食べすぎちゃうわ。注意しなくっちゃ」

「心配するな。君は今ちょっと食べすぎるくらいがちょうどいいんだ。
僕の料理は栄養バランスも考えてる。だから安心して育てばいい」

「育てばいいって…私を本当に兎みたいに思ってるの?」

「そうだ。一人にしておくと、寂しがって、
ご飯も食べずに、何をしでかすか分からない兎にね。
どうも、君は僕が見張っていないと駄目らしい」

尊大な態度で憎まれ口を叩くイヌだったが、
言葉の裏で私を気遣っている心が読めた。

…君を一人にしておけない。もう離れたくない。

「…じゃあ。目を離さないでよ」

唇を尖らせて、私はボソボソと言った。

「私もあなたから目を離さないようにするわ。
一人にしておくと、こっそり人の後をつけまわしたり、悪巧みをしたりするかもしれないから」

「そうか。僕は君のマーク下に入れられてるんだな」

「前科があるから」

私の言葉に気を悪くするどころか、イヌが楽しげに笑った。

そして「だからって、そんなに見つめないでくれ」とからかうように言った。

「え?」

「今日の君は、うちに来てからずっと何か言いたげな顔で僕を見ている。
僕の顔に何かついてる?」

「そ、そう?気のせいなんじゃない?」

私はあわてて目を泳がせた。

自分の心が「超能力者」を自称する男に読まれていたのでは?と本気で焦りだした私だった。

むろん、イヌが本物の超能力者で無いことは分かっているのだったが。

「あなたの方こそ…さっきから私の顔をずっと触ってるけど、何かついてるの?
前より肉がついたって事はもう確かめたでしょ?」

会話をしている間中、

私の頬に触れたイヌの手が、ずっとそこにあって、
そして、微かに指先を動かして優しく撫で続けていることに、
私は何気なく気にしないふりをしながらも、内心、ドギマギしていたのだった。

「ああ」

イヌが目を細めて言った。

「君の、目と鼻と口があるなって」

「当たり前じゃない」

「そう。当たり前のことをもっと確かめてる」

そう言ったイヌの指先の熱が高くなったように感じた私は、
まるでその熱がうつったかのように、頬を赤くした。

…会えなくなってた間は触れられなかった。
目鼻を確かめるなんて、当たり前の事を今はしていたいんだよ。

言葉にしなくても、

そうイヌが思っているような台詞。

以前は、私の気をひくために“演技”でやっていたことだろう。
だが、今のこの言動はどっちなのだろうか。

演技?
冗談?
それとも、本気?

じっとりと、探るような眼差しで見つめている私にイヌが苦笑した。

「なんだ?心を読んで欲しいのか?」

「ええ、そうよ。どうして私があなたを見つめているかって分かるんだったら答えてみてよ」

「僕のことが好きだから、だろ?」

あっさりと言われても、私は引き下がらなかった。

「ほかには?」

「・・・・・・」

「超能力が衰えたわね」

ふふんっと得意げに鼻を鳴らす私の頬に置いていた手を、
イヌはゆっくりとずらした。

シャワーを浴び、化粧を落としている私の肌はなめらかだった。

化粧をしている時は、自分で言うのもなんだけど、あでやかな顔になる。
していない顔は、少し幼く、年よりもあどけなく見える。

…イヌがこの私のすっぴんの顔をどう思っているのか分からないけど…。

そんなことを考えている私の頬に、イヌが指をすべらせると、
そこにあった唇に触れた。

そして、親指の腹で、私の唇の輪郭をゆっくりとなぞった。

まるでチャックのように、閉じられていた私の唇が半開きになった。

「あなたが私に触れてる理由が分かったわ」

私が言った。

「ふくよかになったか確かめてる、とか言ってるけど、本当はただ触れたいだけ。でしょ?」

「超能力が無くても分かるな」

失笑するイヌと一緒に微笑んだ私は、
自分の顔に触れたままのイヌの手を己の両手で包み込んだ。

そして、唇の上のイヌの親指を導いてそっと口に咥えた。

舌先でチロリとイヌの指を舐め上げると、私は上目づかいでイヌを見やった。

「…イヌの指にずっと見惚れてたの」

正直に私が言った。

「料理をしているあなたの指があんまり綺麗だったから。
ついぼーっと見ていたのよ」

「…見惚れてたのは指だけ?」

面白そうな顔で、でも、少し色気を帯びたイヌの問い声に、
私は恥らったように苦笑した。

「言わせたいことは分かってるわ。それで、また“重症だな”ってからかうつもりなんでしょ?」

「君も超能力を身につける訓練をしたんだな」

「違うわ。ソ・イヌっていう男の考えを読むっていう鍛錬をつんでるの。
結構上達してるでしょ?」

私がおどけてペロリと出した舌をイヌは、指先でおさえた。

そして、そのまま私の口内に親指を押し込むと、眼差しだけで、
私にそれを咥えるように命令した。


・・・イヌの指を歯で噛まないように気をつけて。

私は舌を動かして、イヌの指をちゅくちゅくと舐めた。
イヌは、そんな私を凝視しながら、まんじりともしないで、なすがままになっている。

無言でいながらも、イヌは指先から私の愛撫で感じていることが分かった。

冷静な眼差しの中でも、イヌの瞳には甘い熱がこもっている。
イヌの平常心を崩したくて、私は夢中になってイヌの指を舐めていた。

やがて、半開きの私の唇から唾液が漏れて、つーっと流れていくのを感じた。

イヌはそんな私の口から指を抜くと同時に、私の内から流れた滴を手ですくい取ると、
己の口元に持っていって、舐め上げた。

そして、イヌの所作を見守っている私の肩を手で抱くと、
顏を近づけた。

イヌは、半開きの私の唇に吸い付くように唇を重ねると、
舌を口内にねじ込んできた。

私の舌に触れ、戯れた後、イヌはすぐに唇を外した。

そして、イヌは再び、指を私の口の中に差し込んだ。

人差し指と中指と。

イヌの長く、形のよい指の形を口内で確かめるように、
私は舌をからめた。

これは、イヌに教わった前戯の1つ。

最初は、まさか、こんな指だけの愛撫で、体に火がついていく行為に向かっていくなんて、
思いもしなかった。

爪先までしっかり手入れした、
整えられた綺麗なイヌの指。


…こんなイヌの体の末端まで好き。

そんなことを自覚してしまう。

「ぁ…ん…」

思わず漏らした声に、イヌが酷薄な笑みを浮かべた。

そして、とどめを刺すように、二本の指を私の口にゆっくりと抜き差しした。

・・・これは、ある行為の擬似体感。

それを初めて知った時、私は恥かしさから続きを躊躇してしまっていたが、
今はもう、体の疼きを助長させる前戯の1つととらえる事が出来ている。

「…くるしいか?」

視姦する眼差しで見つめながらも、
気遣うようなイヌの言葉に、私はかぶりを振った。

イヌの体にも火がつけばいい。

今の私くらいに。

そう願いながらの行為は、むしろ快楽に近かった。

しばらくして、イヌが私の口から指を引き抜いた。

イヌの指から滴る自分の唾液を舐めとった後、
私は、イヌを見上げた。

「甘い指ね。兎の大好物だわ」

照れ隠しにおどけて言ってみた言葉に、イヌがやわらかく笑ってくれた。

「そんな顔で見つめられると、本当に指を君に食べられるような気になってしまうよ」

「そんな顔って?物ほしそうって顔?」

「違う」

イヌは優しい声で否定した。

「僕を誘惑している顔だ」

そして、私の顔を手で引き寄せると、首元に唇を寄せた。

「清純ないでだちから、急に女の顔になって僕を煽るのはやめてくれ」


…めちゃくちゃにしてやりたくなる。


囁くようなイヌの危険な言葉を聞きながら、
私は、首に、ちゅっと吸い付くようなイヌのキスを感じた。

「私、そんなつもりじゃなかったわ」

「むろん、そうだろうな」

イヌがおざなり気味に答えた。

「君はいつもそうだ。ちょっとはそこを自覚しろ。
今夜は君ともっとゆっくりと過ごすつもりだったのに」

「ゆっくり過ごしてるでしょ?これは違うの?」

今度は、自覚しながら、わざとイヌをからかって、
いたずらっぽい口調で答えた私に、イヌの苦笑めいたため息が聞こえた。

「ああ、ゆっくり過ごすさ。君と一緒に。ソ・イヌ流で」

…たっぷり時間はあるから。

そう言ったイヌに、まだ余裕のある私は、おどけて答えた。

「明日の朝食の準備は済んでいるものね。朝に食べるサラダが楽しみだわ」

「ブランチか昼食になるかもしれないけどな」

さらりと言ったイヌの台詞は冗談では無かった。

脅しに近い予告で、これからおきる事態を宣言している。

しかし、私は、まだそんなイヌの言葉の裏を、
察する事が出来るほどには、鍛錬を積んではいなかった。

「そうね」と、嬉しそうに答えた私を、
イヌは、餌を与えたばかりの兎を見つめる狼のような顔で見ていた。


「指だけじゃなく、僕を全部受け入れろ」

…そして全部、愛してくれ。

イヌの言外の心の声も読み取ったつもりの私は、


まるで、イヌの指先から身体中に広がった甘い熱におかされたように、
イヌの体をかき抱いて、コクリと頷いていたのだった。




(終わり)



指からソ・イヌウイルス。
これは間違いなくソビョン病に感染してますな♪(笑)

ブランクを回復させるために、
ちょっと肩慣らし…指慣らしする気で、
大人向け純愛短編(←純愛なのに、大人向け(笑))を書いてみよう♪と
書き下ろしてみたんです。

最初、「優等生2.5(のつもりで、イヌ×ヘリで書いていたのですが、「優等生」と内容があまり変わっていないことに気付いて、ヘリを「私」にして、夢小説で書きなおしました。

「私」にしたせいか、ソビョン病の症状が通常のイヌ×ヘリより悪化している気がしました(笑)

でも、「優等生1.5」じゃなくて、「優等生2.5」の位置づけなのは、
この後の展開が「2.5」だからなんです。この小説ではそこまでいかなかったけど(汗)
続きはたぶん「裏箱」行き←書けばね♪

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本当にお待たせしていました。
検事プリンセス、みつばの二次小説シリーズの長編「聖夜の祈り」完結です。

イヌ×ヘリ話の箸休めのつもりで~とか書いていて、
箸休めというより、長期休業並みに休んでましたね。みつばが(汗)

体も頭も心も思うように動かない数年でした(涙)

そんな中も、何度も足を運んで頂いたり、応援コメントや足跡を残して下さった読者の皆様。
本当にありがとうございました。

ちょっとシリアスなシーンもありましたが、
基本、イヌとヘリのおのろけイチャラブな話。
いつもより浮かれて、いろんな事を話しちゃうイヌも新鮮♪ってところをお見せしたい話ではあったのですが。

全編シリアスでも無い「聖夜の祈り」のどこに時間がかかってしまったのかというと、


全部読んでお気づきかもしれませんが、この話がシリーズ話のターニングポイントのように、過去の話とつながって、未来にこれから出てくるであろう小説の為の伏線も山ほど入っているからなんです(汗)

それで、書いておかなければいけない伏線やセリフをいれたかな?とか、
過去の伏線をひろう事も忘れないように、とか、注意して考えていたら、
日々の疲労で朦朧とした脳みそがますますボンヤリしちゃって、構成が進まなくなっちゃったというわけなんです。

軽く書ける♪と思ってたけど、結構大事な話だったわけですね。うんうん。←忘れてた?

「仲直り記念日」「試される絆」「招かれるもの」にあった伏線や会話等。

イヌの養父さん登場。(「この道の先へ」「試される絆」「ハロウィンの約束」「聖夜の願い」等)
イヌの実家(養父さんの家)登場。「この道の先へ」「ハロウィンの約束」)
ジェニーの養母さん登場。(「この道の先へ」「ハロウィンの約束」登場)
イヌの過去がチラリ。ジェニーの過去もチラリ。(「ハロウィンの約束」)
ラストにイヌの謎の恩師さんチラリと登場。(ヘリも「招かれるもの」で会ってます)

この辺りの伏線が今後の話の中にも、いろいろリンクして出てくる予定なんです。
ジェニー主役の「弁護士プリンセス」にもね♪←7年前から言ってる。

とりあえず、「聖夜の祈り」のスピンオフ的な話。
以前、イラストつきで予告した「MISS YOU」で、
今回の「聖夜の祈り」の過去や裏話が補足説明されます。

予告イラストといえば、

「聖夜の祈り」の予告イラストはこちら。

・ヘリがニューヨークに来たシーンの予告漫画
・ヘリとイヌがクリスマスツリーの前で写真を撮ったシーン予告イラスト
・イヌがヘリにネックレスをプレゼントしている予告シーンイラスト
・イヌとヘリのニューヨークデートイラスト


・・・それぞれの更新日時が怖くてみられない(涙)
7年前の2011年だって…。

予告漫画の記事で、4年、(更新まで)さすがにそこまではかからないですよ~(笑)とか書いてながら、
それ以上になっちゃってますよ。自分(((怖)

それくらい前からプロットがあったにもかかわらず、
完結年月日がこれですから。

最初の1年は毎日更新していても、まだ話の中では数か月くらいの流れ。

シリーズ話が全部完結するまで、プロット上でもあと数十話も…こんなスピードなら、やっぱり後10年以上かかっちゃったりして♪←まったく冗談にならない。

…今後のシーズン1の話だけでも整理しましょう(汗)


今後の展開としては。
まず、未公開の「MISS YOU

・・・これも予告イラストがすでに4年前(汗)

それから、もう更新済みの「HAPPY NEW YEAR」

それから、もうすでに更新済の他の話がいくつか入って。


その後に未公開長編「その手をつなぐもの」が入るのかな?←かな?って誰に聞いてる。
それから全部はまだ未公開のバレンタイン話「ゲレンデへいこう」が入って。
公開済みの「ここにいるから」があって、「花たちの微笑」「暗闇の灯」に続くって感じです。
あいまにいくつかと未公開の短編もあるはず。

このへんの時間軸は後で見なおして、二次小説INDEXで整理しておきます。

「MISS YOU」は中編くらいなので、ちょっとまたお時間頂きます。

さて、長いべんぴもちょっと解消されたので(笑)
今年、どこまでいけるか分かりませんが、書けるだけ進めていきたい思いでいます。

「検事プリンセス」みつばのイヌ×ヘリ。
まだソビョン病の方、検事プリンセスファンの方、ご新規の方も♪
今後ともまたよろしくお願いします♪

【追記】イラストリンク間違い直しました。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「Waiting for you」です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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このお話は、「聖夜の祈り」16話中のおまけ話になります。

【警告】この小説には、大人向けの表現、描写が含まれます。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。




Waiting for you




「イ…イヌ、ちょっと待って」

「待っては受け付けない、とさっき言ったはずだ」

「でも…っ」

風呂上りというだけでは無い。

情欲に溺れたようなイヌの体に、ヘリはやけどしそうなほどの熱を感じていた。

イヌの美しい肉体がしなやかに動く様に、
いつもと同じように見惚れそうになってはいても。

ベッドの上で、

熱した鋼鉄の肉体に、
自分の体が強く縛り付けられているような感覚にヘリは焦っていた。

「いつもより、余裕が無い感じだから」

「君が?」

「あなたがよ」

ヘリはムキになって言いかえした。

待ちに待った日。

初めての、二人きりで過ごすクリスマスイブの夜だった。

余裕が無いのはヘリもだったが、
それ以上にイヌがいつもと違っていた。

…イヌの本気の力には抵抗できないから。

「その…このまま流される前に、ちょっと待って欲しいの」

「これ以上、何を待てと言うんだ?」

ヘリの体の上に顔をふせたイヌのくぐもった声がした。

正直、ヘリに指摘されたように、イヌにはもう理性が働く余裕があまり残っていなかった。

自分と同位置にヘリを引きづりこむためにイヌは行動を起こすことにした。

「あっ!…ん」

イヌの強い愛撫にびくんっと体を震わせたヘリは、
思わず目を閉じると、
イヌの首に腕をまきつけ、きつくしがみついた。

イヌは慣れた手つきで、ヘリの感じやすい部分を探りあてると、
その箇所を指で執拗に撫でまわし始めた。

同時に、舌でヘリの首筋を下方からなぞり、
その上の耳たぶを甘噛みした後、耳元に唇を寄せた。

「…待てるのか?」

イヌの愛撫が引き出す快感が急激にヘリを支配していく。
その快楽に待ったをかけることは出来るのか?とイヌが意地悪く問いかけている。


耳先から直に響く、

イヌの低めで甘い美声が、
魅惑の呪文のようにヘリをますます恍惚とさせた。

快感で息を荒くし、潤んだ瞳で、
ヘリはイヌにせいいっぱい訴えかけた。

「た…対策処置を…してくれなきゃヤダ」

ヘリの対策処置という言葉で、ヘリが何を言いたかったのかすぐに分かったイヌだった。

イヌはヘリの頭の下のふんわりとした大きな枕の下に手を差し入れた。
そして、そこから抜き出して手にした物をヘリに掲げて見せた。

「“これ”のことだろ?安心しろ。忘れてない」

「いつの間に?そんな所に準備してたのね」

「抜け目がないからな」

ほっと思わず安堵の吐息をもらしたヘリにイヌが微笑した。

「ただ、これを使うのはもうちょっと後だ」

イヌは、手に持っていた物をベッド脇のサイドボードの上に
軽く放り投げると、再びヘリの体に身を伏せた。

「良かった。なんだか今夜のあなたは、らしくなく切羽詰まってるように見えたから」

「がっついて見えるってことか?」

「がっつく…」

イヌの言い方がおかしくてヘリが思わずふふっと笑った。

「がっついていたのは私の方ね。
ここに来てからずっとはしゃぎ過ぎでた。いつも以上に」

イヌに誘われて、ニューヨークで初めてのクリスマスを過ごした。

何もかもが楽しすぎて、理性も無くしていたかもしれない。
イヌに言わせれば、いつもと変わらないよ、と言われるだろうが。

ヘリはそう思っていた。

しかし、意外にも「僕もだ」とイヌが言った。

「確かにいつもの自分と違っていた」

「え?そうなの?」

ヘリは目をぱちくりさせた。

「あなたの方は、いつもと同じに見えたけど。
それって、わざと演じていたの?」

「演じてたわけじゃない。本当に分からなかった?」

「わかりにくいわ」

「君よりはね」

単純で、素直に気持ちが表情や行動に出てしまう純粋な
マ・ヘリと比べたらそうかもしれない。

でも…。

イヌは、ヘリの体を引き寄せると、ギュッと腕の中に閉じ込めて抱きしめた。

「イヌ…」

腕の中で、囁くように呼ぶヘリに、イヌが、抱く力を強めた。

「…これでも分からない?」

ヘリの体の温もりと柔らかさを全身で感じながら、イヌが目を閉じて言った。

「去年の今日も、君とこんな風に過ごしたいと思っていた」

イヌの腕の中のヘリが、驚いて小さく身動ぎした。
しかし、無言で、イヌの言葉の続きを待った。

…かなわない願いだと分かっていたけれど。
ヘリ。君と一緒にいたかった。

心の中でイヌが続けた。

先の見えない闇の中で、マ・ヘリという輝く幻を、
クリスマスのイルミネーションの中に見ていた。

だから。

ここに来て、
君と過ごす時間に、
君自身に、ときめいていた。

この時を、ずっと切望し、待ち焦がれていたから。

「…思いがかなった」

ゆっくりと、落ち着いた声で、
そう語りかけるイヌの言葉が、耳だけでなく、
抱きしめられ、密着した熱い身体から直接心に響いてきた。

抱かれた腕の中で、イヌの顔は見えなかったが、
ヘリには、今、イヌが自分と同じ表情をしている事が分かった。

相手が、愛しくて、愛しくて。
じんっと胸が熱くなって、
泣きだしたくなるほどの想い。

こうして、抱きしめあえば、言葉にしなくても伝わるのに。

…イヌの言うとおりね。私って鈍すぎる。

そっと微笑むと、ヘリも目を閉じた。

そして、頬をすりよせた。

「私も同じよ」

クリスマスツリーの前でも言われたこと。

…私、あなたに返せないほど、いっぱい贈り物をもらった。

このクリスマスで、普段なら口にしない。言わないことを、
イヌは、ヘリに伝えてくれた。

その事がどれだけ嬉しかったか。

言葉にしても、したりないほどだと、ヘリは思った。

ヘリとイヌは、
存在を確かめるように、互いの体をかき抱き、手で輪郭をなぞった。

「私、今日のこと忘れないから」

ヘリが言った。

「あなたがしてくれた事も。言ってくれた事も。
全部覚えておくからね」

そして、いらずらっぽく笑った。

「あなたが後で、そんな事言ったかな?って恍けても無駄だからね」

「ムードに流されてつい言ってしまう事はあるよな?」

もうすでに誤魔化そうとしているイヌだった。

じとっとイヌを睨むふりをして、ヘリはチラリとサイドテーブルの上の物を見た。

「私も枕の下に仕込んでおけば良かったわ。ICレコーダーとか」

「仕込めば良かったのに」

イヌがほくそ笑んだ。

「ただ、後で困るのはきっと君の方だ。こんな声が吹き込まれることになるんだから…」

「!…あんっ」

再開したイヌの愛撫で、ヘリは思わず出た嬌声をとっさに手で押さえた。


「…いつまでもつかな?」

ヘリが理性を失うスポットは、イヌの方ではほとんど調査済みだった。

きめ細かく、すべらかで美しいヘリの肌を堪能するように、イヌの唇がなぞっていく。

小さく上下しているやわらかな膨らみ。
その上の頂きを唇で探り当てた後、イヌは口に含んで舌の上で転がした。

そして、器用に指を動かして、
下腹部に隠れた秘密の鈴も一緒に鳴らすと、ヘリの乱れた喘ぎ声がさらに大きくなった。

「望むなら、今度レコーダーを仕込んでおいてあげるけど?」

さらに意地悪く畳み掛けるイヌに、ヘリは目をぎゅっと閉じたまま厭々をした。

「せっかくロマンチックな夜なのに、全然変わらないんだから。意地悪」

ヘリの口ごたえに薄笑いで応えるイヌだったが、
心の中では、優しく反論していた。


…変わらないんじゃなくて、いつも『そう』だからだ、ヘリ。

理性を失くすまで夢中になっている。
ただ、そんな僕に気付かない君がいるだけだ。


イヌは、熱気と興奮で薄紅色に上気したヘリの頬に
軽いキスを何度も落していった。

そして、快感と恥辱で涙ぐんでいるヘリの目元にも優しく口づけした。

ヘリの潤んだ瞳が、クリスマスツリーのイルミネーションの光のように煌めいている。

「そう拗ねるな。いつも以上に、サービスしてあげるつもりだ」

「後で、チップを要求するつもりなんでしょ?」

「チップは前払いでもいいよ」

ん?とさりげなく促すようなイヌに、ヘリは苦笑しながら吐息をついた。

「じゃあ、私も昨年の分までサービスしてあげる」

ヘリは起き上がると、
イヌの首に唇を寄せ、甘い声で囁いた後口づけを落した。

「こういうこと、昨年の君は、知らなかったんじゃないのか?」

「知らなったわ」

イヌのからかう声にもヘリは素直に答えた。

「今年のイベントではいろいろな事が出来るようになって良かったでしょ?誰かさんに育ててもらったおかげね。その報酬と思って受け取ってちょうだい」

きわどい会話にも、機転のきいた返しが来る。

ロマンチックな雰囲気を崩さないまま、ふざけた会話も楽しい。

何もかもに浮かれている。

イヌは、ヘリの応酬と『サービス』に微笑で応えた。

「…君も後ろをむいて」

イヌの指示に素直に従うヘリ。
その下半身にイヌが愛撫を続けた。

ヘリのサービスより、イヌの手腕の方が上のようだった。

快い甘い刺激に耐えきれずに、ヘリが吐息を荒くし、
伏せた顔から嬌声を漏らした。

「ん…っ…はっん。イヌ…それ…」

「…うん?」

「とっても…きも…ちいいの…あっ…ん」

ぎゅっと両手でベッドのシーツを握りしめて、
ぎりぎりの理性を保っているようなヘリの姿態にイヌが満足げに笑みを浮かべた。


「まだ、昨年の分のサービスも終わってない」

ヘリが羞恥する際どい箇所に、濡れた舌をねっとりと這わせながら、
イヌは、“サービス”をヘリの内に注ぎ込むように指をうごめかした。

「ふっ・・・っ!あっイヌっ、もうっ」

ビクッと強く体を震わせたヘリは、

一瞬、目を見開いた後、
髪の毛を振り乱して喉と背中をのけぞらせた。

「あっ・・・あぁっ――っっつ」


引き絞った理性と、凝縮された快感が弾ける瞬間。
ヘリは、脳裏で、無数の光を見たように思った。

イヌと一緒に見た、クリスマスツリーのイルミネーションの輝き。


・・・激しい快感の後先で。


記憶と想いと体感した悦びが一体となった感覚に
ヘリは全身で陶酔し震えていた。

ヘリの歓喜する様に、イヌの充足感も満たされた。

そして、ヘリの、上気し脱力している濃艶な肢体を目の当たりにした
イヌの理性は一気に限界に近づいていた。

イヌは、サイドボードに手を伸ばし、
先ほど投げやりに放り置いた物を拾いあげた。

そして、パッケージを、はやる指先で破り捨てた。


「ヘリ」


イヌはうつ伏せのヘリの上に乗り、
後ろからヘリの耳元に顔を寄せた。

「起きろ、ヘリ。まだ僕らの夜は長い」

「ん…わかってるわ」

ヘリが答えた。

「ずっと、待っていたんだから…」

ヘリの『待っていた』が、今の行為のその先のことなのか、
共に過ごすクリスマスの事なのか、
それとも、昨年アメリカに行ってしまったイヌとの再会のことなのか。

どちらにしても、
もうお互い待つ必要は無い。
共有する同じ時間をもっと存分に味わわなくては。


了承のかわりに、小さく頷いて見せたヘリに、イヌも頷き返して見せると、
ヘリの体を優しく手で引き寄せた。

…もう待たせないよ。

そう答えるかわりに微笑すると、

イヌはヘリと、心ゆくまで愛し合う為に身を伏せたのだった。


(終わり)




(おまけ話あとがき)

「裏箱」にいれようかな~?やっぱりやめようかな?~♪
と自問自答しながら表でアップ(笑)

まあ、いっか。本番前だったし表でも♪←そういう問題ではない。

過去の自分の創作見たら、結構、こんなの表に出してたのね?って恥ずかしくもなり←今さらです。

元々書いてあったカット部分に、表だから、極力大人表現もソフトに~。オブラートに~。と工夫して加筆してみました。
それでも3年ほどのブランクは結構きびしいものがありましたけど(汗)

この表現どこかで使ったかな?
このシーン書いたかな?と過去の自分の作品が気になりますが、
全部読み直ししてチェックすることも出来ず。

まあ、やることは一緒なんですけどね。←やることって言うな。

イヌのえっちはワンパターンで無いと勝手に思っているもので♪
きっとヘリちゃんを満足させる為に、いろいろな技法を研究してるのでは?と妄想で(笑)

それでも、やっぱりアレの心配(笑)
だって、イヌってぬかりないとか言って、結構抜けてるんですもの♪
わざと確信犯的にやらかすこともありそうですし(汗)
ヘリちゃんもその辺しっかりしてるので、今回は。←今回はって。

若人たちよ。たとえイベントで盛り上がったとしても、未婚者ならば、
ちゃんとしよう、ちゃんと。←何を?


これは、「聖夜の祈り」のおまけ話
24日、イブの夜のカットされたイヌ×ヘリ未公開ラブシーンです♪

ラブシーン(大人シーン)がカットされているのは、構成上わざとなんです。

前後にちょっとシリアスなシーンが入ったり、流れ的にいちゃラブシーンと後のエピソードが結びつかなくなってしまう事もあるので、あえてカットさせて頂いてます。

物足りなさを感じたりするかもしれませんけど(汗)

シリアス長編になると、こんな構成が多いです。

大人シーンは部分的に裏箱で書いたり、短編で後でおまけ話として公開って感じにします。

元が大人話メイン長編の時はバリバリ書きますよーっ。←本当?
裏箱もまた更新したいです♪

「聖夜の祈り」全体のあとがきは又後日に。

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「聖夜の祈り」27話(最終話)です。

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聖夜の祈り(最終話)






朝食を食べ終えたイヌとヘリは、
ホテルをチェックアウトして車で空港に向かった。

雪は降りやんでいて、飛行機は定刻通りフライトするようだった。

出発までの時間つぶしに、イヌとヘリは空港の売店を見て歩いていた。

「結局、家族や友人のお土産は買っていたけど、君自身の物は買って無かったな。
いいのか?」

そう聞くイヌに「私は…」

もういっぱいもらったから。
本心からそう答えようとしたヘリだったが、ふと、惹きつけられた物に足を止めた。


それはクリスタル製で、小さな白い花でふちどられているフォトフレームだった。
写真が3枚飾れるようなデザイン。

散りばめられた白い花が、イヌと一緒にクリスマスツリーの前で見た雪のようにも、
夢の中でミョンスクが立っていた景色の花のようにも見えた。

清らかな祈りのような白い花。

…ずっとイヌと一緒にいられますように。


「気にいったのか?」

横でイヌが顔を出して同じものを見た。

「君のニューヨーク記念に買ってあげるよ」そう言ったイヌにヘリは優しく首を振った。

「これは、私に買わせてちょうだい。ここで撮った記念写真をこれで飾りたいから」

自分のお金で買いたい。

そう言って、ヘリはフォトフレームを手にすると、レジに足を運んだ。

しっかりと梱包したフォトフレームが入ったヘリの旅行バッグも空港内では
イヌが持って歩いていたが、搭乗手続きの時間が近づくと、ヘリがイヌから受け取った。

ヘリは、一人で韓国に戻り、用事の残っているイヌはしばらくニューヨークにとどまることになっていた。

「じゃあ、…これで。私は先に帰るわね」

「うん。僕もすぐに戻るよ」

「ええ、韓国に戻ったら教えて」

「連絡する」

「うん」

そこで少し間が出来た。

そう、離れると言っても、そんなに長くない。
それに今度は、韓国とニューヨークという距離で離れても、会う約束がある。

それでも、この数日、濃密な時間を過ごした二人には、
離れがたい気持ちが出来ていた。

チラリと周囲を見渡すと、ヘリとイヌのようなカップルが、
しばしの別れを惜しむように抱擁し、熱烈なキスを交し合っていた。

その姿にあてられたヘリはモジモジとし出した。

イヌとカフェで再会した時は、つい抱きついてしまったが、
こんな沢山の公衆の中でラブシーンを繰り広げられるほど、
ヘリはまだ慣れてはいなかった。

「そ、それじゃあ」

ヘリが、ぎこちなくイヌに手をふって歩きだそうとした時、
背後からイヌがヘリの腕をつかんで引き寄せた。

…え?

イヌの腕の中におさまったヘリは、とっさの事に目をしばたたかせて固まった。

「マ・ヘリ」

イヌが言った。

「君はどこにも行けない」

…この台詞。

いつかの空港で。
ヘリが何もかも嫌になって、検事をやめて国外逃亡しようと空港にいた時に、追いかけてきたイヌに言われた言葉だった。

ヘリを強く抱きしめた後、イヌがその手を緩めた。

ヘリがイヌを見上げた。

「行けるわ」

ヘリが笑って言った。

「あなたと一緒なら、どこにでも」

そして、瞼を閉じたヘリに、
イヌは、ゆっくりと口づけを落した。

雑踏の音も周囲の景色も、二人の背景に溶け込んだ。

唇が離れた後、

ヘリは、もう一度イヌに微笑むと、今度は元気よく手を振って、
搭乗口の方に向かって軽やかに歩いていった。

イヌはその姿が見えなくなるまで、片手を上げて見送った。

そして、ヘリが視界から消えると、
軽い吐息をついた後、一人空港を後にした。


…ヘリは今ごろ飛行機の中で眠っている頃だろうか。

空港から出て、向かった先の駐車場についたイヌは空を見上げて思った。

雪はやみ、快晴の冬空。

イヌは、とある大学の広い敷地の中を慣れた足取りで歩いた。
冬休みということもあり、キャンパスの中の学生の姿はまばらだった。

イヌは、校舎の1つの中に入ると階段を上って、最上階の部屋に向かった。

教員たちの研究室が並んだ廊下。
ある一室のドアの前で、名前を確認したイヌは立ち止まった。

ノックをすると中から返事があった。

「こんにちは。お久しぶりです」

イヌがそう言って扉を開けた。

「おお、君ですか、入りなさい」

窓近くに配置された机に座って、何か書き物をしていた中の人物はイヌの姿を認めると懐かしそうに目を細めた。そして、イヌが扉を閉めて中に入ってくると、
部屋の中央に置かれたソファにかけるように勧めた。

「元気そうで良かった」

「はい。これ、お土産です。こちらの空港の本屋で買ったものですが」

イヌはそう言って、手に持っていたバッグから冊子を取り出した。
それは、知育パズルのような本だった。

「これは手ごたえのありそうなお土産ですね。解くのが楽しみです」

イヌに土産を渡された人物は、嬉しそうに、冊子をぱらぱらとめくって見た。

外見は東洋人の年配の男性。
品のいいベストに、こざっぱりとしたラフなシャツを着ている。

「コーヒーでも飲みますか?」

男の言葉にイヌが立ち上がった。

「僕がいれます」

「本来なら、客に入れてもらうのは申し訳ない、と断るところですが。
君の淹れたコーヒーは美味しいからお言葉に甘えます。コーヒーの場所は変わっていませんよ。カップもね」

「銘柄も変えてませんね」

「一度はまるとなかなか変えられない性分ですからね。
ところで…君は、今年ずいぶんといい休暇を過ごしたようですね?そうでしょう?」

軽くからかうような、尋問するような口調に、
イヌは懐かしさを覚えて、思わず笑った。

「そうです」

イヌは素直に頷き、暖めたカップをコーヒーカウンターに二つ並べ終えると後ろを振り返った。

「あいかわらず、鋭いですね。キム・ビョンホ先生」

苦笑したイヌの言葉に、
キム・ビョンホ先生と呼ばれた男は、ほっほっと笑うと、
茶目っ気たっぷりにウインクして見せた。



――― 時と場所は変わって。ヘリの帰った韓国では。


ヘリは、韓国の空港についてから、まずマンションの自室に戻っていた。

サンテとエジャには、翌日パン屋の仕事が終わる頃に実家に行き、会うことになっていた。

シャワーを浴び、荷解きを終え、
一通り、旅行から帰った後処理を済ませた後、ヘリは一息ついた。

そして、

スマホの中の写真データを数枚プリントアウトすると、それを
ニューヨークの空港で買ったフォトフレームの中におさめた。

1枚はカフェで、モニカ達と撮った写真。
1枚はイヌと一緒にクリスマスツリーの前で撮った写真。
最後の1枚はヘリとイヌ。そして、イヌの養父が一緒に写った写真だった。

フォトフレームをベッド横のサイドテーブル上に飾ったヘリは、満足げに頷いた。


…どの写真にも、私の隣にイヌがいる。


ヘリは、ベッドに腰掛けると、うっとりとした表情でフォトフレームを眺めた。

そして、

遠く離れた所にいる、でも、今は、とても近くに存在を感じる恋人と、
楽しかったクリスマス休暇の記憶に思いを馳せたのだった…。




(聖夜の祈り 終わり)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ジョン・リー…イヌのアメリカの養父




やっと~終わりました。5年越しの長編1本が(泣)
終わってみたら、あれ?なんでこんなに停滞するほどだったんだっけ?という感じ。←喉元過ぎれば熱さを忘れるタイプ。

この調子だと、みつばの検プリ二次小説シーズン1だけでも、
残り長編3本が終わるのはいつだろう?とか考えちゃいますが、
ブログの糸が切れなければいつか完結するってことで♪

・・・ちなみにプロット上でも検事プリンセス二次小説は、シーズン2とシーズン3まであったります。←6年前の私が作った物だけでも…。

「聖夜の祈り」のあとがきは又後日♪

長い間、待って下さっていた方、応援してくださった方。
ひさしぶりにご訪問下さって読んで下さった方も、
本当にありがとうございました!(涙・・・)

みつばの検事プリンセスシリーズはまだまだ続きます。
これからもよろしくお願いします!
1日1更新の継続は厳しいのですが、
また新作が出来しだいアップします(ぺこり)

次回は、「聖夜の祈り」のおまけ話。
物語上カットされた24日クリスマスイブの夜のイヌ×ヘリ短編を更新予定です。

検プリ二次小説では「おまけ話」≒「大人話」ってイメージありますが、
本当は必ずしもそうでは無いんですよ(汗)

でも、次回の「おまけ話」は大人話かも♪←どっちだい。



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「聖夜の祈り」26話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。



【警告】この小説の中には、大人向けの表現、言葉が出てきます。
自分は精神的に大人だ、と思える方のみお読みください。





聖夜の祈り(26話)





…シャワーを浴びる余裕はなさそう。


イヌの激しさと熱を増す愛撫に恍惚となりながらも、
ヘリはうっすらとそんな事を考えた。

高まったムードの中で
さらに昂ぶった感情にアルコールが後押しして、
イヌもヘリも、理性を失いかけていた。

やわらかなソファの上に倒れ、
からまるように、互いの体を求めあい始めたイヌとヘリだったが、

真冬とはいえ、空調のきいたホテルの部屋に、その熱気は暑かった。


イヌがヘリからプレゼントされて着ていたカーディガンの上ボタンをはずすと、
アンダーシャツごと丁寧に頭の上から脱ぎ捨てた。

スタンドランプに照らされたイヌの裸の上半身を目にしたヘリは、
うっとりと、その肌に指を這わせた。

「これも、私へのプレゼント?」

ときめきと期待でドギマギしている鼓動を悟られないように、
ヘリがわざといたずらっぽく聞いた。

「そうだよ」

応えるイヌに、ヘリが笑った。

「あなたって、すっごく“太っ腹”よね」

イヌが微笑した。

「本当に僕が太っ腹かどうか、身をもって試してみればいい」

「…試さなくても知ってるわ」

ヘリが甘い声で答えた。

細いようで、逞しいイヌの身体。
すべらかな肌の下には、バランスの良い筋肉がついている。

白く美しい柔肌のヘリの身体が、そのイヌの体と結びつくと、
激しい快感で眩暈がするような共鳴反応を起こすことも。

“太っ腹”ではなく、かたく引き締まったイヌの腹筋が、
ヘリの下腹部に触れるたびに、まともな思考が出来なくなるほど夢中になってしまうことも。

…もう、全部知っているから、
それが欲しくてたまらなくなる。


イヌから見れば、今の自分はさぞかし物ほしそうな顔をした女に映っていることだろう。

イヌと出会ってから、自分は前より貪欲になってしまったんじゃないだろうか。とヘリは思っていた。

お金を出せば手に入る物質的なものではなく、
愛欲というものに。



「ソ・イヌ。私にちょうだい。全部」


おねだりするように、イヌの方に両手をのばしたヘリに
招かれるように、イヌがヘリの身体の下に手を差し入れた。


「全部あげるよ。そのかわり…」

イヌがヘリを抱き上げた。
そして、立ちあがると、ソファからベッドの方にゆっくりと移動した。

ベッドの上におろされる時、


…全部奪うから、覚悟しろよ。

という、イヌの囁きに、ヘリはうっすら微笑むと小さく頷いて、
イヌの次の行動を待った・・・。




…外では雪が降り続いていた。


深夜、ホテルの部屋のイヌとヘリの熱気も、
ホテルの厚いガラスの向こうまでは届かず、
雪はつもってホワイトクリスマスになっていた。



やがて…。

ベッドの中では、

愛し合った恋人達が、一つの布団にくるまって
身体を寄せ合い、すやすやと眠っていた。

イヌに腕枕されたヘリが、心地よい疲労の中で微睡んでいる。


そして、夢を見ていた。

あたりには白い雪が降っている。

しかし、まったく冷たくはない。

むしろ、温かい綿のような粉雪の舞い散る中、
ヘリは、不思議な光景に佇んでいた。


雪が降る下は一面白い花が咲き乱れた空間だった。
その向こう側に、白い服を着て花束を抱えた女性が立っていた。


最初、誰だが分からずに、目をこらしていたヘリだったが、
しだいにそれが、写真で見たイヌの母親、ミョンスクの姿だということに気付いた。

それでも確信が持てずに戸惑っているヘリに、ミョンスクが口を開いた。

「マ・ヘリさん」

明るく優しい呼び声だった。

「はいっ」

思わず返事をしたヘリにミョンスクがにっこりとほほ笑んだ。

「お花をどうもありがとう。私の夫が大好きな花なの。嬉しいわ」

そう言って、ミョンスクは手の中の花束の香りをかぐように顔にもっていった。
それは、ヘリがミョンスクの墓に供えたフリージアの花束に見えた。

「それから、あなたが言ってくれたことも」

驚きのあまり、夢の中のヘリには、ミョンスクの言っていることをよく思い出せずにいた。

…私、何を言ったのかしら?

「嬉しかった」ミョンスクがさらに言った。

「あの子の側にいてあげて欲しい。それが、私の心からの気持ちよ。ヘリさん」

よく分からないなりに、ヘリは、ミョンスクの言葉だけはしっかり受け止めようとしていた。

コクリと無意識に頷いてみせたヘリに、ミョンスクがまた微笑んだ。


「ありがとう」

その声を最後に。

霧なのか、粉雪のせいなのか、ミョンスクの姿が霞のように
白い光の中に消えていった。

光を追うように、目を開いたヘリは、そこが現実だと認識した。


早朝の、やわらかな光がホテルの部屋のベッドの方にも差し込んでいる。
まだ薄明かりの中、自分を抱き包むように眠るイヌの顔をまじかに見てとれた。

規則正しい息づかいで、安らかに眠る愛しい人をじっと見つめながら、
ヘリは夢の中のミョンスクの言ったことを思い出していた。

あれは、ミョンスクの墓の前でヘリが話したことの答えなのかもしれない。

『あなたの分までイヌの側にいたいと思っています』

クリスマスには奇跡が起きる。

だから、きっとそう。

…イヌのお母さんが私たちのこと許してくれた…。

ヘリの目に涙が滲んだ。


煌めく視界の中で、眠るイヌに手をのばしたヘリは、
ミョンスクが昔そうしたように、イヌの寝顔を優しく撫でた。

しばらくして、うっすらと目を開けたイヌがヘリを視界にとらえた。

ヘリを見て、無意識に優しい笑みを浮かべるイヌに、
ヘリは泣きたくなるほどの愛しさを募らせた。


…約束します、イヌのお母さん。

そう心の中でミョンスクに言うと、ヘリはイヌに微笑み返した。


「おはよう」


それは、ヘリの休暇、ニューヨーク滞在、最後の朝だった。



(「聖夜の祈り」27話に続く)




登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


・・・警告マークつけるほどではなかったかも(笑)←ブランクの為感覚麻痺。



続きは明日更新予定です。

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「聖夜の祈り」25話です。

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聖夜の祈り(25話)




「イヌ?」

「・・・・・・」

ふっと息をついたイヌは、そっとヘリから視線をはずした。

…酒の酔いもやはりあったのだろう。

打ち明けるつもりだった話以上に言葉にしてしまっている。

普段、心の奥底にしまいこんでいた想いを、恥ずかしいまで吐露してしまった。
それも、ヘリに。

ヘリの思いやりのある純粋な眼差しを浴びて、
イヌはようやく我に返った気分になって自嘲した。

「怖いのは…君がまた無謀な事をやらかさないかっていうことだよ」

いつものイヌの嫌味っぽい口調に戻った事に気付いたヘリが
「え~。なによ」と不満げに唇を尖らせた。

「私、そんなにあなたに迷惑ばかりかけてないわ。
そりゃあ、昔は結構かけていたけど、今は違うでしょ?」

「そうかな。迷惑の質は変わったけど、数は変わってないんじゃないか?」

「そんなことないわよ。数だって減ってるんだからね。
あなたは知らないだろうけど、職場の人だってそう言ってくれてるんだから」

「職場の人間にまでそう言われたってことは、
君の周囲の人間はそう考えるのが自然ってことだよな」

「でも、心配も迷惑も、もうなるべくかけないように努力しているわ。
あなたにだって、失敗しても頼ってばかりいないつもりなんだから。
そんなに私が無謀なことをするのが怖いの?」

唇をとがらせて拗ねたようなヘリを笑って見ていたイヌだったが、
笑みを引いて目を細めた。

「僕は、もう、ここにいる君と離れたくないだけだ」

低く、真面目な声になったイヌに、ヘリがハッとした。

…僕は、もう知ってしまった。

イヌは思った。

愛する人と一緒にいる悦びや楽しさを。
離れ離れになる辛さを。
だから・・・。


「もう、昨年の今日のような想いをするのは嫌なんだよ」


うつむき加減で、切なげな瞳を揺らし、
想いを吐露するイヌ。

その姿は、ヘリの目にはすごく心細げに見えた。

イヌは…。

翌日には、酔ったことにして、そんな事言っていないと言うだろうか。
それとも、とぼけて、二度とこの件は口にしないだろうか。

そう想像しても、もうどっちでもいい。とヘリは思った。
そして「私もよ」と言って、イヌの体を抱きしめた。


「今年のクリスマスはすっごく楽しかったわ。

あなたに実家に連れて行ってもらって、養父さんを紹介してもらって、
一緒に買い物したり、ディナーを作って食べたり、ジョギングしたり。
新しい友達も出来たし、
スケートをして、クリスマスツリーを見て、写真をいっぱい撮って。
素敵なレストランにも行った。ダンスもした。あなたのお母様にも一緒に会いに行けた」

ヘリの話を、イヌはじっと聞いていた。

「飛行機チケットも、ホテルも。食事もネックレスも。
あなたからもらったものは全部すごく嬉しかった。
イヌは、形あるものをあげたかったって言ったけど、
私は、イヌにもう十分欲しかったものをもらったわ」


『君と一緒に、ここでクリスマスツリーを見たかった。
ツリーを見ながら、そんな事を願っていた』

クリスマスツリーの前で、イヌが1年前の想いも打ち明けてくれた。

その告白がヘリのずっと欲しかったものだった。

だから…


「今年は、あなたと一緒にいられたこと。
クリスマスをこうして一緒に過ごせたこと。
それが、最高のプレゼントだわ」

昨年のクリスマスには考えられなかった確かな記憶と思い出がここにある。

でも、イヌは、先ほどまで近くにあった大切なものを一瞬で失う怖さを知っていた。

だから、きっと余計に怖いのだ。


幸福の中に浸っていても、
ふと、幻のように消えてしまわないか。

そんな不安がよぎってしまう。

幸せであればあるほど。
光の中で、記憶の奥底に潜む影が濃さを増す。

そんな怯えから必死に立ち直ろうとしているイヌを支えるように、
ヘリはイヌの体をギュッと強く抱きしめた。

イヌにかける言葉は決まっていた。

「ありがとう、イヌ。愛してる」

…自分から離れた理由を話してくれてありがとう。
…したくても告白出来なかった、と打ち明けてくれてありがとう。

そんな思いも込めて、ヘリはイヌに伝えた。

「ああ…」

ようやく一瞬の悪夢から解き放たれたような顔になって、
イヌはヘリを抱きしめ返した。

しばらく無言で抱き合っていたが、

ヘリは、抱きしめられながらも、
ちょっと顔をしかめてイヌの方を横目で見て言った。

「ねえ、もう言っていいんだからね」

「何を?」

「ほら、本心よ。あなたが私をどう思っているかって。言ってよ」

「言っただろ?」

「今も言ってよ。私は言ったじゃない」

「何度も使うと言葉の真実味が薄れる」

「そんな事ないわ。気持ちが薄れなければいいの。言えば言うほどいい言葉なんだから」

…まったく。

イヌがヘリを抱きしめていた腕をほどいた。
そして、ムキになって、告白を急かすヘリの口を塞ぐように唇を押し付けた。

…あーっ!また誤魔化そうとしてる。

「んっ…ん~っ…ふっ…」

ヘリの苦情が言葉に出来ないほど、イヌに深く口づけられていく。

ヘリの頬に添えられていたイヌの手が、ゆっくりと顎の輪郭を撫でて、
滑るように、ヘリの首にまわった。

親指で、耳たぶを撫でつけられながら、
イヌの官能的なキスにヘリの口内から全身が蹂躙されていく。

必死で抵抗を試みたヘリが薄目を開けて見たイヌに、
もう怯えた様子も、ふざけた態度も無かった。


「ヘリ…」

自分の名を呼ぶイヌの低く甘いトーンの声に
ヘリの心臓がドクンっと跳ねた。

イヌがイベントの“最終ステージ”に移行しようとしているのが分かったヘリだった。



(「聖夜の祈り」26話に続く)



登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)



続きは明日更新予定です。

ひさしぶりに「警告」マークでちゃうかも?(笑)


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「聖夜の祈り」24話です。

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聖夜の祈り(24話)





「僕が、何も言わずに君から遠く離れた理由を、
君は聞きたくても、聞けずにいたんじゃないのか?」

ヘリの感情が爆発して本音がもれてしまったあの日。

仲直りした後、イヌはヘリから投げかけられた質問にほとんど答えていた。

ただ一つを除いて。

その事をヘリは忘れていたが、イヌは覚えていた。

誤魔化すことは出来ないだろう。
この先、ヘリと一緒にいるのなら。

そう決意したイヌだったが、ヘリは、意外にも落ち着いた顔をしていた。

「うん…。でも、その話を聞く前に場所を変えない?」

「別の店に行くか?」

「違うわよ」

ヘリが笑った。

「部屋に戻るの。あの部屋のソファ、すっごくフカフカで座り心地が良かったから。
もっと座ってみたかったの。あの場所で話の続きをしたいわ。いい?」

「もちろん。君が飲みすぎる前で良かった」

笑って、イヌはグラスのバーボンの残りを飲みきると立ち上がった。

もちろん、イヌは、ヘリの飲みすぎを心配していたわけではなかった。

ヘリも、ソファの話は本当ではあったが、場所を移したい理由は、
なんとなく、イヌの話を二人きりの空間で聞いた方が良いように思えたからだった。


ホテルの部屋に戻って…。

「何か飲むか?」

そう聞くイヌに、ヘリは水を所望した。

イヌは、自分の分とヘリのミネラルウォーターを冷蔵庫から出すと、
ソファ脇のサイドテーブルに置いた。

そして、ソファに座っているヘリの横に腰かけると、
しばらく水を口に含んで黙っていた。


照明は暗くしていて、ベッドとソファ近くのスタンドランプだけ。

開いているカーテンの窓からは、ニューヨークの街の夜景。
そして、また降り出したらしい白い雪が曇りガラスの向こうでちらちらと煌めいている。

その光景をヘリと見つめながら、イヌはやおら口を開いた。

「さっきの話だけど、続けていいか?」

「ええ」

ヘリが頷いた。

「…でも、もう何となくわかったから」

「わかった?」

ヘリの応えにイヌがいぶかしげに見た。

「理由を?」

「うん…。ここにきて、あなたのことを少し知ったから」

イヌの養父、ジョンから聞いた話。
イヌの過去。アメリカでのイヌの生活。

それは、イヌのすべてではないにしても、
今まで全く知ることの無かったヘリにとっては、大きな出来事だった。

イヌが離れてからの1年も自分を想っていてくれた事は間違いない。
そう、確信できたヘリは、冷静になって、イヌが自分から黙って離れた理由を想像することが出来た。


「私の側にいるのが辛かったんでしょ?あなたは、自分のせいで、私につらい思いをさせたって思い込んでた。あの時…、パパの会社が倒産した時、私はあなたの援助を断ったわ。だから、あなたは近くで私のそんな姿をただ、見ることが出来なかった。そして、私のことを好きでも、告白する資格が無いって、そう思っていたんでしょ?」

ヘリの推察は、ある意味、その通りだった。

ただ、ヘリは知らなかった。

ヘリの知らない所で、イヌは、サンテと会っていて、
そして、サンテと、ある取引をしていたことを。

サンテが、過去を話すかわりに、イヌは、ヘリから永遠に離れるという約束。

今はもう、サンテの方から反故にしてもらった約束だったが、
あの時の話を、サンテもイヌも、今でもヘリには言っていなかった。

そして、イヌは、
この件を、永久にヘリに話すつもりは無かった。

イヌがヘリから遠く離れた事と、想いを言えなかった理由は、
このサンテの約束があったから、とイヌ自身ずっとそう思っていた。


…だが、違ったかもしれない。


イヌは、そっと隣のヘリの体を己の方に引き寄せた。

ヘリは、そんなイヌの体に抱きつくように半身をもたれさせた。
そして、イヌの答えを待った。


「…君の言った通りだ。ヘリ」

イヌはヘリの体の優しい温もりを感じながら言った。

「あの時、僕が君から離れる事が、君が幸せになる為に一番いい選択だった。
僕が側にいても、君を苦しめることしか出来ない。
そして、別れる前に、何も言わずに去ったのは…」

亡き父の名のもとにした、サンテとの約束がもし、無かったとしても。

…僕は、あの時、君に「愛している」と言うことが出来なかったかもしれない。

伝えてしまったら、
ヘリに余計、辛い思いをさせてしまったかもしれない。

父親と自分との板挟みになって。
そして、それと同じくらい。

「自分も苦しみたくなかったから」

離れなくてはいけなかったのに、伝えてしまったら、
想いを止められなかっただろう。

ヘリを苦しめても、嫌だと言っても、家族から引き離しても、
側にいて欲しいと願ってしまっただろうから。

「だから、あのまま、君から黙って去る事が最善だと思っていた」

「…本心からそう思ってた?『最善』だって」

ヘリの指摘は鋭かった。

…余計につらくなる選択をしていることは分かっていた。

「言葉の使い方は難しいな」

じっと見つめるヘリの顔を見下ろして、イヌがフッと短い吐息をついた。

そして、腕の中のヘリをゆっくりと引き寄せると、
その肩口に頭を持たれるように顏をふせた。

「…どうしてかな?」

…なにが?

イヌの背を優しく撫でるヘリの無言の問いかけにイヌが続けた。

「ずっと前ばかり見て生きてきたのに、君と出会ってからは、
僕は常に自問自答して立ち止まってばかりのような気がする。
これでいいのだろうか?この選択で間違ってないのだろうか、と。

アメリカにいた時は、前に進めないことが怖かった。
だけど今はそんな事を恐れちゃいない。今僕が怖いのは…」

「怖いのは?」

優しいヘリの声に、イヌが顔をあげた。

…怖いのは…。

イヌがじっとヘリを見つめた。



(「聖夜の祈り」25話に続く)



登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

マ・サンテ…ヘリの父親



続きは明日更新予定です。

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「聖夜の祈り」23話です。

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聖夜の祈り(23話)






「ジョンさんは、イヌのお母さんのこと、
ずっと、想ってるって、忘れられなかったって言ってた」


『愛する人を思いながら、ずっと会えないのはとてもつらい事だ。』

そのことを語っていたジョンの切なげで遠い眼差しは、
ヘリの心の中に、焼き付いて離れなかった。

そして、このバーに来てしばらくして、ヘリはようやく気付いた。

なぜ、ジョンがイヌと自分にお気に入りのホテルをプレゼントしてくれて、
さらに、デートコースのようなレストランとこのバーを紹介してくれたのか。

そのジョンの想いを悟った瞬間。
ジョンが自分たちにしてくれた事の深いまでの愛情と思いやりに感謝すると共に、
胸にこみ上げる切なさを一人では抱えきれなくなったヘリだった。


「イヌは、お父さんの気持ちを知っていたのでしょう?」

ジョンが話した内容は、もうイヌも知っていることだという事は、
ヘリには分かっていた。

案の定、イヌが頷いた。

「父さんは…養父は母を愛していた。女性として。母と友人関係でいた頃から、多分ずっと」

イヌは、じっと横で見つめるヘリから視線をはずすと、
自分の手元のバーボングラスに目を落して、話し始めた。

こんな話を誰かにするのは初めてだった。
長い間、近くにいた親友のジェニーと話す事も無かった。

もしかすると、ジェニーは、イヌの養父と仲の良い養父母から、
そんな話を聞かされた事もあったかもしれない。

しかし、イヌは、自分からジェニーに語ることはなく、
ジェニーもそんな話題をあげたことは無かった。

ジョンの周りの人間たちには周知の事実であっても、
ジョンやイヌの心情を憚って、触れることは無かったのだろう。

もしくは、ジョン自身、親しい人にも秘密にしていた恋だったのだろうか・・・。

そんな秘密の空間に、ジョン自身が穴を開けて、
ヘリに打ち明けた。

それは、ジョンが、ヘリをイヌの大切な女性だと認めたから。

そして、ジョンも、ヘリを、これから付き合っていく大事な人だと
受け入れてくれたからだ、とイヌは思った。

付き合っていく上で、隠しておく必要はないと判断したのだろう。

養父がそう思ったのなら、自分が隠す必要はない。

イヌは、長年、自分が考えていた事や思いも込めて、
ヘリに打ち明けるように口を開いた。


「養父は、母が韓国で父と結婚してからも、母の事を気にかけていたんだと思う。
僕の誕生日とクリスマスに、必ずアメリカからお祝いメッセージとプレゼントが届いた。
僕は会ったことが無かったけど、名前だけは知っていた。母が、いつも仲の良い友達からだ、と言っていたから、とくに気にしなかったけど、いつか会ってお礼を言いたいと思っていたよ。会えたのは、韓国の父が亡くなって、僕と母が渡米してからだったけどね」

そこまで話して、イヌはバーボンを少し口に含んだ。

「ジョンさんの気持ちに気付いたのはいつ?」

ヘリの優しい声が、イヌの背中を押した。

「結構時間がたってからだ。はっきりと確信したのは。
子どもの時は信じて疑っていなかったからね。母と養父がただの友人だって。
だから、そんな人が僕を養子に迎えてくれた事が不思議だったけど、
あの頃はそんな事を考える余裕が僕には無かった。…大学に入ったころかな。
ようやく、養父の母への想いを薄々感じる事が出来るようになったのは」

「あなたが気づいたこと、ジョンさんに聞いたの?」

イヌが首を横に振った。

「いや。学生の頃は聞いてない。そして、僕も知らない素振りをしていた。
聞いちゃいけない事だとも感じていたからね。僕には、まだ理解できない感情でもあったから」

…誰かを密かに愛し続けること。

たとえ、別れても。もう会えなくても。
それでも深く、深く、静かに想いつづける。そんな感情。


「でも、ある時分かった。養父の持つ感情を。だから聞けたよ。
“母を愛していたんですね”って」

「聞いたらジョンさんは何て答えたの?」

ヘリの問いに、イヌは当時を思い出したように微笑した。

「『ああ、愛しているよ。今もね』って」

ジョンもあの時微笑んでいた。

養い子がその事に気付いていたことも分かっていて、ようやく打ち明けられると思ったのだろうか。
それでも、ホッとした表情の中に、悲しみと寂しさが混じった切ない目をしていた。

二度と会えない人を愛し、想いつづける事がどんなに辛いかを。

…あの時の僕には分かっていたから。


イヌは、顔を上げると横にいるヘリを見つめた。


昨年、イヌがヘリと別れて渡米した後。

二度と会えないと思っていても、会いたかった。
愛してはいけない、と分かっていても、愛していた。

マ・ヘリを。
ずっと、想っていた。


「僕には養父の気持ちが分かった」

ゆっくりと、ヘリの心に響くような声で話すイヌ。

アルコールのせいなのか、感情のせいなのか、
目の淵をやや赤く染めていたイヌだったが、その眼差しの中に
酒に酔った色は無かった。

「…僕も君に話しておくことがある」

「それは…」

ヘリは、真面目な顔つきと声になったイヌに、ちょっと面食らったようにたじろいだ。

「私がニューヨークについて迷っていた後に、あなたが言っていた“とっておきの話”?」

「いや、それとは違う。僕は、まだ君の質問に答えてないことがある。
その答えを話しておきたい」

「私の質問?私、何かあなたに質問したかしら?いつのこと?」

イヌが苦笑した。

「君が、“もう会わない”と言った時だよ」

「あ・・・」

ヘリは、ようやくその時の事を思いだした。


『私のこと想ってくれてたって言ってくれたけど、
じゃあ、何にも言わないで、どうして遠くに行っちゃったの?どうして側にいてくれなかったの?』

…あのこと。

あの後、仲直りをして、ホテルで仕事の事やジェニーの事、
気になっていた事を大方イヌと話し合ったヘリは、その事をすっかり忘れていた。


「ずっと知りたかったんだろ?」

イヌが聞いた。



(「聖夜の祈り」24話に続く)



登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ジョン・リー…イヌのアメリカの養父
キム・ミョンスク…イヌの実母
ジェニー・アン…イヌの親友・同じ事務所の弁護士


続きは明日予約更新予定です。

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聖夜の祈り(22話)




レストランを出て、ホテルに戻ったヘリとイヌは、
部屋でシャワーを浴び、正装からカジュアルな服に着替えた後、
ホテル内のバーに来ていた。

カウンター席で並んで座って、二人はめいめい自分達の好みの酒を呑んでいる。

イヌが2フィンガーのバーボンをちびちびと口にしている間、
ヘリは3杯目のカクテルを注文していた。

「素敵なバーよね。さすがお父さんのおすすめのお店だわ」

ヘリがカクテルについていたチェリーをほおばりながら言った。

「ああ。酒好きの女性だったら喜ぶだろうと言っていたよ」

「ええ。おしゃれで、好みの酒の種類も多くて私は好きよ」

「それは良かった」

イヌも初めて来る場所ではあったが、いい店だと思った。

しかし、やはり養父に連れてきてもらったことは無かった。
ヘリが、「デートコースみたい」と言っていたのは、あながち外れでは無いのだろう。

「本当に、イヌのお父さんってセンスのいい方ね。
だから、クリスマスプレゼントもちょっと悩んじゃったの」

「何を贈ろうかって?分かるな。僕ですら悩む。
あの父をうならせるプレゼントは何にしたらいいかって、毎年ね」

イヌの大げさな言い方に、ふふ、っとヘリが笑った。

「最初は、養父さんにも編み物を贈ろうかな?と思いついたの。ワインを頂いたお礼も兼ねて。
でも、養父さんの詳しい体のサイズが分からなかったから。
それに、いくらお父さんでもイヌにそんな事を聞くのも変でしょ?」

以前、ヘリが、養父の身長はどれくらい?と聞いたことがあった。

…あれは、そういうことか。

イヌは、その時の事を思いだして、「そうだな」と納得したように頷いた。

「しかし、これも手作りとは思えないな。
編み目も細かくて綺麗だ。服飾学科出身なのは知っているし、
何度か作っているものを見たけど、君はこういうことが本当に得意なんだな」

イヌは、ヘリからプレゼントされたカーディガンを着ていた。
軽く暖かな服は、イヌの体に以前から着られていたようにぴったりとあつらえられていた。

イヌに褒められたヘリは、嬉しそうな得意顔になった。

「私ね、縫い物や編み物は昔から好きだったの。
その、勉強の合間に、ちょこちょこ手を動かして作るのが、楽しかったのよ」

受け取ってもらえないと分かっていながら、
密かに憧れた芸能人や、先輩にあげることを想定して、男物の服を編んだこともあった。

妄想の中の彼氏。

言葉に出せば、痛い女の子と思われそうだったが、
ヘリは、そんな夢見る少女だった。

しかし、大人になったヘリにも、現実に、手編みの物を渡した彼氏は一人もいなかったのだったが。

「小物を作ったり、人形の服を編んだり、パパに編んであげたこともあったわ」

パパに編んだという言葉に、イヌが敏感に反応した。

「…まさか、お揃いじゃ無いよな?」
…この手編みのカーディガン。

「まさか!」

心なしか顔色がかわったイヌに、ヘリがあわてて手を振った。

「全然違うわ。それに今年はパパには編んでいないわ」

「そうか」

…なら、いいが。

サンテだから、というわけではない。

いくら、恋人の手作りとはいえ、父親とペアルックになる物をプレゼントされるのは、さすがに遠慮したいと思ったイヌは、ホッと心の中で安堵の吐息をもらした。

「しかし、これもいいが、君が僕の父さんにプレゼントしたカフリンクスも良かったな」

このイヌの言う父さんは、イヌの養父を指していたが、
ここで、カフスボタンの事を言われると思ってなかったヘリは、
きょとんとした顔をした。

「私が昨日ジョンさんにあげた、カフスボタンのこと?」

「ああ。素敵だったよ」

「イヌも、ああいうのが欲しかったの?」

「正直、君の手作りのクリスマスプレゼントを僕より先に初めてもらった父がうらやましかった」

自嘲したように苦笑しているイヌの顔にヘリがますます首をかしげた。

「それ、本気で言ってる?イヌ」

「半分冗談で、半分本気だ」

もちろん、親を大切にしているイヌが、本心からそんな事を思うわけがないが、
養父といえど、男であるジョンに嫉妬しているようなイヌの発言にヘリがクスリと笑った。

「わかったわ。今度、あなたにもカフスボタンを作ってあげる。
もちろん、お父さんに差し上げたものと違うデザインで。
あなたに似合う、すっごくかっこいいボタンを作るから期待してて」

「ああ。楽しみにしてる」

嬉しそうなイヌの顔と声が、やけに素直で、可愛く思えたヘリは、
母性本能をくすぐられて、思わずイヌの頭に手を伸ばすと、よしよしと軽く撫でた。

そして、ふと、何かを思い出して、手を下した。

「イヌ。今頃、…ジョンさんはどうしているかしら?」

「父さん?」

「ええ、今の話でお父さんの事を思い出しちゃったんだけど、
昨日、仕事に行くって言っていたでしょう?今日もお仕事なのかしら?」

「日中、職場に顔を出しているとしても、今夜は、友人のクリスマスパーティーに呼ばれていると言っていたな。それに、明日の夜も知人と会う予定があるらしい。父は、付き合いが広いから、休暇の時は、いつも引っ張りだこの人気だ。趣味もある。一人で暇をしているという事はないよ」

ジョンを気遣ったヘリの気持ちを汲んだイヌが、ヘリを安心させるように言った。

「お父さんは、顔も広そうだけど行動的な方よね」

「ああ、父さんや君と比べると、僕はインドア派だな」

「…言いたいことは違うでしょ?むしろ、私を向こう見ずって言いたいんでしょ?
考えるより先に行動する派って」

ヘリの指摘にイヌが肯定するように笑った。

「私のことはともかく、養父さんは、そういう風に見えないわよ?
思慮深く行動する方に思えるけど」

「うん。確かに一見はそういう印象だな。だけど…そうだな。
やっぱり、父さんとヘリは似ている所がある。時に突発的にびっくりするような行動に走るところとかね」
…普段は、他人の事を気づかいすぎて自分を抑える事があるのに。

「お父さんにもそんな所があるのね」

やはり、あのジョンからは、今は想像できない、と思ったヘリだった。

「そういえば、このホテル。お父さんは誰と来たのかしら?」

ヘリの言葉に、イヌが飲んでいたバーボンを思わず戻しそうになった。
そしてグラスを口元から外すと、呆れたように苦笑を浮かべた。

「まったく、君もあきないな。そういう興味がわくことに」

「だって、イヌは気にならない?」

「別に。父さんは独身だから、どこでどういう交際をしていようと自由だからね。
それに、必ずしも誰かと来たというわけじゃないだろ。もしかしたら、仕事や飲み帰りに一人で泊まりに来たのかもしれない」

イヌが肩をすくめてみせた。

他人事に関心はないが、養父は他人では無かった。
だから、全く気にならないと言えば嘘になる。
だけど、ホテルに誰といつ行ったのか、という詮索までするつもりはイヌには無かった。

「大人の見解と配慮ね」

そう、感心したように呟いたヘリにイヌが笑って答えた。

「君ももっと大人になれば?」


うつむき加減で、カクテルグラスの縁を指で弄ぶようになぞってはいたが、
ヘリにはイヌの声がしっかり聞こえているようだった。

ぷうっと少し頬を膨らませたヘリの横顔にイヌは微笑んだ。

イヌの言葉に機嫌を損ねたというわけでは無さそうだったが、
ヘリはしばらくカクテルグラスを手で揺らしながら無言になった。

「どうした?」

しばし、そんなヘリを観察しながらバーボンを口にしていたイヌだったが、
少し表情が陰ったようなヘリに声をかけた。

「うん…あのね」

ヘリは、イヌに話そうか、どうしようかと、迷っていた事を
思い切って切り出すことにした。

「じつは、あなたの実家にいた時にね、
お父さんから、イヌのお母さんとの話を聞いたのよ」

「・・・・・・」


イヌの方に顔を向けて、話だしたヘリを見つめ返し、
そっとバーボングラスをテーブルに置くと、
イヌは、黙って話の先を促した。



(「聖夜の祈り」23話に続く)



登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ジョン・リー…イヌのアメリカの養父


続きは明日更新予定.。
予約投稿になります。

ご訪問、拍手、拍手コメントありがとうございました。

現在、非公開のため、拍手コメントレスは控えさせて頂いてますが、
ブログがほぼ停止状態のこの数年間の間も送ってくださっていた方の
コメントもしっかり読ませて頂いてました。
ブログを辞める気は無かったのですが、体調不良もあって何度か心が折れかけましたし(涙)
そんな中で雑記にも応援メッセージを頂いてとても励まして頂きました。
本当にありがとうございます。


〇っぷ~さん。
3年前、5年前も同じようなコメント頂いてます(笑)
ハンドルネームどっちだったかな?と。
ハンドルネームも忘れちゃいますよね。
6年前から〇っぷ~さんでしたよ♪

以前のハンドルネーム忘れた方も、
新しいハンドルネームで♪
みつばは、ひらがなでした?三葉では無かったかな?(笑)


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「聖夜の祈り」21話です。

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聖夜の祈り(21話)



「高校でダンスパーティーがあったんだよ」

「うん、うん、それで?」

「強制的なものじゃなかったし、興味も無かったから行くつもりは無かったけど、
パーティーのパートナーとして誘われてね。それで参加することになった」

「うん、うん、パートナーって誰?ジェニーさん?」

「いや、ジェニーの同級生」

「なるほど。あなたの元カノってやつね?」

嫉妬したような、面白がっているようなヘリのあいずちにイヌが軽く睨んだ。

「話を聞く気が無いならやめるぞ」

「聞いているわ。続けてちょうだい」

わざとらしいリアクションで手を差し出したヘリにイヌがまた軽いため息をついて続けた。

「僕はそれまでダンスなんてしたことが無かったから、当然本番のパーティーまでに練習をすることになった。それで養父と、ダンスの得意なジェニーのお母さんに教えてもらっていた」

「ジェニーさんと一緒に?」

「いや。ジェニーは僕の練習を見ていた。ジェニーは踊れたんだよ。普段、ダンス好きの両親から教わっていたらしいし、当時ジェニーにはパートナーがいたから彼と一緒に練習していたんじゃないかな?」

「え?うそ!!」

ヘリはびっくりするあまり、フロアでダンスをしている人々も振り返るような大声を出した。

「ジェニーさんに彼氏がいたの!?」

「…声を落せ」

周囲を気遣ったイヌは顔をしかめて指を口にあてた。

「ごめんなさい。でも、でも…だって、だって」

あわてて周りにぺこぺことお辞儀したあと、ヘリはムキになったようにイヌに向き合った。

「ジェニーさんのパートナーって誰?どんな人だったの?」

「ジェニーの同級生」

「名前は?顏は?かっこよかった?スタイルは?背は高かった?」

「ジェニーのパートナーの話は、今度直接ジェニーに聞くといい」

矢継ぎ早にくいつくヘリをサラリとかわしてイヌは続けた。

「とにかく、僕には他にやりたいことが山ほどあったけど、その貴重な時間をダンスの練習に費やさなくてはいけなかった。正直苦痛を感じていたほどだったよ」

「んー…。でも、それって自業自得なんじゃないの?そんなに嫌だったならパートナーに断れば良かったじゃない。それをしなかったって言うのは、本当は、あなたが女の子の前でいいカッコしたかったからなんじゃないの?」

「断ればパートナーに悪いと思ったからだ。女の子に恥をかかせるのは良くない。
父もそう言っていたしね」

「そう。でも、後は、その女の子の同級生のジェニーさんにも気まずい思いをさせたくなかったって事ね?」

「…ときどき、あてずっぽうな君の直感がちゃんと当たることに驚くよ」

「お褒めの言葉をどうも」

イヌの嫌味をサラリとかわしてヘリが言った。

「それで、周囲のいろんな事に気をくばったソ・イヌ君は、ストレスをためながらもダンスの御稽古をして、本番のパーティーで素晴らしいダンスを披露したってわけね?」

「パーティーでは踊らなかった」

「え?」

イヌが腕組みをして言った。

「ダンスの前に、ちょっとしたいざこざがあってパートナーが怒って帰ってしまったんだ。それでせっかく練習したダンスの時間も無駄になってしまったというわけだ」

「何で彼女を怒らせたのよ?」

イヌが腕組みをしたまま、軽く肩をすくめてみせた。

「さあ。分からないな」

…とぼけてるけど、本当は分かってるはずよね。

ヘリは、じーっとイヌを見つめたが、
イヌはこれ以上話す気は無いというように、そっぽを向いていた。


「ふーん…。でも分かったわ。嫌々ながらマスターしたダンスを披露できず、さらにパーティーの日に彼女に振られた。それで、ダンスに苦い思い出が出来たってわけね」

「そういうことにしておいてくれ。これで満足したか?」

納得した?ではなく、満足した?という聞き方にも、ヘリはごきげんでうなずいた。

「ええ、ちょっとはね」

…韓国に戻って、ジェニーさんに会ったら、
高校時代のイヌのパートナーの話を聞いちゃおっと。もしかしたら、ダンスパーティーのいざこざのいきさつも知っているかもしれない。
ついでに、ジェニーさんの彼氏の話も聞かせてもらえるかしら?

でも、ジェニーさんは、昔イヌの事が好きだったと思っていたのだけど、この後からかしら?
この頃からイヌのことが好きだったなら他の彼氏はいないはずだし…。

企むような顔つきで思案にふけるヘリを、イヌはもうすっかり慣れた様子で見守っていた。

「さて、もうデザートも食べたし、コーヒーを飲んだらホテルに戻ろう」

そそくさと、店を出ようとするイヌをあわててヘリが止めた。


「やだ。もう1度踊りたい」

「今度は一人で踊ってくればいい」

「だめよ。あなたと一緒じゃなきゃ、嫌」

ヘリが一生懸命食い下がるように言った。

「私、高校生の時は勉強ばかりしていて、パーティーなんて楽しい経験が無かった。
男の子とダンスだってしたこと無かったの。でも、映画で見るような舞踏会にずっと憧れていたのよ。だから、イヌ。私の夢をかなえて欲しいの」

「たしか、君の、恋人としたい33のリストの中には無かったはずだけど?」

「それは」

ヘリはピンッとなって言った。

「昔の私が作った架空の恋人としたい33のことよ。でも、恋人のソ・イヌとしたい33のリストにはあるわ。一緒にダンスを楽しむって」

ヘリの機転の答えにイヌが黙った。

「ねえ、イヌ。今日、お互いにいいダンスの思い出を作るっていうのはどうかしら?
悪い提案じゃないはずよ。言っておくけど、来年のクリスマスまでに考えておくっていうのは無しだからね。ただ、…あなたがどうしても嫌だって言うなら私は諦める」

ヘリが見せた一瞬の寂しそうな表情は、演技では無いと分かっているイヌだった。

養父が嫌がらせでこの店をすすめたわけでは無いことも。

「嫌じゃない」

イヌが言った。そして立ち上がると、ヘリに手を差し出した。

「一緒に踊ってくれるか?ヘリ」

「ええ、もちろんよ。イヌ」

ヘリはイヌの手を取ると、勢いよく立ち上がった。

再びダンスフロアに戻ったイヌとヘリは、チークダンスのポーズをとった。

密着した体でリズムをとって、踊り出した二人の息はぴったりのように思われた。

「…最高」

ヘリが嬉しそうに呟いた。

「ね?そうでしょ?」

ふと見上げると、イヌももうまんざらでは無い顔になっていた。
心からヘリとのダンスを楽しんでいる。

「このまま0時過ぎまで踊り明かすか?お姫様」

「それは難しいわね。私、王子様とやりたい事が他にもあるから」

いたずらっぽく笑ってヘリが言った。

「やりたいことって?」

耳元で囁くように聞くイヌの低く甘い声に応えるように、
ヘリは、黙ってイヌの首に頬をすりよせた。

…クリスマスに恋人としたい秘密のリストよ。

心の中で言って、ヘリは、イヌの肩に頭をもたれるように寄り掛かった。
そんなヘリの体を、イヌはしっかりと手で引き寄せ、抱きしめるように踊った。

まるで舞踏会の恋人の王子と姫のように。

こうして、店内は、ロマンチックなムードでクライマックスまで盛りあがり、
ヘリとイヌは、初めて恋人とのダンスを楽しんだのだった。

そして次に。
クリスマスに恋人としたいことにヘリが選んだのは…



「これだよな」

イヌがバーボングラスを掲げた。

ステージは、ダンスフロアから、ホテルのバーに場所を移していた。

「そうよ。マ・ヘリと美味しいお酒はどこに行っても切れないわ」

ヘリもカクテルグラスをイヌの方に掲げた後、
満面の笑みで口をつけた。



(「聖夜の祈り」22話に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ジョン・リー…イヌのアメリカの養父
ジェニー・アン…イヌの親友・同じ事務所の弁護士


続きは明日更新予定。
予約投稿になります。←予約投稿できるくらいようやく余裕が(涙)


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「聖夜の祈り」20話です。

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聖夜の祈り(20話)



レストランにはゆったりとしたワルツが流れていた。

照明はやや暗くなり、
かわりに温かみのある緋色のランプの灯がフロアを照らしている。

各テーブルの上のキャンドルライトがフロアを囲み、
ダンスする人々も、その姿を楽しみながら食事をしているカップルたちも、
そのムードの中で皆うっとりとした表情を浮かべていた。

・・・一人をのぞいては。


長身でシックなスーツを身にまとったイヌは、
東国の皇子のような気品を漂わせていた。

対してエスコートしている女性、ヘリも、
スラリとした長身の美女で抜群のスタイルの持ち主だった。

着ているお手製のドレスは、まるで人気デザイナーが作ったオートクチュールのよう。

さまざまな異国の人種が集まった場においても、
この時のイヌとヘリのカップルの完璧な美しさは人々の目を引いていた。
だが・・・。

「ねえ。イヌ、顔がこわばってるわよ。緊張してるの?」

ヘリはイヌの肩に手をおくと、囁くように聞いた。

「してない」

淡々と答えて、イヌは事務的な手つきでヘリの腰に手をあてた。

「リラックス、リラックス。あ、お気にいりの靴だから足を踏むのだけはやめてちょうだいね」

もう完全に楽しんでからかっている様子のヘリを軽く睨んだ後、
イヌはヘリをリードして動き出した。


硬い表情に反して、イヌの動きは優雅だった。

ヘリもその動きにぴったりとついていった。

イヌに言ったことは嘘でもはったりでも無く、
ヘリは子どもの時からダンスを教えられていた。

社交場で恥をかかないように、
将来、上流階級の男性を結婚する事を想定して、
ヘリの父サンテが、ヘリにダンスを習わせていたのだった。

とはいえ、大人になってから男性と組んでダンスをする機会がほとんど無かったヘリで、
自らも進んでダンスをしたいと思うまでは好んでしていたわけでも無かった。

恋人としたい33のリストの中にも無い。

それに、まさかイヌと一緒に踊ることになるとも思っていなかったのだが。

「ふふふ、楽しいわね」

ヘリがイヌに嬉しそうに囁いた。

「僕をからかうことがか?」

イヌのむすっとした問いにも、ヘリは楽しげにこっそり舌を出した。

「それもあるけど、ダンスもよ。大人になってから違う踊りならしていたけど」

「ああ、そういえば、クラブでハメを外して逮捕された新米検事さんがいたな」

イヌが逆襲するようにそっけなく言った。

痛い思い出をつかれたヘリだったが何か思い当ったようにハッとした。

「ちょっと待って。そういえば、あれも貴方の仕業だったんじゃないの?」

「なんだって?」

「そうよ。弁護士として助けを呼ばせて、それで私に恩を売るつもりだったんでしょ?
変だと思ったのよ。あの日に限って摘発されるなんて。あなたが警察にこっそりリークしたんでしょ?」

すっかり思い込みモードで尋問を始めたヘリにイヌがため息をついた。

「過去の君の黒歴史の黒幕を全部僕のせいにしないでくれ。確かにいくつかは仕組んだことだけど、君は予想の範疇を越える行動をする人だからね。何もしなくても自分でやらかした事も数知れずあるはずだ。それを僕が助けたことも1度や2度じゃない。そうだろ?胸に手をあてて良く思い出すんだな」

「思い出しても、どこまでが貴方にはめられたことか、どこまでが自分ではまった事か分からないわ」

「僕のはそれくらい周到に計画してたからね。自然に仕組まれるように」

「偉そうに言っているけど、それ褒められない事だからね」

「もういいから」

イヌが苦笑しながら、ヘリの腰を手で引き寄せてステップを踏んだ。


「ダンスに集中しろ」

「私はしてるわよ。あなたの方こそ、ディナーに夢中になれって言ってたじゃない。
ダンスにも夢中になってよ。確かに上手だけど、楽しくなさそう。本当はダンスに何かトラウマがあるんじゃないの?」

じとっと探るような目で見つめるヘリから視線を逸らせたくても、
密着している体がそれを許してくれそうも無かった。

「…君の聞きたいことを話してやるから、一度席に戻らせてくれ」

イヌの申し出にヘリはぴたっとステップを止めると、「いいわよ」とウキウキした足取りで席に戻って行った。

席に戻ったイヌは、手元にあったグラスの水を飲み干すと、
前の席でわくわくした眼差しで待っているヘリの方に目をやった。

こうなったら、話すまでこのレストランを離れることもさせてくれそうもない。

イヌは、しぶしぶといった態で口を開いた。



(「聖夜の祈り」20話に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


先日まで2話分くらいの文字数を1日で更新していることに気づきました。
以前なら、その文字数でも毎日更新してたんですけどね。。。自分7年前はどうやって書いてたんだろ?(汗)
昨日までは5年停滞していたサービスってことで♪←全然足りませんよ。

ご訪問ありがとうございます。
拍手、拍手コメントを送って下さった方もありがとうございます。

そうなんですよ♪

みつばの中で、
イヌはかっこよくて何でも出来て、
でも、
自信過剰に見せかけて、不安を抱えたら意外に落ち込んじゃったり、
用意周到とか言っておいて、抜けてるところが沢山あるし、
支配したいSなのに、甘えん坊のマザコン系(笑)ぽい部分もあるんです。

そのあたりを見て頂けて嬉しいです。

でも、イヌの欠点も愛してるみつば。

イヌの、怒った顔も、
悲しんでいる顔も、
笑った顔も、
むくんだ顔も←こらっ
全部好き♪

なんでしょうね。
5年近いブランクがあっても、イヌへの想いは消えてないってひしひしと感じます。
まあ、5年くらいイヌとは遠恋してたって感じかな。←妄想花畑の世界でね。

小説の続きはまた明日更新予定です。

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聖夜の祈り(19話)



イヌの母の眠る墓地を後にしたヘリとイヌは、繁華街に向かった。

降りだしていた雪は、イヌの車が目的地に着くころにはやんでいた。


「ベタだけど、観光っていったらこの辺りだな」

そう言ってイヌが案内してくれる所をヘリは巡った。

「帰ったらママに見せるわ。ユナにも自慢しちゃお」

時には、通行人に、イヌとのツーショットを頼みながら、
ヘリははしゃいで写真を撮っていた。

「それにしても、良かったのか?昼食がホットドックで」

「いいの。これがここで食べたかったの。
あなたの方は、物足りない?」

「いいよ。でもディナーの分はお腹をすかせておいて、
ホットドッグはほどほどにしろよ」

「今夜のレストランも、ジョンお父さんお勧めのお店だったわよね?」

「ああ、彼女とイベントディナーを考えているなら、一度はあの店に行っておけ、と強く勧められてね。僕は行ったことが無いけど、父のお気に入りの店だ。だから料理の美味しさは保障出来るな」

「楽しみね。私、このクリスマス休暇はちょっとふくよかになってもいいって気持ちでいるの。だから美味しいって思った料理は遠慮なく食べちゃうつもりよ」

「酒もだろ?」

イヌが笑った。

「今夜泊まるホテルは父がプレゼントしてくれたところだけど、そのホテル内のバーも父のおすすめらしい。雰囲気がすごくいいと言っていた」

「イヌは行ったことが無いの?」

「父と一緒には無いよ」

「他にも、友達とか、そうじゃない人と一緒に、とか…」

最後の方、もごもごと言いながら、探るような眼差しのヘリにイヌが失笑した。

「そういえば無いな。父がホテルやバーを勧めてくれたのも今度が初めてだから。
たぶん、僕にも内緒にしていた父の秘密の場所だったのかもな」

「じゃあ、どうして今回イヌに教えてくれたのかしら?」

きょとん、と首をかしげ考え込んだヘリを横目で見て「僕は、その答えが何となく分かる」とイヌが言った。

「そうなの?何?」

「いや、自分で悟ってくれ」

「えー?もったいぶらないで教えてよ」

「もう、僕に頼らないじゃなかったのか?人に聞いてばかりじゃ、いつまでも新人検事から抜けられないぞ」

「また、深く広く探れって言うんでしょ?
昔から同じアドバイスを言っているあなたも全然進歩ないんだから」

「こういうことは、人に教えてもらうことじゃないからだよ。
君には、もうその意味が分かるだろ?ヘリ」

「うーん…うん?…んん・・・」

まだ、分かったような分からないような顔で首を傾げているヘリにイヌが微笑して、手にもっていたカップのホットコーヒーを飲み干した。


その後、

観光地をめぐり、ショッピングも終えたヘリとイヌは、その日泊まるホテルに向かった。
ホテルは、イヌの養父がイヌとヘリ、二人へのプレゼントとして予約してくれた所だった。


「さすが、お父さんのお勧めね。素敵な部屋だわ」

ヘリは、部屋のソファでくつろぎながら言った。

ベルボーイに案内してもらったホテルの部屋は、上階のデラックスルームだった。

ニューヨークの老舗で有名な高級クラシックホテル。
エレガントな装いを感じさせる調度品に囲まれた部屋。

イヌの実家とは違っていたが、ジョンの好みはこんな感じなのだろうか、と想像させる雰囲気もあった。

「なんだか落ち着くわ。懐かしく感じるくらい」

「君のお母さんの好みと似ているからじゃないか?」

「あら、そういえば…」

イヌに言われてヘリは改めてキョロキョロと辺りを見渡した。

…昔の家の中の雰囲気と少し似ているかも。それにしても…。


「イヌは、どうしてママの好みを知っているの?」

「何度か君の家にお邪魔して中を拝見させてもらったからね。
チン検事の元家ではあったけど、今の家具やインテリアは君のお母さんが変えたものだと思ったからさ」

「でも、パパの好みじゃないってどうして分かるの?」

「会社の社長室の雰囲気と違ったからだ」

淡々と答えながらクローゼットの前で荷物をほどくイヌの後ろ姿をヘリは見つめた。

イヌは、以前、サンテが経営していた会社の社長室を何度も訪れていたはずだった。

弁護士として。

普通に答えているが、その時期からまだ1年半くらいしかたっていないのだ。
まるで何十年も前の他人事だったように思えても。

インテリアや内装など些細なことであっても、イヌの記憶には残っている。

空気をかえるように、ヘリはわざと明るい調子で言った。

「あなたって記憶力がいいのね」

「記憶力がいいのは君だろ?僕には洞察力があるんだ」

「でも、昔の私のことも覚えていたでしょ?」

「ああ、そういえば、頭にヘアバンドをしていた」

「カチューシャと言って。可愛かったでしょ?」

「そう可愛いカチューシャだったな」

「違う。カチューシャの話じゃなくて、わ、た、しが」

「覚えてない」

「嘘。君は変わらないなって言ってたじゃない。忘れたとは言わせないわ」

「忘れてない」

トランクを中に押し込んだイヌは、クローゼットの扉を閉めた。

「変わってないよ。単純なところが」

ヘリの座っているソファの前に立ち、
むくれたふりのヘリの膨らんだ頬をイヌが指で撫でた。

「今もね」

イヌに指で触れられただけでドギマギして固まったヘリにイヌが笑った。

「ほら、変わってない」

「…ほんと、あなたの意地悪も変っていないわよ」

ヘリは、悔しそうに、イヌの手を軽く払うそぶりをすると、
ソファから立ち上がった。

「今夜は、もっと可愛くて素敵な格好をするんだから。
その姿もしっかり覚えておいてちょうだい」

「もうディナーの支度をするのか?まだ少し時間がある」

「これ以上あなたにいじめられている時間は作りたくないの。
“いたずら”される時間もね。だから着替えてしまうわ」

そう言ってクローゼットの方に歩いていくヘリの後ろ姿を
イヌはやれやれという手振りで見た後、自らも後に続いた。

ドレスコードのあるレストランということで、
ヘリがパーティードレスを着込んでいる横で、イヌもシックなスーツ姿に着替えていた。

イヌのスーツ姿は見慣れていたヘリも初めて見るような服に目を見張った。

「そんな服持っていたの?」

「いたよ。職場のパーティーに呼ばれた時は着ていた」

「職場のパーティー?そんなのがあるの?」

「たまにね。でも、こっちでは着ていたけど、韓国では着てなかったかな」

…養父さんの会社のパーティーね。

ヘリは合点がいったように頷いた。

「素敵よ。パーティーじゃなくても時々着てみればいいのに」

「クライアントに会うには不向きだ」

「私と会う時によ」

「だから、今着てる」

イヌがそう言って、ヘリの姿を眺めた。

「君のそのドレスも初めて見たな」

「そうなの?気付いた?」

ヘリがイヌの言葉に嬉しそうにぱあっと顔を輝かせた。

「この服、私が作ったものなの。それも完全オリジナルのデザインで。
どうかしら?」

「へえ、そう聞くまでどこかのデザイナーの新作ドレスだと思ったよ。
でも、いつ作ったんだ?クローゼットにこんな服あったかな?」

「イヌは見て無いと思うわ。だって作ったのは、あなたからNY行きの話を聞いてからだもの」

イヌが目を丸くした。

「あの短期間に作ったのか?」

「そう。クリスマスをあなたとNYで過ごすんだって想像したら、こんなデザインのドレスを着ている自分を急に想像しちゃって。パパっと描いたデザインを今度はどうしても作りたくなっちゃって、すぐに布を買いに行って、仕事から帰ってからミシンかけて…で、
どうにか間に合ったってわけ」

この年末の忙しい時に。

しかし、嬉しそうに話すヘリに大変さはみじんも感じられなかった。
きっとすごく楽しんで作っていたのだろう。
何かいい発想が思いついたら、すぐ行動にうつしてしまうヘリのことだ。
マンションの部屋で一心不乱にドレスを作っている姿が想像できた。

やはりヘリは天才なのかもしれない。

そうは思っても、
ヘリを助長させないために、イヌは感心した想いを面に出さないように努めた。

ヘリは、イヌからクリスマスプレゼントでもらったネックレスを取り出し、
イヌの方に掲げた。

「このネックレス。今のドレスにも合うと思うの。つけてくれる?」

「OK。お姫様」

そう言って、イヌがヘリの首にネックレスをつけた。

「どう?」

「うん。やっぱり素敵。まるであなたがこのドレスの存在を知っていて選んだ気すらするわ」

「父へのプレゼントのシャツとカフリンクスみたいにね」

イヌとヘリは同時に笑った。

イヌがチラリと腕時計に目をやるのを見てヘリが言った。

「レストランまで時間がかかるの?」

「いや、このホテルから歩いていける距離だ」

「お父さんおすすめのレストランに、おすすめのホテル…。
まるでデートコースね」

自分の言葉にヘリ自身が、ん?となった。

…もしかして、これって、ジョンさん自身の秘密のデートコースだったとか?
昔の恋人…、もしかして、まさかイヌのお母さんと…、ううん。友人だったのよね?
でも、でも、ちょっとつきあっていた時期もあったとか?その可能性はあるわよね。
でも、やっぱり、ジョンさんの片思いで…そう、イヌに対するジェニーさんのような…?

考えに没頭するヘリをイヌが呆れた目で見つめていた。

「君の妄想力で今度は何を悩んでいたのか分からないけど、僕に聞くなよ?」

「聞かないし、言わない」

ヘリがあわてて首を横にふった。

ジョンのことにしろ、ジェニーのことにしろ、イヌに聞けることでは無い。

「じゃあ君が余計な事を考える余裕が無いほど、今夜のディナーに夢中になってくれ」

「ディナーだけじゃなくて、あなたに夢中になれって言いたいんじゃない?」

「言わなくてももうなっているだろ?」

「相変わらず自信過剰な人ね」


そんな感じで、素敵なホテルの部屋の中、重厚、可憐な服装に身を包みながらも、いつもと変わらない軽口の応酬をしているうちに時間が過ぎていき…。


予約の時間になり、
イヌとヘリは、ホテルから3ブロック先のレストランに入った。


そこはヘリの思い描いていた通りの素敵なレストランではあったのだが、
予想外な内装に驚いてあたりを見渡した。

「ねえ、イヌ。中央に広い空間があるんだけど、もしかしてここって何かのイベントやショーが見られるの?」

「そうだな。君の新作ドレスのお披露目発表会が出来るんじゃないか?」

「ドレスの発表会の話はしないで。私、もうすっかりトラウマになっちゃってるんだから」

「平気さ。今度は審査員にも高得点をもらえると思うよ」

「審査員って誰よ?他のお客?それともあなた?」

店内は、イヌとヘリのようなカップルでほぼ満席状態だった。

正装していて、男性はタキシードやスーツ、女性はドレスを着込んでいた。

若いカップルもいれば往年のカップルもいる。

このレストランの常連なのか、店内の内装を不思議がっている様子は無い。
皆、それぞれのテーブルで和やかで楽しげに互いのパートナーと談話している。


ごく普通にウエイターがやってきて、イヌとヘリは飲み物と食事の注文をした。

他の客たちもそれぞれ自分達の注文した酒や料理に舌鼓をうっている。

料理は、さすがイヌの義父のおすすめの店なだけあって、どれも美味しかった。
店内にはロマンチックな気分を高めるほどムードあふれる音楽も流れている。

ヘリがデザートをほとんど食べ終えようとした時、
レストラン中央の広間に、2組のカップルが出てきた。

そして、音楽に合わせてダンスを始めた。


「上手ね。お店の方かしら?ここではダンスショーを見せてくれるのね」

ヘリがデザートのフルーツをほおばりながら言った。

「1組は違うようだな。それに…」

イヌが言いかけた時、さらに3組のカップルがテーブルから立ち上がって、
ダンスに加わった。

「仕込みじゃなさそうだ。ここは食事以外にダンスも楽しめる店らしい」

「え?そうなの?イヌ、それ、お父さんから聞いてた?」

「いや。聞いてない」

イヌがフロアを見ながら苦笑した。

「…父にはめられたな」

「はめた?」

ヘリがきょとんと首を傾げた。

「どういうこと?お父さんがイヌと私に嫌がらせをするとか考えられないわ」

「嫌がらせじゃない。でも、父の悪戯だ。君じゃなくて僕への」

「お父さんの悪戯?このお店をあなたに勧めたのは、何か魂胆があったってこと?
それが、このダンスしている人々?」

「ああ。ここは父がお気に入りのレストランって事には変わりないはずだ。
ただ、ダンス愛好者の為の踊れるレストランって事だ」

「あなたは全然知らなかったの?」

「父を信じて、この店はリサーチして無かったよ」

イヌがそう言って、ふと何か思い出したように、ヘリの方に顔を向けた。

「そういえば、父が昔言っていた。
イベント時にダンスフロアになるレストランがあるから、いつか恋人が出来たら行ってみたらいいと。
その時は全く関心が無かったから、空耳程度に受け流したんだが…
まさか何年もたって来させられるとはね」

「もしかして…イヌ、ダンスが苦手なの?」

「苦手じゃない。ただ、好んでしないだけだ」

ひっかかりのあるような口調と、しかめた眉で、
イヌの「弱点」を見つけたような気分になったヘリだった。

そして、ニヤリとしたい気持ちを抑えて、せいいっぱい気の毒そうな顔を作った。

「誰にでも不得意ってものはあるものね。何でも完璧に出来る男っていうのもつまらないもの。大丈夫よ。イヌ」

「その憐れむふりで、面白がっているような目はやめてくれ、ヘリ」

「あら?ばれちゃった?」

「誤解するな。僕はダンスも得意な方だ」

「そうなの?でも、言葉だけじゃ、ちょーっと信じられないのよね」

こんな楽しいネタは逃さないわよ!というヘリのわくわくした顔にロックオンされたイヌは、諦めたように吐息をついた。

「…わかった。君は踊りたいんだろ?」

「ええ。でも、一人で踊って来いなんて言わないでね」

悪戯っぽく唇に指をあててヘリが言った。

「そう言いたい所だけど、そんな事をさせたら、周囲の僕たちを見る好奇の眼差しに居づらくなりそうだ」


おそらく、こうひっそりと思われることだろう。

…彼女を一人で踊らせている…きっと彼氏は踊れないのね。可哀そうに。

イヌはもう一度盛大なため息をつくと、
立ち上がって、ヘリに向かって手をさしのべた。

「僕をたきつけておいて、この後に及んで踊れないとか言わないよな?」

「こう見えてお嬢様育ちよ。一通りの教養は身につけさせてもらっているわ。
いくつかを除いてはね。でも、ダンスはそれに含まれてない」

ヘリはイヌの手をとると立ち上がって言った。

「だから、王子様のダンスのお手並みを拝見させていただくわ。
心の準備は出来ていて?」

イヌは返事の代わりにヘリの手を自分の腕に絡ませると、
エスコートするようにダンスフロアの方に歩いていった。


(「聖夜の祈り」20話に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ジョン・リー…イヌのアメリカの養父


続きは明日更新予定です。

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「聖夜の祈り」18話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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聖夜の祈り(18話)



ヘリは、墓石に置かれた白い薔薇の花束の横に、
持っていたフリージアの花束をそっと置いた。

白い薔薇の花びらは、新鮮な艶を放っていた。


「昨日の仕事帰りか、それとも、今日、早朝に来たのかもしれない」

イヌの父、ジョン・リーは、クリスマスイブも仕事に行くと行っていた。
その足で、イヌの母に会いに来たのかもしれない。

「クリスマスには大切な人に会いたいから…」

ヘリの心からの声の呟きに、イヌもかすかに頷いた。

しばし、二つの花束を見つめて立っていたヘリとイヌだったが、
やがて、ヘリが口を開いた。


「ねえ、イヌ、ちょっとの間だけ席をはずしてくれない?」

「え?」

「私、お母さんと二人で話したいことがあるの」

「父の時は一緒にいたのに?母には僕に聞かせたくない話でもするのか?」

「ええ、そう。あなたの今までの悪行の告げ口をね」

ヘリが笑った。

「冗談よ。でも、お母さんとは女同士でお話ししたいことがあるの。
女子トークっていうやつ?だから、ちょっとの間だけ時間をちょうだい」

「わかったよ」

イヌが軽い吐息をついて周囲を見渡した。

「少し、この周辺を歩いてくる。君が凍える前には戻ってくるけど、
目の届く所にはいるからな」

「日中だから、怖がってないわ」

怖がりのヘリを墓地に一人にしておくことを気遣っているイヌだった。
強がるヘリに、イヌが笑った。

「何かあったら呼べよ」

そう言って、イヌは母親の墓地から離れていった。

イヌの遠ざかる背中を見送った後、
ヘリは、イヌの母親の墓石の前に腰を落した。

「こんにちは。はじめまして。キム・ミョンスクさん」

ヘリが言った。

「私、ヘリです。マ・サンテの娘のマ・ヘリです。
あなたに最初に会ったら、どうしても言いたいことがあって…。」


無言の墓石の前で、ヘリがじっと窺うように1度口を閉じた。

「ごめんなさい」

ヘリはそう言って頭を深く下げた。

「父のかわりに、父のした事を謝ります。
父の選択した行動のせいで、あなたにとても辛い思いをさせてしまったこと。
愛するご主人と、息子さんと離れ離れにしてしまったこと。本当に、ごめんなさい」

ヘリの言葉が聞こえているのであれば、
イヌの母親は今、何と思っているのだろう。
何と、言葉を返すのだろう。


ヘリは、そんな事を考えながらも言葉を続けた。

…それから。

「私は、今息子さんと、ソ・イヌさんとお付き合いしています。
この交際をお許しください」


謝る時よりも、声が震えた。

ミョンスクの心情を考えれば、この許しは受け入れられないかもしれない。

自分の大切な家族を失う理由となった男の娘。
それは、ヘリが生きている限り切り離すことの出来ない縁だ。

それに、ジョンの話を聞いて、ヘリはさらに確信していた。

夫を失ってから渡米したイヌの母ミョンスク。
ずっとイヌが幸せになることだけを望んでいたことを。

そのミョンスクが、韓国で、イヌがヘリと共にいることを認められないかもしれない。

それでも…。

「私、ソ・イヌを愛しています。
私、誰かを愛するって、以前はよく分からない感情でした。
でも、イヌと会って、これが人を愛することなんだって知ったんです」

だから、イヌが自分を求めてくれているなら、私はもう遠慮しない。


手を伸ばして、イヌの手をとって前を向いて一緒に歩いていきたい。
その先の未来が見えなくても、今、ここにいるイヌの事を信じて一緒に生きていきたい。


そう強く決心したのだから。


「あなたの代わりにはなれないかもしれません。
でも、あなたの分までイヌの側にいたいと思っています。許して頂けるのなら、どうか…」


ヘリは、胸の前で両手を組み合わせた。


…安らかに見守ってください。


心からの祈りをささげるように、ヘリは深く頭を垂れると目を閉じた。



しばらくして、ゆっくりとこちらに近づいてくる人の気配でヘリは瞼を開けた。

「イヌ…」

「母さんとの話は終わった?」

イヌが、ヘリの横に並んで腰を下ろした。

「ええ。終わったわ」

「そうか」

イヌは墓石を見つめた後、そっと手で触れた。

「あの時…母が亡くなった後、僕には、母を父の元に連れ帰る術が分からなかった。
知らせを聞いた養父が来てくれて、それでこの墓地に埋葬してくれた。
僕はただ見ていただけだった」

「まだ子どもだったから」

慰めるように言うヘリにイヌが小さく頷いた。

「ここに来るたびに考える。
母は、あの国が嫌になったって言っていたのは、半分は僕をアメリカに連れてくる口実で、
本当はいたかったのはでは無いかと。父の元を離れたくなかったはずだ。
だけど、僕のために…」

…そう考えるようになったのは…。

イヌがヘリを見た。

…15年前のことが解決して、僕がヘリと別れて渡米してから。

愛する人と遠く離れて二度と会えない。でも会いにいくことは出来ない。
身を焦がすような想い。

そんな状況に心が引き裂かれそうになっていく。

イヌはアメリカで自身の想いを母に重ねていた。

…こんな辛い思いを母に今もさせているのではないかと。

悔悟と迷いの色を瞳に浮かべて自分を見つめるイヌを、
ヘリはじっと見つめ返した。

「イヌのお母さんは…」

ヘリが言った。

「もうお父さんと会ってるわ」

不思議そうに目をしばたたかせるイヌにヘリが続けた。

「イヌのお母さんは、亡くなられた後、すぐにお父さんに会いに韓国に行ったと思うの」

「どうしてそう思うんだ?母は祖国が嫌になったと言っていたのに」

「嫌になったのは、お父さんのいなくなった国だから。
でも、愛する人がいるところが行きたい場所」

ヘリがそう言って、目の前のフリージアの花にそっと手で触れた。


「私だったら、そうすると思うから」


ヘリの囁きのような声がイヌの心の中に響いた。

「お母さんは、ジョンさんにイヌのことを託していたから安心してお父さんに会いに戻ったんじゃないかしら。そして、イヌがアメリカにいる時も、韓国にいる間も
ずっとお父さんと二人でイヌのことを見守っていたの」

ヘリの言っている事は、どこかで聞いたような話だった。

亡くなっても、愛する人のそばにいる…。

ただ、そう思いたくても、思えないほどイヌの心は深く傷ついていた。
あの日、自分のせいで母が事故にあったと思わずにはいられなかったから。

でも、ヘリから聞くと、その言葉は違うように胸に響いた。


母の墓に来るたびに、心の奥底に沈ませている辛い記憶が蘇り、
深い悲しみと後悔を感じずにはいられなかった。

それが、今変わろうとしている。

無言の母の代わりに、
ヘリが母の本当の姿を見せてくれた。

父と母が寄り添いながら自分を見つめ、笑顔を向けている。

そんな光景が心に浮かぶような気持ちになった。

「母さんは父さんと一緒にいるんだな」

願望ではなく、確信のようにイヌは呟いた。

「あなたのそばにも」

そう言ったヘリの手にイヌが自らの手を重ねた。

今なら信じられる。

「うん。…そうだ」

母は今愛する人のそばにいる。
そして、僕も今、愛する人と共にある。

母への想いと、ヘリを愛しいと思う気持ちに包まれて、
イヌはこみ上げてくる涙を押しとどめるように空に目をやった。

おりしも、白い雪が落ちてきた。

まるで、イヌの想いの答えのように。

雪は、優しく空から降って来て、イヌの頬に落ち、
そして溶けて流れた。

ヘリも黙って、イヌと同じように空を仰いだ。

イヌに強く握られている手の温かさを感じながら、
ヘリは祈るように目を閉じた。



(「聖夜の祈り」18話に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

キム・ミョンスク…イヌの実母
ジョン・リー…イヌのアメリカの養父


ご訪問ありがとうございます♪

拍手コメントも届いております。
管理の都合上、現在は非公開(他の方には読めない)に設定しているので、
送ったコメントが、書いた方には後で確認できない状態で
ご不便おかけしてます。
みつばの方にはちゃんと届いているのでありがたく読ませて頂いてます♪


来月でもなく、来年でもなく、
続きは明日更新予定です。←念押し(笑)

話は、まだまだ続きます。

↑番組はまだまだ続きますって言って、
残り1分未満だったりよくありますが(汗)
「聖夜の祈り」は本当にまだ数話続きますよ~。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「聖夜の祈り」17話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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大変お待たせしました!!
検事プリンセス長編シリーズの最新話更新再開です。




聖夜の祈り(17話)



「イヌのお父さんにご挨拶した時のように、お母さんにもお会いしたいって。
そう思ったのは、あなたからクリスマスをニューヨークで過ごさないかって言われた時よ」

決して、今思いついたことでは無いとヘリはイヌに説明した。

「ただ、今回じゃなくて、いずれって気持ちもあったわ。でも、ジョンさんとお会いして、いろいろ話を聞いていたら、やっぱりお母さんにもお会いしたいって強く思うようになったの。今まで言い出せなくて…ごめんなさい」

ムードから察すれば、確かに今する話では無かっただろう。

先ほどまで熱く抱き合っていた甘い空気が変っていて、
とろんとしていた二人の瞼は、今はしっかり開けられている。

ずいぶんと迷ったのかもしれない。
それでも、はっきりと心に決めた時のヘリは、まっすぐで揺るがない。
その事をもうイヌは熟知していた。

「ヘリ。君が謝ることじゃない」

イヌが言った。

「君には今回ここで休暇を存分に楽しんで欲しかった。だから言い出せなかった。
天候もあまり良くなかったから、君を母のところに案内するのは次の機会にと考えていたけど…」

イヌはふっと伏し目がちになって思いだしたように微笑した。

「そうだな。大事なことを先延ばしにするのは駄目だと、よく母が言っていたな」

「ええ。私には大事なことなの。だからお願い」

ヘリが両手を合わせた。

「明日、お母さんに会わせて」

正確には、墓地で眠っているイヌの母親に。

「わかった」

イヌが言った。

「母の墓地は郊外にある。家とは違う方向になるし、時間も少しかかるから、
明日はホテルを早く出ることになるけどいいか?」

「もちろん。車の運転は私がするから。ナビがあるから平気よ」

「それは断るよ。土地勘が無い上に雪道を君に運転させたくない。
助手席でいびきをかいて眠っていていいよ」

「いびきはかかないわよ。…眠っちゃうかもしれないけど」

言ったとたん、ヘリはふわ~とあくびをかみ殺した。

ずっとイヌに言いだしたかったことが解決できた安堵で一気に眠気が襲ってきていた。

そんなヘリの頭をイヌは手で引き寄せると、自分の腕枕の上に再び収めた。

「さあ、もう眠って。明日の予定は車の中でもゆっくり決められる」

「うん。出発前にクリスマスプレゼントも渡したいから…おやすみなさいイヌ」

「おやすみ」

ヘリの額にそっと口づけるイヌ。
それを合図のように、ヘリは目を閉じた。


…ヘリ…。
しばらくヘリの寝顔を見つめていたイヌだったが、
規則正しい寝息を耳元で感じながら、ゆっくり目を閉じた。


翌朝。

ホテルのベッド脇の時計にセットしておいたアラームの音が鳴った。

いつもなら、起きてしばらくはボンヤリとしている事の多いヘリだったが、
すっきりした目覚めで、イヌの腕枕から起き上がっていた。

「イヌ、起きて。サンタさんが来てる」

「サンタなら今ごろベッドの中で休んでいるんじゃないか?」

苦笑まじりで伸びをしながらイヌも起き上がった。

「いい子にプレゼントを置いていったはずよ。
私のはあるかしら?あなたの分はあるか分からないけど」

「そう、君の分は僕がサンタから預かっている。僕は確かにいい子じゃないが、いい男だから、きっといい女がプレゼントをくれるって思ってたけど?」

うふふ、とヘリが満面の笑顔で、イヌの軽口に応えた。

「じゃあ、私が代表でプレゼントをとってくるわね。
あなたが預かっているプレゼントはどこに入っているの?」

「クローゼットのボストンバッグの中だ。ピンク色の包に金色のリボンがかかっている箱を見つけて」

「了解っ。サンタの代理人さん」


そう子どものようにはしゃいだ声でベッドから出ると、
ヘリはいそいそと荷物の置かれたクローゼットの方にむかった。
そして、すぐに目的の物を見つけると、
うきうきした足取りでイヌが腰かけて待っていたソファの方に戻って来た。

手には、ピンク色の包の細長い小さな箱と、
白い布に朱色のリボンでラッピングされた大きめの包みを持っている。

「はい。ヘリサンタからクリスマスプレゼントよ♪」

ヘリがイヌに白色の包みを差し出した。

「“ひどい男”でももらっていいのか?」

「いい男ポイントがたまっていたから今年はラッキーだったわね。
でも、これでポイントを全部使っちゃったから、来年の分は今から頑張って貯めてちょうだい」

「“昨夜のサービス”もポイントに加算された?」

そう、にやりと意味深に笑うイヌに、ヘリが照れ隠しで睨むふりをした。

「そんないやらしい事を言う人のプレゼントは没収するわよ?
いいから、開けてみて」

「OK。検事サンタさん」

イヌは笑いながら、ヘリから受け取った包みを丁寧に開いていった。

手にとった柔らかな感触で何となく中身が想像できていたが、
それは、毛糸で編まれたカーディガンだった。

やや生成りの白いカーディガン。
細めの毛糸で編まれ、複雑な模様も入っている。
裏に『ヘリのハンドメイド』と書かれたタグが縫い付けてなかったら、
高級ブランドで売られている物だと思うほど美しく仕上がった手編みだった。

しばらくカーディガンを無言で見つめ続けているイヌに、ヘリが少し心配になって声をかけた。

「ねえ…イヌ?どう?」

「うん」

…すごく凝っている。

イヌがカーディガンを裏返したり、持ち上げたりした。

「ずいぶん時間をかけたんじゃないか?」

「んん…、まあ、一応。でも、私、手先が器用だから。
ほら、料理じゃない物なら得意なのは知っているでしょ?
編み物は好きだから。あと、その…彼氏に手編みの物を贈りたかったの。
最初の過ごすクリスマスに。それで、カーディガンなんてどうかな~?とか考えて。
薄めのカーディガンなら、春先や秋でも、肌寒い時に着られるでしょ?」

緊張したり、照れたりしている時のヘリはいつも以上に饒舌になる。


「その…もし気にいってくれたら、時々部屋の中で着てくれると嬉しいんだけど…」

目線を泳がせて、モジモジとしながら話すヘリにイヌは返事の代わりに、ちゅっと軽い口づけを落した。

「着てみていいか?」

「もちろん。もう貴方のだから、そうして見せて?えっと、鏡の前で着てみてよ」

ヘリはイヌの腕をとって、全身鏡のある場所に連れて行った。

イヌにきっと似合うと思って選んだ毛糸の色。考えたデザインだった。
イヌの体のサイズも、着ている服を参考にしてしっかり寸法を測っていた。

イヌがカーディガンに手を通すのを、ヘリは息をのみながらじっと見守った。

「…どう?」

「うん。ぴったりだ」

鏡で自分の姿を確認しながら、イヌが頷いた。

「でも、もしかして重かった?」

「いや、着心地はとても軽いよ」

「ううん。そうじゃなくて…」

ヘリが戸惑いながら言った。

「プレゼントに手編みの物なんて、気持ち的に重いって感じちゃうかな~?って」

イヌの真意を窺うようなヘリの表情にイヌの顔がほころんだ。

「全然重くない」

「そう?」

ほっとした顔をしたヘリに、イヌがさらに微笑みかけた。

「ああ、すごく暖かい。とても気にいった。嬉しいよ、ヘリ。ありがとう」

こういう時なのだ。

いつもは茶化して答えるイヌが、
肝心な時は、ちゃんと真面目にヘリの心に応えてくれる。

イヌを好きになって良かった、と心から思える時。


「う、うん…どういたしまして」

ヘリは、はにかみながら、ぽりぽりと頬をかいた。


「じゃあ、君のプレゼントも開けてみて。
いい女にふさわしいと思って、サンタ代理で僕が選んだ物だ」

…何かしら?

イヌのヘリへのクリスマスプレゼントは、
箱から見て、アクセサリーの類が入っているように想像出来た。

でも、指輪は以前プレゼントしてもらった。

ヘリはわくわくしながら、包み紙とリボンを丁寧にほどくと、箱を開けてみた。

そして、

「素敵…」

ヘリは思わず呟いた。

中には、赤いルビ―の石がついたプラチナネックスが入っていた。


「とても素敵だわ。イヌ。私、こういうのが欲しかったの」

ネックレスと手にとってうっとりとした表情で言うヘリにイヌが至極満足そうにうなずいた。

「つけてあげるよ。後ろを向いて」

イヌはヘリからネックレスをうけとった。
そして、ヘリの後ろに座り、ヘリのうなじに垂れた髪を手の甲でそっとかきあげると、
ルビーの石を前に、ネックレスの留め金を閉じた。

「どう?君に似合うと思って選んだ」

ヘリの胸元に、美しい朱色の宝石が光っている。

それは、化粧気無しのヘリの顔にも、十分似合っていて、
まるでヘリの一部のように輝きを放っていた。

やや大粒のルビーはとても上質の物だと分かった。
ヘリは、ネックレスを見下ろして今さらのように恐縮した顔になった。

「これ、すごく高かったんじゃない?」

「さあ、値段のことはサンタに聞いてみないと」

恍けるイヌに、ヘリは当惑したようにルビーに触れた。

「私、もうこのクリスマス休暇であなたから沢山もらっちゃってるのに。
航空券に、ホテル代、食事も、あと…」

イヌは、ヘリがそれ以上言わないようにヘリの唇に指を押し当てた。

「それはいいって言っただろ?ここに君を呼んだのは僕だからね。
それに、君には初めてのクリスマスに形ある物もあげたかったから。
気にいったのなら、それ以上言いっこなしだ」

きっぱりと言うイヌに、ヘリははにかんで頷いた。

「うん。とっても気にいったわ。
ありがとうイヌ。大切にする」

「うん」

今にもキスしそうな表情のヘリに、照れ隠しのようにイヌが企むような顔つきになった。

「これは、“首輪”だから、なるべく外さないようにしろよ」

「え?何?そういう意味なの?指輪だけじゃ所有欲は満足できないわけ?」

「じつは、ネックレスの石の中に発信器が埋め込んであるから」

「え?そうなの?」

とっさに本気にしてネックレスのルビーを持ち上げたヘリにイヌが失笑した。

嘘だとようやく分かったヘリが、じとっとイヌを睨んだ。


「君のそういう素直なところが好きだよ」


イヌが笑いをおさめて、ヘリを引き寄せると、もう一度そっと口づけを落した。
今度はゆっくりと、優しく、甘いキスだった。

「僕たちのハッピークリスマスに」

「うん…」


つもった雪をも溶かすような長いキスを堪能した二人は、顔を離すと
微笑みながら互いの額をそっと摺り寄せた。


そして、朝食をとった後、部屋の荷物をまとめたヘリとイヌは、
泊まっていたホテルを出発した。

向かう先は、イヌの母が眠るニューヨーク郊外にある墓地だった。

雪はさほど積もってはおらず、路面の凍りつきも無かったために車は順調に進んだ。


「イヌ、この休暇の中でも開いている花屋はあるかしら?」

「墓地の近くにも何軒かあったはずだ。
それに花屋はこの時期かきいれ時だから開けている店も多い」

「私、イヌのお母さんにお花をさしあげたいの。
お母さんはどんなお花が好きだった?」

「母が好きな花か…」

イヌが黙った。

父の好きな花はフリージアだった。
だから、家の中でもよく母が飾っていた。
でも、母の好きな花は何だったのだろう?


忘れてしまっているのか、それとも聞いたことが無かったのか。
その記憶は曖昧だった。

「僕が母に会いに行くときは、フリージアを持って行っている。
母が韓国の父を思い出せるように」

イヌの答えに、ヘリが頷いた。

「花屋にフリージアがあったらそうするわ」

そして、1時間ほどのち。

イヌの車は、昔、時々利用していたという花屋に停まった。
そして、色とりどりのフリージアを花束にしてもらい、ヘリはそれを恭しく手に持って、
助手席に戻った。

フリージアの優しく甘い匂いが車内に立ちこめている。

「いい香りね」

「ああ、父はフリージアのこの香りも好んでいたんだろうな」

イヌが車の運転をしながら、チラリと道路標示に目をやった。

「もうじき着くよ」

見渡すと、道路並木の向こう側に広い墓地の敷地が見えてきていた。

…ここにイヌのお母さんが。

イヌは、墓地の駐車場に車を停めて、車から降りると、
助手席のヘリをエスコートした。

「雪はあまり積もっていないけど、足元に気をつけて。少し歩く」

ヘリは頷くと、イヌの手をとって歩き出した。

やや薄靄のかかった冷たい空気の中、
無数の墓石が並んだ広い墓地は、しんっと静まり返り、
厳かで神聖な空間に感じられた。

見渡せる墓地の中で、墓石に佇む人達の姿もまばらに見える。

ヘリは、その光景を見た後、
無言で歩き続けるイヌの背中を見つめながら黙って歩いていた。

やがて、イヌが立ち止まった。

「ここだ」

ヘリは、イヌが見つめた先に目をやった。

“キム・ミョンスク”

周囲にはなかったが、
その墓石の上には白い雪が積もっていた。

しかし、一瞬、そう雪のように見えたのは、白い花だった。

白い薔薇の花束が、イヌの母親の墓石の上にささげられている。

厳かで、清らかで、

そして、それは、悲しくなるほど美しかった。

まるで、秘めた想いの結晶のような花。

ヘリにはそう見えた。

「父さんが来ていたんだ」

ぽつりと呟くように言ったイヌにヘリは頷いた。




(「聖夜の祈り」18話に続く)


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