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韓国ドラマ「火の女神ジョンイ」の二次小説「永遠の器」の最終話です。
最終回のラストからの続き、としてお読みください。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


「火の女神ジョンイ」最終回、ラストの方のあらすじ。

王の次男、光海君と、宮中の陶器製造施設「分院」の女陶工職人、ユ・ジョン。
身分違いでありながら、幼い頃に出会った時から惹かれあい、密かに想いあっていた二人。
倭国との戦の中、光海君は世子となり戦場に赴く。そこで初めて、光海君に自分の想いを伝えるジョンだったが、分院の仲間を救う為に倭国に行くことを決め、一人国を去っていった。ジョンを必死に追った光海君だったが、ジョンはすでに船出した後だった。



永遠の器(最終話)



「ああ…シム・ジョンスさん…」

グッピは、眠気眼を手で擦ると辺りを見渡した。

そこは、器を作る工房の外の作業場だった。
しかし、そこは分院ではなく、都から離れた山林の中の窯。
グッピとジョンス、他数名の職人達で作った共同の小さな作業場だった。

あれから・・・
倭国との戦の後も、宮廷の陶器製造所である分院はしばらく閉鎖されていた。

そして、ジョンのおかげで、倭の国に連れていかれる事のなかった分院の仲間達も
混乱の最中散り散りになっていた。
ある者は、家族と都を離れ、ある者は器作りを辞めて別の職についたようだった。

ようやく分院が再開されるという知らせがあった時には、
もうグッピもジョンスも分院に戻る気を失くしていた。

分院でなくとも、器は作れる。
民の使う器を民のために。民の住む場所で。

あの、ユ・ジョンが一時期、そうして器を作っていたように。

そんな志を同じくする仲間が集まって、今、グッピとジョンスのいる窯が出来た。

分院で培った技で作った陶器は評判も上々だったが、
あくまで日常品として安価に売り、グッピもジョンスも器を作りながら、細々と生計を立てていた。


ジョンスに起こされたグッピだったが、
どうやら、昼食をとった後、作業台につっぷして眠っていたらしかった。

「ジョンスさん。今さっき、懐かしい名で呼びましたね」

「ああ。オ錬正。何度呼んでも返事が無かったからな」

「確かに、オ錬正の方が、長い間呼ばれていましたから。
それで、体の心配をして起こしてくださったのですか?」

「いや、それもあるのだが、今日は早く作業を終えて、家に帰りたいのだ。
それで、お願いしたいこともあってな。今夜は娘家族が家に来るんだ」

「そうですか。確か、先月三人目のお孫さんがお生まれになったんですよね。
娘さんと婿殿もお元気ですか?」

「ああ、可愛い孫たちもファリョンもユクト殿も元気だ」

そう言って、ジョンスは相好を崩した。

かつて、シム・ジョンスの娘、ファリョンは、自身の欲の為に、
親友、ジョンを裏切り、恩人である商団のソン行首を死に追いやっていた。

その結果、愛する男、キム・テドはいなくなり、商団の行首を追われた。

そんなファリョンをずっと支えていたのが、ジョンの母違いの兄、イ・ユクトだった。

ユクトは、ファリョンにずっと利用されていた事を知ってからも、
ファリョンを気にかけていた。

戦の混乱のさなか、ジョンスと共にようやく探し出したファリョンは、
すべてを失くし、自暴自棄になっていた。

父親であるジョンスの励ましも叱咤ももう耳に出来る状態で無かったファリョン。

そんなファリョンを見捨てず、側にいて見守り続けていたユクト。
ユクトも又、分院には戻らなかった。

『イ辺首(ピョンス)、今後の分院をお願いします』

最後のジョンの頼みでもあったが、ユクトはもう、自分が分院の辺首に立つ者で無いと自覚していた。

ユクトは、自ら窯をたちあげて、器を作り始めた。

そして、毎日、ファリョンの様子を見に行った。

何も責めず、何も願わない。
ただ、ファリョンが元気になってくれたら嬉しいと。

器の話や、その器を買いに来る人々。四季の移り変わり、街の様子。
そんな話を毎日しにくるユクトに、ファリョンにも少しずつ変化が現れた。

食事をとり、身の周りの事を出来るようになり、
そして、ジョンスとも話をするようになったファリョン。

ようやく笑顔が出る頃、ファリョンはユクトの仕事を手伝うようになっていた。

そこから、二人が夫婦になるまでには、ごく自然の流れだった。

今では、窯の近くに住まいを構え、3人の子供にも恵まれていた。

ジョンスは、娘夫婦と住まいは別にしていたが、
頻繁にお互いの家を出入りして、仲良く交流していた。


「あの頃の、分院にいたユクト殿を思い出すと、今のユクト殿とあまりにも違うので、
別人じゃないかと思ってしまいます」

グッピの言葉にジョンスが頷いた。

「確かに別人のようだ。だが、器を作る腕は今でも素晴らしい。
きっと国1番と言ってもいいだろう。それに、もともと誠実な男ではあったのだ。
父親や、あの場所の顕示欲が彼の性根を曇らせていただけなのかもしれない」

「そうですね」

「しかし、うむ。分院か。懐かしいな」

「懐かしいといえば…」

グッピはフフッと思い出し笑いをした。

「また、先ほど、眠っている時に夢を見ました」

「夢?もしかして、またジョンの夢か」

「はい。あの子の夢でした。それも昔の夢ではなくて、
今のあの子の夢です」

グッピは、よくジョンの夢を見たと言って、ジョンスに話して聞かせていた。

それは、ジョンが倭の国に行ってから、
そこで暮らす姿だった。

倭国に行った先人として、窯の集落の人々を導いていったジョン。

倭国の名をつけられ、
苦労と年月を重ねていったジョン。

「チヨという名は、どうやら、最初は、千の器を与える女、という意味でジョンにつけられた名らしいです。それが、『千年の器を作る人』、という千代になったようで」

遠い目をして、まるで、本当に見てきたかのように語るグッピ。


「ジョンらしい名じゃないか」

「ええ。他国に行っても、あの子はあの子です。
いい器を作る事を第一に考えて」

「それで、今日、見た夢ではジョンはどんな様子だったのだ?」

「それが…あの方と一緒に器を作っていました」

グッピの言う、あの方というのが誰のことがジョンスには分かった。

かつての光海君。

宮廷の分院の外とはいえ、その名を口にする事を控えなければならないほど、
情勢は昔と大きく変わっていた。


国の情勢を建て直す為に、世子となっていた光海君が奔走していた事は
噂でしか知らず、その後、王となってからは、庶民の中で暮らしていたグッピやジョンスにとって、ほとんど知らない世界の人となっていた。

元々が、高貴な身分の方ではあったものの、
分院で毎日のように、その姿を目にしていた時代が、それこそ夢のように思えた二人だった。

そんな光海君が、分院を訪れるたびに、真っ先に誰かの姿を探していたことに、
グッピもジョンスも気づいていた。

「あの方は、いつもジョンの姿を目で追っていらっしゃったな」

「ジョンもですよ。本人たちは必死で隠そうとしてましたけど、分院のほとんどの者は薄々知っていたんじゃないでしょうか」


密かに想い合いながら、仕事を隠れ蓑にするように、ひっそりと逢瀬を重ねていた事を。

沙器匠になるという目的を持っていたジョンだったが、
辛い日々の中、光海君の存在は、ジョンに光を与えていたのではないか。

そして、光海君も。

ジョンがいなくなってしまった後も。
ジョンをずっと想いつづけていたのではないか。

それは単なる邪推にしても、そう思わせるほど、
ジョンを見つめる光海君の眼差しには、腕を見込んだ職人以上の想いがあるように見えた。

そんな二人を、分院の仲間達は、噂通りに薄々感じとりながらも、
黙って見守っていたのではないだろうか。

はた目からでも、それは、淡く、純粋で、
不用意に触れれば壊れてしまいそうな儚い禁断の恋に見えた。


「一人の女を追って、危険を顧みずに国を渡って、一介の職人として生きていくのは大変なことだろう」

「あの方には、そんな事は大変では無いのでしょう」

グッピが言った。

ジョンのいない地で朽ちていくくらいなら、一目でいい。
最後に会って、話しをしたい。

抱きしめるどころか、
別れの言葉すらいえなかった後悔を背負って
残りの人生を生きていたくない。

出来る責務をすべて果たした後、
男が望んだことは、愛した女に会うこと。

それが叶うのなら、命も惜しくない。

そんな想いでジョンと再会して一緒にいられるのなら、
なんの障害もあの方の妨げにはならないだろう。

「夢の中で二人は幸せそうでした」

グッピは続けた。


「寝食を共にし、
日中は、器を作り、昼飯時には、集落の幼子を膝に抱いてご飯を食べさせながら、
仲間やジョンと談笑したり。すっかり生活になじんでいらっしゃって。
そして、1日の終わりに、ジョンはあの方の為に、汁飯をこしらえ、
あの方は、ジョンの疲れた腕を撫で労いながら、酒を酌み交わしていました」

グッピが語るジョンの話は、本当に夢で見たことなのか。

それにしても、毎回、あまりにも鮮明だった。

本当は、グッピの作り話なのかもしれない。それとも、
ジョンがこう生きていてくれたらという、願望なのかもしれない。

それでもいい、とジョンスは思っていた。

むしろ、グッピの話が現実であると信じ込もうとさえしていた。

分院の仲間達のために一人倭国に渡ったジョン。

ジョンのおかげで、今、自分は、こうして住み慣れた故郷で、
器を作り続けられ、娘家族と共にいられることになった。

感謝の言葉すら届かないところにいるジョンを想って、
ジョンスは切なげにスンっと鼻を鳴らした。

「ジョンが今、幸せに生きていてくれるなら私は嬉しいよ。
それに、ムン師も、喜んでいるだろう」

「ええ…」

ジョンの師匠のムン・サスンは、ジョンが倭国に去ってから間もなくして、
病を悪化させて亡くなっていた。

グッピとジョンスは、そんなサスンの最後を看取っていた。

「わしがもっと若かったなら…せめて健康であったなら、あいつと一緒に行ってやったのに。あいつなら大丈夫とわかっとるが、技以外、何もかもを、この国に置いていったあいつが不憫でならんのだ」

そんな風に、サスンは、最後まで一人で他国に渡った愛弟子の心配をしていた。

ジョンが、倭国でも素晴らしい器を作り続けることは信じながら、
ジョンが、幸せに暮らしていて欲しいと願い続けていたのだろう。

「きっとムン師匠はジョンの事を見守って下さっているでしょう」

「師匠は、ジョンとあの方のことを知っていたのかな?」

「どうでしょう。ジョンは、師匠にも誰にも話はしなかったと思います。
たぶん、自分の心すら偽って、分院にいたでしょうから」

偽るしかなかった。

光海君にも。
自分にも。

それが、二人それぞれの道を歩いていくためにしなければいけない試練だったから。

「あの戦の時。あの方の陣営に行ったまま、あの方の側にいることも、
そのまま逃げることも出来たのに…」

ため息をついたジョンスにグッピはかぶりを振った。

「あの子は逃げるためでも、あの方の陣営に、何とかして欲しいと、助けを求めに行ったわけでもないのです。あの方があの時点ではもう分院だけの為に動けない身分であることを知っていた。そして、もうあの時には、すでに覚悟していたんでしょう。
皆のために一人で倭国に行くことを。だからこそ、命をかけて、あの方に会いに行ったのです。最後に一目会いたいと」

「…ジョンは、あの方に想いを伝えたのかな?」

「そうだと思っています。だから、あの方もジョンに会いに行った…」


たった一言。想いを伝えるために。


グッピは、作業台の隅に積み上げていた器の一つを手にとった。
そして、それをしげしげと眺めた後、ぽつりと言った。

「きっと、あの方は、どんな優れた沙器匠でも作れない器を欲していたのでしょう」

「ジョンが作った器ということか?」

「器は、手荒く扱えば割れてしまい、その原型をとどめる事は出来ません。
形あるものは、いずれ土に戻ります。ジョンの作った器もです。
あの方は、ジョンの作った器を手に入れたかったわけでは無いはずです」

「そんなことは破器 匠だった私にも分かる。
なら、一体、あの方は何を求めていたと言うんだ?」


首をかしげたジョンスにグッピは微笑んだ。


たった一言。

二人が命をかけてまで伝えたかった想い。


たった一言。

相手から聞きたかった想い。


それを求めて、手に入れたのだと。



「…そうだといいな」

ジョンスの感慨深げな言葉に、グッピが朗らかに「そうですよ」と答えた。


「ああ、そうだな。」


グッピは、ジョンと光海君に祝福を送るかのように、
手にした器を空にむかって高く掲げた。

ジョンスも目を細め、器を見上げた。


その時、グッピとジョンスの脳裏に、
汗を流しながら、真剣に土をこねる、ジョンと光海君の姿がはっきりと見えた。

近くで作業しながら、時折、誰はばかることなく
顔を見合わせて微笑み合う二人の姿が。


二人は声に出さずに、相手に言った。


―――あなたを、愛しています。



生涯をかけて欲した、永遠の器。


人は、それを愛という。




(終わり)


火の女神ジョンイの二次小説「永遠の器」完結です。
続きを待っていて下さった方、ありがとうございました。

この小説に関しての思いや考えはのちに「あとがき雑記」で
述べるとしても、これで、「火の女神ジョンイ」の二次創作はおしまいです。

3話の小説、気になっていた箇所の修正しました。
誤字もあったのですが、ちょっと今は見落としてしまったので、
とり急ぎ、「ジョン」の呼び名を「千代」に統一。
「千代」イコール「ジョン」なのではあるのですが、
構成が不十分で、書き方がバラバラになっていた部分の修正なので、
文章は変わっていません。


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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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