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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「月が見ていた」です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


このお話は、現在更新中の「聖夜の祈り」より未来の出来事です。



月が見ていた



頬に触れていく秋の夜風が冷たい。

気温はさほど下がっていないはずなのに。
どうして、こんなに寒く感じるのだろう。

そう思うのは、
きっと、もう時間が無くなっているから。

…恋人と一緒にいられる暖かい時間が。


ヘリは、うつむき加減だった顔を上げて、
隣にいるイヌの横顔を心細げな瞳で見つめた。


満月が美しい夜。

別れの前に、少しだけ一緒に外を散歩して月を見たいと、
ヘリの言った我儘をイヌは快諾してくれた。

手をつないで、夜道を歩いて。

人気の無い通りに入り、
田園へと続く小道を二人は黙って進んでいく。

月を見たいと言ったのに、
ヘリは、ほとんど空を見ていなかった。

隣いるイヌの気配と、握っている手の温もりだけを感じながら、
暗がりの地面にぼんやりと目を落して歩いていく。

一歩、一歩、歩くたびに、刻々と。

イヌとの時間が失われていくように感じ、
ヘリは、泣きそうになる気持ちを必死におさえていた。

そんなヘリに気付いているはずのイヌは何も言わない。

ただ、ヘリの手をギュッと握りしめたまま、
唇を閉じ、ほんの少し前を見つめて黙々と歩いていた。


そうしている間に、風景はヘリの知らない場所になった。

そろそろ、帰路に折り返さなくてはいけない。

ヘリが意を決して足を止めようとした時。

「ここで、しばらく月を眺めようか」

イヌが言った。

「でも・・・」

心配そうなヘリに、「大丈夫だ」とイヌが答えた。

「まだ時間はある。ほら、座ろう」

ヘリが返事をする前に、イヌは、さっさと草むらの上に腰を落した。

ヘリはおずおずとそれにならって、イヌの隣に座った。

土手の少し下。

周囲に人は見当たらない。
ただ、まばらに伸びた電柱の外灯だけが
遠くで小さな光を放っている。

もう刈り取られた田に稲は無く、
高く伸びた雑草も、緑を失いはじめていた。

虫の声以外、しんっと静まりかえった月夜の下界に
まるで、イヌとヘリ以外誰もいないかのようだった。
 

「今日の月はとても綺麗に見えるな。
満月には魔力が宿るっていうから、そのせいかな」

イヌのおどけた声にヘリは「うん」と小さな相槌をうった。

秋の虫の涼やかな音色も、憂いたヘリの耳には届かず、
煌々とした月明かりすらも目に入っていない様子だった。

「明日も晴れて、見えるといいな」

「うん…」

「どこにいても。僕にもヘリにも月は同じように見えるんだよな」

「・・・うん」


イヌの言葉にヘリの生返事が続いた。

…こんな顔をイヌに見られたくない。

もう別れなくてはいけないのに、
離れる前に、こんな泣きそうな顔を最後に見られたくはない。

そんな想いで
ヘリは、涙がこぼれそうになっている顔を
腕で抱えた両ひざの上に伏せた。

イヌはそんなヘリの横顔をしばらく見つめると、
黙って手を伸ばし、座ったままヘリを抱き寄せた。

「泣いているのか?」

優しいイヌの声が余計ヘリを悲しくさせた。

「泣いてないわ」

「強がるなよ。僕と離れるのが寂しくて泣いているんだろ?」

「まだ泣いてないってば」

イヌが笑って、ヘリの肩を手で優しくゆすりながら、
抱きしめる力を強くした。

「また、すぐ会える」

「ええ、分かってる」

…全然分かってない。

ヘリは、自分の返事とは正反対なことを心の中で思った。

…すぐっていつ?明日じゃない。
明後日も会えない。全然すぐじゃない。
このままずっと、そばに居て欲しいって言いたい。

でも、そんな我儘を口に出来ない。
言ったら、ただ、イヌが困るだけなのだ。

それが分かっているから、
ヘリは、強くなっていく寂しさとひたすら葛藤していた。

そして、顔を上げたヘリは、
一生懸命、イヌに微笑んで見せた。

「すぐに会えるものね」

「ヘリ…」

悲しさと寂しさと不安が入り乱れた瞳で、
懸命に強がって笑うヘリの健気さにイヌの胸が締め付けられた。


…今、君も僕と同じ気持ちなんだろう。

離れたくない。


イヌは想いを口に出すかわりに、ヘリの体を
そっと静かに草むらの上に押し倒した。

…イヌ?

月光を背後にしたイヌを、ヘリは当惑の瞳で見つめた。

「そんな顔をするな」

イヌが言った。

「そんな顔って?」

「僕を誘惑している顔だ」

「誘惑って…私、そんな顔してないわ」

「してなくても、されたんだよ」

あわてて上半身を起こそうとしたヘリに、イヌが笑って、
ふざけたように体を伏せた。

「ちょっと、イヌ。ふざけるのはやめて」

悪戯でからかっているようなイヌに、
涙ぐんでいたヘリが、ようやくクスクス笑いながら抵抗した。

体の下の雑草がチクチクとしてくすぐったい。

人気の全くない田園の真っ暗な夜の土手。

そんな場所で、いい大人が戯れ合っているなんて。

「誰か見ていたらどうするの?」

「誰も見てないさ。こんな夜に農作業する人もいないだろ。
近くに民家も無い」

「やだ。分からないわ」

「誰かに見られたら恥ずかしいのか?
恋人とのラブシーンが」

「こんな夜に、それも外で見られたら恥ずかしいわよ。
イヌだって、嫌でしょ?」

「人だったらな」

イヌは、至近距離で下にいる恋人を見下ろした。

月の光に照らされた美しいヘリ。

離れるのが寂しいと、全身で訴えている可愛い恋人。

誰にも見られたくなんてない。

…離れたくなんてない。


イヌは、草むらに乱れ散っているヘリの髪の毛をそっと手で撫でた。

「でも、今は月しか見てないよ」

…そんなのは言い訳にならないわよ。

ヘリの反論を封じるように、イヌがヘリの唇を塞いだ。

イヌとキスをしたまま、ヘリはうっすらと目を開けた。

イヌの背中ごしに見える月は丸くて、明るくて。

ぼんやりと見ているうちに、ヘリの心の中にも
その光が入ってくるように感じた。

だんだんと寂しさは消え、かわりにイヌへの愛しさだけが残った。

唇を離した後、
ヘリは上にいるイヌに手をまわすと、ギュッと抱きしめ返した。

イヌの肩口に顔を伏せると、
ヘリは、目を閉じた。

「…もう大丈夫」


小さく、そっと呟いたヘリの声色は、穏やかで
やわらかかった。

…もう平気。
イヌと離れても、それは、永遠じゃない。
また、『すぐ』会えるから。
だって、私達は、こうして強く結ばれてるんだから。

だから、もう大丈夫。

強がりでなく、今度は本当の笑みを見せたヘリに、
イヌは小さくため息をついた。

「勝手だよな」

イヌは、悪戯っぽく、でも、ちょっと不満げに肩をすくめてみせた。

「人を煽っておいて、自分だけさっさと納得するなんて」

「ごめんね」

素直に謝り、ぺろっと舌を出してみせたヘリにイヌが苦笑した。


そして、ヘリの頬に手をおくと顔を近づけた。

月を背にしたイヌの企むような瞳が、
暗闇の中で魅惑的に輝き、ヘリを捕えていく。


「僕はまだ大丈夫じゃない」

―――まだ、君を離したくない。

耳元でそう囁くイヌの低い声が、ヘリを更に甘く誘って。


…これもきっと満月の魔力のせいだわ。

そう思いながら。

草むらの上で、
ヘリは、イヌの体を抱きしめ返しながら、そっと目を閉じた。


(終わり)



みつばの検事プリンセス二次小説シリーズ、2シーズン(セカンドシーズン)の中の短編「月が見ていた」でした。

シーズンって何?なのですが、
みつばの検事プリンセス二次小説は最終回の完結まで全部で3シーズン(サードシーズン)まであります。
長編ものはほとんどプロットが出来てますから。ラストもね。

それで現在は?
「聖夜の祈り」はどのへんかというと、1シーズン(ファーストシーズン)のようやく半分あたりです。
先は長いですよ。←この更新スピードだから余計。

しかし、短編だから普通に読めるのだけど、やっぱり2シーズンなので、状況と環境が「聖夜の祈り」とは違うので、「?」な部分もありますよね。

「月が見ていた」も、つきあっていて、またいつでも会えるのに、ただ夜に別れるだけなのに、どうしてヘリがそんなにシリアスになってるの?って感じで。

同じくもう更新済みの未来の話。2シーズンの中の「温泉へいこう」「ハロウィンの夜」の流れで読むと何かに気付くかも?気付いても内緒で(笑)


今年の15夜は9月27日らしいですよ。
楽しみですね♪満月見たら、「月が見ていた」を思い出して下さい(笑)

ちなみに24日はイヌの誕生日です。
みつばが万一忘れていたら、どなたか声かけて下さい(汗)

それでは、「月が見ていた」裏箱版は、更新出来る時に♪
「裏箱」って表と違って、携帯やPadでは更新出来ないんですよ(汗)


今後は、検事プリンセス二次小説は、「恋人としたい33のリスト2」を完結と、
もう一つ書きたい短編があるのですが、それが書けたらということで。
・・・今年もクリスマス「聖夜の祈り」は終わらないのか←まだ数か月はあるから、がんばれっ。



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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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