韓国ドラマ「検事プリンセス」、みつばの夢小説8(二次小説)です。
夢小説というのは、読み手(書き手も(笑))が主人公になりきって読む小説のことです♪
普段の二次小説とどう違うかというと、
登場人物、三人称(へり、イヌ等)で書いている小説を、
一人称(私)というヘリ目線で書いてます。
なので、読んでいる「貴女♪」が主人公ヘリになりきって、読むことが可能です。
もちろん、イヌ×ヘリ好きの方は「私」を「ヘリ」で読んで下さいね。
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ロマンスは隠し事の後で職場の廊下の向こう側。
こちらに近づいて来ているイヌに気付いた私は、
回れ右して、逆方向に歩き出した。
昨日、デートで喧嘩別れしたままの恋人と自分の職場で顏を会わすなんて、
気まずい以外の何物でもない。
でも、私がイヌに気付いたように、
イヌの方も当然、私に気付いていたみたい。
後方で、近づく足音が大きくなって、
5秒もたたないうちに、後ろから腕をつかまれた。
「鬼ごっこのつもりか?」
視線を逸らしても、
至近距離で、
厭味っぽいイヌの声が、嫌でも聞こえる。
「遊んでるつもりはないわ。
職場に私情を持ち込みたくないの。
手を離してちょうだい」
「それでも、挨拶くらいしたらどうだ?」
「こんにちは。ソ弁護士。さようなら」
そっけなく言って、立ち去ろうとした私の腕を
つかんでいたイヌが、ぐいっと引き寄せた。
「痛い。何するのよ」
思わず振り向いて抗議した私の前に、
険しい目つきをしたイヌの顏があった。
…なによ。睨んだって怖くないんだからね。
私は、負けまいとするように、眉をひそめて見せた。
そんな私にイヌが実力行使に出た。
腕をつかんだまま、強引に私を引きずるように歩き、
避難階段の踊り場まで誘導した。
「ちょっと。仕事中だって言ってるじゃない。
戻らなくちゃ。離してよっ」
他には誰もいない階段で、
私はイヌに精いっぱい対抗するように、喚いた。
すると、
バンっ
そんな私の行き手を塞ぐように、
イヌが勢いよく壁に手をついた。
吹き抜けの空間に反響したその音が
やけに威圧的に感じて、私は反射的に動きを止めた。
イヌには珍しく荒っぽい所業。
「なによ。らしくなくすごんじゃって。
全然怖くなんてないんだからね」
私は精いっぱい去勢をはった。
内心、ちょっぴり驚いただけで、
びびってなんていないんだから。
イヌは、腹を立てても、手荒な事をする人じゃないって
知ってるから。
そうは、思っていても、私の瞳は動揺の色を隠しきれてなかったようだ。
「…こうでもしないと君は話を聞かないからな」
イヌが低い声で言った。
「昨日も急に機嫌が悪くなったと思ったら、意味不明なまま怒って帰ってしまうし。
感情的になると、こちらの言い分も聞かず、
自分の話だけして逃げる癖。いいかげん直せ」
「そんなの、確かに過去に何回があったけど、
昨日のことは別だからね。私は逃げてなんかいないわ」
「電話にも出なかったのに?」
「無視してたんじゃないわ。電話に出られなかったのよ」
…本当は3回中2回はわざと出なかったけど。
私のばればれの嘘を、イヌは当然見抜いていて、
軽いため息をついた。
「そんなに君を怒らせるようなことをした覚えはないけどな」
「あなたに覚えはなくても、こちらにはあったのよ」
「だから、それを話してくれないと分からないよ。
僕には、もう超能力はほとんど無いからね」
「ストーカーっていう超能力は無くても、恋人なら、
愛の力で分かるってもんじゃないの?」
「違うな。
超能力者は本気の恋をしたら、その力を失うんだよ。
冷静な判断力が鈍るから」
ふざけた軽口の中でも、
イヌの『本気の恋をしたら』という言葉と、
真面目な眼差しは、自分に向けられていると分かった。
「…本気で恋してるから」
私は、気まずげにうつむいた。
「本気で好きな人に、隠し事されたら嫌なの」
下を向いていても、目の前のイヌが怪訝な顔になったのが分かった。
「隠し事?僕が君に?なんのことだ?」
「とぼけないで」
私は、ぎゅっと自分のスーツの裾を握りしめた。
「昨日のデート中、カフェで、女性に会ったでしょ?
ほら、白いコートを着てて、あなたに会釈してた若い女性」
イヌは少し思い出す素振りをした後、「ああ」と答えた。
「私が誰?って聞いたら、あなたは、知り合いだって言ってた」
「言ったな。それがどうした?」
「私に知られたら、まずい知り合いなの?」
「昨日もそんな事を聞いていたな。
僕は、君がどうしてそんな事を思い込んだのか知りたいよ」
「だって、あなたの態度が何か変だったんだもの。
仕事関係じゃなさそうだったし、あの人ともわけありに目配せしてたみたいに見えた」
「ああ、なるほどな」
イヌが納得したように言った。
「君お得意の思い込みで、勝手に嫉妬して怒ってたわけだ」
「思い込みじゃないわ」
私はムキになった。
「どういう知り合いかって聞いても、なんだか曖昧に誤魔化したじゃない。
大人だったら、そういうことも割り切れって言うのかもしれないけど、
気になっちゃったんだもの」
なのに、イヌは、デート中その話題からわざと避けるようにしてた。
いつもは鈍いって言われる私でも、変だと思ってしまう。
「…だから、嫉妬してたのは、本当」
あの女性が、イヌのわけありの女だとして、
それを正直に打ち明けられたとして、果たして自分は、心が晴れたかと言われたら、
きっと全然そうじゃないだろう。
でも、隠し事をしているようなイヌはもっと嫌。
「イヌが私に隠してることを、あの人は知ってるのかな?って思ったら、
モヤモヤしてしまったのよ」
それでも、ずっと恍けたようなイヌに頭にきて、
デートの途中で怒って帰ってしまったというわけ。
「…そうか」
イヌが、今度は深いため息をついて、
少し思案しているように黙った。
しかし、きまずい沈黙は、長くは続かなかった。
イヌが、指で私の顎をとらえると、
うつむいたままだった私の顔を上げさせた。
ようやくかちあった視線の先で、
「しょうがないな」とイヌがつぶやいた。
「隠し事が悟られたなら、仕方ない」
私は目を見開いた。
イヌが二の句をつげるまで、
時が止まったかに感じた。
「隠し事してるの?」
「期間限定のつもりでしてたよ」
イヌは、着ていたスーツの内ポケットから
名刺入れを取り出した。
そして、その中の名刺を1枚取り出すと、
私に見せた。
「あの女性は、このブティックのチーフマネージャーだ」
「ブティック?」
私は、イヌの差し出した名刺を手にとって、
まじまじと見つめた。
そこには、私も知っている高級ブティックの名前があった。
昔は、よく買い物をしていたお気に入りの店。
「ファッション雑誌を眺めていた時、君がいいな、と言っていたバッグがあっただろう?
そのバッグがあった店だ。それをホワイトデーのプレゼントにと考えたんだが、
あいにく人気商品で、見に行った時には、もう店頭に置いてなかった。
それで、ホワイトデーに間に合わないかもしれないが、入荷したら連絡をくれるように、
頼んでいたんだよ」
「この名刺の女性が、あのカフェで会った人?」
「そうだ」
私は、ほっとしたと同時に一気に脱力したような気分になった。
「それなら、そうとはっきり言ってくれたら良かったのに」
「バッグの事はちゃんと入手してから知らせたかったんだよ。
まさか、誰かさんが、疑心暗鬼になってるなんて知らなかったから」
嫌味っぽく言うイヌの言葉にも、もう腹は立たなかった。
かわりに、勝手に笑みがこぼれた。
クスクスと笑う私に、イヌも口元をほころばせていた。
「誤解は解けたみたいだな」
「ええ。ちゃんと話せば、最初から隠し事なんて無かったのよね」
「だから、そう言ってる。君が僕の話を最初からちゃんと聞いていれば
こんなすれ違いは無かったんだよ」
「ごめんなさい」
素直に謝った私の横顔を、イヌがそっと指で優しくなぞった。
「安心しろ。君が勘違いするような隠し事はしていないから」
「うん。信じてる。これで安心して仕事に復帰できるわ」
にっこり笑って、コクリと頷いて見せた私に、
イヌはちょっと驚いた顔をした。
そして、少し視線をそらせて苦笑した後、
「…本当にしょうがないな」とつぶやいた。
「何か言った?イヌ」
きょとんとする私に、イヌがそっと短いため息をつくと、
今度は企むような笑みを見せた。
そして、「このまま戻したくなくなる」と言った。
「もう、何言ってるのよ」
おもわず失笑した私の顎をとらえて、イヌが顔を近づけた。
ほんの少し重なった唇。
いつものキスより軽いものだったが、
職場内での秘密の行為は、気分をおおいに盛り上げていた。
本当は、こんな軽いものじゃなくて、
深く口づけたいのに。
時間も、場所も気にしないで、強く抱き合って。
昨日喧嘩しなかったら、デートの後そんな風に過ごしていたのかな。
そんな事を考えて。
「イヌったら…」
顏を離して、
ほとんど抗議になっていないような、
自分の甘ったるい声を耳で確認した私。
そんな私とイヌも同じ考えだったようで。
イヌが悪戯っぽくクスリと笑った後、
私の耳元に顔を寄せた。
そして、こう低く囁いた。
「…仕事が終わったら、僕の部屋においで。
この続きをしよう」
「イヌ・・・」
こんないい声で、
しかも、心から好きな人に誘われたら、
魔法にかけられたみたいに体が反応してしまう。
条件反射のように、コクリとうなずいてしまった私は、
あわてて、わざとらしく腕時計に目をやった。
「じゃあ、もう行くわね」
「ああ、また後でな」
イヌは、私に手を振ると、
魅惑的な後ろ姿を向けて、そのまま非常階段を下りていった。
私は、職場の廊下に戻ると、
ちょうど、職場の先輩たちとばったりと鉢合わせになった。
「どうして、こんな場所から出て来たんだ?」
不思議そうに聞く先輩たちに、私は、とっさの理由が思いつかず、
「なんでもないです。ただ、運動してたんですよ」としどろもどろに答えた。
そんな私に、先輩たちがますます訝しがって、
「あやしいな。何か隠し事か?」と問い詰めてきた。
「なんでもないんですってば~」
その日。
ドキドキとときめきながら。
仕事後のイヌとの甘い時間を心待ちにしつつも、
やっぱり隠し事は刺戟的すぎるわ。と、
身に染みて分かった私なのだった。
(終わり)
「壁ドン」「顎くい」「耳つぶ」をイヌ×私(ヘリ)で
全部押し込めてみた。
つめこみすぎ(笑)
前も書いたけど、どーも、イヌには「壁ドン」とか「顎くい」なイメージが薄いです。
でも、「耳つぶ」はありかな。
二次小説でもよく書いてるけど♪
でも、やっぱり、イヌで「耳つぶ」って言ったら、アレでしょ。
…ベッドの中で。
汗ばんだ素肌。
頬に触れる、熱い吐息混じりで。
耳元に唇をよせたイヌが、
名前を呼んで、低く甘く囁く。
「ほら、イケよ」って―――。
…って、裏箱大人妄想じゃん!(爆)
「耳つぶ」ならぬ、「裏つぶ」ってやつ?←勝手なみつばの造語。
あとがきコメントで、自分で盛り上がるくらいなら、
最初から裏箱小説書けば良かったかな(笑)
「耳つぶ」でも「裏つぶ」でも、
イヌに甘く囁かれたいって、ソビョン病さんも♪
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