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こんばんは。みつばです。

blogに来て下さってありがとうございます。

特に、いつもに来てくださっている常連さんには、感謝しています。

3月に入って、いろいろありまして、前回、それでもブログを継続したい意志表明したのですが、思いとは別に、今実質的に創作がとても難しい状況です。


小説どころか、イラストすら描けません。

私には創作は生きる糧として必要不可欠な物なので、とても残念です。


いろいろというのは、私的で複雑な事情が一度に重なってしまった物なので、この創作ブログで説明出来ませんが、大好きな創作が無理だという状態という事で察して下さい。

ただ精神的な事情では無く、時間的に、体力的に無理だという状態です。

自分の都合だけでは、どうする事も出来ないので、状況が変わるまで、または、安定するまで、思い切って、ブログを休止する事にしました。

不定期でも、書ける時にアップという事も考えたのですが、どちらも中途半端にしたく無いので、二次創作書けた物は貯めて、復帰出来た時に更新するつもりです。


二次創作、とくに検事プリンセスの二次小説を楽しみに待って下さっている方、ごめんなさい。

みつばの、まだ頭の中にあるイヌ×ヘリの長い物語の続きは、みつばの命が続く限りは更新したいし、完結させたいです。

少し長くなるかもしれませんが、休養頂きます。

その頃、まだ検事プリンセスが好きでイヌ×ヘリ萌があれば、読みに来て下さいね。

拍手コメント。
子供の卒園祝のメッセージありがとうございます。

これからはネット環境からも遠ざかる状況なので、コメントやメールのお返事が出来なくなるかもしれません。


今までの拍手コメント、メールのお返事をまだ出来てない方も沢山いらっしゃいます。ごめんなさい。

少しずつ返していくので、待っていて下さい。

ブログを休むのは、とても寂しいですが、前書いた記事の通りです。

今しか出来ない事と、やらなければいけない事を優先で。どんな状況でも後悔しないように全力で。

いつか、ブログに来てくれた方に楽しんでもらえる記事が書けるように。

最後に永遠の別れじゃないですが、もう一度お礼を。


今まで「みつばのたまて箱」を更新出来て凄く楽しかったです。
沢山の応援、ありがとうございました。

検プリ最高!!
イヌ×ヘリ上等!(笑)


閉鎖はしないので、いつでも過去の作品を読んでいって下さいね。

それでは~。

いつか、又「みつばのたまて箱」でお会い出来る日まで、皆様お元気で。
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こんにちは。

花粉症数十年歴のみつばには、春めいた感じを
嫌でも体感する季節になってきました。

そして今年、私事ですが、上の子供が、卒園。

3年たちましたよ。
このブログを立ち上げてからも3年近くたとうとしてますが。
長いようであっという間でした。

本当にとても楽しかった。

一人の子供相手にいっぱいいっぱいで、
それまで、仕事をすることも創作する事も出来ずにいて。

でも、子供が幼稚園に入ってからは、少し余裕が出来て、
空き時間に好きな仕事も始めることも出来たし、
検事プリンセスに出会って、このブログを立ち上げて、
わくわく楽しく創作することも出来ました。

それに、それまで育児の悩みを相談できる人も周囲になく、
精神的にも、正直弱っていましたが、幼稚園では、先生や支援の方やよいママ友達に
沢山恵まれて、子供も私も安定して、楽しい日々を過ごせました。

育児中心は変わらず、でも、したい事も仕事も自分なりにせいいっぱいやれたから、
悔いのない3年間でした♪


このブログも、最初「検事プリンセス」がきっかけで始めたものだから、
だんだん、検事プリンセス好きの方が集まってくれて、とっても楽しかったです。

拍手や、コメント、メッセージ。少しでも反応が返ってくるだけで、
嬉しかったし、続けたいって思えました。

今までも書いたけど、
読者さん達がいたから、ここまで創作が続けられました。

本当にいい読者さんにも沢山恵まれました♪


ありがとう。

・・・という、ような言葉をママ友達に言ったら、
「永遠のお別れメッセージのようだよ」と笑われたけど。

みつばの子供は幼稚園の子供とは違う
地区の小学校に進むから、また知り合い、友人0からの環境スタートなの。


そして、まるで、ブログの読者さんにも
ブログも卒業するような、お別れメッセージのようですが、


一つの区切りですから。

出会いと別れを繰り返して、続く関係もあれば、
共通のものが無くなれば、終わる関係もある。

だから、一期一会なんだなって、事を噛みしめて、
みつばは、前に進みます。

そして、

出来る時に、出来ることしよう。
出来るなら、やりたいことは、後でじゃなくて、今やろう。
でも、今しか出来ない事を優先して、せいいっぱい頑張って、めいいっぱい楽しもう。

という、
本日は、リアルの私事雑記(決意表明?)でした。

不定期更新で、お休みが多くなる日もあるかもしれませんが、
これからもブログは続けていきますので、よろしくです♪


子供は卒園するけど、みつばは、検事プリンセスからも、イヌからも卒業しませんよ~(笑)


追伸:

ハ・ジウォンさん出演の新ドラマ。私も気になっていたんですよ~♪史劇で面白そう♪
ハ・ジウォンさん出演の人気ドラマの二次小説希望は多いのですが、
みつばも、面白く見てましたが、キャラ達にあまり感情移入できなかったので、まともな小説は難しいです。
ごめんなさい。でも、裏箱的なものなら、書いて(描いて)みたいかも(笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「聖夜の祈り」7話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話はシリーズの最新作になります。

「NYへいこう」「招かれるもの」の続編。



聖夜の祈り(7話)




ブランチを食べ終えたあと、
ヘリはイヌと一緒にジョンが運転する車に乗り込んで、スーパーに向かった。

車で20分ほど走ったところにある店内も、
クリスマスムード一色に包まれていて、
祝いの為の食材を買い求めにきている客で賑わっていた。

広いスーパーの中で、カートを押しながら、
どこに何があるのか、正確に把握しているらしいジョンは、
一緒に歩くヘリに気遣いながらも、迷う事なく、目的の場所に移動していた。

ジョンの側で歩いていたヘリは、普段、手にしないような、珍しい調味料の容器を手にとって吟味しているジョンに、感心したような眼差しを向けていた。

家は一人暮らしには広く、会計事務所の所長という立場で、日々の仕事も忙しいだろう。
だから、平日は、お手伝いさんが家事や食事の世話をしているようだったが、イヌの話からも、休日は、積極的に、凝った料理を作っているように見受けられた。

「父さんは、人を自分で作った料理でもてなすのが好きなんだよ」

ヘリの隣を一緒に歩いていたイヌが言った。

「僕が家にいた頃も、客人が訪ねてくる日は、お手伝いさんじゃなくて、
父さんが料理を作っていた。人のホームパーティーに呼ばれる時も、手作りを持参して行くこともあったな」

「そうなの?本当にお好きなんですね」

「人に美味しいって言ってもらえるのが嬉しくてね。
料理教室にも通っていたんだよ」

ジョンがヘリに楽しげにウインクしてみせた。

「そんなお父さんを見て育ったから、イヌも料理が好きなのね」

「どうかな」

イヌが首をかしげた。

「君のお母さんも、料理が得意で好きだけど、君はどうだ?」

「最近は好きになったような気がするわ。もともと嫌いだったわけじゃないのよ」

ヘリが、ぼそぼそと取り繕うように言った。

お金を払えば、外で美味しい物は、いくらでも食べられた。
だから、以前は、ただ、料理に関心が無かっただけ。

…もう。お父さんの前で、私の料理の腕前の話はしないでって、
言ったじゃない。
イヌったら、お父さんと一緒にいるとき、いつもより、さらに輪をかけて、
意地悪してくる気がするわ。

ヘリがジットリと、恨めしそうな上目使いで、イヌを見て、
イヌの方はヘリをからかうように、澄ました顔をしていた。

そんな二人を見つめながら、ジョンが口元をほころばせていた時、

「あら?ジョンじゃない」

と、明るい女性の声が、3人の注意を一斉にひきつけた。

ヘリが、声がした方を見やると、カートを押した中年女性が
ニコニコしながら、こちらに近づいてくる所だった。

艶のあるブロンドの巻き毛をしっかりと頭の上で結って、
上品で高級なコートに身をつつんでいたが、とても気さくそうな雰囲気だった。

女性のカートの中には、沢山の食材が入っていた。

「やあ、リジー」

ジョンが親しげな笑みを浮かべた。

「君も、クリスマスの買い出しかい?」

「ええ、そうなの。つい、あの子の好物の材料ばかり、
沢山カートに入れてしまったのだけど。
でも、今年は、あの子が帰って来ないって言っているから、
もう、何だか料理を作る気も失せちゃって…」

はあっと、ため息をついた女性は、ふと、
ジョンの後ろにいたイヌに気付いて、嬉しそうな顔になった。

「まあ。イヌもジョンと一緒に買い物に来ていたのね」

「こんにちは。おばさん」

イヌが、やわらかい笑みをうかべて、一礼した。

ジョンとイヌの態度から、どうやら女性は、
二人の親しい知人のようだった。

…ご近所の方かしら?

ヘリは、会話の邪魔にならないように、
イヌの影になるような立ち位置で、息をひそめていた。

ジョンとも仲が良いようだったが、
女性は、イヌに会えた事をとても喜んでいるように見えた。

「この前は、お土産を沢山ありがとう。イヌ。
私も夫も大好物なのよ。あのお菓子はネットでは扱っていないから」

「いえ。土産のほとんどは、彼女が買ったものですから。
僕はおばさん達に運んだだけです」

イヌの言葉に、女性が、今度はころりと表情をかえて、憂いてみせた。

「あの子もイヌに頼まないで、自分で持って帰って来たらいいのに。
ねえ、イヌ、あの子、クリスマスに家に帰って来られないほど、仕事が忙しいの?」

「今は違った仕事をしているので、詳しい事は僕にも、分からないのですが、彼女がそう言っていましたか?」

「そうなのよ。でも、変だわ。クリスマス休暇もとれないなんて。
いくら、仕事が忙しくても、クリスマスは帰ってくるものでしょう?
あっちで何かあったのかしら?それとも、もしかしたら、本当は…」

そう言って、じっとイヌを意味ありげに見つめた女性の視線が、
ようやく、その後ろにいたヘリの視線と重なった。

「あら?」と不思議そうな女性の眼差しに、ヘリが、小さく頭を下げた。

「もしかして、そちらにいらっしゃる女性は、あなた達の連れの方?」

女性の問いに、ジョンが頷いた。

「そうだ。紹介するよ。リジー。ヘリさん、おいで」

そう手招きされたヘリは、楚々と、女性の前に進み出て、ジョンの横に並んだ。

「今、私の家にお招きしている、韓国からいらした、マ・ヘリさんだ。
ヘリさん、彼女は、近所に住んでいる、親しい友人で、メリッサ・アン。
私はリジーと呼んでいるがね」

「こんにちは。はじめまして。マ・ヘリです」

丁寧にお辞儀をするヘリを、メリッサが物珍しそうに、
じろじろと眺めた。

そして、ハッと何かに気付いたように、メリッサが目を見開いた。

「マ・ヘリさんは、もしかして、うちのジェニーとも知り合いかしら?」

「え?」

ジェニーという名前で、ヘリもハッとして、
目の前の中年女性の顔を見つめた。

…メリッサ・アンということは・・・

「ジェニーさんって、もしかして、ジェニー・アンさんの事ですか?」

「ええ、そう」

頷くメリッサに、とっさの事にうろたえているヘリをフォローするように、
イヌが間に入ってきた。

「ヘリ。彼女は、ジェニーのお母さんだ」

「ああ~。ジェニーさんのお母様でいらしたんですね」

ようやく、分かったヘリは、あわてて、コクコクと頷いて見せた。

「存じています。ジェニーさんには、韓国で大変お世話になっています」

「そう。あなたが…」

あなたが…と、メリッサが感慨深い顔で、何か言おうとした後、
思い留まったように口を閉じた。
そして、口元に無理やり社交辞令的な笑みをうかべた。

「あなたも弁護士なの?」

「いえ、私は検事をしています」

「検事?…ああ、そうなの。それで、休暇に遊びにいらしたのね。
クリスマスなのに、ご両親からこっちで過ごす事を反対されなかったのかしら?」

「いえ、両親は別に…」

微笑んではいるけど、
急によそよそしく感じる雰囲気は気のせいだろうか?

初対面とはいえ、
先ほどまでの、ジョンやイヌと時とは明らかに違う空気に、
鈍いヘリもなんとなく違和感をおぼえて、戸惑った。

そんなヘリに助け舟を出すように、ジョンがスッとメリッサとヘリの間に立った。

「リジー。ヘリさんは、私がお招きして、わざわざいらしてくれたんだ。
あちらの国では、イヌが大変お世話になっている上に、おつきあいしている大事な女性だから、クリスマス休暇をぜひ一緒に過ごしたくてね。
ヘリさんの親御さんは、ヘリさんも私達も信頼して下さっているから、こころよく送り出して下さったそうだよ」

「…そう、イヌとおつきあいしている方なのね」

ジョンの言葉に、メリッサが、うなずいた後、
ニコリと固い笑みをヘリに向けた。

「余計な事を言ってごめんなさい。つい、異国に一人でいる娘の事を想ったものだから。
あちらの国で娘の方も、あなたにお世話になっているでしょう。ありがとう。
ジェニーのこと、これからも、よろしくお願いします」

「いえ、ハイ」

困惑した面持ちで会釈するヘリに、
メリッサは、今度は、少し柔らかく微笑んだ。

そして、「じゃあ、またね」とジョンを見やり、
「良い休暇を」と、イヌとヘリに軽く手を振ると、カートを方向転換させて、
隣の陳列棚の向こうに姿を消した。

「ヘリ」

メリッサの後ろ姿をボンヤリと目で追って、佇んでいたヘリにイヌが呼びかけた。

「あ、うん」

もう数歩先に行ってヘリを待っていたイヌとジョンの後を
ヘリがあわてて追った。

「そんなに驚いた?」

追いついたヘリに、イヌが聞いた。

「ええ、ジェニーさんのお母様にこんな所で会えるなんて、
思ってもみなかったから」

「ジェニーの実家も、この街にあるから、ばったり会うことは、不思議じゃないよ」

へりが頷いた。

イヌの実家とジェニーの実家は近所。
その話は、以前、ヘリは、イヌから聞いていた。

メリッサも、美しいプロポーションと顔立ちの女性だったが、ジェニーとは違う。
メリッサの容姿は、外見も完全に欧米人だった。
ヘリは、ジェニーから、今の両親の養女だという話を聞かされていた為、
その事に疑問は無かった。

ただ、いつも隙が無く、毅然とした態度と物腰のジェニーと違って、
メリッサは、思っている事が素直に顔に出るタイプのようだった。

鈍いヘリでも、一瞬感じた、メリッサのヘリに向けられた冷たい空気は、なんだったのだろう?

ヘリが不思議に思った点はそこだったのだが、基本、深く悩まない性質のヘリは、
すぐに…気のせいね。と考えなくなった。

それでも、まだ、気になる事があった。

「ねえ、イヌ。ジェニーさんの話だけど…」

「ジェニーの話?」

「さっき、ジェニーさんのお母さんがおっしゃっていた、
ジェニーさんが、仕事でクリスマス休暇も家に帰って来ないって話。
その理由、イヌは本当に何も知らないの?」

「ああ」

イヌが近くの棚に並べられた何かに興味を示して、近づくと、手にとりながら言った。

「ジェニーがクリスマスにアメリカに帰って来ないという話も初耳だった。
ジェニーは、おばさんととても仲のいい母子だ。
ヘリと、ヘリのお母さんのようにね。だから、韓国にいる時もクリスマスには必ず家に帰っていた。今回は、僕が一足先にこっちに来るから、ご両親への土産を頼まれはしたけど、後で帰ってくるものだとばかり、思っていたよ」

「ふーん…」

イヌの横顔を見ながら、ヘリは、首をかしげた。

「もしかして、ジェームスと何かあったのかしら?」

それまで、メリッサが言った、ジェニーがアメリカに帰って来ないという話を、ヘリほど深く心に留めていなかったようなイヌだったが、ヘリの口から“ジェームス”という名前が出たとたん、『また、始まったか』というように、目を閉じて、ふうっとため息をついた。

そして、手にもっていた品物を陳列棚に戻すと、ヘリの方を呆れ顔で見やった。

「ジェニーのそういうプライベートな類は知らないと、前も話をしただろう?
ジェニーのお母さんでさえ、聞いていないんだ。もし、何か困っている事に巻き込まれているなら、彼女も、お母さんや親友に相談するさ」

「そうかしら?たとえば、恋の話も包み隠さず、お母さんや、男の親友に相談できる?」

「君はしていただろ?当時は、『何でもない仲の男』にも」

ヘリがユン検事に夢中だった時期を皮肉ったイヌの嫌味に気づいたヘリが、
気まずそうに頬を膨らませた。

「…大昔の話を掘り返さないでちょうだい」

「それを言うなら、“蒸し返す“だろ?
君もいい加減、この話題を僕に振るのはやめてくれ。
聞きたい事があるなら、直接ジェニーに聞けと言ったはずだ」

「そうなんだけど、何だかジェニーさんのお母さんが気の毒な気がしたのよ。
ジェニーさんが帰って来ないこと、とても寂しそうだったから。
それに、休暇の時期まで仕事が忙しいなんて、心配でしょ?クリスマスなのよ?
普通なら、大好きな家族や、友人、恋人と一緒に過ごしたいって思うじゃない」

なのに、異国に残る理由が仕事だなんて…。

本当にそうなら、ジェニーのお母さんも心配するはずだ。
しかし、もし、それは、建前の理由で、実は違う理由があるのだとしたら…。

うつむき加減で考えこもうとしたヘリの思考を止めるように、
ぽんっとイヌがヘリの後頭部に手を置いて、顔を上げさせた。

ヘリがじっとイヌの顔を見つめた。

もう、そこには、呆れたような眼差しも、嫌そうにしかめた眉も無かった。

「君が今ここで心配しても、解決することじゃない。ヘリ。もう止めろ」

突き放すような言葉だったが、イヌの声は優しかった。

「でも…」

「安心しろ」

まだ、何か言おうとするヘリにイヌがコクリと頷いた。

「ジェニーにもし何かあれば、僕は、友達として力になるつもりだ。
その時は、君も、ジェニーを助けてやってくれ」

…だから、ジェニーの事で思い煩うのは、もう止めろ。

イヌには、優しい性格のヘリが、無意識に、人の事を深く思いやるたちだと分かっていた。
とくに、親しくなった人間に対しては。

ジェニーの親友として、純粋なヘリの気持ちが嬉しいイヌだった。

ただ、人にはそれぞれ、事情があるのだろう。
たとえ、家族にも友人にも、悟られたくない理由も。

イヌは、去年の今ごろの自分をボンヤリと脳裏に浮かべていた。

…一人で、仕事に明け暮れていたクリスマス。
養父とも友人達とも、何もかも忘れて、楽しく過ごす気分じゃなかった。
だけど、今は。

ヘリ、君が僕のそばにいる。

去年の今ごろには考えられなかった君がいるクリスマス。

だから、自分勝手な思いだけど、君の時間も全部欲しいんだよ。
この一緒にいる時間を大切にしたいから。


イヌはヘリの顔をじっと見つめると、
ヘリの後頭部においていた手を移動させ、ヘリの頬をゆっくり一撫でした後、おろした。

イヌの言葉の本当の意味を半分だけ理解したヘリだったが、
素直に「ええ」と頷いた。

「ジェニーさんの事は、韓国に戻って、私に出来ることがあったら、
なんでも力になるって約束するわ。イヌ」

「ありがとう」


カートを止めて。
会話は聞こえない位置に立っていたが、何やら、話を終え、微笑みあっているイヌとヘリの姿を、ジョンが、目を細めた優しい表情で見守っていた。



(「聖夜の祈り」7終わり、8に続く)




登場人物


マ・ヘリ
ソ・イヌ

ジョン・リー(アメリカに住むイヌの養父)

ジェニー・アン(イヌの親友で同じ事務所の弁護士)

メリッサ・アン(ジェニーの養母)



メリッサ(愛称:リジー)二次小説「この道の先へ」に登場した、ジェニーの養母さん登場。

どうして、ジェニーがクリスマスにアメリカに帰ってこなかったのか、
どうして、メリッサがヘリに冷たい態度をとったのか~…の理由は、いずれ「弁護士プリンセス」(未公開)で♪
←今年こそ公開できる?(汗)

拍手、拍手コメントありがとうございます♪
夜は悩み事も、書くことも感情的になっちゃいますよね。
みつばも、なるべく夜中に書いた小説も雑記も朝まで待ってから
構成しなおすようにしてます。
・・・雑記の場合は、全部削除しちゃうこともしばしば(笑)


(追記)

誤字のご指摘、ありがとうございました。
直しておきました。ジェニーの実家の所。
他にもあるかな?(汗)


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こんばんは♪

また、ここ数日バタバタしていて、ネットもつなげずにいましたが、
毎日、元気にソ弁病(「検事プリンセス」のソ弁護士に病気のように夢中)を患い、
妄想創作を脳のどこかで練っているみつばです♪

「パスタ~恋が出来るまで」は面白いですよ~とおすすめして下さった方々、
ありがとうございます♪

私も、又、一時の安らぎと楽しみが増えて、嬉しいです。
…でも、今週は、放送がお休みらしい(涙)

仕事していた時は、昼ごはん時の休憩に録画した物をテレビで流し見してましたが、
今は、眠った子供を背負って、雑用しながら流し見~な感じで。

本当は、見られるものなら、ゆっくり全部最後まで見たいのです。

挫折した物たちも、見たくても時間やハードディスクの録画時間が足りずに、
視聴やめてしまったドラマもあって。家族と共有のディスクなため、入院中や仕事中に溜まりにたまって、泣く泣く切ったものも。見られても倍速で。
二次小説書いているドラマたちでさえ、そうだったんですから。
最初まともに見たのは後半数話という(汗)

落ち着いてテレビを観ている事は、ここ数年ほとんど無くて、
それでも、いつか又、ゆっくり見られたらいいな~って思ってます。

そんな、流し見状態でも、ツボにはまると、妄想が勝手に膨らむのですけどね♪
妄想族の性です。

「パスタ」も、すでに、ヒョヌクとユギョンのラブラブな妄想話が勝手に浮かんでたりしましたが♪・・・・・・ドラマをラストまで観てから、余裕があれば…(←どこにあるの?)

ヒョヌク役、イ・ソンギュンさん出演の他のドラマのお勧めもありがとうございます♪
救命救急のドラマなんですね。医療ドラマは今までよく見てました♪
「ER」にはまった時期もありました。(長かった…)
現在は、雑記にも書いた「医龍」「チームバチスタ」を録画中。

韓国ドラマは、地上波でしか見られないのですが、機会があれば、見てみます。

みつばは、今までコメント等でおすすめしてもらったドラマは必ず1度はチェックしてます♪
好きな気持ちを共有できる人が増えるのは、嬉しいですし、楽しいですよね。
今まで、おすすめと一緒に、それを二次創作して欲しいというコメントも多いです。
ただ、先ほども書いたように、どうしても最後まで観られない物もあります。
ご了承くださいね。


今は、「検事プリンセス」の二次小説シリーズ「聖夜の祈り」を完結させることと、
「キング」の「華城に降る夢」の番外編の短編を、読者さんに忘れられないうちに(汗)更新することが目標です。

PS:暖かくなってきたので、庭の花壇やコンテナの花がいい感じになってきましたよ♪
今年のみつばガーデンの注目は、沢山植えた変わり咲きチューリップと、「検事プリンセス」好きの人には、馴染み深い、あの花♪←(なんでしょう?)
初めて植えたので、どうなるかドキドキしてましたが、今日、つぼみを1つ発見しまして♪楽しみです。


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「パスタ~恋が出来るまで~」1~5話まで、見ました♪

やっぱり、面白いです。
みつばの中では、久々のヒットラブコメドラマです。

メッセージで頂いた方や、
私のリアルの友人からも共通して聞いたことが、

ドSシェフ、ヒョヌクを演じている、イ・ソンギュンさんが
とっても良い声だ、ということ。

みつばも、今回のドラマは最初から吹き替えでないので見ていたので、
そうだと思いました♪

それで、あれ?何か他にも有名なドラマにも出演されていたような…で、
思い出せなくて、友人がささっとスマホで検索してくれたのですが(スマホって便利)

「コーヒープリンス1号店」に出ていた方だったんですね。

なるほど。

「コーヒープリンス1号店」なぜかラスト数話は2回ほど見たのに、
最初から見たときに2話目くらいで挫折しちゃって(汗)

この時は、優しくて、優柔不断ぽい感じのキャラに見えたのだけど、
今回は、完璧な、どSキャラ。

こういう人をSって言うのだなってくらい、俺様シェフのヒョヌク。

でも、凄腕シェフ。

今は、そんなシェフに、店の中は協調性も、売上もめちゃくちゃ悪い状況。

しかも、今回の5話。

主人公の女性、ユギョンちゃんは、わいろ受け取った疑惑がかかっているのに、
このドSシェフのヒョヌクが、他の男性シェフから見たら、妙にユギョンちゃんを贔屓しているように、見えてしまうシーンが多々。・・・いや、実際に、してる(笑)

それで、不満と疑惑だらけで、さらに、厨房の雰囲気が悪化している中、
わいろを受け取った真犯人の社長に皆の前でカマをかけて、悪事を告白させるということも。

なんだかんだ冒頭で意地悪な事を言っときながら、
完全にユギョンを信じていたヒョヌク。

この男、Sな上に、ツンデレタイプかな?
こういうシチュエーションに弱いみつば(笑)

やたら、皆の前でユギョンちゃんとスキンシップ多いんだけど。
イタリア式とかじゃなくて、ユギョンだからやってるよね?
他の男シェフには、顔近づけたり、頭を引き寄せたりしないもの←当たりまえ(笑)

でも、大丈夫なのかな?

ヒョヌクとユギョンが両想いの恋仲になるのは、もう秒読みみたいな雰囲気だけど、
恋に落ちた女の子が同じ職場で部下としているんだよ?
Sで、ワンマンシェフだからこそ、とっさに公私混同しちゃいそうに見えて・・・

萌える♪(笑)

ヒョヌクが元彼女を嫌いな理由も明らかに。

…いや、マジで酷い。
愛する女性に、コンテストで汚ない手を使われて出し抜かれたんだから。
そりゃあ、もう恋人として一緒にいられない気持ちは分かるよ。ヒョヌク。

これは、純粋なユギョンちゃんと比べたら、もうね…。
恋に関しては、アンパイかな。

ただ、ヒョヌクの方の恋のライバルになりそうなキム・サン。

韓国恋愛ドラマで、お約束の、
金持ちで、紳士な、主人公の女性を見守る男登場(笑)

今回の5話で、ヒョヌクと火花を散らしていたけど。

みつばは、今の段階でサンの言い分に1票。

悪いのは、97パーセント、ドSシェフのヒョヌクのせい。
ちょっとワンマンすぎる気がするしね。
料理に関して厳しいのは分かるけど、やっぱり上に立つ者としては、
職場の和を乱し過ぎている気がする。

食材ももっと大事にして欲しい。
フォアグラと卵、めちゃくちゃにしたのを見た時は、
「おいっ!」って、心の中で叫んじゃいました。

これから、この厨房や店をどう立て直すのか、
ヒョヌクの動向に注目です。

それ以上に、ユギョンとの恋の行方に注目♪


でも、ヒョヌクは声も良いけど、どんどんかっこ良く見えてきて、
ユギョンはますます可愛く見えてくるんですよ。

何度も書くけど、

上司、部下。
Sな男に、純情な女。
師弟関係。
禁断の職場恋愛。


…萌える
(うっとり)


で、

みつばは、本命のソ・イヌ(検事プリンセス)から、
ヒョヌクに気持ちが移ったの?って、感じで、雑記のりのりで一気に書いてますが、

みつばは、ヒョヌクのような男が、上司なのも、
恋人なのも、妄想したら・・・



絶対に。本気で…嫌っ!




↑何も太字にしなくても(笑)


ヒョヌクとユギョンという男女カップルが、
妄想すると楽しめるツボなの♪


いや、だからって、イヌと恋人になるとか、
本気で妄想したことは無いけど(汗)
やっぱり、妄想の中でも、イヌにはヘリだからね♪

(コメントレス話)

拍手コメント書いてくださった方、ありがとうございます!

正直、今は、1日の終わりはヘトヘトな状態で、
私も、イヌの顔が見られないほど、弱っていて、妄想小説書く力が
無いに等しいです。

でも、1日1回、管理画面で、拍手コメントを見つけて、
励ましてもらったら、数行でも書こうって力づけられました。
ありがとうございます。

誰かの癒しになれているのなら、嬉しいです。

大昔、ヒョヌクのようなSな上司に、仕事を辞める前、
ひきとめられ、休憩室で言われた事があります。

「君のような子って俺、好きだよ。癒される」


・・・・・ありがとうございます。
でも、すみません、私はSな上司は苦手です。

そして、ひきとめる理由は、仕事が出来るからじゃなくて、
そこ!?癒されるってどういうこと?


↑どうでも、良い記憶を思い出しちゃいましたが(苦笑)

雑記でも、今日は、ワクワクした気分で感想書けて、
私もちょっと癒されました。

1日の終わり、このブログが誰かの癒しに少しでもなっていたら、幸いです。



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「聖夜の祈り」6話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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この話はシリーズの最新作になります。

「NYへいこう」「招かれるもの」の続編。



聖夜の祈り(6話)




やがて…。


カチャリ…という微かな物音で、ヘリが瞼を開けた。

「…イヌ…?」

ヘリは、ボンヤリとした視界の中で、上半身裸のイヌが、扉から
部屋の中に入ってくる姿を見た。

「眠っていていいよ。シャワーを浴びたから、
僕は、着替えをしに来ただけだ」

イヌは、そう言って、部屋を横切って、クローゼットの方に向かっていた。

…シャワーって?

ハッとしたヘリは、自分が、
いつのまにか、ベッドの中にいる事に気付いた。

あわてて、布団をはぎ、ベッドから半身を起こしたヘリは、
寝間着姿の自分の姿を見下ろし、次に周囲を見渡した。

カーテンは閉じられていたが、わずかに開けられたブラインドの隙間から、
陽光が床に降り注いでいる。

電気は消え、外の光で、すっかり明るくなっている室内は、
客室ではなくイヌの部屋だった。いつのまにか朝になっている。

思い出そうとしても、ヘリの記憶は、ベッドの上でイヌと寄り添って座り、
話をしていた所までだった。

抱き合って、キスをして・・・。

「私達ここで一緒に寝たの?」

「いや、僕は客室のベッドで寝たよ」

「でも、シャワーって…」

聞きずらそうにしているヘリの言わんとしている事を悟って、
イヌが苦笑を浮かべた。

「父さんと一緒にジョギングに行ってたんだよ。
君も誘おうと思って、様子を見に来た時は、まだ熟睡していたからね。
一応、デスクの上に書置きを残しておいたんだけど、今起きたのなら、見て無いか」

ヘリは、振り返って、デスクの方にチラリと目をやった後、コクリと頷いた。

ようやく状況が呑みこめてきたヘリは、ほおっとため息をついた。

「私ったら、あのまま、ここで寝ちゃったのね」

「そうだよ。キスをしている最中にね」

自分自身に確認をとるような、ヘリの呟きに、
クローゼットの前で衣服を着ていたイヌが答えた。

「キスで目覚めるプリンセスの話は巷にあふれているけど、
キスで眠ってしまうパターンは珍しいよな」

皮肉っているような言葉だったが、イヌは、別段怒っているわけでは無かった。
ラブシーンの最中に眠ってしまったヘリに、呆れている様子もなく、むしろ、面白がっているような顔が、ヘリには救いだった。

キスを終えた後、イヌが目を開けると、
瞳を閉じたままのヘリは、すやすやと寝息をたてていた。

驚きはしたものの、ようやく、安らいだように眠っているヘリの寝顔に、
イヌは、微笑んだ。

そして、ヘリの体をベッドにそっと横たえて、布団をかけると、
自らは、部屋を出て、ヘリが泊まるはずだった客室のベッドに向かったのだった。

「今、何時かしら?」

ヘリが聞いた。

「10時ちょっと前だ」

「私、そんなに眠ってたのね」

ヘリは、頬を両手で挟むと、がっくりとうなだれた。
そして、動揺のあまり、思わず心の呟きを口に出していた。

「初めてお泊りした家なのに、
緊張感の無い女だって、お父さんは呆れてないかしら」

そんなヘリにイヌが「気にするな」と言った。

「君を寝かせておこうと言ったのは、父さんだ。
もし、まだ眠いなら、好きなだけ寝ていていいよ」

「ううん。もう起きるわ。でも…」

ヘリは、着替えを終えたイヌをジッと見つめた。

「『グッモーニング』のキスは無いのかしら?
この国では、当たり前の習慣かと思っていたけど」

口元に指をあてて、甘えたようにおねだりポーズをするヘリに、
イヌがわざとらしく軽いため息をついた。
そして、ベッドに近づくと、ヘリに顔を近づけ、ニヤリと意地悪く笑った。

「また、眠ってしまうんじゃないのか?」

「試してみたら?普通は、王子のキスで姫は目覚めるものよ」

「そうだな。なのに、キスの最中に眠ってしまうなんて、
男として、いささか自信を失いそうになったよ」

「あら、少しくらい失っても、あなたの自信は人並み以上じゃないかしら」

お互いの頬に両手を添えて、笑い合いながら、軽口を交わし、
ヘリとイヌは唇を、チュと重ねた。

「おはよう」

「これで、すっきり目が覚めたわ」

ヘリは、フフッと笑うと、ベッドから出た。

「ご飯は食べられそうか?」

イヌが、部屋の分厚いカーテンを開けながら言った。

「ええ、お腹はぺこぺこ。
でも、イヌとお父さんは、もう朝食を済ませているんでしょう?」

「僕達もこれからだよ。父さんが今ブランチを作ってくれている」

「お父さんが?いつもは家政婦さんが来て朝食を作ってくれるんじゃないの?」

「平日はね。今はクリスマス休暇に入っている」

ヘリはあわてて、あたふたとガウンを羽織った。

「どうした?」

「ブランチを作るお手伝いに行こうと思って」

「いいよ。父さんは手際がいいから、ブランチの軽食くらいすぐに用意できる。
昔から家政婦さんがいない時は、僕と父とで交代に作っていたからね」

「でも…」

「でも?」

まだ納得していないようなヘリに、イヌが首をかしげた。

「今夜は養父さんがディナーを作るって言ってたわ。
私の出る幕は無いのかしら」

料理をすべて任せてしまうなんて。
いくら客と言っても、1度くらい料理を作った方がいいんじゃないかしら?

そう思ったヘリの言葉だったが、
イヌが「無いよ」ときっぱりと言った。そして、

「ヘリは、僕らと同じ土俵に上がって、
料理の腕を競いたいのか?」

と、面白そうな顔をした。

「料理コンテストをするために、NYまで来たわけじゃないけど…」

ヘリがボソボソと口ごもった。
…あえて、恥を披露するほど、世間知らずでも無い。

「じゃあ、着替えたら、リビングに降りてきて。
君もシャワーを浴びたかったら、2階のバスルームは好きに使っていいから」

イヌは、そう言うと、さっさと扉から出て行った。

カーテンが開けられた窓から燦々と陽光が部屋に降り注いでいる。
ヘリは、窓辺に立って、外の景色に目をやった。

窓の向こうは、バルコニーになっていた。
マンションの部屋のバルコニーほどでは無かったが、ゆったりした広さがあった。

そこから、見渡せる景色は、家の芝生と、庭木、大きな通りに街路樹、離れた敷地の隣家。
あまり高い建物は見当たらない。

灰色と白に霞をかけたような冬の寒空は、雪を内包しているかのように、重く冷たそうに、遠くまで広がっている。

イヌは、13歳頃、この家に来た頃から、こんな景色を何年も見て過ごしてきたのだろうか。

ヘリは、しばらく、少年時代のイヌに想いを馳せながら、景色を眺めた後、
ベッドの布団とシーツを整えた。

そして、部屋を出る前、デスクの上にあったイヌのメモを手にとった後、
近くにあった写真立てに目をやった。

子供のイヌと母親、そして、養父のジョンが一緒にうつった写真。

こちらを見て微笑んでいる女性に、ヘリは、無意識にそっと目礼した。

その後、イヌの部屋を後にし、客室に戻ったヘリは、着替えをすませて、
1階のリビングに降りて行った。

ダイニングテーブルの上には、ワンプレートで、サラダとトースト、ゆで卵が置いてあった。
おそらくヘリ用なのだろう。1つにはサラダが多めに盛られている。


「おはよう。ヘリさん」

キッチンから、スープの入ったカップを置いたトレイを運んできた、ジョンがヘリに声をかけた。

「おはようございます」

ヘリは、あわてて、ペコリっと頭をさげて挨拶した。

「寝坊しちゃいました」

「いえ、私も休日は、遅く起きますよ。
さあ、座って。スープを熱いうちに召し上がって下さい」

「はい」

ヘリは席につくと、ジョンの給仕を素直に受けた。

「昨晩は冷え込みましたね。よく眠れましたか?」

「ええ、あの~…」

ヘリは、姿の見えないイヌを探して、戸惑いながら答えた。

「じつは、私、昨夜は、イヌの部屋で寝てしまいました。
話をしている最中に眠って、イヌのベッドをとってしまったもので」

「ええ、イヌから聞いています」

決して、やましい事はしていない、と強調したいヘリの意をくんでか、
ジョンは、ニッコリと事もなげに相槌を打った。

「ヘリさんが、ゆっくり休むことが出来たなら良かった」

「はい。休めました」

ハキハキと答えながらも、ヘリは内心ドキドキしていた。


…緊張感が無い上に、ふしだらな娘って思われていないかしら。
結局は、キス以外、何もしてないのだけど…。

イヌの話から、ヘリが眠った後、イヌの方が客室に行って、別々に寝たようなのだが、息子の部屋に、嫁入り前の娘が泊まったということを、ジョンがどうとらえたのか、心配だったヘリだった。

そんなヘリにジョンがにっこりと笑った。

「さっき、久しぶりにイヌと一緒にジョギングをしたんです。
イヌがここに住んでいた時、休日の朝はよく一緒に走っていたのだけどね。
体がなまっていると言っていたのに、イヌは早くて、置いていかれそうでしたよ」

緊張感が無いどころか、やや強張った面持ちで座っていたヘリを
和ませるように、話しかけるジョンにヘリもホッと息をついた。

「イヌって、何でもないって顔しながら、影では、とっても努力してるみたいです」

「そうなんだよ。ヘリさん。昔から、そういう子でしたよ。イヌは。
結構負けず嫌いでね」

「ええ、分かります」

顏を見合わせて、クスクスと笑い合っているヘリとジョンの所に、
キッチンから、ポットとカップを持ったイヌが現れた。

「おまたせ。コーヒーが入ったよ」

今の話は当然、聞こえていただろう。

しかし、イヌは、素知らぬふりで、テーブルの上で、カップにコーヒーを注ぎいれて、
ヘリとジョンに手渡した。

「じゃあ、頂こうか」

イヌが席につくと、ジョンの言葉で3人はブランチを食べ始めた。

真っ先に、イヌの持ってきたコーヒーを口に含んだヘリは、ニンマリと笑みを浮かべた。

「ん、いい香り。美味しいコーヒーね、イヌ」

「淹れ方も『努力』しているからな」

そう、そっけなく返したイヌの横顔を、呆れたように一瞥した後、
ヘリは、又ジョンと顔を見合わせて、笑った。

「ねえ、イヌ」

笑い終えた後、ウキウキした顔でヘリは、隣のイヌを見つめた。

「ジョギングは、昔からいつもこの辺りを走っていたんでしょう?
私も明日の朝、一緒に走ってみたいわ。あなたがどんな所に住んでいたのか見たいの。
いいでしょ?」

「いいけど」

イヌがチラリと前にいるジョンを見やった。

ジョンが微笑んで頷いた。

「私は、食事が終わったら、ディナーの材料の買い出しに行くよ。もう料理の仕込みはあらかた終わっているのだけど、買い足したいものがあってね。だから、夕食が出来るまでの時間、イヌは、ヘリさんに街を案内してあげるといい」

ディナーの材料の買い物?

ヘリは、ハッとなって、思わず、身を乗り出した。

「私も行きます!」

え?と、ヘリの勢いに、動きを止めたジョンとイヌに、
ヘリは、鼻息荒く続けた。

「お父さん。私も一緒に買い物に行かせて下さい。迷惑でなければ」

「もちろん、迷惑じゃないが、街のスーパーで、大した買い物もありませんよ?」

「はい。それで、出来れば、お父さんのディナーを作るお手伝いもさせて下さい。
お願いします」

いくら客人といっても、ヘリはジョンにとっては息子の彼女という立場だった。

寝坊をして、さらにブランチまで作ってもらっておいて、ホームパーティーのディナー作りまで丸投げでは、いくらなんでも立つ瀬がない。そう思ったヘリだった。

きっと、韓国に帰った後、エジャにそんな話をしようものなら、
さすがに娘の育て方を誤った、とエジャを嘆かせてしまことだろう。

両手の拳を握りしめ、必死の形相のヘリに、ジョンは一瞬気圧されたようだったが、
すぐに優しい笑顔を見せた。

「分かりました。一緒に作りましょう。ヘリさんに手伝って頂けると、とても助かります」

…やった。

思わず、小さなガッツポーズをして見せるヘリに、
イヌが苦笑しながら、コーヒーカップを口に運んだ。



(聖夜の祈り6終わり 7に続く)



登場人物


マ・ヘリ
ソ・イヌ

ジョン・リー(アメリカに住むイヌの養父)



間空きすぎて、どんな話だったか忘れた方は、
二次小説INDEXの「聖夜の祈り」5話まで読み直してください。
・・・みつばも読み直してます。←(汗)



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