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録画している番組は、大抵、3倍速で見てます。字幕つきで。
よほど気になるものか、検事プリンセスのもの以外は(汗)

あの、イケメンばかりの中に男装して学校に入る時代劇もののドラマなんですけど、
最終回1話だけ、さらっと見ました。
こういう設定が好きだった、20年前の私だったら、どはまりしただろうな~。

かっこいい、熱い先輩に、プレイボーイ風の同級生。
ライバル的存在の男は、インテリ。でも、じつは筋の通った男。
級友たちに、事情を知らないお笑い担当達がいて、
冷たいようで、まっすぐで優しい同級生と、秘密の恋。

どのタイプでも、女子のハートを射止めるために、
イケメンのバラエティそろえるのは、乙女系の基本♪

このドラマも、「乙女が夢中になるわけだ」って事は分かりました。
↑ガン○ム世代の方は、ここアムロ風に読んでください(笑)

・・・ただ、「花ざかりの君たちへ」にかぶってしまった、みつば。
今ちょうど、韓国版が地上派放送されているけど。
みつばは、やっぱり、日本で最初にドラマ化した時のキャスティングが好きだったので、
リメイク版たちは挫折しました。

↓好きだった方。




みつばは、水嶋ヒロさん演じた先輩が一番好きでした♪


というわけで、
あの韓国ドラマも、しっかり見ると、とっても面白そうなんですけど、
筋書や設定が読めていた通りだったので・・・いつか余裕のある時に見たいです(いつ?)

そんなこんなで、昨年、気になって、見たい~と思っていた韓国ドラマたち。
結構地上波で見られたのですけど、正直に・・・みつばの中では不作でした(汗)

この疲労している時に、ドロドロの愛憎、復讐劇ものは、かんべんして下さいなので、
もっと、気楽~に、楽しく見られるラブコメでも放送されないかな~。と思っていた時。

来た!気になっていた韓国ドラマが。

これ↓




「パスタ~恋が出来るまで」


今さらなんですけど、検事プリンセスが出た頃と同じ時期のドラマ。

拍手コメントでも、おすすめされた事があったのですが、
みつばも、旅行先の旅館のテレビで1度、チラリと見たことがあったんです。

5分くらいしか見て無いのですが、面白そうだったの、
タイトル覚えてました。

今、ちょうど地上波放送が、みつばのいる地区で始まったので、
録画して、さらっっ…と見ました。


みつば風にあらすじ書くと、


シェフ見習いの主人公の女性、ユギョンが、ようやく昇格できるという時に、
店にやってきたドSシェフ、ヒョヌクに他の女性達と一緒にクビにされてしまう。

「俺の厨房に女はいらん」。

硬派な事を言うかとおもえば、店で会うより、偶然前に会っていたユギョンに、
それとは別に、「俺とつきあわないか?」と交際を申し込むようなナンパぶり。

この男って、いったい本性何?
検プリのイヌみたいに、何か企んでる?(笑)って思ったみつば。

当然、恋愛経験のないユギョンもそう思った。

でも、交際を断り、美味しいパスタを作るシェフを目指しているユギョンは、
クビにされても、めげずに、ヒョヌクにしがみつくように、店にカムバックできるように奮闘する。

上司と部下。
師弟関係。
Sなイケメン(?)と、恋愛経験薄いけど、夢があって根性のある女。

みつばの、好きキャラ設定♪(笑)

旅館で偶然見たシーンは、どうもドラマ後半の部分だったようで、
店で、ヒョヌクとユギョンが、恋人のようにいちゃついた会話してた。

だから、ハッピーエンドだと安心して見られるのだけど(ドキドキ感はなくても)

この、頑ななSシェフヒョヌク(過去に元彼女と何かあったらしい)と、
見習いシェフのユギョンの恋の行方が気になるドラマです♪

ヒョヌクの元彼女(ユギョンの恋のライバル)が、綺麗で出来る女!っていう、
これまた王道パターン。


いつもだったら、…「元カノの方とより戻した方がいいんじゃない?あっちの方がいい女に見えるけど…主人公は根性はあるけど、いじっぱりで口が悪くて嘘つきちゃんも多いよ」と、ドラマの展開や制作側の意向無視した事を考えてしまうみつばなのだけど、

今回の主人公は、思わず、応援したくなる素直で頑張っている女子♪

久しぶりに、楽しみなドラマに期待です。~という、
本日は、雑記でした。


(追伸)

「プリンスゲーム」楽しんでもらえたら良かったです♪
大人話小説は、みつばの場合、構成ほとんどしないので、
おやつ感覚で書いてます♪でも、ちゃんとした料理(シリーズ話)の
続きもがんばってます。書くことより構成に時間かかっちゃうの(汗)


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テーマ:韓国ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

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裏箱にて、「検事プリンセス」二次小説、「プリンスゲーム]の続編。
プリンスゲーム裏箱バージョンの小説記事を追記更新しました。

以前、アップしたイラストと一緒にご覧ください♪


「裏箱」に関しての説明はこちらから。
注意事項をよく読んでご覧くださいね。


表ブログの小説くらい長めになっちゃってますが、
こっそり、読んで下さい。


今回の注目ポイントは、言葉責めでSっぷりを見せつける(?)イヌと、
「優等生」シリーズのような、調・教(汗)
表では書くのをためらうようなシーンを、ちょこっと書いてみました。
プリンスゲーム(王様ゲームみたいなもの)をいいことに、
ヘリに何てことさせようとしてるんでしょう。イヌ。
この続きをもっと掘り下げて書いてみたかったけど、又いつか♪


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「プリンスゲーム」です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


「フォーチュン・クッキー」と、
現在は未公開(序章のみ更新済)の「ゲレンデへいこう」の続編。

「プリンセス・クッキー」の続きです。


(注意)この話には大人向けの描写と表現が含まれています。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。





プリンスゲーム



プリンセスクッキー。

『このクッキーを食べた者はその日、好きな人の言う事に絶対服従する』

自分で作っておきながら、そのクッキーを食べたイヌは、
その夜、好きな人…つまり、マ・ヘリの言うことに従わなくてはいけない。

「私の言うことには、絶対に服従するのよ」

ベッドの上で、得意げに言ったヘリに、

「姫の仰せのままに」と、イヌが、おどけて答えた。

それまでは、どんな時も大抵は、イヌの方が優位な立場にいた。

軽口の応酬でも、口達者なイヌはヘリを言葉でやりこめ、
たまに、ヘリの方が機転をきかせた返しをしても、
力づくの実力行使で、イヌが有利に導くこともあった。

それは、ベッドの上で愛を交わす時も同じだったのだったが、
今夜は違う。

「私の服を脱がせてちょうだい」

尊大な仕草で、ヘリがイヌに言った。

我儘なプリンセスの態度、そのままに、
傲慢さを装っているのは、ヘリが内心でこの遊びを楽しんでいたからだった。

本当ならば、このクッキーはヘリが食べるはずで、
イヌの命令に従わなくてはいけないのはヘリだったのに。

イヌが黙って、ヘリの服を丁寧に脱がせていく姿を
愉悦に満ちた表情でヘリが見守っていた。

自分の言うことに従順に従う、いつもと違うイヌの姿に、
ゾクゾクと体の奥から震えがくる妙な感覚。

…私って、もしかしてSの素質があるのかしら?

そんな事を考えながら、ヘリは、手を伸ばして、
イヌの顎を人差し指でとらえると、顔を上げさせた。

「ランジェリーはそのままにして」

思いっきり、イヌが焦れた顔が見たい。

「キスしてちょうだい」

ヘリの身体の上に覆いかぶさったまま、
イヌがゆっくりと、ヘリに口づけを落した。

…もっと。

小さく囁くヘリの、甘い命令に従って、
イヌが、幾度もヘリにキスした。

最初は、軽く触れるだけ。

そして、次第に、唇を押し付ける時間を長くして。

開けた唇からチロリと出した舌で、ヘリの唇を誘う。

濡れた唇が、自然に開いて、ヘリが自ら、イヌの舌に自分の舌をからめた。


夢中で、深いキスを繰り返していくうちに、
ヘリは、うっかり、“プリンス・ゲーム”をしている事を忘れてしまった。

…触れて欲しいのに、どうして、いつもみたいにしてくれないの?

そんな不満があふれてきて、
ようやく、ヘリは、我に返った。

自分が命令しないと、イヌは動いてはくれない。

ヘリはもどかしい思いになっていたが、
それでも、平静を装って言った。

「あなたの好きな所に触れていいわよ」

自分では命令しているつもりのヘリだったが、
声色は、ほとんど懇願に近かった。

そして、言葉ではどう言おうと、素直に顔に出ているヘリに
当然イヌが気づいて、唇をゆがませた。

「君はどこに触れてほしい?」

逆にそう聞くイヌに、ヘリが気まずそうに目を泳がせた。

「気持ちよくしてくれるなら、どこでもいいわ」

「ふーん…じゃあ、」

イヌが、ヘリの身体をまるで値踏みするように見回した。

そして、手をそっとヘリの頬におくと、
指を優しく滑らせた。

その指を、ゆっくりと、頬から顎のラインにかけて撫でた後、
そのまま首筋をつたって、下に移動させた。

ヘリの胸の頂きに、もうすぐ届くというところで、
イヌがピタリと動きを止めた。

「…他には、どこかな?」

イヌがもったいぶったように聞いた。

ヘリに従っているようで、主導権がイヌに移っていく。

その事に気付いたヘリが悔しくなって、
無意識に唇を尖らせた。

「全然、気持ち良くなってないわよ。
ただ、撫でているだけじゃない」

本当は、イヌにそっと撫でられるだけで、
体中の力が抜けそうになっているヘリだった。

「あなたのテクニックってそんなものなの?」

「君の求めるテクニックっていうのは、どんななんだ?」

イヌが笑いをかみしめた表情で言った。

「その通りにしてやるから、言ってみて」

「う…」

あえて聞かれると、恥ずかしさがこみあげてきて、
口を開くことが出来ないヘリだった。

こんな風に素面で、男をかしずかせる台詞を吐くなんて。

それも、1枚も2枚も上手で、癖のあるソ・イヌという男を。

「ほら、言って」

そんなヘリの内情を見透かしたイヌが、さらに、ヘリの羞恥心を煽るように、
催促した。

「か、髪をなでながら、キスしてちょうだい」

…いつもみたいに。

ヘリは、必死で言葉をつむいだ。

「了解」

笑いを噛みしめた顔を伏せながら、イヌが、ヘリの言うとおりにした。

からかいながらも、イヌがヘリに触れる手と唇には熱がこもっていた。

唇だけでなく、ヘリの首や肩にもキスを落していくイヌ。

「それから?」

「それから…もっと体中に、触れて、キスして」

キスの合間に聞くイヌに、ヘリが答えた。

もう、命令というより、イヌに誘導されていることに、
ヘリも気づいていたが、だんだん、どうでも良いことのように感じてきた。

「OK」

そう答えながらも、イヌは、ヘリの感じやすい部分をあえて、
避けて、愛撫を続けていた。

「…わざとね」

「何が?」

「恍けないで、わざと、焦らしてるんでしょう?」

吐息を少し荒くしながらも、
ヘリは、もどかしい快感で涙をにじませながら言った。

「絶対服従って言ったのに」

「従ってるさ」

イヌが素っ気なく答えた。

「君の言うことに、ちゃんと従ってる。
そうだろ?」

イヌの言うとおりだった。

ヘリは悔しさで黙って、唇をかみしめた。

「もし、ヘリがそう感じてないなら、
命令の仕方が間違っているんじゃないか?
しっかり、僕に伝えて。どこをどうして欲しいのか?」

「そんなこと、私に言わせる気?」

「だって、それが、このゲームのルールだ」

「…ソ・イヌ。あなたって、やっぱり、ひどい男ね」

冷笑するイヌに、やはり、今回もこの男の悪巧みに
まんまとひっかかったのだと思い知ったヘリがため息をついた。

バレンタインのお礼は10倍返しくらいだと喜んでいたけれど、
実は、そのお礼はイヌにとって、なんら損の無いもの。
むしろ、イヌが愉しむために用意されている。

何の見返りもなく、ソ・イヌは多大な親切をしない。
恋人にも。

いや、むしろ、愛する恋人が、マ・ヘリだから、だろうか。

せっかく、イヌを言う通りにさせる事が出来る夜なのに、
その権利を、放棄してしまう事は目に見えていたから。

ヘリの長年培ってきた清純さでは、ソ・イヌという男をまだ飼いならせない。

「お酒がはいっていたら、もっとうまく出来るのに」

ヘリが悔し紛れに言った。

「さっき、飲んだだろう?」

シャンパンと、ワイン、それに、ビールも。

「あんな程度じゃダメ」

イヌは笑うと、立ち上がって、
ソファのローテーブルの上に置きっぱなしだった
シャンパンの入ったグラスを持って来た。

そして、自分の口に含むと、ヘリにキスして、
中身を口越しにヘリに注ぎ込んだ。

コクリと喉をならして呑み込むヘリを見つめてイヌが言った。

「もっと飲む?」

「もう、いらない。あなたを相手にするには、
酒より強い強心剤が必要なんだわ」

ヘリが甘い酒気混じりの吐息をついて、
イヌを見つめた。

「そうね。
この先、何回か、私がプリンセスクッキーを食べる事があったら、
その時には、このプリンス・ゲームが上手く出来るようになってるかもしれないわね。
だから、来年も、再来年も、又クッキーを作ってよ」


来年も、再来年も。
この時期をあなたと一緒にこうして、恋人として過ごしたい。

命令でも懇願でもない。

それは、まっすぐなヘリの願いだと分かっているイヌだった。
自分と同じ思い。

「僕のクッキーの魅力に取りつかれたみたいだな」

「違うわ。あなたに手錠をかけられたせいよ」

ヘリが、笑って、その夜、イヌからもらったブレスレットがまかれた右手首を振って見せた。

「結局、あなたにとって、私は囚われの姫なのよね」

…違うよ。

イヌが微笑した。

服従させるプリンス・ゲームでも、
手錠のようなブレスレットでも、
快楽に貶めた身体さえも、完全に捕えることなんて出来ない。

マ・ヘリ。君は、僕にとって絶対のプリンセスなんだよ。

心の中でそう答えながらもイヌは、「そうだ」と言った。

「だから、プリンセスクッキーを食べた者の権利を僕に譲渡しろ。
君が満足するように、使用してやるから」


「しょうがないわね」

ヘリがいたずらっぽい目で、でも、ホッとしたように笑って言った。

「ルールがまだよく分からないから、今年は、
プリンセスクッキーの使用方法のお手本を見せてもらうことにするわ。
絶対服従させるってどうやるのかって。
私、模倣だけは得意だから、次回は期待してて」

「楽しみだな」

イヌも笑って、再び、ヘリの体をかき抱くと、その上に身を伏せた。

つかのまの優越感と快楽を存分に味わうために。

そして、歪んだ忠誠心を内包しながら、
永遠に変わらないであろうヘリへの愛を感じるために。


二人のプリンス・ゲームは続いていく。


(終わり)


…裏箱のつもりだったのだけど、全然大人度が足りないので、表で(笑)
珍しいSヘリちゃんが、イヌを言葉責めでHするって内容だったのに、
書きはじめたら、ただ、いちゃいちゃと、イヌの焦らしプレイになっちゃった。
いや~、恐るべし、妄想イヌ。
みつばに、まだヘリに屈服する姿を書かせない気らしい。
よし!頑張るぞ、ヘリちゃん。いつか、みつばと一緒に妄想イヌを服従させよう♪(笑)

…たぶん、この続きを裏箱で、イヌが、本当のSってどんなものか、
ヘリに手本を見せてくれるはず♪(←書くの?)

ブログを何度も無断休止している状態で、想像だけしてもらえると思いますが、
今は、創作出来る時間が激減してるんです。暴れちび怪獣を家で24時間体制で飼ってるもので(汗)。

それでも、やっぱり妄想創作はいいです♪

ただ、疲労がたまるとね、どうしても…(以下、2月8日の記事と同文)

(コメントレス)大丈夫です♪
読み手が、大人話を読みたいと思う時は、逆にエネルギーが溢れてるからですよ~。


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「プリンセス・クッキー」です。

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「フォーチュン・クッキー」と、
現在は未公開(序章のみ更新済)の「ゲレンデへいこう」の続編です。




プリンセス・クッキー




その夜、イヌの部屋で。

バレンタインデーのプレゼントのお礼だと言って、
イヌがヘリに手作りのディナーをご馳走した後だった。

「ヘリ、これを君に」

そう言って、イヌが、リボンで可愛くラッピングされた袋を、
ヘリに手渡した。

「何?これもバレンタインのお礼なの?」

「そうだ」

イヌったら、太っ腹すぎるんじゃない?
バレンタインの時は、ホテル代も食事代も、出したのはイヌなのに。
それに、スノーボードまでプレゼントしてくれた。
バレンタインのプレゼントも、“お金をかけて無いもの”だったし…。
お礼が倍返しどころか、10倍返しになっているわ。
○沢直○にも負けないわね。

…などと、心の声を口に出して言わなかったヘリだったが、
純粋なヘリの思いは顔にそのまま出ていた。

「君がバレンタインの日にプレゼントしてくれた物が嬉しかったんだよ。
そのお返しだ。金がかかっていない物だから気楽にうけとって」

イヌの言葉に、
…そう言ってもらえるなら。
「ありがと」と、ヘリがラッピングの包みを開け始めた。

カサカサと音がする軽いもの。

「何かしら?」

ヘリがラッピングの袋の中を覗き込むと・・・。

甘い匂いがするお菓子だった。
それも、どこかで見たことがあるような。

「これって…フォーチュン・クッキー?」

二つに折りたたまれた焼き菓子が3つ。
ヘリの母親エジャが作って、パン屋で旧正月に売り出していた
フォーチュン・クッキーに形が似ていた。

だが、エジャの作った物ではない。
クッキーの入っている袋も市販菓子のラッピングでは無いようだった。

「まさか、あなたの手作り?」

ヘリが驚いて、ソファの隣に座っているイヌを見やった。

「そうだ」

ヘリのこんな顔が見たかった、というように、
ニヤリと笑ったイヌの顔は満足げだった。

「初めて作ったけど、形は悪くないだろ?」

「悪くないどころか、すっごく上手に出来ているわよ。
ママの焼いたクッキーみたいに売り出せそう。
あなたって、なんでも、器用に出来ちゃうのね」

ヘリが感心して、クッキーの入った袋を手に取ると眺めまわした。

「食べてみて」

イヌがクッキーを1つ袋から取り出すとヘリに渡して言った。

…何かしかけがあるのかしら?

ヘリの反応を心待ちにしたような、イヌのわくわくした顔に、
促されて、ヘリがクッキーを口にした。

ヘリが歯でクッキーを割ってみると、
中から、折りたたまれた白い紙片が出てきた。

「やっぱり、フォーチュン・クッキーなの?」

ヘリの質問にもイヌはただ微笑を浮かべるだけだった。

首をかしげながら、ヘリが紙片を開いて中を見ると、
そこには…

『このクッキーを食べた者は、
その日のうちに好きな人にキスをすること』

と、英語で書かれていた。


「・・・・・・」

文面を3度ほど読み直して、たっぷり15秒ほど、
費やしたヘリは、呆れ顔で隣を見やった。

そして、そこにいるイヌの、
悪戯が成功して嬉しそうな子供のような表情に
思わずプッと吹き出し苦笑した。

「面白いだろ?」

イヌが言った。

「君がくれたフォーチュン・クッキーで思いついた。
これは、マ・ヘリ専用『プリンセス・クッキー』だ」

イヌが、これを思いついた時の事を想像してみたヘリだった。

きっと、ニンマリとした笑みを浮かべて、
嬉々として、クッキーの材料をそろえ始めたのだろう。

そう、ベランダからバケツで薬を差し入れたり、
時計に声を吹き込むことを考え付いた時のように。

「あなたって、こういう思いつきの天才よね」

模倣や暗記は得意でも、独創性のある発想力は、
自信のないヘリが、どこか羨ましげな思いを滲ませた口調で言った。
…すぐに真似をしたいとまでは思わなかったが。

だが、まるで、最高級の賛辞をもらったとでもいうように
イヌが嬉しそうに笑った。

「気にいった?」

「ええ…うん。味はいいわね。美味しい」

ぽりぽりとクッキーをかじって、
ヘリは、わざとらしく、クッキーの中に入っていた紙の文字に
気付かなかったふりをした。

「クッキーの味が口にあったようで良かったよ。
ところで、紙の文字は読めなかった?韓国語で書けば良かったかな?」

「読めたわよ。語学力は問題ないのだけど、
解読するのに時間がかかっているの。どういう意味なのかしら?」

「さあ?分かったら実行して」

イヌがとぼけたように、肩をすくめてみせた。

「好きな人にキスする?うーん…じゃあ、
後で、パパかママにキスすることにするわ。
他には何て書いてあるのかしら?」

そう言って、ヘリが新しいクッキーをもう一つ取り出した。

「プリンセス・クッキー…ね」

見た目は、かわいいフォーチュン・クッキーに似ていたが、
その中身は似て非なるものだった。


ヘリは、ようやく、このクッキーの意味が分かったように頷いた。

「これって、もしかして、“王様ゲーム”みたいなものね。
王様が命令した事を実行しなくてはいけない。
でも、プリンセス・クッキーは、食べた人が、クッキーを
作った人の命令をきかなくてはいけないみたい」

ヘリの為に作ったプリンセス・クッキーなどと名前がつけられていたが、
とどのつまり、イヌの酔狂につきあわされる遊びなのだろう。

…ソ・イヌという“王子様”の手で作られたクッキー。

「だから『プリンス・ゲーム』って所かしら?
ね、当たりでしょ?」

イヌが薄く笑った。

「どう解釈するかは、ご自由に。
君に楽しんでもらえたらいいさ」

「あなたも楽しんでる」

ヘリはクスっと笑うと、
手の中のクッキーをイヌの方に差し出した。

「これは、あなたが食べて」

「僕が?君にあげたものだぞ」

「もらった物をどうしようと私の勝手でしょ?
あなたに食べて欲しいのよ。さあ、このクッキーには
なんて書いてあるのかしら?食べた人が書いてある事を
実行しなくてはいけないのよね?」

クッキーは3つある。

イヌの事だ。

1つ目のように好きな人にキスをしろ。なんていう、
ロマンチックな文章しか書いていないわけがない。

ヘリが期待に満ちたいたずらっぽい目でイヌを見つめた。

クッキーの中身を当然知っているイヌは、
しばらく口を固く閉ざしたままだった。
だが、ヘリにクッキーで軽く唇をつつかれると、しぶしぶといった態で口を開けた。

そして、クッキーを口に含んで割り、
紙片を指で取り出した後、クッキーをほおばると感心したように頷いた。

「うん。上手いな。このクッキー」

「自画自賛はいいから、早く、そこに書かれている文字を
読んでよ」

ヘリがせっつくと、イヌがもったいぶったように、
目を細めて、紙片を遠ざけた。

「えーっと、なになに?
『このクッキーを食べた者はその日、好きな人の言う事に絶対服従する』」

「策士、策に溺れたわね」

ヘリがはじけるように笑うと、イヌの手の紙をひったくった。

「アイデアは悪くなかったけど、
ソ・イヌさんにもぬかりがあったようね」

「そうかな?」

「このクッキーはあなたが食べたんだから、
あなたが、この命令を聞くのよ。
えーっと、好きな人の言う事に絶対服従ですって。
あなたの好きな人って、今隣にいる人のことでしょ?」

「だれのこと?」

「とぼけないで。あなたが、バレンタインのお礼だって手のこんだクッキーを渡した女性のことよ」

ヘリは、残りの1個のクッキーを袋から出すと、
イヌの顔の前でかざしてみせた。

「この最後の1個は私が頂くわね。
さあ、どんな命令が書いてあるのかしら?」

さっきのクッキーで、イヌはヘリに絶対服従という権限をもらったも同然だった。
あのクッキーの命令文が一番強い事を想定すると、最後のクッキーに何が書かれていても、
取り消すことも可能だ。

そう考えたヘリは、最後の1個をゆっくり味わうつもりだった。

クッキーが割れるカシュっと、微かな音がヘリの歯の間で漏れた。
そして、カリ…っと何か硬いものがひっかかる音も。

「ん…?」

ヘリは、顔をしかめながら、クッキーの中に入っていた物を
手の平に乗せた。

それは、紙片ではなく、小さな銀色の鍵だった。

「これは?」

戸惑っている顔のヘリに、
イヌは、また、悪戯っぽく笑った。

そして、ソファから立ち上がると、ベッドの方に歩いていった。

ヘリの不思議そうな視線を浴びながら、
イヌは、ベッドの影に隠すように置いてあった小さな箱を取り出し、
振り返ると、ヘリを手招きした。

「ここに鍵に合いそうな箱がある。
開けてみて」

金と銀に縁どられた小さな宝箱のような形。

イヌに促されるまま、素直にベッドの端に腰かけたヘリは、
隣に座ったイヌの持っている箱の鍵穴に持っていた鍵を差し込んで回した。


カチリ…と、鍵が開く小さな音が聞こえた。

ヘリが箱の蓋を開けると、中に、綺麗なブレスレットが入っていた。

そして、メッセージカードも。

『マ・ヘリへ。 いつもありがとう。 好きだよ。
これは、社交辞令のお礼だけどね。ハハハ』

ヘリが以前、イヌにブレスレットをプレゼントした時に
渡したメッセージと似ている。

その頃の事を思いだした恥ずかしさで、
ヘリは苦笑しながら、イヌを睨むふりをした。

「やだ。真似しないでよ」

「どう?感想くらい言って欲しいな。
気にいらなかったら、交換するけど?」

さらに、ヘリをからかって、当時の真似をするイヌにヘリが
「もうっ」と、腕を軽く叩く真似をした。

「つけてちょうだい」

ヘリがブレスレットを手にとって、イヌに渡した。

「さっそく、服従の命令に従わなくてはいけないのかな」

イヌが笑って、ヘリの右腕にブレスレットをつけた。

ヘリは、それを目の高さまであげて、軽く振りながら、じっと眺めた。

そして、「うん。素敵」と、ニッコリと笑って、ヘリが言った。

「気にいった?」

「ええ。とっても」

結局、お金をかけないプレゼントと言っていたが、
ブレスレットは、ヘリの好きなブランドの物で、高価に売られている品だった。

しかも、ヘリが密かに欲しかった物。

「ありがとう。イヌ」
ヘリがお礼を言った。

「手作りクッキーも、ブレスレットも。とても嬉しかったわ。
あなたの人を驚かすアイデアって、いつも凄いわね」

ヘリの心底嬉しそうな顔。
驚いた顔。
不思議そうな顔。

見たかった、ヘリのそんな表情のすべてが自分に向けられるなら。
アイデアはすぐに湧くし、手間暇も惜しまない。

そう答える代りに、イヌがニヤリと笑った。

「“プリンス・ゲーム”は楽しんでもらえたかな?」

「それは、これから楽しむわ」

ヘリがすまして答えると、ブレスレットをつけた手を
イヌの頬の上に置いた。

「まずは、1つめ」

そう言って、ヘリがイヌの顔を仰ぐと、
伸び上がって、唇をちゅっと重ねた。

「好きな人にキスすること」

「ずいぶんと、軽いキスじゃないか?」

「フレンチキスしろ、とは書かれてないもの」

ヘリが笑って、もう片方の手もイヌの頬において、
顏を挟み込むように両手で包んだ。

「でも、もう1つのクッキーに書かれていた命令は、
私が実行しても良いのかしら?
違うって言われても、実行するけど。
だって、こんなに、素敵なお礼をいっぱいしてくれた男を
自分のものしたいって思っちゃったんだもの」

悪戯っぽく煌めくヘリの瞳は、イヌを誘っているようだった。

イヌの作ったクッキーより甘く。

こうなることを、全部おりこんで、
このプリンセス・クッキーの計画をたてたイヌは、
やはりヘリの上をいく策士なのだろう。

…僕は君のものだ。

そう、ヘリを柔らかく見つめる瞳に想いをこめながら、

「プリンセスの命令なら、仕方ないな」

そう言って、策ではなく、
目の前の愛しいプリンセスとの恋に溺れている男は、
もう一度、甘いキスをするために目を閉じた。


(終わり)


「裏箱」に入っているイラストのお話を
ようやく更新できました。(イラストはいつ更新しましたっけ?汗)

「フォーチュン・クッキー」の続編でもあり、
未公開話の「ゲレンデへいこう」の続編でもあります。
バレンタイン、ヘリがイヌにあげたものは、「ゲレンデいこう」がいつか
更新したら、確認してください♪

このお話の裏箱話が「プリンス・ゲーム」というわけ。
これも追記で更新するときに、又お知らせします。


アップ直後に読まれた方へ…
分からない程度にちょこっと誤字脱字、文章修正しました(笑)


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…先に書いておきますが、自分、忙しくて、録画していた「トキメキ☆成均館スキャンダル」の全話まだ、見られていません。
日本のドラマも、映画も、アニメも録画たまりまくってます。

そんな状態でこんな記事を書くのもなんですが、

ずっと気になっていて、「見たいな~」と思っていた
韓国ドラマのDVD完全版とかが、続々とお値打ち価格で発売予定という情報。

韓流10周年記念で、人気だった韓国ドラマの中から選ばれたものが
何点か、大変お得な価格で発売されるものらしい。
「え~?まじで?」と思っちゃうほどのお値段で。

韓国ドラマ大賞とかって投票でランキング決めるイベントみたいなのを昨年やっていたな~ということは知っていたのですが、最終結果を知らなったので、これを機に見てみました。

え~っと…「検事プリンセス」は…

うん。なるほど(笑)

今のところ、「検事プリンセス」のDVDは、このお得なDVD発売の中に含まれていないようなのですが、みつばが買おうか悩んでいるのは、これら↓

「女の香り」





地上派放送していた時は見逃したけど、気になってました。


「タムナ」




完全版だって。
地上派では沢山いいシーンがカットされていたと思うので、
見てみたい気がする♪
いや~、もう。パク・キュがね。
最後の方まで検プリのイヌ以上にせつない役どころなんですよね。
別の男を好きだと言っている女子を影から愛して、守る男。
さらに、高い位の役人なのに、身分を隠して、隠密捜査という任務もあって。
パク・キュの秘めた想いと葛藤する姿とツンデレ(笑)に萌え♪

「イタズラなKISS」




台湾版ももう一度ちゃんと見たいけど、韓国版も良かった♪
じつは、日本版の入江君も好きだったみつば(若い人は知らないかな?)
というか、入江君は、どなたの入江君も全部素敵に見えるから不思議←乙女の永遠の憧れ男子♪

…ドラマのコンプリートDVDBOXって高めですよね。
それが、この値段で、今発売って…。
もちろん、大好きな人はとっくの前に購入されているはずですが、
もう一度見たいけど~、じっくり見たくて欲しいけど~、どうしようかな~と
悩んでいたみつばには、朗報でした。

ただ、問題は、DVD見ている時間が無いってことね(汗)

ところで、「検事プリンセス」も、もし、このお得なDVD発売のラインナップにあったとしたら、もう、すでにDVDを持っているみつばは…


当然、買う(笑)


鑑賞用と保存用にしますね♪


…そういえば、チョ・ジョンソクさん(「キング」のシギョン役)のファンミはどうだったのかしら。
本当に、すごい雪だったので…。
みつばの家の周囲もすごく積もって、家の庭木の枝も雪で何本も折れましたしね。
雪国に住んでいたころには珍しくもなんともない光景だけど、
この土地に来てから、こんなに積もった雪は初めて見ました。
ホワイトバレンタイン。ロマンチックと言えば、ロマンチックだけど(汗)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」のパロディ二次小説
「続・ヘリ兎と猟師イヌ」の「君と読む物語」です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。
「検事プリンセスパラレル二次小説 「ヘリ兎と猟師イヌの物語」はこちらから。


この話は「ヘリ兎と猟師イヌの物語」の続編です




君と読む物語



薪が赤々と燃えている暖かな暖炉の前。

カウチに座ったヘリが、本を読んでいる。

傍らのサイドボードの上に、
熱いココアが満たされたカップが置いてあった。

ヘリの大好きな、イヌの淹れた甘いココアだったが、
本に夢中になっているヘリは、カップの方に手をやるのを忘れているようだった。

その様子をヘリの横で黙って見守っていたイヌだったが、
ココアから湯気が消えるタイミングを見計らって、口を開いた。

「ヘリ、ココアが冷めるぞ」

「・・・・・・」

「ヘリ」

「・・・・・・」

真横の至近距離から声をかけているのに、
ヘリの耳には、イヌの声が全く届いていないようだった。

何かに熱中すると、意識が他に向かなくなるヘリの特性を知っているイヌは、
軽いため息をつくと、ヘリに手を伸ばした。

手の甲で軽くヘリの頬を撫でると、
ようやく、気付いたヘリが、ハッと顔を上げた後、
イヌの顔を見て、きょとんと首をかしげた。

「何?どうしたの?イヌ」

「ココア、飲まないのか?」

「飲むわ。ありがと。イヌ」

ヘリが、にっこり笑うと、カップを手にとった。

「もう、冷めてるだろ。暖めなおしてこよう」

「いいの。冷めていたって、あなたの淹れたココアは美味しいもの」

そう答えたヘリの可愛い声に、イヌの理性が、
ココアに浮かべたクリームのように蕩けそうになった。

ヘリに、完全に心を奪われている事を自覚しながらも、
イヌは、ヘリに触れたい気持ちを抑え、平静を装った冷めた仕草で、
その指を口元にあてた。

コクコクと、ココアを飲みながら本から目を離さないヘリ。

その横顔をしげしげと見つめながら、その愛らしい眼差しが自分に向けられていない事に、
イヌは次第に不機嫌な顔になっていった。

「…そんなに、面白いか?」

イヌ自身、気付かないうちに、不満げな声色を滲ませていたが、
幸いにも、本に夢中になっているヘリも気づいていないようだった。

「うん」と素直に頷いたヘリは、「とっても」と付け加えた。

「もう何回も読んでいるのに、あきないのか?」

イヌは、チラリと、ヘリの持っている本に目を落した。

鮮やかな色彩で大きく描かれた挿絵のはいった絵本。

タイトルは『赤ずきん』

誰もが知っているとても有名な話だった。

原作をかえて、ところどころ話を編集した本は沢山出ていたが、
基本の設定は同じだった。

おつかいに行く赤ずきん。
その赤ずきんをたぶらかして、寄り道させる狼。
そして、最後に助けにくる猟師が登場する。

ヘリは、本を読むのが好きだったが、
特にこの物語を気にいっているようだった。

「ええ、大好きだもの」

ヘリが答えた。

…どのあたりが?

眼差しで問うイヌに、ヘリが「それは…」とはにかんだ。

「狼に食べられそうになる赤ずきんを、最後に優しい猟師さんが助けてくれる所」

ヘリにとって、この物語の中で一番印象深い場面だった。

以前、ヘリがまだ“兎”だった頃。
森の中で狼に襲われた事があった。
その時、猟師だったイヌが、ヘリを助けに来た。

ヘリにとって、物語の猟師は、イヌになっていた。

そして、当然、赤ずきんを自分に置き換えて読んでいたのだった。

赤ずきんという物語が好きというより、
優しい猟師が現れる話が“大好き”と言っているヘリは、
『イヌ』が大好きだから、と代弁しているようだった。

その事を無自覚に素直に話すヘリに、イヌの方が、苦笑した。

「猟師は優しくなんかないぞ。当たり前の事をしただけだ。
だって、猟師だからな。女の子を助けるのも、狼を退治するのも、仕事だから」

照れくさい決まり悪さを誤魔化すように、イヌが素っ気なく言った。

そんなイヌにヘリが軽くかぶりを振った。

「ううん。優しいわ。ちゃんと、女の子も、そしてお婆さんも助けてくれたもの。
いい人だわ」

まっすぐにイヌを見つめがら、そう言ったヘリは、
やっぱり、物語の猟師をイヌに置き換えて話しているようだった。

「これは、子供向けに書かれているけど…」

イヌは、そんなヘリの純粋な熱い眼差しにあてられたように、
視線をはずし、ヘリから本を取り上げた。

「“赤ずきん”は、よく大人の寓話だと言われているのは知っているか?」

「大人の寓話?…んー…どういうこと?」

恍けているわけでなく、本気で知らなそうなヘリの前で、
イヌが本をめくった。

「赤ずきんは、女の子じゃなくて、成人した女性で、
狼は、悪い男だって設定で読んでみろ。どういう話になる?」

「・・・・・・」

少しの間、考え込んでいたヘリだったが、
想像力が豊かな為に、すぐに答えを悟って、顔を赤らめるとイヌを上目使いで睨んだ。

「イヌったら、いやらしい事考えるのね」

「僕が考えたわけじゃない。よく言われている教訓だ」

「そうなの?どういう教訓なのかしら?
知らない男の口車にのっちゃいけないって事なのかしら?
それとも、親切そうな男の誘いにのっちゃいけないって意味なのかしら?」

「そういうことだな。ヘリも気をつけろよ」

意地悪い口調で、偉そうに言うイヌに、ヘリは頬を膨らませたが、
何かを思い出して、ぷいっと顔を背けた。

「どうした?」

拗ねたようなヘリの横顔をイヌが不思議そうに覗き込んだ。

「そういえば、思い出したのよ」

ヘリが唇を尖らせながら言った。

「以前、会ったばかりなのに、貴重な人参をくれた親切な男の人の事。
お家の中でラーメンもご馳走してくれたわ。楽しいお話しもいっぱいしてくれた。
優しくていい人そうだったけど、後でとってもひどい男だって分かったの。
今言った話を知っていたら、私、そんな男にひっかからなかったのにって思って」

兎だったヘリと猟師だったイヌの出会いの話だった。

わざとらしく拗ねてみせているヘリだったが、口元に笑みが浮かんでいる。

思い出して本気で怒っているわけではなく、
イヌをからかっているのだろう。

それが分かったイヌも微笑んで、
「それは、狼じゃなくて、猟師だったな」と言った。

そして、ヘリの肩を抱いて引き寄せると、
自分の膝の上にヘリの体をのせた。

そして、愛おしむような手つきで、ヘリの身体の輪郭を
なぞるように撫でた。

「赤ずきんを助けたのは親切で優しかったからじゃない」

笑いを含みながらも、イヌの低く甘い声が後ろからヘリを捕えた。

ゆっくりとなぞられて、
衣服の上からでも感じるイヌの熱い指先に感化されたヘリが頬を赤らめた。

「赤ずきんを助けた猟師さんも、実は、狼だったってわけね」

冗談ではなく、本心からの答えを言ったつもりのヘリだったが、
イヌが「ハハハ」と楽しげに笑い声をあげた。

「いいな。その結末」

事実、今、元兎だった可愛い赤ずきん姫は、
助けた猟師の腕の中につかまっている。

これから、今夜も“食べられる”予感にくるまれながら…。

「この本も、そういう風に読んでみるか?」

ふざけたイヌの提案にも、ヘリはコクリと素直に頷いてみせた。

「いいわよ。あなたが読んでくれるならね」

「僕が読むのか?」

「だって、あなたって、とってもいい声をしているんだもの。
耳元で聞いていたら、うっとりするくらい。
だから、読んでよ」

褒め殺しされ、可愛くおねだりするヘリのお願いを断れるイヌでは無かった。

ヘリを腕に抱いて、しぶしぶ本をめくると朗読を始めた。

やがて、赤ずきんが、お婆さんに化けた狼と対峙する場面になると、
ヘリが赤ずきんの台詞を読み始めた。

「ねえ、どうして、おばあさんの耳はそんなに大きいの?」

「君の声をよく聞くためだ」

…また、ふざけてる。

失笑しながらも、ヘリは、台詞を続けた。

「どうして、おばあさんの目はそんなに鋭いの?」

「君の顔をよく見たい為だよ。素敵な女性に変身した兎のね」

イヌが答えた。

クスクスと笑いながら、ヘリが続けた。

「どうして、そんな口をしているの?」

「どうしてかな?それは、君が答えてくれ。ヘリ」

「もうっ」

二人の明るい笑い声が部屋に響いた。

「ふざけないで」

まだ笑いながらも、ヘリが後ろのイヌを振り返りながら言った。

「じゃあ、イヌが赤ずきんの台詞を言って。私が狼になるから。
ちゃんと模範を聞いているのよ」

「OK」

ニヤリと笑うと、イヌが言った。

「ヘリ、君の耳はどうして、こんな耳になったんだ?」

「あなたの声をもっと近くで聞くためよ」

ヘリがすまして答えた。

「じゃあ、どうして、こんな目になったんだ?」

「あなたの顔を、もっと近くで見たかったからよ」

「じゃあ…」

イヌが、手を伸ばして、ヘリの唇の上に、
つつ…と指を這わせた。

「どうして、君の口はこんなに愛らしいんだ?」

「あなたに」

ヘリが、イヌの首に両手をまわして微笑んだ。

「キスして欲しいから」

「…満点の模範解答だな」

そう言って、イヌも微笑むと、
目を閉じて、腕の中のヘリに顔を近づけた。

そして、重ねたお互いの唇を、ゆっくりと味わいながら、
イヌとヘリはキスを続けた。

「親切じゃないなら、どうして猟師さんは、私を助けたの?」

キスの後、囁くように聞くヘリに、イヌはただ意味ありげな
笑みを浮かべると、再び、その唇を塞いだ。


…どうして助けたかって?

ヘリの身体を愛撫しながら、

イヌは、心の中で答えた。


…目的を果たすために必要だったから?
情が移って、可哀そうに思ったから?

違う。

どうしようもなく。
魅かれていたから。

会うたびに、

我儘で、自由奔放だけど、
可愛くて、純粋で優しい、ヘリを。

愛してしまったから。


「こうして、抱きたい為じゃないよ」

ヘリの身体をカウチにやわらかく倒しながらイヌが言った。

「もう。説得力ないんだから」

ヘリがクスクス笑って、イヌの体を抱きしめた。

「じゃあ、猟師と赤ずきんは、その後どうなったのかしら?」

狼から助けられた赤ずきんは、猟師に恋をした。
猟師も、赤ずきんを愛した。

その後の続きは?

ヘリの独り言のような呟きに、イヌが、今度は想いを口に出した。

「それは、これから作っていく物語だ。二人一緒に」
…そうだろ?

「…うん」

イヌの優しい眼差しに、ヘリが眩しそうに目を細めて頷いた。


そして、また、微笑みあって、絡まった視線を手繰り寄せ、
顔を近づけるイヌとヘリ。


雪が降っている寒い冬の夜。

暖かな家の中、
想い合った二人の物語は今夜もこうして紡がれていく。

二人の邪魔をしないように、そ~っとカーテンを引くように幕を閉じ、
甘いお話しの続きは、また今度。


(終わり)


パラレルイヌ×ヘリですが、いちゃいちゃ甘~い話。バレンタインに間にあいましたかな♪
本編イヌ×ヘリでも良かったのですが、この題材で演じさせたら、
甘さというより、どつき漫才が長引きそうだったので。想い合っても素直じゃない二人。特にイヌ(笑)

いや~…やっぱり、今年もバレンタイン企画「ゲレンデへいこう」間に合わなかった。
というか、クリスマス話が1年がかりになってるから(汗)

もう、後のシリーズ話も番外編もつまりまくっててすみません。
本当に、出来るなら、きなが~に待っていてください。


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検事プリンセス二次創作イラストINDEX2と
検事プリンセス二次小説INDEX2を更新しました。

「最新記事」の中にあったイラスト数点をイラストINDEX2にリンク。

小説は、「聖夜の祈り」1~5話。をシリーズ話に。
「ケーキより甘く」は短編話に。
「フォーチュンクッキー」は未来話に。
「恋雪」はドラマ中話に、それぞれ更新。


小説更新は滞っていますが、ブログへのご訪問、拍手コメントありがとうございます。
ここしばらく、多忙につき創作は出来ませんでしたが、空き時間に、かならず、
検事プリンセスの録画は見てますよ~♪
…「ときめき成均館☆スキャンダル」の録画、たまりまくって、まだ1話も見てないのに(汗)
今週最終回後、どうも、後番組は「シークレット・ガーデン」を放送するらしい。うーん。確かに人気だったのかもしれないけど、地上波でしかテレビを観ないみつばとしては、他の局の地上波で放送したものじゃなくて、新しい違う韓国ドラマを放送して欲しかったな・・・という気持ち。

たとえば、これとか↓





DVD発売されるのね♪

…ただ、もう、視聴した方たちの前評判や感想だけ聞いていると、ドラマのキャラや設定は、みつばの好みじゃないっぽい。

みつばの中で、ソ・イヌが絶対的に理想な男になっちゃってるからかな?(汗)
でも、出ている役者さん達は好きなので、やっぱり気になるドラマです。


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検事プリンセス、みつばの二次創作イラスト。


パラレル二次小説「猟師イヌとヘリ兎」のヘリ兎ちゃんイメージイラスト。


heriusa.gif



昔描いてた少女漫画タッチで描いてみよう♪って
らくがきしてみたら、ちょ~っと幼くなっちゃった。
でも、20歳で成人しているヘリちゃんですよ♪

このイラストのシチュエーションはですね。


就寝前にイヌのシャツを着せられたヘリちゃん。


「どうして、私の寝間着があるのに、
イヌのシャツを着させるの?」


・・・猟師イヌの趣味だから(笑)


検事プリンセス、本編ドラマ4話の、
イヌの前のマンションで、イヌシャツを着たヘリのシーン。
大好きなんですよ~♪…ズボンはいてましたけど。

本当は、イヌも、シャツだけの方が…って思ってたに
違いない(笑)


うん。疲労がたまるとね、
妄想も趣味にかたよっちゃいますね。

ギャグとか、下ネタとか、大人話系に(苦笑)

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blog、お休みしてましたが、元気です…と言いたい所ですが、そうでもありません(汗)

でも生きてますので♪

まだ仕事依頼が続き、下の子供が夜中に高熱だして夜間診療に駆け込むなんて、事もやってましたが~

そんな中、みつばがようやく創作できた「検事プリンセス」の作品が、イヌパン(笑)

上の子供と一緒にパンを作った時に、イヌの顔を作ってみた。

いつも、イヌの目をグラサンでごまかしてたから、今回は似せようと作ってみたのだけど……

パン焼いたら、顔が下膨れになって、誰だか分からない。


あくまで創作だから。

みつばには妄想イメージで、イヌなの♪←と、思い込む。

…目は似ないとわかってたけど、ニヤリとした口元がイヌっぽいでしょ?

早く小説かイラスト創作したいな~と思いながら、検事プリンセスの16話をテレビで流しながら~の携帯更新でした。

拍手コメント。
体のお気遣いありがとうございます。
確かに今は少々無理してますが、検事プリンセスの妄想小説が書けたら、元気100倍になれるはず♪
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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「ゲレンデへいこう」序章(廉価版)です。

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この話は、2年前に更新できなかった「バレンタインデー企画」の話です。
続きはすぐに更新できませんが、序章だけアップしました。




ゲレンデへいこう(序章)



「ねえ…イヌ」

「ん?」

「これもあなたの演出?」

声をひそめたヘリの言葉に、イヌが苦笑した。

「まだ言ってるのか?」

「だって…」

日付は、2月14日。

それは、恋人たちにとっては、ロマンチックな日のはずだった。

愛を囁きあって、お互いの想いをお確認しあって、一緒に甘い時を過ごす。

そう、こうなるまでは、ヘリも…そして、イヌさえも、
そんな時間を共に過ごす事を信じていた。

―――こんな予想外の事が起こるまでは。

日没して暗く、寒い外の建物の影で
息を殺して、二人して身をひそめているなんて…。

…こんな“ロマンチック”ではなくて「ドラマチック」なシチュエーションを
一体誰が想像出来たかしら?
イヌと一緒にバレンタインデーを過ごすと決めた、あの日には…。

ヘリは、ソッと静かに溜息をもらして、
こうなる経緯を思い出していた。

・・・・・・

『2月の14日と15日は有休をとって空けておけよ』

そうイヌに言われた時、
「わかったわ」とわざと平静を装ってすまして応えていたヘリだったが、
内心は飛びはねたい思いでいっぱいだった。

2月14日、
当然それは、イヌからのバレンタインデーの誘いだと受け取ったヘリだった。

イヌと恋人になって初めて過ごすバレンタインデーは
ヘリにとって何より楽しみにしていた特別なイベントの1つでもあった。

…バレンタインデーを恋人と過ごせるなんて。

ヘリはワクワクしていた。

きっと、イヌのことだ。
このイベントに備えて、自分を喜ばせるために
とっておきのサプライズを用意していてくれているに違いない。

いつだって、私を驚かせるために策略を練る男ですもの。
さあ、今回は何をしてびっくりさせてくれるのかしら?

ヘリのイヌへの認識も相当ひねくれたものだったが、
今までの経緯を考えると、そう思われても仕方がないところがイヌにはあった。

しかし、イヌは、かなりあっさりと、
バレンタインデーの予定をヘリに打ち明けた。

「茂朱(ムジュ)に行こう」

「・・・・・・」

だから、スキ―ボードやウエアを準備しておいて。

そう伝えるイヌに、ヘリは嬉しい半面、
種明かしをされたあっけなさで、戸惑うような笑みを見せていた。

「…もしかして、2年前のあのホテルに泊まるとか?」

2年前、イヌが偶然を装って、『初めて』ヘリと出会ったホテル。
ヘリが検事の研修をさぼって、オークションのために行った茂朱のホテルの事だった。

ヘリのほぼ確信に近い問いにも、イヌが、もったいぶる様子もなくうなずいた。

「察しがいいな。その通りだよ。部屋も“あの”部屋を予約しておいた」

“あの部屋”というのが、どの部屋の事かヘリにはすぐに分かった。

ヘリが最初に予約した部屋で、『何者』かに取り消されたあと、
イヌが予約したホテルの部屋。

「あそこスイートルームよ」

それが何?という表情のイヌ。

「バレンタインデーだ。それに、僕らにとって特別な場所だからな、あそこは。
いい記念日にしよう」

そう、すでに楽しんでいるようなイヌの顔に、ヘリは、複雑な笑みを浮かべた。


…もう。この人はどうして、こういう所は、こんなにドライなのかしら?
もっとこうロマンチックな演出をするとか、ギリギリまで内緒にしておく、とか。
そういう心配りはないのかしら?

いつも、予想外のサプライズはしてくれるくせに、
私の期待するような展開に持っていってくれる事はないのよね。
…それが、この男の魅力なのかもしれないけど。

心の中で、不満なのか、のろけているのか分からない呟きをこぼすヘリ。

だが、心の底では、イヌのバレンタインデーの為にしてくれた準備をとても喜んでいた。

それに、2年前の茂朱のホテル。

ヘリにとって、かなり“いわくつき”のホテルだったが、
もう1度泊まってみたいと思えるような素敵なホテルだった。

実家がほとんど1文なしになった後、
もうあんなスイートルームに泊まることなんて無い、
そう思っていたヘリだった。

あの部屋に、再びイヌと一緒に泊まるなんて。
それも恋人として。

すっごく楽しみよね♪

舞い上がりそうになる気持ちを必死に押さえて、
その有休のために、土曜日に休日出勤したり、当直をかわってもらったりしていたヘリだった。

当然、イヌの方もいつも通りの平静さを装ってはいたが、
内心は、かなり浮かれていた。
働いている事務所から有休の許可をとったイヌは、
いつも以上にはりきって仕事をする姿を周囲に見せていた。

そして、14日、バレンタインデーの朝。
約束通り、イヌとヘリは茂朱に向かった。

数時間走って、イヌの運転する車が茂朱リゾートの中にあるレストランの駐車場についた。

「昼食を食べてから滑ろうか」

「もちろん」

イヌの提案に嬉しそうにヘリがうなずいた。
…スキ―をするのも、あの日以来ね。

イヌの車にはヘリのスキ―ボードと、イヌのスノーボードがつけてあった。

「イヌはスノーボードをするのね」

「ああ、スキ―もするが、スノーボードの方が好きなんだよ。
君はスノーボードはどうなんだ?」

「私、スキーは得意だけど、スノーボードで滑ったことは1度もないの」

運動神経は悪くない、と自分でも思っているヘリだったが、
バランス感覚に関してはあまり自信を持っていなかった。


「やってみないか?僕が教えるから」

「ええっ?」

思いもかけないイヌの提案にヘリが戸惑った。

「私、スノーボード持ってない」

「買ってあげるよ」
…バレンタインデーだしね。

これまた、サラリと言うイヌにヘリは、
まだどう応えていいか迷っているようだった。

「でも、手を離して滑るのが怖いわ」

「大丈夫。君は飲み込みが早い。きっと僕よりうまくなるよ」

イヌにそう力強い“はっぱ”をかけられたヘリは、やる気になってきた。


「あなたは、結構滑れるのでしょうね?」

実際滑っているところを見たことはないけど、
教えると言ってるくらいだ。
おそらく、かなり上手なのだろう。

「インストラクターの資格を持ってる」

さらりとそう答えるイヌにヘリが…やっぱりね、という風に心の中でうなずいた。

「じゃあ、先生。ご飯を食べたらご指導お願いします」

そう、ニッコリ笑って言いながら、おどけたように頭を下げるヘリに、
「了解」とイヌが嬉しそうに言って、ヘリの手を握ると一緒に歩きだした。



こうして、
はじめはスノーボードの特訓を約束した後、
ヘリとイヌは昼食を取るためにレストランに入った。

レストランで料理を食べていた二人に、
ふと、近くに座った女性グループの話が聞こえてきた。

「今年もオークションに行く?」

「どうかしら。今年のオークションの目玉商品って何?」

「あの、『雪の女王の涙』と言われる宝石のついた指輪だそうよ」

「映画で有名な女優が身につけてたものよね。“幸運を招く指輪”って言われているらしいわよ」

「へえ。きっと高値がつくわね」


会話のする方にチラリと視線を送ったイヌは、すぐにヘリに目線を戻した。

「オークションがあるようだ」

「そのようね」

イヌの言葉にもヘリが、全くそしらぬ様子で食事を続けた。

「興味ない?」

…幸運を招く指輪っていうものに。

そう聞くイヌに、ヘリがスッと自分の右手をあげた。

「私はもう『幸運な』指輪を持ってるの。必要ないわ」

ヘリの右手の薬指に光るティアラの形の指輪。

イヌが、交際100日記念日にヘリにプレゼントしたものだった。

…たとえ、どんなに綺麗な宝石のついた素敵な指輪でも、これに勝るものはないわ。
私にとって、この指輪が「幸運な指輪」だもの。


「そうか」

「…でも、どんな指輪なんだか見に行くだけ行ってもいいわね」

目を細めて自分を見る優しい表情のイヌに、ヘリは照れくさくなって、
わざと素っ気ない態度で言った。

ヘリのそんな気持ちもすべて見通しているイヌ。

「行ってみてもいいよ。…時間があったらな」

そう、からかうような笑みを浮かべて言うイヌをヘリは苦笑して睨むふりをした。


…恋人たちが愛し合う時間はまだまだたっぷりあるわ。イヌ。

ヘリは、このロマンチックな日の、これからの時間に、この上なくときめいていた。

そう、これは2年前の記憶を塗り替えるいい機会よ。
この場所、そして、ホテルの部屋。同じだけど、あの時と全然違う。

あの時の胡散臭い男が、今自分の目の前に恋人として座っているなんて、
よく考えると不思議なことよね。
ほんと、人生って予想もしない出来事がおこるものね。

…きっと、イヌも同じ事を思ってるに違いないわ。

ヘリは、そう思いながら、イヌと顔を見合わせて微笑み合っていた。

しかし、この数時間後起こる二人を巻き込む事件。

それは。

この時、バレンタインデーの甘くいいムードにすっかり酔っていたヘリとイヌには、
まさに予想も出来ない出来事だった。



(…続く)


少しは、ワクワクして頂けたかしら?ドキドキ。

シリーズでは、現在更新がストップしている「聖夜の祈り」より後のバレンタインデーイベント話。
「ゲレンデへいこう」の序章(廉価版)です。

廉価版って何?なのですが、この小説書いていた最後の更新日を見たら、
2012年2月ってなってました。2年前に筆(パソコン)の手が止まったままでした。

まだ、仕事終わってません。毎日2時間睡眠で頑張ってるのよ?(ヘリ風に♪)

このままでは、創作更新出来ないまま、ブログはずっと休止しそうなので、何か無いか?と蔵やゴミ箱をあさり、完成していない「ゲレンデへいこう」。もう今年、序章だけでもアップしちゃえって事で。

…2年前の文章だからかな?、なんか変(汗)
やっぱり、構成と直しが必要みたい。

「聖夜の祈り」が完成して、「弁護士プリンセス」か「聖夜の祈り・番外編」か、
後のシリアス話か…そのあたりを更新し終えたら、再度「ゲレンデへいこう」改めてアップさせてもらいます。…完璧に手直しして。

でも、2月も、みつばのイヌ×ヘリはラブラブって所をちょっとお見せしたかったの♪

その前にクリスマスのイヌ×ヘリ話、キスしたシーンのまま止まってるって。
このまま、また春をむかえちゃいそう?それは避けたいところだけど(苦笑)


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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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