韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「聖夜の祈り」4話です。
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この話はシリーズの最新作になります。「NYへいこう」「招かれるもの」の続編。
聖夜の祈り(4話)イヌの養父ジョンは、ヘリの話をいろいろ聞きたがり、
食事中は、ヘリの職場や生活、趣味の話などにもなった。
夕食後は、ヘリの土産のラスクとイヌの淹れた紅茶を手に
リビングのソファに座って、くつろぎながら、3人は歓談を続けた。
ヘリが、服飾学科を卒業して、自分で作った服を着ることもある。という話に、
ジョンはとても感心したようだった。
「じゃあ、卒業制作では、自分が作った服を発表したのだね。
ヘリさんはどんな服を作られたのかな?」
「それは…」
ヘリは、チラリとイヌの方を見やった。
イヌは、ヘリから聞いてこの話のオチを知っていたが、
あえて、知らんぷりを決め込んで、ニヤニヤと含み笑いを浮かべお茶を飲んでいた。
助け舟は全く期待できそうもない。
ヘリは、内心では、ハアっと諦めの吐息をついた。
「ウエディングドレスです」
「ああ、それは素晴らしい。
ヘリさんは将来着てみたいという服をデザインされたのでしょうね」
「え~…まあ」
ヘリは、曖昧な笑みを浮かべて首をかしげてみせた。
将来着たい服というより、すぐに着てみたい人気デザイナーの作品をそっくり模倣した物を作って発表会に出た。
そして、観に来ていた父サンテの逆鱗に触れて、大惨事になったという思い出だった。
誇らしげに恋人の養父に聞かせられるような話では無い。
ヘリは話題を逸らせようと、わざとらしく手を打った。
「そうだ。思い出しました。
ワインのお礼をもう一度ちゃんと言わせて下さい。
手紙にも書きましたが、送って頂いたワイン、イヌと一緒に頂きました。
とても美味しかったです。ありがとうございました」
ヘリは、イヌと少し疎遠になっていた時期に、
ジョン・リーから送られたワインに救われた思いになっていた。
イヌと仲直りした直後に飲んだワインの味は、
一生忘れられない、と感じたほどだった。
ジョンにあてた手紙には、もちろん、
そんな過程は報告してなかったのだったが。
「ヘリさんのお口に合いましたか?」
「はい。あのワインを飲んだら、他のワインが飲めなくなるくらい。
とても貴重なワインだとイヌから伺いました」
ジョンは自分が褒められているかのように、
嬉しそうな顔になった。
「あのワインを作っている私の友人はこだわりが強くてね。
市場で大々的に売り出すと今の味を維持出来ないという理由で、
毎年少量しか出荷しないのですよ。小さなワイナリーでね。
イヌも何度か一緒に行ったが、覚えているかい?」
イヌを見やったジョンに、イヌが頷いて見せた。
「うん。覚えてるよ。いい所だった」
「そう。のどかでね。
イヌを初めて連れて行った時、友人夫婦が、イヌをえらく気にいってね。
ワイン作りの筋が良さそうだと、イヌを養子にしたいと私に言ったんだよ。
もちろん、断ったがね」
「そんな話、今初めて聞いたよ。父さん」
イヌが驚いたように言った。
「聞いていたら、君は彼らの養子になったかな?」
「どうかな。でも、おじさんとおばさんはいい人だから。
それに、あの村は好きだよ。景色がとても綺麗だ。
もし、その話を受けていたら、僕は、今ごろワイナリーの跡つぎだったね。
ヘリはどう思う?」
「悪くないんじゃない?」
ヘリがクスクスと笑って答えた。
ジョンの話が本当にしても、ジョンがイヌを手放すことは無かっただろうし、
イヌが直接養子の話をされていたとしても断っていたことは想像がついた。
だから、この仮定話も二人の軽口だと分かっていたヘリだった。
「そうしたら、今ごろ私は、あなたの顔が描かれたラベルがついたワインのファンになっていたかもしれないわね」
ヘリの冗談にイヌとジョンが笑った。
そして、笑い終えた後、ジョンが優しい顔で言った。
「ヘリさん。今度…そう来年の葡萄の収穫の頃、イヌと一緒にワイナリーに行きましょう。友人達もきっと歓迎してくれます」
付き合い始めて、初めて、あのワインを飲ませてもらった時に、
イヌがヘリに言った事と同じだった。
『いつか、一緒にいこう』
イヌは約束を必ず守る人だと信じていたが、
ジョンも同じ人だと、ヘリは確信した。
「はい、楽しみにしています」
隣で、ジョンとそっくりな優しい顔をしているイヌにも
ヘリは、微笑むとコクリと頷いた。
こうして、3人が、和やかな雰囲気で時を過ごし、リビングの柱時計が
9時を知らせた頃、ジョンが「さて」と言って、手で膝を打った。
「私は、そろそろベッドに入る時間だから、先に失礼させてもらうよ」
ヘリは、ジョンの就寝時刻は早いということをイヌから聞いていた。
「私も」と、あわてて一緒に立ち上がろうとしたヘリを、ジョンが手で制した。
「ヘリさんは、イヌと一緒にゆっくり寛いでいて下さい。自分の家のように。
イヌと会うのも恋人には、久しぶりだろうからね」
からかうように、ウインクして見せるジョンに、ヘリがモジモジして、
ジョンとイヌの顔をチラチラと見比べた。
「それじゃあ、また明日。ヘリさん、おやすみなさい。イヌ、後はよろしく頼むよ。
ヘリさんを、しっかりもてなしてあげなさい。ワインセラーにある酒は、好きに飲んで良いからね」
「了解。父さん。おやすみ」
「おやすみなさい」
リビングを去っていくジョンを、イヌとヘリは見送った。
広いリビングに二人きりになったとたん、
ヘリは、そわそわと落ち着かない様子で、ほとんど空になったティーカップを
何度も口に運んでいた。
そんなヘリからイヌはカップを取り上げると、トレイに置いた。
「お茶はもう沢山飲んだな。酒を持ってくるよ。何がいい?」
「お酒はいらないわ」
ヘリが首を振った。
「遠慮するな。父さんも、好きに飲んでいいと言っていただろ」
「心惹かれるけど、今夜はやめておくわ。
遠慮じゃなくて、私ももう休もうかと思ってるの。
飛行機で眠ったけど、時差のせいか、やっぱり疲れが残ってるみたい」
「そうなのか。分かった。じゃあ、洗い物を食洗機にかけたら、
部屋まで送るよ」
「うん。ありがと…」
お礼のあと、ヘリが他にも何か言いかけた様子に
片づけをしていたイヌが動きを止めて不思議そうな顔をした。
「どうした?」
「ん…。別に。せっかく久しぶりに会えたから、
あなたともっと一緒にいたいって思ってはいるんだけどね」
「無理するな」
申し訳なさそうなヘリに、イヌが何でもないように笑った。
「明日も明後日も、一緒にいられる」
「そうよね」
ヘリもホッと笑いかけた。
「酒も逃げていかないよ。言っておくけど、父のワインセラーのコレクションはすごいぞ。
君が住み着きたいと言うほどにね。もし、ここに滞在している間に、君が全部飲み干したとしても、父は嫌な顔はしないよ」
「ええ、楽しみ」
「うん。じゃあ、ちょっと待ってて」
イヌは、そう言うと、食器を置いたトレイを持ってキッチンに入っていった。
そして、すぐに戻って来たイヌの手には、スタンドランプが握られていた。
「部屋に行こう」
「イヌ、そのランプは何?」
「父が君の部屋にと用意してくれていた」
「私が怖がりだってことも、お父さんに話したことあったの?」
「ああ、だから、慣れない部屋だと君が眠りづらいだろう、という父の気遣いだろう」
「お父さんって、とても細やかな心配りをして下さる方ね」
「僕のよく気が利くところは、父に似たんだ」
「もう。その自信過剰な所は自前よね」
そんな軽口を叩き合いながら、
リビングを消灯した後、二人は、2階の部屋に向かった。
客室につくと、イヌは、部屋の中まで入ってきて、
ベッドのサイドボードの上に持っていたスタンドランプを置いた。
そして、スタンドランプが正常に点灯することを確認した後、
ベッド上に座っていたヘリを振り返った。
「これで眠れるか?」
「ええ」
スタンドランプのやわらかな光の中、
イヌとヘリは、顔を合わせた。
そして、お互い、じっと見つめ合った後、
「…ヘリ」
イヌが呼んで、ヘリの肩に手を置くと、ゆっくりと身を屈め、
顏を近づけた。
ヘリは、無言で目を閉じて、
降りてくるイヌの口づけを待った。
二人の唇が触れ合い、優しく重なった。
静かすぎる部屋の中で、キスと、イヌの指がヘリの首元を撫でる
音だけが発せられている。
その小さくとも刺激的な音に、ヘリは胸の鼓動が高まっていくのを感じた。
イヌに触れられている箇所から熱が上がっていく。
ヘリは、じょじょに、そのまま他も、イヌに触れられたい思いになってきた。
しかし、イヌは、唇と同時に、ヘリの首に触れていた手をそっと離した。
「ゆっくり休め」
そう言うと、イヌは、立ち上がり、
背を向けて、部屋のドアの方に歩き出した。
「…おやすみなさい」
せっかく温まりかかっていたヤカンの火を止められたような思いで、
ヘリは、イヌの背中に声をかけた。
ドアの前でイヌが振り返った。
「この階の一番奥にある部屋が僕の部屋だ」
「分かったわ」
「おやすみ」
コクリと頷くヘリにニコリと微笑みかけると、
イヌはドアの向こうに去って行った。
イヌがドアを閉めると、客室に深い静寂が訪れた。
ヘリは、ふかふかのベッドの布団の中に潜り込むと、目を閉じた。
快適に暖められた室内。ベッド脇でほのかに照らすスタンドランプの光が、
家主の優しさを象徴しているように、安心感を与えてくれていた。
ニューヨークについて、
時差と、ここに着くまでに起きた出来事で、ヘリの体は、すぐに眠りにつけるほど疲労していたのだったが、なぜか目が冴えてきていた。
広い部屋の中が静かであればあるほど、ヘリは、そこが、異国の知らない部屋。それも、イヌのアメリカの家の中だという事を思いだし、気分が高揚して落ち着かなくなってきた。
「…うーん」
ヘリは、小さく唸ると、もそもそと起き上がった。
そして、ベッド脇に置いてあったガウンを羽織ると、部屋の外に出た。
廊下にも明かりがついていた。
ヘリは、部屋の前で、きょろきょろと見回した後、
迷う事なく、一番奥に見える扉を目指して歩き出した。
そして、部屋のドアに立つと、ヘリは、遠慮がちに小さくノックした。
微かな音にも部屋の中の住人は気づいたらしく、すぐに中から扉が開かれた。
「ヘリ」
部屋の前に佇む、ガウン姿のヘリを見たイヌは驚きもせず、
もじもじしたヘリが口を開く前に、「夜這いか?」と聞いた。
「違うわよっ」
とっさに大声を出してしまったヘリは、あわてて両手で自分の口を塞いだ。
広く静かな廊下でヘリの声は高く響いて聞こえた。
「あなたの部屋って、どんなのかな~って思ったら、気になって眠れなくなっちゃったのよ」
養父の寝室は1階で離れているようだったが、
ヘリは、声を落して、気遣うようにボソボソと話した。
そんなヘリにイヌは小さく笑うと、「入って」と扉を大きく開けて、
ヘリを部屋の中に迎え入れた。
(「聖夜の祈り4終わり 5に続く)
登場人物
マ・ヘリ
ソ・イヌ
ジョン・リー(アメリカに住むイヌの養父)
ようやく
、「NYへいこう」予告漫画で描いたシーンが
全部お披露目できました。構想2年以上、予告漫画からも1年近くで、
ようやく(汗)
「聖夜の祈り」は、まだ続きます。
ブログや小説への拍手、拍手コメントありがとうございます!
みつばの癒しは…ブログ読者さんの優しいコメント♪
後は、子供達の寝顔(癒されるが、起きている時はHPもかなり消費する(笑))
ガーデニング(今年も花壇のデザインを一新♪チューリップは変わり咲き60球追加)
後は、イヌ×ヘリ妄想している時間です♪
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