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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「イヌも食わない」です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話は、書き下ろしです。
4コマ漫画「イヌもくわない」の小説版。



イヌも食わない



大人げない。

…と思いながらも、なぜか彼女相手だと
ついムキになってしまうことがある。

ヘリとのデートの後、一人自室に戻ったイヌは、
ドッカリと、カウチソファに足を投げ出して座り、ため息をついていた。

デートの終盤、些細な事で、軽口をたたき合っていたイヌとヘリ。

それは、いつもの事で、すぐに収まるとお互いに心の中で思っていたのだったが、
売り言葉に買い言葉。

言葉巧みなイヌに言い負かされ気味だったヘリは
悔しそうに唇をかみしめて黙った。

「何か、反論は無いのか?」

そこで、終わりにすれば良かったのに、
止めを刺すように、イヌが皮肉っぽく聞いたのがまずかった。

ヘリから次に出てきた言葉は反論ではなかった。


「イヌなんて嫌いよ」


瞳を潤ませ、ほとんどヤケになったような口調で、
口げんかで負けそうになっている
子供のような風情のヘリ。

それでも、イヌを黙らせる効果はてきめんだった。

一瞬目を開いて、真顔になったイヌに、ヘリがハッとしたが、
そのまま、精いっぱい去勢をはってイヌを睨みつけていた。


「ふーん…」

すぐに、平静さを装ったイヌは、冷めた表情で、ヘリから目をそらした。

「負け惜しみか」

「負け惜しみなんかじゃないわ。
そういう嫌味っぽいあなたが嫌いなの」

「ひどい男でも愛してるって、言ってなかった?」

「訂正するわ」

ヘリがイヌの横顔を睨み付けながら言った。

「ひどい男は嫌い」

…もう3回も嫌いって言っちゃった。

ヘリ自身、ここまで言うつもりは無かった。

内心、こんな事言っちゃダメよ。とあせりながらも、
ついつい、イヌの挑発にのってしまっていた。

もう、取り消す余裕もないほど、感情が高ぶっていて、
気まずさのあまり、ヘリもイヌを直視出来ないでいた。

ここで、どちらかが、

「なんてね。審理を指し戻そうか」と冗談でも言えば、丸く収まったのだが、
妙に意地を張りあってしまうのは、この二人の職業病というより、
性格的なものが起因しているのだろう。

普段は、どんな会話でも、するりと話題を変えて、
相手をやり込める自信があるソ弁護士だったが、
マ検事の予想外の論告に、とっさに返す言葉を失っていた。

気まずい沈黙の後、
区切りをつけるように、イヌが自分の腕時計に目を落した。

「帰るぞ。明日も仕事だ」

突然打ち切られた会話で、口喧嘩に終止符を打たれた事が分かったヘリは、
無意識にコクリと頷いていた。

そのまま、イヌの車に乗って、マンションまで帰った二人は、
「じゃあ」と言って、ほとんど目を合わさずにエレベーターでそれぞれの部屋の階で降りた。

イヌは、自分以外誰もいない、静かな自室に入ると、
ますます冷静さを取り戻していった。

「…何をやってるんだ。僕は」

イヌは、目を閉じ、独り言をつぶやいた。

意地になって言いかえしてくるヘリの顔も言葉も可愛くて、
つい、意地悪くからかってしまった。

もう、何が原因で、ああいう展開になったのかは忘れてしまったが、
ヘリにあんな事を言わせるまで追いつめてしまったのは自分だという事は自覚していた。

…エレベーターで別れる前に、せめて笑顔で「また」と言えば良かった。
そうすれば素直なヘリは、きっと笑みを見せてくれただろうに。

せめて、寝る前に、ヘリの明るい声が聞きたい。

イヌは、意を決すると、テーブルの上に置いていた携帯電話に手を伸ばした。

そして、ヘリに電話をしようと通話ボタンに指をあてた時、

キンコンと、部屋のインターフォンの音がした。

通話を切り、ソファから立ち上がったイヌが、インターフォン画面を確認すると、
玄関ドアの前にヘリが立っていた。

すぐにロックを解除して、扉を開け、
イヌは立っているヘリを見下ろした。

デートの時のままの服装で、両手を前で組みながら、
ヘリがモジモジとしていた。

「何?」

さっきまで電話で自分から歩みよろうと思っていたのに、
口から出たイヌの声は、突き放すように冷たかった。

悪いのは80パーセント以上自分、と納得しながらも、
ヘリに言われた言葉が想像以上にこたえているようだった。

しかし、そんなイヌの態度にもヘリは、物怖じせずに、
「訂正したいことがあって」と言った。

「訂正したいこと?」

イヌが、眉をひそめた。

「さっきのこと、あやまりに来たのか?」

「謝罪じゃないわよ。訂正よ」

「何の訂正?」

「私がさっき言ったこと」

ヘリが、ふーっと息を吐いた後に、一気に言った。

「あなたを嫌いって言ったこと。3回も。
そんなに嫌ってないから。
それだけは、今日寝る前に訂正しておきたかったの」

「…わざわざ、そんな事を言う為に来たのか?」

まだ突き離した感が混じったイヌの言葉にも
ヘリは、コクリと頷いた。

「だって、ひどいなって思って。
誰にだって嫌いなんて言われたら、傷ついちゃうもの。
それに、ほら、私達って一応恋人でしょ。
恋人に言われたら、余計辛いって、冷静になって考えたら、
そう思ったの」

「一応じゃなくて、僕が認識している限りでは、
正真正銘、つきあっているつもりだ」

「私もそうよ。だから、訂正するの。
嫌いじゃないから。それだけ言いたかったの。
じゃあ、おやすみなさい」

言いたいことだけ言って、
そそくさと帰ろうとするヘリの肩にイヌが手を置いて引き止めた。

振り向いたヘリの顔は照れくさそうだったが、
もう怒っている雰囲気は無かった。

口喧嘩した事はもう忘れてしまって、

ただ、「嫌い」と言ってしまった事を、悔やんでいただけのようだった。

…こんなにあっさりと。

このソ・イヌの
気分を地獄の底につき落とすのも、
一気に浮上させることが出来るのも、
世の中で、マ・ヘリだけだろうな。

そんな事を考えて、イヌがフッと一人笑いを浮かべた。

「イヌ?」

不思議そうに首をかしげたヘリにイヌがわざと素っ気なく言った。

「確認したい事がある」

「確認?」

ついっと、顔をそらし、腕組みしてドアに背を預けたイヌに
ヘリが目をぱちくりさせた。

「訂正するなら、しっかり訂正していってくれ。
僕のこと嫌いじゃないなら、どう思ってる?」

「どうって…知ってるでしょ?」

「ひどい男だから、分からないな」

イヌが何を言わせたいのか分かったヘリが、
柔らかく笑った。

「ほんっとに、ひどい男ね」

そのヘリの笑顔で、イヌとヘリの間にあった重苦しい
緊張感が和らいで、いつもの雰囲気に戻ってきていた。

「ひどい男でも好きよ」

ヘリが言った。

ヘリのその一言で、イヌは金縛りが解けたような気分になった。

イヌは、ヘリの腕をつかみ、部屋の中に引き込むと、
無言で、その唇を奪った。

顏を離した後、ヘリが拗ねた素振りで、苦笑していた。

「言いたいことは口で言ってちょうだい」

好きだって、私は言ったのに。
イヌは、いつも、行動で示してくる。

「訂正印をもらっただけだ」

ニヤリとイヌが笑った。

「でも、これで、仲直りね?」

ホッと息をついて、微笑むヘリに、
イヌが「どうかな」とうそぶいた。

そして、両腕でヘリの体をさらに引き寄せて、
楽しげに言った。

「それは、もっと確認してみないと。
これから、今日のデートをやり直してみないか?」

「いい提案ね。のったわ」

ヘリの返事に、イヌが満足げに頷くと、
玄関ドアを閉じた。

そして、ヘリの体を優しく抱きしめると、
耳元で、囁くように「ごめん」と言った。

好きすぎて苛めてしまうんだ。

などと、思春期の男子のような言い訳を心の中で
呟いて、イヌは謝罪に気持ちを込めた。

小さいけれど、はっきりと聞こえた声に、
ヘリがしっかりと頷いた。

そして、『もう、いいの』の代わりにはっきりと言った。

「大好き」

そんなヘリにイヌはやはり
行動でしか答える事が出来ず、

訂正される前に、呑み込んでしまうように、
愛しい言葉を紡いだヘリの唇を再び塞いだのだった。

こんなふうに、

大人のカップルは、
こんなバカげた喧嘩を、そう何度もしないのかもしれない。

だが、この恋人達は、好きこのんで、やっているようだった。

はたから見ると、じゃれあっているかのように。

他人は絶対に不可侵な領域。
まさに、犬も食わない喧嘩とはこういう事を言うのだろう。

「もう、イヌなんて嫌いなんだからっ」

こうして、口げんかの末、

悔し紛れに「大好き」の裏返しの言葉を吐く女と、
それで一喜一憂する男。

不器用なほど、想いあって、

今日も又、どこかで楽しく愛を確かめ合っているかもしれない。



(終わり)


大人げないどころじゃない(笑)
公式でもイヌは、好きな子を苛めてしまうというキャラらしいですが、
ある意味、ヘリはイヌにとって初恋も同然だと思うのでしょうがない♪
ヘリにとっても、イヌはそうですし。

今さらだけど、二人の日常的な純愛話を書いてみたかったんです。
書いてる方が恥ずかしくなるような、やりとりですが。
アツアツカップルってこんな感じですよね。

どんなに大人話や大人イラスト描いても、
みつばは純愛(好き)主義です♪

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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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