韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
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この話は、書き下ろし短編です。取扱い注意ヘリの先輩、チェ検事が、資料室で鉢合わせたヘリに
羨ましげな目を向けていた。
「マ検事、君っていつも元気がいいよな。
何か健康の秘訣でもあるのか?」
「そうですか?体には気を使っていますけど」
ヘリは、資料室の棚に本を戻しながら、
首をかしげた。
「他人に気を使わない人間は、疲れないって聞きますよ」
同じく、資料室に来ていたイ検事が横やりをいれた。
「じゃあ、イ検事は、疲れませんね」
ヘリを尊敬しているキム検事が
ヘリが受けるどんな風も盾になるというように、
イ検事にカウンターを返した。
たまたま資料室兼休憩室に
集まっていた検察庁刑事5部の面々は、
まだ、昼休み時間でも無いのに、ぐったりとした顔をしていた。
ここ最近、事件が立て続けに起こり、
個々の案件の割り振りも増加傾向にあった。
連日の残業続きで、皆疲労の色を隠せないでいた。
ただ一人、ヘリを除いては。
ヘリも、もちろん、他の検事達と同じくらい仕事が多忙だった。
しかし、他のメンバーと比較すると、
ヘリは溌剌と仕事をしていた。
「夜2時前には寝るようにしています。あと、寝る前に軽いストレッチをして
体をほぐしたり、風呂の湯にゆっくりつかったり」
「本当にそれだけか?」
「他にも何かあるんじゃないか?
そんな事なら、俺だってやっているぞ」
「先輩たちより若いっていうなら、年齢では私が一番若いのですが」
勝手に地雷をまいて、自分で踏んでいるキム検事を
チェ検事とイ検事が軽く睨みつけた後、ヘリに向き直った。
「私には、疲れを癒してくれる素敵な恋人がいますから~なんていう、
のろけは言わなくていいからな」
「…そんな事言ってませんよ」
言いそうになっていたけど。
ヘリは、気まずそうに首をすくめてみせた。
「私、基本、ちゃんと寝たら、疲れや悩み事を次の日に持ち越さないようにしているんです」
事実、ヘリは、一つの事に集中している時は、他が目に入らないくらい力を注ぐが、
一区切りついたら、割り切って、次の事に移る性格だった。
「睡眠は大事だよな」
「でも残業で遅く帰っても、そのまま眠ってしまうのは、
なんだかもったいない気がするんですよ」
「そう、そう。1日を仕事で終わってしまうのも惜しくて、
つい、ネットサーフィンをして夜更かししてしまう」
それぞれ、もう、お目当ての資料本を見つけ出しているというのに、
ぐずぐずと資料室から離れない刑事5部の検事たち。
そのままソファに寝転がりそうな面々に、
どうしようかしら?とヘリが困ったように立ち尽くしていた時、
資料室にユン検事が入ってきた。
そして、うだ~っとしている検事達を、にこやかな笑みを浮かべながら見渡した。
「みんな、疲れているようだな」
刑事5部の検事達の首席として、一番仕事をしているユン検事だったが、
疲労の色は、見えなかった。
「ユン検事、元気だな」
「ユン検事は、体力がありますからね」
「体力なら、私だってユン検事に負けない自信はあるのに」
どんよりとした空気をまといながら、チェ検事、イ検事、キム検事は、
ヘリから、今度は、元気な新参者のユン検事に、濁った羨望の眼差しを向けた。
そんな3人を「そうか」と軽くいなした後、
ユン検事は、ヘリとチラリと目を見合わせて、笑った。
そして、手にぶらさげて持っていた袋を
資料室のテーブルの上に置いた。
「じゃあ、これを1本ずつ飲んで気合いをいれてくれ」
「なんですか?これ」
皆が、ユン検事が持ってきた袋の中を不思議そうにのぞきこんだ。
袋の中には、液体の入った小瓶が入っていた。
「あっ。栄養ドリンク」
「これ、効くんですよね」
「結構、いいやつですよ」
「わざわざ、先輩が、買っていらしたんですか?」
効き目がすごい分、値段も高めな栄養ドリンク剤だった。
…もらっていいのかな?
そんな皆の視線を集めたユン検事が、頷いてみせた。
「この前、妻が沢山買い置きしてくれた物を、オフィスの冷蔵庫に入れていたんだ。
最近、皆仕事がハードだから、疲労がたまっているだろう。
遠慮せずに飲んで、仕事に励んでほしい」
ユン検事の言葉に、めいめいが、栄養ドリンクを1本ずつ手にとった。
「ありがとうございます!」
「いやあ、ユン検事は、いい奥様をお持ちだ」
「さすが、元刑事5部の名検事、チン・ジョンソン」
「有難く頂きます」
ユン検事に礼を述べると、皆、感動した面持ちで、栄養ドリンクの蓋を開けて、
その場で一気に煽っていた。
ちょうど、そこに通りかかったナ部長が資料室をのぞいた。
「その栄養ドリンクは効くな。ユン検事」
「部長も飲まれたんですか?」
「ああ、さっきユン検事からもらった。
何だか10歳は若返ったような気になっている」
ナ部長の言葉に、チェ検事達も頷いた。
「僕もです。急に力が湧いてきた気分だ
デスクに座っているのがもったいないくらい」
「そうそう。このままソウル市内をマラソンできそうな勢いで」
「おいおい。仕事をしてくれよ。今日も午後から山のように、書類が送致されてくる予定だ」
「マ検事は飲まないのか?」
一人、栄養ドリンクの瓶を手に、皆の姿を傍観していたヘリに、
イ検事が不思議そうに声をかけた。
「今は、そんなに疲れていないので、後で頂きます。
ユン先輩、ありがとうございました」
そう言って、ユン検事に頭を下げると、
ヘリは、栄養ドリンクを持って、そそくさと資料室を後にした。
栄養ドリンクを見た時、ヘリはすぐにイヌを思い出していた。
最近、イヌも仕事が忙しいようだった。
電話では、明るい軽口を交し合っていたが、
疲労の色を滲ませたイヌの声を、ヘリは敏感に聞き取っていた。
…すごく効きそう。これ、イヌにあげようっと。
そんな事を考えて、自分のオフィスに戻ったヘリは
ユン検事からもらった栄養ドリンクをバッグにしまった。
その後残業帰りでマンションに戻ったヘリは、その足で
まっすぐにイヌの部屋を訪れた。
イヌは、ヘリより先に帰って来ていて、
シャワーも浴び終えていたようだった。
平日の夜遅くに突然訪ねてきたヘリに、イヌが少し驚いた顔をした。
「どうした?何かあったのか?」
そう心配そうに聞くイヌに、ヘリが、ユン検事からもらった
栄養ドリンクを差し出した。
「はい、これ、あげる」
「これは…?」
ヘリから栄養ドリンクの小瓶を受け取ったイヌは、
まじまじと栄養ドリンクのラベルを見つめた。
「職場でもらったの。でも、今の私には必要ないから、
今日中にこれをあなたにあげたかっただけなのよ。
疲れにとっても効くらしいわよ。良かったら明日の朝にでも飲んでちょうだい」
「ありがとう」
イヌは、素直に礼を言うと、嬉しそうに目を細めた。
「じゃ、おやすみなさい」
そう言って、自室に帰ろうとしたヘリをイヌが呼びとめた。
「ちょっと、部屋に上がって行かないか?
これのお礼に寝酒をご馳走させてくれ」
「魅惑的なお誘いね。でも私、まだシャワーを浴びてないの」
「シャワー?寝酒以外のお礼も何か要求しているのか?」
ニヤリと笑ったイヌにヘリが苦笑した。
「そんな意地悪を言うなら帰るわ。栄養ドリンクを飲むほどじゃないけど、
仕事で疲れてるから」
「わかったよ。シャワーに、寝酒。それにマッサージのお礼つき。
それでいいか?」
「それならいいわ」
イヌの申し出に、つんっと澄ました顔で応じて見せたヘリは、
いそいそと、イヌの部屋の中に入って行った。
イヌの部屋のシャワーを借りて、クローゼットに置いていた自分の替えの服に着替えたヘリは、キッチンカウンターでイヌから出してもらったワインを煽った。
「んーっ。美味しいっ。私にはこれが一番の栄養剤かも」
ニコニコしながら、ワインを飲むヘリを、対面に座っていたイヌが
ほほえましく見ていた。
「最近、仕事が忙しいみたいだな」
「ええ、ちょっとね。イヌ、あなたの方も忙しいでしょ?」
「まあな。相変わらずだ。有能な弁護士に暇は無いよ。」
「相変わらず、自信過剰にも隙は無いみたいね。
でも、疲れてるって顔してる。体は平気?」
「体調はいいよ。もしかして、心配してくれていた?」
「ええ、だって、もうそんなに若くないんだもの」
ヘリの最後の言葉に、イヌが顔をしかめた。
「聞き捨てならないな。僕がもう若くないって?」
本気で嫌そうなイヌに、ヘリはイヌがいつもするような仕草で
肩をすくめてみせた。
「だって、本当のことだわ。体力を過信出来るほど若いって年じゃないもの。
無茶しないで欲しいの」
イヌには、ヘリが、嫌味で言ってるわけでも、からかってもいない、という事が
分かった。
今夜、わざわざ栄養ドリンク剤を持って来てくれたヘリの思いやりは、
イヌを何よりも癒してくれていた。
イヌは、軽い吐息をついて、しょうがないな。という目で
ヘリに微笑んだ。
「無茶するなってセリフは、君のためにあるものだと思っていたが、
忠告は心にとめておくよ」
「うん」
…イヌには、元気でいて欲しい。
こんな風に、いつまでも軽口をたたき合って、楽しい喧嘩をしたいから。
イヌは、にっこり笑ったヘリの顔を見つめているだけで、元気になっていく気がした。
「ワイン、全部飲みおわったな。じゃあ、ベッドに移って」
そう言って、ヘリの方に回り込んだイヌは、
ヘリの腕をとって立ち上がらせた。
「もう、誘い方があからさまなんじゃないの?」
「今度は、さっき言っていたお礼のマッサージだよ。
やっぱり何か期待してる?」
「期待じゃなくて、不安の一種よ。
私のこういう予感って、当たるんだから。とくにあなたに関しては」
「暗記力だけじゃなくて、予知能力も身につけたいのか?
いいから、ベッドに横になれ。疲れてないって言ってたけど、肩は結構こってるな」
イヌのベッドにうつ伏せに横たわったヘリは、
肩をゆっくり撫でるイヌの手を気持ち良く感じた。
「頭皮も固い。…ほら、力抜いて」
耳に心地良く響くイヌの優しい声に、促されて、
ヘリは、すぐにリラックスしていった。
衣服の上から、体中を柔らかく、撫でさするイヌの暖かい手と指先に、
心も体も満たされて、ヘリは満足げな吐息を漏らした。
「気持ちいいか?」
「ええ」
ヘリは、イヌにマッサージされながら、うっとりと目を閉じていた。
「なんだか、ここまでお礼してもらえるなんて悪いわ。
頂きものの栄養剤をあげただけなのに」
「気にするな。栄養剤は、誰からもらったんだ?」
「ユン検事よ。疲れているだろうって。部下に思いやりのあるいい人よね」
…ユン検事からもらった。
ヘリは、ユン検事からもらった栄養ドリンクは、チン検事が買ったものだということや、
ヘリだけでなく、部署内の人間全員に配った事をイヌに言いそびれていた。
ヘリに気にするな、と言いながら、
イヌは一瞬ムッとなって『気にした』ようだった。
ユン検事が妻子持ちで、ヘリにはただの上司という関係だと分かっていても、
ヘリが他の男を褒めるのは、面白くなかった。
背後にいたイヌの気配が、いつのまにか消えた事にヘリが不思議になって、
目を開けた。
「イヌ?」
ヘリが、ふっと顔を上げると、
イヌが、ヘリのあげた栄養ドリンクを飲みほしていた。
ヘリが驚いて、上半身を起こした。
「どうして、今飲んでるの?」
「もらったものをいつ飲もうが、僕の勝手だろう?」
「いいけど、栄養ドリンクなのよ。こんな時間に飲んだら…」
疲労を回復する効果もあるだろうが、
カフェインも含まれているから、目も覚めてしまうだろう。
そんなことに気づかないイヌじゃないと思ったが。
「栄養ドリンクの取り扱い説明に書いてあったでしょう?」
「さあ、読んでない」
そっけなく答えて、イヌは、唇を手の甲でくいっと乱暴にぬぐった。
その所作に、ヘリは、イヌが不機嫌になっている事に気づいた。
「何か怒ってる?」
「怒ってない」
「嘘よ。あなたって、自分では演じるのが得意って思ってるかもしれないけど、
本気で嘘をついている時は、逆にわざと感情を出さない顔をするもの」
ヘリの鋭い指摘にイヌがますます『表情を消した』顔になった。
「君の期待に応えたいだけだ」
「…嫌な予感がするわ。とっても」
「いい予感の間違いじゃないか?」
イヌは薄く笑うと、ひきつったヘリの顔に鼻先を近づけた。
「さあ、横になれよ。マッサージの続きをしてやるから」
「もういいわよ。お礼は十分。私帰るから」
逃げるが勝ち。
そんな言葉を脳裏に浮かべて、そそくさとベッドから起き上がったヘリを、
閉じ込めるように、イヌは、ヘリの上に覆いかぶさっていた。
「そう言うな。他の男からもらった物を横流ししてくれたことと、
おじさん呼ばわりしたことのお礼もたっぷりさせてもらうよ」
…やっぱり。
私の発言を根に持ってる。
ヘリは、嫌な予感が的中した事にため息をついた。
そして、ジットリとイヌを睨みつけながら言った。
「ソ・イヌ。言葉の使い方を間違っているわ。
これって、お礼じゃなくて、仕返しって言うんじゃない?」
「違うな。君がいいと思うなら、礼になるはずだ」
「勝手に解釈しないで」
呆れて、ベッドから抜け出そうとしたヘリをイヌが
軽く両手で押さえつけた。
「嫌?これでも?」
イヌの片手がゆっくりと動いて、ヘリの体の敏感な部分に触れた。
「あっ…!」
とっさに声をあげて、ビクリっと震えたヘリを見て、
イヌが満足げな笑みを浮かべた。
「…ここもマッサージしないとな」
悪戯っぽく言いながらも、聞くとゾクゾクするような
艶のある声色。
イヌの思惑は宣言されなくとも、ヘリには伝わっていた。
栄養ドリンクを飲んだばかりのイヌが、
これから、何をしたくて、どうなってしまうのかも。
ヘリは、コクリと息をのんだ。
イヌの目が座っている。
薄暗がりの中で、爛々と光る猛獣の瞳のような輝きで。
「こうなることを望んで、栄養ドリンクを僕にくれたんだよな?ヘリ」
「だから、違うって!」
往生際悪く、バタバタと足をばたつかせて逃げようとするヘリを、
効き目抜群の栄養剤を飲んだイヌが、難なく捕まえていた。
逃げ場を探してキョロキョロするヘリは、
サイドボードに置かれた栄養ドリンクの小瓶に目をやった。
…少量残っている!
腕を伸ばしたヘリより先にイヌが小瓶をつかみ取った。
「返してよっ。せめて私にも少し味見させて」
必死で、小瓶を取り返そうとするヘリに冷笑を浮かべた後、
イヌは、これ見よがしに小瓶の中身をすべて煽った。
「あーっ!」
悲痛な声をあげたヘリに悪魔のような表情を見せたあと、
イヌは、ヘリに口づけた。
ヘリの口の中に、ほろ苦くて、少し甘い栄養ドリンクの味が、
イヌの唇から流れ込んできた。
「味見出来ただろう?」
ふざけた囁きを合図に、イヌは、本気でヘリに栄養ドリンクのお礼を始めた。
…こんなことに使用するために、イヌにあげたんじゃないわっ!
心の中で、そう叫んでいたヘリだったが、
次第に甘い熱のこもったイヌのマッサージに完全に虜にされていき、
その夜の間中、
イヌだけでなく、ヘリも、身をもって、栄養ドリンクの効き目を十二分に体感したようだった。
どっぷりと、その効き目の恩恵にあずかって、
イヌとベッドの中で濃密な時間を過ごした後、
『夜に、意地悪でしつこい恋人に栄養ドリンク剤を渡してはいけない』
栄養ドリンクの取り扱いに、そんな注意も書き足すべきだと、
ヘリは、朦朧とした頭で、考えていた。
そして、翌日の朝の検察庁。
会議室に集まった刑事5部の検事達が、
「いや~。ユン検事からもらった栄養ドリンク効きましたよ~」
「昨日は仕事がはかどって、今日も元気がみなぎる感じです」
…と、ユン検事の栄養ドリンク剤を絶賛する中、
一人、「ええ、凄い効き目ですよね」と言いながらも、
ぐったりとした様子で、ユン検事に「栄養ドリンクもう1本下さい」と
お願いしているヘリの姿に、皆、不思議そうに首をかしげていたのだった。
(終わり)
この前雑記で書いた、栄養ドリンク妄想を短編で書き下ろしました。
久しぶりに、イヌ×ヘリのイチャラブを書いた気がする。
イヌの過剰サービスお礼マッサージの内容は、書けたら、おまけか、裏箱かな。←書く気満々(笑)
でも、書く気はあっても、体力がついていかない今日この頃。
ブログ不定期更新&シリーズ話再開は、長い目で見守って下さい。
よろしくお願いします。
「彼女(彼氏)にしてほしいこと2」みたいな内容ですが、
イヌに(普通の)マッサージしてもらいたいな~…という相変わらずの妄想です♪
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