fc2ブログ
管理人★みつば★の好きな小説、ドラマ、映画等の感想やイラスト、小説などの二次創作物がおかれています。
プロフィール

★みつば★

Author:★みつば★
「みつばのたまて箱」にようこそ。
管理人★みつば★です。
記事の中にお好きな物があれば
是非一緒に楽しみましょう♪

最新記事

カテゴリ
月別アーカイブ

訪問者様♪

更新通知登録ボタン

記事更新を通知します

検索フォーム

QRコード

QR

韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「招かれるもの」(3話)-NYへいこう4-です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は、みつばの検事プリンセス二次小説シリーズの
最新作「NYへいこう」の続編です。




招かれるもの(3話)



恋人と同姓同名の少年、ソ・イヌに案内されて、ヘリは、
待ち合わせ場所のカフェがあるという通りについた。

「お姉さんの言っていた住所はこのあたりだ」

「案内ありがと」

そう礼を言って、ヘリは、イヌからスーツケースを受け取った。


「おかげで助かったわ。ソ・イヌ君」

「どうして、僕の名前を?」

「さっき、他の子たちがそう呼んでいるのを聞いたからよ。
友達と喧嘩ばかりしてちゃダメよ」

「・・・・・・」

イヌが、何か言いたげな顔になった。

ヘリの、“喧嘩ばかりしてちゃダメ”に反論したいのか、
それとも、自分も名前を聞こうか、そう迷っているような顔だった。

しかし、口にしたのは、こんなセリフだった。

「お姉さんも、おひとよしは大概にした方がいいよ。
さっきは、僕らのような子供の悪ふざけだったけど、そうじゃない時もある。
下手に首をつっこめば、ぶつかるのは肩だけじゃすまないよ。
とくに、このへんは治安が良くない場所もあるから気をつけて」

年上に言うには、あまりにも生意気でエラそうな口調にも
ヘリは、にこりと笑いかけて、手を振った。

「ご忠告、ありがと。じゃあ、元気でね。さよなら」

スーツケースを押しながら、歩き始めたヘリの後ろ姿を
イヌは、黙ってしばらくじっと見つめていた。


少年イヌと別れて、大通りの歩道を歩いていたヘリは、
待ち合わせ場所のカフェを探した。

しかし、「セントラル・パーク」というカフェはみつからず、
通りがかりの人に聞いても、首をかしげられるばかりだった。

「そんなカフェの名前はこのあたりでは知らないな」

そんな返事ばかり聞いたヘリは、だんだん不安になってきた。

…名前だけじゃなくて、今度は住所も勘違いしてたのかしら?

歩き疲れて、喉が渇いていた。そして、足もだるい。

ヘリは、とりあえず、いったん休憩することに決めて、
目についたカフェの中に入った。

店内に入って、コートを脱いで、席に座ったヘリは、
ふと、自分の服の胸元を見て、そこにつけていた王冠のブローチが無いことに気づいた。

…え?

ヘリは、勢いよく立ち上がり、自分の周りを見渡した。

しかし、ブローチは、近くには無かった。

「どうされました?」

ヘリのあたふたしている姿に、店員が不思議そうに近寄ってきた。

「落し物をしたみたいなんです。このくらいの大きさの王冠の形のブローチなんですけど」

ヘリの言葉に、店員が、店の入り口からヘリの席までの床を見渡した。

「ここには、ないようですね。店に入られる前に落とされたのでは」

店員の言葉にヘリがハッとなった。

…そうだわ。
さっき、ボブという少年とぶつかって、半身を打った時、
はずみで、ピンが外れて、落ちてしまったのかもしれない。
じゃあ、あの場所にまだあるかも。

ヘリは、あわてて、コートを着なおすと、
店員の不思議そうな眼差しを背に慌ただしく店を出た。

ヘリは、急いで、先ほど、少年のソ・イヌと別れた場所に戻って、
そのあと、地面を舐めるように見つめながら、少年達がいた方向に向かって歩いて行った。

ブローチは小さいものだった。

広い範囲で見つかる可能性は無いと分かっていても、
ヘリは探さずにはいられなかった。


路地裏の薄闇で、けばけばしい電飾の光が、
チカチカと怪しげに瞬いている。

脳裏に、

『そんなものは、ほおっておけ。危ない真似をするな』

そう、叱咤するイヌの姿が浮かんだ。

「でも、なくしたくないんだもの」

ヘリは、心の中の幻のイヌに言い訳するように呟いた。

ヘリが細い路地横の建物の影に入り、
置かれたダストボックスやガラクタの下を
キョロキョロと、腰を屈めて、ブローチを探し続けていた時、


「そこの、お前っ」

と、後ろから、荒い口調で呼び止める男の声がした。

ヘリが振り返ると、通路の後ろをふさぐように、
3人の若い男が立って、ヘリを見下ろしていた。

「ここは、“商売”をしていい場所じゃないぞ」

男たちは、挙動不審なヘリを、訝しんでいる様子だった。

「商売なんてしてないわ。私は、ここで無くしものを探していただけよ」

そう言ったヘリに、男の一人が嘲笑を浮かべた。

「無くしものだって?一体何をなくしたんだ?『クスリ』か?」

…クスリ?

「クスリじゃなくて、ブローチよ。王冠の形のブローチ。
このあたりで落ちているのを見たりしてない?」

「見てないな、観光客か?」

「ええ、そうよ」

3人の男たちは顔を見合わせると、ニヤニヤとヘリに顔を向けた。

「変だな。ここは観光するような場所じゃない」

「不法入国者じゃないのか?」

「このあたりに、届け出も出さずに勝手に“商売”する女がいると聞いたが」

ヘリはようやく、男たちが何を勘違いしているのかを知った。

「不法入国じゃないわ。パスポートも持っているわよ。
それに、私の職業は検事よ」

「検事?」

男たちのニヤニヤ笑いが消えた。

「そう、それに、ここには、道に迷いこんだようなものよ」

「道に迷ったのか」

男の一人が納得したように頷いた。

「じつは、俺たちは警官だ」

「警官?」

男たちの服装はラフなもので、警官には見えなかった。

「覆面だよ」

「不法入国者や無許可で仕事をしている者を取り締まっている」

「道に迷ったのなら、案内するから、こっちに来てくれ」

男がヘリに手招きした。

…警官。良かった。
これで、「セントラル・パーク」まで行けるわ。

ヘリは、ホッとして、男たちの方に行こうと体を向けた。

その時。

「お姉さんっ!何やってる」

ヘリの後方で、怒鳴る声がした。

ヘリが驚いて、振り返ると、先ほど別れた
ソ・イヌという少年が、通路の向こう側に立って叫んでいた。


「逃げろ。
そいつらは、警官なんかじゃない!」

「え…?」

きょとんとしながら、ヘリは、動きを止めた。

そんなヘリにイヌが、切羽詰まった表情で手を差し出していた。

「いいから、こっちに走って!早く」

状況を読み込めず、でも反射的にイヌの方に駈け出したヘリに、
3人の男たちが、チッと舌うちを打った音が聞こえた。

「ガキが余計なことを!」

「ガキはいいから、女を捕まえろ!」

背後から聞こえてきた物騒な怒号と足音に追い立てられるように、
ヘリは、イヌの元まで全速で走った。

「こっちだ!」

イヌは、自分の方に駆けてきたヘリの手をとると、ひきつけ
乱暴に、裏路地の中にヘリの体を押し出した。

そして、後ろから追ってきている男たちに目を向けると、
近くに高く積みあがっていた空のビールケースと段ボール箱を
思いっきり足で蹴り倒し、ヘリの後に続いた。

派手な音を響かせて、ビールケースが地面に崩れ落ち、
段ボール箱にあったものが通路に騒々しく散乱して、男たちの行く手を阻んだ。

音を聞きつけて、建物の中にあった飲食店の裏口から、
店員たちが何事か、と覗いた。

そして、道中に広がったケースや荷物の中身と、
その前にいた3人の男たちを見つけた店員たちは、
怒りをあらわにして外に出てきた。

「おまえらかっ、何してくれるんだ!」

「なおしていけ。弁償しろっ」

包丁を振り回した屈強なガタイの調理人に、
3人の男たちはひるんだように後ずさった。

「これは、あのガキのしわざだ」

「ガキってどのガキだ」

店員たちは男たちの指さした方向を見たが、そこにはもうイヌとヘリの姿はなかった。

再び視線を戻した店員たちは、「…警察をよぶぞ」と言って、
男たちを睨み付けた。

男たちは渋々、散乱したケースや段ボールを片づけ始めた。

その頃、

ヘリは、イヌに誘導されて、かなり離れた距離まで走っていた。

「…ここまで来れば、大丈夫か」

速度を落して、後ろを振り返ったイヌは、立ち止まって息を整え始めた。

「ハアハア…い、一体なんだったの?」

立ち止まったヘリも、荒い息をつきながら、イヌを見た。

訳も分からず、イヌについてきたヘリだったが、
背後から追ってきた男たちが醸し出していた不穏な空気に、
何かやばい、という事だけは分かった。

「あの男たちは、警官じゃない。
ああやって、商売女じゃないか?といちゃもんをつけ、
自分たちは警官だから、と騙して、かどわかすのが手口の連中だよ」

「そんな。じゃあ、かどわかされたら、どうなっていたの?」

「ほんとうに商売をさせられていたかも」

男たちや少年イヌの言っている“商売”という意味が
ようやく理解できたヘリだった。

イヌに連れだされなかったら、このピンチを切り抜けられなかっただろう。

今さらながらそれに気づき、ぞっと背中を伝う冷たい汗のような感覚に、
ヘリは、ほおーっと深く息をついて、胸をなでおろした。

「危なかったのね」

「そうだよ。あんな怪しい人たちに
ノコノコついていこうとするなんて、何考えていたの?」

「だって、警官だって言うんだもの」

「それを信じる?ふつう」

ヘリに、容赦ない言葉を浴びせて、呆れた顔をしているイヌに、
ヘリは反発するように頬を膨らませてみせた。
そして、ふと、あることに気づいて、イヌを見やった。

自分の顔を、まじまじと見つめるヘリの視線に
イヌが、「何?」と眉をしかめた。

「あなたの家はあの近くなの?」

ヘリを案内してから別れたはずなのに、
少年がまだ、あの場所にいたことが不思議だった。

イヌが首をふった。

「違うよ。あそこは、知り合いの所から家に帰る近道なだけ」

「治安が良くないって言っていたのに、危ないじゃない」

「それは、こっちのセリフだよ。
なんで、戻ってきたんだよ。カフェに行くんじゃなかったの?」

「だって、変なんだけどね。カフェがどこにも無かったの。
名前はあっているはずなのに」

「もう1度カフェの名前を言って」

「セントラル・パーク」

「やっぱり、このあたりでは聞いたことないよ。
住所、間違えてるんじゃない?」

「うん…。その可能性も出てきたみたい」

「それで、また道に迷ったの?」

「違うわ。私、探し物をしていたの。
服につけていた王冠の形の小さなブローチなんだけど、
さっきの路地で落としたかもしれなくて」

「だから、変な姿勢で、うろうろしていたんだ」

「そう、だから、変な姿勢でうろうろ…って、
なんで、そんな事知ってるのよ?もしかして、ずっと見ていたの?」

ヘリの言葉に、イヌが、しまった、という顔をした。

「…ねえ、もしかして、私を心配して、店を見つけるまで
つけていてくれていたんじゃないの?」

「つけてなんてない。帰り道に、お姉さんが、
おかしな行動をしているのを、たまたま見つけただけだ」

イヌがむきになって言った。

「それで、たまたま、私がからまれたのも見つけて、助けてくれたわけね」

「同郷の人間をほおっておけないから」

ぶっきらぼうに言っているわりに、
少年の耳元が赤く染まっているのを、ヘリは見逃さなかった。

…さっき、私に、
人のいざこざは、見て見ぬふりするのが常識だよ。とか、
お人よしも大概にしたら。とか言っていたくせに。

ヘリは、やはり“わかりやすい”少年の不器用な親切と優しさに
嬉しくなって微笑んだ。

「ありがとう」

ヘリに面とむかって礼を述べられたイヌは、
照れ隠しのようにそっぽを向いた。

「もう、行こう。さっきの男たちも諦めたと思うから」

そう言って、歩きだそうとしたイヌに、
ヘリが情けない顔で、その場にしゃがみこんだ。

「足が痛いの。もう少し休んでから行きたいわ」

「…お姉さん」

しょうがないな、という風に、少年イヌは、空を仰いで、
ため息をついた後、ポケットからハンカチを出した。
そして、近くに置いてあった木箱の上にひいた。

「ここに座って」

「ありがと。気がきくのね」

「レディ・ファースト。女性には親切にって」

「それ、あなたのお父様に教わったの?
だとしたら、いいお父様ね」

何気なく、そう言ったヘリの言葉に、
イヌの雰囲気が一変した。

…何かまずいこと言ったかしら?

周囲より冷え込んだ空気をまとわせて、
急に黙りこくった少年を、ヘリは心配そうに覗き込んだ。


(「招かれるもの」3終わり 4に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)

ソ・イヌ少年


ブログの記事が気にいって頂けたら、
【拍手ぼたん】か、ランキングを適当に応援してください♪

↓参加中

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村





テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

web拍手 by FC2
// ホーム //