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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「真夜中の赤ずきん」2話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は、シリーズの「初めての夜」「優等生」から「カップケーキ」までの間で、
「囚われのプリンセス」や「初めての夜後日談」のラストで
ほのめかされていた空白の部分の話。




真夜中の赤ずきん(2話)




「どうかした?」

部屋の中をきょろきょろ見渡しているヘリに、
イヌが不思議そうに背後から声をかけた。


「うん…。すごく素敵な部屋だなって思って」

「そうか?でも、もう何回も入っているのに、初めて入ったみたいな感想だな」

「そんな感じ。昔もそう思っていたけど、今はもっといいなって感じるの。
まるで自分の部屋みたいに親近感が増しているような…」


それまで何度も来たことがあったけれど、急に、
イヌの部屋が、それまでとどこか違う雰囲気に感じられていたヘリだった。

それは、おそらく、イヌの部屋というより、イヌ自身と親密さが増した関係になったからこその変化だったのだろう。

しかし、疎いヘリは、そのことに気づいていなかった。

こんな思いになったのは、何度も部屋を訪れているからだ、とヘリは答えを出したようだった。

「私、この部屋とっても好きよ」

純粋な気質そのままに、何のためらいもなく、素直に思いを口にするヘリに、
ヘリよりも、ヘリの言葉の意味を正確に解釈したイヌの方が、苦笑するほか無かった。

だが、あえて、底抜けに鈍い恋人に、それを指摘するのも逆にきまり悪くて、

「それは、良かった」と、とぼけて言った。

「そんなに、気にいったのなら、あの案件、もう一度考え直す?」

「あの案件ってどの案件?」

不思議そうに首をかしげるヘリに、イヌがニヤリと笑った。

「一緒に暮らすって、件だ。この部屋がそんなに気にいったのなら、
君もここに住めばいい。僕はかまわないよ」

「…それと、これとは話が別よ」

気まずそうに首をすくめてみせたヘリに、
イヌが笑って、ワインラックを指で示した。

今、ヘリの一番の御所望は部屋ではなく、酒だということは聞いていた。

「何が飲みたい?」

「え~っと…」

目を輝かせながら、ヘリがワインラックの中のワインボトルを
吟味しだした。

どのワインを飲もうかな?と、ウキウキした様子のヘリをイヌが後ろでじっと見つめていた。

思い出していたのは、
再会した後に、イヌがヘリに提案した『同棲』の話。

その時、ヘリはそれを断っていて、イヌも、そのヘリの気持ちを尊重して、
棄却案を受理していた。

ヘリが断った理由は、どこの部屋で一緒に住むかという問題では無かった。
それはイヌも十分理解していたはずだった。

…しかし…。

「イヌ。私、これが飲みたいわ。いい?」

選んだボトルを嬉々として持ち上げて、振りかえったヘリに、
イヌは、思案顔を一瞬で元の表情に戻した。

「いいよ。座って。コルクを開けるから」

にっこり笑って見せて、
イヌはヘリからワインを受け取った。

そして、軽い手つきでワインオープナーを回し、
ボトルのコルクを開け、ヘリの前に置いたワイングラスに注いだ。

「いただきます」

嬉しそうに受け取ったヘリに頷くと、
イヌは、スッとキッチンから離れた。

そのまま、クローゼットの方に向かうイヌの後ろ姿を
ヘリが訝しげに見た。

「どこに行くの。一緒に飲まないの?」

「シャワーをあびてくるよ」

「シャワー?どうして?」

「ジョギングで汗をかいたからね。
君はゆっくり飲んでいていいよ」

「ええ。でも、早く出てきてね。
一人で飲むのはつまらないから」

言葉にださなくとも、ヘリのそんな気持ちは素直に顔にでていた。

どこかに置き去りにしたわけではないのに、
縋るような眼差しを向けるヘリの愛らしい顔に
イヌが自然に笑みをこぼした。

「じゃあ、一緒にシャワーを浴びようか?」

からかうように言って、

「もう、からかわないで」

予想通りの答え、そして、

あわてて、ワイングラスを口に持っていくヘリの分かりやすい態度にもイヌは笑って、バスルームに向かった。

やがて、

イヌがバスルームから出て、キッチンカウンターに戻ると、
ヘリがちびちびとワインを飲んでいた。

半分も開いていないワインボトルをイヌが訝しげに持ち上げた。

「これは、2本目か?」

「いいえ、さっき開けてもらったものよ」

「全然減ってないじゃないか」

「減っているわよ」

「好みの味じゃなかった?」

「そんなことないわ」

「酒豪の君が変だな。
それに、寝酒が欲しかったと言っていたのに」

「明日も仕事だから、寝酒でもそんなに飲まないのよ」

問い詰めるように聞くイヌに、
ヘリが気まずそうにワイングラスを手の中でクルクルとまわした。

「…ほんとは何をしに外に出たんだ?」

何かを悟って、

ヘリの向いに座ったイヌから聞こえる面白そうな声の響きに、
ヘリはますます居た堪れない気持ちになった。

「だから、言ったじゃない。
寝酒かわりのお菓子を買いにコンビニに行ったのよ」

「菓子がそんなに欲しかったのか?」

「そういう気分になる時もあるのよ」

「ふーん…なんだ」

イヌが、目を合わさないヘリから目を離さずに、
自分の分のワイングラスを仰いだあと、
チロリと唇を舌でなめた。

「僕に会いに来ようとしていたんじゃないのか」

ズバリ、核心をついたイヌの言葉に、
ヘリがバッと顔を上げた。

その顔には朱が散っていた。

「違うわよっ!さっきも言ったけど、外に出たのは、寝酒変わりのお菓子が欲しくて、コンビニに買いにいっただけなのよ。あなたに会いに行こうなんて、これっぽっちも考えてなかったんだからねっ」

饒舌にまくし立てるヘリをイヌが腕を組んで面白そうに見ていた。

「これっぽっちも?」

「これっぽっちも」

「少しぐらい考えたら、寝酒が僕のところにはあるかもしれないって思いついたんじゃないか?」

「あら、そうね」

澄まして応えながらもヘリは、…その手があったのね…と思っていた。

「薄情だな」

イヌがため息をついた。

「僕は君に会いたかったのに」

…え?…。

寂しそうに目を伏せるイヌに、ヘリがあわてた。

「私だって、もちろん会いたかったわよ。
でも、あなたの仕事が忙しいと思って遠慮していたのよ」

つい、本音をもらしたヘリに、イヌが耐え切れなくなって
失笑した。

「…また、からかったのね」

楽しげに笑うイヌを、ヘリは悔しげに睨み付けた。

…もう、この男は~・・・。
こんな意地悪で陰険な男の事を1日中考えていて、
ずっと会いたいなんて思ってた私がどうかしてたんだわ。

「ごちそうさまでしたっ。もう帰るわ」

憤然として、飲み残しのワインをぐいっと煽ったヘリは、
音をたてて、空になったワイングラスをキッチンカウンターの上に置いた。

そして、立ち上がって

「待って」

そう、呼び止めたイヌを無視して玄関に向かった。

「今夜は泊まっていかないのか?」

「また、からかっているのね」

…もう騙されないわよ。

身構えたヘリだったが、「からかってないよ」という、
きっぱりとしたイヌの声に、驚いて後方を振り返った。

ヘリの後ろにいたイヌの顔にさっきまでのふざけた笑みは無かった。

「今夜は、君が僕の部屋に泊まればいい。
昨夜は、僕が君の部屋に泊まったから」

真面目なイヌの声に、ヘリの胸がドキドキと高鳴ってきた。

それでも、素直にそれに応じるのも、照れくさくて、
ヘリは、せいいっぱい平静を装った。

「これも隣人としてのお気遣いかしら?」

「恋人として誘ってる」

「・・・・・・」

素直に返事が出来ないヘリに、
イヌがなおも誘いかけてきた。

「それに、ここも君の好きな部屋だろ?
ゆっくりくつろいで行けばいい」

僕の部屋のベッドで。
僕の隣で眠ればいい。

誘惑する言葉と、イヌの瞳がヘリをとらえて、
動けなくしていた。

その目で、ヘリは、自分の心が全部イヌに見透かされていると思った。

しかし、イヌの瞳に映っていたのは、ヘリの心情ではなく、
イヌ自身の心だった。

甘い熱にすっかり浮かされていたヘリは、そのことに、
全く気付いていなかった。

「そうするわ」

素直にそう答えたヘリに、イヌが微笑んだ。

今のヘリにとって、イヌの笑顔は、どんなものより
魅惑的だった。

…どうして、私ってば、あんなに意地を張っていたのかしら。
ばかみたい。

そう、不思議にさえ思うほどに。

ヘリは、フラフラとイヌに歩みよると、
そっと腕を伸ばして、自分から抱きついて言った。

「私ね、ほんとは、ずっとあなたに会いたかったの」

からかわれてもいい。
駆け引きが下手だと思われてもいい。

やっぱり、私は、マ・ヘリは、自分に正直に生きたいもの。

そう思いながら、
ヘリは、イヌの体に両腕をまわして、抱きしめた。

ヘリの抱擁を、受け止めて、
イヌがヘリの体に優しく両腕をまわした。

『ほんとは、ずっとあなたに会いたかったの』

そんな告白を自分から素直にしてくる
ヘリが、この上なく可愛かった。

「僕も君に会いたかった。気が合うな、僕たち」

「恋人だもの。当然よね」

イヌの言葉にときめきながらも
ヘリが澄まして答えた。


「じゃあ、この後どうしたいのかも、気があうかな?」

「それは、試してみないと」

イヌが楽しげに笑った。

そして、ヘリが着ていたパーカーのジッパーを指でつまむと、
ゆっくりと下していった。



(「真夜中の赤ずきん」2終わり3に続く)


イヌの言っている同棲の話は二次小説「myroom」で。

「初めての夜」後の話なので、初々しい恋人若葉マークのイヌ×ヘリ。


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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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