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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「仲直り記念日」最終話の10話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は、シリーズでは「試される絆」の続編「大切な人」の続きです。



仲直り記念日(最終話)




「知り合いか?」

そう聞いたイヌは、ヘリを見たあとに
チラリと、ユンスを見やると、口元に薄い笑みを浮かべた。

まるで、こうなることを知っていたかのように、
イヌの表情は冷静に見えた。

「知り合いなら、紹介してくれ。ヘリ」

そう言ったイヌに、ユンスが、ハッと我にかえったようだった。
そして、瞬時に平静を装った顔になると
イヌにぎこちない笑みを向けた。

「ペク・ユンスです」

そう、自己紹介して手を差し出したユンスに、
イヌは、「ソ・イヌです」と、
ニコリと営業スマイルを浮かべて手を軽く握った。

手を離した後、イヌが言った。

「ペク・ユンスさん。ああ、お名前はヘリから伺っています。
“お父さん”のご友人のご子息だとか」

ユンスが戸惑ったように、「え、ええ」と頷いた。

「このホテルはよくご利用されるのですか?」

ユンスに社交辞令な会話を続けるイヌに、ヘリが困惑した顔でイヌを見上げた。

ユンスは、大学の学会を終えて、今週末には、実家に戻るとサンテから聞いていた。
もしかすると、このホテルに泊まっていて、今日これから帰るのかもしれない。
薄々事情を察することが出来たヘリだったが、ユンスの答えは予想通りだった。


「いえ、数日前からこのホテルで所用があったので、連泊はしていましたが、
利用したのは初めてです…ソ・イヌさんはよくご宿泊されるのですか?」

チラリと、ヘリの方に視線を送ってユンスがイヌに聞いた。

暗に、『彼女と一緒に利用しているのか?』と問うているような質問に
イヌがうっすらと笑った。

「いいえ。“昨夜は、僕とヘリの記念日”だったので、
“デート帰り”に“泊まり”ましたが、家は“ヘリと同じマンション”なんですよ」

「イヌっ」

あまりにプライベートな内容を、ズケズケとユンスに答えたイヌに、
ヘリがあわてて名前を呼んだ。

…なんてことをユンスさんに言うのよ!

イヌの話は本当の事で、嘘をつくことは無かったが、
包み隠さず、言う必要もないことだった。
その相手が、ヘリにとって、父親の友人の息子という知人なら尚更。

それに、もうホテルの朝食に一緒に来ているという時点で、
悟られているとはいえ、結婚前の娘が男とホテルに泊まったということを
堂々と他人に話すなんて。

あたふたしているヘリを尻目に、イヌはしれっとした表情だった。
ユンスの方も、ヘリと同じように、内心の衝撃を隠しきれないような顔をしていた。

親しみがこもった笑みで、とぼけたように、飄々と話しているイヌ。

だが、その瞳は、ユンスを挑発しているというより、
冷たく、侮蔑しているような色を帯びていた。

…見ての通り、マ・ヘリは僕の女だ。

いくら鈍くても、ここまで聞いて、まだ分からないわけじゃないだろう。
親しい知人という立場で、これ以上ちょっかいをかけてこないでくれ。

「…そうなんですか」

イヌの心の忠告が完全に伝わったらしいユンスが、
ひきつった笑みを浮かべて、頷いていた。

そして、残念そうな瞳を再びヘリの方に向けた。

…こんな彼氏がいるのなら諦めるしかない。

そんな表情を隠そうともせず、ユンスは、傍目からも気の毒なほど
落胆した姿を見せていた。

「僕はこの後、実家に帰ります。ヘリさん、お体にお気をつけて、お元気で」

「ええ、ユンスさんも。いろいろありがとうございました」

そそと、頭を下げて、あわてて挨拶するヘリに、
ユンスが、そっと寂しげに微笑んだ。そして、ヘリとイヌに軽く頭をさげて、
朝食のトレイに、その場の料理を何も取らないまま去っていった。

そんなユンスの後ろ姿をイヌとしばらく見送った後、
ヘリは、軽く息をついて、イヌを見やった。

「…イヌ。さっきのユンスさんとの会話。いったい何を考えているの?」

「何って?何が?」

あくまで恍けたイヌの態度に、ヘリが目を細めた。

「どうしてユンスさんにあんなことを言ったのよ?
ユンスさんは、パパのお友達の息子さんなのよ。
もし、ユンスさんがお父様にさっきの事をお話しでもしたら…」

父サンテの耳にも入ってしまうかもしれない。

ヘリが、男と一緒にホテルに泊まっていた…と。

「話したらなんだ?知られて困るようなことか?
それに親の耳に入ったところで、今さらなことだろ」

…僕とヘリが『そういう仲』だということはサンテもエジャも暗黙の了解のはず。
昨日は、その両親の店で朝食まで一緒に食べた仲なのに。

「イヌっ」

ヘリの言わんとしたことは、イヌにはとっくに分かっていたことだった。

「心配するな。彼は父親にも誰にも言わないさ」

そう言って、イヌはもうその事に関心が無いかのように、
料理を取り、トレイの上の皿にのせ始めた。

「どうして、そう言い切れるの?」

不思議そうに首をかしげるヘリに、
イヌが黙ったまま、軽く肩をすくめてみせた。

…さすがに言えるわけがないだろう。
多少なりともプライドをもった男なら。
気になっていた女性が、他の男と一緒にホテルにいたなどと。

…さっきのはわざとなのね。

確かに今さらのように、ヘリはイヌの言葉の意図を思い知った。

それが、ユンスにも、そして万が一にも伝えられたサンテの思惑など
見越した上で…いや、むしろどうでも良いことだったのだろう。

ヘリが紹介する前に、
イヌは、「僕はマ・ヘリの彼氏です」と堂々と自己紹介しただけなのだろう。

単純なヘリは、そんな風に考えていた。

まだ、納得していないように、頬を膨らませて、
料理をとりはじめたヘリの横顔にイヌは目をやった。

それでも、ヘリには、イヌのすべての思惑を悟られることもなく、
ユンスとの会話の本当の意味も分からなかったようだった。
イヌが、ただ、ペク・ユンスに自己紹介しただけでは無いということを。

…昨日。

ヘリと一緒にランチをしていたカフェで、イヌは、
ペク・ユンスがこのホテルの中に入っていく姿を目撃していた。

…あれは、ヘリを車でマンションまで送ってきた男…
たしか、ヘリがペク・ユンスとか言っていた・・・。

まともに鉢合わせして、せっかくの記念日を台無しにされるのは、
避けたかったが、イヌには、男にどうしても一言釘を刺しておきたいことがあった。

だから、先ほどの会話も、ユンスに警告するために言っていた。

マ・ヘリは、あきらめろ。
これ以上ヘリに深く関わろうとする事は、むしろ、君の沽券にかかわる。
やめておけ…と。

そして、ユンスには十二分に伝わったようだった。
言葉だけでなく、ホテルの朝食に一緒にいる、という動かぬ証拠を目の前に
突きつけられては、現実逃避もできまい。

事はイヌの思惑通りに運んだが、
そのことに、ユンスも、そして、ヘリも気づくよしも無かった。

…ユンスさんのご両親は先に帰られたのかしら?
パパが、金曜日の夜に、ペク・ユンスさんとご両親と食事するって
言ってたけど、このレストランだったのかしら?
ホテルの食事といえば・・・。

そんな事を考えながら料理を盛ったヘリは、イヌと一緒にテーブル席に戻った。

「どうした?考え事か?」

イヌがぼんやりしているヘリに声をかけた。

「え?別に」

「君は顔に出るからな。なんだ?さっきの男の事でも考えていたのか?」

「違うわっ。ユンスさんの事じゃなくて、」

あわてて首をふったヘリが言った。

「ホテルの食事で思い出したんだけど、ジェームスってどうしているのかしら?」

「・・・・・・」

「ジェームスのホテルでジェニーさんと一緒に食事をしたきりだったでしょう?
やっぱり忙しいのかしら?ねえ、ジェニーさんから、ジェームスの事何か聞いてない?」

イヌは、思いっきり口から深い溜息を吐きたい気分を抑えるように、目を閉じた。

…ユンスだの、ジェームスだの…僕にとっては同じことだ。
君から他の男の名前を聞きたくない事には変わりはない。

そんな事を思いながらも、食事を進めて、
「さあ、聞いてないな」とイヌはそっけなく答えた。

「そうなの?じゃあ、ジェニーさんとジェームスってつきあっているわけじゃないの?」

「…君は、どうして、そういう事に関して、必要以上に
好奇心旺盛になれるんだ?」

…他人の色恋ざたなんてどうでもいいだろう。
ジェニーと、あのジェームス・バレンタインの関係が色恋ざたかどうかも
知らないが…。

そう、呆れ口調のイヌにヘリが首をすくめて見せた。

「んー…だって・・・」

『人って本気で誰かを愛したら、弱くなるのかしら?それとも強くなるのかしら』

バーで会った時に、ジェニーに聞かれた言葉を、ヘリは思い出していた。

あの時は、どうしてジェニーがあんな質問をしたのか
深く考えずに答えていたが、こうしてイヌとの事も落ち着いた今、
あれを聞いたジェニーが何を思っていたのか知りたいと思ったヘリだった。

…お身内の事だけじゃなくて、
ジェニーさんは、他のことでも何か悩み事があったんじゃないかしら?

「ホテルという点で、思いだしたのはジェームスなんだけど、
ジェニーさんの事がもっと知りたいなって思ったのよ」

「だったら、そういうことは、ジェニーに直接聞くといい。
女性同士の方が話しやすいこともあるだろう」

「ええ」

イヌの提案に素直にうなずいて、本当にいつか
ジェニーにはっきりと問いただしそうなヘリの様子に、イヌは苦笑していた。

…君のそういう怖い物知らずで、無鉄砲な所を、ある意味尊敬するよ。
僕にはまね出来そうもない。

イヌは、脳裏に、
ヘリが、あっけらかんと「ジェームスとはどうなってるの?」と、
ジェニーに聞いているところと、その時のジェニーの反応を想像して、
出来れば、その場にいたくないな、と考えていた。

そんなイヌの思いなど、全く無視して、
ヘリは、「そうだ」と、さもいいことを思いついた!という風に、
ぱあっと顔を明るくして手をたたいた。

「今度、また、ジェニーさんとジェームスと私たちで一緒に食事しましょうよ」

ヘリの言葉に、イヌは、今度こそ食べていた物を喉に
詰まらせそうになった。

「…『私たち』って言うのは、君と僕のことか?」

「そうよ。だって、ジェームスも又私たちに会いたいなって言ってたじゃない。
これは、ジェニーさんと親交を深めるチャンスだと思わない?」

…思わない。

そう言いたい気持ちをこめて、イヌは首を横にふった。

「僕は辞退するよ」

冷たいイヌの態度に、ヘリが膨れっ面になった。

「え~?どうして、そんなことを言うの?
約束してよ~。ねっ?」

「約束したくない」

「イヌったら~」

「嫌だ」

甘えた声でおねだりしたり、拗ねてみせたりして、
イヌの目の前で駄々をこね始めたヘリ。

それは到底、昨夜のディナーで見た自立した女性や、
ベッドの上にいた艶麗な女性と同一人物とは思えない姿だった。

…やれやれ。

イヌは、すっかり、無邪気で我儘な女性に変貌してしまった
今日の恋人を見ながら、心の中で盛大な溜息をついていた。

それでも、

どんな姿を見せられようと、
どんなに手を焼かせられようとも、

愛してる。

そう、変わらない思いでいることが、
不思議と心地よくて。

イヌは、無意識に口元に笑みを浮かべた。

そんな、イヌを見て、ヘリが嬉しそうに笑った。

「焦らしているだけなのね?
本当は、約束してくれるのね?ねっ?そうでしょ?」

その、ヘリの笑顔が、あまりにも可愛くて、愛しくて、

…この先も。
この顔を見るためなら、僕は、ヘリにどんな事でもしてやるのかもしれない。

イヌは思った。

たとえ、
今回のように、少し距離を置くことがあっても、
同じことを繰り返したとしても。

喧嘩して、
また、仲直りして、
記念日を一緒に過ごして、

そんな、二人の未来を想像しながら、
イヌは、無言で、ヘリに微笑んで見せた。


――― 一緒にいられるなら、どんな毎日も僕たちの記念日だ。


ホテルのレストランの窓からさしこむ朝の光の中で、
やわらかで優しいイヌの笑顔がヘリを包み込んだ。

その笑顔にこたえるように、ヘリもまたニッコリと微笑んだ。


これから、共にいられる時間にときめきながら、

ヘリとイヌ、

二人の新しい記念日が、今日もまた始まろうとしていた。



(終わり)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ペク・ユンス…ヘリの父親サンテの友人の息子

ジェニー・アン…イヌと同じ事務所の弁護士、イヌの親友
ジェームス・バレンタイン…ジェニーが顧問弁護士をしているホテルのオーナー



「試される絆」続編2の「仲直り記念日」完結です。
ひとまず、ここまで読んで頂いてありがとうございました。
ラブラブ復活、イヌ×ヘリ話でした♪

「仲直り記念日」への拍手、拍手コメントでの感想などを
送っていただき、ありがとうございます。
まだ咳は時々出ますけど、体調は良くなりました。

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「仲直り記念日」9話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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この話は、シリーズでは「試される絆」の続編「大切な人」の続きです。

(注意)

この話には、大人向けの表現や描写が含まれています。
自分は精神的に大人だと思える方のみ、お読みください。




仲直り記念日(9話)



…愛してる。

風呂の中で、お互い服を身につけていない体を密着しながら、
イヌから、甘い愛の告白を聞かされて、
ヘリは次第に体が熱くなって、のぼせていくような感覚になってきた。


ウットリとしはじめたヘリに、イヌがさらに言った。

「愛してる…ILOVEYOU」

そして、さらに、フランス語とドイツ語と日本語と中国語で

「愛してる」と言われたヘリは、さすがに、目を開けて、
後ろのイヌをジットリと振り返った。

「…やっぱり、ふざけてるわね」

…もう、体の芯から蕩けそうな気分に浸っていたのに、
結局、この男はどこまでもふざけるんだから。

「ふざけてない。真面目に言っている。世界の言葉で」

イヌが心外だという顔をして肩をすくめてみせた。

その素振りだけで、もうふざけているのが手にとるように分かった。

「はいはい。もう十分よ」

この男とのロマンチックなシチュエーションには、時間制限があるんだわ。

ヘリは、溜息をつくと、苦笑した。

「じゃあ、さっきの約束を果たそうか」

イヌがそう言って、ヘリの下肢に手を伸ばした。

「…約束って?他にあったかしら?」

不思議そうに問うヘリに、イヌが答えを行動で示した。

湯の中で、イヌにギュっと、太ももを握られたヘリは、
「きゃっ」と声をあげた。

「マッサージしてやるって言っただろ?」

楽しげなイヌの声に、ヘリは、
“これ以上この男の好きなようにさせてたまるものですかっ”
という思いで、手ですくった風呂の湯を後方のイヌに振りまいた。

ばしゃりっ。

濡れた顔を手でぬぐって、髪の毛をかきあげたイヌがニヤリと笑った。

「それが、マ・ヘリ流の返礼か。覚悟しろっ」

「やってごらんなさいよ」

バシャバシャと風呂の湯を掛け合って、ふざけ合う二人の笑い声が、
ホテルのバスルームの中に響いた。

さんざんじゃれあった後、

身体を洗って、さっぱりとしたヘリとイヌは、
ホテルの備えつけの夜着を身につけてバスルームを後にした。

そして、グラスに注いだシャンパンを持って、
枕に半身をあずけて足をのばし、ベッドの上に、並んで腰かけた。

チン☆

微笑みあって重ねたグラスを口にするヘリとイヌ。

「…ん。美味し」

ずっと、やってみたいという願望をかなえた思いと、
それを一番愛した男と遂行できたという満足感が
シャンパンの味を高めているように思ったヘリだった。

サイドテーブル側にいたイヌが、
他にもルームサービスで頼んでいた盛り合わせのフルーツの皿を
ひきよせて、膝の上に置いた。

そして、ピックに刺さったフルーツを1つ取って、
それをヘリの口元に向けた。

「ほら、ヘリ」

…あーんして。

「あーん…」

素直に口をあけて、イヌがさしだしてくれた
フルーツをパクンと口にいれたヘリ。

はにかみながらも、
嬉しそうな笑顔をイヌに向けてヘリはフルーツをもぐもぐと食べた。

「はい、イヌも」
…あーんして。

ヘリに口に入れてもらったフルーツをイヌは美味しそうに頬張った。

ドラマや映画ではたから見ていたら、
とてもロマンチックで、羨ましかった光景だったが、
いざ、自分がやってみると、ムズムズするようなくすぐったさを感じたヘリだった。

しかし、おそらく、そういう場面を映画で見たら、
鼻白んでいそうなイヌが、まんざらでも無い様子が嬉しかった。

自分につきあってくれていると分かっていても。

…ヘリが満足した顔が見られて僕も嬉しい。

そう言っているような、優しい顔で、ずっとヘリを見つめているイヌの視線に、
ヘリは照れくさくなって、シャンパンをごくごくと飲んだ。

「ふうっ…」

一通り、シャンパンとフルーツ、つまみを口にした後、
ヘリは吐息をついて、こてり、とイヌの肩に頭をもたれさせた。

「…いっぱいは嫌だけど、仲直り記念日も悪くないわね」

そう甘えた仕草で言ったヘリに、イヌが苦笑した。

「別に仲直りじゃなくていいだろ。
これから他の記念日を沢山祝えばいい」
…二人一緒にこうやって。

「うん。楽しみ」

ヘリがにっこりと笑った。

…僕もだ。

イヌも微笑んだ。

お互いの同じ思いを確信して、
イヌとヘリは体を寄せ合った。

しばらく無言で、座ったまま優しく抱き合って、

甘くて、温かくて、フワフワとした昂揚感に陶酔していた二人だったが、
ヘリの欠伸をかみしめた表情に気づいたイヌが体を離した。

「寝よう」

イヌが言った。

「でも…まだ、いつもより早い時間」

ヘリがそう言って、サイドボードに置かれた時計にチラリと目をやった。
時刻は、ヘリがいうほど、早い時間でも無かった。

…確かに眠くなってきているけど、
この甘い空気にもっと浸っていたい。

久しぶりにイヌとこうして素敵な夜を過ごすことが出来たのに、
もう寝てしまうなんて、なんだか、勿体ない。

素直にそう口にするヘリに、イヌが目を細めた。

…僕も同じ思いだ。
だけど。

「さっき話したろ?
これからも、こういう日は沢山過ごせるんだ。
無理することない。
それに、仲直り記念日の儀式は一通り終えたしな」

「儀式って」

イヌの言い方が可笑しくて、ヘリが笑った。
イヌも笑うと、ヘリの頭を手で引き寄せて、抱き包むと、
ゆっくりと、背後の枕に上体を倒した。

「それに、明日も休日だ。
ホテルをチェックアウトしたら、デートをしよう」

「ええ。何をしようかしら」

「そうだな…」

肩を抱き合って、明日の予定を話し終えたヘリとイヌは、
一緒にベッドの上に体を横たえた。

ふと、
何かを思いだしたように、イヌが少し思案顔になった後、
「明日の朝食は、レストランで食べないか?」と言った。

てっきり、また、ルームサービスで
二人きりでゆっくり朝食をとる、と思っていたヘリは、
きょとんとした。

「いいけど、ここのホテルのレストランの朝食は何か違うの?」

「ビュッフェスタイルが人気らしい。
君の好きなフルーツや生野菜もいっぱいありそうだ。
どう?」

「ええ、いいわよ」

どんな場所でも、たとえ、他人が大勢いても、気分は二人きり♪

すっかり、そんな考えで、ヘリはイヌの提案を快諾した。

ヘリの答えに、イヌが満足そうに頷いて、
ヘリの体を自分の方に抱き寄せた。

そして、イヌが言った。

「愛してる。ヘリ」


…また、からかっているのね。
もう、騙されないんだから。

ヘリは、ジトっとした半目でイヌを見上げた。

しかし、ヘリを見下ろしているイヌは、
からかってはいないようだった。

ホテルのベッド脇のサイドボードのスタンドランプの明かりが
仄かに照らして見えるイヌの表情に少しもふざけた片鱗はなかった。

眠そうに少し細められた、でも、
ヘリを、心から愛おしそうに見つめているイヌの瞳が、
そこにあった。

…イヌ…。

「愛してる」

イヌが、また囁くように言って、
ヘリの横髪をそっと手で梳いた。

優しく撫でるイヌの指を頬に感じながら
ヘリは、うっとりと目を閉じて、イヌの暖かい胸に
顔を摺り寄せた。

「うん…」

…私もイヌを愛してる。

心の呟きを、言葉として声にのせたかどうか、分からないほど
ヘリにはもうほとんど意識が無かった。

久しぶりに恋人と激しく体を重ね、
愛を交わしたという行為からくる疲労もあった。

だが、それよりも、肉体も心も、充足感に満たされたヘリは、
甘い余韻に陶酔し、イヌにすべてをゆだねていた。

イヌの愛に包まれている。

そう、ヘリは心から実感していた。

「…嬉しい…」

もう、寝言のように、小さな声が
ヘリの口から洩れたのを最後に、後は、安らかな寝息が
イヌの耳に届いた。

…うん。僕も嬉しいよ。

イヌも迫る睡魔に意識をのみ込まれる前に、
心の中でヘリに答えた。

…君とこうしていられることが、嬉しい。
ヘリ、心から、愛してるよ。

イヌが目を閉じると同時に、
力の抜けた手が、ヘリの髪の毛に置かれたまま動かなくなった。

ホテルの部屋を照らす外からの夜景のネオンライト。

それすらも、ヘリとイヌの眠りを妨げるものではなく、
夜の暗闇が優しく二人を包み込んでいた。



朝がきて、

目覚めたヘリとイヌは、前夜に打ち合わせていた通りに、
朝食を食べるためにホテルのレストランに向かった。

「私、こうして、ホテルのレストランで朝食を食べるのって
久しぶりだわ。」

まるで、初めて優雅な外食に連れていってもらった少女のような
ヘリのはしゃぎぶりにイヌが笑った。

「君の好きなサラダやフルーツはあっちにあるようだ」

テーブルに案内された後、
イヌとヘリはトレイを持って、めいめい自分たちの好きな物を
皿に盛る為に歩き出した。

…ほんと。イヌが人気だって言っていたけど、
品数も多くて、新鮮でおいしそうなものがいっぱいね。

ヘリが、浮かれた手つきで、
サラダボールから、ミニトマトを皿の中に入れながら、
体を横に移動させたとき、

トンっと、隣にいた人物の腕に肩口をぶつけた。

「ごめんなさい」

ヘリがあわてて言って、とっさに頭を下げた。

「こちらこそ、すみません」

…ん?

聞き覚えのある男の声に、ヘリは顔をあげた。

「あ…、ヘリさん?」

驚愕した顔でペク・ユンスが、ヘリを見つめていた。

「え…、ユンスさん?」

ヘリも、目をしばたたかせて、
ユンスを信じられないという表情で見つめた。

ヘリの父親サンテの友人の息子のペク・ユンス。
数週間前、「惹かれている」と告白された男性でもあった。

…なぜ、ここに?

同じことを考えて、

朝食のトレイを持ったまま、しばし
茫然とお互いの姿を見ていたヘリとユンスの意識を
戻したのは、背後でヘリを呼ぶ男の声だった。

「ヘリ」

ヘリとユンスが同時に、声のする方に顔を向けた。

イヌが、ゆっくりとした足取りで、二人に近づいてきていた。

「どうした?」

不思議そうな声色で、しかし、妙に落ち着いた姿勢で
トレイを持って現れたイヌが、やけに威圧的に見えた。

そんなイヌに、ヘリは、戸惑った目をむけ、
ユンスは、動揺を隠しきれない様子で、イヌの姿を捉えていた。



(「仲直り記念日」9終わり 10に続く)



登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ペク・ユンス…ヘリの父親サンテの友人の息子


小説への拍手、拍手コメント、ありがとうございます♪
「仲直り記念日」次回、最終話です。


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(警告)

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仲直り記念日(8話)




イヌに翻弄されるのは、望むところ。

そう思ったヘリだったが、
数刻後、早速その覚悟が揺らいでいるようだった。

「イヌ…」

「何?」

「ご褒美を好きなだけあげるって言ったけど、
限度ってものがあるわよ?」

ホテルの部屋のベッドの上で体を重ね始めてから、
もう何度も、イヌによって強い快感を与えられたヘリの体力は限界に近かった。

対して、微かに息を荒くしながらも、
涼しい顔で事を続けているイヌには、体力的にも時間的にも
限界というものが無いように見えた。

息を少し切らしているのも、ただ、行為に興奮している気分的な
軽いもののようだった。

「体は大丈夫なの?
仕事で疲れがたまっているんでしょう?
いきなり、激しい運動をすると、かえって体に悪いわよ」
…そろそろ終わりにした方が…。

ヘリの必死の説得にイヌが声をあげて笑った。

「それって、僕の身体を気遣って言ってくれてるって
思いたいけど、自分の為に言ってるようにしか聞こえないよ。ヘリ」

「・・・・・・」

完全に見透かされている事にヘリは悔しそうに唇を尖らせた。

「心配するな。もう元気だから」

「元気になったのはいいけど、なりすぎよ」

「ああ、そうだ」

ニヤリとイヌが笑った。

「夕食に君がすすめてくれたスタミナのつく料理を食べたから」

イヌの言葉で、ヘリはようやく、

ディナー前に、「スタミナのつく料理」や「精をつけなくては」と言った
自分の台詞でイヌが含み笑いを浮かべた意味が分かった。

「あれはっ。そういう意味で言ったんじゃないわ!
私は、ただ、本当にあなたに元気になって欲しくてっ…んんっ!」

あせって、弁解しようとしたヘリの唇をイヌが塞いだ。

「…わかってる」

唇を離したイヌが、囁くように言った。

…君の優しさは、いつも僕の心を明るく元気にしてくれるよ。ヘリ。

こんなことほど、口に出してヘリに伝えなくては、と思うイヌだったが、
言葉にしたのは、相変わらずな軽口だった。

「だから、ご褒美はもういらない。
これからは、仕事にかまけて、君をほおっておいたお詫びをさせてもらうよ」

“お詫びをさせてもらう”と言いながら、
おそらく、いや、はっきりと、
変わらない行為の継続意思を示すイヌに、ヘリがジタバタとあがいた。

「遠慮するわっ」

「そう言わず、受け取って」

クスリと、笑ったイヌの目に、陰謀を企む陰湿な光を見たヘリは、
泣きそうな顔で体を硬直させた。

「…何するの?」

イヌは、ヘリの身体の下に腕を差し込み、抱き上げて立ち上がると、
部屋を歩いて移動した。

「やだっ…イヌ?どこに行くの?」

腕の中でそう問うヘリに答えずに、イヌは歩き続けて、
部屋の明かりを全部消した。

そして、カーテンが大きく開いたままの窓の近くにヘリを下ろした。

「ここだと、君が好きな綺麗な夜景がはっきり見えるだろ?」

…ここで続きをしよう。

「やだっ、やだっ!イヌっ。こんな所、誰かに外から見られちゃうっ」

言われる前に、答えを悟って逃げ出そうとするヘリを
イヌが押さえつけた。

「平気さ。街中のホテルと言っても、この部屋はかなりの高層階だ。
ビル群からも離れている。それに電気を消したから、見えっこない」

「嘘っ。嘘っ!誰かが、星を見るのに望遠鏡を使っていたらどうするの?」

「君の妄想力には、いつも脱帽するよ。」

イヌが呆れたように苦笑した後、
往生際悪く、あがいているヘリに身を伏せて、
耳元でわざと悲しげな声で言った。

「あの時、僕を信じるって言ってくれただろ?」
…僕を信じない?

『イヌを信じるわ』

…この男は~…!

「あれは、こういう話とは別だからっ。
もう無理だからっ。私は嫌だからねっ」

「あ~、なるほど。それが君の本音か」

クスクスと笑うイヌに、ヘリはまたイヌにからかわれている事が分かった。

「ほら…。それより窓を見ていろ。綺麗だろ?」

確かに、イヌの言うとおり、電気を消したホテルの部屋の夜景は
煌びやかで、ロマンチックだった。

ウットリとなりかけたヘリは、慌ててかぶりを振った。

「いいっ。もう見飽きたもの」

目を閉じ、頬を膨らませて、
強がって拗ねて見せるヘリの可愛い仕草にイヌが口元をほころばせた。

「じゃあ、夜景は見なくていい」

そう言って、イヌはヘリの体を強引に床に伏せさせると、
その上に身を屈めた。

そして、低く囁いた。

「僕を見ていろ」

“僕を見ていろ”と言いながら、イヌに、
直接顔が見えない体位にさせられたヘリは、
すっかり抵抗することも諦めて、後方のイヌに意識を向けた。

外の景色が見える場所で、再びイヌに抱かれたヘリは、
精神的な興奮から、限界だと思っていた体の熱を無理やり引き上げられていた。

美しい夜景の光の中

ホテルの部屋の窓際で愛し合い続けるイヌとヘリの姿が、
妖しく浮かび上がっていた。

それから、しばらくして…。


「ひどい男」

温かい湯が満ちた風呂の中で、
ヘリがクスンっと鼻をすすって涙ぐんでいた。

メイン電灯を消したバスルームの中。

サイドに設置されていたテーブルライトの光が、
湯気に包まれた空間をやわらかく照らしていた。

「でも、そんなひどい男を君は愛しているんだろう?」

背後から聞こえる、からかうような男の声にヘリが、
顔を赤らめて俯いた。


結局、

「…離さない。ヘリ」

そう、言われて、懇願すらも深い口づけで遮られて、
ヘリは、イヌに本当に、好きな分だけご褒美を与えさせられていた。

イヌの気持ちは、つながった体からも十分わかるほど、
伝わっていたが、それにしても執拗なイヌの行為に
ヘリはクタクタに疲労していた。

身体も心もこれ以上ないほど満足していたが、
何度も我を忘れた痴態を見せた後に、それを素直に口にするのも悔しくて、

ようやく事が終わった後、ヘリは、いじけたふりをしていた。

そんなヘリの心境はとっくにお見通しのイヌに、
ぐったりした体を抱き上げられて、バスルームに運ばれたヘリ。

そして、そのまま、新しい湯をはった
風呂の中に一緒に身を浸していた二人だった。

ふくれっ面のヘリとは対照的に、
ヘリの身体を背後から両腕で抱き包んで、風呂の縁に
もたれたイヌは、心底満足そうな顔をしていた。

そして、ヘリをチクチクと言葉で苛めてからかっていた。

「・・・・・・」

…やっぱり、1度別れるんだったかしら。

ヘリは、本気でそんな事を考え出した。

そんなヘリの心を読んだようにイヌが言った。

「でも、たとえ、違うと言われても…」

先ほどまでの意地悪な口調と一変した
イヌの真面目な声だった。

「君が嫌だと言っても、別れたいと言っても、
僕は君を離さない」

ヘリは、驚いて、勢いよく後ろを振り返った。

「それって…そんなに私にベタぼれ?」

からかったつもりで言ったヘリの言葉に
イヌが真面目に頷いた。

「ああ」

イヌが言った。

「愛してる」

サラリと応えながらも、

イヌの自分を抱きしめる腕の力が強くなったことに気づいた
ヘリは、胸の鼓動を早めた。

「マ・ヘリ。君は我儘で、無鉄砲で、時々度をこえて鈍くて、
僕をいらつかせる事もあるけど」

ヘリが、むっとしたように唇をとがらせた。

「でも、だからって、別れたいなんて考えたことは無かったよ」

…考えるわけもない。

「なんだか、怖いわ」

ヘリが当惑した顔で俯いた。

…怖い?

「何が?」イヌが聞いた。

「あなたが、素直すぎて。…こんな事今まで言ったことなかったのに」

「今回のことで、底抜けに鈍い誰かさんには、これくらいはっきり言っておいた方がいいと分かったんだよ」

そうじゃないと伝わらない。

「でも、そこまで鈍い、鈍いって言わなくてもいいじゃない」

「じゃあ、どうしたら伝わるんだ?」

イヌが聞いた。

「何回、君に、愛していると言えば僕の気持ちが伝わる?」

…愛している。

その言葉が、イヌの口から出るたびに、ドキドキして、
体も心も囚われてしまう。

1回だけで、十分にその効力はあるというのに。

それを何回も言ってもらえるのだとしたら…。

「いっぱい言ってよ」

ヘリはわざと、拗ねた口調で言って、ツンと顎をあげると目を閉じた。

「私って、鈍い女だから、いっぱい言ってくれなきゃ、分かんないわ」

「OK」

クスリと笑うイヌの気配に、
ヘリは、イヌに自分の心が見透かされているのが分かった。

「愛してる。ヘリ…君を愛してる」

イヌが言った。

「もっと…」

ヘリのおねだりに、イヌがヘリの体にまわしていた両腕の力を更に強めた。

「愛してる」

イヌに背後からギュッと抱きしめられながら、
ヘリは目を閉じたままだった。

「愛してる。愛してるよ」

何度でも何度でも、耳元で、囁かれるイヌの言葉が
呪文のように、ヘリの心に刻み込まれていった。


(「仲直り記念日」8終わり 9に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


拍手、拍手コメント、メッセージ、ありがとうございます♪
どうでしょう?ラブラブイヌ×ヘリ。
話はもう少し続きます♪


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「仲直り記念日」7話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話は、シリーズでは「試される絆」の続編「大切な人」の続きです。

【警告】

この話には大人向けの表現、描写が含まれています。
自分は精神的に大人だと思える方のみ、お読みください。



仲直り記念日(7話)




「ヘリ…」

イヌの熱い吐息がヘリの頬に触れた。

同時に、イヌの両腕が、ヘリの体を抱き包んだ。

イヌを迎え入れる為に、ヘリがイヌの首に両手を回した。

「イヌ…」

ウットリとヘリが目を閉じたのを、確認したイヌは、
ヘリの体に身を伏せた。

「あっ…ぅっつ……あんっ…」

動きにあわせて、呻くようなヘリの声が、
徐々に、甘い喘ぎになっていく。

二人の体が、ゆっくりと繋がっていく感覚に、
イヌも目を閉じて、恍惚とした表情になっていた。

「…ああ…」

つい、口から洩れた、イヌの微かな喘ぎのような声に、
ヘリの母性本能がくすぐられた。

イヌを気持ちよくしてあげたい。
抱いてあげたい。

そんな思いになって、
イヌの身体を引き寄せるように、強くしがみついた。

先ほどまで続けていた、お互いの体の素肌を愛しむような行為とは
また違った快感を共有している。

「…ずっとこうしたかった」

ヘリの耳元でイヌが囁いた。

“ずっと”という言葉で、イヌが自分と同じ思いでいたことが
分かったヘリの胸が、これ以上ないほど甘くときめいた。

「ヘリ…ヘリ…ヘリ」

ヘリの大好きなイヌの、低めで、甘い声で
名前を連呼されながら、体を抱かれて…、

ヘリは言葉に出来ないほどの思いが体中を支配するのを感じた。

…私もずっとこうしたかった。

そう言いたいのに、

…イヌ。

そう自分も呼びたいのに。

…気持ちいい。

今の現状をそう伝えたいのに。

言葉の代わりにヘリは、唇をかみしめて、ポロポロと涙を流していた。

そんなヘリに気づいたイヌが、心配そうにヘリの顔をのぞきこんだ。

「どうした?」

…どこか痛むのか?それとも嫌なのか?

ヘリは必死に首を横にふった。

「ううん」
…その逆。

「気持ち良すぎて…」

…体も気持ちいいけど、
イヌとこうなったことが気持ちよくて、涙が止まらない。

荒い吐息の合間に
小さい声で、そう正直に打ち明けるヘリが愛しくて。

イヌは、ヘリの背中に回した手に力を込めると、
つながっている体をさらに深くすり上げるように律動させた。

そのイヌの動きに、ビクンっと、体をこわばらせたヘリは、
驚愕したように目を見開いていた。

「こんな…」

イヌとつながって、わずかな時間しか立っていないというのに。

ヘリの体はもう究極の快楽の淵まで貶められていた。
しかも、気が遠くなりそうなほど急速に激しく。

こうなる事をこんなにも待ち望んでいたのか、
それともイヌを求めていたのか。

「こんな…あっ…嘘…やだっ…」

身体の奥から突きあがる、激しい快感に
ヘリは、もう我を忘れて、うわごとのように言葉を吐き続けた。

「もう、こんなに…っふっ…ああっ!…イヌっ」

…抑えきれない。気持ち良すぎる。

羞恥心からか、必死に自制しようとしながらも、
自分の腕の中で、強い快感に乱れて、堕ちていくヘリの姿に
イヌの心が完全に虜にされた。

「可愛いよ。すごく可愛い。…ヘリ」

与えられている体感だけでも、限界にきていたヘリに、
留めを刺すようなイヌの甘い囁き。

ヘリの理性の糸がプツリと切れた。

「~~~~~!!」

細く長い嬌声をあげて、ヘリがイヌの腕の中で、体をのけぞらせた。

そのヘリの激しい動きにもビクともしないイヌの腕が、
ヘリの身体を抱き抑えていた。

…恥ずかしい。こんなに早くイってしまうなんて。
でも、止められない。
イヌとこうしている事がこんなに気持ちがいいなんて。
知らなかったわけでは無いのに、改めて実感してしまった。

…私はイヌから離れられない。

高ぶった気持ちと身体の熱に煽られて、
ヘリは又ポロポロと涙を流していた。

白い喉元をそらせ、喘ぐヘリの声は、
男の理性を無くすには十分艶めかしかった。

それだけでもそそられるというのに、
透明で無垢な涙を頬に滴らせながらも、体を激しく震わせて、
快感に陶酔しているヘリの姿は、全身全霊でイヌを誘惑しているように見えた。


…ヘリ。もう二度と僕から離れたいなんて言わせない。

ヘリと強く体をつなげ続けながら、イヌは思った。

こうして、肉体で君を縛り付けられるなら、
もう嫌だと口で言われても、手放したりしない。

でも、どんなに快楽を与えても、君の背中には見えない翼があって、
縛りつけておくことも、心を完全に繋ぎ止めておく事は出来ないんだろうな。

そんな君だから愛したのだけど。

でも、もし又あんな事があるのなら、
僕はその翼ごと君を壊してしまうかもしれない。

再び君が逃げ出さないように。
恨まれてもいい。
その自由で意思の強い瞳で僕だけを見てくれ。

恋に狂った愚かな男の、救いようのない独りよがりだと言われても。

すでに自制のきかなくなった体を一心不乱にヘリに打ち込みながら、
イヌはどこか狂ってしまったような心の戯言に自嘲していた。

それでも、口から紡ぎ出されるのはヘリの羞恥心を引き出す挑発めいた言葉だった。

「もっと乱れてみろよ」

ヘリが顔を歪めた。
イヌの笑みは自分への嘲りに見えた。

…その美しい顔と体で。
純粋な心で理性に支配されている君の全てを僕に開け放してみろ。へり。

イヌはそっとへりの体から自身を引き抜いた。

「…あ…」

思わず落胆の声をあげたへりが、恥ずかしそうに唇をかみしめた。

「…欲しいか?」

嘲笑し、白々しく聞くイヌが本気で憎らしくなったへりだった。

返事の代わりにヘリは顔を手で覆うと、シクシクと泣き出した。

「…やだ。ひどいわ。こんな意地悪するなんて」

まるで、少女のヘリが少年のイヌに意地悪されたような光景だった。


「意地悪なんてしていない」
…からかってもいない。

ただ、じらしている。

イヌが言った。

「君の本心を知りたいから」

…もっと僕を求める君が見たい。

イヌは顔をヘリの下半身の方に移動させると、ゆっくりとその上に身をかがめた。
そして、両手でヘリの足首をつかんで両足の膝を曲げさせ、
グイッと、仰向けのヘリの上半身に伏せるように、持ち上げた。

「やっ…イヌっ」
…恥ずかしい!こんな恰好・・・

ヘリが、涙目で、嫌々と首を激しく横にふった。

見られるのは、今さらなのに。

こうして、あられもない恰好をさせられて、
イヌの目に恥ずかしい部分を全部曝け出すことに、
ヘリのお嬢様育ちの上品な気質がまだ抵抗を感じているようだった。

イヌは、そんなヘリの内情を見透かしていた。

…今聞きたいのは、恥ずかしいという言葉じゃないよ。ヘリ。
そんなことを言えないようにしてやる。

そう思いながら、ほくそ笑んだイヌの企むような顔が、
ヘリの下腹部に伏せられた。


「!…っ…ぁっ…イヌ!!」


空虚になっていたヘリの下腹部が今度は柔らかな感触で満たされた。

激しく上り詰めた後のヘリの体が、
今度はイヌの優し過ぎる舌の愛撫に予想以上に歓喜しているようだった。

「ふぅっ…ぁ…あんっ」

目を閉じて悶えるヘリの姿をイヌは満足そうに見上げながら、行為を続けた。
まるで、好物の甘いぺろぺろキャンディーを口にする少年のように、
イヌが、ヘリの愛液が滴る箇所を執拗に舐めとっていく。

ヘリの体液か、それとも、イヌの唾液か分からなくなった熱い湿地が、
柔らかく、ヒクヒクと、微動していた。

「気持ちいいか?」

こくこくとヘリが頷いた。

「…もっと…して」

「もっとハッキリ言え」

もうグズグズに涙で顔を歪ませながら、ヘリはほとんど泣きじゃくっていた。

「うっく…、ひくっ…もっと、欲しいの」

「もっと舐めて欲しいのか?それとも別の事か?」

いちいち恥ずかしい事を当たり前のように確認してくるイヌにはヘリの本音は分かっていた。
分かっていながら、あえて問いかけるイヌの本心もヘリには分かっていた。

「あなたが欲しいの。イヌ」

ずっとずっと欲しかった。

ヘリは素直に願望と思いを口にした。

この数週間。

欲しくてたまらなかったのに。

「昨日まで、体だけじゃなくて、心も突き放されたみたいに感じて寂しかった」

「…突き放したつもりは一度も無かった。でも…」

イヌが静かに答えた。

ただ、仕事とプライベートの一線を引きたかった。
ヘリの為というより…自分の為に。

だが、事実。
“突き放されたみたいに感じて”

ヘリにそう思われてもいても仕方のない態度も応対もしてしまった。
何度もヘリに、不安そうな顔をさせてしまった。
寂しそうで、悲しげな顔も。

大切にしたいのに。
誰よりも大事にしたかったのに、

イヌは、16年前の少女の時のヘリや、1年以上前、
事件の真実と自分の正体がばれる前や直後のヘリを脳裏に浮かべた。

…僕は君を傷つけてばかりだ。

だから、あの時も、

ヘリに、『もう会わない』と言われた時、
到底納得も承諾もできるものでは無かったけど、
あれ以上、近くにいたら、もっと君を傷つけそうで怖かった。

君をつなぎとめておきたかった。

心が離れて行くなら、せめて体だけでも。
そして、刻みつけておきたかった。知ってほしかった。
自分は、こんなことごときで、ヘリから離れる気は毛頭ないのだと。

交際を申し込みに行った時にサンテとした約束。
「ヘリが愛想をつかせたら即刻別れろ」という条件。

あの時は承諾したけれど。
本当は、あんな約束だけは、はなから守るつもりはなかった。

だから、余計、傍にいたら、君に酷いことをして
傷つけそうだった。

自分から、遠ざけるつもりも、突き放すつもりも、
離れるつもりも無かったのに。

「君にそう思わせてしまったのは、僕のせいだ。…ごめん」

ヘリがイヌの謝罪に泣くのを止めて、瞠目した。

「私に会うのを避けて逃げてたんじゃないの?」

「なんだって?」

「ううん。そうじゃなくて、私と会ったら、私が仕事のこと割り切れないと考えて、
わざと会わないようにしてたんじゃないの?」

イヌが、ヘリに連絡をくれなかったり、自分から会おうと言ってくれなかったのは、
忙しいだけでなく、そういう思惑もあるからだ、とヘリは考えていたことだった。
どんなに仕事が忙しい時でも毎日、メール一つ、電話1本いれてくれたイヌだったから。

だから、そんなイヌの意図をくんで、
自分も我慢しようとしていたのだけど…。

「この1か月は本当に忙しかったんだよ」

ヘリに休日会えないほど仕事がたてこんでいたのは事実だった。

それに、ヘリのために、ヘリを避けていたわけでは無かった。
本当は、少しの時間でも、ヘリと話がしたかった。

せめて電話でも。そう思っても、
電話で声を聞いてしまったら、会いたい気持ちを抑えられなくなるだろう。

そして、会ってしまったら、一緒に時間を過ごしたいという思いに歯止めが利かなくなる。

ヘリを抱いたら、仕事で、冷静な判断力が保てなくなるかもしれない。

検事としてのヘリの事を案じていたんじゃない。
むしろ、自分の抑制が利かなくなることを危惧していたから、会えなかった。

それで、ヘリを不安にさせていたなんて。

…まったく、自分で分かっている以上にお前は小さな男だったんだな。ソ・イヌ。

イヌは、心の中で自らを叱咤し、自嘲した。

「少しは仕事落ち着いたの?休日出勤続きで、帰りも遅くて
疲れもたまっているでしょう?平気?」

ここしばらくの、疎遠だった事を責めるより、
自分の体を気遣ったヘリの優しい言葉が、イヌの心をしめつけた。

「平気さ。今夜君にこうして慰めてもらったからな」

身体だけじゃなく、心も。

疲労は確かに感じていたが、
ヘリと離れていた間の、体も心もむしばむような倦怠感に比べたら、
これは最上の安らぎのうちだ。

イヌは、愛おしむような目でヘリを見つめ、腕をのばすと、
ヘリの髪の毛を手で何度も撫でおろした。

「それに、これからの休日はゆっくりさせてもらう。
馬車馬のように働き、それに見合うだけの、事務所が期待する成果もあげた。
文句は言わせないよ」

「さすがね。ソ弁護士。よく頑張りました」

まるで、子供を褒めるようにからかった口調ではあったが、
素直なヘリの賞賛の言葉と優しい笑顔は、イヌの心を癒した。

「じゃあ、ご褒美をくれる?」

おどけて言った悪戯っ子のような表情のイヌに、
ヘリが思わず噴き出した。

「いいわよ。今夜は好きなだけあげるわ」

「…言ったな。約束だぞ?」

わが意を得たり、とニヤリとするイヌの顔は
すっかり“男”に戻っていた。

…このソ・イヌって男には
これからも、こうして翻弄され続けるんでしょうけど…
望むところよ。

ヘリは、そんな風に思う自分自身にも呆れながらも、

「約束」

そう応えて微笑むと、
ヘリはイヌと唇を重ねた。


(「仲直り記念日」7終わり 8に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)



質問がきそうなので、先に説明しておくと…

イヌがバッグにいれて、ちゃんと持ってきたアレの件。
ヘリが風呂に入っている間に、イヌが、中身を出して、
ベッドの枕の下あたりにセッテッィングしていたと思いますよ。
それで、描写は無いけど6話と7話の間につけたと、ということで♪

明日も続きを更新予定です。

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「仲直り記念日」6話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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この話は、シリーズでは「試される絆」の続編「大切な人」の続きです。

(警告)

この話には、大人向けの表現や描写が含まれています。
自分は精神的に大人だと思える方のみ、お読みください。




仲直り記念日(6話)




キスを終えて、
ベッドの中で、抱き合って、

しばらく、お互いの体を優しく抱きしめあったまま、何もせずにいたヘリとイヌだった。

相手のバスローブ越しの肌のぬくもりを感じて、
密着した体から互いの体臭を嗅いで、
息づかいと、鼓動を聞いて、両足をからめて、
両手を相手の背中にまわしていた。

そうして、お互い、五感すべてで、
今、再び恋人が腕の中にいる幸福感に浸っていた。

ふっ…ヘリが小さく息を吐いた。

そして、イヌの肩口に顔をすりよせた。

それを合図にしたように、イヌが動いた。

ヘリの背中にまわしていた手をヘリのバスローブの合わせから内側に
そっと差し込んだ。

直接素肌を這い、さするイヌの手の感触に、
ヘリが羞恥心に耐え切れなくなって目を閉じた。

久しぶりに、イヌに触れられている。

身体は、その感覚を覚えているのに、
心が、ついていけない。

こそばゆいという思いより、体がイヌを待ち焦がれていたように、
正直に反応している事が恥ずかしかったヘリだった。

まだ、敏感な場所もきわどい箇所にも触れられていないというのに。

ただ、イヌに触れられているところから、
ヘリの身体に甘い疼きと熱が広がっていった。

「んん…あっ・・・ん」

自然に吐息混じりの喘ぎ声が出てしまうほど
感じているヘリを見ているイヌの口元に笑みが浮かんでいた。

ヘリの滑らかな柔肌の感触をじっくりと愉しむように、
イヌは、ゆっくりと手を這わせていった。

イヌの男としての本能が、今すぐにでもヘリを強く抱きたいと急いていた。
だが、それよりも、ヘリの感じている顔をもっと見たいという思いの方が強かった。

ヘリが目を開けてイヌを見た。

甘い熱に浮かされたヘリの潤んだ瞳が、イヌを妖艶に誘っているように見えた。

「…この顔が見たかった」

恥じらいながらも、自分の愛撫を心から感じているヘリの顔を。

考える前に、イヌが心の声をありのままに口にのせていた。

「この体も…」

そう続けて、イヌが手でヘリのバスローブを肩口まではだけさせ、
腕から脱がせると、露わになったヘリの全身を食い入るように見つめた。

バスローブの下に何も身につけていなかったヘリの裸体。

うっすらと上気したつややかな素肌が、白いベッドシーツの上に映えて、
しどけない表情の顔の周りで、ふんわりと広がった髪が色香を振りまいていた。


「綺麗だよ。ヘリ」

イヌの声に、ヘリの体の深部がドクリっと震えた。

今までも、言われたことがあったのに。

まるで初めて、イヌに言われた時のように、ヘリは感動していた。

イヌにじっと見られているだけで、ゾクゾクする気持ちを抑えて、
ヘリは、イヌに手を伸ばした。そして、イヌのバスローブの帯をひっぱった。

はだけたイヌのバスローブを両手で広げて脱がせると、
イヌの素肌にその身を捧げるように、抱きついた。

イヌの胸に甘えたように、顔を摺り寄せた後、
ヘリが目を閉じたまま言った。

「…見られるだけじゃ、やだ」

「ヘリ」

「私も」

ヘリが言って、目を開けた。

「イヌを見たかったんだから。…それに」

続きを口にのせる前に、ヘリが行動にうつっていた。

ヘリがイヌの胸板に唇を這わせた。
イヌの肌をいつくしむような優しい愛撫だった。

…こうしたかった。

そっとイヌの体に両手をそえて、
ヘリは、顔をあげて、再びイヌの唇を己の唇でふさぐと、
自分から口を開けて、イヌの舌を導きだす深いキスを繰り返した。

ずっとこのままでいたいと思えるほど、気持ちが良くて、
ヘリとイヌは、長い間口づけを続けた。

やがて、短い吐息をついて顔を離したヘリが、
今度はイヌの頬を唇でなぞった。

そして唇を顔の輪郭に沿わせて、
イヌの耳元から首筋にかけて、ゆっくりと滑らせていった。

以前だったら、上手にしたい。とか、
イヌが感じるように…という事を念頭に置いて、行為に必死になっていた
ヘリだったが、今はただ、思うままにイヌの体を愛したかった。

目を閉じ、黙って、そんなヘリの愛撫を一身に受けていたイヌだったが、
ヘリが、下肢の方に身を屈めると、制するように肩に手を置いた。

「…いや?」

こんな積極的な私は嫌?

不安気にそう問うヘリに、イヌが首をふった。

「まさか。僕も君の体を愛したいだけだ」

微かに笑みを浮かべて、見つめ合って、
お互い同じ思いでいる事を確認すると、
ヘリとイヌは黙ったまま、その身体を抱きしめあった。

そして、ベッドに上下互い違いに身を横たえると、
相手の体を愛撫し始めた。

何度も何度も、こうしていた事はあったのに。

離れていた間の、体の記憶を取り戻すように、
ヘリとイヌは、ゆっくりと時間をかけて、互いの体を愛する行為に没頭した。

しかし、イヌが、ヘリの下腹部の奥まった箇所にある、一番敏感な場所に、
唇をよせた時、ヘリがあせって身を起こした。

「イヌっ、そこはダメ」

「…どうして?」
…いつもしていただろ?

「だって、まだ…昨日の今日だから」

まじかで見られて、口でされるのは恥ずかしい。

「もう、いいんだろ?」

「うん…そのつもりだけど」

トイレでもバスルームの中でも何度も確かめたけど、
自分では、接近して目視できない場所だから…。

「じゃあ、平気だ。不安なら、検分してやるから」…指で。

ふざけた応酬だったが、甘い空気は乱されることはないようだった。

イヌの指が、ヘリの秘められた箇所を避けて、
優艶な動きでその周囲を戯れた。

もどかしいほどの鈍い快感が、下肢から身体の上部に伝わって、
ヘリをますます興奮させていった。

「ふっ…つぅ…っ」

イヌの愛撫に気をとられはじめたヘリは、
イヌを愛する行為を時々中断して喘ぎ声をあげてしまうほど、
感じ始めてきた。

イヌは、そんなヘリの体を手で斜め横に傾け、足を少し広げさせると、
指をゆっくりと内部にさしこんだ。

衝撃に目を見開いて、ヘリはビクリっと体を震わせた。

それまでのイヌの行為ですっかり準備は出来ていると思っていたヘリの体は、
久しぶりの侵入者に意外な反応を見せた。

「あっ……いたっ…」

もちろん、初めての時のような痛みでは無かったが、
閉じていたところを無理やりこじ開けられるような違和感に、
ヘリは涙目になった。

ヘリの内部に埋もれたイヌの指は、柔らかで熱い内膜に締めつけられた。

その感覚にイヌは目を細め、
ゆっくりと動かした指の腹をその内壁にこすりつけた。

「きついか?」

そう問うイヌに、ヘリは無意識に首を横にふっていた。

ヘリを気遣ったイヌの優しい指使いに
ヘリの体がすぐに慣れてきたようだった。

じわじわと内側から広がる享楽的な快感に
ヘリがうっとりとした表情になってきた。

「…気持ちいいか?」

いちいち反応を確かめるように、見つめるイヌの熱い眼差しに、
ヘリの鼓動が激しくなった。

「…ぅん…」

消え入りそうな声で、恥らうヘリの顔が
イヌをたまらない気持ちにさせた。

「声を聞かせろよ」

偉そうな命令口調で、ヘリに囁くイヌ。

…その感じている顔を見ながら、可愛い君の声も聞きたい。


イヌが、アメリカに渡って、ヘリと1年ほど完全に離れていた時期と比較すれば、
この1か月など、短い時間なのかもしれない。

それに、今思い出せば、
ヘリに「もう会わない」と言われてからは1週間もたっていなかった。

なのに、あの1年間の時以上に感じられたイヌだった。

―――もっと強く信じさせてくれ。

君が僕の元に戻ってきたという実感を。

そんな思いで、イヌはヘリを愛撫する指の数を増やして、動きを激しくした。

「あっ!…あん、イヌっ…!」

目を閉じながらも、全身を震わせて喘ぐヘリの声が、
静かなホテルな部屋の中に大きく響いていた。

完全に閉じられた、快適で優雅に演出された空間に二人きり。

大きな窓からは綺麗な夜景が一望できて、
ロマンチックで誰にも邪魔されない甘い空気に包まれた部屋。

そばに飾られた美しい生花の芳香が微かに漂っているベッドの上。

それは、まさに、
ヘリが密かに思い描いていた“初めての夜”のシチュエーションだった。

半年ほど前、イヌの部屋でのイヌとの初めての日を、
今まで1度も後悔した事の無いヘリだった。

そして、イヌとホテルに泊まるのも初めてでは無かったのに、
ヘリの中で、今までで一番素敵な夜のように感じられた。

そして、イヌもまた、
ヘリと同じような思いになっていた。

十分ヘリが感じていることを確認したイヌは、
そっと指を引き抜いた。

そして、透明な滴で艶めかしく濡れた指先をヘリの口元に持っていった。

「舐めて、確かめて」

イヌの低く囁く指図の声に、魔法の呪文にかかったようにヘリが、
あやつり人形のように唇を開いて、イヌの指をくわえた。

そして、艶めかしい舌使いで、イヌの指を愛撫した。

久しぶりという思いが、作用しているのか、
それとも、興奮しきっているせいか、
ヘリのいつもより大胆な仕草に、イヌが嬉しそうに口元をゆるめた。

そして、ヘリの口から手を引き抜くと、
ヘリに舐めとらせた指と別の指に舌を這わせた。

「いつもと同じでしょ?」

ヘリの言葉に、イヌが頷いた。

「君の味だ」

「私の味ってどんな味?」

すっかり陶酔し、トロンとした瞳で聞くヘリにイヌが笑いかけた。

「マ・ヘリ味だよ」

「そのまんまじゃない。そんな答えつまんないわ。
あなたらしくない。どんな味か私に分かるように説明してよ」

唇を尖らせて抗議するヘリにイヌがふっと笑った。

そして、ヘリの上に覆いかぶさるように、体を移動させると、
ヘリの顔を至近距離で見つめた。

軽口をたたき合いながらも、
もうこれ以上茶化しあった会話を続ける余裕は少しもない。

お互いの目に、そんな同じ思いの色を見つけたヘリとイヌは、
同時に瞼を閉じて、唇を重ねた。

「口だけじゃなくて……じっくり味わってやる」

唇を離した後、

耳元でそう囁くイヌの謎かけのような言葉に、
もう説明はいらないヘリだった。



(「仲直り記念日」6終わり 7に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


お休みの間もブログに来ていただいてありがとうございます♪
お待たせしました。「仲直り記念日」後半スタートです。

イヌとヘリも久しぶりとか言ってますが、
私も久しぶりなので、大人話を書く加減がわからなくなってます(汗)

みつばのリアルの結婚記念日のお祝いメッセージ
ありがとうございました♪食事会は楽しめましたよ♪
昨年とは別の、大人向けの和食料理店のコースでしたが、
子供もずっと大人しく食べ続けてました。
それくらい美味しかったみたいです♪


また明日も小説の続きを更新予定です。

拍手、コメント、メッセージ、ありがとうございます♪
全部ありがたく読ませていただいてます。
初めての方、最近いらした方もようこそ♪
楽しんでいただけたら、またいらして下さい。

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「仲直り記念日」5話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話は、シリーズでは「試される絆」の続編「大切な人」の続きです。



仲直り記念日(5話)



「確かにジェニーと僕の付き合いは長い。
僕が母とアメリカに渡って、しばらくしてから出会って、それ以来の付き合いだ。
住んでいた家も近所で、学校も同じだった。
ジェニーは国際弁護士の資格をとり、僕は韓国で司法試験を受けた。
そのあと、事務所を立ち上げる時に、法務法人ハヌルの運営と
父の無実の証明の手助けをジェニーに頼んで、アメリカから来てもらった。
ジェニーとはそんな風にずっと一緒にいた。
大切にも思っている。だけど…」

イヌはそこで言葉を切って、ジッとヘリを見つめた。

「僕の彼女への思いは君に抱いている想いとは違う。
それは今も昔もだ。
ジェニーは僕の大切な友人の一人。
それはこれからも変わることは無いだろう」

やはり、ほとんどジェニーと変わらないイヌの話にヘリはコクリと頷いて、
微笑んでみせた。

…今まで、親友以上の関係になったことはない。

『つきあったことがあったんじゃないの?』

ヘリが、部屋の中で、イヌに問いかけたことの答えだった。

そして、

『イヌにはジェニーさんがお似合いなのかも』

つい、そう言ってしまったヘリの言葉への返事。

…ジェニーへの気持ちと、ヘリへの想いは違う。

そう、イヌが言ってくれた。


「ええ」…わかった。

もう、改めて言われなくても、分かっていたことではあったけど、
イヌの口からはっきり言われたことで、ヘリは、これから先何があっても
この件で迷うことは無いだろうと確信した。

…イヌを信じてるから。
そして、ジェニーさんも。

イヌが友人としてジェニーを大切に思う気持ちも理解できた。

こうなってからも、それまでも、
ジェニーは、イヌだけでなく、ヘリの事も助けてくれた。

心から信頼できる人。

「私、ジェニーさんのことが好きよ」

イヌの親友としてだけでなく、これからは自分も
ジェニーと親交を深めていけたらいいな。

そんな思いでヘリが言った。

「ジェニーも、ヘリのことを気にいっているよ」

イヌの『気にいっている』という表現が、
あまりにも的確なような気がして、ヘリはつい失笑していた。

ヘリの楽しそうな笑い声に、イヌもつられて笑った。

ひとしきり笑い合うと、ヘリとイヌは、
お互い、晴れ晴れとした顔を見合わせた。

「他には?イヌ。私に何か話したいことはない?」

そう問うヘリに、イヌが少し思案した顔をした後、
「あるな」と言った。

「なに?」

両肘をテーブルにおいて、イヌの方に身を乗り出して聞くヘリに、
イヌがそっと腕を伸ばした。

そして、黙って、ヘリの頬に手を置くと、
指の腹でその輪郭を優しく撫でた。

テーブルの上の、演出用に飾られたランプの灯の影が
ヘリを見つめるイヌの瞳の中で妖しく揺れていた。

息をひそめて、
そんなイヌから目を離すことの出来ないヘリもまた、
ときめく胸の鼓動の震えをそのまま瞳に映していた。

「…続きは、あとで別の場所で話すよ」

イヌの言う、“あとで”という意味も、
“別の場所”も、説明されなくても、分かったヘリだった。

それは、きっと言葉だけで話すには、
不十分な内容なのだろう。

これは、声で伝えなくても、きっと、同じ思い。

コクリと、無言で、恥らった顔で頷くヘリに、
イヌの胸の奥もドクンっと熱く震えた。

スッと、ヘリの頬から手を離すと、
イヌは、チラリと、空になったワインボトルに目をやった。

「酒はもういいのか?飲みたいものがあったら追加しよう」

「ん…ビールとシャンパンが飲みたいわ」

甘い空気に胸を弾ませながら、
ヘリはすっかりイヌに甘えていた。

見ていると、心が蕩けそうな笑みを向けているヘリに、
イヌの方は、もう極上のシャンパンを味わったように感じていた。

「よし。じゃあ、シャンパンとビール、それに酒のつまみやフルーツも頼もう」

「うん」

イヌが、部屋の電話でそれらを注文している間、
ヘリは、イヌが持ってきたボストンバッグの中から自分の衣類を取り出していた。

明日着る予定の服はしわにならないようにクローゼットにかけていたが、
不透明な袋にヘリの下着が一式入れられていた。
朝、自分からイヌに渡したものだと分かっていても、こうして、イヌに用意された事が
今更ながら恥ずかしくなったヘリだった。

気恥ずかしさをごまかすように、ボストンバッグの底をあさっているヘリに、
電話を終えたイヌが目をむけた。

挙動不審なヘリを後ろからしばらく面白そうに眺めていたイヌだったが、
「アレを探している?」と、聞いた。

ビクっと、肩を震わせて、わざとらしいくらいに動揺したヘリが
こわごわとイヌを振り返った。

「アレ…ほんとにあるの?」

「あるよ。内ポケットの中にない?」

…内ポケット。
ヘリが、バッグの中を覗き込んで、内ポケットのチャックを開けた。

そこに、見間違いようもないアレの未開封の箱を見つけたヘリは、
あわてて、チャックを閉じた。

「どう?見つかった?」

「う、うん。…なら、いいのよ」

何がいいのか。
全部イヌに用意してもらった身分で、
ヘリは、すまして、偉そうに頷くと、
ボストンバッグをぞんざいな手つきで、クローゼットの中におしやった。

そして、「お風呂のお湯を入れてくるわ」と言って、
そそくさとバスルームに入った。

…もう。何やっているのよ。マ・ヘリ。
イヌが変に思うじゃない。

妙に落ち着かない自分の態度を自覚して、ヘリは、
閉じた扉のバスルームの中で一人ジタバタしていた。

イヌとこうなることが久しぶりだということが、
ヘリの照れくらい思いと緊張を高めていた。

おそらく、そんなヘリの心情は、
イヌにはすでにお見通しなのだろう。

…初めてでもないのに。

そう初めてでもないのに、ヘリには、今日のこの日が、
イヌと初めての夜のように感じられた。

想いを伝えあって、自分の事を話して、
相手のことも知って、そして、ロマンチックなムードの中、
夜を一緒に過ごそうとしている。

バスルームの中で、悶々とそんなことを考えているヘリの考えは
イヌと全く同じだった。

…もう何度もこんな夜を過ごしたのに、
まるで、初めて君を抱いた日のように感じるよ。

閉じたバスルームの扉を見つめながら、そう、イヌが思っていた。


まもなく、頼んだシャンパンとビールなどが部屋に届いて、
ホテルマンが、ディナーの片づけも終えて、去っていくと、
ヘリは、ますます落ち着かない気分になった。

「お風呂に入ってから飲まない?」

そう、もじもじしながら、提案するヘリにイヌが頷いた。

「ああ、君から先に入るといい」

…え?

てっきり、一緒に入ろう、と言われると思っていたヘリは、
イヌの顔を見つめてボンヤリと立ち尽くした。

そんなヘリを尻目に、イヌがビールを持って移動していた。

「ビールは冷蔵庫に入れておくし、シャンパンは氷で冷えてる。
安心して、ゆっくり風呂に入っておいで」

「え、ええ」

戸惑いつつ、ヘリは曖昧に微笑むと、
部屋に備えられていたバスローブを持って、そそくさとバスルームに入って行った。

…ほんとに、一緒に入るつもりはないのかしら?

ヘリは、髪の毛を洗っている間も、
バスルームのドアの方をそわそわしながら、時々伺った。

ドアには鍵をしていなかった。

イヌがその気になれば、いつでも入って来られるはずだったが、
ヘリが、隅々まで丁寧に身体を洗っている時もイヌが来る気配はなかった。

…いつもだったら、からかって、覗きに来たり、
冗談めかして、一緒に入りたがったりすることもあるのに。
月の日にかかっているから、という昨夜の私の言葉に、
イヌが気遣っているのかもしれない。

ヘリは、そう考えて、広々とした風呂の中でゆったりと肢体を伸ばした。

ふと、バスルームの少し上部に目をやると、窓から街の夜景が見えた。
マンションの部屋のバスルームからは望めない光景だった。

電気を消すと、このバスルームはもっと魅惑的な空間になるのだろう。

…イヌと一緒にこの景色を見ながら入りたかったかも。

そんなことを考えながらも、
ヘリは、やはり、自分の体が、今夜は『大丈夫』なのかを
じっくり確かめるのに時間を費やした後、バスルームを後にした。

ガチャリ☆

バスルームのドアを開けて、バスローブを羽織ったヘリが
部屋に戻ると、イヌがソファに座って窓の外の景色に目をむけていた。

テレビや新聞を見たり、携帯を触っていたりということもなく、
ただ、じっとソファに座って、ヘリを待っていたらしいイヌの姿に、
ヘリは、風呂で温まった体の奥がさらに熱くなっていくような気がした。

振り返ったイヌがヘリを見た。

バスローブ姿のヘリを、チラリと目視した後、
イヌがソファから立ち上がって、バスルームの方に歩いていった。

「じゃあ、僕も入ってくるよ。
飲みたかったら、ビールもシャンパンも先に飲んでいていいから」

ヘリが首を横に振った。

「ビールは頂くけど、シャンパンはあなたと一緒に飲みたいわ。
でも、気にしないでゆっくり入ってきてちょうだいね」

…了解。という返事のように、
イヌがニコリとした笑顔をヘリに向けると、バスルームに入っていった。

バスルームのドアが閉まると、
部屋に残されたヘリは、冷蔵庫からビールを取り出して口にした。

そして、うろうろと部屋の中をうろついた後、
テーブルに置かれたシャンパンに目をやった。


しばらくして、
バスローブを羽織ったイヌがバスルームから出てきた。

半乾きの短髪と、開いたバスローブの合わせから覗いている
逞しい胸元。微かに上気した艶やかな肌。
風呂の湯気とシャワージェルの香気が漂う
イヌのスラリとした肢体が、妙に艶めかしくヘリの目にうつった。

…今までも見たことあったじゃない。

ドキドキしている胸をおさえて、
ヘリは、イヌから視線をはずした。

「はい。イヌ、ビールをどうぞ」

ヘリが、かいがいしく冷えたビールをイヌに渡した。

「ありがと」

イヌがビールを飲む姿を見届ける前に、
ヘリがスタスタとベッドの方に歩いていた。

「あのね、シャンパンはこっちに移動したの」

聞かれてもいないのに、ヘリは、ベッドのサイドテーブルを指さして言った。

そこにシャンパンとグラス、そして、つまみなども
運んでいたヘリだった。

「夜景を見ながら、シャンパンっていうのも好きなんだけどね、
こういうのを一度やってみたかったの。
ベッドの上でシャンパンを飲むって。
昔、映画かドラマで見たのよ。恋人たちのそんなシーン。
タイトルは忘れちゃったんだけどね。いいな~って思っていて。
あ、でも、イヌが嫌だったら、元の場所に戻すから。
やっぱりお行儀は良くないわよね」

イヌに背を向けて、ベラベラと、途切れる間もないほど、話すヘリ。

返事のないイヌの方を振り返るのも、照れくさくて、
ヘリは、シャンパンクーラーの氷の解け具合を見ているふりをした。

「ちょうど飲み頃よね」

ヘリがそう言って、シャンパンに手を伸ばした時、
背後にイヌが立った気配がした。

ヘリが、ハッと息をのんだ時には、もう
ヘリの体は後ろからイヌに抱きしめられていた。

「ヘリ…」

ヘリの横顔にかかるイヌの吐息混じりの声に甘さがこもっている。
バスローブごしに密着した素肌の熱が上がっていく。

「イ、 イヌ…」

うわずった声で、それでもヘリは、内心の動揺を誤魔化して、
アハハとから笑いした。

「やあだ。まだ早いわよ。ちょっと待って。
ほら、シャンパンも冷え過ぎちゃうし、時間もまだ…」

「もう待てない」

ヘリの、説得力のない提案など、歯牙にもかけない
イヌの低い声が、ヘリの言葉をさえぎった。

カラン…と、
シャンパンクーラーの氷が揺れる微かな音が
ヘリには大きく聞こえた。

「もう待てないよ。ヘリ」

…もう十分待った。

イヌは、ヘリを抱きしめていた片腕をゆるめて、
体を少し傾けると、ヘリの顔に手を添えて自分の顔に引き寄せた。

「んん・・・」

ヘリは、塞がれた口の中で、イヌが飲んだビールの味を移された。

触れた瞬間から、徐々に深く激しくなっていくイヌの口づけに、
ヘリの頭がクラクラと眩暈を起こした。

キスを終えた後、イヌの腕の中で、
高揚感から、くたりと脱力しているヘリの身体を、
イヌがそっと背後のベッドの上に横たえた。

そして、仰向けのヘリの上に屈んで、見下ろすイヌ。

ヘリに、覆いかぶさっているイヌのバスローブがはだけて、
露出した体から発散される濃厚な男の香りがヘリを包んでいた。


「…君とこうしたかった。ヘリ」
…だから、これ以上は待てない。

ヘリの身体をベッドの上に閉じ込めるように囲っているイヌの腕よりも、
真剣な強い眼差しと熱い吐息でそう語るイヌに、ヘリは身も心も縛り付けられた。

…私もよ。

「私もあなたとこうしたかった。イヌ」

ヘリは、言った事をイヌに証明するように、イヌの首に両手をまわした。

そして、イヌの頭を引き寄せ、
目を閉じると、自らその唇を重ねた。


(「仲直り記念日」5終わり 6に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)



イヌは「もう待てない」って言ってますけど、
明日、あさっての土日は更新をお休みさせて頂きます。
すみませんが、少々お待ち下さい。

「仲直り記念日」後半は、週末明けにいつもの時間に更新予定です。
…予想通り「警告」マークつきます。
いいのかな?明るい時間に、この話を投稿して…っていつも
ドキドキしているのですけど、限定やパス制にしていない公開なので
同じですね(汗)

本日の記事は、予約投稿です。

コメントやメッセージなど、遅くなりますが、
公開の方には週末明けにお返事させていただきますね♪


イヌと同じように「待てません」という方も(笑)
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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「仲直り記念日」4話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話は、シリーズでは「試される絆」の続編「大切な人」の続きです。



仲直り記念日(4話)



検察庁の休憩室でのヘリとキム検事の会話。

ちょうど、キム検事がペク・ユンスの事を話していて、
ヘリとペク・ユンスの見合い話の件を持ち出した後、
外にイヌが立っていたことに気づいた…

その時の話のことだろう。

「やっぱり、あの時の会話を聞いていたのね」

「聞こえていたんだ」

2年前のように監視していたわけじゃない。
偶然聞こえてしまったんだ。

そう言いながらも、その時耳にした会話が、
イヌの中で気に障るものだったということが、
鈍いヘリにも十分伝わるようなイヌの態度だった。

珍しく感情を表に出したイヌの不機嫌そうな顔に、
ヘリは心の中で、優しい笑みを浮かべていた。


「私、見合いなんてしてないわよ。1度も」

ヘリは目をそらしたままのイヌに静かに言った。

まるで拗ねてしまった小さな男の子を諭すような声だった。

「あなたと今年再会する前にね、時々そういう話が持ち上がっていたみたいなんだけど、話を聞く前に全部お断わりしたの」

「・・・・・・」

夜景に目をむけたままだったが、
イヌの耳はしっかりとヘリの話を聞いているようだった。

そんなイヌの横顔をヘリはまっすぐに見つめながら続けた。

「実は…以前、私を車で送ってくれた男の方がいたのを覚えてる?」

イヌが無言でヘリの方に顔を戻した。
それを肯定ととったヘリが続けた。

「ペク・ユンスさんもそうだったの。でも、私ちゃんとお断りしたのよ」

「それは見合い話をか?それとも、付き合ってくれと言われた事をか?」

イヌの言葉にヘリが目を丸くして、慌てて首を振った。

「付き合ってなんて、そんな言われ方はされてないわっ。
惹かれてるって言われたけどっーあっ…」

自分を見つめて、口元をゆがませているイヌの顔に、
ヘリは、イヌにカマをかけられたのを知った。

…相変わらず単純だな。

まるでそう言っているような不敵なイヌの微笑。

…またこの男の話術にはまったわ

ヘリは悔しくなって、口を閉じるかわりに、
ワイングラスを手にとってごくごくと飲み干した。

「指輪をはずしたり、車に乗ったり、
隙を見せるから、そういう男に言い寄られるんだ」

嫌味っぽくたたみかけるイヌに、ヘリが慌てて首をふった。

「私、その時は指輪をしていたわ。
それに、食事に誘われた時にちゃんと言ったのよ。
つきあっている人がいるって」

さっきの今で、イヌに誘導されているとも気づかないで、
ヘリは、ベラベラと話していた。

…彼氏がいると知っても告白したのか。

よほど育ちが良すぎる箱入り息子なのか、
それとも、それ以上に、ヘリに本気になったのか…。

どちらにしても、イヌにとっては憂慮すべき事だった。

「…ヘリ」

「ん?」

「もう一つ聞きたいことがある」

「何?」

「ほんとに僕と離れたいと思ったのか?」

…またからかってる?と思ったヘリだったが、
真剣なイヌの眼差しに、ヘリは顔から笑いを消した。

「本気だった?」

イヌの問いに、ヘリは、うなだれた。

「私…噓は言えない性格よ」

「知ってる。僕と別れて、あの男と付き合うつもりだった?」

イヌの言葉に、ヘリが目を見開いた。

「まさか。何を言っているの?
それこそ、本気で聞いているの?イヌ。
私、あなたと別れるつもりはなかったし、ユンスさんと付き合おうなんて、
少しも思ったことはなかったわ」

イヌの問いかけで、
自分が、考えていた以上に、見合い話やユンスの事を
イヌが、心良く思ってなかった事が分かったヘリだった。

「ただ…あなたと離れたいと言った時は、本気だったと思う。
でも…本心から言った言葉じゃないの。
あなたのこと、意地悪だし、冷たい男だって思う時があるわよ。時々ね…。
嫌な男だって思うことも、むかつくことだってあるのよ。たまにね」

ヘリが、ズケズケと本音をありのまま語る様子に、
イヌが苦笑していた。

「…でも、本気で憎んだり、嫌いになんてなれない。
やっぱり、…愛してるから」

ヘリは、恥ずかしそうに小さな声で、でもはっきりと言った。

だって、私が愛してる男はたった一人だから。
ソ・イヌという男ただ一人。

「あの時は、あのままだったら、自分のことが嫌いになりそうだったの。
そして、あなたのことも…だから、あのまま一緒にいるのが怖かったの。
少し離れて冷静になりたかっただけなの」

本当は、会いたくて、会いたくて、
息もできないくらい辛かったのに。

それ以上に、一緒にいて、お互いを傷つけてしまうような不安に
心が、押しつぶされそうだった。

愛しているからこそ、
一緒にいられない時もある。

1年前だったら信じられないような不可思議な矛盾した思いも
今だったら分かる気がしたヘリだった。

一つ、一つ、
言葉を選んでいるようで、まっさらな感情と気持ちを曝け出して
話ししているヘリの会話を、イヌは一言も聞き漏らさなかった。

言葉に出なかった、ヘリの心の声も全部受け止めたように、
離し終えたヘリに、イヌがそっと頷いていた。

…わかったよ。ヘリ。

そう応えてくれたイヌの瞳に、
ヘリがホッと小さな吐息を吐くと、ぎこちなく微笑んだ。

やがて、少しの沈黙のあと、

「僕も話しておきたい事がある」

イヌが言った。

「ジェニーのことだ」

ヘリがハッとなって、姿勢を正した。

「まず、あの時のこと…」

イヌが、少し心苦しそうな表情で、瞳を揺らしていた。

「僕の部屋の前で君が目撃したジェニーとのことは…」

イヌが言い続ける前に、ヘリが静かに首を横にふった。

「ジェニーさんから聞いたわ。お身内にご不幸があったって。
それから、ジェニーさんから、家庭の事情も少し伺ったわ。養女という話も」

ジェニーはアメリカのご両親の養女という話。

あの時のことをイヌがヘリに説明するためには、
ジェニーのそういった事情も打ち明けなければならなかっただろう。

他人のあまりにも込み入ったプライベートな実情を、
イヌは、ヘリにとはいえ、どんなに誤解されても言うことが出来ずにいたのだと、
ヘリは、今は完全に納得していた。

…義理堅くて、優しい人だから。

だから、そんなイヌの口から、ジェニーの秘密を話させたくはないと思ったヘリだった。

「だから、そのことはもういいの」

優しい笑みを浮かべて、そっと頷いてみせるヘリに、
イヌが、ホッとしたように、短い吐息をつくと、表情を柔らかくした。

「ジェニーにとって、特別な身内だったんだ。
僕が、アメリカでずっと父さんの無実を証明することを考えていたように、
ジェニーも、同じくらいの時間、韓国にいるその身内の事を想っていたようだった。
だから…とても辛い思いをしたんだろう。」

イヌの話に、ヘリが、コクリと頷いた。

バーでヘリと話したジェニーと同じように、イヌも悲しげな瞳をしていた。

「ジェニーには、いつも助けられていた。アメリカでも韓国でも。
仕事のことも、父さんのことでも。だから、僕も助けたかった。
彼女の大切な身内を探すという手助けをしたかった。…なのに」

あの日、

仕事から戻って、ヘリの部屋に行こうとしていた時に
ジェニーがイヌの部屋を訪れていた。

普段と違う様子のジェニーに部屋に入ることを進めたが、
ジェニーはヘリの事を気遣ってか、かたくなに入室を拒否した。

ただ、身内が見つかったけど、亡くなっていたということを
報告したかったというジェニー。

報告なら、電話でも、メールでもできたはずだった。

「ずっと気にかけてくれていたイヌに知らせておきたかっただけなのよ」

そう微笑みすら浮かべて、強がるジェニーの目に涙が溜まっていた。

子供の時に両親を失っていたイヌには、ジェニーの気持ちが痛いほど分かった。
しかし、かける慰めの言葉のかわりに、イヌはただ震えるジェニーの肩に
手を置いて、優しくなでた。

こらえきれなくなって、倒れ込むように、
イヌにすがりついてきたジェニーの体を受け止めて、抱きとめることしかできなかった。

「ずっと愛していたのよ」

ジェニーの言葉は、伝えたかった本人にはもう永遠に届くことはない。

その事実に耐えがたい悲しみを表している親友に、イヌの胸も痛んだ。

イヌの脳裏に、父と母の面影が浮かんで、
ジェニーが今同じような苦しみを味わっているのが分かった。

「分かってる」

…ジェニーが、表面上、どんなにクールにふるまっても、
口ではなんと言っていても、その身内に対する思いがずっと深かったことも。

そして、きっとジェニーの身内も。
そんなジェニーの思いを分かっていたのだと、思いたかった。

もう確かめることも出来ないけれど、そうジェニーに伝えずにはいられなかった。

…僕は君に何もしてあげられなかった。すまない。

そんな思いを込めて、ジェニーの体を抱きしめた時、
カツリ…と微かに聞こえた物音に、意識を戻して、音の方向を見やった。

そこに、目を見開いて、茫然と自分たちを見ているヘリが立っていた。

身を翻して立ち去るヘリに、
今の光景がどう見えたのか瞬時に理解した。

そして、ジェニーの「追いかけて」という言葉を聞き終える前に、
ヘリの方に足に踏み出していた。…傷つき悲しんでいる親友を残して。

結局、あの後、ヘリに拒絶され、ジェニーを慰める余裕もなかった。

助けると約束したのに。

韓国に来てからも、自分のことで頭も手もいっぱいで、
ジェニーの手助けをするどころか、逆に助けられてばかりいた。
仕事のことだけでなく、プライベートのことも、ヘリのことも。

今回のことも、ジェニーに言われなければ、足踏みしたまま
自分からヘリに近づくことが出来なかったかもしれない。
身内のことで深く傷心しているはずなのに、
そんなジェニーに気をつかわれ、逆に励まされてしまった。

なのに。

「…僕は、彼女を助けてあげることができなかった」

イヌは、ヘリに話しながら、ふがいない自分を恥じて、
唇をひきしめて、目をふせた。

そんなイヌをじっと見つめていたヘリが、
テーブルに上で握りしめられたイヌの手の上にそっと自らの手を重ねた。

「ジェニーさんは、分かっているわ。
あなたが、今までのことを感謝している気持ちも。
せいいっぱい助けようとしていてくれたことも」

…だから、どうか自分を責めないで。

ヘリは、ここにいないジェニーのかわりにイヌに言いたかった。

自分の件だけでなく、ジェニーとの一件で、
ヘリは、イヌという人物のことがまた1つ分かった気がした。

本当に優しい人なのだ。

誰かを悲しませたり、助けられなかった事で、
自分を強く責めて、かえって、己を傷つけていることすら自覚できないほどに。

「ヘリ…」

切なげな瞳を向けたイヌが、暗闇にポツリと残されて迷子になった子供のように見えて、
ヘリは、思わず抱きしめたい思いになった。

普段、自信過剰なところを見せて、弱みをさらさず、弱音も履かず、堂々とした態度で、
本心も、感情もコントロールできているようにふるまっているけど…

イヌの本性は、たぶん、こんなにも…。
――― 優しい。

…ヘリ…。

イヌは、握りしめていた手の力をゆるめると、
ヘリの手の下から引き抜いて、その手を上にのせて、ヘリの指をギュッと握りしめた。

「ヘリ。君に、僕とジェニーのことを話しておきたい」

今までも、幼馴染の親友だと話していたけど。

ヘリは、イヌの話が、ジェニーと同じものであることを確信していた。
でも、黙って、イヌの話を聞くことにした。



(「仲直り記念日」4終わり 5に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


ペク・ユンス…ヘリの父親サンテの友人の息子

ジェニー・アン…イヌと同じ事務所の弁護士で親友。


ブログへの拍手、コメント、メッセージなどありがとうございます!

ブログにキリ番お礼というものは作ってないのですが、
…私が気付いた頃にはとっくに過ぎている事が多く(汗)
総拍手数もいつのまにか5万超えてましたね。
本当にたくさんの拍手を頂きましてありがとうございます♪

拍手をしてくださった方に見てもらうページを
設定できる方法もあるようなので、今度調べてみます♪
ブログ上ではアップをためらう物ものせられるかも?(笑)

「検事プリンセス」いいですよね♪イヌ、ヘリ役の俳優さん達も
脚本も演出もつくりもすごくいいです♪←前半倍速で見てたのにはまっちゃうほどに♪



どうでもいい話ですけど、
今日は、みつばの結婚記念日です。

昨年の今日のブログを見てみると…「イヌの誕生日」を更新してました。
二人プラスおまけ(笑)の3人でディナーを食べに行って、
夜はおまけ(笑)が寝たら、ロマンチックな夜を…な記念日のはずが、
調子にのって酒を飲みすぎて、家につくなり、相方も子供もほったらかして、
寝てました(苦笑)

今年はですね、風邪症状がまだ続いているという、素敵な日ですね(汗)
でも、予約していたお店にディナーは食べに行きます。
お腹にいるもう一人のおまけ(笑)が出てきたら、しばらくは出かけられそうもないから。

イヌとヘリには、ぜひ素敵な記念日を過ごして欲しいです♪
どんな記念日もね(笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「仲直り記念日」3話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX2」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話は、シリーズでは「試される絆」の続編「大切な人」の続きです。



仲直り記念日(3話)




イヌが、ヘリから唇を離して目を開けると、
頬を上気させて、拗ねているヘリの顔があった。

「まだ、足が痺れてるのか?」

「…痺れていないけど、痛いわ。誰かさんせいで」

おそらく痛みは無いはずなのに、ツンっと膨らませた顔をそむけて
怒ったふりをするヘリがいじらしかった。

「後で、丹念にマッサージしてやるよ。
今度は、もっと気持ちよくしてやるから」

「…それっていやらしいことでしょ」

「予測はいいが、先入観はよくないな。まあ、楽しみに待っていろよ」

ニヤリと悪戯っぽく笑う楽しげなイヌの顔にヘリは苦笑した。

…予測でも先入観でもなくて、過去の経験に基づいた確実な予感よ。

ヘリはソファから立ち上がると、窓の方に歩いていった。

「すっかり暗くなっているのね。今何時かしら?」

「6時前だ」

イヌが腕時計に目を落として言った。

「夕食はどうしたい?何か食べたいものはあるか?」

「んー…私はとくに食事というより、ちょっとお酒が飲みたいわ。
あなたの方は?イヌ。スタミナをつける料理なんてどう?」

ヘリの言葉に、イヌが、わざとらしく目を見開いた。

「それって誘い文句か?」

「え?誘い文句って?」

きょとんとしたヘリに、イヌがニヤリと笑った。

「君も結構大胆なことを言うんだな。
いいよ。“ご要望”に応えても」

「何よ?ほんとに意味が分からないんだけど。
私、何か変なこと言った?イヌっ。もう。ニヤニヤしてないで教えてよっ」

私の台詞のどこに、誘い文句と要望が込められていたのかしら?

頬を膨らませて、首をかしげているヘリに、
イヌが声をしのばせて面白そうに笑った。

…ごめん。
やっぱり、純粋な君をからかうのが楽しくて、
時々、つい苛めたくなってしまう。

「じゃあ、ホテルのレストランで食事するのもいいが…」

イヌが、ホテルの案内表に目を通しながら言った。

「ルームサービスで、この部屋でゆっくり飲食するのはどうだ?
君の好きな酒があるといいんだが」

夜景の見える素敵な部屋で二人きりで食事するのは悪くない。
それに…
何より、落ち着いて、話をする時間が欲しかった。

昨夜は話せなかったことを…。

ヘリとイヌは同じことを考えていた。

「いいわね。賛成」

ヘリが頷いて、イヌは、さっそくルームサービスで
夕食を注文した。

ルームサービスが来る間、
ヘリは、イヌと一緒に改めて、ホテルの部屋の中を見てまわった。

セミスイートクラスの部屋ということだったが、
ベッドは天蓋つきの大きなサイズのものが1つだけだった。

ヘリ好みに装飾されたベッドだったが、
そこで、今夜イヌと一緒に寝るという事は暗黙の了解になっている。
そのことが、今更のように照れくさくなったヘリは、
チラリと目をやると足早に通り過ぎた。

そんなベッド以上に、ヘリが胸をときめかせたのは、
バスルームだった。

高層階ということもあるのか、高めに位置していたが、
バスルームらしからぬ大きめの窓からは、綺麗な夜景が見えた。
バスルームの明かりを落としても、
蝋燭の光を似せて作られたテーブルライトがいくつも設置されていて、
それをつけると、室内は幻想的でロマンチックな雰囲気に包まれた。

風呂は、大人二人が一緒に入っても、十分な広さがあるように見える。

この部屋は、恋人たちの記念日用にあつらわれた内装のようだった。
イヌが、意図して決めたとしか思えないほどに、何もかもがヘリの好みにぴったりだった。

…素敵だけど。

ヘリは、やはりイヌと一緒にバスルームを眺めていることが
気恥ずかしくなって、そそくさとドアを閉めた。

落ち着かない気分をごまかして、
妙にはしゃいだ様子のヘリをイヌが面白そうに見ながら、後に続いていた。

そうしているうちに、ルームサービスで頼んだ夕食が届けられて、
部屋の、いちばん夜景の眺めがいい場所にディナーセットがセッティングされた。

イヌとヘリは向かいあって、テーブルについた。

ワイングラスを掲げてイヌが言った。

「じゃあ、僕らの記念日に」

「仲直り記念日ね」

ヘリが笑って、ワイングラスを掲げた。

「これから、この記念日はいっぱい出来そう」

ワインを一口含んだあと、ヘリが、言った言葉に
イヌが、むせ返りそうになった。

ナプキンで口元を覆ったイヌは、
眉をひそめて、ヘリを睨みつけた。

「確かに無いとは言い切れないけど、『いっぱい』と言うのはやめてくれ」
…今は冗談でもそういうことは考えたくない。

いつもならおどけて、のってくれそうな軽口を、
珍しく本気で嫌がっているイヌに、ヘリが軽く首をすくめた。

「んー…、そうよね」

…私だって、あんなことを何度も繰り返したいって
思ってるわけじゃないわ。

目の前で、イヌが注文したステーキの肉を切り分けて食べている姿を
見ながら、ヘリは、フルーツサラダをつついていた。

「食べるか?」

イヌがヘリの視線に気づいて、フォークに刺した肉をヘリに差し出した。

「うん…一口もらっていい?」

頷いたヘリに、イヌが微笑むと、「ほら」と
フォークをヘリの口元に持っていった。

イヌに食べさせてもらった肉をヘリが美味しそうにほおばった。

「ん、いいお肉ね。やわらかい」

「もっと食べるか?」

「ううん。いいの。ありがと。残りはイヌが食べて。精をつけなきゃね」

少しやつれたイヌのことを気遣ったヘリの言葉だったが、
イヌが、また意味深に含み笑いを浮かべた表情に訝しげに首をかしげた。

メイン料理を食べて、ワインもほとんどなくなったころ、
ヘリが意を決したように、じっとイヌを見つめたまま、口を開いた。

「イヌ」

「ん?」

「私ね、あなたに話したいことがあるの。
その、話したいことはいっぱいあるんだけどね、真面目な話なのよ」
…だから真面目に聞いてほしい。

ヘリの言葉に、会話のタイミングをはかっていたイヌも、
ワイングラスを置き、姿勢を正して、ヘリを見つめた。

「わかった。話してくれ」

真面目な顔でそっと頷くイヌに、ヘリが息を吸い込んだ。

「…ソン・チュヒョンさんと、パク・ミンソさんの事件のこと」

「・・・・・・」

無言で先を促すイヌの瞳に、ヘリが、今度は深く息を吐いた。

「公園で会った時に私があなたに言ったことを謝りたいの。
あの時のあなたの言葉にも、話にも間違いは無いことは分かってたの。
でも、感情的になっていて、それに、私…」

ヘリはそこで、言葉を止めて、気まずそうに目をふせた。

「すごく悔しかったの」

1年間、一生懸命頑張ってきて、
上司や先輩にもその成果を認められるようになって、
検事らしくなってきた。
自分でもそう自負していたのに。

弁護士としてのイヌを相手にした時、
まるで、1年以上前の新人の時と変わらなかったように、感じた。
少しは成長して、対等になったと思っていたのに、
対等どころか、その差を歴然と思い知らされた。

その事でプライドが傷つけられた気がしていた。

しかし、それは思い上がりからきた感情だったと、
後で、冷静になって気づいたヘリだった。

検事としての仕事にも慣れてきて、
知らないうちに、錯覚して忘れていた事があったのを
イヌによって気づかされただけだと分かった。

「ソ弁護士に勝てないって思ったことじゃなくてね。
まだ、自分が未熟だってことを認めるのが悔しかったの」

「君は、立派な検事になったよ」

イヌが、言った。

…新人の頃を知っている僕から見たら、
見違えるようだった。

慰めでも、おせじでもない。
イヌの本心からの言葉だと分かったヘリは、微笑んだ。

「自分でもそう思ってたの。
それで、自分の検事としての考察に自信を持ってた。
先入観をすてて、広く深く探れって、昔助言された事があったのに」

それは、新人の頃に、イヌがヘリに言ったことだった。

「自分の思いにとらわれてたわ。
それでも、冷静に事件の調査をしていたつもりなの。
だから、納得した上での結果だったのに」

イヌと会った時に、あんなことを聞いてしまった。

事件解決の裏でイヌが不正に動いていたのか?と。

「…あなたを疑うようなことを聞いたわ。
それに、あなたに“正義”の価値観を押し付ける言い方で、
やつあったことも。本当にごめんなさい」

ヘリは、座ったまま、イヌに向かって、頭を下げた。

もう、完全にイヌを信じているヘリだった。
過去のソ弁護士がどんなことをしていたにしても、
今のソ弁護士のイヌはそんな事をしていない。
それがヘリの中で明確な答えになった。

ただ、あの事件に関して、
もしかすると、やはり、被疑者側の誰かが裏工作をして、
事件をもみ消そうとしたのかもしれない。
そして、そのことにイヌもどこかで気づいていたかもしれない。
でも、それを弁護人のイヌが表で暴くことは出来ない。

それが、出来たのは、あの事件の関係者の中で、唯一、検事であるヘリだった。
弁護人のイヌには不可能でも、検事としてのヘリには可能だった。

だから、万一、そういう事実があったのなら、
ヘリが何としても、その証拠をつかんで、証明するべきだったのだ。

しかし、ヘリは、“不起訴”という決断をした。


『もう事件は終わったんだ。マ検事』

あの時、イヌが言った通りだ。

決定を下したのは自分自身なのに、イヌに真相を問いただしてしまった。
イヌは、職務に忠実なら尚更、否定も肯定も出来ないというのに。

あの時対峙していた冷静なイヌの瞳の中に、
自分に対する失望の色を見たヘリは、それを認めたくないだけだった。

だから、こちらからひどい言葉を投げつけてしまった。

『あなたには失望したわ』

イヌが失望していたとして、
それはヘリの検事としての手腕だけではなかったのだろう。

…イヌは、私を信じてた。
そして、真実を見つけてくれることを望んでいたんだわ。

仕事として、しっかりと一線を引きながらも、
プライベートの時と同じように何も言わずに、
ずっと見守ってくれていた…。

その答えを導きだした時、ヘリは
イヌに対して、心から申し訳ない気持ちになっていた。

そして、前以上に、好きになっていた。

これは、決して思い込みじゃないから。

そんな思いも込めて、ヘリはイヌに頭を下げていた。

「ヘリ」

イヌの呼びかけで、ヘリがそっと頭を上げてイヌを見た。

そこに、微笑んでいるイヌの顔があった。

「もういいよ。ヘリ。あの時は僕も言い過ぎた」

“弁護士も検事も正義の味方じゃない”

世の中の道理がどうあれ、
心の中では、味方でありたい。そう決意して仕事をしていたのに。

純真なヘリには、あの時の言葉は裏切りととられても仕方なかった。
あれから傷ついたヘリの顔が、ずっと脳裏から離れなかった。

なのに、謝ることすらできずにいた。

「ごめん」

お互いに、謝りあっている自分たちが可笑しくて、
ヘリとイヌは、顔を見合わせて笑った。

「私、検事を続けるから」
ヘリが言った。

「そして、いつか、ソ弁護士とまた同じ事件の担当になっても、
今度は、容赦しないんだから」

“検事としての仕事を続ける”

そう、自分の将来に、決意の表明をする迷いのないヘリの瞳。

今まで見たことのないヘリがそこにいた。
強い意志を持った自立した美しい女。

可憐な花の蕾が開く瞬間を見たように、
イヌが、目を細めた。

…これが、僕の愛した女性か。

内心の熱い思いを隠すようにイヌが、ニヒルな笑みを浮かべてみせた。

「僕も、遠慮しない」

「うん」
…負けないんだから。

ヘリが、嬉しそうに頷いて、ワイングラスを手にとって口に運んだ。

しばらくそんなヘリを見つめていたイヌだったが、

気がかりな事を話し終えて、すっきりした、というヘリの表情に、
焦れたように、小さな溜息をついた。

「他にも話す事があるんじゃないか?仕事以外にも」

「え?」

なんのこと?

きょとんとしたヘリに、イヌがわざとらしく夜景に目をやった。


「・・・“見合い”ってなんだ?」

「あ…」


平静な横顔を向けながらも、ムッツリとしたイヌの口調に、
ヘリは気まずくなって、首をすくめた。



(「仲直り記念日」3終わり 4に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「仲直り記念日」2話です。

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この話は、シリーズでは「試される絆」の続編「大切な人」の続きです。



仲直り記念日(2話)



ランチを終えた二人は、駐車場に戻ると、
車にのって、先ほど言っていた、すぐそばのホテルに向かった。

ヘリに言っていた通り、車のトランクルームにボストンバッグが入っていた。
それをイヌが持って、ヘリを伴ってホテルの中に入った。

…本当に持ってきたの?服も…アレも。

そう、疑っているように、バッグに向けられたヘリの視線に、イヌが微笑した。

「あとで、しっかり検証するといい。もし、証拠不十分だったときは、
訴えてくれていいからさ」

「訴えないから、買ってきて」

隠語も使わずに、きっぱりと言うヘリにイヌが笑った。

イヌが、チェックインの手続きを終えると、
ホテルマンに付き添われて、ヘリとイヌは、今夜泊まる部屋に案内された。

高層階の角部屋。

ヘリは、エレベーターから降りたフロアで、
そこが、どんな所が分かった。

…ここは。

ホテルマンの手前、黙ったままついてきて、
そして、部屋に入るまで口を閉じていたヘリだったが、
ホテルマンが去ってドアが閉まると、イヌに当惑した目をむけて
佇んでいた。

「眺めがいい部屋だな。夜になったら夜景も綺麗そうだ」

そう言って、部屋を横切って、大きな窓の方から外を見下ろしたイヌにも
ヘリは曖昧に頷いていた。


やがて、ヘリの手持ちのコートを受け取って、クローゼットのハンガーにかけた
イヌがふりかえって、ヘリの顔を見て、動きを止めた。

「どうした?浮かない顔だな。部屋が気にいらない?」

心配そうなイヌの顔に、ヘリがあわてて首を横にふった。

「違うわっ。その逆よ。すっごく素敵な部屋だからびっくりしただけ。
だって、ここ…スイートルームでしょ?」

「最上のスイートルームじゃないよ。空いてなかったから。悪いな」

空いていたら、一番いい部屋にするつもりだったらしいイヌの言葉に、
ヘリは目を丸くして、ブンブンと首を振り続けた。

「謝らないでよっ。イヌ。私、スイートルームじゃなくても、
そして、こんなに豪華な部屋じゃなくても良かったのよ。
だって、家に近い場所なのに、もったいないわっ」

宿泊代は全部イヌが払うと言っていて、
だからこそ、ヘリは居たたまれない気持ちでいっぱいだった。

「マ・ヘリの口から『もったいない』という言葉を聞くなんて、
それこそ、もったいない気分になるな」

「もう、ふざけないで。私、少しは働いてお金をもらうって事の大変さが
分かったつもりなのよ。あなたが一生懸命働いたお金で、こんな贅沢させてもらっていいのかしら?って思いになっているの」

もう、富豪のお嬢様じゃない。
だから、お金の価値観もかわっていた。

以前は、当然と思っていた事も、今は全く違うように感じているから。

「いいんだよ」

イヌがきっぱりと言った。

「さっきも言ったが、今日は僕らの記念すべき『仲直り』の日だ。
それに、こうして、部屋以外の場所で、君と過ごす時間も僕は悪くないと思っている。
もったいないなんて思わないでくれ」

恋人と過ごす時間の為に支払うお金をもったいないなんて、
それこそ、僕に対して失礼じゃないか?

そう問うイヌに、ヘリは、「ええ」と頷いた。

「ありがと」

ホテルの素敵な部屋も、イヌの優しさも、気遣いも。
思いも。何もかも、本当は飛び跳ねたくなるほど嬉しい。

遠慮がちだった、そぶりが消えて、
満面の笑顔になったヘリに、イヌも微笑み返した。

…君が喜んでくれるなら、僕はどんなことでもしたい。

そう思いながら、

イヌは、「本当にいい眺めね」と言って、
窓の外をウットリと見ているヘリに視線を送っていた。

「これからどうしたい?まだ外も明るい時間だから、ショッピングに行くか?
着替えの服は持ってきたけど、違う服が欲しければ…」

買ってあげるよ。

そう言おうとしているイヌの言葉をやんわりと遮るように、
ヘリが首をふった。

そして、部屋の中央に、外の景色を眺められるように窓にむかって置かれた
フカフカの大きなソファに座ると、イヌを手招きした。

…イヌも座って。

ヘリに招かれるまま、イヌがヘリの横に腰を下ろした。


ヘリの体は全然疲れていなかった。

それに、久しぶりにイヌと外で楽しいデートをしたいという気持ちもあった。

でも、やはり、心なしか、疲労の色がまだ見えるイヌを休ませてあげたいという思いと、
何より、まだ昨夜はイヌに伝えきれてない事を話したかった。

「私、今日は、この素敵な部屋の中であなたとこのままゆっくりしたいわ。
いい?」

ヘリがイヌに聞いた。

「いいよ。君がそうしたいなら」

イヌがそう答えて、座ったままヘリの肩を抱き寄せた。

イヌもヘリと同じ思いを抱えていた。

…まだ、君に伝えていないことや話したいことがある。

想いは通じあったと確信しても、
そして、おそらく話さなくも、もうお互いに分かっているかもしれないことでも、
口に出して言っておきたいことがある。

大切な人だからこそ、伝えておくことがあった。

今回のことで、そう実感したヘリとイヌだった。

しばらく無言で、
ソファに肩をよせあって、並んで座りながら、
窓の外の景色をぼんやりと眺めていた二人。

ヘリは、イヌが小さな欠伸をかみ殺したのを見逃さなかった。

「イヌ」

「ん?」

ヘリがポンポンと自分の膝の上を手でたたいた。

「なんだ?」

不思議そうなイヌの腕をひっぱって、ヘリが
強引にイヌの体を自分の方に傾けた。

「膝枕よ」

「え?」

「膝枕してあげるって言ってるの」

まだ、キョトンとしている様子のイヌの頭を
ヘリは押し付けるように、自分の太ももの上に乗せた。

「ヘリ?」

「この方が楽でしょ?今日朝は運転手をしてたんだもの。
少し休んだ方がいいわよ」

車の運転をした、と言ってもさほど遠くない距離で、
時間も多くはかかっていなかった。

ただ、確かに、眠気を感じていたイヌだった。

外の気温は冷たかったが、ホテルの部屋の空調は万全で、
部屋の中を快適に暖めている。
だが、それだけでなく、隣にいるヘリのやわらかな温もりが
触れ合っていた体に伝わって、イヌに底知れない安心感を与えていた。

イヌはヘリに促されるまま足の上に頭をもたれさせて、
ソファに体を横たえると、そっと目を閉じた。

「どう?…もし、居心地が悪かったら、ベッドで休む?」

目を閉じても、まだぼんやりと光が瞼に浮かぶ昼さがりの時間。

ヘリの優しい声が降ってきた。

「…いや。とてもいいよ」

イヌがこたえた。

「少し、このまま居させてくれ。こうして話をしていいか?」

「ええ、いいわよ」

目を閉じたままのイヌの頭上に、そっとヘリの手が置かれた。
そして、そのまま、ヘリは、イヌの頭を優しく優しく撫でた。

滑らかなヘリの手の平の感触を感じて、イヌは、小さな吐息をついた。

…気持ちがいいな。


もう、ずいぶん昔のこと。

眠ってしまったイヌを、母親が膝枕をして、
その頭を撫でていた。

そんな忘れていた小さな子供の頃の記憶が、イヌの中で、よみがえっていた。

子供心に、ああ、僕は母に愛されている。
そう思った。

だが、今、同じように、ヘリに膝枕されて、頭を撫でられ、
目を閉じていても、それが母だと錯覚することは無かった。

常日頃、無邪気で天真爛漫な風体で、ある意味、目の離せない
危なっかしいところがあるのに、
こうして、まる聖母のように慈愛に満ちた優しさと温もりで包み込んでくれる愛しい女。

そんなヘリに自分は大切にされている、という思いを実感して、
イヌは、心からくつろいでいた。

ただ、ヘリの言葉に甘えて。膝の上を借りているだけのつもりだった。

話したいことがあったから。

「ヘリ…君に話したいことが…」

「なに?」

イヌの中で、ヘリの答える声がどこか遠くに聞こえた。

…話したいことはいっぱいあったんだ。
君に聞きたいことも。
でも…なんだったかな。

愛してるって言葉だけじゃなくて、
他に、君に言っておきたいことがあったのだけど。

「イヌ?」

小さな問いかけのようなヘリの呼びかけを
耳にしたのを最後に、イヌの意識が遠のいた。

愛しい女性の愛に包まれている。

そんな安堵感に、イヌは、ヘリの膝の上で静かに眠りにおちていた。


ふと、

イヌが、意識を戻して、目を開けた。

最初に目にはいった見知らぬ部屋の調度品に、
寝ぼけた思考が一瞬、どこだ?と迷いを見せたが、
すぐに、ホテルの部屋の中だということを認識した。

ヘリと一緒に来たホテルの部屋。

ソファの上で、イヌはヘリに膝枕をされて、
そのまま自分が眠ってしまったことを知った。

大きな窓から見える外はすっかり暗くなって、夜景の光が瞬いていた。
晩秋の冷たさを感じる夜でも、快適に暖められ、
上品な調度品やランプで飾られた内装のセミスイートルームは、優雅な空間を演出していた。

イヌがそっと頭を傾けて見上げると、
そこに、イヌを膝枕したまま、ソファの背もたれとクッションに体をあずけて、
スヤスヤと眠っているヘリの寝顔があった。

あの後、

不覚にも寝てしまった自分をそのままの状態にしておいてくれて、
ヘリもいつのまにか眠ってしまったのだろう。

イヌは、ゆっくりと上半身を起こした。
そして、ヘリの横顔を指で優しく撫でた。

「ん…」

ヘリが微かに身じろぎして、目を開けた。

「…イヌ…起きたの?」

ぼう・・・と焦点の合わない目をイヌに向けて、
ヘリは、そう言ったあと、口元に手をあてて、欠伸をした。

「少しは、疲れがとれた?」

ヘリの言葉で、ヘリがイヌの疲労を見抜いていて、
そして、気遣っていたのが分かったイヌは、声に出来ない想いに支配されて、
感情に揺れた瞳を細めた。

素直に礼を言うことすらできずに、イヌは、あいかわらずの
軽口を口にのせた。

「ああ、君の膝枕のおかげで、とても快適に眠れたよ。
自分の家の枕よりいいな。専用にしたいくらいだ」

「私の膝枕は、イヌ専用にしてもいいわよ。ただし、夜中の2時以降はお断り」

イヌの顔が、眠る前より、すっきりしていることを確認したヘリは、
安心して、フフっと笑うと、身を起こした。
そして、すぐに、「いたた」と小さく呻いて、顔をしかめて足をさすった。

「どうした?痺れてるのか?」

「ん…そうみたい」

「僕が寝てからもずっとこうしていたのか?」

「だって、あなたの寝顔が可愛かったんだもの。
しばらく見ていたんだけどね。そしたら、私も眠くなっちゃって…」

イヌの頭を支えていたヘリの足が疲労していたようだった。

眠ったのを確認したのなら、膝枕をやめて、クッションをあてても良かったのに。


どうしてだろう。

イヌは、思った。

いつも、こうやって、ヘリの純真な優しさに触れるたびに、
胸が強くしめつけられて、泣きたくなる。

今まで人から優しくされることに慣れてなかったからかもしれない。
でも、この感情は、それだけのことからきているものじゃない。

…ヘリ。君は、本当に…。

「イヌ?」

足をさすりながら、不思議そうに見上げるヘリに、イヌは、
自分の思いとは裏腹な行動に出た。

「痺れが早く治るマッサーッジをしてあげるよ」

「ありがと」

イヌは、マッサージが上手だからね。

疑いもしないで、嬉しそうに喜ぶヘリに、ニヤリと笑いかけると、
イヌは、ヘリの太ももを、手の指に圧力をかけて揉みだした。

ヘリが、あわてて、身をよじった。

「いたっ…!いたたっ。痛いわっ。イヌっ。
これ、本当に痺れに効果的なマッサージなの?」

「ああ。じっとしてないと早く治らないぞ」

ニヤニヤと含み笑いを浮かべたイヌの顔で、イヌがからかっているというのが
分かったヘリが、両手をバシバシとイヌに振りかざした。

「やだっ!!ふざけてるのねっ。意地悪。やめてよ。痛い。痛いってば」

もう、イヌのバカ!!

ヘリの罵倒を、声をあげて笑いとばしながら、イヌは、楽しげに、
ヘリの足をいたぶるように、痺れをなおした。

「膝枕のお礼だ」

…こんなのお礼じゃないー!!

そう叫ぼうとしたヘリの真っ赤な顔に手をあてると、
イヌは目を閉じ、ヘリの言葉を呑み込むように、唇を深くふさいだ。


(「仲直り記念日」2終わり 3に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


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暖房はまだ使用してませんが、
デ〇ンギの暖房器具が気になってます。
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仲直り記念日(1話)



イヌの父親、ソ・ドングンの好きだった湖に一緒に訪れていたイヌとヘリ。

ソ・ドングンに心の中で、また来るという約束をかわして、
二人は、湖を離れた。

ソウルの街に戻った頃には、ちょうど、お昼時になっていた。
イヌとヘリは、繁華街の駐車場に車を停めると、ランチを食べるために店に入った。

何度か、イヌと一緒に来たこともあるヘリのお気に入りの店だった。

…初めての夜を過ごした次の日もここに来たわね。

ヘリは、そんなことを思いだしながら、
目の前の料理をパクパクと口に運んでいた。

美味しそうに、ランチをほおばるヘリをイヌが微笑ましげに見ていた。

朝食は、ヘリの両親のパン屋で食べていて、
それからさほど運動もしていなかったが、お腹はしっかりとすいていた。

「んーっ…美味しいっ」

そうニコニコして言っているヘリの顔を見ているだけで、
イヌの口の中の料理の味が何倍も美味しいように感じられた。

…こんなに、食事が美味しいと感じたのはひさしぶりだ。

イヌは思った。

ここ1か月ほど、
毎日何を食べていたのかほとんど記憶になかった。

しかし、忙しくて、食べる暇がなかったということより、
精神面で、どんな食べ物を食べても美味しいと感じることが出来なかった。

身体だけでなく、心も、ヘリと離れている、と感じていた時期。

何もかもが空虚で、食事のエネルギーすら
摂取することを拒絶していたようだった。

朝起きて、仕事に出かけて、
余計な事を頭から排除するように、働いていた。

まるで、ヘリと別れて、アメリカに渡っていた1年間の日々のように。

それが、今。
こうして、目の前にヘリが座っていて、食事をしている姿を見ているだけで、
食欲が増してきている。
生きる活力が体の奥底から湧いてくるような、そんな気分だった。

時折食べる手を無意識に止めて、
ヘリをじっと見つめているイヌに、ヘリが気づいた。

「イヌ?どうしたの?」

不思議そうにヘリがイヌの皿を覗き込んだ。

一緒に食べ始めて、自分の皿はほとんど殻になっているのに、
イヌの方は、まだ半分も進んでいないようだった。

自分のペースに合わせてくれている?とも思ったが、
それにしても、手が止まりがちになっているイヌをヘリは心配げに見上げた。

「もしかして、食欲ない?」

ここしばらく、自分の考えを整理するので、いっぱいいっぱいだったヘリだったが、
昨夜しっかりと顔を合わせたイヌが以前より少しやつれたことに気づいていた。

今日、こうして、約束通り両親のパン屋に一緒に行ってくれたり、
父親の湖に連れていってくれたりしてくれたが、疲れていたのではないだろうか?

身体が辛いのに、久しぶりのまともな休日の時間を自分との約束の為に割いてくれてたのかもしれない。

そう考えたヘリは、申し訳ない思いでイヌの顔を覗き込んでいた。

「具合でも悪い?」

優しくそう問うヘリに、イヌは目を細めると、やわらかく微笑んだ。

「体は心配ないよ」

「でも、少し痩せたでしょ?」

「ここしばらく夜が遅かったから。食事も不規則になっていたんだ」

「そうだったのね」

…自分と一緒だった担当事件だけでなく、
イヌは、他の案件も沢山抱えて、多忙な毎日だったのだろう。

検察庁で顔を合わせていた時、弁護士として仕事に徹しているイヌの冷たく固い空気や姿勢は、そんな日々の蓄積からも、つくりだされたものだったのかもしれない。

一つの凶悪事件を担当しただけでも、ぐったりとしてしまうのに、もしかしたら、イヌはそういう重い事件も重なっていたのかもしれない。

でも、私と会えなかったのは、電話もメールも無かった理由は、それだけじゃなかったと思うけど…。

ヘリは、心の中に浮かんだ考えを振り切るように、
にっこりとイヌに笑いかけた。

「ランチを食べたら、すぐに部屋に帰って休みましょうね」

ヘリらしい、優しい気遣いと提案に、イヌの胸がジンっとなった。

食事よりも休息よりも、
ヘリのこの笑顔と優しさを欲していた。

つい、そう言いそうになって、
そんな表情をヘリに見られるのを避けるために、
イヌは、ついっと、窓の外の景色に顔を向けた。

そして、

…ん?

イヌは、店の外の向かいの道路を通りすぎていく、人ごみの中で、
見知った人物が歩いている姿を見つけた。

しっかり会ったことも、話したこともない。
しかし、一度見た印象で忘れられない顔だった。

…あれは…。

その人物が建物の中に入って、消えていくまで、
その姿を目で追っていたイヌに、ヘリが気づいて首をかしげた。

「なに?知り合いでもいた?」

どこか険しい表情で目を細めて、外を見ていたイヌの顔に
ヘリも興味深々で、窓の外に目をこらすように、身をのりだした。

「いや、知り合いじゃない」

イヌが、首を振ると、顔を戻した。

…知り合いじゃないが…。

「イヌ?なに?」

向き直ったイヌが、何か言いたげに自分の顔をじっと見つめているのに、
ヘリが、照れたように、目をしばたたかせた。

「この後のことだが」

チラリと、腕時計に目を落とした後、イヌが言った。

「今日は、ホテルに泊まらないか?」

…え?

フォークを持つ手を止めて、
ヘリは、ポカンとイヌを見つめた。

「ホテル?」

聞き違いかしら?

そう思ったヘリは、口の中にあった食べ物の欠片をコクンと呑み込むと、
もう1度イヌに聞いた。

「ホテルに泊まるって聞こえたみたいなんだけど?」

「君も休んだ方がいい。耳が遠くなっているみたいだ」

ヘリは、イヌの嫌味よりも、提案の方に心を乱れさせていた。

「待って。私のことはいいから。ホテルで休みたいって思うほど疲れてないからっ」

と、あわててそう答えたヘリだったが、
ふと、何かに思い当たって、ますます動揺したようにあたふたしだした。

「まさか、ホテルって…、その、そういうことするホテルってこと?」

「そういうことするホテルって?」

分かっていながら、面白そうに聞くイヌの顔にも
ヘリは、ムキになったように、でも、周囲に気遣って声を落として言った。

「とぼけないで。あなたの言っているのは“ご休憩”とか、時間制とか入口に書いてあるホテルでしょ?」

ヘリなりに、頭を回転させた考察の末浮かんだ答えのようだった。
しかし、聞いていながら、あせっている様子に、ヘリが完全に思い込んでいる事が分かったイヌは、声を出して笑いたい気持ちを必死に抑えた。

「いや。ここから見るかぎりは、そういう文字は書いてないけど」

「ここから見える場所にあるの?」

どこ?っと、きょろきょろ窓の外を見るヘリに、
イヌがスッと指をさした。

「あのホテル」

イヌが指した方向に目をやったヘリは、向こう側の通りの少し奥まった所にある
有名なシティホテルを見つけた。

ヘリは、宿泊したことはないが、友人と食事をしに行った事はあった。
中のレストランも、宿泊もやや値段は高めだったが、観光客も利用する、行き届いたサービスが評判だという、人気のホテルだった。

イヌの提案に心惹かれるものはあったが、
それにしても、そこに今日泊まる理由がヘリには思い当たらなかった。

ソウル市内で、しかも、車で30分もかからずにお互いのマンションまで帰れる距離。
休むにしても、わざわざ、街中のホテルの部屋でなくともよいはず。
それに、いいホテルにしても、まるで、今見て決めたようなイヌの言葉。

「車だったら、帰りは私が運転するわ」

疲れていて、イヌは、もう今すぐにでも体を休ませたいのだろう。
そう考えたヘリが言った言葉だったが、イヌは、「いや」と首をふった。

「早く休みたくて言ったわけじゃない。
今夜は、君と一緒にホテルに泊まりたいんだ」

“君と一緒にホテルに泊まりたい”

もう、うぶな女でも、初めてでもないのに、
イヌのセリフに、顔から火が出そうなほど、恥ずかしくなったヘリだった。

真昼間のランチをしている時間に。

そして、こんな店の中で、ふざけている雰囲気もなく、
はっきりとそんな願望を口にするイヌに、ヘリは顔を赤らめて、目を泳がせる他なかった。

言葉通りにとれば、ただ、マンションの部屋でなく、
ホテルの部屋に一緒に泊まるというだけのことだったが、
イヌの言葉の裏に意図されたものは他にもある。

そのことが、今度こそ説明されなくても分かったヘリだった。

「でも…イヌ」

ボソボソと、取り繕うように、ヘリが戸惑いぎみに口を開いた。

「いつでも来られる距離のホテルにわざわざ泊まるなんて…」

「あのホテル泊まったことがあるのか?」

「ないけど…あなたは?」

「僕も無い。ヘリは泊まってみたくないか?」

「前から関心はあったけど」

「僕もだ。じゃあ、いいだろ?」

「だけど、とくに何もない休日なのに」

「あるだろ」

イヌが、浅い吐息をついて苦笑した。

「今日は僕らの何の日だ?」

「え?私たちの?何かあったかしら?」

忘れていたことってあった?

あせったように目をパチパチさせたヘリにイヌがフッと笑った。

「仲直り記念日だ」

…仲直り記念日。

イヌの言葉に、あっけにとられたようにヘリが口を半開きにした。

「違うか?」

たたみかけるイヌに、ヘリはつい頷いていた。

「そうだけど」

「まだ、何か不安か?ああ、お金のことか?気にするな。
宿泊代は当然僕が出すから」

「あ、いいえ。そうじゃなくて。じゃなくて、それもあるんだけど、
いきなりだったから、外に泊まる準備を何もしてないわ」

夜着や、はぶらしなどの衛生用品は、ホテルのアメニティで完備されているとしても、
着替えの服も下着も持ってきていない。それに…。

ヘリが言うのも躊躇っている様子に、
イヌは、何もかも見透かしているようだった。

「着替えの衣類は心配ない。僕が君のも持ってきている」

「え?」

「今朝、君が部屋に置いていったものがある」

確かに、イヌの部屋に泊まった時の予備用で、と言って持参した衣類があったけど。

「あれ、持ってきたの?」

「ああ。あれを一式バッグにいれて、車のトランクにいれてあるから安心しろ」

自信たっぷりに、力強くうなずくイヌの顔に、
ヘリは安心感より、別の感情に支配された。

「…あなたの中ではこうすることを計画してたの?」

こんな用意周到なマネをしているなんて、
やっぱり思いつきの行動じゃなかったのね。

そう、ジットリとした目をむけたヘリにイヌが軽く肩をすくめてみせた。

「『備えあれば、憂いなし』って言うだろ?先の行動を想定して準備しておくことは悪くない」

事実、イヌの中で、あのホテルに泊まるということは、
予想外ではあった。

“記念日”を祝って、何があってもいいように、とは考えていたが。


「あなたの超能力に、予知能力も加わったのかしら?」

「どうかな」

疑わしそうな目のヘリに、イヌがとぼけたように口の端をあげた。

…そんな能力があったら、この1か月ほどの日々は、
全力で阻止したけどな。

そう思いながら。

「でも…」

まだ納得しかねるように、ヘリが戸惑い気味に俯いた。
そして、気まずそうに、何か言いたげに
チラチラと、イヌを上目づかいで見た。

そんなヘリを放置することを面白がっているようなイヌは、
黙ったままヘリの言葉を待っていた。

いつもはすぐに悟ってくれるはずの思惑も、
言ってくれそうもない目の前の“超能力者”の恋人に、ヘリは諦めて、
思い切って口を開いた。

「さすがに…アレ…は、持ってきてないでしょ?」

ヘリの言うアレが何の事かすぐに分かったことより、

もじもじと両手の指をこすりあわせて、周囲を気にしてキョロキョロしながら、
小さな声で恥ずかしそうに問うヘリがあまりにも可愛いすぎて、
イヌは、おもわず噴き出していた。

「笑いごとじゃないわ。大事なことよっ」

顔を上気させて、ムキになっているヘリにイヌはますます笑みを広げた。

「さあ、それはどうだったかな」

「嘘っ。私の着替えまで用意してるのに、それが無いわけないわっ。
あるのよね?トランクの中に」

「ああ~。そういえば、トランクじゃなくて、アレは、内ポケットに入れてたな。
見せたら安心か?ちょっと待って。今出すから」

そう言って、椅子の上に置いたコートのポケットを探ろうとするイヌに、
ヘリが大慌てで身を乗り出した。

「待って、待って。ここで出さなくてもいいからっ。
あるなら、いいから!後で見せてくれたら大丈夫だからっ」

必死でイヌの手を押しとどめようとするヘリに、
イヌはたまらなくなって、声をあげて笑った。

「…もうっ。またからかったのね」

プンっと真っ赤な顔で恥ずかしそうにそむけたヘリの顔にも、
イヌはいつまでも、楽しげに笑って食事を続けていた。

…やっぱり、君といると楽しいよ。

そう思いながら。

そして、ヘリも。

拗ねたふりをしながらも、
声を出して笑うイヌの笑顔を久しぶりに見られたことが、とても嬉しくて、
甘い予感に、ドキドキと胸を弾ませていた。


(「仲直り記念日」1終わり 2に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


どうでもいい会話ですが、
たしかにアレは、大事なことですよね(笑)
…で、ようやくスタートしました「試される絆」の
続編パート2です。お待たせしました。

ただ、タイトル「仲直り記念日」って、
つい、自分の描いた検事プリンセス4コマ漫画の
「記念日」イヌを思い出してしまいました。
イヌが「記念日」とか言うとなんだかね(苦笑)

拍手コメントありがとうございます。
お気遣い、ご心配ありがとうございます。
熱は高くないのだけど、喉と体に痛みが、という
まだ初期症状。私に風邪をうつした子供は元気に
出かけていきましたよ。。。


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本日、「みつばのたまて箱」2度目のブログ投稿。


明日から、検事プリンセス二次小説、「試される絆」の続編2、
「大切な人」の続き

「仲直り記念日」の更新をスタートします。

…という、とり急ぎ、更新のお知らせです。

構成は完全にはまだなんですけど、続編2が、
思った以上に長くなったことと、まだ続編3とおまけ話もあって、
このままじゃ、クリスマス話がまた間に合わないという事。

完全に風邪をひいたみたいなのですが、
今週は仕事だけでなく全日程予定が詰まっていて、
悠長に休んでいることが出来そうもないから、

どうせなら、予約投稿でも、途中停滞させても、
もう、小説はアップしてしまおう、という
矛盾した決断をしました。

お待たせしました。


予約投稿の場合、コメントやメッセージのお返事は遅くなりますが、
よろしくお願いします。



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こんにちは。

先日、子供が熱を出して寝込んでいたのですが、今日はすっかり元気に暴れてます。
…私にうつしてね(汗)
早期体力回復につとめます。

私の体をいたわった優しいコメントやメッセージを頂きまして、ありがとうございます。

お腹の子供も元気みたいで、よく動いてますが、そんなわけで、今日はちょっとお休みします。

先日まで寝てたくせに、外に遊びに連れて行って~と言っているワカランチンと、後でスイートポテトを一緒に作る約束をしているもので。


パク・シフさんや、カン・ドンウォンさんの情報ありがとうございます!♪

最近は全く情報も知らなくて。
カン・ドンウォンさんは芸能活動に復帰されたら、ファンの方も嬉しいですよね。

今日は携帯更新で、こんな現状報告ですみません。

皆様もくれぐれもお体気をつけてお過ごし下さいね。
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こんにちは。

どんなに、忙しい日でも、1回は
検事プリンセスのドラマ16話のラストシーンを見るか、
イヌ役のパク・シフさんが歌う「I LOVE YOU」を聞いているみつばです。

本日は少ししか時間が無いので、
みつばが勝手に「検事プリンセス」のイメージソングにしている歌をご紹介…
な雑記です。

韓国歌手ユニット 2AMが歌う、福山さんの「最愛」の韓国版リメイクです。

以前、ブログの雑記で、柴崎コウさんが歌う「最愛」が、
16話でイヌと離れた後のヘリの心情のイメージソング…って書いたのですが、

この男性版。そして、韓国語訳の歌もとてもいいです。

関心のある方は、動画サイトで。

16話でヘリと離れたイヌのイメージソングのつもりで聞いていたのだけど、
いつのまにか、私の中で、勝手にアメリカのイヌの養父さんのイメージソングになってました。

二次小説「この道のさきへ」を読まれた方なら何となく分かって頂けるかと。

せつない歌です(涙)


以下、コメントレス的な話。

拍手、拍手コメントありがとうございます♪

パク・シフさんの映画、韓国で封切されたんですね。
…公式ファンサイトも最近見てないので、ほとんど知らなくて(汗)
ファンクラブ会員なので、メルマガは見てますけど。
専門誌も予約してないです。まだ迷ってます。。。

シフさんが好きだけど、イヌが好きすぎて、
似すぎているのに、違うことが切なくなる時があるんですよ。(←当たり前)

某アニメでいうと、銀さんと金さんの違いみたいに。(ちなみに、みつばは銀さん好き)
↑また、誰も分からないようなマニアックな例えでごめんなさい。

でも、パク・シフさんの新作映画は気になってます。とっても。
ドラマの方は…様子見で。

以上、今日はそんな感じの雑記でした。

検事プリンセスの二次創作の話。

…「試される絆」、「大切な人」に続く、タイトルもう出しちゃいますけど、
次回作の「仲直り記念日」予想していた以上に、長くなってます(汗)

完成までもう少々お待ち下さい~。



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こんにちは。

おひさしぶりのみつばです。
お休みの間もブログに来てくださってありがとうございました。

日々すっかり寒くなってきましたね。
(やっぱり久しぶりだと文章書くのに緊張が(笑))

検事プリンセスの二次小説は、
空き時間に少しずつ書いてはいるのですけど、まだ、完成してません。
1話ずつでも更新は出来そうなんですけど、
長編の時と同じで、とりあえず最後まで書き上げてから
構成したいので、もう少々お待ちくださいです。

お腹が重くなってきて、寒くもなってきたので、
動けるうちにやっておかないといけない事がいっぱいあるのに、
…昨日、今日は庭整備してました。

昨年から、このブログにいらしてくださっている方や
雑記まで読まれている方はご存じかもしれませんが、
みつばの趣味の1つがガーデニングです。

夏から秋にかけて、体調を崩して完全に寝込んでいた間に、
家の裏庭の雑草がすごいことになっていて(汗)
動けるようになったらすぐに、近所の方に心配されながらも
庭整備はじめましたが、やはり植物たちの植え替えも出来ず、
もう重いコンテナも移動できないので、若干元気のないのが気になって。。。


それで、ようやく、冬~春花壇も手を加えられるように。

霜がおりる前に苗は植えて根を定着させたかったんです。

花苗の直売所に何度か足を運んで、少しずつ花苗をカートで
買いそろえることも出来ました。

自転車で5分の距離が、こんなに遠いとは(汗)
花苗は重いから、ネットで頼めばいいのですけど、店や直売所で
自分の目で見て選んで買うのが好きなんです。

それに、園芸屋さんや直売所の方とガーデニングや植物の話を
するのも好きなんですよ。

今年の春の庭やコンテナの花の画像を苗の直売所の方に見せたら、
すごく褒めて頂いてたので、嬉しかった♪
褒められたりすると、すぐにやる気になるもんで。
創作でもなんでも。(笑)

今年の春の玄関先の花は、このブログの春頃に雑記で画像をのせたのだけど…
どこかに埋没してますね…。

前庭花壇は、昨年、寒色と暖色系の花を交互に植えた
ボーダー柄にしたので、今年は、虹柄(グラデーション)に挑戦。

↓これ。


121115_1343~01




植えたばかりはスカスカだけど、花期も長く
暖かくなったら、どんどん大きくなって、満開になると素敵なのが、
春花、ビオラ、パンジーの魅力。

配色に悩んだけど、今回も満開になるのが楽しみ。
ちゃんとグラデーションになるかな?

検事プリンセスのパラレル二次小説で書いた
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」に出てきた「幸福を招く」虹色の花(笑)イメージで。

あとは、玄関とエントランス前庭にビオラを植えて、

他には、コンテナに、変わり咲きチューリップの
球根も植えたので、どんな花が出てくるかな?わくわく。

…という、本日は、検事プリンセスの二次創作を
目当てに来られた方には申し訳ない、みつばの趣味の雑記でした。


ブログや小説への拍手、拍手コメントありがとうございます!
いつも待って頂いて、楽しみにしてくださっていると言ってもらえると
嬉しいです。

今日のような雑記も混じるブログですが、
またよろしくお願いします♪



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本日は、
まだ、やりますか?(やれますか)な、
検事プリンセスドラマ感想です♪

前にブログの雑記で書いたことがあるのですが、
主人公のライバル的な存在の女性が、意地悪なことをするのが好きでない…とか
書いたのですが、ドラマでも、小説でも、漫画でも、
大抵、意地悪なことをするシーンがありますね。

これは、もう演出的にしょうがないのかな。

私もオリジナルで少女マンガ創っていた時は、
ライバルの女の子は、まず、可愛くて綺麗で、カリスマ的にとりまきがいたり、
お嬢様みたいにお金もちで、でも、好きな男と急接近する男の主人公を
蹴落とそうとして意地悪をする…というパターンよく描いてました。

主人公の、平凡さ(?)とか、外見でない可愛さとか
一生懸命さとか、素直さが強調されるから。

韓国ドラマも言うほど数を見てないのですが、
ごく普通の女性がイケメンの御曹司と恋に落ちる話くらい、よくあるような気がします。

あと…元彼女が、嫉妬にかられて、陰湿なことをしてきたり、
とり乱して、間をかきまわすとか。

そのライバル女性が、妙に可愛い女優さんだったりするもので、
私の場合、時々(よく)主人公より、ライバル女性を応援してしまう時があります。

だから、人気の韓国ドラマだった、アレとかアレとかアレとか←どれ?(笑)
それでも主人公の事を「好きだ」という男たちに頷きながらも、

・・・冷静になるか、時がたてば、後悔しませんか?

とか、心のどこかで、思っちゃったりして。。。

それで、「検事プリンセス」はそういう女性の存在が無くて、
気持ちが楽だったんです。

でも、ライバルはいました。

まず、ヘリが最初にあこがれたユン検事の事をずっと好きだったチン検事。

話からして、10年くらいは好きだったのかな。
ユン検事の娘さんが7歳で、しかも、ユン検事の亡くなった奥様も知っていて、
さらに、ユン検事と奥様って早くに結婚されているみたいだから。
その前からチン検事は好きだったらしいので、かなりの片思いだったと。

奥様をなくされたユン検事をずっと陰ひなたで支えて、見守っていたチン検事。

突然現れたヘリの存在に困惑するのは当たり前です。

でも、意地悪っていえば…、検死の立ち会いの日の
「幽霊がついてくる」と言ったくらいのものでした。
あとは、仕事の先輩として、冷たい態度ではあったけど、あれは、あの時のヘリに対しては当然のように見えるし、もともと、クールな感じだったから。

ヘリが真剣なら、そして、ユン検事がヘリを好きなら、
自分は身を引こう…そんなシーンに、ジンっとなりました。

それから、ジェニーも。

ジェニーは、ずっと、イヌの事が好きだったらしい。
DVD(ノーカット版)では、かなり、そういう所が分かる場面があります。
…でも、わかりずらい。

ジェニーも秘めた愛プラス、大人の女としてのふるまいだったので。

イヌをじっと見守ってつくしています。

「私は、あなたの女房じゃないわ」とか、
「私のこと、そういう風に(女として)見たことあったの?」

とか、軽く、なんでもないように流したように言いながらも、
イヌが自分を認めてくれたって分かった時の嬉しそうな顔。

ほんっと、可愛いです♪♪♪


私の中で、ジェニーはツンデレタイプかと。

それが、まあ、やっぱり、ヘリにああいう感じで
イヌの心を奪われてしまうわけですから、ジェニーの心情を思うと…(涙)

「イヌは今シャワー中です」とか言いたくなりますよ。

こうして、ずーっと長い間、一人の男に想いを寄せていて、
影で見守り、支えてきた女性たちが、検事プリンセスの主人公マ・ヘリの
まわりにいるライバル女性なんです。

だから、恋愛初心者、さらに、社会的常識も欠けたヘリの存在は、
ある意味、彼女たちにとってはライバルとしても拍子抜けな感じ。

ポッと出の新人にいつのまにかレギュラーのポジションを持っていかれた、
そんな風に。

でも、チン検事もジェニーも。

ヘリを憎むことが出来なかったのでは?と思いました。

常識はずれだけど、ヘリの純粋なところや、優しいところ。
好きな男性に対して、素直に想いを伝えるところとか。

驚きながら、呆れながらも、自分では出来ないもの。
持っていないものを持っているヘリを認めたんでしょうね。

何より、そんなヘリに、好きな男たちが惹かれているわけですから。

それを知ったからといって、
チン検事のように身を引いたり、ジェニーのように、応援したりすることが
出来るかと言うと…

みつばには無理。絶対無理(苦笑)

アレとか、コレとかの韓国ドラマのライバル女性みたいなことしちゃうでしょう。


いい女っていう所では、検事プリンセスは、主人公はヘリなんだけど、
ドラマの時点では、チン検事やジェニーの方がいい女だった気がします。

ただし、ヘリは、磨けば、特級のダイヤモンドのように光る潜在的いい女♪
いい男なら、それを見抜けます♪。イヌもユン検事も。

ただ、ドラマ後1年たって、
ヘリもいろいろ経験して、検事としても人間としても成長したってところ
16話で見せてもらったのだけど、たぶん、まだこれからかな?と思いました(←これが上から目線だって)

女として、イヌと付き合うってことに関してもそうだけど。

なので、二次小説「試される絆」で、
ヘリに助言するチン検事とジェニーを出したのですが、
あの二人の言葉には重みがあるところを書きたかったんです。

自分の経験や言葉を押し付けてはいないけど、
ヘリが後輩、キム検事(オリジナルキャラ)から、聞かれた時に答えたような
あたりさわりのない曖昧な答えじゃなくて、
長い間、一人の男の人だけに、はっきりした想いを秘めてきた、女性の意見は、違うねって感じで。
さらに、あの二人の方が、仕事でも、社会人としても、ヘリよりずっと先輩ですから。

ドラマでも、そんないい女たちがライバルで良かったね♪ヘリ。


最近、「いい女」ってどういうのだろう?って
真面目に考えてるみつばです。

働いていても、主婦でも、学生でも。年齢も関係なくて、
外見じゃなくて、スタイルじゃなくて、スキルでもなくて、いろいろ。

自分の理想ってわけではないかもしれないけど、
ヘリには、ぜひ、そういういい女になって、イヌに愛されて欲しいな~♪なんて、
思いながら、毎日空いた時間に、ドラマ16話のラストだけは必ず見てます。

それで。

また、ブログは、「試される絆」の続編2と3を書き上げて構成するまで、
お休みします。ごめんなさい。

雑記でも続けようかと思ったのだけど、プライベートでばたばたしている時期なので。
残念だけど、思い切って。
再開はいつできるか分かりませんが、新パソコンのセットアップが出来次第(まだそれもしてない)お知らせしますね。

ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます!いつも励まされてます。
メッセージを送って下さった方々もありがとうございます。
お返事遅くなりますけど、しっかり読ませて頂いてから書きますね。

それでは、また。

近いうちに、「みつばのたまて箱」で♪


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テーマ:韓国ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

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韓国ドラマ「検事プリンセス」
今まで書いたみつばの二次小説を集めたINDEXのパート2です。


・ドラマ最終回16話以降のシリーズ話
(続いているため番号順に読んでいった方がわかりやすいです)


これ以前に更新したシリーズ話(1~30)や、
他の短編話は「検事プリンセス二次小説INDEX」から。


31「試される絆」         10

11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

32「大切な人」    (「試される絆」続編)

33「仲直り記念日」 1 2 3  5 6 7  9 10(「試される絆」続編2)

34「愛の妙薬」    (「試される絆」続編3)

35「愛の鎖」     (「愛の妙薬」おまけ話)

36「印-しるし-」 印-ホクロ-の続編)

37「印-しるし-(SIDEイヌ)  (印-しるし-の続き)

38「刻印」     (印-しるし-の続編)

39「素顔のあなた」   

40「シャンプー」  (「素顔のあなた」イヌSIDE)

41「NYへいこう」 

42「招かれるもの」      6  (「NYへいこう」続編)

43「聖夜の祈り」          10 

11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 

21 22 23 24 25 26 27 あとがき

44 「Waiting for you」  (「聖夜の祈り」おまけ話)





・短編・書き下ろし話


「運動は朝起きた後に」 

「サンタプリンセス」 

「腕枕」 

「プリンセスの男」 

「あの頃の背中」(「プリンセスの男」の続き) 

「恋酔い」 

「KISS」 

「スーツ」 

「スーツ(おまけ話)」 

「苺ロマンス」 

「取扱い注意」 

「ご使用注意」  (取扱い注意のイヌSIDE)

「巡り星」(ショートVer) 

「巡り星」(ショートverおまけ話) 

「スイカの思い出」 

「熱帯夜」 

「熱愛症」 

「黒と白」      

「スーパーモデルにご用心」  

「戸惑いのヴィーナス」   おまけ (「スーパーモデル」にご用心の続編)

「惑わしのヴィーナス」(戸惑いのヴィーナス番外編)☆裏箱小説なので、ここではリンクしてません。

「イヌもくわない」 1

「Happy Halloween」 

「ケーキより甘く」 

「プリンセス・クッキー」 

「プリンスゲーム」 

「プリンスゲーム」続編 (☆裏箱小説の為ここではリンクしていません)

「Kiss day」  

「Rose day」  

「Rose night」(Rose dayおまけ話) 1

「抱き枕」  あとがき

「青あざは愛より出でて」 

「囚われのプリンセス3.5」 

「囚われの夜」  (囚われのプリンセス3.5のイヌバージョン)

「図書館デート」  あとがき

「ハロウィンの約束」  (イヌの少年時代の話)



・シリーズより時間が経過した後の話

「Happy New Year」  (2012年)

「フォーチュンクッキー」 

「月と泥棒」 

「優等生SP-戯事-」         

「旧正月」 

「ゲレンデへいこう」廉価版 序章  

「ここにいるから」   3   おまけ

「暗闇の灯(序章)」 お試し版 

「嘘つきは恋のはじまり」   おまけ(2の間の話)

「夢桜」  

「湯けむりデート」  (温泉へいこう、の1話と2話の間の短編話)

「温泉へいこう」     

「Halloween Night」  

「イヌの誕生日2014年」 

「月が見ていた」 

「裏箱・月が見ていた」  (裏箱更新の紹介文だけです)

「バレンタイン記念日2020」  (イヌ×ヘリ37歳頃の話) (更新NEW)



・ドラマ本編中のお話


「恋雪」  (ドラマ16話)

「Without you」  (ドラマ16話)


INDEX1より話を移動しました(2013.1月)


「みつばの裏箱」の中の小説、イラストについては、こちらから。



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本日は、タイトル通り、雑記です。

検事プリンセスの二次小説は、少しお休みです。
すみません。

毎日のように、検事プリンセス妄想して、
ソ・イヌ(ソ弁護士)の事を想っているみつばなんですが…
先日、こんな夢を見ました。

ドラマの主役になって、ドラマのような話をバーチャル体験するという
楽しい♪夢。

ところが、ですね…「検事プリンセス」のヘリじゃなくて、
そして、相手もイヌではなくて、夢の内容が韓国ドラマの「美男ですね」だったんですよ(汗)

みつばはミニョだった…。

「美男ですね」にはまっていたのは、ずっと以前のことなのに、
どうして、今ごろ夢に見るのかしらん?

昔、最初にテレビで見た時はどはまりして、
つい、みつばの漫画の師匠に、テギョン、シヌ、ジェルミ、ミニョのイラストをラフでもいいから描いて欲しい♪っておねだりした事もあるんですよ。
師匠のイラストは本当に綺麗で、雑誌の表紙を何度も飾っているくらい素敵なんです♪
(師匠自慢)
漫画も俺様キャラも、優男系も、可愛い男の子系も、完全に描きわけられて、プロだから当然と言われるかもしれないけど、話が変わるごとに、全く違うタイプを魅力的に創られるのがすごくて。
で、そんな師匠の「美男ですよ」の二次創作は、絶対にすごいはずっ。と思ったのですが、
「ごめん、見てないから、知らないの」ということでした。

しかし、自分では、イラストも漫画も小説も全く書く気無しだったみつば。
そして、他の方の二次小説や二次創作も1度も見たことがないです。

なのに、どうして、今夢に見るかな?(汗)
二次小説におこせるくらい、起承転結までばっちり、ドラマのように見ちゃいましたよ。

ミニョの相手役(恋人)は、ドラマ本編通りチャン・グンソクさん演じるテギョンでした。
どうも、ドラマの続編のようなストーリー展開でしたけど。シヌやジェルミもいた。
アクシデントあり、ドキドキロマンスありの仮想体験♪
夢からさめた時に、面白かったので、ちょっと書いてみようか。とか思ったのですが…、
このブログではやめます。

「検事プリンセス」の二次小説も更新が滞っていて、
さらに、「デュエリスト」の二次小説スタートもしてないのに、他の妄想話はやめた方がいいでしょう。
それに、たぶん、書いたとしても、これ1回きりになるから。
どこかで、どなたかが、似たような話を書いているかもしれませんしね♪←人まかせ。

夢の内容だけでも検事プリンセスの二次小説に使用できないか?と思ったのですが、
残念ながら、世界は完全に「美男ですね」設定の夢だったので、
いつかオリジナル作品書くときにでも参考にします。

しかし…「検事プリンセス」のイヌもヘリもなかなか夢に出てきてくれません。
これだけ妄想してるのに(涙)

妄想といえば、ついでに本当に、オバカな妄想を1つ。

今、ドラマは「大奥」だけ録画しているのですが、
多忙のため、まだ1話も見てません。
でも、あらすじや、CMをちらっとみて、内容が薄々分かってしまってます。
男女逆転の「大奥」という設定。

堺雅人さんが好きなので、とっても楽しみにしてるのですけど。

つい、それで、妄想してしまいました。

みつばが将軍だったら、どうしよう?って(笑)

えーっと。なぜか、韓流ドラマのキャラで「大奥」妄想。

正室には、ミン・ジョンホ様(チャングムの誓い)
側室で、一番のお気に入りが、ソ・イヌ(検事プリンセス)

他、適当に、イケメンそろえて(笑)

って、大奥です♪

あれ?イヌが正室じゃないの?って突っ込まれそうですが、
だって、イヌが正室ってなんだかとっても怖そうなんですもの(苦笑)

優しくて、包容力のある正室のミン・ジョンホ様に大切にされて、
事実上の正室の側室ソ・イヌに愛されて、幸せに過ごす将軍のみつば版「大奥」。

しかし、なかなか世継ぎに恵まれないことから、
局様が街から「悲しい目」君(デュエリスト)スルプンヌンを見つけてきて、
勝手に側室にしちゃうんです。

嫉妬に燃えるイヌと、寂しげなジョンホ様。

みつば将軍の心は変わらないはず…なんだけど、
影のある、美青年の「悲しい目」君に心が揺れちゃったりして。

…きゅん。私が、あたためてあげたい…。

そんなことになっちゃったら、どうしよう!!
みつば、困っちゃうよ~っ(汗)

↑・・・落ち着け。どうもしないから。ただの妄想だから。


妄想の世界は自由でいいですよね。
ただ、公開しちゃって大丈夫かどうかは分かりませんが(汗)

以上。本日は、みつばの無節操な頭の中の妄想雑記でした♪

…なんだか、お腹の子供に、自分の妄想も一緒に見られている気がして、
落ち着きません。
だから、イヌ×ヘリの大人話書いていても、妙にドキドキしてます(苦笑)


しょうがないな、この管理人は。と
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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「大切な人」3話(最終話)です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話は、シリーズでは「試される絆」の続編です。



大切な人(最終話)




「どうした?ヘリ。こんな時間にここにいるなんて。今日は休みのはずだぞ」

休みだからこそ、こんな時間にここにいるのだけど。

そう、当たり前のことを、動揺しきっているサンテがヘリに聞いた。

「モーニングを食べに来たのよ。パパ。彼と一緒に」

「そ、そうか」

ヘリの“彼と一緒に”という言葉に、サンテはまたもや、
狼狽したように見えた。

チラリと、イヌを見やったサンテは、ほとんど手元を見ずに、あせった手つきでパンを袋に詰め始めた。

「パパ、レジ打ってないわよ。それに、今モーニングで食べるから、
パンはお皿に移して欲しいのだけど」

「そ、そうだったな」

ふいうちのような、ヘリとイヌの出現で、サンテは完全にペースを乱されていた。

もう、交際を承諾していたとはいえ、働いている店に、大事な一人娘が、
男を連れて、朝食を食べにきた、という現実をすぐに受け入れられない様子だった。

…事前に教えておいてもらえたら、心がまえも出来て、
応対や態度にも余裕をもって対処できたはずなのに。
どうして、この男は、交際宣言の時といい、こうして奇襲をしかけてくるのだろうか。
これは、突発的な行動ではなく、絶対にわざとだ。
事を有利に運ぶために計算した上での行動に違いない。
まったく油断も隙もない男だな。

横にいる娘のヘリがはにかむような、優しげな笑みを向けている男、ソ・イヌを、ささやかな抵抗のように睨みつけながら、サンテは心の中でブツブツと呟いていた。

しかし、イヌと見つめ合って、満面の笑みを浮かべているヘリの顔はとても幸せそうに見えた。そして、それは、サンテが今まで見たことのない美しい“女”としてのヘリの顔だった。
そして、ソ・イヌも。

そんなヘリに、向けるイヌの眼差しの優しさは表面的なものではなく思えた。

心の底から、この女性が愛おしくてたまらない。とても大事にしている…というような想いのこもった男の瞳でまっすぐにヘリを見つめている。

ソ・イヌのそんな表情を目の当たりにしたサンテは、
同じ男として、娘の父親として、イヌを認めざるを得なかった。

それでも、“出来すぎた”娘の彼氏が面白くなく、サンテはふてくされたように、
清算の終わったパンのトレーをイヌに差し出した。

「…ごゆっくり」

おおよそ、客相手のサービス精神を無視したムスっとしたサンテの顔に、
ヘリは思わず小さく噴き出していた。

大きな会社の社長としての顔のサンテを長年見ていたが、
この1年近く、パンつくり“修行中”のサンテも、パン屋として板についてきたように思えた。

そして、交際を認めているとはいえ、こうしてヘリと一緒に店に来たイヌを、サンテなりに歓迎していることもヘリには分かった。

やはり、気恥ずかしいという思いもあったが、ヘリにはそれが何より嬉しかった。

イヌにもサンテの心情が分かったようだった。

サンテに軽く会釈した後、イヌは横にいるヘリに微笑んだ。
そして、サンテから受け取ったトレーを持って、ヘリと一緒に席に戻った。

テーブル席に座って、すぐに、エジャが、モーニングセットを2人分持って、現れた。

「はい。これはイヌ君の。こっちはヘリね。もう紅茶は飲み頃よ」

「ありがとう。ママ」
「ありがとうございます。…いい香りだ」

イヌは、ポットに入れられた紅茶をカップに注いで、嬉しそうに目を細めた。

「ママのいれる紅茶は美味しいわよ」

ヘリが、そう言って、エジャの顔を見た。
エジャも、ニコニコとした顔をヘリとイヌに向けていたが、
そっと、カウンターで返却されたトレーをふいている仏頂面のサンテに目をやった。

「パパには挨拶した?」

ヘリのそばによって、声をおとし、ひっそりと耳打ちするエジャにヘリが頷いた。

「ええ、パンのレジを打ってもらったわ」

「まあ、あの人にしては上出来の態度ね」

エジャがおどけたように言って、ヘリと顔を見合すとクスクスと笑った。

「じゃあね。二人ともゆっくりしていってね」

エジャはイヌとヘリにそう言うと、カウンターに戻って行った。

…エジャ。どこに行ってたんだ?いないと困るじゃないか。

…あら?私がいないとサンテさんは何も出来ない男の方でした?

…おいっ、ばかっ。何を言ってるっ。

聞こえてくる両親の仲睦まじい(?)やりとりに、
ヘリは顔をほころばせながら、カップにいれた紅茶を口にしていた。

「お母さんとお父さん、仲がいいみたいだな」

そんなヘリの様子にイヌも柔らかく微笑んでいた。

「ええ、とっても」

この1年、両親のこんな姿を見てきたヘリだったが、
それをイヌに見てもらえたことが嬉しかった。

焼き立てのパンのいい香りが立ち込め、明るい午前の光がふりそそぐ、店内。
客の相手をしているエジャやサンテの声も聞こえる。
その中で、サンテのこねたパンや、エジャのいれた紅茶と手作りのサラダやジャムのヨーグルトを、イヌと一緒に食べている。

ヘリが心のどこかで、ずっと夢見てきたような光景が今現実になっていた。

…夢みたい。

ニコニコと、今にも小躍りしそうな表情で、朝食をほおばるヘリを目の前にして、
イヌもまぶしい光をずっと見つめているかのように目を優しく細めていた。

…君のこんな顔がずっと見たかったよ。

そう思いながら朝食を食べているイヌの顔も、
ヘリから見て、とてもリラックスして、幸せそうに見えた。

ゆっくりと、モーニングセットを食べ終えた二人は、
残ったパンを包んでもらうために再びカウンターに向かった。

「これから、どこかに出かけるの?」

パンを袋につめながらエジャが聞いた。

カウンターから背をむけて、無言で作業をしているサンテも意識はしっかりとイヌとヘリに向けられているようだった。

「ええ。これから、イヌのお父様が好きだった湖に行く予定なの」

ヘリの答えに、「そう」とエジャが微笑み、サンテが手を止め、厨房に入って行った。
その後ろ姿をヘリがチラリと見た。

エジャもサンテが消えた厨房を流し目で見た後、
イヌとヘリににっこりと笑いかけた。

「お店に来てくれてありがとう。ヘリも、イヌ君も。
また、いつでも来てね。」

「はい」イヌが答えて、ヘリもコクリと頷いた。

「じゃあね。ママ」

そう手を振って、ヘリとイヌが店から出ようと歩き始めた時、
「待ってくれ」と厨房の中から声がして、手に袋をもったサンテが出てきた。

サンテは、ツカツカとイヌの方に歩み寄ると、袋を差し出した。

「ソ・イヌ君」サンテが言った。

「私の作ったパンだ。良かったら、お父上に持っていってあげて欲しい」

…パパ。
…サンテさん。

ヘリとエジャが息をひそめて、向き合っているサンテとイヌの姿を見守った。

「ありがとうございます」

イヌが言って、サンテから袋を受け取った。

「父に食べてもらいます」

固い表情だったが、ほんの少し口元をゆるませて、そう言ったイヌの顔に、
サンテも、コクリと頷いていた。
イヌに渡したパンに、さまざまな思いを込めたサンテの気持ちがイヌに
しっかり届いたようだった。

ヘリとエジャはホッとしたように顔を見合わすと、
それぞれ、恋人と夫の顔を優しく見つめた。

「行ってきます」そう言って、ヘリはイヌと両親に見送られながらパン屋を出た。

街の駐車場に停めていたイヌの車に乗り込んだヘリとイヌが
次に向かった先は、湖ではなく、シン・ジョンナムの花屋だった。

「こんにちは」

ジョンナムは、イヌとヘリが一緒に店に入ってきたことに驚いていた。

「こんにちは。いらっしゃいませ」

どうされたんです?マ・ヘリさんもご一緒とは…。

そんな目でジョンナムはイヌを見た。

「これから、父に会いにいきます。マ・ヘリさんと」イヌが答えた。

「そうですか」

ジョンナムはまだ、戸惑ったようにヘリをチラチラと見ていた。

「今日もフリージアは入荷しています。こちらです」

そう案内しようとするジョンナムにヘリが声をかけた。

「シン・ジョンナムさん、その前に一言お礼を言わせてください」

「お礼?なんのですか?」

きょとんとして足を止めたジョンナムにヘリが頭を下げた。

「記念日のお花の花瓶はシン・ジョンナムさんから頂いたものだと、イヌから伺いました。
今は私の部屋で花を飾っています。とても素敵な花瓶をありがとうございました」

「あ・・・」

ヘリの言葉で、ジョンナムが、ようやく全てを悟ったような顔をした。

そして、目を見開いたまま、イヌとヘリの顔を交互に見つめた。

イヌが訪れて記念日の花束を買った日にジョンナムに言った言葉。

『大切な人との記念日に飾る花です』

そして、その後、ジョンナムがイヌにこう言っていた。

『いつかぜひ大切な人と一緒にお店にいらしてください』

…では、ソ弁護士の大切な人というのが…。

「…そうだったんですか」

やがて、ほおっと息をつくと、ジョンナムは目を細めて、優しく微笑んで頷いた。

…良かったです。本当に良かった…。

ジョンナムは、肩が触れ合う距離で一緒に佇むイヌとヘリの姿を感慨深めに見つめ、
無意識に、こみあげてきた温かい思いに胸をつまらせて、涙を浮かべた。

目の前にいる二人が、どういう経緯で、今のような関係に至ったのか詳しい事は分からなくても、過去の事情を知っているジョンナムにはここまでの過程が平坦な道で無かったことは薄々想像できた。

…お幸せに。

ジョンナムは、心をこめて、選んだフリージアの花を包むと、イヌに手渡した。

「ありがとうございました。また是非、お二人でいらして下さい」

「ええ」

ジョンナムに微笑みながら、そう答えて、イヌとヘリは肩を並べて、店を後にした。

仲睦まじく寄り添い店を出ていく若い男女の姿が、
店内のどの花よりも美しく見えたジョンナムは、イヌとヘリが見えなくなるまで
その背中を見送っていた。


助手席に、白いフリージアの花束と、サンテの作ったパンのはいった袋を膝に乗せたヘリが座ったイヌの車は、それからしばらくして、街の喧騒から離れた静かな湖についた。

周囲の木々は完全に紅葉し、落葉樹は、ハラハラと葉を散らせていた。
寒い時期ということもあって、人の姿はほとんど無かったが、
普段から観光地という場所でもないようだった。
ただ、湖の水面が風で静かにゆれて、木々の葉擦れの音色が微かに響いている、
佇んでいると、ホッと心が安らぐようなところだった。

イヌの実父、ソ・ドングンが生前好きだったという湖。

イヌは、ヘリを伴って、ドングンの遺灰を母親と一緒にまいた付近に歩いていった。

「こんにちは、父さん。来たよ」

湖を見つめてイヌが、フリージアの花を水辺の側に置いた。

「今日は、一緒に連れてきた人がいるんだ。父さんに紹介したくて」

イヌがそう言って、ヘリの方を見た。
そして、ヘリの背中にそっと手を置いて言った。

「マ・ヘリさん。僕の大切な人だ」

…イヌ…!

息をのんで、ヘリがイヌの横顔を見つめた。

『大切な人』

イヌが、自分のことをそう父親に紹介してくれた事に、
ヘリは、感動のあまり泣き出しそうになった。
しかし、グッと踏みとどまって、涙をこらえたヘリは、
息を吸い込んで、湖にむけて頭を深く下げた。

「お父さん。初めまして。
ソ・イヌさんとお付き合いさせて頂いているマ・ヘリです。
ご挨拶が遅くなって、申し訳ありません」

頭をあげたヘリが湖畔を見下ろした。

「息子さんには、常日頃からたくさんお世話になっています。
息子さんは、私の目から見て弁護士としてのお仕事も、優秀で、
何をさせても申し分ないくらい器用です。…ただ、ちょっと、時々、少し自信過剰なところとか、意地悪なところとか、人をからかって遊ぶ癖がある所が玉に傷です」

…ヘリ。

隣で苦笑しているイヌの気配を感じながらも、何食わぬ顔でヘリは続けた。

「でも、息子さん、ソ・イヌさんは、とても優しい人です」

きっぱりと言って、ヘリは微笑んだ。

…本当は、まだ付き合っている年月も短くて、
つい先日まで、初めて微妙な雰囲気の喧嘩もしてしまって、
まだまだお互いに、知らない所や、分かりあえてない部分も多いかもしれないけど。

これだけははっきり言える。
そして、これだけは、イヌの父、ソ・ドングンに伝えておきたかった。

生前、とても優しい人だったという、イヌの父親ソ・ドングン。
彼の背中を見て育ったイヌは、死別した後も、父にあこがれ、尊敬していた。

孤独に生きてきた人生で、どんなに辛い目にあって、傷ついても、
イヌが、『復讐』という道を選ばず、ただ、ひたすらに父親の潔白を証明する事に万進できたのは、イヌを支えた養父や親友のジェニーの存在があったからかもしれない。
でも、それだけでなく、ずっとイヌの中にソ・ドングンは生きていた。
自分の生き様が尊敬する父親に恥じないものでありたい。
そう、強く思い続けていたからではないか。

そんなソ・イヌをこの世に送り出して、育てて、自分に会わせてくれた
ソ・ドングンに、ヘリは、心から感謝の意を伝えたい。
そんな思いで、ヘリは、言った。

「私は、ソ・ドングンさんの息子のソ・イヌさんが大好きです」

ありがとうございます。お父さん。

ヘリは、もう一度、湖に向かって深く頭を下げた。
頭をあげて、湖水に目を落としたヘリの肩をイヌが手で抱き寄せた。
ヘリと見つめ合ったイヌの目元がうっすらと赤く染まっていた。

「…ありがとう。ヘリ。父に会いに来てくれて」

今父に言ってくれた事も嬉しかった。

「私の方こそ。お父さまの所に連れてきてくれて、ありがとう。イヌ」

大切な人だと紹介してくれて、嬉しかった。

微笑みあった後、
お互いの背中に手をおいて、寄り添いあって、
ヘリとイヌは、しばらくの間湖を見つめた。

そして、イヌがサンテから受け取ったパンを二人で、ちぎって
湖にまいた。

晩秋の光はやわらかく、ヘリとイヌを包んでいた。
イヌは、その明るさの中で、ヘリをまぶしそうに目を細めて見ていた。

…父さん。彼女がマ・ヘリだ。
会ってどう思った?

心の中で問いかけるイヌに、
父、ソ・ドングンがこう答えたように思えた。

“ああ、いつもお前の言っていた通りの女性だな。大事にしろよ。イヌ”

…うん。父さん。

マ・ヘリは、
この世の中で一番大事にしたいと思っている人だ。
そして僕にとって、彼女は・・・。

「イヌ、見て。あの魚すっごく大きくて綺麗なの」

ヘリのはしゃいだ声がイヌの意識を戻した。

パンの欠片をめがけて、湖の鯉たちが集まってきて、パクパクと食べていた。
その中でも、ヘリが指さした鯉は、ひときわ大きく、そして美しかった。

「父かもしれない」

イヌが言ってヘリに笑いかけた。

「ええ」

自分に向けられたヘリの優しい笑顔に、
更に温かい想いが胸に広がるのを感じて、イヌはそっと目を閉じた。

…誰よりも大切な人だ。

自分を大切に思ってくれている人に、
自分の大切な人を紹介できた。


その朝。

明るい陽光を反射してキラキラと、
ヘリの足の幸運を招く靴のような煌めきを放っていた湖の前。

イヌの父親ソ・ドングンにささげたフリージアの花たちが、
イヌとヘリを温かく見守るように、いつまでも優しく揺れていた。


(「大切な人」終わり)



登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

パク・エジャ…ヘリの母親
マ・サンテ…ヘリの父親

シン・ジョンナム…花屋の主人

ソ・ドングン…イヌの実父



イヌとシン・ジョンナムとのやりとり、記念日の花の話は二次小説「君の花」で。
ソ・ドングンの湖が出てくる話なので、検事プリンセスのドラマ13話を見直してました。
イヌの心情を思うと凄く辛いシーンです。
16話で、イヌに心から謝っているサンテのシーンがあるとはいえ、
そして、ヘリの父親とはいえ、ああいう過去があったわけだから、
そんな簡単に水に流せる関係では無い気がしました。
だから、そんな事を分かっているヘリもイヌに、湖に連れていって。と言うことが出来なくて、両親の所にイヌを連れていくことも躊躇っていたと考えました。イヌも同じように思っていたと思います。

お互いに、相手の事を気遣っての行動ではあったのだけど、
いくら最初はラブラブでも、ああいうことが(「試される絆」)、きっといつかはあり、
過去も含めて、いい部分もそうじゃない所も、自分をさらけださないと乗り越えられないことは出てきたのかな?とか思いました。

それで、ようやく、今回ヘリとイヌ。二人がお互いの親にしっかりと相手の事を『自分の大切な人』と紹介することが出来た、というお話です♪

「試される絆」のイヌのヘリへの約束も果たされましが、
まだ、未解決なことや、未遂の事(未遂って(笑))が残っているので、
この後の話は又、タイトルをかえて、続きます。
・・・でも、ちょっと(?)またお待たせすると思いますがご了承ください。

「大切な人」他、ブログや私への拍手、拍手コメントありがとうございます!
「試される絆」の後なので、久しぶりにほのぼのまったりした純愛物を書いた気がしました。
次回はどうなるか分かりませんが…(苦笑)

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「大切な人」2話です。

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この話は、シリーズでは「試される絆」の続編です。



大切な人(2話)




でかける準備の終えたヘリは、
イヌとマンションのエントランス前のベンチで待ち合わせた。

先に来ていたヘリに近づいてきたイヌは、ヘリの足元に目を止めた。

「その靴、昨日も履いていたな」

「ええ。気づいてたの?」

イヌが頷いた。

ジオベルニの靴。

ヘリとイヌが“初めて会った”スキー場のホテルのオークションで
ヘリが競り落とした『幸運を招く靴』

1年前サンテの会社が倒産した時に、ヘリが大事にしていた服やバッグや靴は
ほとんど失ってしまったようだったが、これだけは今でも持っていると言っていたもの。

…ほんとに、ずっと大切にしていたんだな。

昨夜は、気づいてはいても、精神的に余裕もなく、
靴の話をする暇も無かったイヌだった。

しかし、今日、ヘリの履いている靴は明るい陽光の下で、
縁起の良いまばゆい光をはなっているように見えた。

ここ一番大事な時や、特別な日に履いている、と言っていたヘリ。

その靴を昨日と、今日ヘリが履いている。

イヌの感慨深めにじっと見つめる瞳に、ヘリが照れくさそうに、足をなでた。

「今日は、あなたのお父様に会う大切な日だもの。
一番綺麗でいい靴を履いた私を見てもらいたかったの」

「そうか」

イヌは、ヘリの気持ちに胸がつまるような思いで、
何気ないあいづちを打つだけで精いっぱいだった。

…父さんは、その靴よりも、美しい君の内面をきっと分かってくれると思う。

そう、イヌは心の中でヘリに言った。

イヌが、ベンチに座っていたヘリに手を差し伸べた。

その手首に、自分が以前プレゼントしたブレスレットが
光っているのを発見したヘリは、嬉しそうにはにかんだ。
そして、ティアラの形の指輪をはめた手でイヌの手をとって、立ち上がった。

そのまま、エスコートするように、
イヌがヘリの手をにぎって、駐車場まで歩いて行った。


イヌの車に乗って、街についた二人は、繁華街の駐車場に車を停めると、
ヘリの両親、サンテとエジャのパン屋に向かった。

「いらっしゃいませ~っ…あっ…」

店の扉が開いて、第一声、エジャが元気のよい声と笑顔が二人を迎えたが、
イヌと一緒に入ってきたヘリを見て、こぼれんばかりに大きく目を見開いた。

「ヘリ…まあっ。イヌ君っ」

「おはようございます。お母さん」

イヌが、にっこりと笑ってエジャに頭を下げて挨拶した。

「おはよう。まあ、まあ、まああ~…」

エジャは、これは現実かしら?というような目で、
イヌの姿を顔から足のつま先まで眺めていたが、
その顔はとても嬉しそうで、興奮しきっていた。

「ママ、私もイヌも朝食がまだなの。
店でモーニングを食べていっていい?」

イヌに見惚れているようなエジャに呆れたようにヘリが苦笑して言った。

他の客も、ぽーっとイヌを見て突っ立っているエジャが邪魔でパンが取れずに困惑ぎみの様子だった。

「ええっ。ええ、もちろんいいわよ。ほら、あの席が空いてるから。
座って、座って」

エジャがあわててそう言って、ヘリとイヌをテーブル席の方に招いた。

「モーニングセット2つね。飲み物はどうする?」

「私は紅茶。レモンティーで。イヌは?」

「僕も紅茶を。ダージリンでお願いします」

「あら?イヌ君は珈琲じゃなくていいの?」そう問うエジャに

「僕は珈琲も好きなのですが、濃いめの紅茶も好きなんです」とイヌが答えた。

「そうだったの?じゃあ、濃いめのとびっきり美味しい紅茶をいれてあげるわね」

そう、ほくほくとした表情で愛想よく言って浮かれた足取りで去っていくエジャに
ヘリがあわてて声をかけた。

「ママ、私の紅茶も美味しく淹れてね」

もちろんよ~、とでも言うように、エジャはぽっちゃりとした手をヒラヒラと振ると、
厨房の方に入って行った。

浮かれたエジャの後ろ姿を見送ったあと、
ヘリは、ジッとイヌを見つめた。

「…あなたが紅茶好きだったなんて初めて知ったわ」

「そうか?よく部屋でお茶を一緒に飲んでいただろう?」

「飲んでいたけど、てっきり珈琲の方が好みだと思ってたから」

一緒に外でカフェに入る時は紅茶より珈琲を飲んでいる方が多い気がしたけど。

自分の観察眼が間違っていた?といぶかしがるヘリを
イヌが面白そうに、笑った。

「紅茶が美味しい店なら紅茶を飲んでいたよ。でも、そういう店は少ないから。
お湯にティーバッグをいれられただけの物にお金を出すくらいなら、珈琲を飲むよ」

「やっぱり味にうるさいのね」

ヘリは、呆れたような、感心したような顔で息をついた。

イヌと恋人としてつきあって、イヌの事をいろいろ知ったと思っていたが、
今回のことで、認識不足や、思い込んでいた部分もあったという事を悟ったヘリだった。

「…私、まだまだ、あなたのこと知らなかったのね」

そう、つい溜息と共にもらした呟きにイヌがますます面白そうな顔をした。

「僕のことに、そんなに関心があるのか?」

「当たり前でしょう?好きな人とつきあっているんだもの。
もっと、いろいろな事を知りたいって思うじゃない」

…初めての夜を過ごした次の日と同じような会話をしてるけど、
あの時より、今はもっとそう思うようになった。

臆面もなく、恥ずかしがるそぶりもなく、
本気でそう言っているヘリの気持ちがイヌにも伝わったようだった。

それでも無言で優しく微笑んでいるイヌの顔に、ヘリの方が照れて目をそらした。

「私、相手に教えてもらわないかぎり、聞かない主義だったけど、
あなたに関しては改めることにしたの。これからは遠慮なく知りたいことを聞くから」
…覚悟しておいて。

そう言うヘリに、イヌがニヤっと笑った。

「いいよ。受けて立ってやるから、まずは何を聞きたい?」

「じゃあ…」

ヘリは、チラリと、近くのテーブルでモーニングを食べている人のトレイの中を見た。

「ヨーグルトの中には、何をいれるのが好き?」

「そんなことが本気で知りたいのか?」

「まずは、こういうどうでも良い質問から答えてもらうわ」
…あなたの素直さを計らせてもらうために。

「砂糖?フルーツ?ジャム?はちみつ?それともプレーンで食べるのか好みかしら?」

失笑しているイヌにヘリがムキになって身を乗り出した。

「その日の気分によるな」

含み笑いを浮かべながらも、サラリとそう返したイヌに、
ヘリは、「そう」とつまらなそうに答えて、椅子に腰をおろした。

そこに、エジャがやってきた。

「ねえ、イヌ君。イヌ君は、ヨーグルトに何を入れたいかしら?手作りのブルーベリージャムなんておすすめなんだけど」

そう聞くエジャにイヌが頷いた。

「ええ、ヨーグルトにジャムを入れるのは好きです。それでお願いします」

あっけにとられて口をぽかんと開けているヘリを尻目に、
エジャににっこりとほほ笑んでそう返すイヌ。

エジャは、「かしこまりました」と
まるで思春期の少女が初恋相手を見るような笑顔をイヌに向けた。

そのまま立ち去ろうとするエジャに、ヘリが「私は、はちみつだからっ」とあわてて声をかけた。

そして、エジャが去ったあと、ジットリとした目をイヌに向けた。

「…何が、その日の気分なのかしら?“ジャムを入れるのが好き”ですって?」

「今日はジャムの気分だった」

しれっとそう答えるイヌに、ヘリがむ~んとした表情で頬を膨らませた。

…やっぱり、この男は…。

「…モーニングセットのパンは自分で好きなものを選んで購入するから、
とりに行きましょう」

そう言って、席を立つヘリに「OK」とイヌも続いた。

「私のおすすめのパンはね…」

トレーを持ったイヌを従えて、片手にトングを持ったヘリが、きょろきょろとパンの陳列を眺めていると、またもや、エジャがやってきた。

「イヌ君。今日のおすすめのパンはこれよ。あと、焼き立てのパンはこれ。
店の一押しで人気の商品はあっちの棚にあるからね」

ヘリとイヌの間に割り込むように入ってきて、ベラベラと話し出したエジャに、
ヘリが唖然とした。

「そうそう。私のおすすめはこれなんだけど…甘いパンはダメかしら?」

そう心配そうに、イヌの反応をうかがうように聞くエジャにイヌが、とびきり優しい笑顔を向けた。

「お母さんのおすすめなら頂きます。美味しそうだ」

「ええっ。美味しいわよ。ぜひ食べていってねっ」

飛び上がらんばかりの喜びようで、エジャが手をたたいた後、
鼻歌を歌いながら、厨房の方に去っていく姿をヘリは、もう無言で見つめていた。

イヌはエジャのおすすめパンを全部トレーに移していた。

「…律儀に、ママに義理だてしなくていいからね」

「いや、本当に全部美味しそうだから食べたいんだよ。それで君のおすすめパンはどれだ?」

「あれ…」

ヘリの指刺したパンもイヌはトレーにいれた。
そして、ヘリの食べたいパンものせると、トレーの上にはコンモリとパンの山が出来ていた。

「これ、全部朝食で食べきれるの?」

「食べきれなければ、持ち帰りにしてもらうさ。おやつでも夜食でも食べられる」

なんでもないように肩をすくめてみせるイヌにヘリが吐息をついた。

「…あなたのこと。何か知りたいって思ったら、ママに聞いてもらったら全部分かるかも」

小さな声でボソボソ呟くヘリに、イヌが「何か言った?」と聞きながら、
トレーを持ってレジに向かった。

誰もいないレジカウンターの前に行くと、中からサンテのブツブツ言う声が聞こえた。

「まったく、さっきからウロウロと落ち着きなくどこに行ってるんだ。あいつは。
厨房の作業もカウンターもほったらかしじゃないか」

そう言いながら、厨房の奥からサンテがカウンターにやってきた。

「すみません。お待たせしました。いらっしゃいま・・・」

白い調理着をはおったサンテが、カウンターの前に立っているイヌを見て、
ぎょっとしたように、目を丸くして固まった。

…ソ・イヌ!?

さらに、その後ろにいて、ひょこっと顔を出したヘリを見たサンテは、
目だけでなく、口もあんぐりと開けたままになった。

「おはよ。パパ」

「へ、ヘリ!」

サンテは、これは、夢なのか?それとも自分の目の錯覚だろうか、という風に、
ヘリとイヌの姿を交互に見たあと、エジャに助けを求めるように、厨房や店内をキョロキョロと見渡していた。

そんなサンテに、イヌが社交的な笑みを浮かべて会釈した。

「おはようございます。ヘリさんと一緒に朝食を頂きに来ました」

礼儀正しく挨拶するイヌに、サンテが「ん…うむ」と…とうなりながら、
白い調理着の首元を、まるでネクタイをゆるめているような手つきで摩った。


(「大切な人」2終わり 3に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

パク・エジャ…ヘリの母親
マ・サンテ…ヘリの父親


イヌ役のパク・シフさんが、インタビュー記事で、
「濃いめの紅茶が好き」と言ってたのを見たので、
ドラマでも家でお茶を飲んでたイヌもそうかと♪
みつばも紅茶派なんだよ!イヌ~!
一番好きな紅茶の銘柄は、
ラ・トゥール・ダルジャンのダージリン♪←最近市販で見ない(涙)

本日の小説は予約投稿です。
コメントなどのお返事は遅くなりますが、
よろしくお願いします。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「大切な人」1話です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話は、シリーズでは「試される絆」の続編です。



大切な人(1話)



「ん・・・」

朝のやわらかな光を浴びて、
ヘリはベッドの中で微かに身じろぎをした。

頭がすっきりとしていて、
ここしばらく無かった爽やかな目覚めだった。

室内でも冷え込むような季節になっていたが、
ぬくぬくとした布団の中は、暑いと感じるほどだった。

それに、ヘリは、布団というより、ほとんど別のものに暖められていた。

恋人…ソ・イヌの両腕がヘリの体をしっかりと抱き包み、
その両足も布団の中で、ヘリの足にからんでいた。

…イヌ。

ヘリは目を閉じたまま、そのイヌの体の感触を、
至福の思いでうっとりと感じていた。

イヌとこうして触れ合うことが出来ずにいた、この数週間の日々。

でも昨夜、お互いの想いを確認しあって、そして、今こうしている。

まるで、初めての夜を一緒に明かした日の朝のような、
くすぐったくて、嬉しくて、そしてジタバタしたくなるような
照れくささを感じていたヘリ。

ずっとこのままでいたい。

そう思いながらも、次第に、暑さと、自分を抱くイヌの腕の強さや、
足の重さに、ヘリは息苦しさを感じ始めた。

うっすらと目を開けて、見上げると、
すでに起きていたイヌの目と視線があった。

…一体、いつから先に起きて、こうして見られていたのだろう。

「…おはよう、イヌ」

「おはよう、ヘリ」

イヌが、目を細めて、ヘリに顔を近づけて、口づけした。

そして、ヘリを抱き包んでいた腕にさらに力をこめて、
ヘリの体を自らの方に引き寄せた。

キスは、優しく、やわらかなものだったが、
イヌの抱擁の強さに、ヘリは、苦しげに眉をひそめた。

「イ…イヌ」

「なに?」

ヘリの唇から口を離したイヌは、今度は、ヘリの頬の輪郭をなぞるように
唇を這わせた。

ヘリが当惑するほど、顔にかかるイヌの吐息も
かすれた低めの声にも熱がこもっている。

「朝の挨拶は終えたわよ?」

「そうだな」

そうだな、と言いながら、イヌはヘリの体を離そうとはしなかった。

そればかりが、ヘリの体を包むように抱いていた腕で、
檻のようにヘリをガッチリと閉じ込めているようだった。

「ふっ…あんっ!」

首筋から、耳たぶの後ろを、イヌに舌で舐めあげられたヘリが、
とっさに声を漏らして、ビクリっと体を震わせた。

「やっ…ちょっ…イヌっ!」

…やだ。まさか『その気』になってる?

想いを確かめ合ったとはいえ、
昨夜は、諸事情で、“何もしない”で一緒に眠りについたヘリとイヌ。

一晩明けて、

手の届く所に、相手がいるという満足感に浸っていたが、
この数週間の間の心の穴を埋めたいという思いはヘリにもあった。

しかし…。

「ちょっと待ってよ。まだ、朝なのよ?
昨日言ったでしょ?夜ならいいけどって」

まだ体が、“月の日”にかかっているから、
そういう事をするのはもう少し待ってって。

ヘリを愛撫する手や唇の動きを止めないイヌの
くぐもった声が聞こえた。

「心配するな。最後までしない」

「最後までしないって、どこまでするつもりなのよ?」

「・・・・・・」

ヘリのあせった声にもこたえずに、イヌは行為を続けるようだった。

…このままじゃ流されちゃう。

ヘリは、あわてて、必死に体をよじって手足をばたつかせた。

「イヌっイヌっ!私、トイレに行きたい。
すっごく今、トイレに行きたいのっ。だから離してっ」

さすがに、こういえば、イヌもやめてくれるだろうと思ったヘリだったが、
イヌは、全く動じないようだった。

「ここですれば?」

「はっ?・・・」

イヌの言葉に、一瞬、唖然として固まったヘリだったが、
すぐに、ハッと意識を戻して、激しく抵抗を再開した。

「やだっ。何言っているのよ!もうバカっ。離してってばっ。
離してくれないと、今度こそ別れるからねっ」

ピタリと、イヌの動きが止まった。


「…別れる?」

「あっ…」

そっと身を起こして、ヘリを見下ろしたイヌの
表情が凍りついていた。

「まだ、僕と別れたいのか?」

「ち、違うわっ!何言っているのよっ。
じゃなくて、まだって何よっ。もともと別れるつもりなんて無かったって言ったじゃないっ」

「君はウソをつけない性格だから、それが本心なのか?」

寂しそうに、伏し目がちになったイヌに、
ヘリは、いたたまれなくなって、あわてて、首をふった。

「だから、違うのよ、イヌ。
ほら、言葉のあやってあるでしょ?この前のもさっきのもそういう意味で。
売り言葉に、買い言葉って言うじゃない。私は全然っそんな事思ってないから。
イヌとずっと一緒にいたいって思っているからっ。
別れるなんて、冗談だからねっ。ねっ?」

だから、そんな顔しないで。

饒舌で、言い訳めいた弁解をするヘリを、チラリと
見たイヌは、たまらなくなったように、フッと口元をゆるませた。

…え?

ククっと、声を出して笑うイヌに、ヘリは茫然とした。

「こういう時、君は本当に面白いな」

楽しそうに笑って、顔をほころばせているイヌに、
今度はヘリの方が憮然となった。

「…意地悪。また、私をからかってたのね」

ヘリはイヌを一睨みすると、ぷいっと顔をそむけて、
自分の体を閉じ込めていたイヌの腕を両腕で力任せに押し上げた。

ようやく緩んだ、イヌの包囲網から逃れたヘリは、
体を反転させて、ベッドの外に転がり落ちるように出た。

熱いイヌの腕と布団から出ると、
暖房のきいている部屋の中でもひやりと感じる空気がヘリの体を包んだ。

それでもヘリは、わざとプリプリと怒った体で、トイレに向かって一直線に歩いていった。
そんなヘリの後ろ姿を、イヌがまだ口元をほころばせて、微笑ましげに見送っていた。

…意地悪するつもりも、からかうつもりも無かったんだが、
ああでもしてふざけないと、さっきの行動は止められなかったからな。

弁護士、検事としての立場で、同じ事件の担当になっただけでなく、
同時期に、些細だが、心が患うような出来事が重なってしまい、
ヘリと疎遠になっていた時間。

離れていて、腕に抱くどころか、顔を合わせることもできなかった日々が
永遠に続く冷たい暗闇のように感じられた。

『もう会わない』と言われて、

二度と、この腕に抱けないかとさえ、思った。

…再び戻ってきた君の温もりを確実に確信したくて、
そして、手離しがたいと思う気持ち。
少しは察してくれ。ヘリ。

微笑みながらも、イヌは軽い吐息をついて、
ヘリがいなくなった自分の両腕に目を落とした。

そして、ベッドから出ると、キッチンに向かって歩いて行った。

トイレから出たヘリは、そのまま洗面所に行って、
顔を洗って、イヌのいるキッチンに戻ってきた。

キッチンでは、イヌがセットしたコーヒーメーカーから
淹れたての珈琲をカップに注いでいた。

「お腹すいてる?」

カップを手渡しながら聞くイヌにヘリが首を振った。

「ううん。そんなに」

「じゃあ、外で一緒に朝食を食べよう。あいにく、最近冷蔵庫の中にろくな物を置いてなくてね」

料理をする暇もないほど忙しかったのか、
それとも、する気もなかったのか。そんな事を伺わせるイヌの言葉だった。

「いいわね。でも…」

ヘリが、湯気の出ている熱いコーヒーのはいったカップの
淵を指で、もじもじとなぞっていた。

「あなたは、今日仕事は無いの?」

最近ずっと忙しそうで、毎週のように休日出勤していたようだけど…。

「無いよ。明日も無い」

イヌがきっぱりと答えて、自分の珈琲カップを口に運んだ。

「どこかに行かなければいけない予定も無いの?」

そう聞くヘリに、イヌが苦笑した。

「それはある。覚えてないのか?昨夜約束したばかりだろ?
父の所に君と一緒に行く予定だ。それに、君のご両親のパン屋にも」

「ええ、もちろん覚えているわ」

あわてて頷いて、ヘリも珈琲を口に含んだ。

熱い珈琲をそそと2口ほど飲んだあとヘリは、
気恥ずかしそうに、首筋を手でかきながら目を泳がせていた。

「じゃあ、今日は一緒にいられるのね?」

「ああ」

イヌが頷いて、ヘリの方に手を伸ばした。

「今日も、明日の休日もずっと一緒にいよう。ヘリ」

キッチンカウンターの上で手を握られて、
提案ではなく、固い意志を持ったイヌの宣言に、ヘリの胸の鼓動が高まった。

「うん…」

照れた様子で、コクリと嬉しそうに頷くヘリに
イヌの胸もときめいた。

それぞれのカップの珈琲をすすりながら、飲み終わるまでの間、
ヘリとイヌは、カウンターの上でつないだ手を離さずに、
からめたお互いの指を弄ぶように、もじもじと動かし続けていた。


「朝食はどこで食べようかしら?」

「確か、君のご両親のパン屋はイートインが出来たよな?」

「ええ、モーニングサービスもあるわよ。
ミニサラダやスープ、ヨーグルトにドリンクがつくの」

「それにしよう」

「そ、そうなの?」

戸惑ったようなヘリの顔に、イヌが首をかしげた。

「どこか違う店に行きたい?」

「ううん。そうじゃないけど」

あわてて首を横にふったヘリだったが、
思っても見なかったイヌの決定に、戸惑いを隠せなかった。

一緒にサンテとエジャが営んでいるパン屋に行くと約束はしたものの、
まさかそこで食事までするなんて。

エジャはともかくサンテの反応がやはり気になってしまうヘリだった。

それは、昔の事件のわだかまりということは全く関係なく、
娘が男を連れて、働いている店に朝食を食べにくるシチュエーションに父親がどういうリアクションをとるのだろうか?という、純粋な緊張感からきている気持ちだった。

そんなヘリの思惑を、見透かしているはずのイヌだったが、
全く意に介していない態度で、「決まりだな」と勝手に話をまとめていた。

…イヌは、そういう意味では、気まずくないのかしら?

そう不思議に思いながらも、自分の両親の店にイヌが来て、
そして食事をしてくれるという事が嬉しいヘリだった。


イヌが飲んだ珈琲カップをかたづけた後、ヘリが立ち上がった。

「イヌ、私出かける前に一度部屋に戻るわね。着替えや準備もしたいから」

「ああ。用意が出来たら連絡して。僕の車で行こう」

「ええ、…あと、それと」

ヘリが、持ってきていたバッグの中に手をいれた。

「これ、返しておくわね」

「ん?」

イヌはヘリから手渡された物を不思議そうに見つめた。

それは、誕生日にヘリからもらって、昨夜使用した『ワンダーウーマン利用券』だった。

「これは、昨夜使用したから、効力が切れているだろ?」

ヘリが首をふった。

「イヌがその券を使う前に、私もちょうどあなたに会いに行こうと思っていたから、
昨夜は利用券を使用されたわけじゃないわ。昨日の件は無効なの。
だから、受け取って。次に使用する時までとっておいてちょうだい」

「いいのか?」

戸惑い気味に便箋を受け取ったイヌに、ヘリは「ええ」ときっぱり言って微笑んだ。

「分かった。いつか利用させてもらうよ」

イヌも微笑み返して、『ワンダーウーマン利用券』をヒラヒラと振った。

…でも、今度は、昨夜のような理由で、呼び出すために使用したくないけどな。
いや、絶対にしない。

イヌは、心の中でそう決意すると、
便箋を折りたたんで、そっとズボンのポケットにいれた。

「あと…これ、私の着替え」

ヘリは、少し恥ずかしそうに、バッグの中から自分の服と下着を数セット出した。

ここしばらく、イヌの部屋に泊まっていなかったため、
補充していなかったヘリの衣服だった。

「また、あなたの部屋に置いていていい?」

「もちろんだ」

イヌの返事にヘリは、気恥ずかしそうにうつむき加減で微笑んだ。
クローゼットの方に向かおうとしたヘリの手から、イヌが服をとりあげた。

「これは、僕がしまっておくから、君は部屋に戻って準備してくるといい」

「ええ、お願いするわ」

じゃ、あとで。

そう言って、玄関から出ようとしたヘリは、
何か思い出したように、後方のイヌを振り返った。

「あっ。忘れ物があったわ」

「なに?」

…とってくるよ。

そう言おうとしたイヌに、つかつかと近づいたヘリは、
のびあがって、すばやくキスした。

そして、顔を離すと、悪戯が成功した子供のような満面の笑顔をイヌに向けた。

「これよ」

“初めての夜”を一緒に過ごした朝に、部屋を去る前にヘリがイヌからされたこと。

にんまりと、得意気なヘリの顔にイヌも思わず微笑んだ。

…ったく。適わないな。君には。

苦笑しながら、ヘリの顔を手で引き寄せて、目を閉じると
イヌは自分から、もう1度ヘリに口づけた。

ヘリも、目を閉じて、イヌの唇を受け入れた。


これから二人、共に過ごす時間にときめいて、嬉しくて。

――― また、ずっと一緒にいよう。

まるで、新しい契約書をかわし、そこに判を押すかのように
ヘリとイヌは、お互いの唇を重ねていた。


(「大切な人」1終わり 2に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


「試される絆」続編は、
「大切な人」他、2話(2物語)+おまけ話の計4物語の予定です。

ひとまず、「大切な人」の1話更新♪


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こんにちは。みつばです。

旅行から戻ってきました。
今日は先ほど定期健診に行ってきました。
おかげさまで、順調のようです♪
私の体調も良いです。ただ、最近、体重が増えてきたので注意かな(汗)

旅行は秋の京都に行ってきましたよ♪好きなんですよ。京都。
紅葉はまだこれからって感じでしたけど、駅は観光客で
混雑してました。修学旅行生とかも多かったみたい。
みつば家は、毎回、同じ所に行って、同じお土産を買ってたりします。
子供が、生八つ橋が大好きで、すごく食べるんですよ。
あと、抹茶も。私も大好きだけど、今は飲めない(涙)


ブログお休みの間も来てくださってありがとうございます♪

コメントやメッセージ等、今日までのを読ませて頂いて、公開の方には
お返事書きますね。
もし、明日までに、返事がないよ。という方がいらっしゃったら
ご一報ください。

あと、検事プリンセス二次小説「試される絆」から、「検事プリンセスの二次小説INDEXを2」にいれようと思ってます。
小説のINDEXは、去年作ったもので、更新する時にやや手間になってきたので、新しく2をつくるつもりです。
一緒に、INDEXにある現在のシリーズより未来の話なども移行するつもり。
「月と泥棒」「夢桜」「温泉へいこう」
あと、「印」シリーズ等です。
INDEX2をつくった時にまたお知らせしますね。

今のところ「試される絆」は左帯の「最新記事」というところで、
過去30日の記事が蓄積されてタイトルが表示されるので、そこからリンクでいけます。

雑記やドラマ感想等はINDEXをつくってないので、「最新の記事」からなくなると、
記事が埋没してしまうのですが、カテゴリの中の「検事プリンセス」か「未分類」のどこかにあります。

まだ、全部のコメントやメッセージを読んでいないのですが、
感想や励ましなど、たくさん頂きましてありがとうございます。

明日、構成がうまくいけば、「試される絆」の続編を1話更新する予定です。

よろしくお願いします。

ついでに紹介。

↓リアルイヌ…でなく、パク・シフさん表紙の雑誌。


HOT CHILI PAPER Vol.73(DVD付)HOT CHILI PAPER Vol.73(DVD付)
(2012/10/26)
HOT CHILI PAPER編集部

商品詳細を見る



…写真はイヌではないですね。←パク・シフさんです。

でも、パク・シフさんが、「検事プリンセス」の事について語っている記事があるとか。
演じられたご本人の口から「イヌ」の名前が出てくるだけで嬉しい、
ソビョン病(イヌ愛)のみつば。

それでは、また。

小説の方は、休み休みになるかもしれませんが、
またブログを、今年続けられるかぎり、続けていきます。
よろしくお願いします♪

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「みつばのたまて箱」に来て頂いてありがとうございます。

検事プリンセス、二次小説シリーズ、
「試される絆」は、完全には終わっておらず、
タイトルをそれぞれ変えて、4話ほど続きますが、
・・・まだ書き上げてません。

3週間ほどあったのに、その間個々の話を構成してアップしつつ、
リアルの行事や仕事に追われて、終わってました(汗)

それで、さらに、
じつは、今日から旅行に行ってきます。

年末年始は、もう動けない体だと想定して、
毎年行っている旅行を早めて、ついでに、相方の実家にも顔を出す予定。

「試される絆」の時のように、連続更新できるか分かりませんが、
続編は書き上げてから、随時アップさせていきます。

できたらイラストや漫画創作も。

注文していた新しいPCが届いたのに、まだセットアップもできていないけど、
しばらく漫画描いてなかったので、また、絵を描く手が鈍っているだろうな。。。と思いながらも、4コマ漫画も再開したいです。

とりあえず、小説も続編1話は、それほどお待たせすることは無いと思うのですが、
おまけ話はいいとして(←いいの?)あとの2話は一気に更新したいかな…。

それで、二次小説を
ずっと楽しみにしてくださってる方には申し訳ないのですが、
また少しブログはお休みを頂きます。
すみませんが、もう少々お待ちください。


…で、ついでに。
どうでも良いですが、みつばが最近気になっている
韓国ドラマのタイトル覚え書きだけ。

「シークレット・ガーデン」
「キング」
「お願い、キャプテン」
「ラブ・ミッション」

シークレット・ガーデンとキングは、
ヒロインがハ・ジウォンさんです。
私、やっぱりこの女優さん好きなのかも。←今更。
綺麗で、強くて、可愛い。どの役もすごく魅力的に演じられてます。

「お願い、キャプテン」はミン・ジョンホ様♪…じゃない、
チ・ジニさんが出演されているので、気になってます。

でも、チ・ジニさんは、時代劇の役人姿や、王様姿、とにかく昔の韓服イメージが強かったので、みつばには現在姿が新鮮でした。

「ラブ・ミッション」はCMで気になっていて…。
とくに俳優さんの誰が?とかは分からないのですが、面白そうでした。

でも、おそらく、地上波で放送されないかぎり、
全部、とうぶん見ない(見られない)でしょう。

日本のドラマや、映画も見られずに録画たまっていく一方ですし。
そう…「赤と黒」は切りました(汗)
ドラマの中で、「コーヒープリンス1号店」で、みつばがかっこいい♪って思っていた店員さん役の俳優さんが、イヌの声(吹き替え声優さん)だったのですけど、内容が重くて、話についていけなくなりました。

他、気になっていた韓国ドラマも録画してちらっと見たのですが、
全部中止してしまいました。
今だに「検事プリンセス」以上にはまるドラマは出てきません。

あと、ドラマではないですが、

ソ・イヌ役のパク・シフさん関連記事掲載で表紙の雑誌が何冊か又発売されてますね。
表紙がイヌの写真じゃないので(←パク・シフさんです)買ってなかったのですが、
メッセージで、少し内容を教えて頂いて、検事プリンセスの事を語っているインタビューとか、あと、他のドラマ内容とかもあるそうで、心が揺れました。

パク・シフさんの専門誌の宣伝もあるようですよね。
専門誌ですよ。専門誌!!まるごと全部パク・シフさん。
ファンにはたまりませんね♪

…みつばは、イヌの専門誌が出たら、3冊くらい(読む用、保存用、予備用)買います(笑)

本日は、こんな雑記ですみません。

この記事が投稿される頃には旅行に出てる予定なので、
コメントや、メッセージのお返事は遅くなりますが、
帰ってきたら読ませていただきますね。

「試される絆」本当に、長い間(みつばの中では)ありがとうございました!!
コメントでも、いつも、私の体のことを気遣って頂きまして恐縮です。
安定して、体調が少し良くなったら、リアルでも周囲の人に心配されるほど、以前より動いているかも。でも、母子共に今は元気です♪

小説も、大人話以上の反応を頂けて、嬉しかったです!
苦心したのが報われた思いでした(涙)

また、近いうちに「みつばのたまて箱」でお会いしたいです♪


みつばのたまて箱 管理人 みつばより。



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「試される絆」21話(最終話)です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。
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この話は、シリーズでは「願い花」後の最新作になります。



試される絆(最終話)




「私の承諾が必要?」

わざと、意地悪く言ってみるヘリの本心を見抜いて、イヌは、薄く笑った。

「一応聞いてみた」

ヘリが、たまらずに笑った。

「一度自分の部屋に帰らせてちょうだい。
後であなたの部屋に行くから」

「風呂なら、僕の部屋で入ればいいだろ」

つかまえていないと、また離れてしまうかもしれない。
今はこのまま一緒にいたい。

素直にそう伝えてくるイヌが、どこか新鮮で、不思議だった。

…でも、嬉しい。

ヘリは、柔らかく微笑むとそっと体を離した。

「後で必ず行くから。だから待っていて」

「2時前には来るんだぞ」

「ええ」

「約束」
そう言って、小指を差し出すイヌにヘリが笑って自分の小指をからめた。

そのまま手をつないで、ヘリとイヌは、駐車場までの道を歩き、
ヘリの車の前で、つないでいた手を名残惜しそうにイヌが離した。

「じゃあ、部屋で待っているから」

「うん」

ヘリは車を発進させて、バックミラーで自分を見送るイヌの姿を確認した。
アクセルを踏むヘリの足元で、幸運の靴にちりばめられたスワロフスキーが輝いていた。

公園に来る時と違って、ヘリの心は晴れやかだった。

マンションの自室についたヘリは、シャワーをあびて、身支度を整えた後、
イヌの養父が送ってくれたワインを持って、イヌの部屋に向かった。

チャイムを押すと、イヌがすぐに扉を開けた。

部屋着に着替え、半乾きの髪の毛のイヌの体から微かに立ち込める懐かしいシャワージェルの甘い香りに、ヘリは思わず息を吸い込んだ。

「こんばんは。遅い時間だけど、お邪魔していい?
明日朝早い仕事がなければいいんだけど」

「無いよ」

イヌが言って、大きく扉を開けた。

「どうぞ。入って」

わざとらしく、社交辞令的なぎこちない会話をしながらも、
ヘリとイヌは顔をほころばせていた。

「おじゃまします」

ヘリは、久しぶりに入るイヌの部屋をきょろきょろと珍しげに見渡した。

「変わったことは何もないよ」

イヌが言った。

「ああ、寒くなったから布団は厚めの物に変えたけど」

ヘリは、チラリとベッドに目をやった後、
キッチンの方に歩いていった。
そして、ワインボトルをキッチンカウンターの上に置いた。

「寝る前に、お酒を一緒に飲まない?
先日とってもいいワインをアメリカから送って頂いたから持ってきたの」

「アメリカから?」

不思議そうに首をかしげて、ワインラベルを見たイヌが驚いて目を見開いた。

イヌの養父の友人の所で作られている、
市場では入手困難と言われている貴重なワインだった。

「ヘリ、これって…」

「ええ、あなたのアメリカにいるお父様が私に送って下さったの」

「とうさんが、君に?」

ヘリがコクリと頷いて、勝手知ったるイヌのキッチンカウンターから
ワイングラスを2つと、ワインオープナーを取り出した。

「息子をよろしくお願いしますっていうご丁寧なお手紙と一緒に。
イヌのお義父さまって本当にいい方よね」

「うん…」イヌがうなずいた。

養父がこれをヘリに…。

イヌは、まだ驚きから覚めないような目で、
ワインボトルを見つめていた。

「ジョン・リーさんって…でも韓国人よね?名前が…」

「国籍はアメリカだけど、外見は韓国人だよ。生まれも育ちもアメリカだったけど、両親は二人とも韓国人だったらしい」

「そうなの。身長はどのくらい?」

「僕より5センチくらい低いかな。義父は今でも同じくらいだっていいはっているけどね。高校生の時には抜いていたと思う。でも、どうしてそんな事を知りたいんだ?」

いきなり身長を聞くなんて。

イヌが不思議そうに聞いた。

「あ、別に」ヘリが焦ったように手をふった。

「イヌはアメリカでお義父さまに私の写真を見せたことあるのよね?」

「…見せたというより、見られたかな」

イヌが苦笑した。

1年前アメリカにいた時、住んでいたアパートを訪ねてきた養父に、
ヘリの昔の写真を見られたことがあった。

「お義父様は私の顔を知っていらっしゃるけど、私はイヌのお義父様の姿を知らないから知りたいなって思っただけよ。写真は持ってないの?」

「持ってないな。そういえば、ここ最近は撮って無かった」

「そう…」

ヘリは、コルクをあけたワインをグラスに注いだ。

「もちろん、お手紙も書くけど、いつか直接会ってワインのお礼を言いたいわ」

…それにしっかりとご挨拶もしたい。

そう言ったヘリにイヌが頷いた。

「そうだな。近いうちにアメリカに会いに行こう」

「うん」

「その前に…」

イヌが、グラスを受け取ると、じっとヘリを見つめた。

「韓国の父さんに君を紹介したい」

ヘリがハッとなって、イヌを見やった。

「明日、一緒に行かないか?父さんのところに」

韓国でなくなったイヌの実父。
その遺灰をまいた湖に、ヘリを連れていきたい。

イヌはそう言っていた。

「行くたびに報告はしていたけどな。父さんにはつきあっている人をちゃんと紹介しておきたい。もし、君の都合が良かったら」

「ええ、行くわ」

ヘリは、イヌが話し終えるか終わらないうちに即答した。

「あなたと一緒にお父さまに会いに行きたい」

…イヌがそう言ってくれるのをずっと待っていた。

ヘリは、思わず涙ぐみそうになるのをグッとこらえた。

「ご挨拶が遅くなっちゃたこと。お父さまが怒っていなければ良いのだけど」

「父は優しい人だから、そんな事で君に腹はたてないよ。
むしろ、僕が怒られるな。彼女を連れてくるのが遅いって」

わざと顔をしかめて、肩をすくめてみせるイヌにヘリが笑ってグラスを掲げてみせた。

「乾杯する?」

「ああ」イヌもワイングラスを掲げた。

「えーっと。ワインを送って下さったジョン・リーさんに感謝と。
あとは、今後の私たちの前途を祝して…でいいかしら?」

「ここから、また始めよう」

「うん…」

見つめ合って、ヘリとイヌはグラスを重ねた。


「乾杯」

そう言って、ワインを口に含んだ二人は同時に目を見開いて
感嘆した。

「美味しいっ」
「うまいな」

まるで、ずっと暗闇を歩いていたようだった、この数週間の日々。
それが嘘か、長い悪夢だったかのように、
ヘリとイヌは朗らかに笑い合って極上のワインを飲んだ。

「明日、いつごろ出発する?遠い?」
イヌの父親が眠る湖は。

「いや、そんなに遠くはない。だけど、行く前に寄りたい所がある」

「どこ?私も一緒に行っていいところ?」

そう首をかしげるヘリにイヌが頷いた。

「もちろん。一緒に来てもらうつもりだ。
君のご両親が営んでいるパン屋さんに」

ヘリのワイングラスを持ち上げた手が止まった。

「…あの時、私が言ったこと覚えてたの?」

『今度、うちのパン屋に一緒にパンを買いに行かない?』と言ったことを。

イヌが、また頷いて答えた。

「君におすすめのパンを紹介してもらう約束だったな。
父にも食べてもらいたいから、それを一緒に買いに行こう」

「でも、イヌ、私、あなたは…」

ヘリは言葉につまった。

今まで胸の奥につかえていたものが一気に噴きだしたかのように、
ヘリは、今度こそ抑えきれない涙を目に浮かべていた。

“ああ、いつかな”

確かにイヌは、あの時そう言ってたけど。

「もう眠そうだったから、聞いて無かったと思ってた。
それに…それに、イヌは、ずっと…」

表面上はどうあれ、イヌは本心では、父サンテに会いたくないと思っていた。

だからこそ、家に交際宣言をしに来てくれたことがすごく嬉しかったのだけど、
こんな風に、普段の日に、一緒にパン屋に行くと言ってくれるなんて…。

「ずっと…」

もう、何が言いたいのか自分でも分からなくなって、
それ以上に、こみあげてくる感情に押されるように、ヘリが静かに涙を流した。

そんなヘリをじっと見つめた後、
イヌが立ち上がって、キッチンカウンターをまわりこむと、
ヘリの側に立って、座ったままのヘリを両手で胸に引き寄せた。

「僕は約束したことは守るつもりだ。父さんがそうだったように。
信用できない男でも、それだけは約束したい」

密着した体から直接響くイヌの落ち着いた声と言葉が
ヘリの心にじかに届いた。

それで、離れる前にヘリが言い放った数々の言葉で、
イヌが傷ついていたことが分かったヘリだった。

仕事のことをプライベートにまで持ち込んでしまった。
それに過去のことで、苦しんだのは自分だけのような言い方で、
イヌにさんざんやつあたった。
それでも、イヌは冷静そのものだったのに。
「もう会わない」という言葉だけに、激しい動揺を見せた。
そして、

『そんなに僕が信用できない?』

そう言って、すごく悲しそうな顔をしていた。
あの表情だけでも、イヌの本心は分かったはずなのに…。

誰よりも、信じてもらえない辛さを知っている人なのに。
そんな人にひどい仕打ちをしてしまった。
自分ばかりが悩んで傷ついていると思い込んで。

…ごめんね。イヌ。ごめんなさい。
取り消せるものなら、あの時に時間を巻き戻したい。

「イヌを信じるわ」

ヘリがそう言って、ギュッとイヌの体を抱きしめた。

「イヌは約束を守る人だって、信じる」

この先、

ずっと自分を愛してくれる、という約束が欲しい。
そんな『束縛』めいた妄執にとりつかれてしまうかもしれない。

だけど、今は、こうして、つきあって、一緒にいる時間を
大切にしていこう。


「…ありがとう」

ヘリを抱きしめる力を強めながら、
小さくつぶやいたイヌの声も低くかすれていた。

相手が愛おしくて、こうしていることが嬉しくて、
いつまでも抱きあったまま、体も心も溶け合ってしまいたい。

ヘリとイヌはそんな思いでお互いを抱きしめあっていた。

ここ数週間、すれちがった想いがつながった事を
もっと強く確認したい。

そんな熱い思いもこみあげてきたイヌは、ヘリからそっと体を離した。

「さっき公園で宣言したことを実行していいか?」

『部屋に帰ったら君を抱きたい』

「ん…。あのね」

すっかり濃厚な甘い空気に包まれて、

真剣なイヌの熱いまっすぐなまなざしに
ヘリは、眩暈を起こしそうなほどドキドキしながらも、
気まずそうに手で頬をかいていた。

「今夜は、ダメなの」

「ダメって?」

すぐに不満げな顔になったイヌに、ヘリがあわてて手を振った。

「嫌って意味じゃなくてね、その…、まだあの日なの」

あの日…女の子の月の日。

意味が分かったイヌが、軽く息をついた。

「僕はかまわないけど」

そう答えたイヌに、ヘリは目を丸くして、首を勢いよく横にふった。

「私はかまうわ。久しぶりなのに、あなたに恥ずかしい所を見せたくないっ」

冷静に聞けば、十分恥ずかしい事をヘリは言っていた。

「今夜は、そういうことで駄目なの!」

…私だって、残念だと思ってるけど、
こればかりは譲れないもの。

懇願するように、頭を下げるヘリに、
イヌが苦笑しながらも溜息をついた。

そして、ヘリの腕をつかんで、椅子から立ち上げると、
そのままベッドの方に歩いていった。

「イヌ」

内心おろおろしながらも、
イヌになし崩しに押し切られたら、その時はしょうがない。

そう、ドキドキしながら、イヌに誘導されるまま
ベッドの中にはいったヘリ。

イヌはそんなヘリの傍らに横になって布団をかけた。

「仕方ないな」

残念そうだが、心を決めたようなイヌの声が聞こえた。

「今夜はこのまま寝よう。ヘリ」

「う、うん」

ヘリは、腕枕をされて、やわらかな布団の中で、イヌの体に抱き包まれた。

少しひんやりと感じたベッドシーツが、すぐに自分を抱くイヌの体温で熱いくらいになっていくのをヘリは感じた。

身体を重ねなくても、
今、こうして、イヌに布団の中で体を抱きしめられているのが
とても心地良く感じられたヘリだった。

…私は十分満足だけど…。

ヘリは目を閉じているイヌの顔をおそるおそる見上げた。

「イヌ…したかった?」

率直に聞くヘリにイヌが目を開けて、苦笑いを浮かべた。

「早く寝ろ。さもないと、前言撤回で行動にうつすぞ」

「明日なら大丈夫だからね。あ、明日って言っても0時過ぎてるから、今日なんだけど、次の夜頃って意味だからね」

あせったように言って、体を離そうとするヘリを
イヌが腕で引き戻し、固く抱き包み直した。

「冗談だ。寝込みを襲わないし、無理強いもしないから安心しろ。
あ~、僕も、物好きだよな。こんなにやきもきさせる女と付き合っているなんて」

「でも、そんな私が必要なんでしょ?」

悪戯っぽく、にやつきながら聞くヘリをイヌが軽く睨んだ。

「前言撤回なんて言わないでね。あなたの言葉は、もうマ・ヘリのヘッドバンクに記憶されちゃっているんだから」

「…僕の弱みを握ったような態度だな、ヘリ。いい度胸だ」

「脅したって、ダメなんだからね。今回のことで、分かったんだもの」

ヘリが嬉しそうに言った。

ソ・イヌという人間が分かったわけじゃない。
やっぱり、不可解な男なんだもの。

そうじゃなくて、

イヌは私を愛してる。

たぶん、私が今まで思っていたよりずっと。

そして、私も。

ヘリは思った。

「私もソ・イヌが必要だって」

たとえ、この先、付き合っていて、
今回のようなすれ違いや、障害や問題がおきて、
これまで築き上げた絆を試されるような事があっても。

仕事も、結婚ということも、恋愛も、まだまだ先は見えないけど。

『僕たちなら乗り越えられる』

公園で、イヌが言ったこと。

それが分かった。

「・・・・・・」

ジッと自分を見つめるイヌにヘリは目を閉じた。

そして、唇に柔らかい感触が落ちてくるのを、静かに待った。

優しい、優しいキスだった。

まるで、初めて恋人にするような口づけ。

もう幾度も、キスをしていたけど、
それは、ヘリとイヌが再会してから初めて交わしたキスに似ていた。

唇を離したイヌが優しい声で言った。

「…もうじき2時だ。明日の予定のためにも今夜はもう寝よう」

「ええ、久しぶりに熟睡できそうだわ」

そう、うっとりとした表情で言ったヘリにイヌが微笑んだ。

…僕もだ。

これからますます寒さが厳しくなる季節になっていく。
しかし、今、厳冬期を越えたようなヘリとイヌの心は温かいもので満ちていた。

お互い話したいことは山ほどあった。
言いたいことも。聞きたいことも。確認しておきたいことも。
だけど、今はこうして眠りたい。
この愛しさと安らぎに包まれて。

おやすみ。愛する人。
また明日――。


至福の表情で、布団の中で抱き合って

次に目覚めてからの二人一緒に過ごす時間を
心待ちにしながら、ヘリとイヌは同時に目を閉じた。



(終わり)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


「試される絆」完結です。

今回、純愛シーンはありましたが、二人の大人のラブシーンが
1つもありませんでした。ラストの仲直りHも諸事情でできませんでしたし。
だから余計に書いている方も長く感じました。

でも、もちろん、これで終わりませんよ♪

ラストでイヌとヘリ仲直りしましたけど、
いろいろ、未解決で終わったので。

「試される絆」はほとんどヘリ視点で書いてたので、
イヌはどう思っていたのか?とか、
ヘリは仕事のことをどうするのか?
イヌとぶつかった事件もどう決着をつけたのか?とか。
結局、ペク・ユンスとの事は?ジェニーの件は?とか、
イヌがヘリにした約束は実行されたのか?とか。
仲直りH(笑)は?とか。

タイトルは変わりますが、この後、続編話とおまけ話が4話ほどあります。
それらはその中で、じっくり(?)と…の予定です。
じらしているわけでなく、ラスト1話(1夜)では書ききれないので。いろいろ。

そして、いつか「あとがき」で「試される絆」の
言い訳やら、裏話などもボソボソと。。。

ひとまず、
ここまで読んで頂いて、ありがとうございました!
シリーズ話、ずっと待って頂いてありがとうございました。
次作もお待たせするかもしれませんが(汗)まだまだ続く予定なので、
これからもよろしくお願いします♪

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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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