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正直に書きますけど、(いつも正直に書いているけど)
私、検事プリンセスのソ・イヌ役のパク・シフさんの生声ももちろん好きなんですけど、
吹き替えの人の声もかなり好きなんですよ。。。

イヌの声がこの方で良かった~♪…最初はどなたか分からなかったけど←失礼。

それで、ちょっと調べてみました。
この吹き替えの声優さん、他にどんな声をされているのかな?って。

お名前は中川慶一さん。

韓国ドラマの吹き替えもかなりされているようですが、
うーん…見たことない。

アニメもちょっと見てない。

唯一。おっ!?と思ったのが

「トワイライト」のジャスパー。

みつばが、はまった原作小説の映画化版で吹き替えされてます♪

「トワイライト」ってどんな話?と知らない方のために
さらっとあらすじを。

ある街に父親と一緒に引っ越してきた主人公の高校生の少女ベラ。
転校した高校で、ベラは、ある不思議な兄妹達に出会った。
その中の一人の少年エドワードが何故かベラの事をいつも見つめていて、ベラも彼の存在が気になる。
冷たくしたかと思えば、優しくしたり、…エドワードの態度に困惑しながらも彼に惹かれていくベラ。
そんなある日、エドワードに命を救われるベラだったが、彼の異常な“能力”を目の当たりにして…。

…という風に始まる。

ヴァンパイアと、人間の恋物語です♪

海外の小説家の作品ですが、日本でも訳されていて、
最後、満足する所まで書かれていますが、続きもありそうに終わってます。
原作者さんがこれで終わりにするなら、二次創作が出来そうな感じです。いろいろ(笑)

ヴァンパイヤと人間の恋というと悲恋という感じがしますが、これは安心して(?)ロマンスにどっぷりとひたれます。
ベラとエドワードだけでなく、エドワードと生活を共にしているヴァンパイヤの兄妹達やベラに想いを寄せる年下の狼男君も魅力的♪

小説で読んでいて、テレビ放映の時に映画を見たのですが、
ベラや他の兄妹達、親がわりのカレン夫婦、etcイメージが結構ぴったりだったのですが、
エドワードがちょっと、違ったかな(汗)

でも、見てるうちに、エドワードも素敵に見えてきました。
ええ、素敵な男優さんだと思うのですけど。
小説を実写化すると、どうしても妄想で思っていたものと違う事ってありますよね?

…と、脱線しましたが、

そうそう、肝心のジャスパーですよね。
吹き替えがイヌの人の(笑)

ジャスパーはエドワードと兄弟のように一緒に暮らしているヴァンパイヤの一人で、
自分をコントロールする事が難しい人という役柄です。

エドワードが所属するカレン一族は、人間の血を吸わない、いわゆるベジタリアンなヴァンパイヤの集団。

ジャスパーは、まだその誘惑から完全に自分を抑える事が出来ない時もあるみたい。
そうでなくても、かなり静かな性格(笑)

小説でも、最初の方、あれ?ジャスパーって話したことあった?な感じになってました。

それで、

じつは、「トワイライト」はテレビ放映した時の録画を残していることを思い出して♪
さっそく、見直してみました。

イヌ…じゃなくて、ジャスパーの話すところをね♪

ワクワクしながら、テレビをつけたら、

そうしたら…。

あ、「吹き替え版」じゃない(汗)
そして、トワイライト2「ニュームーン」の録画は…?と見てみると、吹き替え版だったけど、ジャスパーが出ているシーン録画されてない。何かとかぶっていて前半とれてなかったみたい(涙)

DVDの吹き替え版でされているようなので、
続編、映画トワイライト「エクリプス」「ブレイキング・ドーン」の方でもされてるはず…。
いつか見られる機会があれば吹き替えで見ようと思います。

とくにジャスパーの所を耳そばだてて。

最近、とくに会いたい芸能人とか有名人の方が、全くいなかったのですが、
(パク・シフさんには会いたかったけど)
イヌの吹き替え声優さんに会いたい~!と思いました♪


ほんっとに、(ソ弁護士)ソビョン病もここまで来ると本当に病気かもしれませんね(笑)


今日は、そんな感じで、イヌの日本語の声から、おすすめ映画と小説のご紹介でした♪

↓イヌの声の人、チェックしてみる?(笑)


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クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン 他

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日本語訳で小説も全巻出版されてます。

単行本と文庫本で。

単行本は、綺麗なコミックタッチ(私はこの人のイラスト好きですけど)の挿絵つきですが、キャラクターのイメージを純粋に妄想したい人は挿絵無しの文庫本で読むといいかもです♪


(追記)

…ソ・イヌの吹き替え声優さんのブログを拝見させて頂いたら、
映画「トワイライト」3の「エクリプス」では、ジャスパーの出番が多いとの事。
ええ~!?ちょっと絶対見なくっちゃ!じゃない、聞かなくっちゃ←(苦笑)


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先日書いた検事プリンセス二次小説の「僕を見つけて」のあとがき雑記です。


イヌの前世が「王女の男」のスンユかどうかは小説の中で明記しなかったし、ヘリがセリョン?とも書いてませんが、スンユに関しては、ストーリーのせいか、イヌの時代劇版に見えてしまってしょうがなくて、こんな話を。
でも、イヌに2度にわたる人生でこんな悲しい事を繰り返して欲しくない…とも思ってます。


「王女の男」の結末に関して。

私は、あれで良かったように思いました。
あれってどれ、な感じですけど。
もともと、史実をもとに作られたドラマのようですから。

小説も出版されているようで、(日本語訳はこれから?)
ラストの過程までをどういう書かれ方をしているのか分かりませんけど。
スンユとセリョンの物語は、しっかりラストまで描かれていたように思います。

でも、時代背景が違うので、比べる事もおかしいですが、
「検事プリンセス」の終わり方も良かったと思いました。

「検事プリンセス」は、
イヌとヘリが再会出来て、その後は視聴者の方のご想像で♪…という感じだったので、
「はい、勝手に妄想してます」(笑)という風に、私は続きをこんな二次創作しちゃってますが、その部分を含め、愛し合う者同士が手をつないで一緒に笑っているというシーンが良かったです。

それと同じくらい良かったと思えた場面が、

イヌとサンテの再会シーン。

サンテがイヌに、
「本当に悪い事をした。すまない」と泣いて謝るシーン。

16年前の事件のことを本当に反省して、イヌに心から謝るサンテ。

「王女の男」のように、直接手を下したわけではないけれど、
イヌの家族の人生を狂わせてしまったのは事実。

そして、イヌとヘリとの事を認めた場面。

あれがあったら、心おきなく、二次創作する事も出来ました♪


「僕を見つけて」は、もともと、「王女の男」を知ってから、勝手に妄想していた話なのですが、最近、実際にみつばが、占い師では無いのですが、スピ系(スピリチャル系)の人に会って言われた話もあって、タイミング的に今書いておこうという感じで♪

前世という言い方はされなかったけど、「インディアン…南米にいたね…」

と唐突に言われました(笑)

私が教えて、と聞いたわけじゃないのよ。占いをしにいったわけでもないけど。
たまたま友人の知人で出会った人なんだけど。

「それか、モンゴル…とか、とにかく何もないとても広い大地の上で遊んでいたね」

雄大だな~…今の私は出不精で、どちらかというとインドアな性質なんだけど。

見た目で言われたんじゃない事は確か。自分で言うのもなんですが外見もとっても大人しめの印象(笑)


雰囲気はちがっても、本質の魂の色は変わらないんでしょうか?

よく分からないけど。


検事プリンセスのイヌだって、前世とか現世とか運命とかは結局どうでもいいんでしょうね。

今、ヘリと一緒にいられる幸せが大事♪
それで十分です♪


…ということで、


「検事プリンセス」時代劇バージョン(シリアス度が増してますが)
「王女の男」カミングスーンですね♪・・・って他の所で放送していましたよね。



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↑韓国語のフィルムブックらしいです。

・・・たぶん、いつか日本語訳版も出版されそうですけど。
今のパク・シフさんの勢いなら、ありえます。

名シーンをフィルムコミック形式で見られるのは嬉しいかも。


ところで、どうしてテレビ放送では「姫の男」から「王女の男」になったのでしょう?
なんとなーく、私は「姫の男」の方が好きだったのですけど。何か問題でも?
微妙な言い回しの違いですけど。



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とにかくすごく眠い。そしてすぐ空腹になる。
活動時間が短い。やっぱり子供みたいになってます(笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「僕を見つけて」(後編)です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

イヌ役パク・シフさん出演、「王女の男」(姫の男)BSNHK放送直前記念話の
短編です。「プリンセスの男」に続いて、コラボ二次小説第二弾。

(注意)「王女の男」のネタばれが含まれています。

あらすじや、前評判を全く知らずに見るのを楽しみにしている方は
ご注意ください。




僕を見つけて(後編)





「あなたは…」

占い師の声が少し低くなったように感じた。

「前世も…とてもハンサムでスマートな男性でした。教養も知識も武術も、人よりすぐれていて、そして、女性にも大変もてていた」

占い師の紡ぎだされる言葉に、イヌは、心ならずもうっすらと微笑んでいた。

…前世とはいえ、これだけいい男だと言われると悪い気はしないな。


「貴族で、家柄も良かった貴方は不自由することなく暮らしていた…でも、ある時
大きな事件が起きた…貴方の父親が、ある者の手によって殺されて、貴方も地位を追われる身の上になる…」


ドラマチックな展開になったと、のんびりと思っていたイヌだったが、
父親…というくだりで、眉をひそめた。


「貴方は父親を殺した犯人に復讐を誓って、身を潜めて生きている。
ただ、その目的には大きな障害と困難があった。…貴方の愛した女性が犯人の娘だった」

ここまできて、イヌは目を閉じたままの占い師の顔を睨みつけるように見つめていた。


…この話は…。


「貴方は何度も選択を迫られる。犯人への復讐を取るか、それとも、愛した女性への想いを取るか…葛藤を繰り返して貴方は…」

「これは前世じゃない」

占い師の話をイヌが低い声で静かにさえぎった。

「あなたの言っている話は僕の前世なんかじゃない」


…そうだ。これは、今の僕自身の話だ。


無実の罪をきせられて、獄死した父親の汚名をそそぐため、
マ・サンテの罪を暴く為に、その娘マ・ヘリに近づいた僕の今の人生。

「この話のオチなら知っている」

イヌが言った。

今、外で自分を待っている女性。
誰よりも愛しい恋人…マ・ヘリが自分の側にいる。

いろいろな事があったが、それがこの話の結末だ。


イヌは椅子から立ち上がった。

「ありがとうございました。もう僕の時間は終わりです」

そう言って、イヌは占い師の部屋から出て行こうとした。

「待って」

占い師がそんなイヌを引きとめた。

占い師を振り返ったイヌのこわばった固い表情に、占い師は気の毒そうな顔をしていた。

「…どちらにしても本当にお辛かったでしょうね。
でも、どんな時代でも、どんなに同じ事が繰り返されたとしても、貴方には分かっていらっしゃる。貴方にとって一番大切なものが何かを。そして、貴方はその気持ちを忘れたりはしない。貴方が愛した人も同じはず」

謎かけのような占い師の言葉にもイヌは瞬き一つしなかった。

「『生まれ変わっても、僕を見つけて』そう言って、貴方は、愛する人とずっと共にいることを望んでいた。その心は相手にもしっかりと通じていますよ」


―― その方と未来永劫お幸せに。


最後にそう、祝福のような言葉を続けて、
占い師は、「さようなら」と、イヌを送りだした。

パタン…。

イヌが占い師の部屋を出ると、ヘリが駆け寄ってきた。

「どうだった?」

「…話は後でしよう。君の時間がもったいないから部屋に入った方がいいだろう」

「そうね。じゃあ、後でね。イヌ」

そう手をふって、ヘリが部屋の中に入って行った。

「・・・・・・」

イヌは、しばらく部屋の外の椅子に座って、ヘリを待っていたが、
占いの終了時刻まで周辺をぶらつくことにした。


占い師がイヌに言った話は、前世だと言いながら、今のイヌの人生に酷似していた。
前世を視るといいながら、占い師はイヌの過去を見ていたのだろうか。

…だとすれば、ヘリの言っていた通りに“当たる”占い師なのかもしれないが…。

ぼんやりとそんな事を考えながら歩いていたイヌは、いつのまにか占い師の部屋から遠く離れたところまで来ていたようだった。

…いけない。もうヘリの占いの時間が終わっている。
部屋を出たヘリが不安になっているかもしれない。

イヌは腕時計を見ると、あわてて、引き返そうと踵を返した。

その時、

「イヌ!!」

ヘリの声がして、向こうからヘリがこちらに駆けてくるのが見えた。


「ヘリ」


ヘリが一直線にイヌの方に走って来て、
勢い余って転びそうになった体を、イヌがとっさに腕の中に抱えた。

イヌの腕の中で、ヘリは走った後の荒い息を整えていた。

「もう。外に出たらいないんだもの」

「よく見つけられたな」

部屋から随分と離れた場所にいたのに。

「だって」

顔を上げたヘリは怒っているというより、
むしろイヌを見つけられて、ホッとして嬉しそうな顔をしていた。


「たとえ、占いが気にいらなかったとしても、
あなたが私を置いて一人で帰るはず無いって信じてたもの。
それに木の緑や水のある所が好きだから、きっとこのあたりだろうなって思ったの」

木が多く植えられた、噴水がある広場。

…ヘリ…。

イヌは、ヘリの言葉に目を細め、やわらかく微笑んだ。

さっきまで妙にザワザワと落ちつかなかった胸の内に、
スーッと優しい風が流れこんできたように感じたイヌだった。


「そういう推察力を、ここに来る前にも使って欲しかったよ」

それでも、心の声と裏腹に、意地悪な口調でつっかかるイヌを、
ヘリの方は申し訳なさそうな顔で見上げていた。

「占い師に何か嫌なことでも言われた?」

…無理やり連れてきちゃったのに、さらに嫌な気分にさせちゃったかしら?

そう心配そうなヘリにイヌは思わず首を横に振っていた。

「…いや」

参考にも為にもならない。
それが、本当かもわからない。

占い師の話は自分の今の過去の苦い思いを彷彿とさせて、
重苦しい気分にもさせたけど…ただ、1点だけ。

運命というものだけは少し信じている自分が心に留めていてもいいと思えたことがあった。


「ヘリは、何を聞いたんだ?」

「んー…秘密」

「教えろよ」

「だって、占いでいい事を言われたら、人に教えちゃ駄目だって聞いたことがあるんだもの」

占いの結果はいいものだったと分かるようなヘリの言葉にイヌが笑った。

「良かったな」


ヘリは占い師の言葉を思い出していた。

いろいろ相談した事はあったが、
最後に占い師に言われた言葉が一番印象的だった。

『貴女は貴女の大切な人達皆からいつも愛されている。その中でも貴女を誰よりも愛して必要としている人を見つけてあげて。見つけたら未来永劫幸せになれますよ』


…ええ、見つけた。


フフッとヘリはイヌに笑い返すと、イヌの手に自分の指をからませて一緒に歩き出した。


「無理やりつきあってもらったから夕食は私がご馳走するわね。
高いところでもいいわよ。イヌ」

「そんな事を言うということは、宝くじでも当たるって言われたのかな?」

「金額じゃなくて、建物が高いところでもいいってことよ」

「意味が分からない」

笑って、

…実際運命というものがあるかは分からないけど。

イヌは思った。


これだけはハッキリと言える。
どんなに生まれ変わっても、僕のこの願いは変わらないのだろう。

こうして手をつないで、笑いあって、いつまでも愛する人と一緒に生きていきたい――。

今度、生まれ変わっても、ヘリは僕を見つけてくれるだろうか・・・。


チラリと目を落としたイヌにヘリがニッコリと笑いかけた。


「大丈夫よ、まかせて」


おそらく、夕食をおごる事を言っているのだろうが、

イヌは、タイミングの良いヘリの返事に高笑いすると、
キョトンとした目で立ち止って自分を見つめるヘリの肩を抱いた。

占い師の言葉が頭をよぎった。

『貴方は、愛する人とずっと共にいることを望んでいた。
その心は相手にもしっかりと通じていますよ』

「運命って信じるか?ヘリ」

唐突に聞いたイヌの質問にもヘリは、ごく普通に答えた。

「もちろんよ。いい運命ならね」


…占うまでもない。やっぱり、君にはかなわないよ。
おそらく生まれ変わっても。


ヘリの答えにイヌは又朗らかに笑った。
そして、心底幸せそうな顔でヘリと一緒に再び歩きはじめたのだった。


(終わり)


詳しいあとがきは又次回としても、

「運命」っていうのがあるなら、イヌにはヘリが運命でいて欲しい、
と思って書いた小説です♪


拍手、拍手コメントありがとうございます!
体調の方は、ぼちぼちです♪ご心配ありがとうございます。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「僕を見つけて」(前編)です。

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僕を見つけて(前編)




「…占い?」


…ああ、この顔はもう駄目ね。


ヘリは、返事を聞く前に、イヌの表情と、口調で、
それが、全くイヌの意にそぐわない事だと確信した。

心の中であきらめの溜息をつきながら、それでも、とりあえず全部聞いてもらう事にして
ヘリは話を続けた。


「そうなの。職場の後輩の女性がね、今とっても人気の占い師のところで占ってもらったんだって。そしたら、すっごく当たってて、良かったって言うのよ」

「当たってたってどういう風に?」

「んー…。たとえば、自分の今の悩み事とか、性格とか。健康状態とか。とにかく、自分以外誰も知らないような事が分かっちゃったみたいなの」


…すごいでしょ?と、目を輝かせて、感心したように話すヘリに対して、
イヌの方は、ヘリの話より、カフェで頼んだ珈琲の味が思っていたより薄めだった事に関心がいっているようだった。


「頼んだのはモカブレンドのはずだが…」

「…ちょっと、聞いているの?」

「聞いてる」

ヘリの尖った目と口調に、イヌがカップをかかげて見せた。


「耳はちゃんと君の方に向いてる」

「…興味は向いてないみたいね」


イヌが肩をすくめながら、再びカップに口をつけた。


『占い』という言葉で、イヌがこの会話に全く関心を持たない事は
薄々想像していたヘリだった。

イヌは、普段、占いや、ジンクスという類は一切信じないと豪語していたからだった。


「それで?…結局何が言いたいんだ?」


すでに、話をまとめようとしているイヌにヘリは内心溜息をついた。
イヌは、この会話を続ける事に乗り気ではないことは十分に分かった。

…こうなったら、もう回りくどいことはやめよう。


ヘリは、息を吸い込むと、一気に吐きだすように口を開いた。

「一緒に占いに行きましょう」


「…は?」

珈琲のカップを持つ手だけでなく、全身固まった様子で、イヌが目を丸くした。


「ごめん。…今君の話が良く聞こえなかった」

「聞こえなかったんじゃなくて、聞きたくなかったんでしょ?
それとも、口は達者だけど、耳の方はそうでもないのかしら?」

「君こそ、僕がこういう話にどういう反応をするか推測していたはずだろう?
それに会話の流れで察してくれたとばかり思ってたよ」


僕が、この手の話に全く興味がない、ということを。

なのに、どうしてそういう話の展開になるんだ?
よりにもよって、興味のない占いに僕が行くだって?


「…あなたがそう言うだろうことは予測してたわよ」

ヘリが気まずそうにイヌから目を逸らして、店内の方に目を泳がせていた。

「だったらどうして…」

「だって、もう予約しちゃったんだもの。これから1時間後に」

「・・・・・・」

ヘリの言葉にさすがのイヌも、目だけでなく、口も開いたままになった。


「予約をとるのも難しいくらい人気の占い師なんだけど、たまたま今日キャンセルのお客さんの時間が空いてたみたいで、すぐに予約をいれちゃったの…それも二人分」


「マ・ヘリ…」


もう二の句がつげない、という顔で自分を見つめているイヌに、
ヘリは、首をすくめた。

「だって、行きたかったんだもの」

唇を尖らせてボソボソと言い訳するヘリが、
とてもいい年をした成人女性に見えなかった。

思わず、顔がゆるんでしまうほど、可愛くは見えたのだったが、

…ここで甘い顔をするとつけあがる。

そう思ったイヌは、必死で、無愛想な表情を崩さないように努力した。

「君は子供か。僕は君の保護者じゃない。
自分の衝動的な行動に他人を巻き込まないでくれ」

「どうして~?いつもだったら、なんでもつきあってくれるじゃない」

体をゆすって、甘えた声で駄々をこね始めたヘリに、
イヌはふさげない耳のかわりに目を閉じた。

「つきあえるものと、つきあいたくないものがある。
僕じゃなくて、友達と一緒に行ったらどうだ?当たる占い師なら行きたがる女性はいっぱいいるだろう」

「ユナは今日、仕事だもの。他の友人達も予定が入ってるみたい。ママも店があるし…だから」

…一緒にいってよ。

イヌが薄目を開けると、手を合わせて、可愛らしくチョコンと首をかしげて自分を見ているヘリの顔があった。

思わず、ゆるんだ口元に、イヌは“しまった”と思った。

イヌの表情にヘリの顔がパアっと輝いた。

「嬉しいっ。行ってくれるのね」

「行くなんて言ってないぞ」

「ううん。その顔は、もうしょうがないな、って顔だもの」

「ああ、本当にしょうがない人だよ。君は」


結局、マ・ヘリの思惑にはまってしまうなんて、ソ・イヌの名がすたる。

それでも、目の前で本当に嬉しそうに、「やった~」と、店内の好奇の目を浴びながらも万歳して、素直に喜んでいるヘリの顔を見られたのは嬉しくて、

…っとに。一番しょうがないのは、この僕だな。と、イヌは、苦笑しながらも、天井を見上げて、ハアっと大仰に溜息をついてみせた。



それからしばらくして。


ヘリが予約した時間前に、ヘリの後輩のキム検事から教えてもらった占い師のところに
着いたイヌとヘリ。

まだ、納得のいかない様子のイヌは、「僕の時間も君にあげるよ」と言っていた。

「往生際が悪いわよ。イヌ。これも経験よ。今に占いがらみの依頼が来るかもしれないじゃない」

「…どういうクライアントだ。それは」

「いいから。あなたからどうぞ」


…やれやれ。

さっさと切り上げてもらおう、そう決意して、イヌは占い師の部屋に入っていった。


部屋の中は、想像していたものと異なって、こざっぱりと綺麗で、窓から太陽の光が明るく室内を照らす空間だった。

唯一、テーブルに置かれた大きな水晶の石の存在感以外は、
ごく普通の女性の部屋に思えた。

テーブルの向こうに占い師らしき年配の女性が座っていた。
その女性もごく普通のシャツとスカートを着た女性だった。

占い師はイヌを見るとニッコリと笑って、目の前の椅子を進めた。


「こんにちは。どうぞ、おかけになって」

「こんにちは」

イヌは、社交辞令的な微笑みを返すと椅子に腰かけた。

「魔女のような部屋を想像していたかしら?」

占い師が面白そうに笑った。

「恋人に無理やり連れてこられたのね。お気の毒に」

イヌは占い師の言葉に少し驚いたが、それは占いで『視た』というより、自分の態度で察知した事なのだろうと考えた。

「一応お聞きするけど、何か知りたいことはあるかしら?」

イヌは、正直になる事に決めて、首を横に振った。

「ここに来ておきながら、失礼とは思いますが、僕には占いで知りたいと思う情報はありません。出来れば、後にいる僕の恋人に時間をまわして頂けると嬉しいのですが」

「そうね」

イヌの慇懃無礼な言葉にも占い師は機嫌を損ねる風もなく、ニッコリと微笑んだ。

「でも、せっかくだから1つだけ占ってさしあげるわ。あなたは、ジンクスとか、占いという類は信じないけど、『運命』というものは信じていらっしゃるでしょう?」

「・・・・・・」

無言で返したイヌの反応に、占い師はフッと微笑むと続けた。


「あなたの前世を1つ見てさしあげるというのはどうでしょう?」


前世…イヌは、そういう言葉があることは知ってはいたが、特に関心を持ったことはなかった。
自分の前世を知りたいとも思ったこともなかった。
それに仮に他人にいわれたとしてもそれが正しいかどうか証明のしようもない物。


ただ、なまじっか当たるかどうかの占いより、
こちらは夢物語のように聞くのも面白いかもしれない。


「それでお願いします」


占い師は、頷くと、水晶に手をあてて、のぞきこむように見た後、目を閉じた。



(「僕を見つけて」前編終わり、後編に続く)





前後編に分けちゃいましたけど、
イヌの前世は!?…なお話です。

元々書こうと思っていた、パク・シフさんの「王女の男」の放送記念話なのですが、
ちょっと、そういう話が最近身近にあって、タイミング的に書いてみました。

イヌ役のパク・シフさんはインタビュー記事で、
「ジンクス」は信じないけど、「運命」は信じると
言ってたのですが、イヌもそんな感じがして♪

拍手、拍手コメントありがとうございます!

今は体調も気分も落ち着いている感じです。
夜7時になると凄く眠くなってしまいますし、
食べた後もとても眠いです…って子供みたい。(汗)


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本日は、韓国映画「DUERIST-デュエリスト」の二次創作イラストと雑記の更新です。


…予測通り(?)こんな状況になってしまって、
デュエリスト二次創作はとにかく、せめて1話だけでも…からイラストや感想だけでも、な気持ちで進めていきたいです。


4コマ漫画絵で、ナムスンと悲しい目(スルプンヌン)のイラスト↓



   デュエリスト


しろつめ草の花で、この時期、子供に花冠を作ってあげると、
男の子でも喜ばれてます。今のところ(笑)

検事プリンセスのイヌ×ヘリが…と想像してみたのですが、
ちょっと、イヌがヘリに…またはヘリがイヌにっていうのがちょっと想像できなくて(汗)
こっちのカップル(←みつばの中ではもうすでにカップル)の
悲しい目×ナムスンの方がしっくりしました。

おそらく、こちらのカップルの方が設定上でも若いような…。
いえ、そうじゃなくても、こっちのカップルも十分大人なのに、
中学生カップルみたいなんですよ。イヌ×ヘリよりもっともっと純真な感じの。

ちょうど反抗期、思春期の男女が恋してるみたいな♪

みつばの勝手なイメージですが、カン・ドンウォンさん演じる悲しい目君は、
ハ・ジウォンさん演じるナムスンより映画の中の設定でも年下のような気がしました。

前も書いたのですが、背が高く、とてもハンサムなのに、
どこか子供のような顔立ちのカン・ドンウォンさん。

映画の中でも雄々しい姿を見せたかと思うと、キョトンと目を丸くして驚いたり、
笑ったりする顔がとってもキュートで可愛いのです♪

男まさりなナムスンも思わず、キュンっとなってしまうような愛らしさ(笑)

絶対、年下男君ですよ♪

それで、そんな年下男の悲しい目君は、ナムスンに
「きっとかわいいから」と言って、花冠を器用に作ってあげちゃうんです。

「ちっ。そんなんで可愛くなんてならねえよ」と
乱暴に言いながらも顔を真っ赤にして、まんざらでもない、ツンデレ、ナムスンちゃん。

ナムスンは絶対ツンデレ娘です(笑)

先日、検事プリンセスのイヌ×ヘリの「相愛傘」書いたら、
自分の中で、ドキドキ、ときめき清純恋愛ブームに火がついて、
デュエリストカップルの、パラレル小説…つまり、時代劇じゃなくて、現代版の小説の方が一気にネタが浮かんでしまいした(汗)
まだ、本編の二次小説も書いてないのに。

現代版は、単にキャラクターだけ、イメージがカン・ドンウォンさん、ハ・ジウォンさんなだけの完全オリジナルのようになりそうですが…そして長くなりそうですが(汗)書いてみたいです。…いつか。


今日は、そんな「デュエリスト」の妄想&イラスト更新でした♪


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「相愛傘」です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

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この二次小説は、時間の流れでは、「選択するということ」から「恋のかたち」あたりの、イヌとヘリが付き合い始めた頃の時期の話になります。





相愛傘




…あら?


裁判所での用事を終えて、出口に向かって歩いていたヘリは、
目の先に立っていた人物に目をとめた。


見覚えのある背中。

見覚えがあるどころか、確実に知っている男。


「イヌ?」

ヘリの声に男がゆっくりと振り向いた。

「マ検事」


職務中ということもあって、固い職業名で名を呼びながらも、
ヘリを見つけたイヌはやわらかい笑みを浮かべていた。


「ソ弁護士、偶然ね」


ヘリもあわてて、今さらのように職業名で呼んだ。

検事と弁護士という職業で、裁判所で顔を合わすことは、決して珍しい事では無かったが、
プライベートでなく、こうして偶然会えた事が嬉しかったヘリだった。

ソ・イヌと再会出来て、そして、交際をはじめたのは、最近の出来事。

1年前に離れて、そして、もう2度と会えないと思っていた想い人が
こうして、いつでも会える距離にいる…。

ヘリは、自分の顔が自然にニンマリと崩れそうになるのを必死にこらえて、すましたように言った。


しかし、冷静を装いながらも、舞い上がっているのは隠せないようだった。

「今日は、何しに裁判所に?」


弁護士バッジをつけたスーツを着ているイヌに、
まるで、「職業はなんですか?」と問うているようなヘリの質問。

それでも、イヌは、「仕事で来たよ」と真面目に答えた。

「君は?」

「私も仕事よ」

「これから検察庁に戻るのか?」

「ええ、あなたも事務所に戻るの?」

「ああ」


時刻はお昼すぎ。

このまま直帰するには、まだ早すぎる時間だった。

お互い、仕事をもうひと頑張りしなければならなかったが、
こうして偶然でも恋人に会ってしまった今、心の中で『本日の業務は終了しました』という気分になっていた。


…このまま、デートが出来たらいいのに。
デートでなくとも、お茶くらいなら…。



頭の中で、そんな事を考えながらも、それを実行に移せない事が
常識的に思考出来るようになっていたヘリは、願望を口にのせるかわりにそっと溜息をついていた。

同じマンションに住んでいるから、仕事が終わってからいつでも会える。
それに、『恋人』という立場だから、それを遠慮する必要もない。

だけど、つきあいはじめた今、ただ、こうして偶然会っただけで、
嬉しくて、ドキドキして、ずっと一緒にいたくなってしまう。

それが、かなわないと分かっていても。

今は、「じゃ」と言って別れなくてはいけないけど…。

何か理由をつけて、イヌの事務所について行こうかしら?とすら真面目に考えたヘリは、
ふと、外に目を向けて、ようやくその異変に気付いた。

裁判所に来る時は、晴れていた空。
それが、今はすっかり暗い雲に覆われて、地面を雨粒が叩いていた。

晴れのち雨…降水確率80%という今朝の天気予報をテレビで見ていたヘリは、
持っていた傘をさそうとして、ふと横にいるイヌに目をやった。


イヌが手に持っていたのはバッグだけ。

…どうしようか、と思案している顔で雨雲を見上げて佇んでいた。

ヘリは、傘をさすとイヌの方にかたむけた。

「一緒に入っていってもいいわよ」

ヘリの言葉にイヌが「え?」と驚いた顔でヘリを見た。

「傘、持ってないんでしょう?駐車場の車まで送ってあげるわ」

そう、言いながらも、
どうぞ、と自分より背の高いイヌの頭が入るように、傘を持つ手を上げるヘリ。


雨足は少し強く、どんなに早く走っても、車まで行くまでに濡れてしまう事だろう。
バッグには大事な書類が入っているかもしれない。

それに…。

…ほんの少しの距離だけでも、イヌの側で一緒に歩きたい。

それがヘリの一番の理由だった。


すましたヘリの本心はイヌにはお見通しだったのだろうか。


「ありがと。マ検事。お言葉に甘えさせてもらうよ」

そう言って、イヌは、ヘリの持つ傘の柄に手を伸ばした。


…僕が持つから。


そして、ヘリから傘を受け取ると、イヌはニッコリとヘリに微笑んで見せた。

目を少し細めたイヌの、自分を見つめる優しく甘い眼差しに、
ヘリの心臓がドキンっと大きく音をたてたように鼓動した。


傘にあたる雨音で、この胸の高鳴りも、側にいるイヌには聞こえないだろう…。
そんな事を願いながら、ヘリはドギマギしながら、足を踏み出していた。


「ね…ねえ、もう少し傘そっちにやってもいいわよ。肩濡れちゃってる」

ヘリが傘の柄をそっとイヌの方に押しやった。


チラリとそんなヘリに目を向けたあと、
イヌは、ヘリの背中に手をまわして肩をグイっと自分の方に引き寄せた。


「こうすれば、二人とも濡れない」

あたふたと当惑するヘリを尻目に、前を向いたまま
さらりと言って歩くイヌ。

「・・・・・・」

ヘリは、…これ、知人に見られてないかしら?と、
思わず、裁判所の周囲にキョロキョロと目を泳がせた。

あいにく、悪天候ということもあってか、外を歩く人は少なく、
知人もいないようだった。…知人はいなくとも、裁判所という場所柄、顔見知りはいそうだったのが、ヘリは心の中でホッと息をついた。


肩を抱かれて、体を片側密着させて、歩いている。

デートの時に肩を抱かれて歩くのも手をつないで歩く事もあったが、
こうして、雨の中、傘の下で一緒に歩いていると、特別な空間にいる気分になってきたヘリだった。

それに…。

ヘリは、やや熱い顔をイヌからそむけるように俯き加減で歩いていた。


こうして、好きな人と一緒の傘に入って雨の中を歩く事がヘリの夢の1つだった。

ヘリの『恋人としたい33のリスト』の1つ。

イヌには話したことのないヘリの密かな秘密だった。


高校生の時、同級生のカップルが、雨の日に一つの傘に入って、
きゃっきゃっ言いながら、帰っていくのを、うらやましげに見ていたヘリだった。

…いつか私にも恋人が出来たら、あんな風にしたいな…。

そう思いながらも、…今の体型じゃ、二人一緒に傘に入れないわね。

そう悲しげに溜息をついたりもしていた。


それが、今、こうして願いがかなっている。


思い描いていたシチュエーションとはちょっと違っていたけど…。

ヘリの思い描いたシチュエーションでは、
傘を持っているのは男性の方で、傘をわすれた自分に、
『一緒に行こう』そう提案して、歩くというものだった。


今回、イヌに一緒の傘に入るのを提案したのはヘリの方だったが、
ヘリはとても満足していた。


ただ、もう少し距離があったら良かったのに…。

ヘリは、裁判所のすぐ近くの駐車場にもうついてしまった事にがっかりしながらも、
夢がかなった事で、イヌとの別れもさほど辛くないものになっていた。


「イヌの車はどこに置いてあるの?」

そう聞くヘリに、イヌが駐車場を見渡した後、歩みを止めた。


「イヌ?」

一緒に足をとめて、不思議そうに問うヘリにイヌが「まいったな」とつぶやいた。


「車を停めた場所を忘れた」

「ええっ?」

裁判所の駐車場は広く、第3駐車場まであった。
雨の中視界も悪く、似たような車種も停められているようだった。


「番号も覚えてないの?」

ヘリの問いにイヌが肩をすくめてみせた。

「じゃあ、この駐車場から車を探してみましょう」

ヘリはそう言って、傘をもつイヌの腕に手をかけると、歩きだした。


イヌの車を探して、しばらく駐車場をさまよったイヌとヘリは、
ようやく、第2駐車場に停められていたイヌの車を発見した。

ちょうど、ヘリの車を停めていた場所からそう離れていない場所だった。


「見つかって良かったわね」

「ああ、ありがとう。ヘリ。助かったよ」

マ・検事、でなく、ヘリと呼んだイヌにヘリがふっと微笑んだ。


…相合傘デートはおしまいね。

「それにしても…」


ヘリは、なごり惜しい気持ちを振り切るように、傘をさして、車に乗り込むイヌを覗き込みながら言った。


「今日は、あなたらしくないわね」

「ん?」

「ソ・イヌともあろう者が、天気予報を知らずに、傘を持ってこなかったり、
車を駐車した場所を忘れるなんてことがあるんだな~って思って」


…イヌにもそういう抜けたところがあるのね。


そうニヤニヤと含み笑いを浮かべているヘリに、
イヌはとくに悔しがる風もなく、「そうだな」と素直に頷いた。


「ソ・イヌにもそういう特別な日があるってことだ」

そう言って、自分を覗き込んでいるヘリに笑いかけた。

「完璧な恋人の意外な一面を見られて、良かっただろう?」

あいかわらず偉そうで、悪びれないイヌの口調にヘリが思わず苦笑した。


「そうね。特別な時間をありがと。ソ弁護士。仕事、残り時間も頑張って」

「君も。…週末はもっと特別な時間にしよう。ヘリ」


…週末のデートを楽しみにしている。

そう言っているイヌの言葉にヘリが素直に顔をほころばせた。

「ええ」

…私もよ。イヌ。


パタン…と車のドアを閉めて、イヌはヘリに片手をあげると、
車を発進させた。

ヘリは、駐車場を出て行くイヌの車を見送った後、スキップするように
自分の車に向かって歩いていった。



…法律事務所の駐車場にイヌの車がついた時には、まだ雨が降っていた。

イヌはエンジンを切ると、助手席に置いていたバッグを開けた。
そして、中から折りたたみの携帯傘を取り出した。


「…ソ・イヌにもそういう日はあるさ」

そう、つぶやいて。


ヘリが裁判所に来ている事は、イヌが駐車場に車を停めようとした時に
停めてあった車を見つけて分かっていた。

会えた時には、雨宿りを理由に、ヘリをお茶に誘おうか、とも考えていた。

それに、たとえ、傘を持っていようが、いまいが。
差し出された恋人の傘を断る理由などあるはずがない。

『車のとめた位置を忘れた』と言った自分の言葉を真にうけて、
雨の中、真剣に一緒に探してくれているヘリの横顔に申し訳なさを感じても、
少しの時間でも距離でも長く一緒にいたい気持ちの方が勝っていた。


そして、ヘリの得意気な顔を見られた事も嬉しかった。


恋という病を患っている自分自身にあきれながらも、
この甘い熱に頭も心も浮かされている事に心地良ささえ感じる。


…すっかり重症だな。僕も。

いや、もうずっとそうだったのかもしれない。
マ・ヘリに会った時からずっと…。


イヌはフッと自嘲すると、車から出て傘を開いた。


小さな傘。
でも、ヘリの傘に入っていた時より随分と広く感じたイヌだった。


イヌは、先ほど傘の中で共にいたヘリの香りと優しい温もりを思い出しながら、
傘を打つ、楽しげなハミングのような雨音に包まれて、ゆっくりと事務所に向かって歩き出した。


(終わり)




とりあえず短編が書けたのでアップしました。



暖かい拍手コメントやコメントを沢山頂きまして、
本当にありがとうございました!!!
公開、非公開、全部ゆっくり読ませていただきました。
初めてコメントを下さった方々もありがとうございます。

さすが先輩ママさん達の鋭いご推察(すみません、私より年下の方もいらっしゃるのに)

まだ状況が落ち着いてないので、正式にご報告出来ませんが、
病では無いので、安心してください。
検事プリンセス病とソ弁護士病は重症ですけど(笑)

体調の様子を見ながらも、
妄想だけは無休状態でネタ蓄積していけたら♪と思ってます。

…ということで、この梅雨の時期の
季節物小説。相合傘(あいあいがさ)の話。タイトル「相愛傘」は誤字でなく、わざとです♪
相合傘の高校生カップルを見て書きたいな~と妄想してた話です。

初初しいイヌ×ヘリカップルを久しぶりに書けて楽しかったです♪


書ける時にアップ出来るものを、のブログですが、
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ブログ1周年を迎えて、これから~…という時に、
早速なのですが、少しお休みを頂きます…というご連絡です。


ここしばらくずっと子供の行事や、仕事がたてこんでいたのもあったのですが、
体調の方が急激に変化しまして、無理が出来ない体になりました。

もともと、想定していた事なので、
それでも、出来る時にせいいっぱい、やりたい事を楽しんでおこうと思って、
1年間やってきたのですが、予想以上に早い変化に今はまだとまどってます。


仕事も減らす方向で、先日、担当の方との相談も終えて、
ブログの方も、今後は、時々こうしてお休みをもらうかもしれません。

検事プリンセスの二次小説を楽しみにして下さっている方には申し訳ありません。

雑記やイラストでも書ける時はブログの更新を続けたいと思ってます。
二次小説ももちろん、書ける時には続けていきたいです。

PCの前にいるのが、今は少々しんどいのですが、(しんどいって方言?)
携帯でもブログは更新できますしね。
もしかすると、休む方がいいアイデアがもっと浮かぶかもしれない。
今の二次小説のほとんどの設定は去年の夏の旅行中に作れたものだから、

本当は、こんな事を宣言せずに、だましだまし、
今まで通り更新を続けようとも考えたのですが、
毎日楽しみにしていて下さっている読者の方には先に報告しておいた方が良いと
思って書きました。

とりあえず明日はブログ更新お休みします。

せっかくいらして頂いたのにごめんなさい。
良かったら過去の作品を見ていって下さい。



検事プリンセス二次小説。

検事プリンセス夢小説。

検事プリンセスパラレル二次小説。

PS:

先日のNHKの「王女の男」の紹介で、パク・シフさん拝見しました♪
「王女の男」のスンユは、イヌじゃないって分かっていても、イヌに見えました(涙)

やっぱり、パク・シフさんの演技の中にイヌがいるような気がしました。

きっとファンの方は生声でご覧になっていると思うのですが、私はちょっと吹き替え声優さんにも期待してました。…どなたでしょう?あのお声は(汗)イヌでないことは確かでした。

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韓国ドラマ「検事プリンセス」、みつばの二次創作イラスト。

二次小説の「優等生SP―戯事-9」の

イヌとヘリが、ラブラブ(笑)した後で、
一緒にバスルームにはいって、シャワージェルの泡で遊んでいる…



のイメージイラストです。


↓これ。



イヌ×ヘリシャワーイラスト


…アップして大丈夫なイラストですよね?(汗)



「検事プリンセス」10話のイヌ…パク・シフさんの朝シャワーシーンの
上半身裸の画像を元にイヌは描いてみましたが…。

もうこの際、似てる、似てないはあきらめました(涙)


ヘリがどうして、シャワーなのに、ランジェリー着てるの?なのですが、
もう十分隠れているし、泡でもかくせたのだけど、

たぶん…ああいうランジェリーでしたから(苦笑)

バスルームでいちゃつきながら、脱いだんじゃないでしょうか?


それにしても、泡を描いたらなんとなく、思いだした事があって、
どうでもいいことなんですけど。

みつばが生まれて初めて見た、大人の男性向けの雑誌の画像が、


泡で戯れている男女の写真でした。


よく分からないけど、
見ちゃいけないものって事は分かっていても、


…しばらく何やっているのか、意味が理解できませんでした(苦笑)


それで、検事プリンセス1話で、

ホテルのバスルーム。泡風呂に入って寝てしまったヘリを
イヌが引きあげるシーン。

泡まみれになっているヘリの姿に、いろいろな意味で
ドキドキしました。
泡って色っぽい印象が勝手についてます(笑)


ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます!

とくに1周年記念へのコメントを沢山頂きましてありがとうございました♪

非公開の方のものは他の方には読めないのですが、
拍手コメントやメールを下さる方は、不思議なことに、共通点が多くて、
ブログをはじめた当初は、同じ人がハンドルネームを変えて、
書いているのかな?と思ったほどでした(笑)

もしかすると、ブログに来て下さる方々は、似ているのかもしれませんね。

…って、このブログによくいらっしゃる方は、
おそらく「検事プリンセス」かイヌ×ヘリ好きかパク・シフさんファンの方ばかりなので、
共通点があるのは当たり前なんですけど。

全国いろいろな所からいらして頂いているようで、
ネットのブログで「検事プリンセス」ファンがつながっているんだ~と
思うと、やっぱり嬉しいです♪


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先日はブログ1周年のお祝いメッセージを沢山頂きまして、ありがとうございます!

公開の方には返信書きましたが、
非公開の方のものも全部読ませて頂きました♪

とっても嬉しかったです。

今まで励まし、応援などを頂いて、
褒められて伸びる子のみつばは(笑)おかげさまでここまで来られました。

最近、新しくいらっしゃった方もようこそ♪
気にいった記事があったら、またいつでも遊びに来て下さい。



せっかくの1周年記念日に何かお話を…と考えていたのですが、
今日は、仕事の締切日なので、取り急ぎ、
コメントお礼とちょっとだけ今さらですが、「検事プリンセス」ドラマの感想を雑記で。


「この道の先へ」を書いたら、私も「検事プリンセス」12話が見たくなって、
録画の物を見てしまいました。

テレビ録画はカットシーンが多くて、例の、ヘリがイヌの服を着て、バルコニーのベンチでクスンクスン泣いている可愛いシーンも無いのですが、結局、寝る前に少し見ようとつけたら、全部見てしまうという(←こんな事をしてるから締切前にあせる事に(苦笑))

でも、13話~14話の好きな場面(ヘリがイヌに告白して、キスして抱き合うシーン)も見てしまって、さらに16話のラストシーンまで見てしまいました。


こうして1年たっても、検プリ病重症のみつばです(涙)

でも、ドラマの話では、やっぱり、8話が好きです♪

とくにイヌがとっても楽しそうなこの話。

ヘリの部屋のソファで寝てしまって、悪夢にうなされてはいたのですが、
おそらく早朝までいて、ヘリに朝ご飯を作って去っていく♪

でも、ヘリが出勤する時に出てきて、
「車にのせて」と言いながら、すでにヘリの車に乗り込んでます。

嬉しそうなイヌ。

まるで、初めて好きな彼女の部屋にお泊まり出来て、うかれている男のようでした(笑)

で、そんなイヌにジェニーが困惑というか、あきれ顔。

「どうして、いろいろ出かける用事のある日に車で来なかったの?」と。

「別にいいだろ」なイヌ。

まあ、その後ジェニーの不安は的中して、
恋にうかれて(?)気もゆるんでいたイヌは、部屋の中で落したヘリ尾行写真を、
ヘリに見つかって大ピンチに。

この8話のイヌってすごく可愛いのですが、やっぱり抜けてます(笑)

…な、8話。

そんな事を書いていると8話も見たくなってきた。

…というか、私が今感想に浮かれている状態じゃなかった。
今回は時間がもう無いので、本当にちょっとだけ。

感想っていうより、こんなイヌも好き♪って言ってるだけですね(笑)


最近二次小説の更新が、シリアス話とラブラブ話のミルフィーユ状態になってますけど、
シリアスムードな「この道の先へ」を書いたので、
時間が出来たら、こんな浮かれイヌの話も書きたいです♪


ということで、

本日は、コメントお礼とドラマ感想(雑記)でした。


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本日、6月20日は、このブログ「みつばのたまて箱」にとって、
記念すべき日。


ブログ開設1周年記念日です♪



1年たってしまいました~。

現在、結局、韓国ドラマ「検事プリンセス」ばっかりの二次創作と記事で。

「検事プリンセス」にどはまりして、それを期に立ちあげちゃったブログですが、
こんなに長い間続けられるとは、あの時には想像もつかなかったです。

ちょっと、ふりかえってみましょうか?(笑)


記念すべき、みつばのたまて箱初めての記事。

【「検事プリンセス」にはまるです。

…イラストもだけど、文章もひどい (笑)
イヌの髪型好きじゃないとか言ってますよ。
怖い物しらずな…。
でも、今では12話以降の短い髪型が一番好き♪なので、
相当ソ弁護士病が悪化したと見えます♪


初めての4コマ漫画はこれ

…4コマ漫画も、もう何とも言えません。。。

イラストもですが、とてもじゃないけど、
この段階では、昔プロで描いていた事もありました、なんて、
恥ずかしくて、カミングアウト出来ないレベルでした(涙)
…まあ、リハビリした所で、今の画力も結局大概ですけど(苦笑)


初めての記念すべき、検事プリンセス二次小説はこれ。

カップケーキ

…うわ~。。。…イラスト、漫画同様で、直視出来ない(笑)

3編に分かれてますが、今だったら、短編1話の文字数です。

でも、検事プリンセスに本当にはまってて、
感想でも、イラストでも、漫画でも、小説でも、
何書いていても、幸せで、楽し~!!って気持ちで更新してました。

…じゃあ、今は違うのか?って言われると、好きですけど、
ちょうど、大好きな彼氏と付き合い始めの頃と、1年くらいたった気持ちと思って頂ければ(笑)


ところで、現在、みつばの二次小説シリーズ話では、イヌ×ヘリの付き合いは、
ドラマ16話からの続きで、恋人になってまだ6カ月未満という所です。

ただ、未来の話
「ここにいるから」はもう少し後。
「夢桜」は11カ月ほど、「温泉へいこう」は1年以上たったイヌ×ヘリです。

短編の中にもシリーズより未来の話がチラホラ(笑)

ところで、どうして、みつばは二次小説の中で、
イヌとヘリをすぐに同棲させたり、結婚させなかったのか。


創作を始めて初期の頃は、時々そういうリクエストを頂いたりしてました。

今までも雑記やコメントで書いていたのですが、
二人には、その前にやってほしい事や、乗り越えてほしい事があって、
それを書きたかったから。

ドラマ中ではせつなく悲しい時もあった二人なので、
その後の二人には是非ラブラブばっかりで、幸せばっかりのシーンがいい。
せっかく二次創作なんだから、そういうのが読みたい!って思いますよね。


私もそんな話を書いているのが楽しいし、そう望んでいるのですが、自分なりにキャラクターを読んだり、ドラマを何回も見直して、原作者さんの意図的なものまで考えてしまうようになったら、二人はただ、イチャイチャするだけの関係で動かなくなっていました。
(いや、十分イチャイチャばっかりしてるけど(笑))

自分が妄想しているのですが、私の中のイヌとヘリが勝手に動くというか…。

「検事プリンセス」はイヌとヘリの切ない恋愛話…でもあるのですが、

制作意図、原作者さんの書きたかった所は、

お嬢様育ちで、世間知らずの女性が、仕事に恋に、そして、さまざまな経験をして、
成長していく物語。という所もあるようです。

ただの恋愛物だったら、私は二次創作しようと思わなかったかもしれません。
今までどはまりしたり好きだった恋愛ドラマはいっぱいあるけど、「検事プリンセス」のような気持ちを持ったのは初めてだったので。

だから、もちろん、イヌとヘリのその後の恋愛模様も書きたかったのですが、
引き続き、ヘリの女性としての成長も書いてみたかったんです。

もう、十分美しくて、仕事も出来る女性になっているヘリですが、
自立した女性になって、イヌと対等に肩を並べて、ずっとずっと仲良く生きていけるようになって欲しいって思ってしまって。

同棲や結婚はラブラブで幸せで楽しい事ですが、
最初は燃えあがってるとしても、長い年月…と考えると、ああいう状態で、再会したばかりの二人の場合はどうかな…と思ってしまって。

あくまで、みつばなりの解釈と妄想の中で、ですよ(汗)

だから、「my room」で、イヌから同棲の話を持ち出された時に、ヘリ、断ってます。
ただの我儘で甘えたお嬢様でなく、1年たって、いろいろ経験して、16話ラストからの、
ヘリがしっかりしてきた所、変わったところをみつばが書きたかったから。

…まあ、同棲しなくても、同じマンションで、ドラマ中と同じ部屋ですから、
あんな感じで、二人ともしょっちゅう、お互いの部屋を行き来してますけど。

でも、やっぱり、みつばってちょっと頭固いですよね~(汗)
二次創作だから、もっと好き勝手書いていい(好き勝手の範囲はありますけど)とは思うのに、どうしてもリアリティも求めてしまいます。大人話も(笑)

1年間、そうやって、検事プリンセスの二次創作をマイペースながら書き続けて、
結局、去年作ったプロットが今年も消化出来ないようなので、来年も続くと思います。
…って今年あと、半年もあるのに、弱気発言。

これも前、ブログの雑記で書きましたが、

私の検事プリンセスの二次小説の中に「テーマ」があります。

1つは、さっきも書いた、ヘリが成長する話。

そして、イヌも。

イヌにもヘリと最終的にどうこうなる前に、書きたい事があるので。
…天下の完璧な男ソ・イヌに、さらに望む事があるって、私って贅沢?(笑)

それから、最大のテーマは…。

たぶん、この先、私がオリジナルの小説や漫画を書いても、
きっと変わる事ない、「みつばのテーマ」だと思います。

それは、いずれ、
「検事プリンセス」のみつばの二次小説が完結した時にでも明らかに♪

それから、


1年たった現在のブログのいろいろな数字の統計はこちら↓


検事プリンセスの二次小説の記事数(更新済) 205記事

(途中、数えるのが面倒になりましたので、間違っているかも(笑)
夢小説・パラレル小説含む)

検事プリンセスの4コマ漫画数 49記事


検事プリンセスイラスト数  ?記事

インデックスに含まれない雑記に描いた物を含めると数が分かりません。


検事プリンセス感想記事数 ?


これも数えてない上にインデックスを作ってないので、もう分かりません。


訪問者数99812人(重複はカウントされない)

6月20日朝現在の数字。本日中に10万人に達するかな?
たくさんの方に来てもらって嬉しいです♪


拍手数40050拍手 いつも沢山ありがとうございます!いつのまにこんな大きな数字に。


現在のブログの設定、管理状況。


トラックバックは停止してます。
ブロとも申請も今のところありません。

コメントは、現在は2つの記事から記入可能です。
または、拍手コメントやメールフォームからの受付になってますが、
こちらも沢山頂きまして、ありがとうございます。

初期の頃は非公開制にしてましたが、現在は公開、非公開選べます。

公開の方やメールフォームからの方には遅くなっても返信書いてます。


ランキング登録は、

「にほんブログ村」と「FC2ブログランキング」「FC2アクセスランキング」の3つ。
システムが今だによく分かっていませんが(笑)おそらくランキングからブログに入ればINポイントが加算されるみたいです。順位はこれで変動するみたい。ブログからランキングに行くとOUTポイント(?)がつくのかな?
アクセスランキングに関しては、何のアクセスか分かりません(汗)


登録カテゴリは「にほんブログ村」では二次小説、韓ドラ二次小説、人物イラストの3つ。
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「検事プリンセス」や「デュエリスト」の隠れファンの方に見つけてほしくて登録してます♪

あと、小説だけでなく、イラストとか漫画も、ちょっとは(笑)見て欲しいって気持ちで。

【拍手】は、読んでいる方が、どんな話や記事を楽しんで頂けたのかな?っていう参考にさせて頂いてます。だいたい、自分が満足して書いた物と一致してますけど(笑)


「みつばのたまて箱」

こうして、ほとんど1年、検事プリンセス関連記事、創作記事で、
最初は手探り状態だったブログですが、
いつのまにか二次創作中心になって、
多くの人に読んでもらって、応援してもらって、ここまで来られました。

本当にありがとうございます!!


韓国映画の「デュエリスト」は予告しておいて、まだ二次小説ははじめてませんし、
どうなるか分かりませんが、
「検事プリンセス」の二次小説は、決められたラストシーン書くまで必ず続けて行きたいです。

「検事プリンセス」萌えが続いている方、イヌ×ヘリ好きの方。
良かったら、これからも、みつばがイヌとヘリの物語を最後まで書きあげるのを見守っていて下さい♪


ブログ立ち上げ当初からずっと来て下さっている方。
毎日のようにコメントを下さる方。
メールやコメントで応援して下さる方。
拍手して下さる方。
読み逃げして下さる方。
何かのひょうしでうっかり来ちゃった方も♪

1年間ありがとうございました!!


今後とも「みつばのたまて箱」をよろしくお願いします。


…という、本日は、1周年のご挨拶とお礼記事でした♪



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「この道の先へ」後編です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この二次小説は、検事プリンセスのドラマ11話ラストから12話中
イヌがヘリの前から突然消えた時の話です。



小説の最後に登場人物紹介があります。




この道の先へ(後編)





イヌがアメリカに来てから4日がたとうとしていた。



養父が仕事で経営している会計事務所に出かけている間、
イヌは、近所をブラブラと散策したりした。

養父の家に住んでいた頃、よく散髪に行っていた所にも訪れた。

理容師は、イヌの顔を見るととても懐かしがって、歓迎してくれた。

「久しぶりじゃないか。また一段といい男になったもんだな。イヌ」

「おじさん、久しぶり。まだ引退してなかったんだな」

イヌが住んでいた時から、「近いうちに引退してやるぞ」と言うのが口癖だった理容師をひやかすようにイヌが言った。

「韓国に行った坊主がこっちに帰ってきたら、最後の客にして店をしめるつもりだったんだよ。まあ、座れ」

ニヤリと笑って理容師がイヌに椅子をすすめた。

イヌの肩にタオルをかけながら、理容師が言った。

「どうする?髭だけそるか?」

「いや、少し切ってくれ」

イヌが言った。

「よし、腕によりをかけて、男前にしてやるからな」

子供の時から、かわらない理容師の言葉にイヌが笑った。

「たのむよ」

NYについて、
仕事をしていたビル群の街にいた時には感じなかった郷愁がそこにあった。


喧騒から離れた郊外の街。

イヌにとっては第二の故郷だった。

「このへんはあまり変わってないな」というイヌに、理容師は、少し寂しそうに首を振った。

「そうでもないさ。住んでいた人間は結構、さま変わりしたぞ。
新しい住宅も建っているし、でも、ほら、NYの何とかっていう大きな会社が倒産しただろう?あの煽りをうけて、ローンが払えなくなった住人達が夜逃げ同然で出て行ってしまった。不景気ってやつには逆らえないからな」

「そうか…」

「イヌ、韓国ではうまくやっているのか?親父さんに聞いたが、弁護士をやってるって?
もし、俺に何かあったら一つ頼むよ」

そう言う理容師にイヌが笑った。

「残念だけど、僕は韓国で司法試験を受けたから、アメリカでは弁護士は出来ないんだよ、おじさん。国際弁護士では無いんだ」

…弁護士っていうのは万国共通じゃないのか?というように理容師が不思議そうに首をかしげた。


「難しい話は分からないが、とにかくイヌが異国で立派に仕事をしてる事は、親父さんにとって誇りのようだぞ。ここに来るたびにお前の自慢話ばかりしてるんだからな。俺だって、イヌのような息子がいたら鼻が高かったさ。あいにく、口答えばっかりする娘どもだから、今だに低い鼻だけどよ」


アメリカにいない時も、養父が、こうして他人に自分の話をしてくれていた。

離れていても、自分の身を案じて、そして大切に思ってくれている事がひしひしと伝わるような理容師の証言だった。

「今度、帰ってきた時にまた髪の毛を切ってやるからな」
そう理容師に見送られて、店を出たイヌは、今度はスーパーマーケットに向かった。

そこで、食材を買いこむと養父の家に戻った。

夕方、仕事から帰ってきた養父は、リビングのテーブルの上に並べられたイヌの料理に嬉しそうに目を丸くした。

「すごいご馳走じゃないか。イヌ。一人暮らしでますます料理の腕をあげたな」

「父さんの好物ばかり作ってみたけど、どうかな?父さんは味にうるさいから」

「いや、匂いだけで、分かる。これは美味しそうだ」

養父はイヌの料理を手放しでほめると、イヌと向かい合って、席についた。
だが、すぐに、「そうだ」と言って再び立ち上がるとキッチンに向かった。

「父さん?」

「せっかくだ。特別なワインを出そう。一人だけで飲むにはもったいないと、お前が帰ってくるまで取っておいた物がある」

そう言って、養父がワインとグラスを手に戻って来た。

そのワインのラベルには見覚えがあった。

「あのワイン?」

「そうだ」

養父がみずから、ワインのコルクを開けはじめた。

「この前、『彼』と電話で話したら、イヌの話になったよ。
彼もイヌにすごく会いたがっていた。もう何年も顔を見てないから、今度葡萄の収穫の頃にワイナリーに遊びに来いと言っていたよ」


「彼」とは、養父が懇意にしている、ワイナリー経営者だった。
そこで作られるワインは絶品で、ワイン通の間では幻と言われるほどの物を生産していた。

ワインをそそいだグラスを掲げて、合わせると、イヌと養父はその中味を口に含んだ。

「ん…やっぱり美味しいな。ここまでの物はまだ飲んだ事がない」

イヌがワインの味を褒めた。

「そうだな。韓国にも美味しい酒はあると思うが、これは格別だろう?」

養父の口から『韓国』という言葉が出て、イヌは、ハッとしたように手を止めた。

ここ2日ほど、韓国という文化にも人にも全く触れずにいて、イヌの中で遠い存在のようになっていたが、それは忘れ去られたわけでは無かった。

ただ、重く辛い現実に蓋をするように、目をそむけていただけの事。

それは、父の無実を証明することじゃない。

そのための計画のこと。

マ・ヘリのことを…。

こうして、遠く離れた地で、何もないふりをしていても、
いずれ、その時はやってくる。

…その事が分かっていながら、僕は…。

フォークとナイフを持つ手が止まったイヌを、養父はじっと見つめた後、
ボトルを手にとると、イヌのグラスにワインを注いだ。

「私は、マッコリはまあ、イケると思うけどね。あの爆弾酒は頂けないな」

ビールに何か別の酒を混ぜるなんて、あり得ない。

そうわざとおどけたように肩をすくめてみせる養父にイヌが微笑んだ。

「僕も初めて飲んだ時は驚いたよ。でも、慣れると、あれはあれで癖になる味だよ」

「慣れたくもないな。そういえば、昔、学生時代の飲み会で、私に爆弾酒を進めた女性がいてね。断りきれなくて、全部飲み干したがね。翌日の二日酔いといったら…思いだすだけでも頭が痛いよ。私に爆弾酒すすめた彼女の方がかなり飲んでいたのに、けろっとした顔で講義に出席していた」


…爆弾酒はあれで、トラウマになったよ。

苦笑しながらも、その当時の事を思い出しているのか懐かしそうに目を細めて話す養父の顔をイヌはジッと見つめていた。

その時の“女性”というのが誰を指しているのか、聞かなくてもイヌには分かっていた。

「外見は、韓国人だけど、もう生まれも育ちも私はアメリカ人だからね。彼女や君のようにはいかないんだよ。きっと」

ウインクして、でも、どこか寂しげにワインを煽る養父が、今何を考えているのか、イヌには、計り知れなかった。

…その心の中の“彼女”への想いも。

それが、自分のマ・ヘリに対するものと同じものかどうかも分からなかった。

ただ、養父の瞳の影に、自分と似たような色を見つけたイヌは、
いたたまれない気持ちになって、養父に続いて、ワイングラスの中味を煽った。


食事を終え、

イヌが、片付け物をして、リビングに戻ると、養父がソファに座ってパソコンを開いて、
何かの書類と見比べていた。

「父さん、それ仕事?」

「ああ、少し気になった所があって修正したのだが、ソフトが上手に使えなくてね。
直せなくなってしまった」

「良かったら、僕にかして。やってみるよ」

「そうか?頼むよ」

イヌが、養父の差し向かいに座ると、パソコンを移動させて、操作した。

数分で、養父をてこずらせていた事は解消出来たようだった。

「ありがとう。イヌ。助かったよ」

養父は嬉しそうに礼を言うと、パソコン画面を感心したように眺めた。

「イヌは、こういう仕事も私より上手に出来そうだな」

「父さんのそういう人を褒めて伸ばすところが、僕を成長させたんだよ」

養父とイヌは顔を見合わせて笑い合った。

笑みをおさめた養父が、真面目な顔になってイヌを見つめた。

「明日、韓国に戻るのか?」

「そのつもりだよ」

「もう、いいのか?」養父が聞いた。

「・・・・・・・」

「迷いは無くなったのか?」

何も話していないのに、養父にはイヌがなぜアメリカに来たのか、
そして、なぜここにいるのか、全て見透かしているような問いだった。

その養父の質問に、自分はまだ答えを出せていない。
そして、その前に…。


「…父さん」

「ん?」

「明日、母さんに会いに行くつもりだ。父さんにも一緒に来てほしい」

…懐かしい人々と再会したが、イヌは、本来ならアメリカに来て、
一番最初に行くべき人の場所を最後にしていた。

アメリカの墓地で眠る母親の場所。

イヌは、その場所に一人で行く事をためらっていた。
まるで、おつかいに一人で行けない小さな子供のような
お願いをしていると分かっていても。

「わかった。一緒に行こう」

イヌの心を読んだように、養父が静かに頷いた。

翌日、

イヌは、養父と共に母親の眠る墓地に向かった。

墓地から少し離れたところに車を停めた養父がイヌに言った。

「ここから先は君一人で行きなさい。イヌ。久しぶりなんだ。母子水入らずで話したい事もあるだろう」

有無を言わさないような養父の言葉にイヌが従って、イヌは一人で母親の墓に向かった。

久しぶりに訪れた母の墓。

周囲は綺麗に掃除され、墓には真新しい花も添えられていた。
きっと養父が手向けたものだろう。

イヌは、手に持っていた花束をその横に置いた。

…韓国で亡くなった父が好きだったフリージアの花。

「母さん。久しぶり」

墓の前にしゃがむとイヌは言った。

「元気だったよ。韓国では上手くやっている。心配しないで」

そこまで言って、イヌは言葉につまった。

どんなに言葉でとりつくろっても、
墓の中にいる母親には、今目の前にいる息子の本心はすべて分かっているような気がした。

『いつか必ず、韓国でお父さんの無実を証明してあげて。それまでは母さんがここで、あなたの事を守るから』

…おそらく、自分のためじゃない。
母は何よりも息子の為に、祖国を離れ、異国に移り住んだのだろう。

本当は、どんなに周囲に迫害されても、父の側を離れたくなかったはずだ。
愛する夫の眠る地で暮らしたかっただろう。

…すべては僕を守るために。

イヌは手で母親の墓石に触れた。

父の無実を証明すること。
それが、母の悲願だった。
僕の生きるすべての目標だった。

どんな困難が立ちふさがろうと、そこに何があろうと、
必ずなし遂げてみせる、そう決意して進んできた道。

今その道の先がようやく見えたと思っていた。

…だけど…。

イヌの脳裏に、ヘリの、悲しげな顔で佇む姿が浮かんだ。

しかし、同時に手の下の墓石のひんやりとした冷たさが、
次第にイヌの頭を冷静にしていった。

15年前の留置場での父との約束を思いだした。
そして、一緒にアメリカに渡って苦労しながらも
息子を必死に守ろうとしていた母の姿も。

自分が今までの人生をかけて
為し得ようとした事も。


…もう、時間はない。

イヌは墓石に置いた手をグッと握りしめ目を閉じた。

「見ていて。母さん」

イヌは言った。

「かならず、父さんの無実を証明するよ。約束する」

目を開けたイヌの目は鋭く冷たい光を宿していた。

心の中に浮かべた女性への想いをすべて封じてしまったかのように。

墓の中にいる母親は、そんなイヌに答えることは無かった。
ただ、墓の上に置かれたフリージアの花弁が、心細げに風に揺れて、そんなイヌの立ち去る後ろ姿を見送っていた。

その後、

養父に空港まで送られたイヌは、
去り際に養父と固く抱き合うと、別れをかわした。

「体には気をつけなさい」

「ええ、父さんも」

「イヌ」

養父が体を離すと言った。

「私は君の事を応援している。そして信じているから。
私にとって、君は大切な息子だ。それだけはどんな時も覚えておいてほしい」

「…はい。父さん」

養父の言葉に込められた言外の意味もイヌは全部くみとった。

…ありがとうございます。

分かっていながら、温かく迎えてくれて、
何も言わないで、再び送り出してくれた養父。

…あなたが養父である事を、僕も誇りに思っています。

イヌは、心の中に熱い想いがこみ上げるのをグッとこらえるように、
養父に手を振ると、ゲートに向かって歩きはじめた。


飛行機が韓国につき、

イヌは、再び、祖国の地を踏んだ。

韓国の空港に入ったとたん、懐かしさと切なさがこみ上げて来た。
随分長い間留守にしたような気持ちだった。

イヌは、ジェニーに電話をすると、淡々と業務連絡の会話だけをかわした。
それが終わると、イヌは、タクシーに乗って、マンションに戻った。

イヌがマンションについた時には、すっかり日も暮れて夜になっていた。

マンションについて、
イヌは、建物を見上げ、浅い溜息を一つつくと、歩き出した。


「ソ弁護士!」

自分を呼ぶ声に、イヌは目を向けた。

吹き抜けの空間を挟んだ通りの向こうで、
ヘリが柵ごしからこちらに身を乗り出さんばかりに立っていた。

…マ・ヘリ。

肩で息をついている。
おそらく、部屋のテラスから自分を見つけて駆け降りてきたのだろう。

「どこに行ってたの?何かあったの?
どこかに行くなら行くで、私にそう言っていってよ」

息もつがずに一気にそう、まくしたてるヘリ。
その形相は、本当に置いてきぼりにされた子供のようだった。

熱くなっているヘリとは対照的にイヌは冷めた眼差しをヘリに向けていた。
そして、冷静に言い放った。

「僕らはどこへ行くとか、何をするとか、言い合う仲か?」

「…どうしたの?確かに私たち、何でもない仲だけど…」

イヌの冷たい態度にヘリがうろたえたようだった。

…そう、何でもない仲だ。
君もそう言っていたんだろう?ヘリ。

冷酷な目で自分を見つめるイヌの変貌した姿に、ヘリが内心衝撃を受けているのが、手にとるように分かったイヌだった。

そして、当惑して、二の句がつげないでいるようなヘリに、
イヌがそっけなく続けた。

「分かっているなら、これで失礼するよ」

「ソ弁護士」

ヘリの呼びかけに、イヌの足が無意識に止まった。

そして、ヘリの方を見ようと顔を傾きかけて…、イヌは思いとどまった。

向こうの通りにいる、今のヘリの顔を見てしまったら、
自分はこのまま歩き続ける事が出来なくなる。

ヘリがどうして、事務所に出向いてまで自分を探しに来たのか。
そして、今、ここまで出て来て、こうして出迎えた理由も、もう理解していた。

イヌは、その答えすら、自分の中で封じようとしていた。


もう、迷わない。

僕は、この道を歩き続ける事を決めたのだから。
他の誰でもない。自分が決めた道。
…その先に、君はいない。

今、僕と君のいる場所のように。
二人の道の間には遠くて深い溝があって、
お互いの道は交わる事のないまま続くだろう。

君は、まだ、その事を知らないだけなんだ。ヘリ。

だけど、僕は行くよ。そこに何が待ち受けようとも。

―― この道の先へ。


イヌは、背後で、取り残され、寂しげに見送るヘリの気配を感じながら、
マンションの中に入っていった。
歩みを止めることなく、睨みつけるように前だけを見つめながら――。



イヌの部屋へと続く道の扉が、イヌとヘリを隔てるように、
カシャン…と小さな音を立てて、ゆっくりと閉じた。



(終わり)


登場人物

ソ・イヌ(ソ弁護士)

マ・ヘリ(マ検事)

イヌの養父

ジェニー・アン…イヌの長年の親友。仕事のパートナー



「この道の先へ」はシリアスのまま終わりましたが、
その続きは是非「検事プリンセス」のドラマ12話をご覧ください。

イヌに一方的にやられっぱなしのヘリちゃんじゃありませんよ♪

翌日、「話があるから、ちょっと顔かしな」とイヌの所に押し掛けてます。
冷たくあしらって、ドアを閉めようとしたイヌにも強引に「じゃあ、部屋にあげろ」とすごんでますし。
で、結局、ヘリの勢いに負けて、外に出るイヌもイヌ(笑)
今回、「もう、迷わない」とか思っているイヌですが、
14話~15話で、早速迷った上に、計画をやめようとします。

そうですよね。
ヘリの口から「愛してる」なんて、聞いたらもう。
ただでさえ、抑えてた気持ちが抑えられません。イヌ…(涙)

ちなみにギャグですが、この小説の続きの4コマ漫画はこちら(苦笑)


養父が出してきた、特別なワインというのが、
初めての夜4」でイヌがヘリに飲ませてくれたワインの事です。

「埋もれた約束」でイヌが過去を回想している所にも伏線が。

なぜイヌを育てたのは養父母でなく、養父だけなのか?
イヌの母親が、渡米した理由。
いくら、嫌でも見知らぬ国にいきなり行く理由としては不自然?と思ってました。

あくまで、みつばなりの解釈なんですけど。

ようやく伏線が、いろいろつながってきました♪(みつばの世界の中で(笑))

検事プリンセスの二次小説、時間軸も、話もランダムに書いているようで、
シリーズ話のほとんどは昨年中、シナリオが出来ていたので、こうやって、過去と未来の話がどこかで結ばれる時がきます…というか結ばれないと困る(汗)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「この道の先へ」中編です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この二次小説は、検事プリンセスのドラマ11話ラストから12話中
イヌがヘリの前から突然消えた時の話です。



小説の最後に登場人物紹介があります。




この道の先へ(中編)




翌日、

泊まっていたホテルをチェックアウトした後、
イヌは、ジェニーの実家に向かった。

「イヌ!!」

家から出てきたジェニーの母親は満面の笑みでイヌを出迎えた。
そして、イヌに両手を伸ばして、嬉しそうに抱擁した。

「まあ、久しぶりね。」

「ごぶさたしてます。おばさん」

イヌもジェニーの母親を抱きしめ返すと、そっと体を離した。

「ジェニーから電話で聞いているわ。仕事で来たって。
遠いところから来て疲れているでしょう?」

「いえ、昨日の夜はゆっくり休みましたから平気です」

「とにかく、家の中に入って。時間はあるのでしょう?」

「ええ、お邪魔します」

ジェニーの母親はウキウキした様子で、イヌを家の中に招いた。

久しぶりに訪れたジェニーの実家だった。
家に足を踏み入れたとたん、甘い香りがイヌを包んだ。

ジェニーの母親はイヌにリビングのソファの席をすすめた後
キッチンに入っていった。

「あなたが来るって聞いたから朝クッキーを焼いておいたのよ。
ジンジャークッキーとレモンクッキー。イヌは、子供の頃、この甘くないクッキーを喜んで食べてたって記憶してたから。今も好きかしら?」

「おばさんの料理は好きですよ」

「あいかわらず上手なんだから」

ジェニーの母親はクッキーを山盛りにした容器といれたてのコーヒーをイヌの前に出した。

「ありがとうございます。頂きます」

イヌは、ジンジャークッキーを一つ手にとって口に運んだ。

「ん…。美味しいです」

そう言って、クッキーを食べるイヌを、目の前に座ったジェニーの母親はニコニコして見つめていた。

「ちゃんと食べてる?少しやつれたんじゃない?」

「そんな事ないですよ。運動不足もあって、最近は気をつけなくては、と思っていたところです」

「そうなの?ジェニーにも言っておいてね。ワインはビタミン剤じゃないんだから、野菜のかわりにならないって」

…あの子、仕事に夢中になったりすると、ご飯もろくに食べない事があるから。

そう、ブツブツとつぶやくように言うジェニーの母親にイヌは微笑した。

「ジェニーも元気です。ああ、そうだ。これ。ジェニーから預かってきました。
おばさんとおじさんに渡して欲しいと」

イヌは、そう言って、ジェニーから預かっていた写真の入ったパッケージを差し出した。

ジェニーの母親はそれを嬉しそうに受け取った。

「あなたに、頼まなくても、あの子も一緒にアメリカに帰ってきたら良かったのに」

ジェニーの写った写真を見ながら、写真でなく、本人に会いたかったわ、というように母親が苦笑してソッと溜息をついた。
その寂しそうな顔に、イヌが申し訳ない気持ちになった。


「すみません。ジェニーには韓国で仕事をしてもらっています」

「分かっているわ」ジェニーの母親があわてて言った。

「ジェニーは韓国でうまくやっている?あなたの助けになっている?」

「ええ、いつも、とても助けられています。仕事もジェニーあっての事務所だと言っていいほどです」

法務法人「ハヌル」その事務所の代表はイヌだったが、ジェニーは共同経営者だった。
それに、国際弁護士としての資格も持っているジェニーの手腕は確かなものだった。

「そう」

ジェニーの母親はホッとした様子で息をついて、
目を落としたまま、娘の写真をデスクに置いた。

そして、

「ねえ、イヌ…」

ためらったように、聞こうか、聞くまいか、迷ったようなそぶりの後、
ジェニーの母親が口を開いた。

「あなたの目的が達成したら、ジェニーと一緒にアメリカに『帰って』くるでしょう?」

「それは…」

イヌは、ジェニーの母親の問いにとっさに答える事が出来なかった。

目的…。

父の無罪を証明すること。
それだけを目標に生きてきて、ここまできた。
韓国に戻ったのも、そのためだった。

そして、今目の前にいる女性の愛する養女、ジェニー・アンを韓国に呼んだのも自分だった。

養女とはいえ、ジェニーの養父母はジェニーを溺愛していた。
本当は韓国でなく、アメリカの、自分達の側にいてほしい、そう願っているに違いなかった。

イヌの心を読んだようにジェニーの母親がとりつくろうように言った。

「イヌを責めているんじゃないのよ。あの子が韓国に行ったのはあの子の意思。
貴方のサポートをしたいという事以外に、あの子には目的があったのだから…」

ジェニーが韓国に行った理由。

イヌの計画の為に協力する事。

そして、ジェニーの個人的な目的もそこにはあった。

「『ジェニーの目的』がかなったかどうか、本当のところ、どうなの?
あの子、電話でもあまり話してくれないから」

母親の問いにイヌは首を振った。

「僕も聞いてはいません。おそらく進展がないのでしょう。
それに、ジェニーは何かあったら真っ先におばさんにお話しますよ」

事実、ジェニーから、話を聞いていなかったイヌだった。
自分の計画の事で頭も手もいっぱいだったこともあったが、
最近は、違う事が心を占めていた。

…マ・ヘリの事。

自分の事ばかりで、ずっとサポートしてくれていた親友の事を
全く気にする余裕がなかった事に、イヌは、今さらながらに気づいた。
もしかすると、『ジェニーの件』にも何か進展があったのかもしれない。
でも、計画に必死になっている自分に遠慮して打ち明けられる事が出来なかったのかもしれない…。

心の中で、親友と、その両親への申し訳なさにいっぱいになっているイヌ。
それでもジェニーの母親は、安心したように「そうね」と微笑んでいた。

この後、
ジェニーの話や韓国の話をジェニーの母親とした後、
イヌは、ジェニーの実家を出る事になった。

「夫もあなたに会いたがっていたわ。もちろん、ジェニーにも。
今度は、是非、ジェニーと一緒に帰ってきて。ここで皆で食事しましょう」

「はい」

ジェニーは、母親の手料理を懐かしがっていた。

イヌがテイクアウトしたカントリー料理を、ジェニーが「母の味」と言って、嬉しそうに食べていた事を思い浮かべたイヌだった。

ごちそうになったクッキーもジェニーの大好物だった。


ジェニーは、『自分の目的もあるから』と言って、韓国に来てくれたが、
きっと、イヌの計画が成功したあかつきにはアメリカに帰る事だろう。

体に流れる血は韓国人だったが、ジェニーにとって祖国はアメリカで、
帰りたい場所は、この優しい養父母の所なのだ。

…僕が目的を遂げたら…、その時は…。

門のところまでイヌを見送ったジェニーの母親は「イヌ」と呼んで、
去ろうとしたイヌをもう1度振り向かせた。


「いつでも、又来てね。ジェニーも、あなたも元気で帰って来るのを待ってる。
あなたの目的が叶うのを心から祈っているわ」

「ありがとう。おばさんも元気で。さようなら」


父の無罪を証明する事を応援してくれる人達がいる。

ジェニー。そして、その両親。

幼馴染のジェニーの両親は、
ジェニーの親友のイヌを本当の息子のように接してくれていた。

それからもう一人。

イヌはその人物の元に向かっていた。

――‐しばらくして、
イヌは、ジェニーの実家からさほど離れていない家に着いた。

そして、チャイムを押した。

「イヌ」

中から出て来た初老の男が、イヌを嬉しそうに迎えた。

「父さん、ただいま」

「おかえり」

イヌの養父は、イヌを軽く抱きしめた。

イヌは、養父の優しいぬくもりに、目を閉じると、ホッと息をついた。

「3日ほど世話になりたいのだけど、いい?」

イヌの言葉に、養父が可笑しそうに笑った。

「世話になりたいとは、また他人行儀だね。君の実家だろう。
何日でも、好きなだけいるといいよ。君の部屋はそのままだ。荷物もそこに置いておけばいい」

「ありがとう。父さん」

イヌは、韓国に行くまでいた自室に向かった。


イヌは、部屋に荷物を置き、換気で窓を開けると、周囲を見渡した。

荷物は、ベッドにデスクと本棚。物はそれくらいしかなく、すっきりと整頓されていたが、
イヌが住んでいた時のままだった。

塵やほこりも無いことから、養父が時々掃除をしてくれているのが伺えた。

デスクの上に写真たてがあった。

そこには自分と母、そして養父の写った写真が入っていた。

イヌとイヌの母親がアメリカに渡って、養父と出会った時に一緒に撮った
唯一の写真。

韓国にはなぜか持って行くことが出来ずに、イヌが養父の家に置いていったものだった。

「・・・・・・」

イヌは、写真たてを手に取ると、ジッと見つめた。


12歳のイヌと、母、そして、今より若い養父がそこにいた。

母の横でイヌはぎこちなく笑い、反対側に、養父が優しく微笑んでいた。

母も微笑んでいる。
ただ、その笑みは、寂しげで、
父が生きていた時の明るく元気だった母のものではなかった。

しかし、

イヌと二人で異国で生きていく・・・そんな、
これからの厳しい生活に覚悟と決意を秘めたような瞳をして、
こちらを見つめていた。

その母の目が、15年たった今のイヌをジッと見ているようだった。


…イヌ。あの人の無念を晴らして…。


まるでそう語りかけているような母親の瞳。


「母さん…」

イヌは、写真の向こうの母親の視線に耐えきれなくなったように、目を細めた。

そのとき、

コトリ、と音がして、イヌはハッと後ろを振り返った。

開いたドアの向こうに養父がいつの間にか佇んでいた。

イヌと目のあった養父は悪びれもせず、ニッコリと微笑んで言った。

「お茶をいれたから、向こうで一緒に飲まないか?」

「うん、今行くよ」


イヌはそう答えると、写真たてをデスクの元の位置に戻して、部屋を出た。

養父の側を通り過ぎるイヌを見たあと、
養父は、部屋のドアをしめる前に、チラリとデスクの上の写真たてに目線を送った。


15年前にとった写真の中で、今はいない女性が、
養父を見つめていた。

…どうか、イヌを、あの子を頼みます…

15年前の女性の言葉を思い出しながら、
養父は悲しげに目を細めると、そっと後ろ手に部屋のドアを閉じた。



(「この道の先へ」中編終わり、後編に続く)



登場人物

ソ・イヌ(ソ弁護士)

マ・ヘリ(マ検事)

ジェニー・アンの養母
イヌの養父

ジェニー・アン…イヌの長年の親友。仕事のパートナー



ジェニーの養母登場。

そして、イヌの養父登場。

今はまだ二人とも名前を出してませんが、
今後更新予定の話の中で明らかになります♪

ただ、イヌの養父さんのイメージは、私の中で、勝手に
韓国ドラマの「チャングムの誓い」や「トンイ」に出ていた、チ・ジニさんです♪
…と言っても、チ・ジニさんはまだとってもお若いので、
養父さんが若かった時の姿って意味ですが(汗)あと、雰囲気ね。
好きなんですよ~。チ・ジニさんのあのやわらかい物腰と優しい笑顔が~♪

あと、養父さんの家に、イヌの部屋がそのままの状態であったこと。
でも、「聖夜の願い」「イヌと猫」で、アメリカに戻ったイヌはアパートで独り暮らししてます。それはどうしてか?…も、いずれ、二次小説の中で明らかに♪(こればっかり)


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「この道の先へ」前編です。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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この二次小説は、検事プリンセスのドラマ11話ラストから12話中
イヌがヘリの前から突然消えた時の話です。



小説の最後に登場人物紹介があります。




この道の先へ(前編)



地方法院の出口から、ヘリが出て来た。

足元はフラフラとおぼつかなく、顔は青ざめ、憔悴しているようだった。


…頭のいい君のことだ。

おそらく、自分がここに来て、初めて資料を目にした時と同じ事を考えたに違いない。

そして、15年前の事件資料を読んで、気づいてしまったのだろう。
…隠されていた真実に。

そして、そこから推察できる恐ろしい答えも導き出してしまったはず。


15年前の殺人事件。

その犯人が、父親、マ・サンテではないかと。


…とうとう、ここまで来たか。ヘリ…。

木々の影に佇んだイヌは、ジッとヘリの姿を目で追っていた。

動揺が激しいヘリは、車のキーをバッグから出そうとして、取り落としていた。

ヘリ…!

とっさに、1歩出した足を、イヌは、グッと踏みしめた。


いつものように、偶然を装って、彼女に声をかけてやりたかった。

―― マ検事さん。どうしたの?何か悩みごと?

そう言って、ヘリの話を聞いてやりたかった。


…自分がこの今の状況を計画した首謀者でなければ…。


己が考え、ずっと長い時をかけて、しくんだ事。
ヘリと“偶然の出会い”をよそおい、そして、交流を深めて、
この事件にヘリが辿りつけるように画策した。

今、そのシナリオ通りに事は動き、
ヘリは、15年前の事件の真相に辿りつこうとしている。

すべては、完璧なまでに計画通りだった。

…この痛み以外は。

イヌは思った。

彼女の辛そうな顔を、こうして物影で見るだけで、胸が押しつぶされそうだ。

でも、彼女をあんな風にしたのは、他の誰でも無い。この僕だ。

それを自覚していながら、
あんなに苦しそうな彼女を慰める事も、
支える事も出来ない自分が、恨めしい。


ヘリが、フラフラとした足取りで、自分の車に乗り込んだ。
それでも、すぐに運転出来ないのか、シートにしばらくほおけたように座っている。

…ヘリ。

イヌはスッと右手を上げた。


差し伸べた手は、遠くにいるヘリにはもちろん届かない。

そして、ヘリもそんな自分に気づいていない事は分かっていた。

シャラリ…と、イヌの手首に巻かれたブレスレットが微かな音をたてた。

『いつもありがとう。大好きよ。ソ弁護士』

そう書かれたメモと一緒にヘリから贈られたブレスレット。

…このブレスレットをした手を君に見せられたら…、
そして、この手で、君の頬を撫でてあげられたら…。


『ありがとう。マ・ヘリ。気にいったよ。どうだ?僕に似合うか?』

そう笑って、面と向かって礼を言えたなら…。

―― あの朝、エレベーターで会った時、
自分の腕を見た、ヘリのガッカリした表情をイヌは直視する事が出来なかった。

濃いサングラスで表情は隠されているはずだったが、イヌは目を閉じていた。

エレベーターを降りた後、たまらずに、「あれ、気にいらなかった?」と聞くヘリに、
「まだ見てない」とそっけなく言って、多忙を装って足早に去った。

後ろで、寂しげに肩を落として自分を見つめているヘリの気配を感じながら。

まるで、差し出したカップケーキを目の前で捨てられて、傷心している少女のようだった。
15年前の時のように。

いや…事実。ヘリは傷ついていた。

単純な彼女が、1度心を許した人間に、純粋な好意をまっすぐに示す事を、
ずっと尾行、調査していて知っていた。

だから、それが自分に向けられていると、このブレスレットを見て、確信した時は
衝撃を受けた。


…嬉しかった。とても、言葉に出来ないくらい。

それと同時に、息も出来なくなるほど、重苦しい思いにも囚われた。

何も知らないヘリ。

自分が本当は何者か知らない。
自分が、これからヘリに何をさせようとしているのかも。

何の疑いもなく、信じて、頼っている。

そんなヘリの事を、僕はもう受け止めてやることは出来ない。

シナリオは着々と進んで、

そして、今…、とうとう、ここまで来た。

やがて、彼女が本当の真実にたどりつくまで時間はかからないだろう。
そして、それを知った時、彼女は…そして、自分は…。


イヌは、伸ばした手の指を、遠くにいるヘリの頬を撫でるように動かした。


…この手は君には届かない。


イヌは、悲しげに手を降ろすと、ようやく車のエンジンをかけて、
走り去っていくヘリの後ろ姿を見送った。

そして、ヘリの車が完全に立ち去った後、イヌは自分の車に乗り込んで、
事務所に向かった。


「アメリカに?今から?」

事務所について、

今夜の便で、アメリカに発つという話をした後、
オフィスの荷物をカバンに詰め始めたイヌを、ジェニーが驚いた顔で見つめていた。

「どうして、また、こんな時期に?あの仕事の件の話だったら、別の者に行かせる事も出来るし、事務所の代表の貴方が直接動く必要はないと言っていたじゃない」

「いや、ジェニー。僕が行った方が話は早い。それに、済ませたい他の用事もある」

「他の用事って?」

怪訝そうに眉をひそめて聞くジェニーにイヌは答えずに、黙々と荷造りの作業を進めていた。

そんなイヌの横顔に、ジェニーはソッと息をつくと、「わかったわ」と言った。

「行き先はNYよね?」

「ああ」

「じゃあ、もし時間があったら、私の両親に渡して欲しい物があるのだけど、頼めるかしら?」

「いいよ。それは、空港に行く前に用意出来るか?」

イヌの問いにジェニーが微笑んだ。

「ええ。私のオフィスにあるものだから、今取って来るわ。そんなに荷物にならない物だから心配しないで」

そう言って、ジェニーはイヌのオフィスを出て行った。

イヌは、自分のいない間の引き継ぎを、他の弁護士に指示した後、
デスク周りを整頓して、ジェニーから、両親への贈り物を預かった。

小さなパッケージに入った、軽い物。

「写真よ」

ジェニーが言った。

「両親から、時々、私の写真を送りなさいって言われていたのよ。
送ろうと思いながら、最近ためててね。会ったら渡してくれる?」

イヌが微笑した。

「確かに預かった。ついでに君の話もしてくるよ」

「余計な事はふきこまないでよ。私の両親はああ見えて、結構心配性なんだから」

「わかってる。君の韓国での活躍やいい話しかしないから安心しろ」

「お願いね」

ジェニーが微笑み返してそう言った後、口をつぐんで、荷造りを進めるイヌを黙って見守った。

どこか不安げなジェニーの眼差しにイヌが気づいた。

「何か、言いたい事があるのか?」

「いえ…」

そう答えた後、ジェニーは思いとどまったように口を開いた。

「…あなたの方こそ、何か言い残しておくことは無いの?」

「仕事の引き継ぎは全部終えたと思ったが?」

「仕事の事じゃなくて…どれくらいアメリカに滞在するつもり?」


…仕事の件だったら2日もあれば片がつくはずだった。

なのに…。

「しばらくいるつもりだ。長引くようだったら、連絡をいれる。
それまでは休暇扱いにしておいてくれ。急な用件の時は電話かメールをくれればいい」

そう答えるイヌは、ジェニーにも他の用事の事を明かす気はないようだった。
そして、こんなに急にアメリカに発つ事になった経緯も。

…何があったのか予想はついているけど。

ジェニーは脳裏に、派手ないでだちと振る舞いの美女を思い浮かべた。

イヌから、ヘリが計画通りに動いているという話は聞いていた。
だが、何があったのか詳しい事までは知らなかった。

…二人の間で何があったのか、ということまでは。

ただ、少し前に、イヌがバーで飲んでいた時に、取り乱していた姿を知っていたジェニーは、今回のイヌの急なアメリカ行きの理由も薄々想像はついていた。

計画通りに進んでいる今、わざわざ韓国から、マ・ヘリから離れる理由を。


…分かっていて、自分にはどうしてあげる事も出来ない。
こうして貴方を黙って見守っていることしか…。

そうジェニーは、イヌの横顔を見ながら、寂しげに溜息をついた。


その夜

韓国の空港から、飛行機でアメリカに飛んだイヌは、
翌日、ホテルにチェックインした後、まっすぐに仕事先に向かった。

用事はすぐにすんだ。

わざわざ渡米するまでも無い仕事だった。

それでも、イヌはジェニーに、仕事が滞りもなく終えた事を告げる為に電話した。

『そう、お疲れ様』

ジェニーの労いの言葉を、イヌは、アメリカにいた時、いきつけだったカフェの席で聞いた。

遅めの昼食を取った後、大きなカップにたっぷりと入ったコーヒーを手に、イヌは、一息ついていた所だった。

「僕の留守中に何かあったか?」

そう聞くイヌに、ジェニーが一瞬ためらったような間をあけて言った。


『マ・ヘリが事務所に来たわ』

「…そうか」

…マンションの部屋を訪ねてくる事は想定していたが、
まさか、事務所の方にまで訪ねて来るなんて。

「何か言っていたか?」

『あなたの居場所を執拗に聞いていったわ』

「それで?」

『もちろん、アメリカに行ったという事は伝えなかったけど…一体何があったの?彼女相当取り乱していたわよ』

「15年前の真相に近づいていて、戸惑っているんだろう」

『それだけ?』

「どういう意味だ?」

電話の向こうで、遠い国にいる親友の浅い溜息が大きく漏れ聞こえた。

『彼女、こう言ってたわよ。“自分達は何でもない仲だけど、ソ弁護士なら、自分の電話に出てくれるはずだ”って。』

…自分が助けを求めたら、すぐに来てくれるはずだと信じてる。

ヘリが、イヌに全幅の信頼を置いている事を証明するような言葉だった。

イヌは、その言葉をヘリから直接聞かなくて良かったと思った。

『本当のことを言っておくべきだった?』

ジェニーが心配そうな声色で言った。

「…いや、それでいい」

イヌが続けた。

「もし、彼女がまた事務所に来たら、同じように応えてくれ」

ソ・イヌの居場所は知らないと。

『…たぶん、もう来ないと思うけど』

ジェニーの言葉にイヌも心の中で同意した。

「引き続き、事務所の指揮と仕事の件は君に任せたよ。僕は明日、君の両親に会いに行くつもりだ」

『そう。父と母によろしく伝えて』

「ああ、じゃあ、また」

そう言って、イヌはジェニーとの通話を切った。

残り少なくなったコーヒーを飲み干すと、イヌは、カフェのテラス席から
通りを歩く人々を眺めた。

久しぶりに戻った場所だった。

韓国と違って、通りにはさまざまな人種の人間達がひしめいている。

長年暮らした国。
見知った街、歩き慣れた通りだった。
時間はたっても、さほど風景は変わってはいない。

何故か懐かしいという感情は無かった。

だけど。

イヌは、空を見上げた。

晴れた空の向こうに続く、遠い祖国が、
まだ、離れて、わずかしかたっていないはずの国の空気が、もう恋しい。

そして…

『何でもない仲だけど、ソ弁護士なら、私の電話に出てくれるはず』

記憶の中で、

くれたブレスレットをまだ見ていない、と自分が言った時の
ヘリの顔が浮かんだ。

事務所を訪ねて、必死でイヌの居場所を聞いていたというヘリ。

…あんな顔をしていたのだろうか。

置いてきぼりにされた子供のように、強がっていたのだろうか。

寂しそうに、泣きそうな顔で・・・。

「ヘリ…」


イヌは、目を閉じても、心にはっきりと浮かんでくる
ヘリの悲しげな顔に、手を強く握りしめた。



(「この道の先へ」前編終わり、中編に続く)



登場人物

ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

ジェニー・アン…イヌの長年の親友。仕事のパートナー



ドラマ中のあの空白のイヌの部分を、みつばなりの妄想して書いた二次小説ですが、
今後のみつばの検事プリンセス二次小説の更新予定話の伏線が多く含まれています。

シリーズの次回作の伏線もありますし、その次の話のもありますし、
おそらくその間くらいにスタートしなくては、そろそろヤバイ(苦笑)
ジェニー・アン主役の二次小説「弁護士プリンセス」の伏線も入ってます。

イヌ視点の暗めの話ですが、そういう点をふまえて読んでみてくださいね♪

11話ラストで、イヌがしていたヘリからもらったブレスレット。
あの後、どうなったのか?という話は、
みつばの二次小説「100日記念日3」でご確認ください♪

…えーっと、ブレスレット、プラチナとか書いてますが、
素材はシルバーの間違いです。
プラチナだったら、とんでも無い値段になるから。
100日記念日って、本当にある意味伏線いっぱい入った大事な話なのに、
記述の間違いが多かったな~(汗)


コメントレス的な話。

そうです。
今週は、「みつばのたまて箱」にとって特別な日があります♪
知っているというか、覚えていて下さってありがとうございます!
いや~…とうとうここまで来ました。正直自分でもびっくりですけど。


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この前(かなり前?)に紹介した「ピュア・ラブ」に続いて、
本日は、みつばがはまった日本ドラマのご紹介雑記です。



今日の紹介はコレっ!!





天国に一番近い男 DVD-BOX天国に一番近い男 DVD-BOX
(2010/05/07)
松岡昌宏、奥菜恵 他

商品詳細を見る




みつばが大好きな日本ドラマ、マイベスト5に入っているドラマ。


「天国に一番近い男」



もうっ。

大好きでした。

何回も再放送してましたが、何回見てもはまりました。
そして、何回も感動して、何回も泣きました。

TOKIOの松岡さん主演。陣内孝則さん、その他、
今見ても、私の好きな役者さんばかりそろってます。

松岡さんの演技も好きなのですが、陣内孝則さんが大好きだったので、
松岡さん演じる駄目男をサポートする「天使」の陣内さんがとってもいい感じでした♪


実際、誰にでも守護天使はついている、ということ。
もし、みつばにいるとしたら…。今、妄想するなら、


「検事プリンセス」のイヌみたいな人がいい~♪



やっぱり~。
イヌ天使には、白いシャツに黒っぽいスーツ着て、濃いサングラスは必須でしょ♪(笑)

イヌ天使は、どこかSで意地悪っぽいの。口調が(みつばの勝手なイメージ)
皮肉とか言うし、からかってばっかり。いたずらもする。
でも、肝心な時にサポートしてくれて、そして、かっこいい顔見せてくれて、
優しいの~~~♪料理なんかも上手でしょ。きっと。


そんなイヌ天使にいて欲しい~♪


はいはい。…な感じで(笑)

・・・って、妄想がまた、とんでも無い方に飛びましたが、


とにかく、「天国に一番近い男」

「教師編」もありましたが、私は、この「MONOカンパニー編」が好きです。

毎話、神様の課題をクリアしなければ、即死亡という事。
主人公の男が、自らを天使という、うさん臭い男にサポートされながら、
その課題に悪戦苦闘しつつ、だんだん人間として成長していく話。

恋も、友情も、仕事も手に入れていく。
そして、仲間から信頼される人間になっていく姿に感動♪

そして、ラストも。

これ後に単発のスペシャルが2本あって、最後に本当に完結。


これも、DVD欲しいな~と思いつつ、
ひと昔前だから、やっぱり出ないか~…ってあきらめぎみだったのが、

出ました!!っていうか、出てました!!

DVDレビュー見たら、やっぱり、みつばと同じように思ってた人が
全国に沢山いたって事が分かって嬉しかったです♪

ですよね?だから、何回も再放送してたんですよね♪

いい物って、いつ見ても、何度見てもいいです♪

最近、こうして、みつばが昔どはまりした日本のドラマ達が
どんどんDVDBOX化しているのを発見してます。

もう。話や台詞覚えるくらい見たけど、見たらやっぱり感動して泣くのだろうな~。

…という、今回は、みつばのはまった日本ドラマの話でした♪


まあ、何を言っていても、
今は、まだまだ、どはまり中の「検事プリンセス」と結びつけるでしょうけど(笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次創作。

みつばの4コマ漫画
恵理(ヘリ)ちゃんと仁優(イヌ)くんシリーズ49です。

他の4コマ漫画作品は、検事プリンセス漫画INDEXからどうぞ♪

4コマ漫画は、完全にコメディタッチなので、
「検事プリンセス」のドラマや、キャラクター、
このブログの二次小説のイメージが崩れると思われる方は
スルーでお願いします。

どんなヘリもイヌもOKという方はご覧ください。↓

今回の話は、検事プリンセス二次小説「優等生SP-戯事-5」で、
ヘリがセクシーランジェリーをイヌの前でお披露目した時のシーン。
イヌが、想像以上に真面目な顔をしていた…のですが、
その時、イヌが実は何を考えていたのか?・・・な、話です。


大人向きなので、精神的に大人の方だけ読んでね♪


その時イヌは?



   その時イヌは



いつも通り、おバカなオチ(笑)

みつばもよく言われます。

人とご飯やお茶を一緒にしている時に、
ふと、考えこんじゃうんです。

そうしたら、周囲の人に、

「どうしたの?今すっごく真面目な顔で考え事してたけど、
何か深刻な悩み?」

と、心配されちゃう時があります。

「ううん、たいした事ないよ」ってあわてて否定して、


『検事プリンセスのイヌ×ヘリの大人話を妄想してたんだよ。
あーんな事や、こーんな事をしているイヌ×ヘリをね~♪』

…なんて、口が裂けてもカミングアウトできないって
心の中で思ってます(笑)


イヌ役のパク・シフさんが口元や顎に指をあてて、フッと微笑んでたり、
真面目な顔をしている画像ってよくありますよね。

あれ、見るたびに、それがイヌっぽい画像なら、尚更、

ヘリの事考えてるのね♪って妄想しちゃいます。

…何を考えているのかは、分かりませんが(笑)

2コマ目は実際にパク・シフさんの画像を元に描いたのですが…、
やっぱり似てない上に、すごく難しかったです(涙)


コメントレス的な話。

ヘリの誕生日話は、今後、更新予定に入ってますよ♪
ヘリの誕生日を結局、いつにしたのか…というのは、
秘密ですが。イヌの誕生日、9月24日を考慮にいれて、
占いとか取り入れて(笑)、勝手に決めました。



ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます♪
漫画やイラストも描いちゃいますが、
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検事プリンセス、みつばの二次小説、イヌとヘリの大人話シリーズ。
優等生SP-戯言-」の件。

みつばは、イヌ×ヘリの大人話を書く時は、
行為に重点じゃなくて、イヌとヘリのラブラブ重視で書いてるつもり。
なので、基本、「初めての夜」から進歩したようで、書いている事は変わってないです。

あと、

これ、-戯事-って副題つけたので、もしかすると、「優等生SP」自体がシリーズ化したりするかも…?さらに、SPの次はDX(デラックス)?←どうなっちゃうんだろう?

イヌが媚薬入りのキャンディまるごと1個食べたらどうなるのか?
…ってちょっと考えたら、書いてみたくなりました♪
あと、ヘリが他のランジェリーや服を着たお遊び話とか。

それは、次回のシリーズ長編の続きの話が完結後くらいに書けたら更新したいです♪

先週~今週もずっとリアル生活は、バタバタしていたので、
更新は厳しいかも、と思ってたのですが、

元々、「優等生SP」は少しずつ書いていた事もあったのですが、
ほとんど、あっという間にサクサクっと全部書きあげられました♪

「埋もれた約束」1話を書く時間で全話書けるくらいのスピードで(笑)
「埋もれた約束」と話の密度と重みが全然違うので、当たり前なんですけど。

おかげで、毎日更新している間に、用事や仕事を少し片付ける事が出来ました♪


次回の二次小説の更新の話をすると、

「検事プリンセス」のシリーズ話は、再び、シリアス路線です。
ある意味、今までのみつばの検事プリンセス二次小説の中で一番シリアスかも(汗)

埋もれた約束」より長編にならない予定ですが…いえ、分かりません(汗)
だって、「埋もれた約束」も12話くらいで当初終わると思ってたから。

次回も山場になりそうですが、楽しんで書きたいな~…。

話は変わりますが、イヌ役のパク・シフさん。

日本での「王女の男」のプロモーション収録を終えて、
その放映は6月22日にあるようです♪
これは楽しみにしてます♪

あと、今週からパク・シフさんのファンミーティングのDVD販売予約が始まるようですね。

映像だけでなく、いろいろ、おまけつきのようです。

パク・シフさんの公式ファンサイトに詳細があります。

その紹介のページの画像が、イヌ写真なんです(涙)
もう、最近は、イヌっぽい、パク・シフさん画像見るだけで泣きそうになります。

ここしばらく、忙しすぎて、動画サイトのイヌにも会いに行けなかったのですが、
ひさしぶりに見たら、


やっぱり、イヌが好きだ――‐っ!!!


って思いました(笑)


そういえば、最近あった面白い話。

携帯電話の待ち受け画像、検事プリンセスのイヌとヘリの写真にしてるのだけど、
それを、知人に見られた時のこと。

「それ、みつばさんのご主人?」

え・・・?

どこにつっこんだらいいの?

まず、

相方と2ショットを待ち受けにしないし!って事か。

ヘリがみつばに見えたわけ???って事か。

知人…あなた、私の相方に会った事あるよね?
似てるの?イヌに似てるって見えるの!!?…って事か。


…ええ、知人、視力があまり良くない上に一瞬だったからだと思います。
あ~びっくりした~(苦笑)

そんなこんなで、(何がそんなこんななのか(笑))
↓ヘリのセクシーランジェリーイラスト、描いてみました♪


   ヘリセクシーランジェリー


「優等生SP」のではないですけど。
セクシーランジェリーのモデルさんの画像を元に、
ランジェリーは自分でアレンジして、ヘリイラストとして描いたもの♪

元画像はもう少しシックな黒だったのですが、
それもヘリに似合うな~って思いつつ、
ヘリカラーのピンク色つかって、可愛いリボンを多用してみた♪

もしかしたら、「優等生SP」の最終話、
イヌがジョンナンの店でこんな新しいランジェリーを購入してたかもって。

モノクロで描こうとしたのですが、
やっぱりカラーの方が楽しかった♪(色塗りが上手く出来ないけど)
もう少し透け感が欲しかったな~…。

そして、これを描いたら、他のランジェリーヘリもいっぱい描いてみたくなりました。
ブログで更新出来るギリギリの範囲まで♪きっと、イヌだって見たいはず(笑)


でも、セクシーランジェリーって、最近(?)のは、
本当に可愛くて、安くて、お手頃ですよ♪
そんなに派手じゃないのもあるし、繊細な作りに見えて、
洗濯機でガシガシ何度洗っても、痛まないほど丈夫だし
…って、なんでレビューレポートみたいな事書いてるんでしょうね(笑)


コメントレス的な話。

「優等生SP」のイヌと「埋もれた約束」のイヌ、
同一人物なんですよね。自分で書いていて不思議でした(笑)
ドラマ7話のヘリにバケツ使って水差しいれるイヌの
ような、いたずらっこイヌです♪


イヌ…パク・シフさん、帰国されたのですよね?
久しぶりに、公式ファンサイトで、御姿拝見しました♪
…同じ事思いました。…どうされたのでしょう(汗)


ブログへ拍手、拍手コメントありがとうございました♪


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生SP-戯事-」最終話、第9話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は「優等生」シリーズの最新作です。
「優等生」シリーズとは、段階を追った?(笑)イヌ×ヘリの大人話です♪

小説の最後に登場人物紹介があります。

(警告)
この話には、大人向けの描写や表現が含まれます。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。




優等生SP-戯事-(最終話)



ヘリが、幾度目かの強い快感を体感したあと、
イヌの体も快楽の頂点に達したようだった。

肩で荒い息をついて、ヘリの体からゆっくりと出ていったイヌは、
下腹部につけた装着具をそっとはずした。

そして、それをベッド脇に置かれたゴミ箱に捨てると、
サイドボードの上のケースに手を伸ばした。

「イヌ…?」

息をととのえながら、そんなイヌを不思議そうに横向きで見つめるヘリ。

イヌが、ケースの中から新しいアレのパッケージを1つ取り出していた。
そして、それを歯で引き裂くと、ヘリの目の前であっという間に装着した。

「もう1回しよう。ヘリ」

いたずらっぽい口調で、
でも、余裕がないような様子で、身を伏せて、
早急に事にあたろうとしているイヌに、ヘリが慌てたように聞いた。

「できるの?」
…こんな連続して。

「やりたいから、やるんだよ」

そう言って、再び、ヘリの体に自身を埋め込むイヌの衝撃に耐えながら、
ヘリは、呆れたように苦笑した。

確かに、イヌの体は、まだ十分に余力を残しているようだった。


…もう。こっちの事情はおかまいなしなのね。


「もしかして、イヌも『媚薬』でおかしくなっちゃった?」
…少しだけでも舐めたから。

体の下で、おかしそうに聞くヘリに、イヌは黙って微笑んで見せた。


…違うな。

これは、あの甘い菓子のせいじゃなくて、
“マ・ヘリ”という『媚薬』のせいだ。

君が悦ぶ姿に、僕のタガがはずれたみたいだな。

イヌがニヤリと笑って、サイドボードをチラ見した。

「君のおかげで、アレはたっぷりある。今夜は、心おきなく、存分に『遊べる』な」


…ハ・ジョンナンさん~・・・


ヘリは、うらめしげにアレのケースを眺め、
ケース買いをすすめた店の女主人の顔を浮かべて溜息を1つついた。

でも、ヘリ自身、まだ、おさまりきらない体の熱を持て余していたのも事実。

イヌの背中に手をまわすと、
ヘリは、再びその熱い体を受け入れて悦びの声をあげた。



長い時間がたって―――


『遊び』疲れて、

ヘリもイヌも、ようやく、満たされた体をベッドの上に沈ませていた。


二人の汗と、玩具の1つだった液状の物で、ベッドのシーツがジトリと湿っていたため、
息を整えた後、二人は一緒にシャワーを浴びることにした。

汗と液でベトベトしたお互いの体にシャワーをかけあって、
クスクス笑い合いながら、泡立てたシャワージェルを体にぬりあって洗った。


こうして、

運動以上に、激しい『遊び』を終えた二人は、さっぱりと体を流し、
心底満足げな顔で、バスルームを後にした。

「ふーっ」

ヘリが、息をついて、冷蔵庫から冷えたお茶を取り出すとグラスに注いでイヌに渡した。

そして、自分の分を一気に煽ると、ベッドに敷かれていたシーツを剥いで、
クローゼットから取り出した新しいシーツをかけた。


使用していたシーツを洗濯機にほうり込んで起動させると、
ヘリはイヌの所に戻ってきた。

目線を、洗濯機の方に向けながら、ヘリが戸惑ったように口をひらいた。

「やっぱり、あの媚薬入りのキャンディ、科学分析室で調べてもらった方がいいかしら?」


汗と液だけでなく、シーツがあんな状態になるほど、乱れたことが、
事が終わって、我に返ったように恥ずかしくなったヘリだった。

自分がイヌに言った言葉も全部覚えていた。

あれは、全部『媚薬』のせいで言わせられたに違いない。

恥ずかしさのあまり、そう思いこもうとしたヘリだった。

…こんな効果があるなんて、やっぱり何か違法な物が入っているのかも…。

ヘリの言葉にイヌが、苦笑した。

「もう、証拠は残ってないのに、どうするんだ?それに、検察にはどうやって説明する?
自分が身をもって効果のほどを試してみた、とでも報告するのか?」

「・・・・・・」

ヘリは、気恥かしそうに、イヌを睨みつけた。

「アルコールは入ってたようだけど、気分的な効果だろう。自己暗示のような。
君は思いこみが激しいところがあるから、『媚薬』という言葉に強い反応を示しただけだ」

「そうなの?」

イヌがうなずいた。

「なんなら、その店でもう1度、あのキャンディを購入するといい。
今度は僕も1個食べてみるから」

「い…、わ、分かったわよ。もう検証は十分よ」

…イヌにあのキャンディを食べさせて、本物の『媚薬』だった時どうなってしまうのか、想像しただけでおそろしくなるヘリだった。


ヘリは、動揺を誤魔化すように、あせって、
サイドボードの上の物を片付けはじめた。

「これは、残っているけど捨てていいわね」

…食品だから、残しておいても不衛生だし。

ヘリが、チューブの容器を手にとってゴミ袋の中にいれた。

着ていたランジェリーは、今シーツと一緒に洗濯機の中で洗われている。

…かなり乱暴に使用した気がするけど、破損個所は無かったから、
又使用することがあるかもしれない。

想像して赤面した顔をイヌから伏せて、ヘリは手を動かしつづけた。


アレがまだたっぷりと残っているケースをベッド近くの棚の下に隠したヘリは、
床に転がったままだった『玩具』に目を落とした。

ヘリは、それを拾い上げて、除菌ティッシュで表面を拭いた。
そして、箱にしまいなおすと、それを紙袋の中にいれた。


…これはどうしたらいいのかしら?

そう困惑していたヘリに、イヌが後ろから紙袋を取り上げると言った。

「これは僕が預かっておくよ」

「え?」

ヘリは、イヌの言葉に驚いて、刺激的な戯事で疲れ果て、
もう後は寝るしかないと思っていた身体を勢いよく振り向かせていた。

「預かるって、あなたが持っていてどうするの?」

「また使えるだろ?」
そう、言ってニヤリと笑うイヌに、ヘリは目を細めた。

「…所詮玩具だって言ってたじゃない」

「飽きるまでは楽しめる」

しれっと言って肩をすくめてみせるイヌに、ヘリは
…イヌの飽きるっていつ来るのかしら?と真剣に悩み始めた。

イヌの部屋に泊まるたびに、しばらくはこれを出される可能性があるなんて…。

「…あなたに預かってもらうくらいなら、うちで保管しておくわ」

「駄目だ。僕が預かる」

「なんでよ?」

やっきになって、紙袋の持ち手をひっぱるヘリの手をイヌがそっと外した。

「僕がいない時に君がこれで“一人遊び”でもして満足されるのは嫌なんだよ」

「!!っ」

…なんですって~~~!?

ヘリは、真っ赤になって、口をパクパクさせた。
あまりの事に、とっさに反撃する言葉すら出てこない。


「もう。このバカ、バカ、バカーっ!!」


ヘリは、ベッドの枕をかかげると、イヌの方に連投させた。

それを軽くかわしながら、イヌが楽しげな笑い声をあげていた。


そして、落ちた枕を拾い上げて、ベッドに戻すと、
怒ったように頬を膨らませて、拗ねている恋人の前に立った。


「『お遊戯会』楽しかったよ。…君は?」

「…言わせる気?」

ヘリが、唇をとがらせて、ツンっとそっぽをむいた。

やれやれ。

イヌが、ふーっとわざとらしく溜息をついた。

「媚薬が切れてしまったみたいだな。素直な君がどこかに行ってしまった。
あの『可愛いヘリ』がとても気にいっていたのに」

からかいながらも、本気で言っているらしいイヌに
ヘリはますます居心地の悪そうな顔になって、そっけなく言った。

「残念でした~。もう帰ってきませ~ん。マ・ヘリは優等生に戻りまーす」


ヘリの言葉にイヌが噴き出して、つられてヘリも一緒に笑った。

…楽しかったけど、こういう刺激的な遊びはこれきりね。

結局、紙袋に片付けた、『玩具』は、ヘリの納戸の中で封印されることになった。

しかし、

紙袋を納戸に持って行くヘリの後ろ姿を、イヌがジッと見つめていたことにヘリは全く気づいていなかった。




後日、


ヘリがイヌの部屋に泊まりに行った時のこと。


イヌがニヤニヤとした笑みを浮かべて、紙袋を手に持って来た。

見覚えのある、ファンシーで可愛い柄の紙袋。


大人の玩具が入っていて、ヘリの納戸に封印したはずの紙袋だった。


「ちょっと…もう、それ、どうしてここにあるのよ!?
私の部屋の物置にあるはずでしょ?いつのまに持って行ったのよ」

ヘリがびっくりして、イヌにくってかかった。

「よく見ろ。ヘリ。これは君の部屋にあるやつじゃない」

「え?」

ヘリは、紙袋をよく見た。

明らかにハ・ジョンナンの店の紙袋のはずだったが、真新しい感じがする。


「…うそ」

ヘリが、うろたえて、つい洩らした声に
イヌが、いたずらっ子のような笑みをうかべて、紙袋の中身を取り出した。

そして、ジョンナンの店の『新製品』グッズをヘリに見せた。

「どうして?」

心底狼狽して、あわてふためくヘリに、イヌはニヤリと笑って言った。

「店で買った」

「店で買ったって…どこの店?」

ヘリがおそるおそる聞いた。

もう答えは見えているけど、そうでない可能性を1パーセントでも信じたいヘリだった。

イヌが、とぼけたように上目づかいになった。

「そういえば…“店のママさん”が、マ検事によろしくと言っていたな」

「!!!」

次の瞬間。
ヘリがバッと立ち上がり、まわれ右してイヌの玄関の方に向かった。
そのまま脱兎のように逃げ出そうとしたが、アッと言う間に行く手をイヌに阻まれた。

猟師においつめられた兎のように身を震わせたヘリの体を難なく捕らえたイヌは、
楽しげに、ヘリを引きずるように部屋の奥に連れ戻していた。

そして、

「ああ、そうそう。ママさんから君への伝言を預かってるよ」と言った。

「…なに?」

イヌがヘリの顔に顔を近づけた。

鼻と鼻が触れそうな距離。

イヌの残酷に煌めく瞳の中に、
激しい羞恥心で泣きそうなヘリの顔がうつっていた。

「“この前差し上げた物、楽しんで頂けましたか?”だってさ」

「・・・・・」

「ひさしぶりに会って喜んでくれてね。僕にもたくさんサービスしてくれたよ。
『彼女』と一緒に使ってねって。ついでだから言っておいたよ。僕の彼女の名前をね」


イヌの頬笑みが、悪魔の舌舐めずりのように感じたヘリだった。


イヌが、楽しげに、一音、一音、歌うように言った。


「マ・ヘリ、さん?」


「~~~~~~~」

抵抗する力もなく、そのまま、ズルズルとイヌにベッドのところまで連れてこられたヘリは、真っ赤な顔で、半べそをかいて、イヌを見上げていた。

「泣かない。泣かない」

イヌが、小さい子をあやすような猫撫で声を出して、
涙ぐんでいるヘリの頬を手で優しく撫でた。

そして、顔をヘリの耳元に近づけて言った。

「今夜も一緒にいっぱい遊ぼうか?」
…新製品で。

笑いをかみしめた、でも、すでに、『男』モードに入って低く囁くイヌの声に、
ヘリは、耳をふさぐかわりに、目をギュッと閉じた。


…もう絶対あの店には行かないんだから。


ヘリが行かなくても、ここに常連になる男がいそうだという発想は
この時のヘリの頭には浮かぶ余裕すらなかったのだが…。

「ほら、これ、今度は、チョコバナナ味だぞ。ヘリ。
例の媚薬入りキャンディも2個。僕の分もある」

そっと目を開けると、

チューブとキャンディの箱を持って、悪ガキの少年のようにはしゃぐイヌが目の前にいた。
新しい玩具やお菓子をもらった子供のような表情に、ヘリは心ならずも微笑んでいた。


見つけてしまった玩具での新しい“遊戯”に当分の間は、飽きる気配はなさそうな顔。


とにかく、こうして、

「新製品の性能はどうなんだろうな?」と嬉々として玩具を手にするイヌと、
それを身をもって試される確実な予感に、ヘリは、

――‐こうなったら、とことん楽しむまでよ。


…と、なすすべもなく、ひらきなおって、ベッドの上で
アハハハハ…とひきつった笑いを浮かべていたのだった。



(終わり)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)



「優等生SP-戯事-」完結です♪。詳しいあとがきは次回♪としても、
スペシャルって感じ出せたのかな~?質問がこなかった所を見ると、
内容は分かったって事でいいんですよね?
「みつばのたまて箱」の読者さんは大人の方ばかり♪←じゃないと困るけど(笑)


(お知らせ)
検事プリンセス夢小説INDEXに「LOVE編」更新しました。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生SP-戯事-」第8話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は「優等生」シリーズの最新作です。
「優等生」シリーズとは、段階を追った?(笑)イヌ×ヘリの大人話です♪

小説の最後に登場人物紹介があります。

(警告)
この話には、大人向けの描写や表現が含まれます。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。




優等生SP-戯事-(8話)



濃厚なキスを続けたあと、イヌが、そっと体を起した。

そして、ベッドのサイドテーブルの上に置いていた、
アレがダース入りで入ったケースを掴んで、ヘリの目の前で中を見せた。

色とりどり、デザインいろいろの小さく薄いパッケージ。
大人の“遊び”のマナーとして使用する物。

「どれがいい?」

この際、中味は同じなので、
もうパッケージの外装などはどうでもいいように思われたが、
せっかくだ。こういう所も楽しまないと…というような
イヌの問いかけに、ヘリが、思わず笑った。

「んー…じゃあ、このウサギさんの」

自分の中味が、これから何に使用されるのか分かりません。とでも
言っているように、可愛く首をかしげているウサギのイラストのパッケージ。

イヌは、選んでしまったら、もう用済みとばかりに、
そのパッケージを乱暴に引き裂くと、中味を取り出して、手早く装着した。

そして、ヘリの腰を両手で捕らえて、下半身の位置を動かし、
己の体の中央に向けた。


ヘリの体は、まだランジェリーのセットをそのまま着た状態だった。

ブラジャーも、ガーターベルトも網タイツも、ショーツも。

「イヌ、…ショーツは…」

…このまま脱がなくていいの?

そう眼差しだけで戸惑ったように問うヘリに、イヌがフッと笑った。

「これはそういう下着だろ?」
…もう、さっきので分かっていると思っていたが。

「・・・・・・」

布が中央で二枚に分れているショーツ。

『脱がなくても出来るようにですよ』

ようやく、店でジョンナンが言っていた意味が分かったヘリだった。

「せっかくだ。このままするぞ」

そう言ったイヌが、行為を始めた。

「あ…っ…くっ」


中心部に打ちつけられていく猛るイヌの重い衝撃に耐えるように、
ヘリが歯をくいしばるような吐息をもらして体を逸らした。

上も下もランジェリーをつけたままの状態で。
自分には見えないが、つけているという感覚が不思議だった。

…ランジェリー観賞会とは、また違った感じ。
イヌにはどう映っているのかしら?

知らず知らずに口から洩れる喘ぎ声をあげながらも、
ヘリは、自分を見つめながら行為を始めたイヌの様子が気になっていた。


「イヌ、どう…?…このランジェリー気にいった?」


…そんな事がまだ気になっているのか。

すでに、行為に没頭していたイヌは、
ヘリの問いかけに苦笑した。

ヘリの美しい裸体に、申し訳程度についた薄い布地のランジェリー。

清純さをイメージさせる、まっさらな白という色も、
エレガントさをかもしだすレース使いも、ヘリにぴったりだった。

それなのに、胸の頂きを可愛くのぞかせるブラジャーと、
肝心な時に行為の邪魔をしないショーツのデザイン。
それらが、うっすらとピンク色に上気したヘリの体に妖しい色をそえていた。

「ああ、気にいったよ」

イヌが素直に感想を述べた。

「君に似合う」


…嬉しい。

ヘリが、照れたようにはにかんだ。

ヘリのその顔が、あまりにも清らかに見えて、
イヌの黒い欲望が、それをぶち壊してやりたいとう強い欲求にかられた。

イヌは、腰を進めながら、
ベッド脇に放置していた玩具に手を伸ばした。

スイッチを押して、イヌは玩具を作動させると、
それをヘリの下腹部でむき出しになっていた部分に押しあてた。

ビクっと体を震わせたヘリだったが、
次に、本気で嫌がっているように、顔をしかめた。

「やだっ。それ、・・・もう、嫌っ」

「そうなのか?」

それでも、尚も続けるイヌに、

涙でぐしゃぐしゃになった顔をゆがませて、
ヘリが激しくかぶりを振っていた。


それが媚薬入りだと言われたキャンディのせいかは分からなかった。

いつも以上に甘い熱に浮かされて熱くなっている体。
その奥の方から「もっと、もっと」と求める強い快楽の要求に、
ヘリの理性が完全に崩壊しているようだった。

恥じらいも棄て、なりふりも構ってなんていられない。

ただ、貪欲に快感とイヌを求める事しか頭に無かった。

「イヌがいいの。イヌだけが欲しいの」

ヘリが荒い吐息の中、甘い声を発していた。

体を重ねる前に、さんざん気分を盛り上げてくれて、そして、快感を与えてくれた玩具だったが、こうなった今となっては、イヌの体と比較して、その無機質な硬さと冷たさがかえって邪魔な存在になり果てていた。

体の奥を突き抜ける熱さも、体をまさぐるものも、快感を与えるものも、

…全部、イヌにして欲しい。

そんなヘリに、イヌもほとんど理性のタガが外れそうになっていた。

自分の腕の中で、

美しい裸体を上気させ、髪の毛を振り乱し、
感じすぎた体の熱に耐えられなくなったように涙を流して、懇願しているヘリ。

「…お願い。イヌがして」

赤く艶めかしい唇から洩れる喘ぎ声はたっぷりと濃厚な色気を含んだ女の声なのに、
純粋なヘリの心そのままに、紡ぎだされる言葉が、あまりにも可愛い。

それらが全部自分に向かって発せられているもの。
そして、自分を激しく求めている証だと頭で分かる前に、
体と心が反応してしまう。

可愛くて、愛しすぎて、これ以上、どうしたらいいのか分からなくなる。

…いっそ、ヘリを抱き壊して全部自分のものにしてやりたい。

ふつふつと沸いてくる甘く残酷な欲望。

いや・・・

イヌは思った。

…君は全部僕のものだ。ヘリ。

確かに、今、これはもう用済みだな。

イヌは、手に持っていた玩具のスイッチを切ると、
ベッドの外にぞんざいに転がした。


「君の望む通りにしてやるよ」

イヌが、ヘリの耳にそう囁いたあと、頬の輪郭をなぞるように舌を這わせていった。

…君の求めるところを余すことなく、全部、僕で埋めてやる。


「…うれしい」

ヘリがうっとりとした顔で言った。

その顔に、再び強く煽られたイヌが腰の動きを激しくした。

その動きに、ヘリが、たまらずに嬌声を上げた。

「やぁっ…また、イっちゃうっ」

「いけよ。何度でも」

イヌが言った。

「イヌっ。私、何か…おかしくなってる」

ヘリが、熱に浮かされたうわ言のように、喘ぎながら言葉を吐きだしていた。


いつもなら、どんなに行為に没頭していても、
イヌの腕の中で理性を無くしていても、
育ちの良さからか、完全に乱れないように自分を抑制出来ていた。

でも、今は、これまでの人生で培った自分の無意識すら破壊しようとしている。

…これは媚薬のせいなの?


ヘリは、先ほど舐め食べてしまったキャンディがやはり、媚薬だったのだと、確信した。

自分でも聞いていて、ゾクゾクするほど艶やかな嬌声が喉元から絞り出され、
喘ぎ声も口元から、だだ漏れている。

もう恥ずかしさをほとんど感じない。

イヌとつながっている部分が熱くて、熱くてたまらない。

イヌがもっともっと欲しい。

そう、心がすべて快楽という悪魔に乗っ取られたように、勝手に動く体が止められない。

この状態はそう。

アルコールを摂取しすぎて、ハイテンションになっている時の状態に似ている。

ヘリは、甘い熱に浮かされて、ぼけた視界の中で、
自分を見つめる恋人の男の視線と思いが気になった。


「…イヌ、私…へん?…すごく変になってる?」

…呆れてる?

そう、涙声で聞くヘリにイヌが首を振った。

「いや」

イヌは向かいあわせで体を重ねているヘリの頬に手をあてた。

「すごくいいよ。へり」
…君の全てにそそられている。

イヌの甘く低い声が、ヘリをさらに煽った。

「もっと乱れてみろ」

「…やだ」

嫌なのは、イヌの言葉じゃない。

それに、こういう風に乱れることでもない。

これだけの醜態をイヌに見せながら、
イヌの言葉にさらに内心舌舐めずりしている自分自身にだった。

ヘリの体内に妖しく蠢く蛇のような毒女がいて、完全にヘリの体をのっとろうとしている。


…こんなの私じゃない。

ヘリは必至に抵抗しようとしていた。

でも、目の前に、そんな自分を悦んで見ているような恋人がいる。

ヘリは、そんなイヌの表情に、一瞬、白鳥の姫君になりかわり、愛しい王子と結ばれた「白鳥の湖」の黒い姫君を脳裏に想い浮かべていた。

…だけど、これも私。

なりふりかまっていられないほど、イヌと共有している快楽に溺れている自分。

ヘリは、普段だったら、絶対に口にしないような言葉を思わず吐いた。
天真爛漫とはいえ、上品なお嬢様育ちのヘリがおおよそ言わないであろう事。


いつもは言わない『おねだり』を続けるヘリに、イヌはさらに強く体を打ちつけていた。


「ねえ、…いやらしい?…私、いやらしい女になってる?」


いつもは言わない言葉を吐き、いつも以上に乱れているのに、
透明な涙をぽろぽろ流しながら、そうイヌに聞くヘリ。

「…いやらしいよ」

そう答えてやると、羞恥心でますます泣きそうになったヘリの頬に、
イヌが唇をおしあてた。

「君のこんないやらしい所をずっと見たかった」


ヘリのこんな部分を引き出せて嬉しい、というような
自分を見つめているイヌの優しい眼差しに、ヘリの胸がドクンっと高鳴った。

肉体はすっかり、快楽に飲みこまれて麻痺しているのに、
心は、それに乗っ取られずに、イヌへの愛しさに溢れ、満たされていた。

その感情が昂ぶって、逆に体の方に作用したようだった。


「あんっ…イヌっ…また、いくっ」

イヌの裸体に強くしがみついて、喘ぐヘリにイヌが抱く力を強めた。


「…いけ」


耳元で誘導するように低く囁かれたイヌの声を合図に、
ヘリが、再びイヌの腕の中で、快感の熱を力いっぱい放出させた。



(優等生SP-戯事-8終わり 最終話に続く)



登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)



次回「優等生SP-戯事-」最終回です。
今さらですが、大丈夫だったのかな?これ…久しぶりに、
「初めての夜」更新以来のドキドキ(苦笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生SP-戯事-」第7話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
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優等生SP-戯事-(7話)




「…さっきの“いちご味”の中にも何か入っていたのかしら?」


ハ・ジョンナンさんは教えてくれなかったけど、
あの中にも媚薬が含まれていたのかもしれない。

そう疑惑を口にしたヘリにイヌがうっすらと笑って首をふった。

「それはないな。あれだったら、僕の方が沢山舐めている」

…そうだわ。


「だから、安心して・・・」

イヌが、ヘリに囁いた。

…舐めとってくれ。

珍しく、ヘリに甘えているようなイヌの声に、
ヘリの身体の奥がドクンっと一段と熱を増したようだった。


「わかったわ」

ヘリは、上半身を起こすと、イヌの下腹部の方に顔をふせた。

「・・・ふっ…」

ヘリは、“いちご味”を舐めとるように、イヌの輪郭に沿って舌を這わせた。

先ほど舐めた時より、それは魅惑的な甘さになっている気がした。

…これも媚薬入りのキャンディのせい?


ヘリは、そんな事を考えながらも、イヌを愛する行為に没頭していった。

「んんっ…」

やがて、なぞるように這っていた舌を、ひっこめて、
ヘリは口を開いて、大胆にイヌを含んだ。

口内で、執拗に攻めるヘリの舌の動きに、イヌが、目を細めた。


「甘いか?」

そう聞くイヌに、ヘリがちらりと上目づかいでイヌを見た。
その瞳が、妖しく光って、イヌを捕らえた。

「…おいし」

そう掠れた声で言って、

濡れた唇をチロリと舐めるヘリの艶めかしいしぐさに、イヌの心がゾクゾクと震えた。


…このまま果ててしまいたい。

そう逸る気持ちを必死で抑えるようにイヌが瞼を閉じた。

そして、手元にあった、箱を手に取った。
ヘリが隠し持っていた物で、最後まで残していたもの。


「ヘリ」

名を呼んで、注意をこちらに向けたヘリにイヌが手招きした。


「最後のお楽しみ箱だ」


数刻前と違って、
どこか期待をこめたようなヘリの瞳が、箱を開けるイヌの手元をジッと見つめていた。

まるで、クリスマスのプレゼントを心まちにした少女のような目に、
イヌが微笑した。

イヌが箱の中から、“玩具”を取り出した。


「…おいで」

イヌの呼びかけにヘリが、ふらふらと誘いこまれるように、
擦り寄ってきた。

「所詮、玩具だ」

イヌがそう言って続けた。

「一緒に遊ぼう。ヘリ」

この状況で、限りなくふざけた言葉だったが、
イヌの声色は、低く、誘うように甘かった。


「…まずは、あなたがお手本を見せてよ。イヌ」

そう言ったヘリにイヌが嬉しそうに口元をゆがませた。

玩具を手の中で弄ぶように転がして、点検し、
そこにつけられたスイッチを押した。

イヌの手の中で細かく振動する玩具の低く微かな重低音が、
静かなヘリの部屋の中で響いた。

その異質な音に、ヘリが、緊張したように唇をかみしめていた。

動作確認を終えたイヌは、玩具のスイッチを切ると、
いったん、それをベッド脇に置いた。

そして、サイドテーブルに置かれていたチューブを再び手にすると、
中味を指にたらして、ヘリの胸の頂きにぬりつけた。

そこに唇をよせながら、イヌは玩具に手を伸ばしていた。


「はっ…んっ」

イヌにやわらかく感じやすい部分を再び舌で責められたヘリは、
背中をのけぞらせて、イヌの頭をかき抱いた。

…さっきより感じる。

むき出しの敏感な部分が、先ほどの数倍の感度で快感を伝えているようだった。

それだけでもイキそうになっているヘリに、
さらにイヌが強い刺激を与えた。

手にもった玩具を作動させて、ヘリのショーツごしに、下腹部の中心に押しあてていた。


「…っひゃんっ!」

ビクリっと大きく体を震わせて、逃げ腰になったヘリの身体を
イヌの腕が力強く抑えつけていた。


「うっ…っ・・・・イヌっ」

未知の強い刺激の中で、混乱したヘリが声をあげた。


ひんやりと無機質で硬い感触が、
ヘリの敏感な部分に押しあてられ、容赦なく攻め立てている。

実際に責めているのは、それを操っているイヌなのだったが。

「…どうだ?」

快感で震える体を抱き包みながら、
耳元で囁くイヌの声が、どこか遠くに聞こえたヘリだった。

…気持ちいいか?

ヘリが、ほとんど無意識にコクコクと頷いた。

イヌは、玩具を持ちなおすと、今度は、ヘリの胸の頂きにそれを押しあてた。


「!っ…やぁっん!!」

くすぐったさと、気持ち良さと、少しの痛みを感じるほどの強い刺激。

イヌは、ヌルリとした液状の物を塗りつけた部分に、
震える玩具を滑らせるように動かしていた。


「…っ!イヌっイヌ!!…やっ…いやっ!」


「…嫌?君の“苺”は悦んでいるように見えるぞ」

…君自身も。


「くぅっ・・・」

ヘリは、玩具で容赦なく与えられる刺激に耐えようと、
背後に敷かれたベッドシーツを両手で握りしめていた。

そんなヘリの身体を自らの方に引き寄せ、ベッドから浮かせた状態で、
イヌが抱きかかえ直した。

「僕にしがみつけよ」

「ふっ・・・っ」

ヘリは、イヌに促されるまま、素直にイヌの身体に両手を回した。

イヌがフッと笑った。


「…いい子だな」

…こっちの可愛い“苺”にもご褒美をあげないと。

そう、囁くやいなや、イヌが、玩具をヘリの下肢に降ろして、
ヘリの小さくとも一番敏感な部分に、グリグリと押しつけた。

「ひっ…!!」

その、あまりの衝撃に、ヘリが思わず叫び、
イヌの腕の中で、ビクンっと強く体をしならせた。


「ふーん…そんなに、イイんだ」

そんなヘリを、目を細めてじっくりと観察しながら、
あざけるように言うイヌに、ヘリが涙目でかぶりをふった。


「…そ、そんなに楽しい?私をいたぶって」

イヌが無言で冷笑した。

…楽しいよ。君のこういう姿を見るのは。

嫌だといいながら、こうして悦んでいる君の体は、
本当に綺麗だ。

うっすらと全身ピンク色に染まった美しい肌。

汗と涙で顔をぐしゃぐしゃにして、自分を睨みつけながらも
高まる快感に息を弾ませている腕の中の恋人の矛盾したところも
心から愛しい。

それに、いつもと違う、玩具も使用した “愛”の遊戯。

どこか、所詮、こんな物はただの玩具だと馬鹿にしていたけど、
正直、ここまで楽しめるとは思ってなかったな。
…君だって、本当はそう思っているんだろ?へり。


イヌは、心の問いかけを口にせずに行動に移して
ヘリの体に直接“聞く”ことにした。

ヘリの下腹部の突起を玩具で責めている手はそのままに、
もう片方の手の指をヘリのショーツの内側にすべりこませた。

そして・・・


「~~~~~っ!!!」

ヘリが、もう声にもならない悲鳴をあげて、
陸に上げられた魚のように、ベッドの上でビクビクと激しく体を跳ねさせた。

イヌが、ヘリの体の中心部に指を埋め込んでいた。

「…玩具といっても、ここはゆずれない」

指を内部で細かく蠢かされて、
うっとりと聞き惚れてしまうような魅惑的な声で。


「君のここは僕のものだよ。ヘリ」


イヌにそう低く囁かれて…。

ヘリは、自分がこのまま、おかしくなってしまうんじゃないだろうか、
と、真剣に思った。


玩具とイヌの指に、下腹部の敏感な2箇所を同時に責められたヘリは、
ほとんど時間もかけずに、快楽の頂点に達していた。

「…ふぅっ…っつ!!…ああぁっー!」


泣き声に近いヘリの絶叫が、部屋の中に響いた。

ヒクヒクと全身を震わせながら、まだ、玩具と指の動きを止めないイヌに、
ヘリが、弱弱しく首をふっていた。

「…もう。だめ…イヌ…やっ…」…とめて。

息も絶え絶えで、そう訴えるヘリにイヌが微笑を浮かべると、
玩具のスイッチを切った。そして、そっとヘリから己の指を抜き取った。

「・・・?」

指だけでなく、イヌの手全体が濡れていた。


…汗?

イヌの手を見て、不思議そうに首をかしげるヘリに、イヌが微笑した。

「僕のじゃない。君のだ」
…それも、汗じゃなくて、君の内側から出た水分。


感じすぎたヘリの体が、正直に反応したのだろう。

ヘリの下半身の下のベッドシーツがグッショリと水気を帯びて湿っていた。

ヘリは、何となく、イヌの言わんとしている事を察して、
羞恥心で頬を赤く染めた。

「…やだ」

はずかしい。

ヘリは、両手で顔を覆うと、ぎゅっと目を閉じた。

「ヘリ」

そんなヘリに声をかけて、イヌがヘリの両手を掴んで、開かせた。

「どっちが良かった?」

あいかわず、『遊戯』を楽しんでいるようなイヌの顔が
ヘリを見降ろしている。

「オモチャと僕とどっちが良かった?」

「…この状況で、それを聞くの?」

ヘリは、イヤイヤをするようにかぶりを振った。

…答えたくない。

…答えなくてもいいさ。

イヌが薄く笑った。


君の口から聞けなくても、君の体にこれから
たっぷりと聞いてやるから。


「小手先の遊びは飽きたな」

そう言って、イヌが玩具をベッドの上に置いた。

そして、ヘリの体の両脇に手を置くと、
閉じ込めるようにヘリを見降ろした。

「それに・・・」

まだ、荒い息を整えて上下しているヘリの胸に
イヌがチュっと音をたてて口づけた。


「そろそろ、本気で『遊び』たくなってきた」


イヌの言わんとしている、『遊び』というものが本当はどういう物か、
もう完全に理解していたヘリ。

普段通りだったら、甘い予感にドキドキと胸が高鳴るはずだった。

でも、

玩具を使用され、『媚薬』を取りこみ、いつも以上に快楽に激しくのぼりつめたようなヘリの体は、これから、可愛い『ときめき』ではなく、ネットリと濃厚な快楽の渦に巻き込まれていくように感じていた。


ヘリがイヌの方に両手を上げ、差し出した。

「きて…イヌ」


女郎蜘蛛のように、その内に誘いこみ、取り込むかのようなヘリのしぐさ。

その甘い声にも自分を見つめる瞳にも捕らえられ――‐。

イヌには、

イッたばかりで、一層、妖艶な女の香りが匂い立つヘリの美しい体から逃れるすべは無かった。


…了解。僕の姫君。


ヘリの両手が自分の背中にまわるのを感じながら、
イヌは、ヘリの顔に顔をふせ、重ねた唇で、ヘリの唇を貪るように愛撫しだした。



(優等生SP-戯事-7終わり 8に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


…どうなんでしょう、イヌ×ヘリの大人話「優等生SP」
そろそろお腹いっぱいですか?それとも、まだもの足りない感じでしょうか?(汗)
「スペシャル」なので、みつばにしては、いろいろ増量で書いてます。
話はもう少し続きます♪



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優等生SP-戯事-(6話)




「これ、何かしら?食品って書いてあるけど…、“男女兼用”?“いちご味”?」

ヘリは、チューブのような容器の表書きを読んだ。

他には使用方法などは書いてはいなかった。

…あれ、と一緒にも使えるって、ハ・ジョンナンさんは言っていたけど。

ヘリは、チラリと、まだ未開封の、最後にとってある一番大きめの箱の中に入っている物に目をやった。


「これは、媚薬入りではなさそうよね?」

そう、同意を求めるヘリの問いにもイヌは軽く肩をすくめてみせただけだった。

おそらく知っていながら、答えを教えてくれそうもないイヌを軽く睨んだあと、ヘリはイヌの手からチューブを取った。

そして、キャップの開いた口を下に向けて、中味を少し指の先にたらした。

…化粧乳液みたいな感じだけど…。

「どうやって使うのかしら?」

どこかに小さく説明書きがないか、諦めきれないように、
まじまじと容器を見つめ続けるヘリにイヌが苦笑した。

そして、答えを待ちきれなくなったように言った。

「使い方は自分たち次第だろ…たとえば…」

イヌは、自分の下肢の方をチラリと見た。

「…とか?」

「・・・・・・」

イヌの意味ありげな目の動きで、鈍いヘリにも
何をいわんとしているのかが一発で分かった。

…まさか。

「…ぬるの?」
…そして、それを…。

「頭で考えるよりやってみればいい」
…体当たりで事にあたるのが、マ・ヘリのいいところだからな。

イヌが、飄々と言い放った。

…やってみろって…、やってほしいんでしょ?

ヘリはジットリとイヌを見つめた後、当惑の目をチューブに向けたが、
意を決して、事にうつすことにした。

「…脱いでよ」

そう指差すヘリに「OK」と言って、鼻歌でも歌いだしそうな表情で、
イヌがテキパキと衣服を脱ぎ始めた。

そして、脱いだ衣類をベッド下に投げやると、
せいせいした、とでも言うようにベッドの縁にもたれかかってドッカリと座った。

「さ、脱いだぞ」

なんの恥じらいもないイヌの行動にヘリが失笑した。
同時に、一糸まとわぬ姿を堂々とさらせるイヌがうらやましいような気がした。

イヌに言わせれば、もう体を知られている恋人に、
今更だ、ということになるのだろうが。


こうして、露わになった
イヌの下腹部に、チューブからそっと垂らしたものを手でぬりつけるヘリ。


無色透明で、トロリとしていたが、粘着性はあまりない、
やはり薄められた乳液のような感じだった。

「なんだか、不思議な感触」

ヘリは、そう照れ隠しのように言った。
そして、身を屈めて、先の方をチロリと舐めたヘリは、変な顔をした。


「どうした?」

「…ん~…、昔子供の時に1度だけ熱を出した時に飲まされた子供薬の味みたい」

「美味しくない?」

「ええ、美味しいって思えるものじゃないわ」

いちご味には違いないけど。


「でも、ぬった責任をとって全部舐めとってくれよ」イヌが言った。

「えええっ?」

「やっぱり、いちご味っていうのが良くなかったかな?
ここだと、『ばなな』味か『チョコ』味の方が良かったんじゃないか?」

完全にふざけている上に、面白がっていて、笑いを含んだイヌの言葉に、
ヘリもつい、つられて噴き出していた。

「味の種類の問題じゃないと思うわ」

「でも、いちご味だったら、ここだろ」

イヌが上半身をおこした。
そして、ヘリから受け取ったチューブの中味を自分の手に垂らすと、
ヘリのセクシーブラジャーの間から露わになっていた両胸の頂きの上に指でぬりつけた。

そのヌルリとした指の感触に、ヘリがピクンっと敏感に反応した。

イヌは、満足そうに微笑むと、ヘリの胸に唇を近づけた。

「!…やんっ…」

ヘリの胸の突起を口に含んだイヌは、
口内でゆっくりと転がすように舌を動かした。

「ふっ・・・・っっ」

ヘリは、ギュッと目をつぶると、恥ずかしさと気持ち良さから、
小刻みに体を震わせて、イヌの愛撫を受け止めていた。

何度も何度も味わうように、
イヌは、ヘリの胸の“苺”を舌の上で転がしていた。

「ん…甘くておいしい苺だ」

唇を離したイヌが、そう言ったのを、ヘリは、顔を苺のように赤くして聞いた。

「ああ、そうだ」

イヌが、わざとらしく言って、ヘリの下肢の方に目を落とした。

「ここにも小さな『苺』が隠れてたな」


「…っ!」

ヘリのショーツも、上と同じで、二枚に布が分かれていて、
そこからじかに指を差し込む事ができた。

イヌは、チューブの中味を直接、その場所に垂らすと、
親指と人さし指でやわらかく挟むようにぬりつけた。


「~~~~あっん!!」

体を突き抜けるような衝撃が走り、ヘリは、激しく背中をのけぞらせた。

「やっ」

ヘリは嫌々をするようにかぶりをふった。

そんなヘリの行動は、イヌの中ではすべて承諾という意味になっていた。

「かわいい苺だ」

そう言って、口元をゆがませるように笑うと、
イヌは、指の腹で、こねるようにヘリの小さな『苺』を弄んだ。

「どうやって、食べようか」

イヌの焦らすような言葉と行為に、ヘリは涙目になってなおもかぶりを振った。

「知らないっ」

「へえ、好きなように食べていいのか?」

「…ぬった責任はとってよ」

吐息まじりで必死に強がるヘリに
イヌが、嬉しそうに笑った。

「了解」
…全部舐めとってやるよ。

イヌが、ヘリの下腹部の方に顔を伏せた。

「はっ!…っ…やっん」

指よりもやわらかで、そしてもどかしい感覚。
しかし、小さくともむき出しになった敏感な箇所をイヌのすぼめた舌の上で
執拗に舐めあげられたヘリは、目を閉じ、痺れたように体をふるふると震わせていた。


やがてイヌは、顔を上げると、そんなヘリの表情と姿態を満足げに見つめた。

そして、今度は、指で優しくつまみ、摩り上げながら、
ヘリの耳に顔を近づけ、舌を這わせていった。

「ふっ…!」

イヌのもう片方の手がヘリの胸をまさぐっている。
ランジェリー越しのもどかしくとも伝わる熱。

体の中で、敏感な所をイヌに同時に責められ続けて、
ヘリは、快感と同時に羞恥心に耐えきれなくなって、
喘ぎ声と共に懇願するような言葉を洩らし始めた。

「…やだ…感じすぎる…イヌ…やだ」

「やだ?…“やって欲しい”、の間違いだろ?」

口元をゆがませながら、わざと意地悪く言うイヌにヘリが唇をかみしめた。

「…私のこと…どう思ってるの?」

ヘリが喘ぎながら聞いた。

「ほんとは、私もあなたの快楽の“玩具”の1つなんでしょ?」

…こんなに、恥ずかしめるように抱くなんて。
愛する恋人にとる態度と行為かしら?

そう、悔しげに言うヘリにイヌが冷笑した。


「玩具?まさか」

イヌが言った。

「君は…」

イヌの舌がヘリの耳から首筋をなぞるように這っていく。

そして、ヘリの白いうなじの先の肌を少し強く吸い上げると、
顔を上げて、再び耳に唇を寄せた。

低く、甘く、囁くイヌの声。

「君は、僕の“カップケーキ”だよ。ヘリ」


「…やっぱり、ふざけてる」
それに、愉しんでる。

そう拗ねたように唇を尖らせるヘリ

「いや」

イヌがヘリの肩口に歯をたてた。

その強い感覚にヘリが怯えたようにビクリっと震えた。

「本気だ。ヘリ。僕は至って、こういう時“も”真面目だよ」

…言い方はふまじめかもしれないけど。

いつも食べてしまいたいと思ってる。


甘い誘惑で僕を誘う、何よりも愛しい女。


理性が蕩けるような、逆らいがたい魅力で僕を惹きつける甘い体。

余計な思考も、恥じらう感情も、純粋な心も、
その骨の髄までしゃぶりとるように、喰らいつくして、
すべて自分のものにしてしまいたい。


「君は僕だけのカップケーキだ」

イヌに低く囁かれ続ける言葉に、ヘリの胸がドキドキと音をたてるように、
早鐘を打ち始めていた。


…なんだか、体が熱くなってきたみたい。
イヌの言葉に興奮してきたのかしら?
それとも、まさか・・・・・・。

ヘリは、サイドボードの上に置かれた、ピンク色の小さな空箱に目をやった。

…まさか、あの中に入っていた物のせい?

媚薬入りだというキャンディ。

その効果が出てきたとでもいうのだろうか?

まるで、微熱でもあるかのようなヘリの顔にイヌも気づいたようだった。


「ヘリ」

イヌが、そんなヘリの頬に手をおいた。

そして、ゆっくりと顔を近づけると、唇を重ねた。

さきほど、キャンディをやり取りした時よりも激しく深い、口内を貪るようなキスだった。


「ふっ…んんっ…ん」


いつもと同じようなキスなのに、どこかが違う。
キスだけでイキそうになる。

「イ…イヌ…っ」

ヘリが、キスの合間に必死に声を絞り出していた。

…どうした?

唇を離し、眼差しだけで問うイヌに、
ヘリが泣きそうな顔で息を整えて言った。


「…何か変。…体が熱いの」

…厳密にいえば、体というより、体の奥深くが…そう特に下腹部の内側に
ジンジンと熱く強い疼きが広がっているようだった。

「私、どうなっちゃうの?」


ヘリのトロンとした潤んだ瞳と、上気した顔。
動揺も露わに、とまどった、ヘリの可愛い声の必死の問いかけに、
イヌは応えるかわりに、再びヘリに深い口づけを続けた。

「大丈夫だ。ヘリ」

やがて、キスを終えたイヌが静かに囁いた。
不安になっているようなヘリを安心させるように髪の毛を優しく撫でながら…。

「君がどうなっても、全部受け止めてやるから」

…このまま、変化に身を任せていろ。

むしろ、それを望んでいるようなイヌの言葉に、
ヘリが涙目になってイヌを見上げていた。


(優等生SP-戯事-6終わり 7に続く)



登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


『味つきの物』は、妄想で書いていたのですけど、調べてみたら、
商品として開発されて実際売られている物があるようですよ♪

昔、ちょっと思った事があります。
私、この手の商品開発がやれたら、いいアイデア出すんじゃない?って(笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生SP-戯事-」第5話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は「優等生」シリーズの最新作です。
「優等生」シリーズとは、段階を追った?(笑)イヌ×ヘリの大人話です♪

小説の最後に登場人物紹介があります。

(注意)
この話には、大人向けの会話や描写が含まれます。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。




優等生SP-戯事-(5話)




…お遊戯会。

イヌの言葉通り、これからすることが、かわいらしい『お遊戯』になるとは、
さすがのヘリも思ってはいなかった。

おそらく、今までにないほど刺激的で、妖しい、『お遊び』になることだろう。

そんな、大人の遊びを始めようというのに、
ベッドに座って、自分の着替えを待っているイヌは、
本当に、お遊戯を楽しみにしている子供のような顔をしていた。


…熱っぽい光を宿した男の瞳以外は。


好奇心旺盛なヘリも、だんだんワクワクした気持ちになってきていた。
…緊張と少しの不安ももちろんあったが。


ヘリは、バスルームの脱衣室で、セクシー下着のパッケージを開けて、
中味を取り出して着替えた。

そして、一通り、着こんで、その姿を洗面所の鏡で確認して・・・


「・・・・・・」

そこに、驚愕で目を見開いて固まったヘリの顔があった。

鏡にうつされた、自分の体に目が釘付けになっているヘリの顔が。


…セクシー下着どころじゃないわ!!

ヘリは、思わず声に出しそうになった言葉をコクンっと飲みこんだ。


ハ・ジョンナンの店のマネキンが着ていた物と全く同じものだったから、
そのデザインは分かってはいたのだったが、マネキンが着ていた時の印象と全く違っていた。

フリーサイズのランジェリーは、スリムな体型のマネキンがつけていた時は目立たなかったが、体はスリムだが、胸にボリュームがあるヘリがつけたら・・・『縫合ミスじゃないですか?』とヘリがジョンナンに聞いた部分がまさに露わになっていた。


…こういう事だったのね。

ようやく、ブラジャーのカップの布が2枚に分かれていた理由が分かったヘリだった。

ヘリも露出度の高い下着や水着を着たりするが、ここまでの物は初めてだった。
ショーツもTバックではなくて、後ろの方はほとんどヒモに近かった。
それなのに、足はしっかりとガーターベルトでとめられた網タイツで覆われている。

明らかに、『観賞会』でヘリがつけるような下着とは違っていた。
セクシーどころじゃない。
むしろ・・・。

“『そのため』だけに作られたランジェリーじゃないっ”

…と、ハ・ジョンナンが聞けば、『当たり前です』と、またもや呆れそうな事をヘリは心の中で叫んでいた。


何を今さら、…な事で、茫然としていたヘリは、

「ヘリ?」

…と、部屋から聞こえたイヌの呼びかけで、ハッと我にかえった。


「い、今いくわ」

…こんなランジェリーなら、いっそ裸で出ていった方が恥ずかしくない。
そう思ったヘリだったが、イヌは許してはくれないだろう。

そっと溜息を一つついたあと、
胸の部分を両手で隠しながら、ヘリは、おずおずと、イヌの待つベッドの所まで歩いていった。

イヌの食い入るような視線を感じながら、ヘリは、やや目線をはずしていた。

でも、黙って見られている事にも耐えられそうも無かった。


「じゃ~んっ!!こんな感じよっ。可愛いでしょ♪」

そう言いながらも手はしっかりと胸を隠した状態で、ヘリはおどけてみせた。

「・・・・・・」

…ちょっと、イヌ。どうして黙っているのよ。
何とか言ってよ。

無言で、自分を見つめ続けるイヌに、ヘリは焦れたように視線をイヌに向けた。

口元に手をあてて、吟味するような目で、
でも、ヘリが思っていた以上に真面目な顔をしているイヌに、ヘリが驚いた。


「やっぱり…へん?…変わったランジェリーだから」


イヌの好みでは無かったのかしら?

不安になって、首をかしげて聞くヘリに、イヌが黙って口元から手を降ろすと、
その手でヘリを手招きした。


「…?」

トコトコと、招かれるまま、イヌの前まで来たヘリ。
その腰をイヌが両手で捕らえ、見上げ、そして言った。


「その手が邪魔だな」

ヘリが、恥ずかしそうに頬を膨らませた。


「いきなり『御開帳』っていうのは、趣がないでしょ。
そう思わない?」

「…そうだな」

ヘリの言葉で、ヘリの手の下が一体どういう状況になっているか分かったイヌは、
クスリと薄く笑った。

「ゆっくり見せてもらうことにするよ」

腰元のガーターベルトをひっぱって弄んでいるイヌの指の感触に
ヘリがブルっと身震いした。


「つ、次は何を試してみる?」


イヌが、紙袋の中身を出して、ベッドの上に並べていた。

それらを改めて全部見たヘリは、子供の時に歯医者に行って、
並べられた器具を初めて見た時のような気分になっていた。

「これだろ」

イヌが言って、小さなピンク色の箱を手にとった。

…それは…。

『媚薬入りのね』…とハ・ジョンナンが言っていたキャンディの箱だった。

「…ねえ、これ中味が何か分かってる?」

ヘリの問いに、イヌが肩をすくめてみせた。

「さあな。さっき箱を開けて見たら、何の変哲もない飴に見えたが?」

「何の変哲もない飴がこういうグッズと一緒に売っていると思う?」

「大人が買い物する時に、一緒に、子供への土産用に購入するためじゃないか?」

「・・・・・・」

…誰かの親になった事はまだないけど、
ああいう店で売っている駄菓子を自分の子供に食べさせようとは思わない気がする。

ヘリは、真面目にそんな事を考え、もちろん、イヌが、真面目に言っていない事も分かっていた。
きっと、薄々…いや、完全に分かっているに違いない。
しかし、イヌは、あえて、ヘリに答えを言わせたがっているようだった。

「ハ・ジョンナンさんから、これの説明は無かったのか?」

そう聞くイヌにヘリが溜息をついて、正直に答えた。

「…媚薬入りのキャンディだって」


「へえっ…」

イヌは、ますます面白そうな顔をして、小さな箱を手の中でしげしげと見つめた。
そして、箱の蓋を開けて、中から、その一見何の変哲もないキャンディを取り出していた。

可愛いピンク色のハート型の小さなキャンディだった。

ヘリは、それが小型爆弾でもあるかのように、イヌの手のキャンディを
不気味そうに見つめていた。

「ねえ、イヌ。これはやめた方がいいわよね?」

「どうして?」

…どうして!?

「媚薬入りって言ってたけど、何の成分が入っているか分からないのよ?
あやしい薬入りかもしれないじゃない。そんなの口に入れられないわよ」

ヘリの必死の形相にイヌが失笑した。

「そんな物を売っていたら、今ごろ営業停止になっているよ」

「…法をかいくぐるための手段はいくらでもあるわよ」

「でたな。検事さんの職業病が」

イヌが茶化して言った言葉にヘリが唇を尖らせた。

「君がこれらを辞退もせずにもらってきた理由は、店の潜入捜査の一環だったのか?」

品物をこっそりと入手して、検察で調べてもらうための。

「…違うわよ」

…あくまで客として行ってもらったもの。
『客』という言葉も、はっきりとは当てはまらないかもしれないけど。


「じゃあ、問題ない。君が食べるのが嫌だというなら、僕が食べるよ」

「え?」

イヌが、魔力に囚われた男のような目で、キャンディを眺めていた。


…どうして、こんな不確かで、効果の分からない物をためそうって気になるのかしら?

むしろ、試してみるのが楽しみでしょうがない、というイヌの表情を
ヘリは複雑な顔で見つめた。


「…イヌは、普段甘い物はあまり好きじゃないでしょ?」

「ああ、だけど、『いわくつき』って所が魅力的だよな。
こういう物に男は弱いんだ」

…男っていうより、あなたがでしょ?

「媚薬か。初めて口にするけど、どうなるんだろうな?」


心底楽しそうなイヌの声色に、逆にヘリの不安が増した。

そして、キャンディを口に運ぼうとするイヌの手を間一髪で止めた。

「待って!イヌ」

「なに?」

楽しみを中断されて、不機嫌そうに眉をひそめたイヌの手から
キャンディを奪い取ると、ヘリが言った。

「私が食べるから」

イヌが、目を見開いた。

「体を張った捜査がしたいのか?検事さん」

「もう、今は、その検事さんって言うのはやめて。イヌ。
甘い物は私の方が好きだから、そうしたいの」

イヌに食べさせるくらいなら、自分が食べる。

まるで、毒を煽ろうとする恋人を助けるような気持ちになっていた
ヘリだった。


「ふーん…そんなに言うならしょうがないな。ゆずるよ」

しょうがないな、と言いながら、どこか嬉しそうに目を細めたイヌに、
ヘリは、イヌの術中にはまったのを知った。

でも、ここまできて引きさがれない。

「…ほら、食べさせてあげるよ。口を開けて」

そうキャンディをヘリの口元に持って来るイヌの言いなりになって、
ヘリは覚悟を決めて口を開けた。

ヘリの口の中に、キャンディの甘い味が広がった。

チェリー風味の舐めただけでは、やっぱり、何の変哲もない飴のようだった。

まるで、苦い漢方薬を口に含んでいるような顔をしてキャンディを舐めているヘリの顔に、イヌが不思議そうな顔をした。

「どんな味がするんだ?」

…そんなに変な味がするのか?

少し心配そうなイヌの声色に、ヘリは、あわてて首をふった。

「ううん。普通のキャンディと同じような味よ」

…ほんとうに媚薬なんて入っているのかしら?
ジョンナンさんの言うように、中にアルコールが少し含まれているから、
やっぱり気分的なものなのかしら?

キャンディを味わいながら、無言になったヘリをしばらく眺めていたイヌだったが、
ややあって、

「僕にも味見させてくれ」と言いだした。

「いいわよ」と、口の中のキャンディを手で取り出そうとしたヘリ。

その手首をつかんで止めたイヌは、ニヤリと笑うと、
「このままでいい」と言った直後にヘリに口づけていた。


「…んんっ…っ」

ふいうちで、深いキスをされ、いきなり口内に舌をさしこまれたヘリは、
驚いて、一瞬体を硬直させた。

イヌの舌が、ヘリの口の中の媚薬入りキャンディを捕らえると、
奪い去るように己の口内に運び去った。

そのまま、

唇を重ねたままで、甘い汁が混ざった唾液ごと、
ヘリとイヌはキャンディをお互いに交換しあった。

つながった口内を通じて、二人の体の中で、
チュクチュク…と、刺激的な水音が響いていた。

その音を聞いているだけで、
ヘリと、そしてイヌの体の奥も熱く疼いてきたようだった。


幾度か、口内でキャンディのやり取りをした後、
イヌが舌でそっとヘリの口内にキャンディを押しやって、返した。

「…たしかに、ただの甘いキャンディだな」

顔を離し、唾液で濡れた唇をチロリと舌で舐めあげたイヌが言った。

ヘリも唾液で濡れた口元を指でそっとぬぐうと、同意するようにコクリと頷いた。

そして、キャンディをほとんど舐めてしまうと、
口の中で残り少なくなった物は歯で噛んで食べきってしまった。

ゴクンっと、口に残ったあまい唾液も飲みこむと、
ヘリは、フーっと一仕事終えたように息をついた。


…ほんとにこれに媚薬が入っているのかしら?
効果って一体どんな風に出てくるのかしら?

ヘリは、そう想像しただけでドキドキする胸を抑えていた。

イヌも、そんなヘリと全く同じ事を考えているようだった。

「すぐに効果が出るものじゃないらしいな。まあ、すぐに出たら、それこそ問題だろうが…。さて」

そう言って、イヌはベッド上に残された物を吟味しだした。

「次はこれかな」

イヌが手にとったもの。

チューブ状の容器に入った謎の物体の表書きには、
よく見ると又も『食品』という文字が。


「これが一番、不思議なのよね」
…何にどう使えばいいか、分からない。
と言って、首をかしげているヘリの横顔をイヌが黙って見ていた。

…僕には、これが一番楽しそうに思えるよ。

心の中で、そう答えて、
イヌがチューブのキャップを手でひねった。

パキっという、未知の扉が開く微かな音が、
この先に起こる事をヘリに警告するように、イヌの手の中で発せられた。



(優等生SP-戯事-5終わり 6に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)


次回から「警告」マークになります。
このブログの基準だと、
どこまでが「注意」でどこからが「警告」になるのか
…うーん、自分でもよく分かりません(苦笑)

それにしても、隠語や置き換え言葉の多いみつばの小説ですが、
ここまでは、ついてこられてます?(汗)

ヘリの着ているセクシーランジェリー4点セット。
実際にこんなものって、画像を紹介しようと思ったのですが、
いつも利用しているアマゾンの商品ページだと、他のセクシーランジェリー写真はあっても、ヘリが着ているモデルとなった物は、セクシーを超えた(笑)ランジェリーなので、「警告」マークがついて、見られないのです…つまり、それほどの物って事(汗)

でも、見てみたい方は「セクシーランジェリー」で検索してみてね♪
思わず欲しくなる(?)可愛い物がいっぱいあります♪



(お知らせ)

「検事プリンセス二次小説INDEX」更新しました。
「甘い誘惑」前・後編、「埋もれた約束」21~最終話。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生SP-戯事-」第4話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は「優等生」シリーズの最新作です。
「優等生」シリーズとは、段階を追った?(笑)イヌ×ヘリの大人話です♪

小説の最後に登場人物紹介があります。

(注意)
この話には、大人向けの会話や描写が含まれます。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。




優等生SP-戯事-(4話)



イヌに、極秘扱いにしていた『危険物』を発見されたとも知らずに、
ヘリは、ゆっくりとシャワーを浴び終えて、
さっぱりと満足げな顔で、バスルームから出て来た。


「イヌ、釘を打ってくれたのね。ありがとう」

ヘリは、まっすぐに飾られた絵を確認して、嬉しそうに礼を述べた。

「おやすい御用だよ。ヘリ。それよりも…」

後ろにいるイヌの歯切れの悪い口調にヘリが、絵を眺めながら、ん?と首をかしげた。

「どうしたの?」

「すまない。これをさっきうっかり落としてしまった。
中味が壊れていないか確認してほしい」

「え?何か落したの?」

ヘリはイヌの言葉に、振り返った。

そして、一瞬で、イヌの手にぶら下がっている紙袋に目が釘付けになった。

…あれって…。


ずっと忘れていたけど、中味のことはしっかり覚えてる。
あれは、前にハ・ジョンナンさんからもらった…。

「・・・・・・」

コクンと息をのんだヘリが、そろそろとイヌの方に近寄った。


「それ…かえしてちょうだい」

「いいけど、まずは中味を確認させてくれ。壊れていたら弁償するから」

「弁償なんていいから、今すぐその紙袋をこっちにちょうだい」

イヌの紙袋を狙うハンターのような目つきで、ヘリはじりじりと近寄って行った。

「ふーん・・・そんなに大事なものなのか?」

イヌがひょいっと紙袋を目の高さまで上げて見た。

奪い返そうと手を伸ばしていたヘリは、肩すかしをくらって、恨めしそうにイヌを見た。

「そう、大切なものなの。だから返して」

「大切なものなら尚更、壊していたら申し訳ないな」

イヌがわざとらしく眉をさげて、紙袋を開いた。


「ああ~っ」

ヘリのなさけない悲鳴が上がった。

中をチラリと見たイヌがニヤニヤとヘリの方を見つめる目で、
ヘリは、もう中味がすっかりイヌに知られてしまっている事が分かった。


「…もう、知ってるのね。意地悪!」

中味を知っていながら、私をからかっていたんだわ。この男は。

ヘリは、恥ずかしさと怒りで上気させた頬を膨らませていた。

くくく、とたまらずに肩を震わせたイヌが可笑しそうにヘリの方に紙袋を差し出した。
ヘリは真っ赤になって、ひったくるようにそれをイヌから奪った。


「じゃあ、聞かせてもらおうか」

イヌが、楽しそうに含み笑いを浮かべながら、
ヘリのベッドの上に尊大なしぐさで、腰かけた。

「それは一体何だ?…あ、念のため言っておくけど、僕が聞きたいのは、物の名称や正体じゃなくて、君がどうしてそんな物を持っているのか?という話だ」

「・・・・・・」

ヘリは、無言でイヌを睨みつけながら、この事態をどう打開しようか、必死に頭を回転させていた。

…友人へのプレゼント…。
…友人からのあずかりもの…。


でも、どう誤魔化そうと、イヌには看破られてしまうことだろう。

こういう事でとっさの噓をつくことが上手くないと、自分でも自覚していたヘリだった。
本当の事を話すことにしたヘリは、溜息をついて、イヌから少し離れたベッドの上に腰かけた。


「ハ・ジョンナンさんからもらったの」

「ハ・ジョンナンさん?」

イヌは、突然出てきた意外な名前に、驚いたようにヘリを見た。

「ほら、以前、街で偶然会ったって話をしたでしょう?あの時に、ハ・ジョンナンさんが自分のお店に連れていってくれたのだけど、それが…こういう物を売っているお店だったの」


ぼそぼそと、告白を続けるヘリに、イヌが…なるほどな…と頷いた。


「断りきれなくて、私、アレを購入したのだけど、そうしたら、ハ・ジョンナンさんが、サービスだからって、他にいろいろな物をくれたのよ」

「それが、これか?」

イヌの面白そうな視線が紙袋に注がれているのを感じながら、ヘリは気まずそうにコクリと頷いた。


「もらった物を捨てるわけにもいかないし…人にあげるわけにもいかないから、とりあえず納戸に置いておいたのよ」

…置いておいたからといって、品物が消えるわけでも、
問題が解決されるわけでもなかったのだったが。

「女性って、とりあえず、綺麗な紙袋を取っておくのが好きだよな」


ヘリの行動を皮肉ったようなイヌの言葉に、ヘリはジットリと尖った目をイヌに向けた。

「…じゃあ、どうしたら良かったっていうわけ?」

ヘリが聞いた。

「簡単だろ?」

…そんなのに悩むことか?

イヌが、答えを出せないヘリの方がどうかしてるんじゃないか?と
わざとらしく驚いたような顔をして、あっさりと言った。

「使えばいい」

「・・・・・・」

ある意味予測済みだったイヌの答えにヘリは、ソッと息をついた。

「使い方が分からないから…」

溜息まじりの、ヘリの真面目腐った言葉に、イヌが思わず噴き出して、
声をあげて笑いはじめた。


…っとに。君は、いつだって僕を退屈させないよ。

朗らかな笑い声だったが、ヘリの感には障ったようだった。


「なによ。何がそんなにおかしいわけ?」

ヘリがぷりぷりしながら、イヌの方に身を乗り出した。

「私がこれらの使用方法を知らないのが、そんなにおかしいの?
世間知らずだってバカにしてるんでしょう?」

「違うよ」

イヌが、笑いをおさめて首をふった。
まだ、口角は上がっていたが。


「あいかわらずの『優等生』発言だ、と思っただけだ」

「…どういう意味?」

イヌは軽く息を吐くと、今度はヘリを優しい眼差しで見つめた。


「これ、ハ・ジョンナンさんから、半ば強引にもらったものだろう?」

イヌの状況を見透かした言葉にヘリは、素直にコクリとうなずいた。


「強く出られたらこういう物を断ることも出来ない。
かといって、使用方法を詳しく聞く事も出来ず、説明書も無いものに手は出せない。
これらが、納戸でああなっていた理由は、そういう所だろ?」

「・・・・・・」

…どうしてこんなに何もかも分かるのかしら?

ズバリと的中した、あいかわらずのイヌの「超能力者」ぶりに、
ヘリは、恥ずかしげに頷く他なかった。


「教えられた事やマニュアル通りの事は上手に出来るのにな。
それにしても…どうして、もらった時、すぐに僕に言わなかった?」


イヌの質問にヘリは、

…ここまで見透かしておいて、それを私に聞くわけ?…と思いながら、
黙ってイヌの顔をジットリと見つめていた。

そのヘリの表情に、イヌは、ヘリの考えを遅ればせながら、
全部『テレパス』で読んだような訳知り顔でうなずいた。


「ああ~…なるほどな。僕に知られるのが一番嫌だったわけか」


…恋人なのに…とわざとらしく寂しそうな顔で溜息をつくイヌに
ヘリがあわてて、詰め寄った。

「違うのよ、イヌ。嫌だったんじゃなくて、恥ずかしかっただけなのよ」


そう弁解しながら、紙袋の中の物を取り出したヘリ。

「イヌは、こういうの使ったことある?」

ヘリの質問にイヌが目を丸くした。
しかし、すぐに落ちつきを取り戻すと、面白そうな顔でヘリに聞いた。

「その答えを本当に知りたいのか?」

イヌの言葉に、今度はヘリの方が目を丸くした。

そして、弾けるように、首と手をブンブン振ると、
「うそうそ!!知りたくない!!答えなくていいから!」とあわてて言った。

自分以外の誰か別の女性とのそんな行為の話を知りたいわけがない。

ヘリは、思いっきり否定したあと、気まずそうに、イヌを上目づかいで見つめた。

…してたとしても聞きたくない。

ヘリの心を読んだように、イヌがうっすらと微笑むと首を静かにふった。

「こういうのは使ったことがないよ」

「……」

イヌの答えに、自分は喜んでいいのか、どういう反応を返せばよいのか分からなくなったヘリだった。

「ふ、ふーん…」

なんとかそう、あいまいなあいずちをうって、
ヘリは、グッズの箱を手でもてあそんだ。


「…じゃあ、イヌも使い方を知らないのね」

ヘリの言葉に、イヌが苦笑した。

「分かるよ」

「え?分かるの?どうして?あ・・・」


あわてて、聞いたヘリだったが、自分の中で浮かんだ答えに、口をつぐんだ。


…そうだわ。大人の男性向けの雑誌とか映像とか見ていれば分かるわよね。


「…マ・ヘリ。今君の考えていることも手にとるように分かるよ」

イヌが、大仰に再び溜息をついてみせた。

「何よ。本当のことでしょ?もうっ」


何もかも見透かされているようで、そして、どこまでもイヌにからかわれているように感じたヘリは、照れ隠しに手に持っていた箱をイヌに投げつけた。

それを手で軽くキャッチしたイヌは、
ニヤリとした笑みを浮かべて、手にした箱を嬉しそうに見つめていた。

…鬼に金棒を渡してしまったのかもしれない。


そう、嫌な予感を感じて、ヘリはイヌからジリジリと遠ざかろうとしたが、
自分の部屋の中で、これ以上の逃げ場は無いようだった。


「ハ・ジョンナンさんの好意を無駄にせず、君の悩みも解決出来る方法がある。
その答えを知りたくないか?」

イヌが言った。

「…模範解答はいらないわ。あなたの問題なら、傾向と対策が分かってきているから」

ヘリが言った。

含み笑いを口元に浮かべながらも、瞳に甘い熱も浮かばせているイヌを見れば、
その答えは、一目瞭然だった。

…これから、これらを一緒に試してみよう。

「よく分かったな」

「目は口ほどに物を言うっていうでしょ?」

「僕がどんな目をしてるって?ヘリ」

「いやらしい目をしてるわよ。イヌ」

イヌが、獲物を視界に捕らえた猟師のように目を細めた。

「恋人と二人きりになった男が、こんな目になるのは当然だろう」

イヌがゆっくりとヘリに近づいて言った。

「それも、ただでさえ可愛い恋人が、こんな可愛い事をしてくれたんだからな」


ドキンっと胸をときめきで弾ませながらも、

かつてジョンナンの店に行った時に、ユナが言った言葉そっくりな事を
口にするイヌに、ヘリは、内心驚愕して

…まさか、どこかで見ていたのかしら?と動揺さえしていた。

さりげなく、そんなヘリに近づいて、すぐ横に座ったイヌは、
ヘリの側に置かれていた紙袋の中に手をいれた。

そして、中から商品の1つを取り出すとそれをポンっとヘリの膝の上に置いた。

「まずは、これから」

不透明なパッケージに入っているというのに、その中味が何か分かっているようなイヌ。

…透視能力もあるのかしら?

ヘリが困惑した表情で、イヌと膝の上の物を交互に見つめた。

…パッケージの中にはセクシー下着のセットが入っているはずだった。

迷っているようなヘリに、
イヌが、フッと微笑むと、ヘリの頬に手を置いて優しく撫でた。


「ヘリ」

イヌが、言った。

「もっと可愛い君が見たい…着て見せてくれ」

「・・・・・・」


…この男には、テレパスや、透視能力以外で、催眠術の能力もあるのかもしれない。


そんな事を考えながらも、
ヘリは、イヌの言う可愛い女そのままの体で、コクリと照れた顔を頷かせていた。

そして、
その場で着替えるのもためらわれたヘリが、バスルームの方に向かう前にイヌに聞いた。

「ねえ、これから『観賞会』を始めるのかしら?」

イヌが、「いいや」と首を振って、立ち上がると、
ヘリの部屋の照明を1つずつ切っていった。

そして、ベッドサイドのスタンドランプの明りだけになった薄闇の中、
イヌが子供のような無邪気な笑みを浮かべて、ヘリを見つめて言った。


「『お遊戯会』だよ。優等生」




(優等生SP-戯事-4終わり 5に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ハ・ジョンナン…大人グッズ店の店長(元スナックのママさん)



先日の夜に紹介した、イヌ役のパク・シフさんの写真集の表紙の写真。
「詳しく訳を話してもらおうかな。へり?」
…みたいな顔に見えませんか?(笑)

次回の更新も、もちろん(?)「注意」マークつき。

明日から週末休みに入るのに、
そして、少しずつ危険度が増すのに(苦笑)
真昼間からの更新開始で大丈夫なのだろうか?…と、ちょっぴり心配。
くれぐれも、こっそり、ひっそり見て下さいね♪



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…某ネットサイトで買い物するとですね…
その人がよく検索するキーワードから「おすすめ」情報が送られてくるわけですよ。


それで、これが。↓



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もう、買い物は慎重に。とくにパク・シフさん関連はって
思っていたのに、



↑これ、イヌですよね(涙)


あきらかにイヌっぽい画像のパク・シフさんですよね。


イヌ好きの皆さまにも「表紙」の画像だけでも…とご紹介。

サイトで詳細ページにとぶと、中身が数枚見られます。


…イヌがいます(泣)


「買ってくれないの?」

…みたいな目してこっち見てる気がする(苦笑)


このイヌ(パク・シフさん)の画像見ながら、


明日、いつもの時間に更新予定の
みつばの検事プリンセス二次小説の「優等生SP-戯事-」(4話)
読んでみると面白いかも(笑)


今日は、いろいろあって疲労困憊ぎみだったのですが、
このイヌを見て、ちょっと(かなり)元気になりました♪

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生SP-戯事-」第3話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は「優等生」シリーズの最新作です。
「優等生」シリーズとは、段階を追った?(笑)イヌ×ヘリの大人話です♪

小説の最後に登場人物紹介があります。

(注意)
この話には、大人向けの会話や描写が含まれます。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。




優等生SP-戯事-(3話)



…媚薬入りのキャンディですって!?

ややあって、落ちつきを取り戻したヘリは、
おずおずとジョンナンに聞いた。

「…媚薬というと、あれですか?食べると、その…そういう気分になる…みたいな?」

…話や噂では耳にしたことがあるけど、
媚薬って本当に存在するものなの?

「そう」ジョンナンはいたずらっぽく笑った。

ジョンナンの笑みが、童話の世界に出てくる魔女の薄笑いのように感じたヘリだった。

「中味は何が入っているんですか?成分は?まさか非合法の薬とかじゃないですよね?」

やつぎばやに質問を繰り出すヘリに、
ジョンナンは呆気にとられたような顔をして肩をすくめた。

「箱には詳しい成分のことは書いてないけど、店でおろしているものに、非合法のものはないですよ。おそらく入っていても漢方系だと思いますわ。それに、媚薬といっても、気分的な暗示みたいな効果じゃないかしら?ウイスキーボンボンみたいに少しアルコールも入っているみたいだから」

「・・・・・・」

ヘリは、箱を手の中でこねくり回すように眺めながら、

…検察庁の科学分析室で調べてもらった方がいいんじゃないかしら?と真面目に考えこんでいた。

「もう、心配しないでくださいよ。検事さん。この商品は店の一番人気の一つで、すごく売れていますし、今までクレームがきたことなんてありませんもの。何かあったという話も聞かないし。あ、後で、すごく効きました♪なんていうお礼はよく聞きますけど」

「・・・・・・」

無言で、箱を見つめ続けるヘリに、ジョンナンはフーっと溜息をついて、
ヘリの手の箱に手を置いた。

「これ、検事さんにさしあげますから」

「え?」驚いて、顔をあげたヘリにジョンナンはうなずいた。

「1個だけはいった試食用なんです。遠慮なくどうぞ」

ヘリが目を丸くして固まった。

そんなヘリをジッと見つめたジョンナンは、今度は感嘆したような溜息を洩らしていた。

「それにしても、検事さんは、お綺麗ですよね」

「え?」

「プロポーションも良くて、うらやましいわ」

…ハ・ジョンナンさんも綺麗な人だけど。

容姿を褒められたヘリは、それがジョンナンの商売柄のお世辞だと頭で分かっていても、
まんざらでもない顔になっていた。


「やっぱり若いっていいことですわ。今だけですもの。
そういう時にしか身につけられない服もありますよね」

「そうですね…」

たしかに、それは一理ある話だけど…この流れは何?

ジョンナンが決して、ただ顔と容姿と若さを賛辞しているのではない、と
身構えたヘリに、ジョンナンは店の棚からあるパッケージを出してきた。
中にはやわらかそうな物が入っているように見えたが…。


「今の検事さんにならピッタリだと思いますわ。
もちろん、私くらい年を経ても着られるものですけど。
中味はこれですわ」

そう言って、ジョンナンが指さした展示物を見たヘリは、
再び、体を硬直させた。

それは、ユナと一緒にこの店に初めて来た時にすすめられた、
セクシーランジェリーのコスチュームのセットだった。

白く薄いレースたっぷりの布地のブラジャーとショーツ。そして、白いガーターベルトに網タイツのセット。

ユナといた時は、人目が気になってまともに直視していなかった、モデルのマネキンが着ているそれを、ヘリはまじまじと見つめた。

そして、訝しげに首をかしげて言った。

「この下着…縫合ミスじゃないですか?」

「え?」

ヘリの言葉にジョンナンは怪訝な顔をして、
ヘリの見ている下着を一緒に覗き込んだ。

「ほら、ここ、ショーツなのに布が二つに分かれているんですけど。
それに、ブラジャーの所も。」

…不良品なのかしら?

「・・・・・・」

ジョンナンは、再び呆れたような目をヘリに向けていた。

「これは、こういうランジェリーなんですよ」

「そうなんですか?」

「ええ…ほら、ショーツのこの部分がこうなってるのは、脱がなくても出来る為になんですよ」

「トイレがですか?」

「・・・・・・」

ジョンナンは、ヘリに説明するくらいなら、発情期の猫に教えた方がましかもしれない、というような表情で天井を仰いだ。

「…試して頂ければ分かります。どうぞ、これも差し上げますから」

「そんな…」

ヘリは、ジョンナンから押し付けられた、セクシーランジェリーのセット一式を困惑した顔で見つめた。

そんなヘリに、そうだ、と言ってジョンナンは、カウンター下からさらに何か取り出してきた。

「これもどうぞ。もちろん新品ですよ。ただ、一つ前の旧型で、かたおちした商品だから、在庫を入れ替えようと思っているものなんです。なので、余っているんですよ。
性能は新しいものと同じくらいいいですよ。デザインが新しくなっただけで。
良かったら、どうぞ差し上げます」

良かったら、といいながら、ジョンナンはヘリの手の上にその箱をのせた。
体よく、返品か破棄予定の物をヘリに押し付けたようにも見えた。

ヘリは、おっかなびっくりで、その箱の蓋をそーっと開けてみた。
そして、中の商品を見て、また固まった。

「……あの、これ、説明書は?」

ヘリの言葉にジョンナンは目を見開いた。

「説明書はありません。保証書ならついてますけど。使い方は人それぞれですから」

「・・・・・・」

その、“人それぞれの使い方”を聞こうかどうしようか、悩んでいる様子のヘリに
ジョンナンは不安そうな顔をした。

「あの、検事さん?…もしかして、こういうの、現物を見るのは初めて?」

「え?…あ、え、っとその~…」ヘリはあたふたとしながら、
誤魔化そうか、噓を言おうか迷ったが、素直に恥ずかしそうにうなずいた。

「…ええ」
ジョンナンは納得したようにうなずいた。

「そうですよね。検事さんみたいな上品な方は、こういうもの倦厭されるかもしれませんね」

「そんなこと全然ないです…関心はとってもあるんですよ。
ただ。ちょっと恥ずかしいだけで…」

とっさに否定したヘリにジョンナンが聞いた。

「つきあっている男性はいらっしゃるの?」

「…ええ、います」

ジョンナンはヘリの返事に微笑んでうなずいた。

「検事さんとおつきあいされている方ならきっと素敵な男性なんでしょうね
是非、お付き合いされている方と一緒にお使いになってください」


…素敵な男性…。

ヘリは脳裏にイヌの顔を浮かべて、ジョンナンの言葉に曖昧に笑った。

ヘリの笑みを『是非そうします』と受け取ったらしいジョンナンは、
さらに、ヘリの手に新たな“珍品”をのせた。

「こちらもサービスさせて頂きますね。“そちら”と一緒に使用されても良いものですから。新商品の試供品で入ったものなので、ご遠慮なさらず」


「・・・・・・」

最後まで、遠慮ではなく、もう心から辞退したい、というヘリの思いはジョンナンには通じなかったようだった。

結局ヘリは、この日、ジョンナンの店で、夜の営みの必須アイテムを2ケース購入し(させられ)サービスとして、…一体どうして使用すれば良いか分からない“玩具”と、どんな時に使用すれば良いか中味の分からない物が入ったチューブ状の容器と、普段使いにはしないだろうな、と思われるセクシー下着セットと…絶対食べないで棄てた方が身の為だ、と思えるような『媚薬』入りだというキャンディを手にいれた。

それらを店の、可愛い外装の紙袋の中に(もちろん、店名などは書いてない)いれて、
ジョンナンはヘリに手渡した。

「ありがとうございます。また、是非遊びにいらしてくださいね。検事さんなら、いつでも2割引きでご提供させて頂きますから」

そう言って、にこやかに店の戸口で見送るジョンナンに、ヘリは、「失礼します」と頭を下げると、そそくさと周囲の視線をさけるように早足で帰路についた。


――‐ こうして、マンションの自室についたヘリは、
紙袋を抱えたまま、困惑した顔で、うろうろと部屋の中をさまよう事になったのだった。

いっそ、棄ててしまえばいい事なのだが、
せっかくの好意でサービスしてもらった物を無碍に捨ててしまうのも・・・と、
気のいいヘリは、申し訳ない気持ちで踏み切れずにいた。

…かといって、誰かにあげるわけにも、
実家においておくわけでもいかない。

ユナにゆずっても良いかも、とも考えたが、ジョンナンの店でこれらをもらった経緯を話す事もためらわれた。

コレはいつか使うとしても…。

ヘリは、2ケースあるうちの“アレ”の1ケースをベッド近くの棚の下に潜ませ、
残りは袋の中にそのまま入れておいた。

…どこかに隠しておこう。

もう、これ以上いい案が浮かびそうもなかったヘリは、
考える事を諦めて、いいアイデアが出るまで、その問題を放置しておくことに決めた。

普段、何か相談事があった時は、迷わずイヌに話をするヘリだったが、
今回の事に関しては、違った。

…とくにイヌには内緒にしておかなくては。

これが、もし、イヌに見られたら…

ヘリは、ある意味予測可能で、ある意味想定不可能なイヌの反応を考える事も放棄して、部屋の納戸の上の奥、荷物と荷物の隙間に紙袋を隠すように入れ込んだ。

ヘリは、手に持っていた問題の紙袋が目の前から消えた事に安堵の溜息をついた。

これで、気がかりな物はなくなったけど、
ただ、これはイヌに伝えておいた方が良いかも…とヘリは思った。

それは、ジョンナンの事。

自分の父親の事件にかかわっていた人物とはいえ、長い間、懇意にしていたスナックのママ、ハ・ジョンナン。イヌは父親の事件が解決したあと、1年間、韓国を離れていた。
心の中では彼女の事をどう思っていたか分からないが、イヌに気を許し、何でも相談にのっていたらしいハ・ジョンナンのその後を気にしていたかもしれない。


ヘリは、週末、イヌと会った時にそれとなく、ハ・ジョンナンに街で会った事を伝えた。

「偶然会って、少し話をしたんだけどね。今はいいご主人とご結婚されて、幸せに暮らしているみたい」

そう言ったヘリに、イヌは、「そうか。…良かった」と応えて、やわらかく微笑んでいた。

そのイヌの嬉しそうな顔に、やはり、イヌは、ハ・ジョンナンの将来を案じていたのだ、と気づいたヘリだった。

しかし、イヌも別段、それ以上の事をヘリに聞くこともなかったので、ヘリもホッと胸をなでおろした。

そうして、ヘリの中で、ハ・ジョンナンの事も、その時にあった出来ごとも
やがて時間と共に忘却の彼方に消えていったのだった。


しかし…。
それは、完全に忘れたころに起こった。

ある週末の金曜日の夜。
ヘリの部屋にイヌが訪問していた時のことだった。


ヘリより一足先に仕事から帰っていたイヌは、
自室でシャワーを浴び、部屋着に着替えてからヘリの部屋に来ていた。
対して、その日は残業で帰りが遅かったヘリは、
イヌが軽く作ってくれた夜食を口に運んだあと、シャワーを浴びる事にした。

ヘリがバスルームへ向かおうとした時、
突然カタリ!という物音が部屋に響いて、ヘリはビクっと体を硬直させた。

「…やだ。誰かいる?」

イヌも怪訝な顔で、音のした方に歩いて行った。

あたりを慎重に見渡したイヌは、
壁にかかっていた絵の1枚が傾いて落ちそうになっている事に気づいた。

「これだよ。ヘリ。支えている釘が抜けそうになっている」

「なんだ」

ヘリはほおーっと胸をなでおろした。
イヌが、絵を壁から降ろしながら言った。

「このままだと危ないな。直しておこう。工具はどこだ?」

「納戸の棚の上に工具箱があるはずだけど」

「分かった。君はシャワーを浴びてくるといい。僕はその間に釘を打ちなおしておくから」

「ありがとう。お願いするわ」

ヘリはそう言うと、バスルームへ向かい、イヌは、納戸の小部屋に入って行った。

そして、工具箱を見つけたイヌがそれを取り出そうとして、
・・・・

ごとん、と何かが落ちた。

…ん?

イヌは落ちたものに目をやった。
紙袋だった。ちょうど工具箱と棚の間に押し込められるように置いてあったようだった。

…珍しいな。

イヌは紙袋を拾い上げるとしげしげと眺めた。

ヘリが中味をださずに紙袋のままこんな風にしまいこむなんて。
ファンシーな外装だから、友人へのプレゼントか?
音がしたが、落ちた時に壊れてなければいいが…。

そう思ったイヌは中味を確認してみることにした。
そして、そっと中を覗き込んだイヌは、目を丸くして固まった。

…なんだ。これは…。


その予想もつかなかった衝撃に、
さすがのイヌもしばらく茫然と紙袋の中に目を落として佇む他なかった。

紙袋の中にはいくつかのグッズがはいっていた。

お菓子らしきもの。
ジェルらしきもの。
玩具らしきもの。
ランジェリーらしきもの。

…すべて、らしきもので、パッケージにはいってはいたが
一目遼前で、すべて「大人の」とつけられるものだった。

―― 大人の遊戯に使用されるもの。

“アレ”がダース単位で入っているような箱もある。

一瞬思考を停止させたイヌだったが、
すぐに持ち前の冷静さを取り戻して、深く息をついた。


…これは、“持ち主”に問い詰めるしかないな。


イヌは、何も知らずにシャワーを浴びているヘリのいる方に、
興味深げな目を向けた。



(優等生SP-戯事-3終わり 4に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ユナ…ヘリの親友
ハ・ジョンナン…16年前の事件の証人(スナックのママさん)


ようやくイヌ登場♪

ところで、いつもブログを読んで下さっている方はおわかりだと思いますが、
みつばの書く大人話はいつも極力、固有名詞をはぶいて書いています。
なので、大人の方は、妄想で補足して読んで下さい。
でも、今回の話は、大人の方でも分からないこと(?)が出てくる可能性があります。
そういう時は想像力で補って下さいね…って、それでも、これは一体どういうこと?と知りたい事があったら、拍手ボタンを押して、匿名で良いので、拍手コメントから質問してください。説明出来る範囲で、ブログコメントでお答えします。
これからの「優等生SP」話はそんな感じで続きます(汗)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生SP-戯事-」第2話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は「優等生」シリーズの最新作です。
「優等生」シリーズとは、段階を追った?(笑)イヌ×ヘリの大人話です♪

小説の最後に登場人物紹介があります。

(注意)
この話には、大人向けの会話や描写が含まれます。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。




優等生SP-戯事-(2話)




「おひさしぶりです。…マ検事さん。マ・サンテさんの娘さんでしたよね?」

ジョンナンが言った。

「ええ、おひさしぶりです」

ヘリが慌てて頭を下げた。

「今はこのあたりにお住まいなんですか?」


あの時、ジョンナンは経営していたスナックをやめて、店も人に売り渡していた。
事件が解決したあとは、コ・マンチョルとのいざこざも解消して、住んでいたマンションも売って引っ越した、とまでは記憶していたが…。

「ええ、すぐそこに私の店舗兼自宅があるんです。
検事さん。今から立ち寄っていかれませんか?これのお礼もしたいし、お茶でも飲んで行って下さい」

ジョンナンはニコニコした顔でヘリに言った。

あの1年半前の時より、リラックスして、とても愛想のいいジョンナンの笑顔に、今のジョンナンの暮らしが満たされている事を感じてヘリは微笑んだ。

「でも…」

お気もちだけで…と辞退しようとしたヘリの手にジョンナンが手を重ねた。

「今日店は定休日なんです。夫も仕事で留守にしてますから、どうぞ遠慮なく」

…夫?ご結婚されたのかしら?
たしかハ・ジョンナンさんは独身だったはず。

ヘリは、ジョンナンの商売上手な客寄せのような笑顔に断りきれなくなると、
曖昧にうなずいて、ジョンナンの後をついていった。

ついた先は…。


…え?ここ?


ヘリは、ジョンナンの店の前で身体を硬直させたように直立不動になった。

看板の電気は消えていたが、そこは、
このまえ、ユナにつれてこられた『大人のグッズ』のお店だった。

「あの…ここって…」

「飲み屋じゃないですよ」ジョンナンがヘリに言った。

…知ってます。と答えそうになったヘリはあわてて、
鍵を開けて店の裏口から入るジョンナンの後を追った。

ジョンナンは店の裏にある自宅用の居間にヘリを招いた。

テーブル席にヘリを座らせたジョンナンは荷物を台所に置いて、
お茶をいれはじめた。

ヘリは、部屋を見渡すと、棚の上におかれた写真に目をとめた。

ジョンナンと中年の男性が、仲むつまじげに肩を組んで一緒に写っている写真だった。

「ご結婚されたんですか?」

ヘリの言葉にジョンナンが嬉しそうにうなずいた。

「ええ、半年ほど前に。店をやめて、他の仕事についてから出会った人なんですけど、何かと親身になってくれて…」

「じゃあ、この新しいお店はご主人のお店ですか?」

「いいえ、この店は私が始めました。夫は他の店を経営しているのですけど、結婚した時に私にしたい事をやってみたら?とすすめてくれて」

「そうなんですか」

…生き生きとしていて、とても幸せそうに話すジョンナンの姿に、ヘリは、自然と顔を綻ばせていた。

ジョンナンが夫となった人から大切にされていて、
そして、ジョンナンもその人をとても愛しているように感じた。

「どうぞ」

ジョンナンがヘリの前にお茶を置いた。

「ありがとうございます」

ヘリは、礼を述べると、お茶のカップをとって、口をつけた。

「ところで…」

ジョンナンは、ヘリの前に座ると、少しためらったように口を開いた。

「ソ弁護士さんとはお会いになったりします?」

ジョンナンの言葉に、ヘリが飲んでいた熱いお茶にゴホッっとむせ返った。

ソ弁護士…イヌ。


「ど、どうしてそんな事をお聞きになるんですか?ソ弁護士が何か?」

あわてふためいて、口元をハンカチで押さえるヘリにジョンナンが寂しげにフッと微笑んで話はじめた。

「…作家さん、じゃなくて、ソ弁護士さんには、あの時本当にいろいろお世話になっていました」

過去の自分の過ちも含め、あの頃を思い出しているようなジョンナンは、
少し辛そうな、でも、懐かしそうな顔をしていた。

「16年前の事件のことで、ずっと騙されていたって分かっても、それまで、何かと親身に相談にのってくれたりしていて。あの時もお話しましたけど、それまで彼がしてくれた事や優しさは本物だったって思うんですよ。事実、私はとても助けられていました。…おかげさまで、今、私はこうして幸せになることが出来ました。
あれから店をたたんで、ソ弁護士さんとも会わなくなりましたが、その後どうされているか気になっていたんです。
ソ・イヌさんには幸せになって欲しい。ずっとそう願っていました」

…自分たちが証言をしなかったせいで、ソ・イヌの父親ソ・ドングンは無実の罪をかぶってしまった。そんな自分に知っていながら近づいたイヌだったが、今思えば、してくれた事は復讐ではなく、優しい助言の数々だった。

そう語るジョンナンに、ヘリはソッと頷いていた。

…そう。イヌは、証言を曲げた人々に何の復讐もしなかった。

“ソ・イヌには幸せになってほしい”

…私もそう思うわ…イヌ。


「ソ弁護士は、お元気ですよ。今も弁護士をされていて、ご活躍なさっています」

ヘリはジョンナンにそう答えた。

…噓は言っていないわ。

ヘリは、自分とイヌとの関係をジョンナンに包み隠さず話すことをためらって、
あたりさわりのない事を述べた。
それでも、ジョンナンはヘリの言葉に嬉しそうな顔をした。


「そうですか。お元気なんですね。良かった。今頃ご結婚でもされて、良い家庭を築かれているのかしら?」

「それは、分かりませんが…」

ヘリは、ぼそぼそと答えて気まずそうに首筋を手でかいた。

その後、ジョンナンのいれてくれたお茶を飲み干したヘリは、ジョンナンにお礼を言うと、席を立った。

そんなヘリに、ジョンナンも立ち上がって言った。

「検事さん。これから、店の方もご覧になりませんか?」

「え?」

ジョンナンの言葉にヘリが固まったように立ちつくした。

…店って、あの店よね?

「これでも若い女性の方にとっても評判のいい、人気のお店なんですよ。むしろ、お客様は検事さんのような若い女性ばかりですし。ね。どうぞ寄っていらして」

「い、いえ。その、定休日なのにご迷惑だと思うので」
…それに、一度中に入った事もあるので。という言葉を呑み込んで、
ヘリはジョンナンの誘いを何とか辞退しようと、じりじりと後ずさった。


「何のお店か、さっき看板でお分かりになったと思いますけど、こういう店ですから。
休みの今お一人の方がゆっくりご覧頂けると思いますわ。どうぞ、遠慮ならさずに」

にっこりと優しくほほ笑みながらも、がっしりとヘリの手を握ったジョンナンに引きずられるように、ヘリは、ジョンナンの店の方に連れていかれた。

…さすがにお商売が御上手だわ。

ヘリは、ひきつった愛想笑いを浮かべながら、ジョンナンの店の中に入った。

ジョンナンが電気をつけた店内を見ると、
そこは、やはり、この前ユナに連れてこられた所だった。

棚に綺麗に陳列された、一見、ファンシーグッズに見える、可愛らしい色とりどりの「大人向け」の玩具らが、まるでオカルト映画のように、ヘリを一斉に注目したように見えて、ヘリは無意識にブルっと体を震わせた。

「す…素敵なお店ですね」

ヘリは、上ずった声を誤魔化すように、喉に手をあてて、
あたりを見回すふりをした。

「そうですか?」

ヘリの心ないお世辞の言葉にもジョンナンは嬉しそうに微笑んだ。

「どうぞ。検事さんしかいらっしゃらないから、ゆっくりとご覧になって下さいね。何か気にいったものがあったら、格安で提供させて頂きますから遠慮なくおっしゃって下さい。先ほどのお礼にサービスもつけさせて頂きますわ」


もはやお礼というより、押し売りになっているようなジョンナンの言葉に、
ヘリは、ますますひきつった笑みを浮かべた。

…とても手ぶらでここを去れそうもないわね。


「じ、じゃあ…」

ヘリは、キョロキョロとせわしなく店内を見渡した(ふりをした)後、
ユナと来て、もう居場所の分かっていた、アレの陳列している棚に移動した。

「これ。可愛いですよね~。これを3個頂きます」

この店の中で、ヘリが抵抗なく買えて、そして、この先も必需品になるであろう物をヘリは手に取った。

可愛いパッケージで包装され、薄く手のひらサイズに収まる大きさのバラ売り。
今仕事帰りのバッグの中にもしのばせられるコレなら、いいだろう。
そう思ったヘリだった。

…どうせ、いつかは使用するだろうし、
ジョンナンさんのお店の物も購入したことになるだろうから。

これで、ジョンナンも、ヘリを心よく店から出してくれるだろう。

そう考えたヘリだったが、

女手一つで、スナックを長年経営し、そして、ヘリより年も人生経験も重ねている美人女将は、お嬢様育ちの『カモ』のそんなぬるい思惑をすぐに看破したようだった。


「その商品でしたら、バラよりケース買いがお得ですわ。ほら、このセットは1ダース入ってますけど、全部パッケージのデザインが違うのですよ。毎日違う柄も楽しめて、お値段もお買い得。2ケース買いなら2割引きの上、別のデザインの物も2個おつけしますわ」


…いえ、毎日は使いません。
それに、いくら必需品とはいえ、2ケースもいりません。

そう必死で心の中で言っているヘリの声は口からは出てこなかった。

ジョンナンの有無を言わさない目に捕らえられて、手にもっていた3個のアレを、
いつのまにか魔法のように、ダース入りの箱にすりかえられていたヘリは、
途方にくれたように立ちつくしていた。


「…じゃあ、これでお会計してください」


そう言って、レジのカウンターに箱を置いて財布を取り出そうとしたヘリに、
ジョンナンが「そうだわ」と何か思いついたように手を打って、
楽しげにカウンターの中に入っていった。

「とってもいいものがあるんですよ。是非検事さんに差し上げたいので、ちょっと待っていて下さいね」

そう言って、ごそごそと、カウンターの下にもぐって、何かを探し始めたジョンナン。
そんなジョンナンを、ヘリは、新種の毒蛇でも探しているのかしら?というような目で息をひそめて見守っていた。

「そうそう、これ」

はりきった声をあげて、カウンターから顔を出したジョンナンは、
ヘリに、小さな綺麗なピンク色の箱を手渡した。

「なんですか?これ」

不思議そうに箱を受け取ったヘリにジョンナンは、楽しそうに言った。

「キャンディですよ」

「キャンディ?」…普通のお菓子も売っているのかしら?

「もちろん、ただのキャンディじゃないですよ」

ヘリの心を読んだのか、ジョンナンが続けた。

「媚薬入りのね」

「び、媚薬!?」

ジョンナンの言葉に、ヘリが驚いて、とっさに箱を落としそうになった。


(「優等生SP-戯事-2終わり 3に続く)


登場人物

マ・ヘリ(マ検事)
ソ・イヌ(ソ弁護士)

ユナ…ヘリの親友
ハ・ジョンナン…16年前の事件の証人(スナックのママさん)


ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます!
今回は、毎話「注意」か「警告」マークつきですので、
連日ご注意を(笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生SP-戯事-」第1話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は「優等生」シリーズの最新作です。
「優等生」シリーズとは、段階を追った?(笑)イヌ×ヘリの大人話です♪


小説の最後に登場人物紹介があります。


(注意)
この話には、大人向けの会話や描写が含まれます。
自分は精神的に大人だと思える方のみお読みください。





優等生SP-戯事-(1話)




…一体どこに置いておいたらいいのかしら?


ヘリの部屋の中、

ヘリは困惑した顔で、手にもった紙袋を見つめて、立ちつくしていた。

ファンシーで可愛い柄の紙袋。

問題は、この紙袋ではなく、入っている中味…。

…棄てる事も出来ないし、かといって、人にあげるわけにもいかない。
それに、ましてや実家になんて置いておけない。

この部屋だって、イヌが訪ねてくるから、
適当な場所に置いておけば見つかる可能性がある。

それが一番避けたいことだった。

「もう。一体これをどうしろっていうのよ~」

ヘリは自分以外誰もいない部屋の中で思わず大声を出して問いかけていた。

答えてくれる相手はもちろんいないのだったが。


――‐あの日にはこんな事になるなんて思いもしなかった。

そもそも、この袋の中身がここにある経緯。
ヘリは、それを思い出しながら、深く溜息をついた。


…それは、ヘリがイヌへの誕生日プレゼントを選ぶために繁華街に来ていた日のこと。


その日は早番の仕事だったユナと夕食を一緒に食べる約束をしていた。

プレゼント選びはあっさりと終わったヘリだった。
ネクタイピン。何度か店に足を運んで、目星をつけていたものだった。

…きっと。イヌに似合うわ。

しかし、その後、ユナと夕食を食べている最中、
ヘリは、自分のプレゼントに何か物足りなさを感じはじめてきていた。

「やっぱり、他にも何かプレゼントしたいわ」

そう言うヘリに、ユナがからかうように言った。

「何?そこまでソ弁護士さんにつくしたいの?」

…もう。ヘリったら、彼氏に夢中の可愛い女って感じね。


真剣に考えこんでいるヘリは、
ユナの言葉もニヤニヤした顔も全く気にならないようだった。

「ん~…せっかくの誕生日祝いなんだもの。他に、こう記憶に残るっていうか、インパクトのあるプレゼントってないかしら?お金をかけないで。ユナの時はどうしたの?」

「彼の誕生日の時は、私が仕事で使えるようなエプロンを作ってあげたわ。
私の時は彼の作ったご馳走を一緒に食べたわ。…そう言えば、彼氏が作ったケーキの中にプレゼントが入ってたわ。カプセルに入ったネックレスなんだけど。サプライズだったわね」

「サプライズ!そう、そんなサプライズが欲しいのよ」

ヘリは、いい事を聞いたわ!という風にポンっと手を打った。

しかし、ネクタイピンを購入したヘリにはもうあまりお金が残されていなかった。
自分で料理を作ってもてなすという事は計画にはいっていたのだったが…。


…もっと、イヌを驚かせたり、喜ばせるサプライズ的なものってないのかしら?

ヘリは、自分の考えを思い切ってユナに話すことにした。

「自分にリボンをつけて、『私をプレゼント♪』ってどう思う?」

ユナが、ヘリに呆れたように失笑した。

「そういうのはティ-ンエージャーのカップルが使う手ね」

「・・・・・・」

真剣に考えた思いつきを一蹴された上に、
ヘリは今何歳?というようなユナの視線にヘリは居心地悪そうに首をすくめた。
そして、頬を少し膨らませると、
「だって…他にいいアイデアが浮かばないんだもの」と言い訳めいた口調で呟いた。

「自分にリボンをかけて、プレゼントっていう案がいいアイデアかどうかは分からないけど、それにもう少し大人な部分をプラスしたらどうかしら?」

「大人な部分って?」

「そうね…」ユナが、ちょっと企むような妖しい笑みを浮かべた。

「だから、リボンじゃなくてね…」

「リボンじゃなくて?」

ヘリは、ユナに詰めよるように身を乗り出していた。

・・・・・・

時は過ぎて…。

夕食を終えたヘリはユナにある場所に連れて来られていた。


「…あの、…ユナ?」

ヘリは、途方にくれたような顔をユナに向けていた。

「…私、イヌの誕生日のプレゼントを探しに来てたんだけど…」

「分かっているわよ。だからここに連れてきてあげたんでしょ?」

「でも、…ここって…」

ヘリが、困惑したように、ユナが連れて来てくれた店の看板を見上げた。

ピンク色の看板には、『大人のおもちゃ箱』と一段と鮮やかなピンクの文字で書かれていた。

「…大人の…グッズの店よね」

「分かるの?」
世間知らずのヘリが知っていたことに驚いた様子のユナ。

「それくらい知ってるわよ!」
と言っておきながら「…はいったことないけど」とヘリはボソボソとつぶやいた。

ヘリは、高校生の時、クラスの女子達が、大人のふりをして店に入ったという話で盛り上がっていたのを勉強するふりをしながら耳をそばだてていた事を思い出していた。

そんなヘリにユナは頷くと、

「このお店は、20歳以上だったら入れるから。若い子も気軽に来れるお店なのよ」」

…やけに詳しいのね。という言葉をヘリは呑み込んで、

「…はいったことあるの?」と聞いた。

ユナが何の照れも誤魔化しもなくしっかりうなずいた。

「グッズだけでなく、必要なものも売っているから」

ひ、必要なものって?

「さ、入るわよ。ヘリ」

目を丸くして固まったヘリを促してユナは店のドアをあけた。

店内に入ると、

看板のイメージとは異なって、
店の内装は落ちついていて、ディスプレイも若い女性にこのまれるようなおしゃれな棚に綺麗に陳列されていた。
まるで、おしゃれでファンシーな雑貨屋と見まごうばかりの印象だった。

…ただ、それが、やはり『大人向けの雑貨』という点をのぞけば。

しかし、店内を見渡して、ヘリは驚きのあまりたちすくんでいた。

店の中にいる客は、ごく普通の若い女性達だけでなく、グループできゃっきゃっ言いながら、まるで本当にファンシーショップに買い物に来ているような女子大生達もいれば、カップルも何組もいた。

みんな何の恥じらいもなく、陳列された『もの』を手にとって、楽しそうにショッピングしている様子に、

…これは一体どういうこと?とヘリは、カルチャーショックを受けていた。

そんなヘリにユナが小声で説明した。

「このお店は、繁華街の外れにあるから、買い物にくる若いカップルとか、観光客も入りやすいのよ。外や中も初心者にも親しみやすい感じで入る抵抗を少なくしているのも売りね。この少し遅めの時間から開いているというのも理由の一つかも」

街にいる人々が夜の雰囲気に完全に染まるころの時間に開く店。

だから、ユナが、意味ありげに訳も話さず、
この時間になるまで時間つぶしをしていたのね。

それにしても…。

茫然とつったったままのヘリの腕をつつくと、ユナは目の前の棚を指差した。

「ほら、ここの商品。これが一番人気の場所よ」

「……」

ヘリがユナの指差した方向を見ると、確かに、利用頻度の一番高そうな、夜の営みの必需品の小さなパッケージがその種類も数も驚くほどの多さで陳列されていた。

「これ、本当に、アレ?」

ヘリは、その中の一つで、綺麗でかわいいファンシーな絵柄のパッケージを一つ手にとった。

「そうよ。中味はみんなだいたい同じ。でも、パッケージが違うと、女性でも抵抗なく買えるでしょ?」

ユナがさっき言っていた「必要なもの」ということがようやく分かったヘリだった。

…しかし、ユナと違って、だから抵抗なく買えるかどうかという点においては甚だ疑問だったヘリだった。

指先でつまみ、その薄さや柔らかさをみて、明らかにアレだということを確信したヘリは、
まるで、初めて触りました、という風に、おずおずとパッケージを元の位置に戻した。

そんなヘリにユナが、訝しげに声をかけた。

「ヘリ…まさかこれ、知らないってことないわよね?」

「まさか!知ってるわよ。」ユナの言葉に思わず大きな声を出したヘリは、
周りの客の面白そうな視線を一気に集めて首をすくめた。

「…変なこと言わないでよ。ユナ…。ただ、こういうパッケージにはいったものは初めて見たから」まるで、本当のおもちゃか、ファンシーグッズみたいだわ。

小声で反論しつつ、ヘリは、気恥かしそうに目を泳がせた。

「それにしても、ユナったら詳しいんだから。どうして?」

「どうしてって、さっきも言ったじゃない。来たことがあるのよ。彼氏と一緒に」

「彼氏と一緒にっ!?」

おどろいて、大きな声を出したヘリに、又周囲の視線が集まった。

「もう、恥ずかしいわよ。ヘリ」ユナが呆れたようにたしなめた。

…私の声より、ユナは恥ずかしくないのかしら。彼と一緒にこんな店にはいって買い物をすることが。

ヘリは、側にいる親友が、だんだん理解不能な宇宙人のように感じてきていた。

事実、普段、常識はずれで理解不能な宇宙人のようなことをすることが多いのはヘリの方だったのだが…。

「さっきも言ったけど、この店に限っては気負わずに入れるし、ファッション感覚なのよね。彼と一緒にショッピングするのも楽しいわよ。ヘリも今度ソ弁護士さんと一緒に来てみたら?」

「・・・・・・」

さらりと提案するユナに、ヘリは今度は、大声も出さずに、黙って苦笑で答えた。

内心では、

…そんなことできるわけないわ!!と叫んでいたのだったが。

そんなことを想像するのも恐ろしい事のような気がして、
ヘリは、何とか話題をそらせようとした。

「…それで、ユナはこの中のどれが誕生日のプレゼントになりそうだって思ってるの?見たところ、その…どちらかというと、こちらの方がティーンエージャーの悪ふざけのように思えるんだけど…」

「そうかしら?」

ユナは楽しそうな顔で首をかしげた。

そして、ヘリの顔を指でチョンチョンとつついた。

「こーんなに可愛い彼女が、それも、まだ付き合って間もない『初々しい』彼女が、誕生日にこんなプレゼントをくれたら、男は嬉しいんじゃないかしら?でも、たぶんこの手は最初の1度くらいしか通用しないと思うけど」

…今のヘリだったら十分通用すると思うわよ。

「そうなの?そういうもの?」

ヘリの性格は、やはり純粋で、素直だった。

検事という職業について1年たったが、
とくに信じている人の言ったことで、自分の知らない知識や情報などは、信じてしまう傾向があるヘリだった。


流行に敏感なユナの情報だから確実なことだって分かるけど、
この流行に関して、自分ははたして乗っていいのかしら?と、ヘリは考え込んでしまった。

…それにしても。
これをどうイヌに渡せばいいの?ネクタイピンと一緒に?

「ほら、ヘリ、これなんてどうかしら?」

ユナがヘリの方に向けた物を見て、ヘリは固まった。

「!!」

「すっごく可愛い。ヘリに似合うわよ。リボンのかわりになるでしょ?どうせ、つけるならリボンじゃなくて、これよ。きっと、彼氏も喜んでくれるわよ」


ヘリは、ユナの手の中のセクシーすぎるランジェリーに釘付けになっていた。

その時、

「いらっしゃいませ。何かお探しのものがあったらご案内しますよ」

と、背後から店員らしき女性の声がかかった。

ヘリは、とっさに、ユナの持っていたランジェリーを奪うように取って、
ケースに陳列し直すと、ユナの手を強引に引っ張って、早足で出口を出た。

「ちょっと、どうしたの?へり」

店の出口から遠ざかって、ヘリはようやく大きく息を吐いた。

「ごめん。ユナ。せっかく連れてきてもらったけど、今回はやめておくわ」

「そう。ヘリには刺激が強すぎたわよね。こっちこそごめんね」

ユナが苦笑してうなずいた。

…好奇心旺盛で、何でも体当たりするけど、やっぱりお嬢様育ちなのよね。ヘリは。

「ううん…」

ユナの謝罪にヘリの方が申し訳なくなった。

本当は、とても関心があったヘリだった。

…とてもあったのだったが、それをイヌにプレゼントすることが、それ以上に、
とても…とても恐ろしい事のようにも思えた。

まだ自分にリボンをつけて「プレゼント♪」の方がましかもしれない。

「他のプレゼントの事だけど、自分らしいサプライズな物にすることにしたわ」

…あのワンダーウーマン利用券。
イヌならきっと驚いて喜んでくれるはず。

「決まって良かったわね。素敵な誕生日祝いが出来るといいわね。頑張って」

親友の励ましに、ヘリは、力強くうなずいた。

…そんな事があって、
イヌの誕生日パーティ―も無事終えたヘリだったが、
この時は、まさか再びこの店を訪れる事になろうとは思ってもみなかった―――。


それからしばらくたったある日、


仕事帰りに繁華街で買い物をしたあと、帰路につこうとしていたヘリは
買い物袋がやぶれて、道端に散乱した物を拾い集めている女性を見かけた。

ヘリは、女性の近くに駆け寄ると、しゃがんで一緒に散らばった物を拾って渡した。

「ありがとうございます」

そう言って、礼を言った女性は「どういたしまして」と立ち去ろうとするヘリに
ハッとした顔になった。

「検事さん?」

「え?」

驚いて、暗がりの中確認するようにまじまじと女性の顔を見つめるヘリ。

細みで、美人の中年の女性。

ヘリは記憶の中から、その顔をすぐに思いだした。

「あなたは…もしかして、ハ・ジョンナンさん?」

16年前のあの事件の証人のコ・マンチョルの愛人で、スナックのママをしていた―――。


「はい。そうです」

ジョンナンは、ヘリの言葉に微笑んで頷いた。



(「優等生SP-戯事-1終わり 2に続く)


登場人物

ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

ユナ…ヘリの親友
ハ・ジョンナン…16年前の事件の証人(スナックのママさん)



お待たせしました。

「優等生」シリーズの新作、「優等生スペシャル-戯事-」スタートです。
「検事プリンセス」のドラマ中に出てきた方が又新たに再出場。
…予想通り(?)の展開かと(笑)

先日のブログへの拍手コメントありがとうございます。
ご意見はいろいろですが、イヌ×ヘリやこのブログが好きだから、というのを共通して
おしゃって頂いているので、本当にありがたいと思ってます。
お気になさらず、いつでも好きな時に来て楽しんでいって頂ければ嬉しいです。
私もイヌ×ヘリ、検事プリンセスとブログで創作している時が癒しの時間なので♪

検事プリンセス漫画INDEX」47,48更新しました。


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先日頂いた、拍手コメントから。

「検事プリンセス」以外の二次創作を始める事についての、ご意見と思いを書いて頂きました。

正直、寂しいというコメントです。

「検事プリンセス」やこのブログと創作を書いている私への思いも書いて頂いて、
とっても嬉しかったです。

もしかしたら、今まではコメント来なかったけど、
心の中で、おなじ事を考えている読者さんもいたのでは?と思いました。

しかも、「その気持ちはすっごく分かる」と。


私も昔、はまった二次創作さんのサイトに行くことが楽しみでした。
(はまったものは主にアニメやゲーム系のサイトさんでしたが)

すごく素敵なのに、閉鎖されると知ると寂しくて。
でも、書き手さんの萌えがなくなったり、書きたいものを書ききってしまって辞めることは残念だけど仕方ないことだと思ってました。

でも、途中で、違う二次創作のもの、それも全く知らない物をサイト内で
一緒に始めるとか知ると、え~~~!?と思ったりしました。

そして、さらに、その書き手さんが、そのまま、新しい創作に萌えが全部うつってしまって、好きだった物が自然消滅のように更新が無くなった時などは、悲しかったです。

だから、コメントをくれた方の気持ちがすごく分かるんです。

そんな事もあって、新しい物はいっそ違うサイトを立ち上げるか、または「検事プリンセス」創作がラストまでいった後に始めるか、とも考えました。

でも、新しいサイトを立ち上げるのは、今の自分には厳しい。
今の「みつばのたまて箱」の管理もほとんど記事の更新で手いっぱいな為、
コミュニケーション機能をほとんど切っている状況で、創作ブログを2つ以上かけもちする器用さがありません。

そして、「検事プリンセス」の二次創作の後に…なのですが、
「検事プリンセス」は、もうラストシーンまで構想が出来ているため、もし私に今後何かあって長期休止をしたとしても、再開した時に書くことが可能だと思います。

「デュエリスト」は、数年前、育児に生活がいっぱいいっぱいだった時から
書きたいな~と妄想だけしてきて、ずっと気持ちに書く余裕がないのを言い訳にどうする事もできなかったもの。

おそらく…また、いっぱいいっぱいになったら、書けなくなってしまうかも、とそれが怖くて。
シリーズじゃなくても1話、2話でいい。先の事はまだ分からないけど、
少しでも気持ちと時間の余裕のあるうちに、映画の続きを、作品にしておきたい・・・と思ってしまって。

プロの時だったら許されなかったと思うし、
二次創作だとしても、読者さんの気持ちを考えれば、私みたいにただでさえ更新が遅い創作ブログなら、辞めた方がいい事だとは分かってるのだけど。


何が言いたいのか分からなくなってしまいましたが、

とにかく、本当にありがとうございます!!そして、ごめんなさい!!

コメントをくれた方、私も何度も全く同じ思いをした事があるので、
嬉しいという思いと、申し訳ないという気持ちでいっぱいです。

この記事で改めて、お礼とお詫びを。

いつも「検事プリンセス」の二次創作を応援して下さってありがとうございます。

イヌ×ヘリ、「検事プリンセス」は私にとっても特別なので、
これからも続けていきますので、よろしくお願いします。



…そういって、早速、本日の昼の更新はお休み頂きます。
ごめんなさい。


じつは、先週から連日、予定が混み合っていて、
せっかく、「埋もれた約束」を書きあげたのに、更新中、新しい創作が出来ませんでした(涙)
イラストは、前に描いた物をアップした物。
今週も今日から約束事と仕事がたてこんでいるので、どうなるか分かりませんが、
「優等生SP」は書きあげ次第更新予定です。当初の予定より長くなってます。
でも、スペシャルだからいいのかな?


余談ですが、4月にはいって、子供が新しい環境に入るということは、
親も自然とそうなるんですよね…。行事もいっぱいだけど、新しい出会いもいっぱい。
ランチ会もお茶会もいっぱい(苦笑)
…ほんとに人見知りなんだけど←誰も信じないけど。


今、出来ること、やりたい事をめいいっぱいしよう。って気持ちで生きてます。

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韓国映画「DUELIST-デュエリスト-」、みつばの二次創作イラスト

カン・ドンウォンさんの「悲しい目」です♪

↓こちら


   デュエリスト悲しい目



…写真を元に描いたのだけど、似てないかも(汗)
登録しているブログランキング「ブログ村」の登録画像をイヌから
こちらにしてしまいましたが…縮小されて又、線がつぶれてるみたい。
解像度の問題かな…(ぶつぶつ)

「検事プリンセス」で、
かっこいいイヌイラストが描けたら、また登録画像変更するかも。


映画を知らない人は「悲しい目」って何?ってかんじですよね(汗)


あらすじは、ざっくり!と前回ブログで書いたのですが、
カン・ドンウォンさん演じる「悲しい目」という男は、政治的に権力持った人に仕えている刺客です。

悲しそうな目をしているから、「悲しい目」って主人公の女刑事のナムスン達刑事が
名前を知らないから、都合上あだ名で呼んだのかな?

本名はですね・・・


スルプンヌン


・・・っていうらしいですよ。たしか…。


でも、映画上では一度も出てこなかった。
…おそらく原作か、小説で出てきたんでしょうね。

…しょうねっていうのは、はまっていた時に偶然どこかで知った情報なので、
漢字でどう書くのか、意味はどういう意味なのか、分からない名前です。


…こんな感じで…
二次小説を書いていくには、いささか(いささかどころじゃない)情報不足やetcで、正直、先行き不安。

でも、「悲しい目」を幸せにしたい~!という気持ちで書いていきます。
もちろん、ナムスンも♪

ナムスンは、みつばの見たかんじ、ツンデレ姉さんタイプです。
「悲しい目」役のカン・ドンウォンさんは、ナムスン役のハ・ジウォンさんより年下らしいので、映画の年齢設定は分かりませんが、そうかも。

「悲しい目」の方がナムスンより年下だと思ったら、それはそれで萌えてきました♪

「悲しい目」の悲しい目なんだけど、ナムスンを見つめる澄んだ瞳が、
SO、キュート!!っ♪

乙女心をくすぐるのが、検事プリンセスのイヌだとしたら、
「悲しい目」は、私にとって、母性本能くすぐる男かも♪

背がすらりと高くて、ルックスもかっこよくて、大人なんだけど、
あどけない少年のような顔のカン・ドンウォンさん。他の作品はしっかりと見たことがないけど、
でも、なんとなくミステリアスな空気も。

でも。


検事プリンセスのイヌの時とおなじで、私にとってカン・ドンウォンさん≒悲しい目なんです(汗)

相手役にはナムスン役のハ・ジウォンさんだって思ってしまってます。
だから、他の作品がしっかり見られないのかな?…「1%の奇跡」は一応全部見たけど…。

そんな感じで、「DUELIST」のイラスト&雑記でした♪


「検事プリンセス」の二次小説の拍手、拍手コメントありがとうございます!
「埋もれた約束」、シリアス話でしたが、読んで頂いて嬉しかったです♪


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「検事プリンセス」二次小説「埋もれた約束」ようやく終わりました。
うわーん(涙)終わったよ~~~。。。
シリーズ前回の「プールへいこう」から半年くらいたってようやく。

プロットは出来ていて、そこから話は変えてないのですが、加筆した部分が増えて、
結局26話。自分の中では最長記録に。

「検事プリンセス」の二次小説に関しては、去年の夏休みにラストシーンまでほとんど構想が出来ていたのですが、こうしてイヌとヘリと創作の中で付き合っていくうちに、想い入れがどんどん深くなって、あれも、これも~って気持ちになってしまいました。

それに、…実際書いてみたら、妄想してた時より、重い。
書いていてめげてくるので、一向に創作が進みませんでした。
こういうの自分で書いていて言うのもなんですが、
ドラマなら早送りしてるし、小説なら読み飛ばすシーンです。
でも、山場を1つ越えて、私も成長したかな?←ほんと?

「埋もれた約束」への感想、拍手コメント。
沢山書いて頂いて、ありがとうございました!!!

全部、ありがたく、嬉しく読ませて頂きました。


一人で趣味で書いていたら挫折していた所を、何度も支えて頂きました。
書きたかった話の一つなので、先日ようやく完結した時は、
逆転ゴールをきめたサッカー選手のように、読者の人に抱きつきた~い!と、
思いましたが、不可能なので、ノートパソコン抱きしめてました(笑)


ただ、

「検事プリンセス」の二次小説シリーズ話は、次回もシリアスです(汗)
それも今回とは又違ったシリアス話。頑張りまっす。
今度は半年もかからないように…←当たりまえ。

でも、その前に「優等生SP(スペシャル)」を更新予定してます♪
「スペシャル」とかついてますが、あまり期待しないでお待ち下さい。
所詮、みつばの書く大人話なので。

あと、突発短編書き下ろし、夢小説、書きかけになっている短編(中編?)
「素顔のあなた」「恋人としたい33のリスト2」など、出来たものから順次更新予定です。

…ということで(何が、ということでか、分かりませんが)

二次小説「海へいこう」のイメージのヘリ水着イラスト。

あの例の(セクシーすぎてイヌが嫌がった(笑))水着ヘリです。↓




   マ・ヘリ水着イラスト


・・・すみません。
ヘリに見えませんよね?(涙)
ストレート黒髪ってこともありますが、ジェニーと言ってもおかしくないかも。

それに、セクシー水着にしては布多めに描いちゃった。
もう少し露出多めをイメージしてたのですけど。

ヘリ役のキム・ソヨンさんのドレス姿の写真を元に描いたのですが、
うーん…。
(構図も変かも)

また、今度イラスト、リベンジさせて下さいっ。

漫画やイラスト、しばらく描かないでいると、
せっかくリハビリしてた手もあっという間に元通りになるので、
定期的にこちらも練習をかねて更新予定です。

それにやっぱり、イヌ水着か、イヌシャワーシーン(上半身)も描いてみたいな♪
イヌ役のパク・シフさんの画像を参考に♪

パク・シフさんの新作映画では、あの水着姿を
スクリーンで拝見できちゃうんですよね~
…日本で公開されたら、行けたら見に行くかも♪…イヌっぽいし♪←またまた。

NHKの、パク・シフさん6月公開録画、すごい倍率だったんですね。
人気がすごい!「王女の男」がBSや地上波で放映されたら、
ますますファンが増えそうですね。

みつばは、やっぱり相変わらず、イヌファンです♪


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「埋もれた約束」第26話(最終話)です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話はみつばの「検事プリンセス」二次小説シリーズ最新作です。
時間の流れでは、「恋人に望むこと」の続きになります。


小説の最後に登場人物紹介があります。



埋もれた約束(最終話)




ジュンシクがアメリカに発つ日
イヌは仕事の休み時間に、ジュンシクとの待ち合わせ場所に向かった。

そこは、小学校時代、父親やジュンシクと一緒によくサッカーの練習をした場所だった。

ジュンシクはもう来ていて、グラウンドに忘れられて転がっていたような
サッカーボールを足で弄んでいた。

イヌに気づいたジュンシクが片手をあげてイヌを迎えた。

「イヌ、来てくれてありがとう」

「今夜発つんだろ?ジフンはどうした?」

「今ヘギョンさんの家にいる。ジミンや他の友達にお別れ会をしてもらっているようだ」

「そうか」

ジュンシクが、イヌの方にサッカーボールを蹴って転がした。

「イヌ、蹴ってみないか?昔みたいに」

ジュンシクが言った。

お互いスーツ姿だというのに。

だが、そんなジュンシクの誘いにイヌがうなずいた。

「いいよ。勝負しよう。僕のボールを受け止められるか?ジュンシク」

ジュンシクがニヤリと笑った。

「やってみろ」

昔のような、自信たっぷりのジュンシクの顔だった。

イヌは、上着を脱いでベンチにおくと、
サッカーボールを何度か足でリフティングした。

そして、足でボールをおさえて、ゴール前に立つジュンシクと対峙した。

「いくぞ、ジュンシク」

「こい。イヌ」

イヌが狙いを定めて渾身の力で蹴ったボールだったが、
ゴールポスト前のジュンシクが飛び上がり、力強く受け止めた。

イヌが、フッと息をついた。

「さすがだな、ジュンシク」
――― サッカーの腕が、衰えてないのは君の方だな。

「いいコースだったよ。イヌ」

二人は、笑い合った。

そして、笑い終わると、ジュンシクがボールをポスト前におき、
イヌの方に近づきながら言った。

「イヌ、お前には本当に世話になった。
行く前にもう一度しっかりと礼を言っておきたかった。ありがとう」

「礼は先日してもらったぞ」

「いや…。事件やジフンの事だけじゃない」

イヌの前に立ち止ったジュンシクが首を振った。

「俺が医師としてアメリカの病院に行けることになったこともだ。
…恩師から聞いた。この半年、俺を探していてくれたのは恩師だが、その恩師に俺の居場所を話して、さらに事件の時のアリバイの事を話すように頼んだ人物がいたそうだ」

「・・・・・」

「最初、それは検察庁の人間だと思っていた。たとえば、担当のマ・ヘリさん…マ検事とか。でも、マ検事が俺の過去の事を突き止める前に、その人物は恩師に接触していたらしい。そして、恩師を通じて、検察庁にも俺のアリバイの証拠の書類を送っていた」

「・・・・・」

「お前なんだろ?イヌ?お前がした事なんだろう?…いや、否定も肯定もしなくていい。
分かってるんだ。ただ、どうしてだ?どうしてそこまで俺にしてくれた?」

ジュンシクの言葉にイヌが、ジッとジュンシクを見つめた。

「友達だからだ」

「友達だからって…」
…ここまでしてくれるなんて。

そう言いかけたジュンシクにイヌが静かにかぶりを振った。

「大切な友達だからだよ。ジュンシク、君は僕にとってずっとそうだった」

「イヌ…」

「16年前の父の事件の時、僕の父の無実を誰も信じてくれなかった。
警察も、大人たちも、そして学校のクラスメイト達も。
僕の言う事も信じてはくれなかった。唯一、君をのぞいては」

イヌが続けた。

「今でも覚えている。ジュンシク、君はあの時言ってくれた。
僕のお父さんを信じると。僕の言葉を信じている、と。
そして、僕達母子が韓国を追われるようにアメリカに発つ日。
見送りに来てくれた君が言ってくれたことも。
頑張れ。お前なら絶対大丈夫だ、と。
…あの君の言葉が僕にとってどれほど嬉しかったか」

ジュンシクがハッとなってイヌの顔を見つめた。

イヌの目から一筋の涙が流れていた。


父を失って、そして、
あの後、アメリカで、母をも失って、
絶望の中、暗闇の崖の淵を必死に一歩一歩、踏み出すように生きていた
そんな日々、君の言葉が、その後の僕をどれほど支えてくれたか…。

誰か一人でいい。

世界でたった一人、自分を信じてくれる人がいること。
信じられる人がいること。

そのことが、どれほど力強いものだったか。

たとえ、側にいなくても。会えなくても。
僕の心の中で。

「君はずっと僕の大切な友人だった。ジュンシク」

…だから、僕も君を信じていた。

たとえ、すべての人間がジュンシクを信じなくても。
そう、もし仮に真実が残酷なものだとしても。
その真実を曲げても、自分はジュンシクを信じただろう。

真実ではなく、

ジュンシクという人間を。

「イヌ…」

ジュンシクは、イヌの頬をすべる一粒の涙を、
地面にこぼれおちるまでじっと見つめていた。

検察庁での尋問の時に、自分の為に涙したヘリの顔がジュンシクの心に浮かんだ。

この目の前の友人が付き合っているという女性は、親のかたきのような男の娘だった。
それを分かっていながら、愛している、とイヌが認めた時は信じられない思いだった。

でも、今なら分かる。

「イヌ、彼女はいい人だな」

ジュンシクの不意打ちのような言葉にも
イヌは、驚きもせずに無言で微笑んだ。

「マ・ヘリさんは、お前の理想以上の女性だ」

検事としても。女性としても。

検事という職業柄、クールに装うように努めているようだったが、
自分に対してのあの涙は彼女の本心からのものだった。

とても心優しい女性なのだろう。
そして、強い…。

そんなところに、親友は、自分たちの境遇も障害も乗り越えて
愛さずにはいられなかったのだ。

そう確信したジュンシクだった。

お前の事を大切にしてくれて、癒し、愛してくれる
…その人と幸せになれ。イヌ。

「彼女を手放すなよ」

「ああ」
ジュンシクの言葉に、イヌが力強くうなずいた。

…言われなくても、僕はヘリを手放す気はない。
この先、何があっても。

イヌの強い意思を秘めた瞳に
ジュンシクが、口の端をあげた笑みを浮かべた。

昔と変わらない友人の姿がそこにあった。

…こいつがこんな目をしているなら、何があっても
絶対にそうするだろうな。

ジュンシクはそう思った。
そして、黙っていようと思っていた事を口にすることにした。

「イヌ…、じつは、お前に言って無かった事がもう1つあった」

「?」

訝しげな目をするイヌにジュンシクが苦笑した。

「兵役につく前にアメリカに行ったのは、恩師に会いに行ったのもあるが、
イヌ、お前にも会いに行ったんだよ」

初めて聞く話にイヌが目を見開いた。

「お前が引越しした場所を訪ねたのだけど、会えなかった」

『俺もいつかアメリカに行くから。そしたら、お前に会いに行くよ』

イヌがアメリカに行く前に子供のジュンシクが言った言葉。

…本当に来てくれたんだな。

あの後、母を事故で失ってから、養父の元に引き取られて、
引越ししたからあの住所にもう僕は住んでいなかったけど。
そして、その後、ほとんど生活に追われるように暮らしていた僕は君を忘れたわけじゃなかったが、連絡することが出来ずにいた。

だけど、君は約束を守ってくれたんだな。

イヌがスッとジュンシクの前に手を差し出した。

「今度は僕が君に会いにいくよ。ジュンシク。ジフンと元気で暮らせ」

…韓国とアメリカの距離は遠くても、
もう僕達の心はこんなにも近い。いつでも会える。

ジュンシクが、イヌと同じ思いで、その手に自分の手を合わせて握りしめた。

「ああ、またな、イヌ。お前も元気で」。

「また会おう、そしていつの日が必ず約束を果たそう」

互いの手をしっかりと力強く握りしめ、握手しながら、
イヌとジュンシクはお互いの顔を見つめあっていた。


“お互いの夢をかなえた時に二人で埋めたタイムカプセルを一緒に掘り起こしにいこう”

あの時の約束を再びかわした二人は、しばしの別れを惜しむようにつないだ手に力を込めた。



その日の暮れ。

外での打ち合わせの仕事を終え、車を停めていた駐車場までの道を歩いていたイヌは、
ふと、頭上を飛んでいく飛行機の音に気づき足を止めて夜空を仰いだ。

ジュンシクとジフンが乗っている飛行機かどうかは分からなかった。
そして、もちろん向こうからこちらが見えない事も分かっていたが、
片手を上げて、その姿を見送った。

飛行機が地平線のかなたの闇に小さく消えてしまうと、
イヌは再び、夜の街を帰路に向けて歩き出した。

秋も深まり、日暮れの気温は低く、日々ますます寒さを増していたソウルの夜の街。

帰途を急ぐ者もいれば、その街の中で営みを続ける者、遊楽に興じる者など、
人々は、それぞれの目的に向かって歩いているようだった。

そんな喧騒の街を少し外に出ると、イヌは、静かな住宅街の道に入った。

マンションや、家々の窓の、仄かにもれる灯りたちが
冷えた空気が満ちた夜の薄闇をポツポツと照らし暖めていた。

灯りの中に人の暮らしがある。
家族、親子、恋人。
あの中で、同じ灯を共有して生きているのだろう。

夜道に、微かな夕餉の香りが漏れ、漂っている。
通りかかった家の窓の明りの向こうから、大人と子供の笑い声が聞こえた。
ふと、その方向に顔をむけたイヌは、立ち止り、目を細め、吐息を1つついた。

そして、バッグを持っていない方の冷えた片手を薄いコートのポケットの中につっこむと、
再び歩き出した。

背を向けた外灯の光が、イヌの前に長く濃い影をつくり、
イヌの進む歩みを急かすように先に伸びていた。

その自分の影の頭の方をぼんやりと見つめながら歩いていたイヌは、
コートの中にいれていた携帯電話が着信したことに気づいた。

取り出して、外灯の下で着信画面を確認すると、相手はヘリだった。

『イヌ?』

携帯電話の向こうから、ヘリの明るい声が、すぐ側の家の灯りのように、
イヌの心を照らした。

『ねえ、夕ご飯食べた?』

「いや、まだこれから部屋に帰って食べるところだ」

そう答えたイヌにヘリが嬉しそうにいった。

『ちょうど良かった。ね。今からうちに来て食べない?あなたの分も用意出来るから』

「いいけど、これって、スーパーマンの要請か?」

心ならずもからかい口調になって言うイヌにも、電話のヘリは気にならないようだった。

『ええ、待ってるからね。早く帰ってきて』

そう言って電話は切れた。

思わず口元を綻ばせたイヌは、自分の影から顔を上げると、
まっすぐに心と体をヘリの方に向かわせた。


マンションについて、4階の部屋のチャイムを押すと、

「はーい」と中から声がして、カチャリとロックが外れる音がした。

「おかえり。イヌ」

そう言って、ドアを開けて明るく出迎えるヘリに、
イヌは、思わず声を出せずに玄関先に立ちすくんだ。

「どうかした?」

部屋着の上にエプロンをつけたヘリがきょとんと、そんなイヌを不思議そうに見た。

「…いや、ただいま」

イヌはそう言うと、ヘリに促されるまま部屋の中に入った。

中に足を踏み入れたとたん、イヌをヘリの部屋の温かい空気が包み込んだ。
同時に、フワっと、思わず空腹が刺激されるような、料理のいい匂いがイヌの鼻孔をくすぐった。
部屋に入ってすぐ横にあるキッチンから漂っているようだった。

キッチンに顔を向けているイヌにヘリが言った。

「イヌから前教えてもらったチゲを作ってみたの。味見したら、結構いい出来になったみたい。沢山つくったからイヌにも食べて欲しいの」

「へえ、君が一人で作ったのか。どれ、味見していいか?」

「どうぞ」

かなり自信作なのだろう。さじをイヌに渡すヘリの顔は得意げだった。

イヌは、木さじで鍋の中のチゲをすくって味見した。

「ん…悪くない。でも、もう少し辛みが欲しいな。味に深みが足りない」

「ええ~?そうなの?」

ヘリが残念そうな声をあげた。

「んん~…私は、この味がいいと思うけど…あなたの好みの味はもっと刺激的ってことね」

うまく出来たと思ったけど、味に深みが足りないなんて…。
やっぱりイヌは舌が肥えているというか、味にうるさいというか…。

イヌに、すぐに褒めてもらえると思っていたヘリはちょっと不服そうに
子供のように唇をとがらせていた。

「こういう時、『従順な女性』だったら、すぐに“ええ、そうね”って答えるのかしら?」

「君も結構しつこい性格だったんだな」イヌが苦笑して溜息をついた。

「記憶力がいいから」

「そういう君は理想の異性像や、条件みたいなものは無かったのか?」

「え?」

「あるんだろ。言ってみろよ」

挑発するように言うイヌに、ヘリが「んー…」とわざとらしく考え込むふりをした。

「私、好きになる人に望むことって1つしかないのよ」

「へえ。それは何?」

「内緒」

「なんだよ。それ」

「秘密を持っているミステリアスな女性っていうのも魅力的でしょ?
理想の女性像の条件に加えておいてよ」

悪戯っぽく提案するヘリにイヌが笑った。

「ああ、そうだな」

イヌは、キッチンカウンターの上に並べられた
チゲ以外でヘリの作ったらしい料理を見渡した。

料理がまだ修業中のヘリにしては、高度な技術の料理をそれなりに上手に作っているようだった。

…味は分からないが。

しかし、

イヌは一生懸命料理を盛り付けているヘリの手元を見やった。

その綺麗な手と指に、小さな火傷や包丁の切り傷らしき跡がいくつもついていた。

…人形の服はあれだけ、器用に作れるのに、
料理をする時は、まだ不器用に手を傷つけてしまうんだな。

ヘリは何気なく声をかけてくれた風を装っていたが、
これらの料理は全部自分の為に作ってくれたものだったのだろう。

「・・・・・・」

「さ、イヌ。そろそろ盛り付けも出来るから、手を洗って席についてね」

そう、言って顔を上げ、振り返ったヘリは、
目の前にイヌの姿が無いことに、あら?と首をかしげた。

次の瞬間、ヘリは、背後からイヌの腕に抱きしめられていた。

「イヌ?」

ヘリは驚いて、イヌに抱きすくめられたまま顔を後ろに向けようとした。

「どうしたの?イヌ?」

不思議そうなヘリの声に、イヌはヘリを抱きしめる腕の力を強めた。

「…ジュンシクが…」

背後でイヌの小さなつぶやきのような声が聞こえた。

「ジュンシクとジフンが今日アメリカに発った」

ヘリは、低く、かすれたイヌの静かな声に内心驚きながら、一瞬身を固くしたが、
すぐに体の力を緩めると、そっと、自分の体にまわされたイヌの腕を両手で抱きしめた。

「ええ」
ヘリはそう答えると、力を抜いてイヌの抱擁を受け止めていた。

…親友が離れて寂しくなったのね…

ヘリはそう思って、後ろのイヌを励ますように声をかけた。

「いつでも、また会えるわ」

「…ああ」

やわらかく温かいヘリの体のやさしいぬくもりを感じながら、
イヌは、ヘリを抱きしめたまま目を閉じた。

―― さっきヘリが扉を開けて自分を出迎えた時、

『おかえり。イヌ』

子供の頃、家に帰って来た自分を出迎える母の明るい声と父の優しい顔の記憶が蘇って、それらへの思いが放流となって、今ここにいるヘリに向かっているのを感じた。

暗闇の夜の街で、
泣きたくなるほど焦がれた、家々のあたたかそうな灯。

それが今『ここ』にある。
自分が「ただいま」と帰るところが。


イヌはジュンシクの言葉を思い出していた。

『マ・ヘリさんは、お前の理想以上の女性だな』

…そうだよ。ジュンシク。
ヘリは、理想の女というものじゃなくて、僕にとってヘリは……。

イヌはヘリを抱く両腕にギュッと力を込めたあと、
そっと体を離した。

そして、ヘリの体を自分の前に向かせるとフッと微笑んだ。

「お腹がすきすぎて、倒れそうになっていたよ。ヘリ。早くご飯を食べさせてくれ」

「もう。憎まれ口ばっかり叩いているからよ」

ヘリがイヌの言葉に失笑して、イヌの頬に手を置いてポンと優しく叩くふりをした。

そして、顔を見合わせて笑い合うと、イヌはキッチンカウンターのテーブル席に座り、
ヘリはイヌの為に、さっそく味をつけなおした熱いチゲを椀によそい始めた。

二人の温かい夕餉の時を始めるために。



そして…

これから語るのは、今はまだヘリもイヌも知らない未来の出来事。


数年後、

東南医科大学付属病院の療養施設が無事建設されることになり、
そこで、難病治療の研究が本格的に進められた。
その後、イ・ジュンシクもその研究チームに加わることになる。

それからさらに十数年後のある日。

イヌとジュンシクが埋めた約束のタイムカプセルは、
その二人の手で掘り起こされることになる。

12歳の少年達の手で埋めたそれを、
年をへた、それぞれの人生を歩んできた男の手で、
イヌとジュンシクは、並んで掘り起こした。

土の中から出て来たタイムカプセルを発見した二人は、微笑み合うと、黙って握手しあった。

そして、箱の蓋を開け、中味を取り出した。

中には、手紙が2通。

イヌの書いたジュンシクあての手紙と、
ジュンシクが書いたイヌあての手紙だった。

それぞれが、相手の手紙を受け取ると、
照れくさそうに笑い合い、そして、再び握手した。

黄ばんだ紙の上の字は少年の時の、少し癖のある丸みのあるものだった。

イヌはジュンシクにあてた自分の手紙の内容を覚えていた。
だが、それは大人になって再会して、ジュンシクがアメリカに発つ日にほとんど言った事だった。

イヌは、12歳の少年だったジュンシクの書いた手紙を家に持ち帰って読んだ。

そこには、こんなことが書かれてあった。

イヌと一緒に過ごした日々がどんなに楽しかったかということ。
そして、イヌが自分にしてくれた数々のことへの感謝の気持ち。
そして、イヌがこれから旅立つことへのエール。

長い長い文章の末。
最後の方は、こうしめくられていた。


---この手紙をお前が読んでいるってこと、100%信じてるぞ。イヌ。
お前なら、やれると信じてた。

今お前と俺は何歳になっているんだろうな?

二人とも夢をかなえて今幸せに暮らしてるのかな?

どんな大人になってるんだろう?

未来なんて、考えたって分からないことばっかりだ。
信じられるのは、俺達が強く望んだ事は必ずかなえられるってことくらいだ。

だけど、イヌ、これだけははっきり言えるぞ。

どんなに離れていても、どんなに時間がたっても、

ソ・イヌ。
お前は俺の大切な友達だ。

イヌの未来が、この先もずっとずっと幸せだって事を祈っている。


                   イ・ジュンシク 


(「埋もれた約束」終わり)




登場人物

ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

イ・ジュンシク…イヌの小学校時代の親友
ジフン…ジュンシクの息子




「埋もれた約束」完結です。

詳しいあとがきは今度改めて。
ひとまず、お礼を。
ここまで読んで下さった方、お疲れ様でした。
本当にお待たせしました。何度も中断しましたし。
ずっと待っていて下さった方、ありがとうございます!!

みつばの「検事プリンセス」の二次小説シリーズは今後もまだまだ続きます。

今後は、韓国映画「デュエリスト」の二次創作も入る予定ですが、
「デュエリスト」二次小説より先に「検事プリンセス」の中編小説「優等生SP」の更新が先になりそうです。
イヌ×ヘリ萌えが続いている方は、これからもよろしくお願いします。


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