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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「埋もれた約束」第8話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話はみつばの「検事プリンセス」二次小説シリーズ最新作です。
時間の流れでは、「恋人に望むこと」の続きになります。


小説の最後に登場人物紹介があります。



埋もれた約束(8話)




その夜、

イヌの電話に出たジュンシクは、

『話は、ジフンから聞いた。いろいろ世話になったな。
仕事が終わったら、迎えにいくから、それまでよろしく頼む』

と、休日のイヌとジフンとのサッカーの練習の約束を承諾した。

「ああ」

そう答えたイヌは、ふとジュンシクに、一体何の仕事をしてるんだ?と聞こうとして、
やめた。

ジミンの母親の店でジフンの言っていた事が心にひっかかっていた。

『父ちゃんは医者だから』

あの言葉。

そして、イヌは昔のジュンシクの言葉も思いだしていた。

『イヌ、俺は将来、医者になる』


しかし、ジュンシクと再会した日も食事した時も、
ジュンシクはジャケットの下に微かにオイルの匂いがする作業着を着ていた。

医師の仕事のようには見えなかった。

…何か事情があるのだろう。

そう思ったイヌは、

「任せてくれ。息子さんをしっかり預からせてもらうよ」と明るい声で付け足した。

そのイヌの言葉に、電話の向こうでジュンシクが軽く笑った気配がした。

『イヌになら、安心して任せられる』

そして、電話が切れた。


イヌは、切れた携帯電話を見つめながら、

「…その台詞は僕もだ」とつぶやいて、微笑んだ。


脳裏に、グラウンドを駆け回る自分が、ふと振り返った時に見た
ジュンシクの姿を浮かべていた。

ゴールの前で、キーパーをしているジュンシク。

イヌと目のあったジュンシクが、力強く頷く。

――‐ 任せておけ。

その目で、自分は、心おきなくボールを追って走っていけた。

あの時のジュンシクの姿が、今日会ったジュンシクの息子ジフンと重なった。

イヌは、昔の楽しかった記憶に、一人微笑みながら、
休日の計画を練るために、パソコンデスクの方に移動した。


その週の土曜日。

イヌは、ヘリと一緒に街に車で出かけた。

週末のための準備だということは分かっていたヘリだったが、
具体的に何をするのか詳しい事をイヌから聞いていなかった。


「どこに行くの?」

イヌの車の助手席に乗っていたヘリは、不思議そうにイヌに聞いた。

「まずはスポーツ用品店だ。サッカーボールを買いに行く」

ジフンと一緒にサッカーの練習をするという約束をしていたイヌだったが、
サッカーボールを持ってはいなかった。

そして、ジフンの方も、サッカーボールは持っていないようだったからだ。

イヌとヘリは、スポーツ用品店でサッカーボールを購入した。

ヘリは、助手席で、購入したサッカーボールを珍しそうに、膝の上に置いて眺めていた。

「君は子供の頃にサッカーをしたことないか?」

「そうね。体育の時間で少し習ったことがある程度かしら。…でも、得意じゃなかったわ」


子供の頃は、あまり運動自体好きではなかったヘリだった。
それに、そういう活発なスポーツは、体に傷をつけるという理由で、母親のエジャも父親のサンテもいい顔をしなかったからもあった。

「転んで、顔に傷をつけたらどうする?お嫁に行けなくなるかもしれない」
そんな事を言われたこともあった。

「イヌは、アメリカではサッカーをしなかったの?」

ヘリの問いに、今度はイヌの方が苦笑した。

「サッカークラブもあることはあったけど、学校でも
サッカーより他のスポーツの方が人気があったな。
同級生達とやってみた事もあるが、熱心に練習するというより、遊びだった」

韓国でジュンシク達とやっていた時の記憶が強かったから、
もうサッカーチームへの情熱はそれほどなかった。

それに、母を亡くしてからしばらくは、サッカーを見ることすらできなかった。

父とサッカーの練習をしていた時に、いつも明るく声援をおくってくれた母の姿を思いだすのが辛かったから…。

「・・・・・・」


微笑んではいたが、話し終えたイヌの、どこかボンヤリと虚空を見ているような瞳の光に、ヘリは、心を痛めた。

…きっと、過去を思い出しているのね。


そんなイヌに声をかけることが出来ずに、ヘリは助手席で黙ってイヌを見守っていた。


「じゃあ、次はスーパーマーケットに行こう」

しばらくの沈黙のあと、
イヌが、ふっ切るように、明るい声を出した。

「スーパーマーケット?」

「ああ、明日のサッカーの練習の後に食べる弁当の食材の買いだしだ」

「弁当?あなたが作るの?」

驚いたように聞くヘリにイヌがニヤリとした。

「君が作ってくれるのか?」

「…え?」

ヘリの、心底狼狽したような固まった顔に、イヌが本心から笑ったようだった。

「作るのは僕がやるよ。君にはその手伝いをして欲しい」
…いいだろ?

イヌの言葉に、ヘリがホッと息をついた。

「いいわよ。…お手伝いなら出来そうだわ。どんなお弁当を作るの?」

「ジフン君のような子供が好きそうな惣菜を沢山作ろうと思う。
レシピはネットで調べて、ピックアップしておいた」

イヌがメモ紙を上着から取り出して、ヘリに渡した。

…さすがね。

ヘリは、食材がリストアップされたメモを感心しながら見つめた。


スーパーマーケットについて、

カートを押しながら、二人並んでイヌとヘリは買い物を始めた。

ヘリとイヌは、再会して、つきあうようになってから、
時々、こうして一緒にスーパーマーケットに買い物に来ることがあったが、
1年前と違って、こういう買い物に関してはヘリの方が詳しいことがあった。

「あ、そのお肉。裏通りのスーパーの方が今日だったら安いと思うわよ。
それに、あっちの方が種類も豊富で新鮮だわ」

韓国を留守にしている間に、随分、買い物上手になっているヘリの姿にイヌが微んだ。

「買い物は君の方が上手になったみたいだな」

珍しく褒め言葉をくれたイヌに、ヘリは得意気な顔をした。

「そう?。実家にいた時でも食事の買い物は私がしていたのよ」

どこの店で何を売っていて、どこが一番安いか。そして、美味しいか。
回数をこなすうちに、どんどん覚えていったヘリだった。


「今に見てて。お弁当だって、パッと作っちゃうから」

さすがに、調子にのっているようなヘリの言葉にイヌが笑った。

「その時は美味しい特製弁当を頼むよ」

「ええ、いいわよ」


顔を見合わせ笑い合いながら、ヘリとイヌは、食材を手にとって買い物を進めていった。


夜、

イヌの部屋のキッチンで、
夕飯の支度と一緒にイヌとヘリは翌日のお弁当の下ごしらえをした。

ヘリは、イヌの側でイヌの料理の手順を見つつ、
手にはノートとペンを持って、時々メモをしていた。

「随分、研究熱心だな。マ検事さん」

イヌのからかうような声もヘリは気にとめていないようだった。

「将来、私も自分の子供にお弁当を作ってあげたいもの」

そう、ヘリの言った何気ない言葉に、イヌが驚いた顔をした事にも、
ヘリは全く気付いていないようだった。

そのまま、真剣にお弁当の作り方のメモをとり続けるヘリに、
イヌは、微笑を浮かべると、黙ったまま料理を続けた。

―――その後、

お弁当の下ごしらえも、夕食も終えた二人はシャワーも浴び終えて、
部屋の電気を消して、ベッドの方に移動した。

「ふうっ」

イヌは大きく息を吐くと、ベッドにゴロリと横になって布団をかぶり、

「おやすみ」と言って目を閉じていた。

…え?

ベッドの上でイヌの側に座り込みながら、ヘリは、キョトンとしてイヌを見た。

「イヌ…ねえ…寝ちゃうの?」

「ああ、寝るよ」

「…いつもよりかなり早いんじゃない?」

「明日は、早く起きて弁当を作らないといけないし、日中は子供の相手だ。よく寝ておかないとな」

背を向けるように横たわるイヌをヘリが途方にくれたように見降ろしていた。

イヌが薄目を開けて、振り返るとヘリの方を見上げた。

「どうしたんだ?…眠くないのか?」

「…ええ、まだちょっと目が冴えているみたい…」

「君は起きていていいよ」

きっと、ヘリの言いたい事を分かっていながら
そっけなく言うイヌに、ヘリは口を引き結んだ。

「なんだよ」

…言いたい事があるならはっきり言え。

そう、促すイヌの瞳に、
ヘリが拗ねたように口をとがらせて、そっぽを向いた。

「…私の相手はしてくれないのね」

ヘリの、その言葉といじけたような言い方が、
あまりにも可愛らしくて、イヌが思わず噴き出した。

「なによ」

顔を赤くして、ふてくされたように、ヘリはイヌを睨みつけると、

「知らないっ」と布団の中に潜り込んだ。

笑いながら、上半身を起こして、自分の方に向くイヌの気配を感じながら、
ヘリは、恥ずかしさと悔しさでギュッと布団の中で丸まっていた。

イヌの手が布団を剥ぐと、ヘリの肩に置かれた。

「明日の子供の相手の前に、ここにも相手をしてやらないといけない大きな子供がいるようだな」

明らかにからかっているイヌの口調にヘリは唇をかみしめていた。

「私は子供じゃないわ。立派なお姉さんよ」

「ああ~、そうだったな。でも」

イヌが意地悪そうに口元をゆがませた。

「『お姉さん』の相手が『おじさん』に務められるか心配だ」

イヌの言葉にヘリが呆れたような目を向けた。

「…この前の事、結構気にしてたのね」


ヘリはジフンに「お姉さん」と言われたが、イヌはジミンに「おじさん」と言われていた。

「いや。子供は正直だ。僕はすっかり『おじさん』だよ」

「もう。あなたらしくないわよ。イヌ。いつも自信過剰の人が、自信過少になるなんて。
私から見たら、あなたはまだまだ若いわよ」

「そうか?」

「そうよ」

ムキになって、イヌを励まそうとするヘリに、イヌがわざとらしく溜息をついて、
ゴロリと仰向けになった。

「じゃあ、『お姉さん』がやる気を出させてくれたら、元気になるかもな」

「え、ええっ?」

ほら…。
促すように、チラリと、見降ろすイヌが、何を要求しているのか分かったヘリは、
フウっと肩をすぼめて、苦笑した。

…結局、この男の策略にはまった気がするけど。

「しょうがないわね。今夜は『綺麗なお姉さん』が『おじさん』を慰めてあげるわ」

自分の体に身をかがめるヘリの艶然とした姿に、イヌが薄く微笑んだ。

「よろしく頼むよ」

…たまには、いつも偉そうなこの男の弱った姿につけいるのも悪くないわね。

そう、ニヤリとほくそ笑んだヘリだったが、

数十分後…、

「~~~~~っ」

イヌの熱い腕の中で、

――‐‐全然『おじさん』じゃないわよ。


いつもと同じように、
すっかりイヌに体を掌握されたヘリが、心の中でそう叫んでいた。


…そんな夜が明けて、


翌日の朝は、イヌの言っていた天気予報の通りに、快晴となった。

イヌとヘリは、早朝に起きて、弁当を作っていた。

イヌがほとんど作ったおかずを、ヘリが弁当箱に綺麗に詰めていった。


「んっ。いい出来」

仕上がった弁当を満足そうに見つめて、得意気に言うヘリにイヌが笑った。

「僕が作ったんだぞ」

「美味しそうに詰めたのは私よ」

…やれやれ。イヌが軽く肩をすくめて、弁当箱を風呂敷に包んだ。

「なんだか、ピクニックの準備みたい。楽しい」

うきうきしたようなヘリの言葉に、イヌも微笑んだ。

…そうだな。僕も楽しいよ。

イヌは、はしゃいだように、水筒にお茶をつめたり、
買っておいた子供用のお菓子をバッグに詰めるヘリを優しい目で見つめていた。



準備が終わると、二人は、イヌの車に乗り込んで、ジフンとの待ち合わせの場所までやってきた。

駐車場で車から降りて、グラウンドに向かったイヌとヘリは、
下のベンチに座っているジフンを発見した。

しかし、

…あれは…

その横に他の人物もいることに気づいて、イヌとヘリは顔を見合わせた。

ジフンの横に、ジミンとジミンの母親、ヘギョンが座っていた。


(「埋もれた約束」8終わり 9に続く)


登場人物



ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

イ・ジュンシク…イヌの小学校時代の親友(オリジナルキャラクター)
ジフン…イヌの昔の友人ジュンシクの息子(オリジナルキャラクター)

ユ・ジミン…ヘリの担当事件の被害者の少女(ドラマ4,5話登場)
ユ・ヘギョン…ジミンの母親




パク・シフさん、大阪会場のファンミーティング。
超ラッキーな方がいらっしゃったようですね♪

凄~い!!おめでとうございます!良かったですね。
なんだか聞いただけでとっても嬉しいです。

このブログにいらしていて、今日のパク・シフさんファンミ愛知会場に行かれる方も。
続け、幸運!!ですよ♪
行かれたら是非ご感想をお寄せ下さい♪

もしかすると、そういうすっごい幸運にあたるかもしれないので、
パク・シフさんのファンミ。愛知会場も東京会場も油断できませんね♪
服装の件も。ドレスまではいきませんが、私も真面目に考えちゃいました(笑)
でも、たぶん、いつも通りのラフな服装で行きます♪

ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます!
明日は「埋もれた約束」お休み日です。
マイペース更新ですが、まだまだ長編続きます。

…ところで、今回の記事「注意」マークは必要でした?
すっかり、どの辺から大人印か分からなくなりました(汗)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「埋もれた約束」第7話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

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この話はみつばの「検事プリンセス」二次小説シリーズ最新作です。
時間の流れでは、「恋人に望むこと」の続きになります。


小説の最後に登場人物紹介があります。



埋もれた約束(7話)




「僕の知り合いのマ・ヘリさんだよ」

イヌがジフンにそうヘリのことを紹介した。

そして、横に座るヘリに、言った。

「先日話した友人の子供のジフン君だ」

・・・この子が。

ヘリは、感慨深めにジフンを見つめた。


「こんにちは。ジフンくん」

「こんにちは」

ジフンがヘリにぺこりと頭を下げると、何か思いついたように嬉しそうな顔になった。

「わかった。ソ・イヌさんの『いい人』だね」

ジフンの大人びた物言いにヘリとイヌは、苦笑いをした。

・・・最近の子供はこういう事を言うのかな?

周りに小さい子供がいない環境のヘリとイヌは、
二人とも子供の扱いには慣れていないようだった。

「ソ・イヌさんもマ・ヘリさんの食べているものと同じもの食べる?」

そう言って、トッポッギの入った鍋のふたを開けるジフンにイヌが首を振った。

「ジフン君。ここはジミンちゃんのお母さんのお店だろ?
君が勝手に商品を扱っていいのか?」

イヌの言葉に、ジフンが何でもないような顔をした。

「いいよ。だって、おばちゃんさっきお礼するって言ってただろ。
それに、僕時々おばちゃんのかわりに店番してるよ」

「しかし・・・」

ジミンちゃんのお母さんの戻りを待った方がいいんじゃないか?

そう言ったイヌに、ジフンはちらりと店の奥に目をやった。
そして、

「父さんがいたら、ジミンの怪我を見てくれるのに」

「え?」

ジフンの言葉に反応したイヌに、ジフンがどこか悔しそうに口を引き結んだ。

「・・・だって、父さん、本当は医者だから」

・・・医者?


その時、店の奥の扉が開いて、中からヘギョンとジミンが出てきた。

「お待たせしました」

ジミンは新しいズボンをはいていたが、その下は手当されていたようだった。

「見たところ、ただの擦り傷と軽い打撲のようでした。お騒がせしてもうし訳ありません」

ヘギョンは恐縮するように頭を下げた。

「たいしたことがなくてよかったです」

そう答えるイヌとヘギョンの会話にわって入るように、
ジフンがカウンターから身を乗り出した。

「ほんとに?おばちゃん。ジミン大丈夫なの?僕の父さんに見てもらった方がいいよ」

「・・・・・・」

ヘギョンはちらりとジフンの顔を見ると、まるで聞こえなかったかのように、
イヌの方に再び顔を向けた。

「お嫌いではなかったら、店のものですが、召し上がりませんか?
一番人気の甘辛いトッポッギとかいかがです?」

「ありがとうございます。頂きます」

イヌの言葉に、ジフンが「僕がやるから」と言って、器にトッポッギを入れた。

そんな会話のやりとりを、黙って立って見ていたジミンに、
ヘリが声をかけた。

「ジミン」

ジミンがヘリを見ると嬉しそうな顔になって、
ヘリのそばまで歩いてきた。

「検事さん、こんにちは」

「こんにちは。ひさしぶりね」

ジミンがコクリとうなずいた。

「ジミン、これ、検事さんが貴女にって持ってきてくださったのよ」

ヘギョンがジミンにヘリが作った人形の服の入った袋を渡した。

「検事さんの手作りですって。あなたの好きなものが入っているそうよ」

「私の好きなもの?」

ジミンが首をかしげて、・・・開けていい?というような目をヘリに向けた。

「どうぞ。開けてみて」

ヘリの言葉に、ジミンが袋を開けた。
その様子を、ヘギョンと、ヘリの隣のイヌと、キッチンカウンターの中のジフンも
息を詰めたように見守っていた。


カサカサと袋の中からヘリの手作りの人形の服を取り出したジミンは、
それを見てハッとなったように目を見開いた。

そして、それを見ていたヘギョンも同じような表情になって固まっていた。

白いレースをふんだんに使った人形のドレス。

「うわーっ。きれいだな。結婚式の服みたいだ」

ジフンが大きな感嘆の声をあげた。

「お人形遊びに使ってね」

ヘリの言葉にもジミンは黙ったまま、ただじっと人形の服を見つめていた。

感動のあまり声が出ないという風ではなかった。
むしろ、どこか悲しそうな目で人形の服を見つめるジミンにヘリは不安になっていった。

「ジミン?」

ヘリの呼びかけにヘギョンが慌てたように、ジミンの肩に手を置いた。

「ジミン、検事さんにお礼を言わないと」
・・・貴女のために作ってくれたものだから。

母親に促されるように、ジミンはヘリを見て、ぎこちない笑みを浮かべた。

「・・・うん。ありがと。検事さん」

「どういたしまして」

にこりと微笑み返したヘリだったが、ジミンの浮かない表情がひっかかっていた。

・・・気にいらなかったのかしら?


ジミンの素直に喜ぶ反応を期待していたヘリは、内心少しがっかりしながらも、
困惑したように曖昧な笑みを浮かべていた。

そんなヘリを、イヌが隣でじっと見つめていた事を、ヘリは気づいていないようだった。


その後、雑談をしながら、ヘリとイヌはヘギョンにごちそうしてもらったトッポッキを食べた。

ヘギョンがジフンとジミンは同じ学年で同じ小学校に行っていると話をした。

「ジミンとジフン…まるで双子のように名前が似ていますでしょう?性格は全く違うのに、なんだか気が合っているみたいで」

…確かに。
ヘリとイヌはジフンとジミンを見て微笑んだ。

大人しく、ジッと座って話を聞いているジミンに対して、
二人が食べている間にもジフンの方はイヌにしきりにサッカーの話をふっていた。

そして、イヌが昔小学生の時に入っていたサッカークラブの話や、
父親ジュンシクの話も聞きたがった。

「僕もサッカークラブに入りたいな・・・」

「お父さんに聞いてみたらどうだ?」

きっとサッカークラブに入っていいと言ってくれると思うけど。

イヌが、なにげなく言った言葉に、ジフンが悲しそうな顔をした。

「・・・言ったことがあるけど、だめだって言われた」

「どうして?」

ついそう聞いたイヌにジフンがますます悲しそうな顔でうつむいた。

「・・・分からないけど、サッカークラブに入るにはお金がいるからだと思う。習い事にはお金がいるもんでしょ?」

「・・・・・・」

「それに、父さんは、僕が休みの日も仕事だから、サッカーの練習の相手はできないって言ってるから・・・」

子供ながらに家の事情を察したようなジフンの言葉に、
イヌが当惑したように口を閉じた。

それまで、元気で、ずっと明るくしゃべっていた少年が、
突如無口になって、うつむいて、何かに耐えているような姿は
痛々しいほどだった。

ヘリは、ヘギョンとそっと顔を見合わせて、共に気の毒そうな目をジフンに向けていた。


イヌが口を開いた。

「ジフン君」

ジフンが顔をあげた。

「よかったら、今度の休みに一緒にサッカーの練習をしないか?」

「え?」

「僕でよかったら、サッカーの練習の相手になるよ」

「ほんとに!?」

思いもかけないイヌの言葉にジフンが、目を見開いた。
イヌがうなずいた。

「僕も久しぶりにサッカーがしてみたくなったから、ジフン君が相手をしてくれると嬉しい」
・・・もちろん、ジュンシクに承諾をもらってからだが。


「うん。やりたい。ソ・イヌさんとサッカーの練習。僕やりたい」

とたんに、パアっと明るい満面の笑顔になったジフンに、
イヌが微笑んでうなずいた。

「お父さんには連絡しておくよ」

「うん」

飛び上がって、やったーやったーとぴょんぴょん店の中を跳ねて喜びジフンの姿に、
店の中が一気に賑やかになって、思わずヘリもヘギョンもジミンも微笑んでいた。


その後、

ヘギョンにごちそうしてもらったトッポッギを食べ終えたヘリとイヌは、一緒に店を出ることにした。


店を出たヘリとイヌをヘギョンが戸口で見送りながら頭を下げた。

「検事さん、お人形の服ありがとうございました。・・・弁護士さん、ジミンを家まで連れてきてくださってありがとうございました」

「いえ、こちらこそ、ごちそうさまでした。・・・ジミンさようなら」

「さよなら、検事さん」

「ごちそうさまでした。・・・ジフン君、じゃあ、またな」

「うん。バイバイ、ソ・イヌさん」


それぞれが挨拶を終えて、手を振ると、連れだって、
街の中を一緒に帰路を歩くヘリとイヌ。

「あんなところで会うなんてね」
・・・びっくりしちゃったわ。

ヘリが、店からしばらく歩いたところで、言った。

「そうだな」
・・・ジフンがジミンの知り合いだったなんてな。

「偶然にしてもできすぎ。あなたと私って、ほんとに腐れ縁なのかもしれないわね」

いたずらっぽく、1年半前のイヌがヘリに言った言葉を思い出したように言うヘリに、
イヌが口の端で笑った。

「何かの因縁かもな」

「・・・・・・」

ふっと微笑みながらも、少し沈んだようなヘリの気配にイヌが、気づいた。

「どうした?」

「ん・・・。じつは、ジミンの態度が気になっててね。
あのお人形の服、あまり喜んでなかったみたいに見えたから・・・」

「・・・・・」

ヘリの手作りの服を袋からだして見たジミンの固くこわばった表情がひっかかっていた。

「お人形遊びは好きだってお母さんが言ってたけど、あの服は好きじゃなかったのかも」

・・・女の子だもの。当然服の趣味があるように、人形の服にだって好みはあるわよね。

そう気落ちしたように言うヘリを、イヌが見つめた。

「・・・気にいらなかったわけじゃないさ」

「そう思う?」

「ああ」イヌがうなずいた。

・・・ただ、もらう側に事情があったのだろう。
ジミンの態度に薄々何かを感じとっていたイヌだったが、その事をヘリに伝える気はなかった。

・・・これは、君が気づくべきことだ。ヘリ・・・。

なぜ、ジミンがあんな反応をしたのかを。
それを知った時、何を感じて、どう行動するかは、君が決めることだ。
だから僕の考えは言わないよ。


イヌの思惑も知らず、ヘリは、「だといいけど・・・」とつぶやくと、バッグをブラブラさせて歩いていた。

話題をかえるようにヘリが、努めて明るい声でイヌに話しかけた。

「そういえば、あなたのお友達の息子さんと一緒にサッカーの練習をするの?」

さっき店で言ってたけど。

「ああ、ジュンシクの承諾を得られたらな。
今週末の休日にでも、一緒にやろうと思ってる。天気予報では天気も良さそうだしな」

・・・イヌが子供とサッカーをするところ。すごく見てみたい。

ヘリはちらりとイヌを見やった。

「私も行っていい?」

「君もサッカーの練習をするのか?」

おもしろそうなイヌの顔に、ヘリがあわてて首を振った。

「しないわ。サッカーは・・・あまり知らないの。見学をしたいのよ」

・・・いい?

そう言う、ヘリに、イヌが「いいよ」と快諾した。

「その代わり、君には手伝ってほしい事がある」

「手伝ってほしい事?」

・・・なにかしら?

ヘリが、不思議そうに首をかしげるのを見た、イヌが、
楽しくてしょうがないというような、無邪気な笑顔でヘリの肩を抱くと
足取りも軽く、歩いて行った。


(「埋もれた約束」7終わり 8に続く)


ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

ジフン…イヌの昔の友人ジュンシクの息子(オリジナルキャラクター)
ユ・ジミン…ヘリの担当事件の被害者の少女(ドラマ4,5話登場)
ユ・ヘギョン…ジミンの母親



先日の、パク・シフさんのファンミーティング大阪会場に行かれた皆さま。
とっても楽しまれたとのこと。
コメントを下さった方、ありがとうございます♪
1日たってもきっと興奮は冷めませんよね。(何日たっても冷めないかも♪)

次は愛知会場ですね。楽しみですね♪


ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます!

…ところで、トッポッギとか、トッポッキとか書いてますが、
正式はトッポキ?(汗)


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埋もれた約束(6話)





「ジミン。ソ・イヌさんに悪いだろ」

ジフンが、ジミンをたしなめるように言った。

親切で、ケガを見てくれると言っているのに…。

ジミンは、きゅっと口を閉じたまま、イヌを上目づかいで睨みつけ、
かたくなに首を横に振った。

「ジミン」

さらに、何か言おうとするジフンに、イヌは、眼差しで…いいんだ。と答えて、
そっとうなずいた。

そして、イヌは、ジミンの足を見た。
破れたズボンから見える膝小僧から血が出ているようだった。

「立てるか?」

ジフンの言葉にジミンがうなずき、よろよろと立ちあがったが、
1歩踏み出して、顔をしかめた。

手を貸そうとするジフンに「自分で歩ける」と言うと、ジミンは近くのベンチに腰掛けた。

「ジミン」

「少し休んだら、平気」

うつむき加減で頑なにイヌの方を見ようとしないジミンに、
ジフンとイヌは顔を見合わせた。

「ごめんなさい。あいつ…ちょっと大人が駄目なときがあるんだ」

決して嫌な奴じゃないから。
そう、ジミンをかばうように言うジフンにイヌがうなずいた。

「気にしてないよ」

ジミンという子は間違いなく、ヘリが昨年担当した裁判の時のあの少女だ。

イヌは思った。


…少女のあの態度は、もしかするとあの事件の…。



「あの子が落ちついたら、帰る時は一緒に送っていくよ。家は遠いのか?」

イヌの言葉に、ジフンが、首を振った。

「そんなに遠くないよ。ジミンの家は僕の家の近くなんだ。
父さんの仕事の帰りが遅いから、僕は、よくジミンの家にいるんだ」

「そうか…」

イヌは、ジュンシクと先日会った時、結局、ジュンシクが今何の仕事をしていて、
どこに住んでいるのか詳しい話をしていなかった。
ジュンシクが、あまり話したがらない様子を察したイヌも、
それ以上ジュンシクに質問をすることも無かったからだった。


イヌがチラリと、ジフンの抱えたボールに目をやった。

それはサッカーボールではなく、大きめのゴムボールだった。

「サッカーが好きなのか?ジフンくんは」

そう聞くイヌに、ジフンが嬉しそうな顔をした。

「うん。好き。テレビでよく見るよ」

「僕も昔サッカーをしていた時があるよ」

「ほんと!?」イヌの言葉にジフンの目がキラキラと輝いた。

「リフティング出来る?」

「ああ…ちょっと待って」

イヌが、カバンを近くのベンチに置くと、ゴムボールをジフンから受け取った。

…久しぶりだ。それにゴムボールで出来るかな?

そう思ったイヌだったが、ジフンの期待に満ちた眼差しに応えようと、
ゴムボールをはずませて、リフティングに挑戦してみた。

軽く弾み過ぎるボールにやや手こずったものの、イヌは、何とかリフティングの形をとることが出来た。

「うわ~っ。すごーい。上手だーっ」

ジフンが、感動したようにイヌを褒めた。

「ありがと」

…こんなに無邪気に喜ばれると嬉しいな。

イヌが、ジフンに柄にもなく照れくさそうに微笑むと、ゴムボールを返した。


「僕より、君のお父さんの方がずっと上手じゃないか?」

「え?」ジフンがきょとんとした。

「君のお父さんと子供の頃同じサッカークラブにいたけど、とても上手だったよ。
リフティングもドリブルも誰よりも鮮やかだったしね」

「そうなの?」

ジフンが、イヌの言葉を興味深そうにジッと聞いていた。

イヌがうなずいた。

「キックやシュートも上手だったが、お父さんは、クラブチームではキーパーだったんだ」


相手チームのどんなシュートも取っていた。

ジュンシクがゴールを守っていてくれる。
そう思うだけで、僕は安心して、ゴールを任せて、前を走っていけた。

当時を思い出して、懐かしそうに目を細めて話すイヌに
ジフンは、複雑な表情になった。

「…父さんのサッカー見た事ないよ。ボール遊びは何回かしてくれたけど…、父さんは、僕の休みの日も仕事だから忙しいんだ」
…だから一緒にサッカーをしたことがない。

そう、寂しそうに言うジフン。

「そうか…」

イヌはジフンにどう声をかけていいか迷った。
…が、ジフンの持っているボールを持ち上げると、地面に弾ませて、言った。

「少し、一緒にキックの練習をしてみないか?」

「え?いいのっ?」

ジフンが、弾けるように顔を上げて嬉しそうにイヌを見た。

「ああ、じゃ、僕は後ろに下がるから。ジフンくん、蹴ってみて」

「うんっ」

ジフンが張り切ったようにボールを蹴った。


…スジが良さそうだな。さすがジュンシクの息子だ。

イヌは、ジフンのキックを感心したように見つめて転がって来たゴムボールを足で受け止めた。

「じゃあ、今度は僕の番だ。ジフン君、受け止めろよ」

「いいよ~っ」

そうして、しばらく、ゴムボールを蹴りあう二人の姿を、
ベンチに座ったジミンが、黙ったまま、ジッと見つめていた。



その頃、

担当事件の捜査の仕事の為、街に出ていたヘリは、用事を終え、
近くにあるジミンの家を訪れようとしていた。


…あった。ジミンの家、お店もそのままの雰囲気だわ。

ヘリは、店の戸を開けた。


「いらっしゃいませ」

戸が開くと同時に中にいたジミンの母親、ユ・ヘギョンが声をかけて、戸口のヘリを見て、ハッとなった。


「まあ…。…あの時の検事さん?」

「はい。こんにちは。お久しぶりです」

ヘリがぺこりとおじきした。

ヘギョンもあわてておじきすると、「お久しぶりです」と言って、
まだ動揺も露わな様子で、ヘリの方に寄って来た。

店にはちょうど客が誰もいないようだった。


「どうなさったんですか?この近くで事件でも?」

ヘギョンは不思議そうに聞きながらも、久しぶりに見るヘリの顔にどこか嬉しそうな表情も浮かべていた。


「いえ、事件ではないのですが、この近くに仕事で来たものですから、ちょっと寄らせて頂きました。…あの、その後ジミンはどうしてますか?元気ですか?」

ヘリの言葉にヘギョンがうなずいた。

「ええ、あの子は元気ですよ。半年前から又バイオリンを習い始めたんです。
今度は女の先生のところですが、とても熱心にレッスンに通ってます」

「それは、良かったです」

ヘリが、バイオリンが好きだと言っていたジミンを思い出して、そっと微笑んだ。

「ジミンは今家に?」

「あ、いえ」ヘギョンがチラリと店の奥の家の方に目をやった。

「今は、近所のお友達と一緒に外に遊びに行ってます」

「お友達と一緒に?」

1年半前のジミンは事件の後ということもあったが、人形遊びを一人でしている大人しい少女という印象だった。
それが、友達と外で遊ぶようになったなんて。

…やっぱり、子供の成長ってすごいわ。ジミンも活発な女の子になったのね。
じゃあ、今はもう、人形遊びはしてないのかしら?

ヘリは、バッグの中にいれていた手作りの人形のドレスの入った包みを出して、
カウンターの前に置いた。

「これは?」

不思議そうに包みを見つめるヘギョンにヘリが言った。

「人形の服です。ジミンは人形遊びが好きだったと記憶していたもので、
良かったらさしあげようと思いまして。私が作ったものですけど」

「検事さんが?」

ヘギョンは、驚いた様子で、包み袋を手にとった。

「あの子、今でも人形遊びは大好きですよ」

「良かった。じゃあ、どうぞ。受け取って下さい」

そう言うヘリに、ヘギョンは嬉しそうな顔で「ありがとうございます」と礼を言ったあと、

「でも、もしよかったら、直接あの子に検事さんから渡して頂けますか?
あの子も久しぶりに検事さんに会いたいと思いますし…」
…お時間がまだあるのでしたら?

そう遠慮がちにヘリの顔を見つめた。

「ええ、じゃあ、お言葉に甘えて、待たせて頂きますね」

今日の仕事は終わったヘリだった。
職場には、調査の後は直帰すると伝えてあった。

ヘリの言葉にヘギョンは、嬉しそうにカウンターの席を勧めた。

「良かったら、揚げたトッポッキ召し上がりません?御馳走しますから。たしかお好きでしたよね?」

「ええ、大好きです。頂きます」


…ほんとに懐かしいわね。
こうしてここで、トッポッキを頂くのも。

ヘリがそう思いながら、ヘギョンから器によそってもらったトッポッキを口に運んでいた時、

店の戸がガラリと開いた。

「いらっしゃ…、まあ、ジミン!」

ヘギョンの驚愕の声に、ヘリがとっさに戸口に目をやった。


店の戸口にボールとカバンを持った少年が立って、
その後ろにジミンを背負ったイヌが立っていた。

「ごほっ…イ、イヌ!?」

ヘリが、驚きのあまり、口の中にあったトッポッキにむせ返りそうになりながら、
戸口のイヌを見つめた。

「ヘリ?」

ジミンをおんぶしたイヌは、訝しげに、そして、どこか呆れたような眼差しでヘリと目を合わせていた。

…こういう、ある意味、奇跡のタイミングで事を起こすのが君だよな。

まるで、この事象が、すべてマ・ヘリのせいで起こったかのように思っているような、冷静なイヌの顔に、ヘリがますます不思議そうな表情になった。

「どうしてイヌがジミンをおんぶしているの?」

「お知り合いですか?検事さん」

イヌを見つめるヘギョンの不安げな声に、ヘリがうなずいた。

「はい。私の知り合いのソ弁護士です」

…素性を明らかにしておいた方が、ヘギョンも安心するだろうと思ったヘリの言葉だったが、
その言葉にいち早く反応したのは戸口の一番前に立っていた少年の方だった。

「ソ・イヌさんって弁護士だったの?やっぱり父さんの友達ってすごいや」


…この子は誰?

そんなヘリの視線にイヌが、フッと微笑で応えた。

…説明は後だ。まずは…。

「この子が足にケガをしているので、手当をお願いします」

そう言って、店の椅子にジミンを座らせるイヌに、ヘギョンがあわてて駆け寄ってきた。

「すみません。ジミン、足にケガをしてるの?」

ジミンがコクリとうなずいた。

「ボールを蹴ろうとして転んだの。…『おじちゃん』がここまでおんぶして来てくれた」

ジミンの言う『おじちゃん』が誰を指しているのか分かったヘリは、噴き出しそうになって、とっさに口元を手で押さえるのを、イヌがジロリと睨んだ。

…へり。

そんな二人も目に入らない様子で、

「まあ…」と言って、ヘギョンが困惑した顔のまま、ジミンを家の方に促した。

「ちょっと奥でこの子の手当てをしてきます。送って頂いてありがとうございました。
お礼もしたいので、すみませんが、しばらくここでお待ち頂けますか?」

「お礼なんて…」と言いかけるイヌに、ジフンが、
「座っててよ、ソ・イヌさん」と勝手知ったるという感じで店のカウンター奥に入って、手を洗っていた。

「おばちゃんの店の惣菜は美味しいよ。何食べたい?」

そう明るい声で言って、前掛けまで自分でつけるジフンに、イヌとヘリは顔を見合わせた。

ジフンが、「ん?」という顔をしてヘリに目を向けた。


「ソ・イヌさん。この綺麗な『お姉ちゃん』だれ?」


ジフンの言葉に、ヘリが今度こそたまらずに噴き出して、
イヌが苦笑いしているのを、ジフンが面白しろそうに見つめていた。



(「埋もれた約束」6終わり 7に続く)


ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

ジフン…イヌの昔の友人ジュンシクの息子(オリジナルキャラクター)
ユ・ジミン…ヘリの担当事件の被害者の少女(ドラマ4,5話登場)
ユ・ヘギョン…ジミンの母親



イヌ…パク・シフさん、日本にいらしているのですよね♪。
今日のファンミ、大阪会場は熱いでしょうね。

ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます!
春休みまっさかりで、子供は嬉しいかもしれませんが、
…大人は少々(かなり)大変ですよね(苦笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説の中の
パラレル二次小説を集めたINDEXをつくってみました。

これも、他のINDEX同様、カテゴリの中に
「検事PP小説INDEX」としておいておきます。


パラレル二次小説は、「検事プリンセス」のドラマのキャラクターを元にした
異世界のファンタジー話になります。

どんな、イヌもヘリもOKという方、
または、ファンタジー小説が好きという方はお読みください。

現時点(3月28日)では、「ヘリ兎と猟師イヌ」シリーズのみ。
完結してます。今後、続くかは未定ですが妄想はしてます♪





「ヘリ兎と猟師イヌの物語」          10 11


「続・ヘリ兎と猟師イヌの物語」(続編)


「蜜夜」

「蜜夜」裏箱バージョン

「君と読む物語」




ついでに小説ラストの続編4コマ漫画はこちら↓

続・ヘリ兎と猟師イヌ


他の4コマ漫画バージョン「ヘリ兎と猟師イヌの物語」は
検事プリンセス漫画INDEX」ページよりどうぞ。

(ほとんどギャグです)

やっぱり、ドラマの世界観がほとんどないので、受け入れてもらいにくい二次小説ですが、
個人的に、私、ヘリ兎は好きなんです♪猟師イヌも。

ヘリは、ドラマの中でもバニーガールの格好して、カラオケ歌ってましたが、
ヘリがあの格好すると、かわいいというか、色っぽいので、
現実世界でもしそういう話を書くとしたら、どうしてもアッチ方向にいきそうで…(アッチって)

なので、フワフワ可愛いヘリちゃんを書きたかった♪。

それで、「ヘリ兎と猟師イヌ」のヘリを大人バージョンでイラスト描いてみたのですが…。




 検事P 「兎ヘリ」




ヘリのイメージカラー、ピンクドレスにしてみました♪


でも…

ふんわりバニーガールドレス着せても少々大人の香りがしませんか?
下がシーツだからかな?(汗)
黒っぽいの着せたら余計だと思います(苦笑)


最近、模写(似てないけど)イラスト描くのにはまってます♪


いつもブログへの拍手、拍手コメントの応援ありがとうございます!
ダイエットは、4月3日に関係なく、あきらめないで継続します(笑)

いよいよ明日、イヌ役パク・シフさん大阪ファンミ!!
行かれる方、楽しんで来て下さい♪

明日から、また二次小説シリーズ「埋もれた約束」再開です。



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「埋もれた約束」第5話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話はみつばの「検事プリンセス」二次小説シリーズ最新作です。
時間の流れでは、「恋人に望むこと」の続きになります。


小説の最後に登場人物紹介があります。



埋もれた約束(5話)





イヌがデスクで仕事を片付けている間、ヘリは、ソファで人形の服を作っていた。

先に寝ていていい、と言われたヘリだったが、
自分も人形の服を完成させたいからと、イヌと一緒に起きていた。

イヌの仕事が終わり、イヌはデスクの明かりを落とすとソファのヘリの所に来た。


「悪い。待たせたな」

「いいの。私の方が、急に部屋に泊めてもらったんだから」

ヘリはかぶりをふって微笑んだ。そして手に持っていた人形の服をかざした。

「それに、ほら。完成したわ」

「うん。いい出来だな。」
…あの子も喜んでくれるといいな。

「ええ」ヘリは嬉しそうにうなずいた。


部屋の電気を消すと、イヌとヘリは一緒にイヌのベッドに入った。

「あ、あの、イヌ」

「なに?」

「ベッドサイドの明かり、常夜灯でつけていてもいい?」

「怖いのか?」
…こんなに僕と密着しているのに?

ヘリは、毛布の中で、
イヌの腕にしがみつきながら、イヌに体をぴったりとくっつけていた。

「今夜は明かりが欲しい気分なの…」

素直におびえたように言うヘリに、イヌは、苦笑して、フッと短い溜息をつくと、
常夜灯をつけ、ヘリの体を腕に包み込んだ。

…だから、一人では眠れなくて、一緒に起きていたのか。

「どうした?…今日の検死の立会は、そんなに印象深かったのか?」

「ええ。別に初めて見る症例ってわけでも無かったんだけどね」

ヘリが、イヌの肩に頭をもたれた。

「先日、山中で見つかった身元不明の白骨化した遺体だったの」

「ああ、ネットのニュースで見たな」

イヌがうなずいた。

確か、施設の建設の為に工事をしていて、掘削していた時に発見されたとか…。

「新人の後輩と一緒に検死に立ち会ったんだけど…」

刑事5部の後輩のキム検事。新人1年目で、遺体の検死をヘリと一緒に立ち会ったのだったが、予想以上のリアクションで、遺体をひと目見た瞬間に気絶寸前で床に崩れ落ちていた。

それでも、体育会系で精神力は鍛えられていると豪語していたキム検事は、なんとかもちまえの強さを発揮して、立ち直り、顔面蒼白になりながらも、検死に立ち会っていた。

でも…。

「その後の昼食に、焼き肉屋で骨付きカルビを注文したら、さすがにトイレに駆け込んでいたわ」

ヘリの話にイヌが失笑した。

「すごいな。君も先輩として後輩にそういう“心づかい”が出来るようになったんだな」

…私も食べられなかったけどね…。

ヘリは、フウっと溜息をついた。

「遺体の状態を思い出して怖いと思ってるわけじゃないの。…その、状況が、なんだか心に残っちゃって」

「どういうこと?」

「ご遺体はね、ずいぶん前に亡くなったみたいなのよ。検死の詳しい結果が出ないとまだ分からないのだけど、状態からして何年も前だったみたい。事故か他殺かは、はっきりとはまだ分かってないの。…分かったのは、性別は男性で、年齢はまだ断定されてないけど、結構若い人だったみたい」

どうして、あの場所に遺体があったのかも分からない。
あそこで、亡くなったのか、それとも別のところだったのか。
それでも遺体は長い間あの場所にあったことは確かなようだった。

ヘリの言葉にイヌがじっと耳を傾けていた。

「ただね、ご遺体を見たらね、とても気の毒な気持ちになったの…ずっと長い間、人の訪れない山中に一人でああしていたのかと思ったら・・・」

身元は近いうちに分かるかもしれない。
家族や友人、恋人や、子供もいた人かもしれない。
誰かが、どこかで探していた人かもしれない。
なのに、ずっと見つけてもらえないまま、あんな寂しい所に何年もいた。


「怖がりの君だったら、化けてでも人に見つけてもらうだろうな」

感傷に沈みそうになっているヘリにわざとイヌが茶化したように言った。


「…そうね」ヘリが、苦笑して溜息をついた。

「へり」

イヌがヘリの頭に手を置いて、そっと髪の毛を撫で始めた。

「君が『彼』にこれから出来る事をしてやればいい」

…優しい君のことだ。

検事として、この1年で格段に成長したとはいえ、
こういうところは変わらないのかもしれない。

…この仕事を続けていく上で、
被害者や加害者に感情移入しすぎたり、肩入れしすぎるのは、
職務を公正に遂行できないという理由からもやめなければならないが、

…こうして君の心にも負担を与えかねない。

だから、気に病むかわりに、
検事として、せいいっぱい出来る限りの事をしてやれ。

イヌの眼差しに心の声も読んだヘリが、コクリとうなずいた。

「ええ、そうするわ。イヌ」

ヘリの優しい微笑みに、イヌは、先ほどヘリが作っていた人形の服の事も思い出していた。

…あの少女もヘリの担当事件の被害者だった…。


イヌはふと、ヘリに、やはり先ほど自分が思ったことを言葉で伝えるべきかどうか迷った。

終わった事件の後も、関わった人間とプライベートでつながりを持つことが、
はたして、今後も検事を続けていくヘリにどういうことになるか…。

しかし、イヌの腕の中で、次第に安らいだ顔になって、目を閉じたヘリに、
イヌは、黙ったまま、自らもそっと瞼を閉じた。



数日後、

検察庁の、刑事5部の会議で、検事達が
各々の担当事件の経過報告が終わった後、ナ部長が言った。

「この前、マ検事とキム検事に検死に立ち会ってもらった山中で発見された遺体の件だが、身元が分かった」

ヘリとキム検事がチラリと目を合わせた。

「チョ・ドンク。当時22歳。8年前に母親によって捜索願いが出されていた。ただ、この母親も7年ほど前に病死している。親戚づきあいは無かったようで、その後彼を探す者はいなかったようだな。交流関係についてはまだ不明だが、母親の捜索願いがだされたのが8年前の10月20日。15日に知人に会うと言って出掛けたまま戻らなかったらしい。検死結果の死亡推定の時期と合うから、死亡したのはほぼこの後と言って間違いないだろう」

「…ということは、他殺ですか?」

キム検事が聞いた。

「その可能性が出てきたらしい」

ナ部長がカチカチとペンをデスクで叩いた。
そして、ジロリとヘリの方に目をやった。

「この事件、書類が送致されたら、検死に立ち会ったマ検事に担当してもらおうと思うが、どうだ?」

刑事5部の検事達が一斉にヘリを見た。

「はい。わかりました」

ヘリが、うなずいた。

キム検事が、ヘリの横でほおっと胸をなでおろすのを、ナ部長が見逃していなかった。

「次にこういう事件があったら、キム検事に担当してもらうからな」
…今のうちに、先輩検事の仕事を見ておけ。

ナ部長の言葉に、キム検事が「はい…」とうなだれた。


キム検事は、この件での検死の立会がかなりこたえていたようだった。

「…今まで、どんな凶悪な事件の資料を読んでいても、全然平気だったのですけど、
直接、ああいう風に見てしまって、初めて検事としての仕事に自信を無くしました」


資料室のソファに座って、
普段、活発で元気な後輩、キム検事の落ち込む姿に、ヘリは、慰めるように言った。

「キム検事は、新人として十分良くやっていると思うわよ。私が新人1年目の頃は、検事としての仕事に自信を無くすのもしょっちゅうだったもの」

「そうなんですか?マ先輩がですか?」

キム検事が、疑わしそうにヘリを見た。

美人でスタイルも良くて、頭も良くて、
仕事もバリバリこなしているマ先輩が?


キム検事の中では、憧れのヘリに完璧な女性検事像が出来ていた。

ヘリが苦笑した。

…1年半前の自分の姿を知っていたらきっとこんな風には言われないでしょうね。

「ナ部長も言っておられたけど、慣れない事は、数をこなしていくしかないのかもしれないわね。それと、先輩検事のすることをよく見ておくこと」

「はい」

キム検事がうなずいた。

「頑張って」

ヘリの励ましに、キム検事は改めて「はいっ」と大きく返事をすると、
気持ちがかなり前向きに戻ったらしく、元気よくヘリに頭を下げて、資料室を出て行った。

ヘリがそのまま資料室で必要な法律関係の本を探そうとした時、
背後で、微かな忍び笑いの声を聞いて、その主を振り返るまでもなく分かったヘリが、
じっとりとした目で振り返った。

「ユン先輩…」

「すまない。立ち聞きするつもりは無かったのだが」
部屋を通りかかったら、二人の会話が聞こえていたから。

ユン検事が、笑いを噛みしめるような顔で、資料室に入って来た。

「なんですか?…そんなに私おかしなこと言ってました?」

「いや、おかしな事は言ってない。むしろ真っ当すぎてな。新人の頃の君を思い出して…」
比べると、あまりにも今の君と違い過ぎて、ついな。

「君も、後輩にあんな助言をする立場になったんだな」

「ええ、厳しくも意地悪な先輩たちのおかげで鍛えられました」

部長をはじめ、刑事5部の先輩検事達や、
特にユン検事と、今はユン検事の妻になったチン検事に。

「そこまで成長したのなら、厳しくしたかいがあったというものだ」

ヘリの皮肉をサラリと受け流して、ユン検事は柔らかい笑顔を向けた。

「…ああ、話は変わるが、改めて、あのビンにくれた人形のドレスをありがとう。
ジョンソンから話を聞いていると思うが、ビンはすごく喜んでいて、毎日のように着せ替えをして遊んでいるらしい」

チン検事はユン検事と結婚したが、人事異動はまだ先になるらしく
今は、母親とビンと3人でまだ春川で暮らしていた。

「それは良かったです」

ヘリが口元をほころばせた。

「リングピローも素晴らしい出来だとジョンソンが言っていて、とても気にいっているようだ。君は、ああいう事が得意なんだな」

「一応、服飾学科出身ですから」

「そうか…。特技があるというのはいいことだな」

「そうですか?でも、今の仕事には全く役立たない特技なんですけど」

「仕事ばかりが人生じゃないだろう?」

ユン検事が言って、
それは、昔の自分自身にも言ってやりたかった、というような顔を一瞬したのをヘリは見逃さなかった。


「…先輩の人生には、今、仕事以外で沢山の幸せが詰まってますよね。
どうですか?新婚生活は、楽しいですか?」

場の空気を変えようと、わざとおどけたように言ったヘリに、ユン検事が、

「それは、いずれ君が経験して知るといい」と、カウンターを返して、
からかうような笑みを浮かべると資料室を出て行った。

…ほんとに、結婚されてから、ますます明るい人になったわね。

ヘリは、ユン検事が言っていた自分の変化も大きいと自覚していたが、
ユン検事も初めて会った1年半前と比べても、そうだと思った。

あの頃、検事をやめようと逃げ出そうとした時に担当していた事件。
その事件の被害者の少女、ユ・ジミン。
あの裁判でヘリは、検事の仕事がどういうものなのかということを
改めて知ったのだった。

その日、夕方頃仕事の捜査の一環で外に出る用事があったヘリは、
近くに住むジミンに会いに行こうと思っていた。

…あれから1年半たって、きっと大きくなったでしょうね。

ヘリは、オフィスのバッグの中にいれてある、自作の人形の服を思い出して、
ジミンが喜んでくれるといいな、と思った後、仕事の為の資料探しを再開した。




――‐それから数時間後の夕方。


クライアントとの外での打ち合わせの仕事を終え、
帰路を歩いていたイヌが、ある場所で足を止めていた。

…ここは…懐かしいな。

そこは、イヌが少年時代、よくサッカーの練習をしていた公園近くのグラウンドだった。
休日には、父と母とも一緒に来て、遊んだ場所でもあった。

感傷にふけるように、ジッとグラウンドを見つめていたイヌだったが、
ふと、ちょうどボール遊びをしている子供たちが目にはいった。

そして、そのうちの一人の少年が先日一緒に食事をしたジュンシクの息子、ジフンだと気づいたイヌは、土手の階段を下りて、グラウンドに近づいて行った。

「だから、こうやって、足を出して蹴るんだよ」

ジフンは一緒にいた少女にボールの蹴り方を教えているようだった。

「こう?」少女が、必死でボールを蹴り上げようとして、走り込むと、足を高く上げた。
…が、バランスを崩して派手に前に転んでしまったようだった。

「大丈夫か!!」

ジフンがあせったように少女に駆け寄った。

「痛いか?立てるか?」

ジフンが少女を助け起こしている後ろからイヌが近づいていた。

イヌに気づいた少女が、ハッとなって体を硬直させた。
少女の様子に気づいたジフンが、後ろを振り返ってイヌの姿を見た。

「ソ・イヌさん」

ジフンはイヌを覚えていたらしく、そしてご飯を御馳走になった事でイヌに気を許していたようだった。人懐っこい笑顔で、イヌを呼んだ。

「ジフン君。こんにちは。…大丈夫か?お友達がケガをしたようだが、見せてくれないか?」

イヌが、ジフンの笑顔につられて微笑み返すと、
座り込んでいる少女の方に手を伸ばした。

少女が、ビクっと体を震わすと、
差し伸べられたイヌの手をバシリっと手で勢いよく振り払った。

「ジミン!」

ジフンのあわてたような制止の声に、イヌが、ハッとなって少女を見つめた。

…ジミン?

ジフンにジミンと呼ばれた少女は、よく見ると、見覚えのある顔だった。


…そうだ。昨年、ヘリが初めて裁判に立った担当事件の少女に似ている。


ギュッと体をこわばらせて、頑なな態度で、イヌを睨みつけるジミンと、
ジミンのイヌへの態度に当惑しているジフン。

イヌは、そんな二人を内心の驚きを隠せないまま、しばらく見つめていた。



(「埋もれた約束」5終わり 6に続く)


登場人物


ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

ナ部長…ヘリの検察庁刑事5部の部長
キム検事…ヘリの後輩女検事(オリジナルキャラクター)
ユン検事…ヘリの先輩。刑事5部の首席検事

チン検事…ヘリの先輩女検事。ユン検事の妻。
ユン・ビン…ユン検事と前妻との間の子供。

ジフン…イヌの昔の友人ジュンシクの息子(オリジナルキャラクター)
ジミン…ヘリの昔の担当事件の被害者の少女(ドラマ4,5話登場)




拍手、拍手コメントありがとうございます!!

韓国では、名字+さん読みは、失礼にあたりタブーという話。
確かにその通りのようです。
又、一つ、韓国文化のへえっを知りました。
教えて頂いて、ありがとうございます!先日の記述でその部分は直しておきます。

イヌ…パク・シフさんのファンミの準備は何もしてないです(汗)
今はファンミに行く為に、仕事を含め、いろいろやる事があるので、それを片付け中。
限定グッズも、結局注文してないです。
ファンミまでに3キロ痩せようと思ったのですが(イヌの視界に入るかもしれないから♪)
…しかし、それも達成出来ず(涙)

それで、明日は「埋もれた約束」のお休み日です。
中途半端なところで、止まってすみません。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「埋もれた約束」第4話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話はみつばの「検事プリンセス」二次小説シリーズ最新作です。
時間の流れでは、「恋人に望むこと」の続きになります。


小説の最後に登場人物紹介があります。



埋もれた約束(4話)




目の前に置かれた料理を食べている間、
イヌは、何度か、ジュンシクに話題を振った。

ジュンシクはイヌの質問に答え、イヌの話に熱心にあいずちを打っているように見えたが、どこか心ここにあらずという態度だった。

子供のジフンだけが、まるで朝から何も食べていなかったかのような勢いで、
自分の分の料理を平らげると、まだ足りないような顔で、チラチラと厨房の方を眺めていた。

そんなジフンを見て、イヌが声をかけた。

「ジフン君、唐揚げは好きか?」

「うん。大好き」

ジフンが、目を輝かせて、身を乗り出して返事するのをジュンシクがあせったように押しとどめた。

「ジフン」

「ジュンシク、僕にごちそうさせてくれ。僕も食べたいし、育ち盛りの男の子は肉を食べたがる」
…僕達もそうだったじゃないか。

続けてそう言うイヌにジュンシクが苦笑した。

「ああ…ありがとう」

イヌは、店主に唐揚げを3人前注文した。

「食べられるのだったら、僕の分も食べていいよ」
そう言って、イヌはジフンの前に唐揚げの皿を差し出した。

「うん!ありがとう」

ジフンの、出会ってから初めて見せる底抜けに明るい声と笑顔だった。
その顔が、あまりにも16年前のジュンシクに似ていて、
イヌは、ハッとなってジフンの顔を見つめた。

しかし、そんなジフンをジュンシクは、困惑したような顔で見ていた。


食事が終わった後、

イヌが、レジでまとめて支払いを終えた。

「ありがとうございました~」店主の元気な声に見送られて、店の外に出ると、

「ここは僕にごちそうさせてくれ」イヌは、財布を出して戸惑ったような顔をしているジュンシクにそう言った。

「イヌ…」

「僕は君の結婚祝いも出産祝いも渡しそびれているからな」

「…わかった、イヌ。ここは御馳走になるよ」

ジュンシクは、そう答えるとそそくさと財布をズボンのポケットに押し込んだ。

「今日はありがとな。夕飯も含め、誘ってもらって」
…ジフンの分のご飯までおごってもらった。

ジュンシクの言葉にイヌがそっと首をふった。

「お礼を言うなら僕のほうだ。いろいろ話が聞けて良かった。
これからは僕も韓国に住むつもりだから、またいつでも会える」
…今度は酒でも一緒に飲もう。

そう言うイヌにジュンシクが微かにうなずいた。

「ああ、近いうちに…じゃあ、おやすみ、イヌ」

「おやすみ。ジュンシク、ジフン君」

ジフンは、お腹いっぱいになった満足感からか、
会った時より機嫌も愛想もいい顔になっていた。

「おやすみなさい。ソ・イヌさん。ごちそうさまでした」

ジフンに笑顔をむけるイヌにジュンシクが目礼すると、
ジフンの肩に手を添えて、歩き出し、街の雑踏の中に消えていった。

イヌは、しばらくその後ろ姿を見送っていたが、
二人の姿が見えなくなると、踵を返して歩き出し、みずからも帰宅の途についた。

車を置いていたところから運転代行サービスで帰ってきて、
マンションの駐車場から歩いてエントランスに向かうという所で、
イヌの携帯電話に着信が入った。

画面を見ると、電話の相手はヘリだった。

イヌの口元が自然にほころんだ。


「ソ・イヌだ」

『イヌ』

電話の向こうでヘリのホッとしたような声がした。

『今、どこにいるの?』

「ああ、もうすぐ帰るところだ」

そう言ったイヌが、ふと前を見ると、マンションのエントランスのベンチの近くで
携帯電話を持ったヘリがキョロキョロとあたりを見渡している後ろ姿が目に入った。

…何をやってるんだ?

イヌは、不思議に思いながらもヘリの挙動不審を面白そうに後ろから眺めながら近づいて行った。

「イヌ。今夜、あなたの部屋に泊めてもらってもいい?」

後ろから近づくイヌに全く気付かない様子のヘリが言った。

「いいけど。もう人肌が恋しくなったのか?」

「もうっ。違うわよ。今夜は、自分の部屋で寝たくないだけよ」

「どうして?」

「…じつは、今日、検死に立ち会う仕事があったのよ」

…なるほどな。

ヘリのそわそわした態度と、この電話はそういう意味か。

「大丈夫か?」

イヌは、ニヤリとほくそ笑んで、携帯電話に口をよせると、
わざと低い声を出した。

「もう、『ついて』るんじゃないか?」

「えええっ?」

ヘリが、おびえたような声をあげて携帯電話を握りしめた。

「や、やめてよ。イヌ。驚かさないでよっ」

そう言いながらも体を硬直させているヘリの背後に近付いたイヌは、
そっと携帯電話の通話を切った。

「あれ?…ちょっと、イヌ?…イヌってば?…うそっ切れてる。どうして?」

切れた通話の携帯電話を見つめて、おろおろしているヘリの背中に手を伸ばしたイヌは…。

「ひっ…」

ヘリの声にならない悲鳴が、あがった。
イヌが、ヘリの背後から抱きすくめていた。

「ほら、もう『ついてる』だろ?」
…僕が。

そう言って、楽しげに、いたずらが成功した子供のように笑うイヌに、
ヘリは、ホッとしたような大きな息を吐いたあと、キッと後ろを振り返ってイヌを睨みつけた。

「イヌ!もうっ心臓が止まるかと思っちゃったじゃない」

「止まるどころか激しく鼓動してるな」ヘリの胸のすぐ下に置かれているイヌの手をヘリがピシャリっと叩いた。

「…痴漢の現行犯で通報するわよ」

「少なくとも今夜は出来ないんじゃないか?部屋に泊めて欲しいんだろ?」

イヌのニヤニヤした笑みにヘリがフウっと溜息をついた。

「…ええ、お願い」

悔しそうに、上目づかいでイヌを見つめる、ヘリの情けなさそうな顔が可愛くて、
イヌは、思わずフッと微笑んだ。
そして、ヘリの体から腕をはずすと、ヘリの肩に置いて、一緒にマンションのエレベーターに向かって歩き出した。

新人の頃、ヘリが先輩から聞いた話、
『検死に立ち会った日は12時以降に帰らないと亡霊が家までついてくる』というのは、もう噓だと知っていたが、それでも、やはり怖いヘリだった。

実家にいた時は良かったが、一人暮らしをはじめてから、検死に立ち会う事があった日の夜はこうしてイヌの部屋に転がり込んでいた。

「…いつもごめんね」

珍しくしおらしいヘリの言葉にイヌが半笑いした。

「かまわないさ。それよりもずっとあそこで待ってたのか?」

「いいえ。15分くらいかしら。それまで検察庁で仕事してて、何度かあなたにメールしたんだけど、返信が無かったから、仕事が忙しいと思って…」
…かといって、マンションの中に一人で入っていく勇気もなく。
実家に帰るという手もあったが、今夜はイヌの所に行きたかったヘリだった。

イヌは、ヘリの肩を抱いている手と逆の手に持っていた携帯電話を操作して、
ヘリのメールの着信を確認した。

「すまない。気づかなかったよ。今までジュンシクと一緒に食事していたんだ」

「先日話してくれた、再会したという親友だった人?」

「ああ」

エレベーターの扉が開くと、二人で入って、イヌは階数ボタンの“5”を押した。

「楽しかった?話はいっぱい出来た?」

ヘリの問いに、イヌが「まあね」と微笑した。

その表情にヘリが…あら?と目をとめて、しばらくイヌの顔を見つめていたが、
エレベーターが5階について、イヌが歩きだしたので、あわてて後を追った。

…どうしたのかしら?
なんだかイヌ、嬉しそうというより、寂しそうに見えるんだけど…気のせいかしら。

部屋に入ったイヌは、デスクにカバンを置くと、玄関近くでぼんやりしているヘリに気づいて、不思議そうに声をかけた。

「どうした?」

「いえ、なんでもないわ」

「じゃあ、先にシャワーを使っていいよ。僕は持ち帰った仕事の資料をまとめておきたいから」

「わかったわ」

ヘリは、うなずいて、勝手知ったるという感じで、イヌのクローゼットの扉を開けると、
洗濯済のイヌの部屋用の、ヘリの部屋着と下着を取り出しバスルームに向かった。

しばらくして、ヘリがバスルームから出てきて、リビングに戻ってくると、
イヌが仕事をしていたデスクから顔を上げた。


「イヌ、先に使わせてもらったわ」

デスクライトを落とすと、イヌは、ヘリにキッチンの方を指で示した。

「お湯を沸かしておいたから、お茶を好きに飲んでいいよ。冷蔵庫の水も」

「うん。ありがと」

イヌが、ん?と首をかしげた。

「ほんとにいつもより、しおらしいな」
…いつもなら、お茶よりコーヒーがいい。水よりビールがいいって我儘を言うのに。

「やあだ。そんなことないわよ。いつもの私よ」

ヘリが少し膨らませた頬を、手でかいた。

「ああ~。もしかして」

イヌの言葉にヘリが目をぱちぱちさせた。

「な。何?」

「やっぱり、君に『ついてる』んじゃないか?」
…今日の仏さん。

「やめてよ」

ヘリが、あせったように言って、怒ったそぶりで、イヌの肩を手で押した。

「冗談だよ。じゃ、ごゆっくり」

イヌが、笑って、バスルームの方に歩いて行く後ろ姿を、
ヘリはジットリと睨みつけていた。


しばらくして、

イヌが、濡れた髪の毛をタオルで拭きながら、バスルームから出てくると、
ヘリがソファに座って、俯きかげんで、手を動かしている姿が目に入った。

…ん?

「ヘリ?何をしてるんだ?」

不思議そうに覗き込んで、声をかけるイヌを、チラリと見た後、
ヘリは、黙って、手に持っていた物をイヌに見せた。
イヌが訝しげに目を細めた。

「これは…服を作っているのか?」
それも人形の。

「ええ」ヘリがうなずいた。

ヘリが持っていたのは、作りかけだったが、小さな人形用のドレスだった。
レースが沢山入った、純白のドレス。

「この前、チン検事に差し上げたリングピローを作った時のレースが余っていたのよ。それで、人形用の服を作って、ビンちゃんにプレゼントしたら、すっごく喜んでくれたらしいの。レースがまだ余っていたから、もう一つ作ろうと思って」

ヘリの言葉にうなずきつつ、イヌは、未完のようだったが、ヘリの作っている人形の服の出来に感心していた。

…こういうのを作るのは、かなり器用だな。

「これもビンちゃんに?」

そう聞くイヌにヘリは首を振った。

「8歳でもう一人、人形遊びが好きな女の子を知っているから、その子にあげるつもり」

「そうか…」

「あっ」ヘリが思いだしたように顔をあげてイヌを見て、
少し戸惑ったような笑みを浮かべた。

「あなたも知っている女の子よ」

「僕も?」

「ええ、…覚えてない?1年半前に私が担当した事件の…」

ヘリの言葉に少し考え込んだイヌが、思い出したようにうなずいた。

「ああ…。あの子か…。君の初法廷の」

「ええ」

ヘリが検事になって初めての裁判。
被害にあった少女は当時7歳だった。心と口を閉ざした少女のためにヘリは手作りのクッキーを作ったり、何度も家に足を運んで、一緒に人形遊びをしたりしていた。

裁判の最中に少女の好きな曲をくちずさんで、法廷で踊った姿を、イヌは傍聴席で見ていた。
その時のことを思い浮かべて、イヌは懐かしそうに微笑み、ヘリは恥ずかしそうにはにかんでいた。


「8歳の女の子か…」イヌがつぶやいた。

「女の子は人形遊びをするのが好きなんだな。
じゃあ、8歳の男の子というのは何が好きなんだろう」

「え?」

…8歳の男の子?

イヌがうなずいた。

「ジュンシクに子供がいたんだよ。8歳の男の子が」

「そんなに大きな子供が?」

ヘリが驚いたように目を丸くした。
…イヌの同級生ってことは、私とも同じ年ってことよね。
もう、そんな子供がいてもおかしくないって年なのね。

しかし、ヘリは、まだ社会人2年目、そして、温室育ちという環境を出てからもまだ2年もたっていなかった。
この1年半あまりにもいろいろな事を経験して、自分でも成長したように思っていたが、
誰かの親になるというような状況を真剣にまだ考えた事が無いヘリだった。

「…イヌも、“おじさん”ね」

ヘリの何気ないつぶやきに、イヌが、目を見開いて、反論した。

「そう言ったら、君も“おばさん”だろう?」

「何言ってるの。マ・ヘリは永遠のお姉さんなんですからねっ」

…言うよな。
イヌが肩をすくめて、かわいた笑い声をあげた。


いつもとかわらない軽口をたたいて明るくふるまってはいたが、
時折、チラリと見える、どこか沈んだようなイヌの横顔を、
ヘリは心配そうに見つめていた。




(「埋もれた約束」4終わり 5に続く)


登場人物


ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

イ・ジュンシク…イヌの小学校時代の友人(オリジナルキャラクター)
ジフン…ジュンシクの息子(オリジナルキャラクター)




イヌ…じゃない、パク・シフさん、今週いよいよ来日&ファンミツアーですね。
ドキドキですね。…。。。
ファンミで歌を歌われる(?)って…「For you」かしら?新曲も?
本当にどきどき…(笑)

歌といえば、今でもまだ、恋愛物の切ない歌詞の歌を聞くと、
全部「検事プリンセス」のイヌ×ヘリにあてはめてしまう、相変わらずな私です。



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「埋もれた約束」第3話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話はみつばの「検事プリンセス」二次小説シリーズ最新作です。
時間の流れでは、「恋人に望むこと」の続きになります。


小説の最後に登場人物紹介があります。



埋もれた約束(3話)





翌日、火曜日の朝。

検察庁の刑事5部、ナ部長のオフィスに、ヘリと後輩のキム検事が呼ばれた。

「…検死…ですか?」

キム検事が、気の進まない様子でナ部長を見つめた。

「そうだ。先日、山中で見つかった遺体の検死にお前たちが立ち会って来い」

「先日見つかったというのは、あれですよね。…身元不明の」

いつもはハキハキと元気のよいキム検事の歯切れの悪い話し方に、
ナ部長が苦笑した。

「そうだ。ほとんど白骨化した遺体だ」

…ほとんど白骨化…。

キム検事は急に気分が悪くなったというような表情を必死でおさえているようだった。

「キム検事」

そんなキム検事にナ部長が淡々と続けた。

「新人の検事はさまざまな症例を経験しておく必要がある。
“そういう”状態の遺体の検死に立ち会うことも、経験を積む上で必要だ。そうだろ?マ検事」

同意を求めるナ部長にヘリは、キム検事を気遣うようにチラリと見た。

「でも、新人にいきなり、白骨化の遺体の検死の立会は難しいと思います。
見た瞬間に倒れて気絶でもしたら、経験にもならないんじゃないですか?」

…マ先輩。

隣で、自分をかばうヘリにキラキラとした眼差しを向けるキム検事を
ナ部長がジロリと見て、容赦なく言った。

「それもまた経験だ」

ナ部長の言葉にガクリとうなだれるキム検事の肩をなぐさめるようにソッと撫でたヘリも内心溜息をついていた。


…ほぼ白骨化した遺体…。確かに気の進まない仕事ね。

でも、死者の声を聞く事が大事と、先輩から教わったから、
今度は、私がキム検事に教える番だわ。

ヘリは、今は上司のユン検事の妻になったチン検事を思いだしていた。



「…マ先輩は平気なんですか?」

遺体安置所に向かう道すがら、キム検事がヘリに聞いた。
ヘリが苦笑しながら首をふった。

「そんなこと無いわ。この仕事は何回経験しても私にとって慣れるということは無いみたい」
…それに。

新人の時、ヘリはチン検事と一緒に初めて検死に立ち会ったことがあった。
その時に、チン検事の『いたずら』で、「検死をした日は、12時以降に帰らないと死者の霊が家までついてくる」と言われて帰れなかったこともあった。

あれが、チン検事の噓だって分かってからも、やっぱり、検死に立ち会った日の夜は怖いもの…。


このいたずらを、ただでさえ緊張しているらしいキム検事にするつもりは無かった。

ただ…

昼食は、『骨付き肉』のある店ね…。
ヘリは、おどおどしているキム検事を横目で見ながら、フッと笑った。


それから、時がたち、
夜の7時前、

仕事を終え、法律事務所を出たイヌは、ジュンシクとの待ち合わせの店の前に来ていた。

繁華街のはずれにある小さく古い建物の洋食屋だった。

イヌが店の戸を開けた。

「いらっしゃい」

イヌは、店内を見回して、ジュンシクがまだ来ていない事を確認した。

店の中はかなり繁盛していて、イヌは唯一空いていたテーブル席を見つけて、そこに座った。

洋食屋だったが、まるで居酒屋のような作りの店だった。

店の主人らしき人が、忙しそうに料理を作りながら、
カウンターからイヌに元気のよい声をかけた。

「何にします?」

「連れが来るから料理の注文は後でするよ。ビールをもらえるかな?」

「そこの冷蔵庫から取っていっていいよ。グラスも必要なだけ上から持って行って」

「わかった」

イヌは立ち上がって、冷蔵庫からビール1本とグラスを2個とって戻った。

その時店の引き戸が開いて、ジュンシクが顔を見せた。
仕事帰りなのか、作業着の上にジャケットをはおるといういでだちだった。
髪の毛が汗ばんでいて、ほのかに、オイルのような匂いがした。

「いらっしゃい。お、毎度」

店の主人がジュンシクを見て、愛想のいい声をかけた。

その声にジュンシクが片手をあげて微笑み返すと、イヌの方に目をやった。

「悪い。待たせたな」

「いや、今来たところだ」

イヌは、そう答えて、ん?とジュンシクの後ろに目をやった。

店に入ってくるジュンシクの横を小さな子供がついて来ていた。

「…ああ」

不思議そうなイヌの眼差しに、ジュンシクが苦笑した。
そして後ろにいた子供を前に押し出した。

「ほら、入れ」

子供はジュンシクの傍らで、戸惑ったように、ジュンシクとイヌを交互に黙って見つめていた。

昔のジュンシクに少し似た面立ちの子供だった。

「ジュンシク…もしかして、君の子供か?」イヌが聞いた。

「ああ、そうだ」

ジュンシクが、うなずいた。

「ジフンだ。ほら、ジフン。父さんの友人のソ・イヌさんだ。挨拶して」

ジュンシクの言葉にジフンがぺこりと頭を下げた。
「こんばんは、ソ・イヌさん」

「こんばんは。ジフン君」イヌが微笑んで言った。

ジュンシクとジフンがイヌの前の席に座った。

「大きく見えるが、ジフン君は何歳なんだ?」

「ああ、今年で8歳になる」

「そんなに大きい子供がいたのか」
イヌが驚きを隠せない様子で、ジュンシクとジフンを見つめた。


「じゃあ、結婚しているのか」

イヌの言葉にジュンシクが、はにかんだような笑みを浮かべた。

「ほら、俺の昔の家の隣に住んでいた1つ学年が下だった女の子を覚えていないか?」

「ああ…、確か君と幼馴染で、遊ぶ時もサッカーの時もよく、くっついて来ていた子がいたな…。名前は確か…・、あだ名しか覚えてないんだが、『小丸』だったか?」

「そうだ。俺は『小丸』って呼んでいた。丸顔で小さい体だったからな。
本名はキム・スミン。それが、この子の母親だ」

ジュンシクは、過去を懐かしんでか、一瞬嬉しそうな顔をしたが、
すぐに伏し目がちになって、溜息を一つついた。

「…この子を産んですぐに亡くなった…」

イヌは、肩を落として、辛そうにうつむくジュンシクにいたたまれない気持ちになった。

「そうだったのか…」

…随分とつらい思いをしたのだな。
妻と父親を失って、残された子供を育てているのか。

イヌは、ふと、ジュンシクのどこか、覇気のない顔に目をとめた。

会ったことが嬉しくて、気にとめなかったが、昔の闊達さが消えているように感じる。…でも、それもそうだ。16年たっている。

僕もジュンシクも、もうあの頃の子供じゃない。
お互いいろいろな事を経験して、大人になっている。昔のままというわけにはいかないだろう。

ただ、もっと話がしたい。
昔の楽しかった記憶のことも含めて。

「積もる話はあるが、まずご飯にしよう」

イヌはメニューをジュンシクの方に差し出した。

「ジフン君もお腹がすいているだろう?何にする?」

ジフンはチラリと気にするように横に座る父親の顔を盗み見ていた。

「ジフン、遠慮しないで、好きな物を言え」
ジュンシクが言った。

ジフンの顔がパアっと明るくなった。

「ぼく、ハンバーグ!」

「分かった。…イヌ、俺達の方は決まった」

「うん。僕も決めた。注文しよう」

イヌは、店主に声をかけると、ハンバーグセットを3つ頼んだ。

そして、カウンターに置かれていた水をグラスに汲んでくると、
ジフンの前に置いた。

ジフンが「…ありがとう」とぼそぼそとお礼を言うとグラスに口をつけた。

イヌは、用意していたグラスの一つをジュンシクに渡すとビールを注いだ。

「僕が勝手に注文してしまった。嫌いじゃなければ飲んでくれ」

「ああ、ビールは好きだ」

ジュンシクの言葉にジフンがチラリとジュンシクを見た。

「じゃあ、乾杯しようか。ジュンシク。こうして再会出来たことに」

「ああ」イヌの言葉にジュンシクがうなずいた。

「それと…お前の親父さんの無実が証明されたことを祝わせてくれ。
良かったな。イヌ」

「ありがとう…」

イヌは、微笑むとジュンシクと一緒にグラスを掲げて、ビールを飲み干した。

ジュンシクの空になったグラスにイヌが再びビールを注いだ。


「…16年ぶりか」ジュンシクがつぶやくように言った。

「ああ、あれから僕が韓国に戻ってきたのは5年前、司法試験を受ける前だったんだが、
やはりいろいろ変わっていたな」

「変わるさ」ジュンシクがフッと笑ったあとにつぶやくように言った。

「でも、全く変わらずにいつまでも残ってるものもあるだろうな」

「変わらないと言えば…」イヌが思いだしたように言った。

「あれ、覚えているか?君と僕で埋めたタイムカプセル」

「ああ~」

ジュンシクも思いだしたように、懐かしそうな顔になって口元をほころばせた。

「埋めたな。小学校6年の時、お前が、アメリカに行く前に」

「うん」

イヌが嬉しそうにうなずいた。

ジュンシクと二人、肩を並べて土を掘って、タイムカプセスにした菓子の缶を埋めた。

二人とも頬に汗と涙を滴らせていた…。

『イヌ、約束だ』

少年のジュンシクが言った。

『…たら、二人一緒にこのタイムカプセルを掘り起こそう』

『うん。ジュンシク。約束だ』


イヌは、当時を思い出して、目の前の友人の顔と少年時代の顔を重ね合わせていた。
すっかり大人になっていたが、面影はそのままの友人の顔。

「あの、タイムカプセルを埋めた場所覚えているか?」

「ああ、…なんとなくだが」

ジュンシクは、運ばれてきたハンバーグセットを横目で見ながら答えていた。

隣に黙って座っていたジフンがゴクンと聞こえるくらい大きく唾を飲み込んでいた。

「いつか、一緒に取りだしに行きたいな」

楽しそうなイヌの言葉に、
ジュンシクが曖昧な笑みを浮かべると、目をそらした。

「…イヌ、俺には無理だ」

「え?」

「お父さん」ジフンが遠慮がちに声をかけてきた。「…食べていい?」

「ああ。食べろ」ジュンシクはジフンに応えると、イヌの方に目を向けた。

その目が、何かを秘めている闇夜のように、底知れない暗さの中で細かく揺れていた。


「お前は、約束を守った。だが、俺は…」

ジュンシクが目を伏せた。

「俺はもうお前との約束を果たせそうもない」
…だから、一緒にタイムカプセルを掘ることはできない。

テーブルの上でジュンシクの手がギュッと握りしめられていた。

…何も聞かないでくれ。

まるでそう言っているように、重く暗い空気をまとわせ、
ジュンシクは、そのまま黙った。

ガツガツと、無我夢中で、むさぼるように食事をするジフンの音だけがテーブルに響いていた。

…ジュンシク。

自分が覚えている昔の友人とはまるで違う雰囲気のジュンシク。

イヌは、自分たちに横たわる16年という長い歳月を改めて思い知って、
声も出せずに、目の前のジュンシクを見つめていた。



(「埋もれた約束」3終わり4に続く)


登場人物


ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

ナ部長…ヘリの検察庁刑事5部の部長

キム検事…ヘリの後輩女検事(オリジナルキャラクター)

イ・ジュンシク …イヌの小学校時代の親友 (オリジナルキャラクター)
ジフン…ジュンシクの息子(オリジナルキャラクター)


ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます♪

雑記のカン・ドンウォンさん。しっかり見たのは映画1つとドラマ1つですが、
ドラマの方は…(苦笑)ただ、カン・ドンウォンさんのカッコイイ姿を見るため
だけに頑張ってラストまで見てました。
背が高い大人なのに、子供っぽい甘いお顔♪
時代劇姿もスーツもよくお似合いです♪

いえ、パク・シフさんも両方すごーくお似合いの方ですよ!!

↑なんだか浮気の言い訳してるみたい(笑)


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本日は、雑記です。


「検事プリンセス」でイヌ役のパク・シフさん出演の最新作映画「私が殺人犯だ」

…少し気になってます。

この前、韓国webドラマ「haru―ある1日の物語」のパク・シフさんの役を見て思いだした事がありました。


昔見た「天使の涙」という香港映画に出ていたレオン・ライさん。
暗殺者の役だったのですが、あのレオン・ライさんに1瞬すごくはまりました。
金城武さんも出演されていたあの映画。見た方は分かると思うのですが、
続きを妄想する余地のないラストでした(涙)
でも、当時若かった(笑)私はあのレオン・ライさんの役に恋をしました。

あの時のレオン・ライさんの役とあの「haru」のパク・シフさんの役が重なって、
これで映画を1本作ってほしいと思ってしまいました。
ああいうアクションシーンのあるもの♪

…で、またまた結びつけたのですが。


韓国俳優、カン・ドンウォンさん出演の映画「超能力者」が今日本で公開中。

あらすじやCMを見ると…ちょっと痛そうな感じがするので、
積極的に見たいとは思わなかったのですが、この方も気になります。

パク・シフさんが切ない目の演技をされる方なら、
カン・ドンウォンさんは、悲しい目の演技をさせたら…あの目に吸い込まれそうに(笑)

↓カン・ドンウォンさんとパク・シフさん。

二人の画像を元にイラスト描いてみたのですが



   悲しげな目と切なげな目



…似てない…とくに、相変わらずシフさんが…(涙)


カン・ドンウォンさんは、現在は兵役に行かれているとのこと。
戻られたら、また個性的で素晴らしい演技を見せてくれるのでは…と期待します♪

一時期、カン・ドンウォンさんの、ある役にも恋をしてました♪
でも…完全にソ弁病の方が重症です(笑)

おそらく、イヌは、私のツボだったのでしょう。

私の萌えツボ。

・秘密のある男。
・普段ふざけているのに、真面目になるとカッコいい。
・弱そうに見えて、実はケンカが強い。
・主人公をいつも見守ってくれるか、助けてくれる。
・心の奥に孤独を抱えている。
・優しい面と冷酷な面を持っている。
・一度恋をすると情熱的。でも表立った愛情表現はしない。

ほら、抜き出してみると、ソ・イヌ、そのものです♪


結局、雑記で何を書きたかったのか分からなくなりましたが(笑)
あいかわらず「検事プリンセス」のソ・イヌが一番好きって事です♪

「検事プリンセス」のドラマでは、3話~4話でかっこいいアクションを少し見せてくれたイヌ。
二次小説でも今後、アクションシーンの入った話を書く予定です♪
かっこよく書いてみたい。。。書けるかな?

…というわけで、


今日は、長編「埋もれた約束」の一休みの雑記でした。

テーマ:韓国俳優 - ジャンル:アイドル・芸能

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「埋もれた約束」第2話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話はみつばの「検事プリンセス」二次小説シリーズ最新作です。
時間の流れでは、「恋人に望むこと」の続きになります。


小説の最後に登場人物紹介があります。



埋もれた約束(2話)




チゲ鍋が出来て、サムギョプサルの肉もプレートの上で美味しそうな匂いを漂わせて、ちょうどよく焼けた頃、イヌが、キッチンカウンターのヘリと向かい合った席に座った。

「いただきます」

ヘリは、イヌがお椀によそってくれたチゲを一口すすった。

「ん。美味しいっ」

「そうか。たくさん食べろよ」

イヌが嬉しそうに言った。

ヘリは、次にサムギョプサルの肉をサンチュの上に重ねて、
キムチや他の具材を少しずつ上に重ねるとクルクルと巻いた。
そして、それを口を開けて、上品に一口かじると…。

「だめだめっ」

イヌの制止に、ヘリがびっくりしたように、
巻いたサンチュを口にくわえたままイヌの顔を凝視した。

「違うぞ。ヘリ」

「ふへ…?」

目をぱちぱちさせて、サンチュを手に持ちなおしたヘリは、
きょとんとイヌの顔を見つめた。

…な、何?

「いいか。よく見てるんだぞ」

イヌは、はりきったように両手をこすり合わせると、皿に盛ったサンチュの葉を一枚とって、肉、キムチ、野菜…と少しずつ全部その上にのせていった。

「こうやって…こうやって…」

「…?」

…私のやったのとかわらない気がするけど?

ヘリはイヌの手元を不思議そうに観察していた。

「ほら、こうして」

イヌが、サンチュの葉をクルクルと小さく巻いた。

沢山具材をいれたというのに、サンチュの葉はコンパクトな小さな物になっていた。
それをイヌは手を伸ばしてヘリの口元に持ってきた。

「ほら、ヘリ。口を開けて」

「え?」

「ん」

イヌに促されるまま、ヘリは仕方なく口を開けた。
その口の中にサムギョプサルをイヌが押しこんだ。


「ほら、食べて。一口で」

「ひゅとくちて?」

ヘリは、目を丸くしたまま、一緒にイヌの指も食べそうなほど
奥までつめこまれた物でいっぱいになった口を無理やり閉じた。

「ムグムグ・・・・」

ヘリは、目を白黒させて、サムギョプサルを租借して喉に通した。

そして、ようやく口の中に物がなくなるとフーっと息をついた。

…なんとか食べられたわ。

「…あの、イヌ」
戸惑ったようなヘリの眼差しにイヌが、ニッと笑った。

「美味しかっただろ?サムギョプサルはこうして一口で食べないと駄目だぞ」

「…それってソ家のルールなの?」

ヘリは、喉につまりそうになった肉を流し込むために水をあおって、
少しうらめしそうにイヌを見た。

「何を言っているんだ。これは韓国流だろ?」

…そうだったかしら?
ヘリは、首をかしげた。

イヌが、楽しそうに、今度はエゴマをとって、
肉とキムチと野菜を巻いて、一口で食べた。

「ん。うまい。こうして家で食べるのは久しぶりだけど。やっぱりうまいな。
あいつとはよく家で一緒に食べていたが」

ヘリは、今度はビールを口につけながら、イヌをじっと見つめた。

「お友達の名前はなんていうの?」
ヘリが聞いた。

「イ・ジュンシクという名だ」

…イ・ジュンシク。

ヘリは心の中で名前を反復した。

「ジュンシクとは小学校5年、6年の時、クラスも一緒だった。同じサッカークラブに所属していたし、だからほとんどいつも一緒だった」

ヘリは、あいずちをうつようにコクリとうなずいた。

「ジュンシクは父親と暮らしていたけど、仕事の帰りが遅かったから、サッカーの練習の後、よくうちで一緒に夕飯を食べたよ。彼は、母の料理が好きだったから、いつもたくさん食べてたな」

イヌはそういって、新しく巻いたサンチュを手でかざした。

「とくに、これ。サムギョプサルの日は、僕とジュンシクで肉の取り合いだった。それにジュンシクはチゲも大好物だったよ。寒い日に、家では母がよく作っていたんだが、これで、ご飯を何杯もおかわりしていた」

…だから、サムギョプサルとチゲ…。

ヘリは、チラリと、料理に目を落とした。

きっと、今日昔の親友と再会して、懐かしくなって作ったのね…。


「…じゃあ、このチゲはイヌのお母様の味?」
ヘリは聞いた。

「そうだな。いつも似せようと作ってみるけど、どこか違う気がする。
やはり、あの味は母にしか出せないのかもしれない。よく言うだろ?『おふくろの味』って」

イヌの言葉にヘリが黙って微笑んだ。

イヌが、やけに静かにじっと見つめているヘリの視線にきづいた。

「どうした?」

「ううん…ただ」
ヘリが少し、戸惑ったように言った。

「…昔のことを話すあなたの姿が珍しくて」

「聞きたくない?」

「違うの」ヘリがかぶりを振って柔らかく微笑んだ。

「嬉しいのよ。あなたが、こうやって私に自分のことを話してくれるのが」
…とっても嬉しい。

本当は、聞かなくても知りたいと思っていた。

もっともっとイヌのこと知りたいと思っていた。

今のイヌも、過去のイヌも。

でも…。

話すことでつらい過去の思いを思いだしてしまうかもしれない。

それに、なにより、自分に、
マ・サンテの娘には話ずらいのかもしれない。

そう思っていたヘリだった。

こうして、自分とつきあって、そして、父サンテのことも解決したように見えた。
でも、やはり事件は無かったことには出来ない。

イヌの孤独でつらい年月をさかのぼった先に、あの事件が人生に楔を打っている。

それなら、なおさら聞くまいと思っていた。
イヌが自分に話してくれるまでは何も。

だから、こうしてイヌが自分に話してくれることがとても嬉しかったヘリだった。


ヘリの表情に、気持ちをよんだイヌが、フッと微笑んだ。

「昔の親友、ジュンシクに会って、僕も嬉しかったんだよ」

あの頃の共通の記憶を持っている人間に会えた。

それが、昔の、輝いていた楽しい時間を思いだせた。
心に思い浮かべると、失ったすべても思い出させてつらいと感じたことも、
今の彼と会ったことで、幻ではなく、大切な記憶だったことを認識出来た気がした。


「彼とは近いうちにまた会って、いろいろ話をしたいと思ってる」

「ええ…よかったわね」

ヘリはうなずいた。

イヌが、こんなに嬉しそうに話す友人だもの。
きっと、本当にいい人に違いないわ。
私も機会があったら会ってみたい。

イヌは、温かい眼差しで自分を見つめるヘリのくいいるような視線に、
柄にもなく少し照れたように目を逸らした。


「…そういえば、君の親友は、ユナさんか?」

「ええ、そうよ」

ヘリはうなずいた。

「君とユナさんはどういうふうに出会ったんだ?」イヌが聞いた。

「ユナとはね、転入した服飾学科で会ったの」

ヘリはユナと初めて話をした時のことを思い出した。

「私がダイエットに成功してね、それで、法学部も中退して、服飾学科に入ったの。
もともと、服とか靴とかそういうファッションの事に関心があったから…」

生まれ変わるつもりで入った服飾学部。

大好きな服の事だったが、ヘリは、服を作るという技術はともかく、デザインに関しては独創的なアイデアやセンスは無かったらしく、もっぱら、流行りや一流のデザイナーの模倣をしていた。デザインや服飾の勉強より、綺麗な服で自分を着飾る方に夢中になっていた。

「楽しかったんだけどね、授業の方は私あまり熱心じゃなくて。
そんな時に、一般の女性達を募集して、その人達の服を選ぶという実習があったのよ」

募集をかけて来た女性達は、年齢制限もなく、条件も無かった。
服飾学部の実習の授業ということもあって、訪れた女性達は、若くて、ファッションに興味があるか、自分のスタイルに自信のある人が多かった。

しかし、中には、年齢を重ねた女性や、体型が大柄な女性や、
私服にセンスを感じられない女性たちも交じっていた。

「どの女性を選ぶのかは、生徒たちがくじ引きをして、
順番で早いもの順で選んでいけたのね。ユナは最初の方だった」

他の生徒たち同様、ユナも若くスタイルが良くて、
ファッションに熱心関心を持つ女性を選ぶものと思っていた。

しかし、ユナの選んだのは、意外にもふくよかな体型の中年女性だった。

ヘリは、最初彼女を見た時に母親のエジャを思い出し、同時に、
それよりもおどおどして俯き加減に周囲を見渡している姿に昔の自分を重ねていた。

ユナに選ばれて、クローゼットにつれていかれた女性は、まだ、戸惑ったようにユナを見ていた。

「私でいいの?私、若くないし…せめてもう少し痩せていれば良かったんだけど」

そう言う女性に、ユナはニッコリと笑いかけた。

「ここに来たんだもの。あなたは服が好きなんでしょう?それに、年齢も体型も関係ないわ。どんな人にも、その時、その瞬間一番輝ける服が必ずあるのよ。私にその服を選ぶお手伝いをさせて。」

ユナの言葉に、女性も、それを影から聞いていたヘリも、びっくりしたように立ちすくんだ。

ありのままの姿でも輝ける服がある。自分がそう望むかぎり。

そうきっぱりというユナの言葉にヘリは感動していた。

昔、ヘリが大柄だった時、ブティックに買い物に行くたびに店員が、たくさんの服を出してきて、試着したヘリをほめそやしていた。

「まあ、可愛い服がよくお似合いですよ」


服は可愛かった。

でも、そんな店員の言葉にあいまいな微笑を返しながら、ヘリは内心いつも沈んでいた。

可愛い服に似合う自分では無かったからだ。
それを十分に自覚していたヘリは、店員の言葉が空寒く聞こえた。
こんな私に似合う素敵な服なんて無い。本心ではそう思っていた。

だから、ユナの言葉に、女性だけでなく、ヘリも感銘を受けていた。

ユナが、衣装をもってきて、女性に明るく熱心に接客する姿をちらちら見た後、
ヘリは、自分の選んだ女性の為に一生懸命服を選ぼうと思った。

ヘリは、その日、授業が終わってから思い切って、ユナに声をかけてお茶に誘った。

「私、服を自分でデザインするっていうことにも興味はあるんだけどね、ファッションの流行や知識をいっぱい学んで、お店で精いっぱいお客様の助けが出来るようになりたいのよ」

入ったカフェで、

そう、将来の目標を語るユナを、ヘリは憧憬のまなざしで見つめた。



「私ね、ユナのことが大好きになってたわ。この人と友達になりたいって心から思ったの」

そして、友達になった。

ヘリは、懐かしそうに、その頃のことを思い出しながら、イヌに語った。

イヌは、そんなヘリを優しい眼差しで見つめていた。

「いい人だな。君の親友も」

「ええ、とってもいい友達よ」

出会えてよかった。

ヘリはイヌを見つめ返して、照れたようにフフと笑った。

…こんなこと面とむかってユナに言えないけどね。


ヘリとイヌは、微笑み合うと、
その後、二人で、汗を流しながら、ハフハフと息を吐いて熱いチゲを口に運び、
サムギョプサルをお腹いっぱいになるまで堪能した。

食事を終えると、イヌとヘリは二人でキッチンの後片付けをした。

濡れた皿をフキンで拭きながらヘリはボンヤリと考え事をしていた。
そして、洗い物をしているイヌに声をかけた。

「ねえ、イヌ」

「ん?」

「私に、チゲの作り方教えてくれない?」

「かまわないけど、僕のやり方でいいのか?君のお母さんに習った方がいいんじゃないのか?」

ヘリのお母さんの料理の腕の方が僕より確かだと思うが。

ヘリは首をふった。

「ママにも習うけど…あなたの好みの味を知りたいの」

ヘリのちょっと照れたような、でも真面目な声にイヌが、思わず口元をほころばせた。

「分かった。じゃあ、週末のどこかで一緒に作ろう」

「うん」

ヘリが嬉しそうにうなずいた。

そんなヘリの純粋な笑顔に、イヌは、ヘリが愛おしくてたまらない気持ちになって、
スッと顔を近づけると、かすめるように、すばやくキスをした。

「!…もうっ」

ふいをつかれたヘリは、目を丸くした後、頬を染めて、イヌをわざと睨みつけた。

イヌが声をあげて楽しげに笑った。


…それから、週末明けの月曜日の夜。


イヌは、マンションの自室でジュンシクからもらったレシート裏に書かれた電話番号にかけていた。

留守番応答になるか?というほど待ったあと、電話がつながった。

『…はい』

小さく低い男の声の応答が聞こえた。

「ジュンシクか?」

イヌの声に、電話の向こうで息を呑む気配がした。

『イヌか』同時にホッとしたような溜息も聞こえた。

「今、電話平気か?早速だけど、食事に誘おうと思って電話したんだ。」

『…ああ、俺は平気だ。食事も。いつにする?』
ジュンシクが答えた。

「今週、どこか夜空いてないか?僕は、明日、明々後日の都合がとくに良いのだが、君の都合や時間にあわせるよ」

『じゃあ、明日の夜でどうだ?時間は…そうだな7時くらいで』

「わかった。明日の7時だな。場所はどうする?君のおすすめの店があったらそこでも良いが」

イヌの言葉にジュンシクがかすかに笑った気配がした。

『おすすめというわけじゃないが、洋食の安くてうまい店がある。そこでいいか?』

「いいよ。場所を教えてくれ」

イヌはジュンシクが言う店の名前と住所をメモに書き取った。

「じゃあ、明日。ジュンシク。また君に会えるのを楽しみにしてる」

「…俺もだ。イヌ」

ジュンシクの言葉にイヌは微笑むと通話を静かに切った。

そして、キッチンに向かうと、
昨夜、ヘリに教えながら、大量に作ってしまったチゲの残りを温め直すと、
夕食として口に運んだ。

その頃、

同じマンションの自室にいたヘリは、シャワーから出てきて、
なにげなくテレビのリモコンのボタンを押していた。

ちょうどついた番組がニュースで、先日山中で身元不明の遺体が発見されたというものだった。


…これ、うちの管轄になりそうね。

いつもと似たような事件のはずなのに、なぜか妙な胸騒ぎを覚えたヘリは、
眉をひそめて、しばらくテレビ画面に見いっていた。



(「埋もれた約束」2終わり 3に続く)


登場人物


ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

イ・ジュンシク …イヌの小学校時代の親友 (オリジナルキャラクター)

イ・ユナ…ヘリの親友



「埋もれた約束」序章です。

この話の主人公はほとんどイヌです。なので、イヌ目線で話が進む事が多いです。
そういう意味でも今までの作品と違う雰囲気になっていると思います。

ドラマで、イヌの親友としては、ジェニーが出てきますが、イヌに男の友人っているの?って思いまして。いえ、アメリカにももちろんいると思うのですが。
ただ、ドラマ中でイヌと関わる男の人といえば、ヘリを尾行したり、窃盗したりする、金で雇われている感じの男だったり、カンさんだったり。友人というより、イヌの部下のような感じで登場してました。
ジュンシクは、私のオリジナルキャラクターですが、イヌの昔の親友の男として登場。

長くてシリアスなお話ですが、プロットとしては、最初の方に浮かんだもので、どうしても書きたかった話の1つなので、ラストまでおつきあい下されば嬉しいです。

…といっておいて、早速明日は長編更新はお休みです。すみません。

小説への拍手、拍手コメントありがとうございます!!
パク・シフさんファンミ、もちろん行ったらレポ書いてブログでアップしますね。

コメントレス的な話。

お友達の方、早くお体が回復されると良いですね。
きっと「ソ弁病」にかかれば元気になりますよ。
…そのファン歴だと、好みの顔の方が共通しているように思えるのですが、でも、好きなのと好きになるのは別ですから、イヌファン…いえ、シフさんファンに引きずり込んでしまいましょう(笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「埋もれた約束」第1話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話はみつばの「検事プリンセス」二次小説シリーズ最新作です。
時間の流れでは、「恋人に望むこと」の続きになります。


小説の最後に登場人物紹介があります。






埋もれた約束(1話)





――― ただいま。

そう言って、帰る家があった。

そこには、

明るい母がいて。
優しい父がいた。


サッカーの練習で、泥だらけになって帰って、家のドアを開けると、
母が僕を見て、いつものように呆れたように笑って、

『おかえり、イヌ』と言ってくれた。

そして、僕の後ろを見て、

『いらっしゃい。お風呂が入っているからイヌと一緒に入ってね。それからご飯にしましょう』と優しく声をかける。

僕の後ろにいたアイツは、

『お邪魔します』と言って、僕と肩を並べて、玄関に入っていく。

――― 僕達はいつも一緒にいた。

勉強する時も。遊ぶ時も。サッカーをする時も…。

『イヌ』

アイツが僕の後ろにいてくれる。
そう思うだけで、前だけ見て走っていられた。

『イヌ、頑張れ』

その声が心の中で聞こえているかぎり、
僕は大丈夫だと思えた。

君は覚えているだろうか?
あの頃を。
あの日の約束のことを。

僕にとって、君はずっと…。



――― その日、イヌは仕事の用事で警察署に来ていた。

用事を終え、事務所に帰ろうとしたイヌは、ふと、目の前を歩いている男に目をとめた。

…似ている。あいつに。でも、まさか…。


イヌは、しばらく男の数歩後ろを黙って歩いていたが、
男が警察署から出た時に、思い切って声をかけた。


「ジュンシク?もしかして、イ・ジュンシクじゃないか?」

イヌの声かけに、男の背中がピクリと動いた。

男が、ゆっくりと振り向いた。
どこか不安げな影を落としていた表情が、イヌの顔を認めて驚愕にかわった。

「…イヌ?ソ・イヌか!?」

「そうだよ。ソ・イヌだ。やっぱりジュンシクだったんだな」


「ああ…驚いた。イヌ…韓国に戻って来ていたんだな」

イヌにジュンシクと呼ばれた男は、心底驚いた顔で、
イヌを上から下まで眺めながら言った。

「背も高くなって…、見違えたぞ。イヌ」

「それを言うなら、ジュンシク、君だって」

イヌが朗らかに笑った。

そして、イヌも男の顔をまじまじと見つめた。

…一体何年ぶりだろう。

「こんなところで会えるなんてな…」
…こんなところ、警察署の中でなんて。

イヌの言葉にジュンシクが曖昧に笑った。

「ちょっと野暮用でな。そういうイヌは…まさか弁護士か?」

ジュンシクが、イヌのスーツについた弁護士バッジに目をとめて、目を見開いた。

「ああ。今ソウルにある法律事務所で働いている」

「…お前が弁護士か。まあ、昔から口の立つやつだったからな。
その姿も含め、似合うといえば、似合いすぎるな」

ジュンシクは感心したような顔でイヌを眺めたあと、
ふと、少しためらったように口をひらいた。

「…じつは、俺…昨年の新聞にでていた記事を見たんだ。お前の親父さんの記事」

「・・・・・・」
イヌは黙って先をうながした。

ジュンシクはイヌの反応を気にするように顔を伺っていた。

「あの、マ社長や会社のことを扱った記事より小さいものだったが、16年前の事件が冤罪だと証明されたという記事だ。…お前が韓国に戻ってきて、それを成し遂げたんだろ?」

「ああ…」
イヌは静かにうなずいた。

「だが、他の人達のたくさんの援助のおかげでな。時間はかかったが、ようやく念願を達成することが出来たよ」


イヌの言葉に、ジュンシクは、目を細めて、微笑んでうなずいた。

「そうか…。良かったな」

本気で、良かったと言ってくれている男の目と言葉にイヌは、胸の奥が熱くなった。

「君にそう言ってもらえると嬉しいよ」

目の前の男、ジュンシクは16年前のイヌの小学校時代の同級生だった。
同じ年で、学校のクラスも、所属のサッカークラブチームも同じだった。
イヌにとって一番気のあう友人で、いつも一緒にいた少年だった。

しかし、
イヌと母親が韓国を出てアメリカに渡ってからは1度も会ったことはなかったのだが…。

「僕は、韓国に戻った時に、真っ先に君の家を訪ねたんだよ。ジュンシク」

「え?」

イヌの言葉にジュンシクが驚いたように顔を硬直させた。

「なぜ?」そう聞くジュンシクにイヌは笑った。

「決まっているだろう。君に会いたかったからだ」
当然のようにイヌが言った。

「でも、君は引っ越した後だったようだ。お父上はご健在か?」

確かジュンシクは父親と二人暮らしだったはずだ。

「…いや」

とたんにジュンシクの顔が曇った。「…昨年亡くなった」

「…そうだったのか」
イヌが、すまない、何も知らずに、と言った。

ジュンシクは首を振った。

「そういえば、イヌはアメリカにお母さんと一緒に行ったんだったよな。
俺、今でも覚えてるぞ。イヌのお母さんの手料理の味。
よく俺にも弁当を作ってくれたよな。とくにあの、巻きずし。うまかったな。
お母さんはどうしてる?元気か?一緒に韓国に戻ってきたのか?」

ジュンシクは昔を思い出したらしく、懐かしそうな顔でイヌに聞いた。

イヌは、そんなジュンシクにそっと首を振った。

「…アメリカにわたって4カ月後に事故で亡くなった」

ジュンシクはしばらく言葉を失ったようだった。

そして、気を持ち直したらしく、少し目を伏せて申し訳なさそうに口を開いた。

「…そうだったのか…。知らずにすまない。…つらい思いをしたな」

ジュンシクの言葉にイヌは微笑で応えた。

16年前の母親を知っている人物から、母親の想い出が出てきたことが、今のイヌにはつらいと感じるより嬉しいという思いの方が強かった。

…韓国で僕や母さんを覚えていてくれた人がいた。

何より、君にまた会えた…。


イヌは、スーツの内ポケットから名刺を取り出すと、ジュンシクに差し出した。

「せっかく会えたんだ。今度一緒に食事でもしないか?昔話をしたいし、僕のいなかった間の韓国のことも教えてほしい。ここに僕の携帯の電話番号が書かれている。良かったら連絡してくれ」

ジュンシクはイヌの差し出した名刺をうやうやしく手にとって、ジッと見つめた。

イヌの働く法律事務所の住所と一緒にイヌの携帯電話の番号が書かれていた。

「ああ…。俺は今名刺を持っていないんだが、…ちょっと待ってくれ」

ジュンシクはあわてて服のポケットに手をつっこむと、中からくしゃくしゃになったレシートの紙とペンをとりだした。そして、レシートの裏に、何かメモを書いてイヌに渡した。

「これが、俺の携帯の電話番号だ」

「わかった。もらっておく。近いうちに僕からも連絡するよ」

イヌの言葉にジュンシクは曖昧な笑みを浮かべてうなずいた。

そして、

「…じゃ」と片手をあげると、すりきれたジャケットに両手をつっこんで、少し寒そうに首をすくめて歩いて去っていった。


その後ろ姿を見送ったイヌは、ジュンシクからもらったアドレスの書かれたレシートを丁寧に名刺入れに入れた。

そして、腕時計で時間をチラリと確認した。

…これで仕事はほとんどすんだ。
事務所で、報告や書類整理が残っているが、すぐに終わるだろう。
…今日は金曜日。昨日電話で『今日は早く帰れる』と言っていたな…。

イヌは、脳裏に、明るい笑顔の美しい『彼女』の顔を思い浮かべて、そっと微笑むと、
駐車場に停めてあった車に乗り込んで、事務所に向かった。


しばらく時がすぎて。

マンションに帰ってきたイヌは、シャワーをあびたあと、
キッチンで夕食の準備をしていた。

やがて、キンコンとドアチャイムの音がなった。

…来たな。

イヌは、嬉しそうに口元をほころばせると、ドアロックを解除した。

「こんばんは~。おじゃまっしま~す」

ドアが開いた瞬間に、ヘリの笑顔と元気な声が飛び込んできた。

ヘリも一度部屋に戻ってシャワーを浴びて、部屋着に着がえてきたようだった。
ヘリの髪の毛から微かにヘリの使用しているシャンプーの甘い香りがした。

ルームシューズを履いたヘリは、すぐにクンクンと鼻を鳴らした。

「う~ん…すっごくいい匂い!イヌ、何作ってるの?」

「チゲ鍋と、サムギョプサル」

ヘリは、キッチンの上のそれらを見た後、驚いたように目を見開いた。

「…美味しそう…。でも、どうしたの?」

「何が?」イヌが不思議そうに聞いた。

「御馳走というか…ボリュームがすごいわ」

「普通だろ。御馳走というほどじゃないし、僕も君も働き盛りだ。これくらい食べられるだろう?」

ヘリは、複雑な表情でチラリと、イヌを見た。

…昔の自分だったら食べられそうだけど。

「このチゲは、低カロリーのスンデュブチゲ(豆腐チゲ)だ。サムギョプサルも、肉を少なめにして野菜をいっぱい巻いて食べるといい」

体型が変わることを恐れて普段食事節制をしているヘリの心を読んで、
イヌが、気遣うように言った。

「ええ、美味しそうね。ありがたく頂くわ」

ヘリは、ニッコリと笑って答えるとキッチンのカウンターの席に座った。

「ビール、飲むか?」

イヌが、そう言って、冷蔵庫から冷えた缶ビールを出した。

ビールをヘリと自分のグラスに注いで、1つをヘリに渡すと、
イヌはそのまま自分のグラスのビールをあおった。

そして、再び、また料理の続きを始めた。
その姿はどこか楽しそうで、嬉しそうにも見えた。

そんなイヌの様子をしばらく見ていたヘリは、つられたように
顔をほころばせていた。

「イヌ、なんだか楽しそうね。何かいいことでもあった?」

「ん?…そうか?」

「ええ。顔に出てる」

…料理にも出てるみたい。

ヘリは思った。

いつもイヌの作る手料理は、美味しくて見た目も豪華だった。
でも、今日の料理は他にも何かが加わって輝いている。そんな気がしたヘリだった。

「じつは、今日昔の友人に会ったんだよ」

イヌが言った。

「イヌの昔の友人?」ヘリが首をかしげた。

「ああ」
イヌが嬉しそうにうなずいた。

「アメリカに行く前に韓国に住んでいた頃の友人だ。小学校の時は、いつも一緒にいた、男だよ」


イヌの話す表情に、ヘリは、その友人が、イヌにとって当時、とても大切な人だったことが分かった。

イヌが懐かしそうに、目を細めていた。


「…どんな人だったの?」ヘリが聞いた。

「優秀な男だった」イヌが答えた。

「勉強もスポーツもなんでもよく出来るやつだった。サッカーもうまかった。
僕が彼にかなう事は1つも無いくらいだったよ。それに…」

『イヌ!』

イヌは、自分を呼ぶ、元気のいい少年だった昔のジュンシクを思いだしていた。

『俺は将来医者になって、沢山の人を助けるんだ』


「…とてもいいやつだ」


イヌが、誰かのことをここまで褒めるのは、珍しかった。
それ以上に、イヌが、過去の事を自分からヘリに話すことも。

ヘリは、過去のことを、そして、昔の親友の事を話すイヌを、
黙って優しい眼差しで見つめていた。



(「埋もれた約束」1終わり 2に続く)



登場人物


ソ・イヌ(ソ弁護士)
マ・ヘリ(マ検事)

イ・ジュンシク …イヌの小学校時代の親友 (オリジナルキャラクター)



大変お待たせしました。
シリーズ話最新作「埋もれた約束」スタートです。

先日ブログでお知らせしましたが、数話ずつ更新します。
よろしくお願いします。


ブログへの拍手、拍手コメント、ありがとうございます!

イヌ役パク・シフさん来日、&ファンミーティングツアー、いよいよ来週からですね。

今のところ、「みつばのたまて箱」のオフ会は予定してないです。

このブログに来て下さっている方はパク・シフさんファンでも、特に「検事プリンセス」好きの方だと思うので、
会ってお話出来たら楽しいだろうな~という思いはあるのですが、私が人見知りなのもので、ごめんなさい。

でも、東京会場のファンミに行かれる方、イヌ…パク・シフさんと同じような位置(右鎖骨あたり)にホクロがあって一人でひっそり座っている女がいたら、みつばです♪(←分かりませんよね)


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「検事プリンセス」のドラマ最終回からの続きとしてみつばが、書いていた
二次小説のお話。

12月更新した「プールへいこう」から止まっていました、
シリーズ話の続きを再開します。

本当に、本当に、大変お待たせしました。


シリーズ話最新作の長編「埋もれた約束」を明日より更新します。


ただ、更新についてのお知らせとお願いを少し。

じつは、まだ「埋もれた約束」は未完状態です。

完成してから~…と思っていたのですが、そう思っていたら、
なかなか執筆が進まないので、思い切ってスタートすることにしました。

それで、連続更新ではなく、2,3話更新したら、
別の話、又はイラスト、漫画等の創作で休憩をとりながらの更新となります。

最初は、小説の序章部分、2話を明日、明後日、更新予定です。

続けて読むことが出来なくて、読む方にはもどかしい思いをさせると思いますが、
休憩の合間に構成と小説を書き進めながら、何とかこのシリーズをのりきりたいです。



↓「埋もれた約束」のイメージイラスト。



   検事P 「埋もれた約束01」






私にとって、新境地の小説なのですが、暖かい目で見守って頂けると嬉しいです。
よろしくお願いします。


先日の雑記への拍手、拍手コメントありがとうございました♪
この時期、花粉症に苦しみながらも外で花の手入れをして癒されてます。

「花の子ルンルン」も知っている方がいて嬉しいです。
昔見たテレビや歌の話は年が一番ばれる話題ですが(苦笑)好きだった物を
覚えていてくれる方がいると心強いです。


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こんにちは。

先日の女子会で、やや二日酔い気味になったみつばです。
…という、
今日は、最近した事を雑記で。

女子会。
ビール、カクテル、焼酎、まっこり、梅酒等を9杯ほど飲みました…。
(飲み放題コースだったから、これ幸いとばかりに(笑))
酒に強い方なので、酔っても周囲の高くなったテンションに途中からシラフ参戦。
二次小説「優等生3」のヘリを地で経験しました(汗)
でも、小説のような、危なくてきわどい話は出ませんでした。さすがにね。
同居や、旦那に対する愚痴、出産話等、リアルな“年ごろ”の女子会の内容でした(苦笑)

それはいいとして。

それでも、最初の方にそれとな~く、
話の流れで、

「韓国ドラマや、韓流にはまっている人いる?」と、いたメンバーに聞いてみました。

「イヌも歩けば棒にあたる」(笑)っていうくらい、いるかも、と思っていたのですが、
全くいませんでした。

でも、久しぶりに沢山のんで、大人数の女子会は楽しかったです。


あとは、暖かくなってきたので、
こちらの趣味の方も忙しくなってきました。

ガーデニング。


みつば家の鉢花写真。こんな感じで満開になってきました。↓


   みつば家の鉢花



半月ほどで花壇の花も満開になる予定♪

趣味の1つがガーデニングなのですが、これまたリアルでは周囲に共通の趣味の友人がいないので、このブログでちょっとお邪魔させました。すみません。


「ヘリ兎と猟師イヌの物語」11話のイヌの家前の7色の花「願いをかなえる花」みたいに7色で♪(8色ある?)

でも、「願いをかなえる花」のイメージは、本当に花弁自体が7色というもので、
むか~し見た覚えのあるアニメ「花の子ルンルン」にでてきた7色の花みたいな…。
話をほとんど覚えてないのだけど、確かこれも、主人公を助ける王子様が出て来たような…。

…やっぱり誰も知らないでしょうか?さすがに「花の子ルンルン」は…いいかげん年が…(苦笑)

それにしても、こうして振り返ると、私、プリンセスとか、王子様ものがツボだったみたいです。いまさらですが♪


話はかわって。

パク・シフさんの表紙の雑誌「韓流TOP」見ました。

シフさんのインタビューや写真がいっぱい。

「僕の恋愛スタイル」について語るパク・シフさんの答えに一人大はしゃぎ!!
相変わらず、イヌの名前が出るだけで、テンションが上がるみつばです♪


…という、今日は、二日酔い雑記でした(ぺこり)


ランキング&イラスト、漫画への記事の
拍手、拍手コメントありがとうございます!!
趣味につきあって頂いて、嬉しいです。
ブログで、これからもイヌ×ヘリ創作をアップ出来たらな~って思ってます。
何をかいても、今のところ「検事プリンセス」のみで(笑)

…「シティハンター」は全部見ました。
話がもう最後は読めていたのですが、途中萌えシーンはありました。
ナナは好きなキャラクターです。
ただ続きを創作したいという思いは生まれなかったです。すみません。

前から気になっていた「私に嘘をついてみて」を今録画中。(まだ見てないです)

パク・シフさん関連で雑誌買ってしまうと、
つい他のドラマの紹介見て気になってしまうんですよね(汗)


ブログへの拍手数が3万を超えたようです。
本当に沢山の拍手を頂きましてありがとうございました!!


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みつばのたまて箱、「検事プリンセス」二次小説、
勝手にランキングへの拍手、コメントありがとうございました♪

それで、少し訂正なのですが、

あの先日の集計結果。
どうも、間違っていたみたいです。

ダントツ、5位に「さめない夢」(後編)が入ってました(汗)
びっくり。自分でも全く予想外だったので、チェックにも入ってなかったです。
最近の作品で、しかもかなり暗い話だったのですが。

ドラマの8話見ていて、イヌとヘリが一緒の器でラーメン食べるシーン見たら、
自分の書いた小説思いだしてしまって、見直したら、そんな事に気づきました。
いつも自信過剰な態度で、偉そうなイヌが、弱っている姿と、ヘリを強く想っているシーンが入っているからでしょうか?

…というわけで、


「さめない夢」(後編) のラストの方、ワンシーンを
ブログ初挑戦。ストーリー漫画1ページのみで(笑)


↓これ。



   検事P 「さめない夢02」



コマ割りしてストーリー漫画描くのは10年ぶり(汗)
そして、デジタルで描いたのは初めて。
…もうずっとGペン持ってない。デジタルでもまだGペン機能が使えない…。
(ぶつぶつ(笑))

でも、楽しかった♪


拍手数では、あまり多くは無いのですが、
私も自分で書いていて、「過去の亡霊」。とくに5話、9話はお気に入りです。
…というのも、ドラマに登場していた、ヘリの学生時代の親友、ソヨン登場の話。


その後、判事になっていて、そして、ヘリの過去が検察庁中にバレてしまう発端にもなった人物。

私は最初見た時は、すごく嫌な女…と思ったのですが、DVD見直してみたら、
そうでも無かったような気がしました。
ヘリにポロリと洩らした言葉は、本心だったと思うのですが、浮かれているヘリに、
ドングンとの交際を打ち明けられなかったのは、「いつかあきらめる」と思ったからという気持ちもあったけど、親友に言えなかった気遣いもあったのかな…と。

それに、検察中にバレたのは、写真を高校の同窓会に流したイ検事のせいで、
ソヨン自身がばらしたわけではないし…。

じつは、私は、ただ、金持ちで、美人で、意地悪なだけの女性がでてくるドラマがあまり好きではありません。
…というのも、美人だって、権力もってたって、女性ですから、好きな男のライバルには、意地悪の一つもしたくなるのは当然だと思うのですが、ドラマとかになると、主人公のライバルとして描かれるわけで、当然、悪者扱い。

それは、まあ、いいんです。
問題は、そのライバルに弱みを握られて、ひるんだり、言いなりになったり、負けちゃう主人公なんです。

それで、ライバルと比較すると、主人公の素直さとか可愛さが強調されるかもしれないのですが…見ているともどかしくって。

美人で意地悪でも愛らしいライバルとか、それに正々堂々と立ち向かう主人公の話は好きです。だから、「花より男子」のつくしや「イタズラなKISS」の琴子は大好き♪
ついでに、「アグリーベティ」も大好きです。ライバル女性達が美人で意地悪で悪役ぽいのに、どの女性もすっごく魅力的♪(笑)

「検事プリンセス」の場合、もうヘリが最初は金持ちで、我儘で、美人でしたから、なんとも(笑)

そんなわけで。つまりは、

私の中のソヨン像なのですが、本当は、頭も良くて、そんなに悪い女じゃない。と書きたかったのです。

ただ…ヘリに対する過去の仕打ちにはかなり怒ってまして。
なので、イヌにガツンっと言い負かせてもらってすっきりしました。

「過去の亡霊」9話。

ヘリの過去を知っていたイヌでしたが、そのイヌに自分から打ち明けたヘリ。
それでも、変わらない気持ちと、離れていた間もヘリを想っていた事を打ち明けるイヌ。
ドラマ最終回後の、二人がさらに気持ちが近づく所を書けたかな~と思ってました。


ついでに二次小説裏話をちょっと、書きますと。

「恋のかたち」

旅行中、携帯電話で書いていた小説。

じつは、…私当時は、まだあまりドラマを深く見てなかったせいもあるのですが、
ドラマのイヌにも結構怒ってまして(苦笑)

…分かりますよ。イヌの気持ちも。行動も。

ドラマ紹介ではやっぱり「イヌは復讐のため」ヘリに近づいた…という書かれ方されてますよね。原作者さんは、違うって言ってらしたみたいですが。

でも、普通、ドラマをそんな裏知識無しで見たら、
どう見てもイヌは復讐のためにヘリに近づいてる気がします。
もちろん、復讐の相手はサンテにですが。
でも、ちょっと考えれば、あの計画でいずれ、ヘリが傷つくことは分かってたはずなんですよ。
だからこそ、ドラマ10話のバーのシーンになったと思うのですが、始めるまでは、ヘリの事どうなってもいいって思ってないと実行出来ない計画なんですよ、あれ。
じゃなければ、本当にイヌが抜けているか…。

14話の居酒屋でイヌ、しっかり「君には罪はないのに、ごめん」って謝ってます。
ヘリもちゃんとイヌの謝罪を受け入れてますが…。

その頃、ヘリの事も好きになっていた私は、密かに「許さん」とか思ってました(笑)
計画のことは分かりますが、ヘリの職務を利用していることも。

イヌもすごく苦しんだことは十分承知してるのですが、
離れていた間のヘリの話と一緒に、
こちらも、ユン検事からイヌにガツンっと言って欲しかった…という気持ちもありまして~、書いた話です。


「海へいこう」「贅沢な時間」はリアルタイムで書いて、季節感を出せた小説でしたが、
そういう意味で、春だとすると、今、書けるとすれば「あれ」ですね。
ただ、シリーズ話の方で、春頃の話が長編な上に、おそらく、このブログの「検事プリンセス」二次小説の一番の山場になる予定なので、どうしようか…と考え中です。

シリーズと切り離して、書ける時に書いちゃえ~っで書けたら♪
4月は、イヌ役、パク・シフさんのお誕生月でもありますから♪♪


あと、お礼を改めて。

ブログや作品に対する拍手や拍手コメント、本当にありがとうございます!!

ブログ開設から9カ月たちました。
ここまでほとんど「検事プリンセス」の記事だけで続けてこられたこと、自分でも驚いてます。
ひとえに、このブログに来て読んで下さっている方々のおかげです。
ありがとうございました。

マイペースで創作は続けていきますが、読み逃げでも良いので、
気にいったものがあったら又読みに来て下さいね♪

↓新作書けるまで、良かったら復習しておいて下さい~。

検事プリンセス二次小説INDEX


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みつばの「検事プリンセス」二次創作イラストです♪


今回は街でデートするイヌとヘリのイラスト♪

↓これ





   検事プリンセス「イヌヘリデ


イヌ役パク・シフさんの画像の輪郭をトレースして、
横の女性をヘリにして、漫画イラストで、二人のデート風に描き変えたもの。


背景はトーン画像。(ちゃんと描く練習しないと(汗))



ヘリの「恋人としたい33のリスト」におそらくあるであろう、

「ペアルック着て、デート♪」です。


…イヌ、よく承諾したな~っ。
きっと「ばかばかしい」とか鼻で笑いそうな感じもあるのですが、
なんだかんだ言って、ヘリに弱いから♪
もちろん、ヘリの買い物の荷物も持ってあげるんですよ。


それで、…毎回、
イヌ…いえ、パク・シフさんのあの魅力的な切れ長の目が上手く描けません(涙)
イラストを縮小すると余計つぶれるし。。。
元画像はサングラスかけてました。


でも今度は素敵な服着たイヌをカラーで描いてみたいです♪
…あのタキシード姿とか?リアルタキシード仮面様♪(←しつこい笑)



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このブログ「みつばのたまて箱」で私が書いた「検事プリンセス」二次小説の中の
人気ランキングベスト10を集計してみました♪


「拍手」数が必ずしも、純粋な作品への評価では無いかもしれませんが、
とりあえず、拍手数の多い小説から順にランキングづけ。


ベスト5までを漫画イラストで描いてみました♪
(これがやりたかっただけ(笑))



↓これ。







 検事P 「ベストシーン」




1コマ目の「初めての夜」のキスシーンだけ、ドラマ13話のあの名キスシーンの画像を
トレースして漫画に描き直したイラストです。
あのシーンを、頭の中で「初めての夜」のシーンにおきかえて妄想して見る時があるので♪

2位の「100日記念日」のイラスト描いてたら、
ページごと漫画を描きたい気分になってきました♪おそらくアップ出来なくなるけどね(爆)


個々でイラストで描いたものを漫画風にコマ割りで貼り付け。
ブログでアップした時に見え方が大丈夫なら、
ストーリー漫画も短編で更新出来るかしら?


1位 初めての夜

これは12話です。…おそらく拍手だけでなくアクセス数もこのブログ内トップでしょう。
イヌとヘリが初めて結ばれる話なので。私も思い入れが深いです。
ちなみに11話は4位あたりになるのですが、同じ話内ということで。

2位 100日記念日

これは7話。…ええ、あれですね。あのプレイの話ですね…。
1~4話までは、ロマンチックなはずだったのに。

3位 プールへいこう

これも7話、…嫉妬イヌがヘリに…の話ですね…警告マークつきの。

4位 イヌの誕生日

5話。イヌの誕生日の出来ごと。

5位 ここにいるから

5話。ヘリが交通事故にあって退院した日の夜の話です。
はじめてイヌが弱弱しい姿をヘリにさらけ出すシーン。
みつばが初めて二次小説で書いた大人話。
話は今更新しているシリーズよりずっと後の話になるのですが、
そういう意味でどこか初初しい感じ♪

同5位 印‐しるし-

寝ているイヌにヘリが悪戯して、キスマークをつけて…という短編。




6位以降は次の通り。


6位 優等生1(後編)

7位 優等生2(後編) 

8位 ヘリの尋問計画

9位 素朴な疑問

10位 チン検事の結婚式(7話)


あの~…ほとんど大人話ベスト10みたいになってますけど(苦笑)

その中で、Hシーンがほとんどないにもかかわらず、
5位内に「印‐しるし-」と「イヌの誕生日」が入っているのが嬉しいです。

とくに「イヌの誕生日」
Hシーンほとんど無しで、でも、ドラマ最終回以降の二人の心が
ますます近づいてきたな~という所が書けたかな♪と思ってたので。

…ただ、このランキング、
ここ数日で「優等生」がおいついてきたようで、
もしかしたら5位にはいってるかも?(笑)



以上、第一回、勝手に自分のブログ内二次小説ランキングでした♪



ちょっとどんな話だったか読みなおしてみるか~の方は

検事プリンセス二次小説INDEXまで♪


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生3」最終話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。



大人ネタを題材にした「優等生」シリーズ最新作です。
この話は時期的に「過去の亡霊」と「海へいこう」の間くらいになります。



(警告)

この話には、大人向けの表現、描写が含まれています。
精神的に自分が「大人」だと思える方のみ読んでください。




優等生3(最終話)





…初めて見るわけじゃないけど…。


ヘリは、衣服を脱いだイヌを最初の方はほとんど直視出来ないでいた。

部屋の灯りは、ベッド横のサイドテーブルの上のスタンドランプだけになっていたが、
それでも、ヘリはそれさえも消してしまいたい思いだった。

…こんなに間近にしっかり見るのは初めてだから…。

コクリと、緊張したように喉を鳴らすヘリにイヌが苦笑していた。


…何だか喰いつかれそうだ。


「僕はこの後、どうしたらいいんだ?…このまま中腰で座っていた方がいいのか?それとも寝た方がいいのか?」

「…あなたはどっちがいいの?あなたの好きな体勢でいいわよ」

ヘリが上目づかいになってイヌを見た。

「じゃあ、横にならせてもらうよ」

イヌがそう言って、ゴロリと体を横たえると、枕を背もたれに少し上半身を傾けてベッドに横になった。


「・・・・・・」

ヘリがおずおずと、イヌの下半身の方に体を移動させて、ソッと身をかがめた。

「あ、あの…イヌ」

「なに?」

「さ、触っていいかしら?」

「いいよ」

ガチガチに緊張して固くなっているヘリにイヌが笑いを噛みしめながら言った。

「ただし、あまり乱暴に扱わないで。デリケートだから」

「も、もちろんよ」

ヘリは手で“イヌ”にそっと触れると、さするように撫でた。

イヌは、やわらかで滑らかなヘリの手の感触に、目を細めた。


「イヌ…あの、こうすると、気持ちいい?」

ヘリが聞いた。

「いや…」
イヌが正直に答えた。

ぎこちない手つきで、そして、“腫れもの”を触るかのようなヘリの行為。
まだ、気持ちがいいと言えるものではないけど。

「でも、嬉しいよ」


嬉しい?

イヌの言葉にヘリの方が嬉しそうな顔になった。

「じゃ、じゃあ。こういうのは?」

少し慣れてきたようなヘリは次第に大胆な気分になってきて、顔を伏せた。

そして、チロリと舌を出して舐めると、すぐに眉をひそめて、顔を上げた。

「どうだった?」

面白そうに聞くイヌに、ヘリはしごく真面目に考え込んだような顔を向けた。

「…味がないの」

ヘリの言葉にイヌがさすがに噴き出して、声をあげて笑った。


「一体、何を期待してたんだ?」

「別に期待なんてしてないわ。ただ、想像してたのとは違っていただけよ」

ヘリが恥ずかしそうに目をふせて首をふった。


…もっとこう、なんていうか、あれな部分だから、その…。


「もっと、汚いものだと思ってた?」

イヌの鋭い指摘にヘリは、気まずそうに、でも、素直に頷いた。

「確かに綺麗なものじゃないな」

イヌが、まだ含み笑いを浮かべていた。
そんなイヌに、ヘリはますます恥ずかしくなって、
照れた表情をイヌに見られないように再び顔をふせた。


様子を見るように、チロチロと舌を出していたヘリだったが、
やがて、ゆっくりと輪郭に沿うように唇を這わせていった。

「・・・・・・」

そんなヘリのなすがままになりながらも、微笑ましげに見守っていたイヌだったが、
頬に汗を滴らせて、真剣な眼差しで一生懸命になっているヘリの美しい顔に、
次第に、胸が熱くなっていく気がしていた。

少しずつ体も反応してきていたようだったが、
それよりも、ヘリが自分にしてくれている事がイヌの心を強く揺さぶっていた。

そんなイヌに追い打ちをかけるようにヘリが言った。

「イヌ…これはどう?…ね。…して欲しい事があったら言って。
私、頑張ってみるから」


…ヘリ。

自然と口元を綻ばせてイヌが頷いた。


「ああ…それ、いいな」

「ほんと?これ?」

ヘリは、舌を這わせることに無我夢中で、イヌの表情を見る余裕が無いようだった。


…汚いとか思っちゃったけど、いつもイヌだって私のをしてくれてたのよね。
不思議ね。そう思ったら、こういう事も全然嫌じゃないわ。

イヌが自分の行為に感じて喜んでくれる。

そう思ったら、何でも出来そうな気持ちになったヘリだった。

やがてヘリは、少しためらった後、口を開けて、大胆に含んでみた。

「ヘリ」

とっさに呼んだイヌだったが、いきなり格段に大きくなった快感に目を細めていた。

「んん…っ」

指をそえて、口内に含んだものに舌を這わせるヘリ。

ヘリの口内の、やわらかく、熱い粘膜に包まれた感触に、
イヌは、思わず微かな吐息をもらした。


イヌは自嘲した。

…初めてなのに、ここまで翻弄されるとは。これでイってしまったら、
ヘリに二度と頭が上がらなくなるな。それだけは避けたいが。

イヌがそう思った時、ヘリがゴホっと派手にむせて、顔をあげた。


コホコホと苦しそうに咳をするヘリに、イヌが体を起こした。

「大丈夫か?ヘリ」

「コホ…ん、…。ちょっとむせただけ。いきなり大きくなるんだもの」

むせ返りながらも、困惑しきったなさけない顔で言うヘリにイヌが笑った。

「それは悪かったな」

イヌはヘリの背中を優しく手でさすると言った。

「もういいよ。今日は。無理するな」

「無理してないわ。少しびっくりしただけよ。まだ出来るわ」

ムキになったようなヘリに微笑むと、イヌはヘリの体を手で引き寄せた。


「…また今度してくれ。ヘリ。ありがとう。…気持ち良かったよ」

「ほんと?良かった?」

「ああ」

「上手だった?私?」

無邪気にはしゃいだように聞くヘリにイヌがフッと笑った。

…まったく、可愛いな、君は。

「初めてとは思えないよ」

イヌらしからぬ、過大評価だったが、ヘリは逆に嬉しくなさそうな顔になった。

「やだ。私、ほんとに初めてだったのよ?」

「誰も疑ってない」

「そう?ならいいけど」


初めての大仕事を成功したかのように、すっかり得意気分になっているヘリの体を
イヌがゆっくりとベッドに横たえた。

そして、その上に身を屈めて、ヘリを閉じ込めるような形で見つめるイヌ。

「浮かれてないで。まだ最後まで終わってないぞ」

「ええ、分かってるわよ」


…本番はこれからだ。

イヌがフッと笑って、ヘリの体に身を伏せた。

「ね、でも、“今”ので代行の追加料金分になる?」

イヌの体の下でいたずらっぽく聞くヘリにイヌが顔を綻ばせた。

「ああ、だが、今度はもらいすぎだ。だから、“お釣り”を返してやるよ」

そう言って、イヌはヘリの体に自身を埋めた。

「あっ…ん」

ギュッとイヌの体にしがみつくように、肩口まで手をまわしていたヘリは、
衝撃に耐えるように、ビクリっと背中を逸らした。

その体を逃がすまいとするようにイヌが強い力でヘリを腕の中に閉じ込めていた。

イヌはヘリの片足をもちあげ、曲げさせると、角度を鋭くして体を突き上げ始めた。

「っ!…やだ。…いきなり、強くしないで」


すぐに、イヌのペースに引きずりこまれたヘリは、きつく目を閉じると、
下腹部の内側を激しくかき乱すようなイヌの動きに抵抗するように嫌々をした。


「課外授業を真面目に聞いてきた優等生へのご褒美だ」

ふざけた言葉で、でも、すっかり行為に没頭している男の顔でイヌが言った。


…こんなのご褒美じゃない。

ヘリは、心の中でそう強く反論していたが、口から出るのは甘い喘ぎ声だけだった。


やがて、イヌに貪られるように、体を抱かれ続けたヘリは、
先ほどの愛撫の時とはまた違う、大きな感覚の快楽の放流にのみこまれ、
ビクビクと体を震えさせた。
そして、波がひくと、クッタリと脱力した肢体をイヌの腕の中で伸ばして、
切れ切れの荒い吐息を落ちつかせようとしていた。


…結局。

ヘリは茫然としながらも、少し意識と理性の戻った頭で思っていた。

…量と時間と質と満足度の関係ってなんだったのかしら?

「ヘリ」
そんなヘリにイヌが声をかけた。

「…うつぶせになって」

「え…?」

言いながら、イヌの手で体勢を変えられたヘリは、なすがままになりながらも
キョトンとした目を後ろのイヌに向けていた。

「なにするの?」

イヌは黙って微笑むと、答えを体で示した。

ヘリがあせったように体をねじって一瞬逃げようとした。

「あっ…っ…いたっ」

ヘリにとって初めての体位だった。
逃げ腰のヘリの体をイヌが力強く固定させ、後ろから体を押しつけていた。

「~~~~~っくぅっ」

鈍痛をともなった、ひきつれる感覚に、ヘリは涙目になって耐えるようにうつむき。
両手でベッドのシーツを握りしめた。

もちろん、初めて抱かれた時のような激しい痛みでは無いものの、
ヘリは、慣れない体位の痛みに顔をしかめていた。


…こういう抱かれ方は好きじゃないわ。なんだか乱暴に扱われている感じ。

もちろん、イヌがヘリの体を激しくとも優しく扱っていることは分かっているヘリだった。
それでも、体の密着度があまり無いこの体位の良さがヘリには分からなかった。

ヘリはふと後ろのイヌが気になった。

…イヌはこれ好きなのかしら?


「…きついか?」

ただ、こらえる呻き声のような吐息を洩らしているヘリを気遣うようにイヌが聞いた。

「ええ…少し…イヌ」

「ん?」

「これ、好きなの?」
…気持ちいい?

そう訪ねるヘリにイヌが微かに笑った気配がした。

「ああ、いいな」

そう答えたイヌがヘリの背中に乗るように体を傾けて、ヘリの耳元に唇を寄せた。


「すごくいい。ヘリ」

熱い吐息混じりのイヌの声に、ヘリの体全体が熱せられたように疼いた。


あいかわらず、感じすぎて痛みに近い快楽の行為だったが、
イヌが心底満足しているような声にヘリは嬉しくなっていた。

…イヌが気持ちいいなら我慢できる。

そう思って、イヌに体を捧げるように手をつっぱねたヘリに、イヌが抱く力を強めた。


そうして、やがて、

「…このまま……っていいか?」という
イヌの問いかけにヘリがコクリと頷いていた。


ヘリは覚悟を決めたように両手を開いて、体の力を抜くと、
昂ぶった快楽で荒々しく歓喜するイヌの体をその中で優しく受け止めていた。


事が終わって、
ヘリとイヌは汗だくになった上半身をクッションと枕にあずけて、
しばらくは黙ったままベッドの縁に寄り添うように横たわり、息を整えていた。

そして、


「…お釣りもご褒美ももらいすぎ」とポツリと呟くように口を開いたヘリにイヌが笑った。

「結局、君の課題は解けたのか?」

『放課後の課外授業』の。


「んー…」

イヌの問いにヘリが考え込むようにゴロリとベッドにあおむけになった。


量と質と時間と満足度の関係と…、奉仕するっていうこと。

「なんとなく分かったわ」

ヘリが言った。

自分だけでなくて、相手にも気持ちよくなってもらうこと。
それを思いながらする事によって、自分の心も気持ちよくなっていく。

それには、量も質も時間も関係ないみたいに思えた。


…何より、愛してるから…。


ヘリはイヌの方に向き直って、イヌを見つめて、ニッコリと微笑んだ。


「でも、答えを出すのは、もっと後にするわ。これのレポート提出期限はいつかしら?」

おどけたように聞くヘリに
イヌが「それは君が決めろ」と答えて笑った。


…いつか。

イヌが思った。

…いつか僕が君に翻弄される。そんな日がすぐにでも来そうだな。ヘリ。
でも、その時がきても『優等生』が図にのらないように、“躾て”おかないと…。


そんな不遜な事をイヌが考えているとも知らずに、
ヘリは大あくびをして、大仕事を完遂した達成感で、満足げに伸びをしていた。

「今日1日で結構、課題をクリアしたでしょ?もう優等生も卒業かしら?」

そう調子にのったようなヘリの言葉に、イヌがニヤリと笑った。

そして、

「君の知らない事はまだ山ほどある。…覚悟しておけ」

…と、意味ありげに答えた言葉に、

「それって“危ない”事?」と、ヘリがとたんにひきつった表情になった。


その顔が、あまりにも可愛くて、あまりにも愛おして…。


イヌは、ヘリに顔を寄せると、
その唇に、ゆっくりと味わうような深いキスを落としていった。



翌日、

ヘリの携帯電話に一緒に飲んだ友人達から一斉にメールが着信していた。

どの友人達からもほぼ同じような内容だった。

“先日は、楽しかったわ。また飲もうね。
追伸:今度の飲み会には彼氏も連れて来ていいわよ。いろいろお話を聞きたいわ♪”


…次の飲み会の日取りが決まったら、イヌにはその日どこかに出張に行ってもらおう。

メールを読んで溜息をついて…

そう、密かに心に決めたヘリだった。



(「優等生3」終わり)



どうでしたでしょう?「優等生3」

えーっと、アレ(笑)のこと。
「秘密の観賞会」「素朴な疑問」「印」等でヘリしてます。
でも、この「優等生3」の話は「海へいこう」の前なので、初アレです。
…「優等生1」「優等生2」より「優等生3」を先に経験することも…。
もちろん、そのへんは個人差で(汗)


次は「優等生SP(スペシャル)」ですが(スペシャルって…)
シリーズの最新作になる「埋もれた約束」の後に更新予定です。

シリーズ話、もう3カ月ほど停滞してますね…その間、短編や中編は書いてるのですが。

「ゲレンデへいこう」…は冬シーズン中更新はあきらめました(涙)すみません。
「埋もれた約束」とその次の長編(これもシリアス)書いて、時間軸通りになったら、更新出来るかもしれません。…シリーズ話は今まだ10月頃ですね…。

明日、明後日はまた予約更新になります。

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検事プリンセスイラストINDEX更新しました。

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「優等生3」3話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
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大人ネタを題材にした「優等生」シリーズ最新作です。
この話は時期的に「過去の亡霊」と「海へいこう」の間くらいになります。



(警告)

この話には、大人向けの表現、描写が含まれています。
精神的に自分が「大人」だと思える方のみ読んでください。




優等生3(3話)






「課外授業の実践って何をするのかしら?」


気恥かしさを誤魔化すように、とぼけて聞くヘリに、
イヌが、ニンマリと笑った。

まるで、これからおこる事の予感が楽しくて仕方が無いという笑みだった。

「それは、君が僕に教えてくれ、ヘリ。復習のつもりで」

…一体、『女子会』という課外授業で女性の先輩たちに何を習ってきたのかを。


「…だから、さっき言った量と質と時間と満足度の関係…ようするに、えーっと、量や時間でなくて、質がいいかって所がポイントらしくて…でも、質って何かしら?」

ヘリは、自分で言っておきながら、こんなバカバカしいネタを真剣に話している事が心底おかしくなってきていた。


クスクスと一人笑いを始めたヘリに、イヌもつられたように微笑んでいた。
そして、ヘリの体に身を屈めると、ヘリの衣服に手をかけた。

「ねえ、イヌ。話させておいて、聞いてるの?」

あわてて抗議するように言ったヘリにイヌが「聞いているから続けて」と、手の動きを止めずに言った。


「聴講と実技が一度に出来るのね。熟練された先生は」

嫌味っぽくすねたようなヘリの言葉にイヌは冷笑だけで応えると、
ヘリの露わになった上半身の肌に唇を這わせ始めた。

「…で?その話を聞いた君はどう思ったんだ?」

「ふっ・・・・っ…ど、どうって?」


自分の肌をすべる柔らかいイヌの唇の感触に、ヘリの背筋がぞくぞくと震えていた。

さらに、そこから体全体に疼くような熱が伝わって、思考する事が億劫になってきていたヘリだった。

「ヘリにとって、満足するのは何だ、と聞いている」

「私…?私にとって、満足することって…」


…んー…何かしら?
イヌとこういう風になって、満足しなかった事ってあったかしら?
それより、もう十分って思うのに過剰過ぎるくらいな事はあったけど…。

真面目に考え込んだヘリの顔にイヌが苦笑すると次の行動に移った。

「あっ!…」


イヌに、胸の頂きを口に含まれたヘリは、
むき出しの敏感な部分を刺激されて、短く叫ぶとビクリっと体を震わせていた。

「…い、イヌ!もうっ考えている最中なのにっ」

上気した顔で睨むヘリの視線も言葉もイヌにはどこ吹く風のようだった。

「そういうことって頭で考えることか?ヘリ」

「・・・・・・」

「さっきも言ったけど、人の話をうのみにする前に自分が経験してから答えは出すものじゃないのか?」


…うーん。言われてみればイヌの言う通りだわ。…でも、これも、何だかイヌの話術にはまっている気がするけど…。


「じゃあ、分かったわ。私が満足すれば、それは質がいいって事よね?」


ヘリの問いにイヌは黙ったまま薄く笑うと、ただ行為を続けていた。

…満足させてやるよ。可愛い優等生のお姫様。


イヌは横たわったヘリの背中に手を差し込むと、ヘリの体を斜めに引き起こして、
ベッドの上でお姫様抱っこのように腕で支えた。

…何するの?

揺れる瞳だけで問いかけるヘリにイヌが柔らかく微笑んだ。
そして、自分の指に舌を這わせた後、その指をヘリの下肢に落し、ショーツの中に差し入れた。


「っ…っく」

いきなり与えられた鋭い刺激にヘリがイヌの腕の中で足掻いた。


「…もうヘリの体は準備が出来ているみたいだな。
飲み会で刺激的な話を聞いて、興奮していたのか?」


あざけるように、でも低めの甘いイヌの声色に、ヘリの耳元が赤く染まった。

「してないわよ」

「こんなになっているのに?」

イヌがヘリにわざと音を聞かせるように下腹部を責める指の動きを加速させた。

その刺激的な音がヘリの耳に響いて、ヘリの羞恥心を増大させていた。


「やだ…イヌ。やめて。…そんな事言わないで」


恥辱と、高まる快感で、ヘリは涙ぐみながら震える声でイヌに抗議した。

「ああ、そうそう」

そんなヘリを目を細めて満足げに見降ろしていたイヌが、手の動きは止めずに言った。

「先ほどソ・イヌ代行をご利用になられた“お客様”」

言いながら、ヘリの唇の輪郭を弄ぶように舌でなぞっていくイヌ。

「夜間運転の追加料金はまだ頂いていませんが?」

「~~~~~っ」


いつものように完全にイヌのペースに巻き込まれたヘリは、
あきらめたように脱力して、イヌの腕の中で愛撫に身を任せていた。


そして、イヌの食い入るような視線を浴びながら、

やがて、


「ぁ…っはぁっ―――ああっ」

抑えきれない快感の波を迎えて、イヌの腕の中で悲鳴のような嬌声を上げて体をのけ反らせた。


自分を支配した逆らう事の出来ない濃く甘い感覚の余韻にひたりながら、
ヘリは鼓動が落ち着くまで短く荒い息を吐いていた。

潤んだヘリの瞳から一筋の涙が頬をつたった。
イヌはそのヘリの涙を唇ですくうと、舌で舐めとった。


「…良かった?」

イヌの問いかけにヘリは、朦朧とした意識の中、無意識にコクリと頷いていた。

イヌが、満足そうに微笑んだ。


ぼんやりとした思考の中、ヘリはそんなイヌの表情に、

…こういう時のイヌっていつも無邪気な顔してる。
私がこうなる事、嬉しくてしょうがないってみたいに。

と思っていた。

ヘリは、ふと、そこまで思ったあと、先ほどの“女子会”の会話も思い出していた。


…そういえば…『サービス』とか『奉仕』ってこういう事を言うのよね。
思い出してみたら、私、イヌにしてもらってばかりで、自分からイヌにしたことってあったかしら?


今までの人生で、男性経験が無く、イヌとが初めてだったヘリは、
なんとなくの知識はあっても、積極的に行動に移す事が出来ないでいた。

…イヌも、本当は私に“して”欲しいんじゃないかしら?

ヘリはソッと目線をさげた。

そんなヘリの様子に気づかないまま、イヌは、ヘリの体をベッドに横たえると、
愛撫の続きをはじめた。

ヘリの首筋に唇を這わして、体をさすりあげるようにまさぐった後、
イヌは、自分の衣服を脱ぎ棄てていった。

そして、ズボンのベルトをはずそうとしているイヌを見たヘリは、
とっさに上半身を起こしていた。


「…へり?」


不思議そうなイヌの呼びかけにも答えずにヘリは、ただイヌの下半身を凝視していた。

「どうした?ヘリ」

再度聞くイヌの顔を直視できずに、ヘリはコクリと喉を鳴らしていた。


「…その…あの…」

しどろもどろになっているヘリにイヌがますます訝しげに首をかしげていた。


…しっかりしなさい。マ・ヘリ。

ヘリは自分を心の中で励ますように勇気を奮い起していた。

…私のいいところは、何でも体当たりで物事にあたる所でしょ。
こんなことでウジウジしているなんて、私らしくないんだから。


「脱ぐの手伝うわ」

「え…」

ヘリの言葉に、さすがに目を見開いて、固まったイヌだったが、
すぐに訳を悟って、解凍されたように目を細めた。


「…これも『課外授業』で吹き込まれてきたのか?」

イヌの言葉。
確かに “教えてもらう”というより、“ふきこまれた”と言っても過言では無かった。
それでも、

「これは、私が考えて決めたことよ」

ヘリがきっぱりと言った。


こういう関係になってから、いつもしてもらってばかりだった。
気持ちよくなる事も知って、無我夢中で事を重ねてきて、イヌから教えてもらった事も多いけど…私から何かしてあげたいって、どこかでずっと思っていた。

…イヌにも、もっと楽しんでもらって、気持ち良くなって欲しいって。

だから。

「…イヌにしてあげたいの」


恥ずかしさで消え入りそうになっていたヘリの言葉だったが、
静かな夜の部屋の中で、イヌの耳にははっきり届いていた。

そして、心の中にも。


頬を染めながらも、ヘリの真剣な色をした目を逸らすことなく向けられたイヌは、
少なからずある衝撃を受けていた。


今すぐヘリを押し倒して、壊れるほど激しく抱いてやりたい。

そんな強い欲望と、

ヘリのやわらかい体で優しく体を包み込まれながら抱きしめられたい、という、

不思議と切なさで胸がときめくような甘い気持ちが同時に心を支配していた。



…マ・ヘリ。

イヌは静かに溜息をもらしていた。


緊張したまま自分を見つめるヘリの純粋な瞳。


「…君はいつも僕の予想の範疇を軽く超える事を言ったり、したりするな」

心の呟きをイヌは、そのまま口の端にのせていた。

「それって…」

ヘリが、首をかしげた。


「どういう意味?」

…感心しているの?それとも呆れているの?

ヘリの心の問いに答えるかのようにイヌが心の中で応えた。

…尊敬してるんだよ。君のそういうところ。


しかし、言葉に発した答えは別だった。


「意欲的な所は評価できるよ。優等生」

「…また、からかってるのね。でも、私本気だから」

…こんなことを言って、ここまで来て、逃げられない。

ヘリは覚悟を決めて挑むような目をイヌに向けていた。


「わかってる」

イヌがそう答えて頷いた。


「いいよ。君に任せる」

…僕を好きにしていい。

やわらかく微笑みながら自分を見降ろすイヌの瞳に、ヘリもつられたようにぎこちなく微笑んだ。


そして、おずおずとイヌの方に手を伸ばすと、
ベルトをはずして、ファスナーを降ろしていった。



(「優等生3終わり 最終話に続く)



じゃあ、イヌB型、ヘリO型ってことで♪

ところで…。

「公園」の件、気づかれてしまいましたか…。
…って、「検事プリンセス」ファンの方なら当然知ってますよね。

私の、カン室長の勘違いについで、大きな勘違いをしてた部分。
16話の深夜公園。…あれ、写真撮影した公園と別ですね。

あの16話の深夜公園の赤い電話BOX、ヘリが12話でイヌの戸籍謄本うけとった場所と一緒だったというのは分かってたのですが、1話からよく、ヘリとイヌが待ち合わせしてた公園。あのベンチでよく二人、待ち合わせしてましたよね。
携帯電話もらったり、コーヒー飲んだり。
季節が違って、木々の感じが違うけど、あのベンチは変わらないのかも。
確かに、戸籍謄本受け取るのに、なんで、わざわざ公園行く?って思ってたのですが、
検察庁横のあの場所だとすれば納得。

イヌがヘリからの誘いをウキウキして(笑)「どこで待ちあわせる?」とか電話で聞いていて、
結局いつもの公園ベンチかいっ!というシーンもありましたよね。

でも、私「100日記念日」で思いっきり間違ってます(汗)

最初、倍速で見てたから(笑)背景とかあまり気にしてなかったのですが、
二次小説書くのに必要だったので、あまり見てなかった前半部分をDVDで見直すようになって気付きました(苦笑)

…それで先日のコメントを見るまで、しらばっくれてたのですが(笑)
その公園、今後の二次小説でも結構大事な場面なので、やっぱり書き直します。
「100日記念日」。公園に関する会話のみなんですけど。
ご指摘ありがとうございました♪

(追記)

韓国ドラマロケ地ガイド2012年、注文してたのが到着♪
さっそく「検事プリンセス」の所チェック!!
二人のラストラブラブデートの公園名判明!!
さらのイヌとヘリが会ってたカフェ等ものってました。
うわ~。買って良かったです。情報ありがとうございました~♪


今週、またパク・シフさん表紙&インタビューの雑誌は発売ですね♪
何気に「検事プリンセス」の事やイヌの話が出るのかも?とつい買ってしまいます。。。

明日の「優等生3」最終話は、やはり「警告」マークつきで。
…だいじょうぶかな?いろいろ…ドキドキ。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「優等生3」2話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。



大人ネタを題材にした「優等生」シリーズ最新作です。
この話は時期的に「過去の亡霊」と「海へいこう」の間くらいになります。



(注意)

この話には、大人向けの会話が含まれています。
精神的に自分が「大人」だと思える方のみ読んでください。




優等生3(2話)





…どうして、イヌが代行で来るの?


驚いてあわてふためくヘリをユナが押しとどめて、イヌの方に歩いていった。

イヌが、ユナに微笑んだ。

「こんばんは、ユナさん」

「こんばんは。ソ弁護士さんお呼び立てしてごめんなさい。
でも、ヘリが飲み過ぎて、具合が悪そうだったから迎えに来て頂いた方がいいと思って」

イヌがチラリとヘリの方を見た。

…酔ってないから!!お酒は飲んだけど。ほら、シラフだから!!

ヘリは、イヌにブンブンと首と手を振って見せた。
そんなヘリを一瞥したイヌはユナの方に視線を戻した。

「ご迷惑をかけたようですね。彼女にはよく言いきかせておきますよ」

「ええ、お願いします」

…ちょっと。ちょっと。なんなの。二人とも。
その、まるで私の保護者と教育者みたいな会話は。

ユナったら、代行呼ぶって言っておいて、私の携帯電話つかってイヌを呼びだしたのね。
むせただけなのに。もう、気をきかせ過ぎよ。

ヘリはフーっと溜息をつきながら、イヌの方に行こうとしたが、
そんなヘリの前に友人達の方が先にイヌの方に歩み寄っていた。


「こんばんは。ヘリがお付き合いされている方ですか?ジニです」

「はじめまして。ヘリの学生時代の友人のミギョンと申します。いつもヘリがお世話になってます」

「ヘスクです。ごめんなさい。私達がヘリさんにお酒をたくさん進めてしまったから。」


先ほど、ギャハハハとアレな話で盛り上がっていた友人達の、豹変した、
しおらしい品のある態度と話し方にヘリは愕然となった。

そんなヘリの友人達に取り囲まれたイヌも、にっこりと優しげで魅力的な笑みを浮かべていた。

「いえ。こちらこそ、ヘリがお世話になっています。ソ・イヌと申します。
ヘリも皆さんと一緒で楽しすぎてハメを外したのでしょう。また是非誘ってあげて下さい」


…一体なに?これから、みんなで外面選手権でも始めるつもりなの?


ヘリは頬を膨らませながら、イヌの隣に並んだ。

「…車はどうしたの?」

「ここまでタクシーで来た。君の車は?」

「1ブロック先の駐車場に停めてあるわ」

「じゃあ、行こうか…一人で歩けそうだな」

ヘリが気まずそうに頷いた。


店を出たヘリとイヌの後ろに、友人達が見送りに立っていた。

「私達はタクシーで帰るから」

「またね。ヘリ。彼氏と仲良くね~」

ヘリは手を友人達に振り返した後、
ひやかしのような声を背に、イヌと並んで駐車場まで歩いた。

ヘリとイヌの姿が暗闇に溶けていくまで見送ったユナやヘリの友人達は、
店の前でニヤニヤと顔を見合わせていた。

「すっごくいい男じゃない。やるわね。ヘリ」

「でしょ?」

「やっぱり、もっとお話して同僚を紹介してもらうんだった~」というミギョンに、

「そうよね~。あんな人が言い寄ってきたら、私、旦那との事考え直すかも~」と
きわどい事を言うヘスク。

さらに、
「私も~。あんな彼だったら、一生懸命奉仕するかも~」と声高に答えたジニに
周囲が「いうわね~」とどっと沸いていた。


…そんな会話が後ろで繰り広げられているとは知らずに
角を曲がって、店が見えなくなると、ヘリはフーっと深い溜息をついていた。

そして、気まずそうにそれまで一緒に黙って歩いていたイヌの方を見上げた。

「ごめんね。イヌ。こんな事で休日の夜に呼びだしてしまって。来てくれてありがとう」

「構わないよ。どうせ暇だったから。それに、友人が君の為に気をきかせて僕を呼んだんだろう?」


…『私の為』に呼んだのかどうか分からないけど。

ヘリは、興味津津でイヌを見つめる友人達の顔を思い出していた。
まさか、あの場で友人達にイヌを紹介する事になると思ってもみなかった。

それに…。

ヘリは、はたと何かに気づいて、思わず足を止めた。

「ヘリ?」イヌが訝しげに名前を呼んだ。

…私ったら…。

ヘリは口元を手で押さえて、青ざめた。

…あの飲み会の席でアレな話をしている友人達に、
『私の彼もよくしてもらいたがるもの』と適当発言をしたけど…。
その“私の彼”を友人達にバッチリ見られたって事よね?



…きゃあーーーっ

心の悲鳴を必死で飲み込もうとしたヘリを、イヌが心配そうに覗き込んだ。

「吐きそうなのか?どこかで休もう。顔色も悪いぞ」

「ち、違うの。全然違うの。ほんとに酔ってないのよ。…さっき食べた唐揚げのせいだと思うわ。ほら滅多に食べないから、胃がうけつけなかったみたいなの」

饒舌で、取り繕うように早口になっているヘリに、イヌが不思議そうな顔をした。

「家まで時間はかからないが、もし車の中で気持ち悪くなったらすぐ言うんだぞ」

「ええ」

ヘリは、イヌに車のキーを渡すとあたふたと助手席に乗り込んだ。

そして、イヌの運転する自分の車でマンションまで帰った。

「ありがと。イヌ」

車から降りて、駐車場からエントランスに向かいながらヘリがもう一度お礼を言った。

「どういたしまして」

「あの…」ヘリがエレベーターの前で戸惑いぎみに口を開いた。

「…私の部屋に寄って行かない?お礼にお茶でもご馳走したいのだけど」

「いいよ」
イヌが、口元を綻ばせて面白そうにヘリを見つめた。

「しかし、君の誘い方はいつも同じだな」

「え?」

「お茶を飲まないかって」
…もっと的確な言葉で要望を伝えたらどうだ?

ニヤニヤとするイヌの表情にヘリが、気恥かしそうに頬を膨らませて
目線を逸らした。

「あなただって、よく酒で私を釣るじゃない」
…うちで一緒にワインでも飲まないかって。

「釣って欲しそうな顔をするからだ」

「私がいつ釣って欲しそうにしたのよ?」

こうして、軽口をたたき合いながら、結局、4階で一緒に降りた二人は、
ヘリの部屋の中に入った。

ヘリは、誘い文句の手前、そそくさとキッチンに行って、冷蔵庫を開けると、
冷えたルイボスティーを出してグラスに注ぐとリビングのローテーブルの上に置いた。

「代行お疲れ様でした。はい。お礼のお茶よ」

「これに夜間運転の追加料金は含まれてる?」

「おかわりは自由よ。いっぱい飲んでちょうだい」

イヌの意味ありげな、からかいにもヘリはそっけなく答えた。

「私、シャワーを浴びてくるわ。あなたはゆっくりお茶を飲んで寛いでいてちょうだい。
テレビも雑誌も本も勝手に見ていいから」

「わかった。安心しろ。君がバスルームから出るまで、こっそり出て行かないから」

「そんなこと心配してないわよ。もうっ」

ヘリは、バタバタとクローゼットから着替えを出すと足早にバスルームに入って行った。

居酒屋で匂いのついた髪の毛や肌を丁寧に洗ったヘリは、バスルームからでて
リビングを覗き込んだ。

イヌがソファに座ってインテリア雑誌を眺めながら、ルイボスティーに口をつけていた。

イヌはゆったりとした夜着に着替えたヘリに目を向けて、静かに微笑んだ。
その自分を見つめるイヌの瞳に、ヘリは胸の鼓動がドキンと音をたてたような気がした。

…もう。…さっきあんなアレな話ばっかり聞いたせいだわ。

ヘリは、平常心を無くしかけている自分を叱咤しながら
何気ないふりでイヌに声をかけた。


「イヌ、シャワーは?」

「さっき部屋で浴びた」

「…でも、私を迎えに来るのに、居酒屋の匂いがついちゃったでしょ?
汗もかいたと思うから、うちのバスルームを使っていいわよ」

「そうか?店に入って飲んだわけじゃないから…」

…そんなに店の移り香がにおうのか?

不思議そうに、くんくんと自分の肩口のシャツの匂いをかぐイヌに、
ヘリがさっさとクローゼットから出したイヌの着替えの服一式を渡した。

「遠慮しないで、さっぱりしてきて」

「じゃあ、バスルームをおかりするよ。」

そう答えて、バスルームへ向かうイヌの後ろ姿を見ながら、ヘリはホッと息をついていた。

そして、イヌがバスルームに入っている間、ヘリはソワソワしながら、
ルイボスティーを飲んだり、見てもいない雑誌をペラペラめくっていたりした。

やがて、

「さっぱりしたよ。ありがとう」

そう言って、シャワーを浴び終えたイヌがヘリのいるリビングのソファに戻って来た。

「そう。良かったわ…それじゃあ、もう寝ましょうか」

「え?」

飲み残しのルイボスティ―を飲んでいたイヌは、そそくさとベッドの方に向かうヘリにキョトンとした目を向けていた。


「ヘリ。やっぱり具合でも悪いのか?」

「違うわよ。ただ、ほらお酒を飲んできたから、少し眠いかな~って」

「ゆっくり眠りたいなら、僕は部屋に帰るけど」

そう言ったイヌにヘリがあわてて行く手を塞ぐように立ちふさがった。

「いいの。帰らなくていいから。…帰らないでよ」

「…どうした?今夜はやけに積極的だな」

イヌがヘリの挙動不審の姿に苦笑しながら顔を覗き込んだ。

自分の頬を指でかきながら、ヘリは、気恥かしそうにイヌから少し目線を逸らしていた。


「変なものでも食べたか?唐揚げ以外で。それとも刺激的な物でも口にした?」

「…刺激的な物は口にはしてないけど、耳にはしたわ」

尋問のようなイヌの言葉に、ヘリが観念したように溜息をついて答えた。

…話してみろ。

という面白そうに、自分の話を促すイヌの瞳にヘリがもう1度溜息をつくと、
イヌと隣り合って、ベッドに腰かけた。


「…さっき、友人達との飲み会の時にいろいろな話を聞いたのよ」

「たとえば?」

「…たとえば…結婚すると、恋人の時みたいにいかない、とか。
子供が出来ると自分の時間がなくなるから、もっと遊んでおいたほうがいいとか。
遠距離恋愛は厳しいとか。…アレの話とか…」


「アレって…あれか?」

「そう…あれ」

ヘリがうつむいてベッドのシーツをもじもじと指で伸ばしながら頷いた。

イヌはヘリの話にどこか呆れたような笑みを浮かべていた。


…酒の入った年頃の女性達の話っていうのも…。


「それで君は、その『放課後の課外授業』で他にどんな話を聞いてきたんだ?」

「んー…。“量と質と時間と満足度”の関係とか」

…アレの量と質と時間。

指を3本開きながら説明するヘリの話にイヌが失笑した。

「一体、なんの定理だ」
…すぐに分かるが。

どうもこの『優等生』に先輩たちが何かふきこんだようだな。

イヌの推測はあたっていた。
目をきょときょとさせながら、そんな話を聞いていたヘリが容易に想像出来た。

「まったく呆れるほど根は真面目気質だな。君は」

笑いを含んだ溜息混じりのイヌの言葉に、

…絶対この“真面目”という言葉は褒めて言ってない、嫌みも入っている。という事は分かったヘリがジトリとした目でイヌを見つめた。


「聞いた話を丸暗記するな。こういうのにも定義は無いだろ。
それに多数意見や一般論が必ずしも自分にあてはまるわけじゃないだろう?」

「そうよね」ヘリがイヌの言葉にとっさにコクリと頷いた。

「ほら、それ。すぐに人の言う事に素直に頷くな。まず自分で経験してから答えを出せ」

「え、ええ」

また、コクリと頷きかけたヘリがあわてて首を横に振ると、イヌが噴き出した。


…相変わらず素直だな。君は。


「…今、相変わらず単純だな、君はって思ったでしょ?」

ヘリのふくれっ面にイヌが「お」とわざとらしくおどけたように目を見開いた。

「君もとうとう超能力が身についたのか?」

「そうよ。いいかげん、意地悪男の思考を読み取ることくらい出来るようになったんだから」

「へえ」

イヌが面白そうな顔をしてヘリに顔を寄せた。

「じゃあ、今僕が何を考えているか分かるか?」

「分かるわよ」ヘリが苦笑した。

「アレを一緒にしないか?でしょ?」


イヌが薄く笑った。

そして、トンっとヘリの肩を押すと、ヘリの上半身をベッドに倒し、
その上に屈みこんだ。

部屋の灯りを背にした影の中でイヌの熱を帯びた瞳の煌めきが、
呪縛のようにヘリをからみとって、動けなくしていた。


イヌが言った。

「課外授業で聞いてきた事が正しいかどうか、実践してみようか。優等生」



(「優等生3」2終わり、3に続く)



パク・シフさん、「逆転の女王」「検事プリンセス」でファンになった方が多いと雑誌にも書いてありましたが、「王女の男」でさらにファンが増えそうですよね。
なぜか、全部、プリンセスやクイーンの男(笑)
でも、相手役の女性達もそんな王子(シフさん)に守られるだけの女性じゃなくて、強くて美しいって所も物語にはまる部分かもしれません。

雑誌(Dispatch JAPAN)の記事、パク・シフさんへ100の質問というインタビューで
(雑誌を教えてくれた方ありがとうございます!!見ました~というか、買いました)。

ヨンシクとイヌどっちが自分に近い?という質問。

イヌだそうです♪似ている部分が多いそう。
ということは、イヌの事を四六時中考えている私はシフさんの事を考えているのと一緒?(笑)最近はリアルイヌ…じゃなくてパク・シフさんの情報から二次小説のイヌを妄想することもあります。

↑この雑誌。インタビューの他に、夜の街をおしのびで歩く(?)パク・シフさんの写真も掲載されてました。帽子かぶって暗いけどシフさんらしいです。
まだ見てないけど…チャン・グンソクさんの袋とじ写真もありましたね。

「韓国ドラマロケ地ガイド2012年」も教えて頂いてありがとうございます。
「検事プリンセス」ロケ地チェックしますよ~。

あと、パク・シフさんの誕生日と近い方のコメントで、ふと思ったのですが、
イヌの血液型は何でしょう?やっぱりシフさんと同じB型かしら?ヘリは0型っぽいのですが、どうでしょう?

ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます。
いつも書いて下さる方も初めての方も、嬉しいです♪

このブログを楽しみにしているというコメントや励みになっているというコメント。
いつも、ありがとうございます。私もそんなコメントに支えられて、ブログを続ける事が出来ています。
本当にありがとうございます。


それで、次回更新の「優等生3」3話なのですが、
予想通り(?)警告マークがつきます。
毎度のお願いなのですが、くれぐれもネットと大人のマナーを守って、ご覧下さいね♪
何かあったら制限を設けなくてはいけなくなってしまうかもしれないので。
出来れば、限定というものをつくりたくないので、よろしくお願いします!!


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「優等生3」です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。



大人ネタを題材にした「優等生」シリーズ最新作です。
この話は時期的に「過去の亡霊」と「海へいこう」の間くらいになります。


(注意)

この話には、大人向けの会話が含まれています。
ある意味、本当に自分が「大人」だと思える方のみ読んでください。
…じゃないと意味が分からないかも(汗)




優等生3(1話)





休日のある夜、

久しぶりに服飾学科の学生時代の友人達と会って一緒に飲むことになったヘリは、
繁華街の居酒屋に来ていた。

司法試験に受かってから、そして、検察庁で働くようになってから、ヘリは、親友のユナと会う事はよくあったが、こういう風に女子が集まった場で話す機会がほとんどなかった。

職場でのランチは同じ刑事5部の人達と一緒に行くことが多く、その中に女子はヘリと後輩のキム検事しかいなかった。
キム検事と話す時のノリも友人達と似た感じだったが、周りに男性が多く、職場の上司もいる手前、あまり弾けた話をすることは無かったヘリは、この女子会を楽しみに来ていたのだったが…。


「ねえ、ヘスク、子供は?たしか小さな子供がいたわよね?」

「ええ、今日は、旦那に預けてきたわよ」

「ヘスクは出来ちゃった結婚なのよね」

「そ。学校卒業してすぐに妊娠して、結婚したの。ああ~。もっと遊んでおけば良かった~」

「そうよね~。私も去年結婚したけど、早まっちゃったかな~って思うもの」
ヘリのもう一人の既婚者の友人ジニが言った。

「ヘリとミギョンと…ユナもまだ独身よね?」

「ええ」ヘリと横に座っていたミギョンとユナがうなずいた。

「今のうちにいっぱい遊んでおいた方がいいわよ~。結婚すると何かと制限が多いから」

「そうなの?」

「そうよ。それに子供が出来たら、自分の時間なんてほとんど無いわよ。旦那とデートだって結婚したら新鮮味が無いわ」

「ふーん…」

ヘリとユナとミギョンは配偶者持ちの人生の先輩のような友人達の話に顔を見合わせた。

「ね、ねっ。どうなの?みんなの彼氏ってどんな人?」

…最近会ってなかったから近況を教えてよ。という友人に、先にヘリの横に座っていたミギョンが微妙な顔になって苦笑した。

「私は半年前に別れちゃった。今は募集中」

「ユナとヘリは?」

「私は今の彼と1年半前くらいからつきあってるわ。調理師なの」

ユナが答えた。

「私は…」次にそう言おうとしたヘリの言葉をさえぎって、ユナが身を乗り出した。

「ヘリの彼は弁護士さんよ」

「ええ?弁護士?」

みんなの好奇の目がヘリに注がれた。

「ユナ~」

ヘリの困惑した声を無視してさらにユナが続けた。

「しかも、すっごくいい男なのよ。顔もいいし、仕事も出来るし、おまけにヘリの事いっつも助けてくれる人」

まるで、自分の彼氏自慢のように話すユナにヘリは言葉を発する機会を失って、
黙って照れたように友人達の顔を見渡していた。

「検事に、弁護士のカップルなんて、最強じゃない」

「そんないい男と出会えるなら、私も司法試験受ければ良かった~」

「無理、無理。あなたじゃ無理」

勝手に盛り上がる友人達に気まずそうに愛想笑いを浮かべるとヘリはお酒を口に含んだ。

ヘリは今までつきあった彼氏の事を人におおっぴらに話す事が無かった。

こうして、客観的に自分の彼、つまりソ・イヌの事を話されたり、褒められたりすると、なぜか、落ちつかない気分になっていたヘリだった。

「ヘリ~。彼氏の同僚の弁護士で独身の人がいたら紹介してよ」

ミギョンがうらやましそうに言った。

「ええ?んー…。私、彼の職場の人達の事はほとんど知らないのよ」

ヘリが申し訳なさそうに首をすくめた。

「じゃあさ、検事ならいっぱいいるでしょ?知っている男性が。誰か手ごろないい男いない?」

「えーっと…いきなり言われても…」

頭の中で“誰か手ごろな独身男性検事”なんていたかしら?と思い起そうとするヘリだったが、
「いい男」という点で、ヘリの記憶に残っている人はいないようだった。

…男性検事達をそういう風に見たことなかったから。
…イ先輩も独身だったかしら?でも……ミギョンに紹介するには…。


「やめといた方がいいわよ。ミギョン」ジニがヘリに助け舟を出すように口を出した。

「あなたじゃ会話も出来ないって。それに検事は転勤が多いっていうじゃない。
あなた遠距離恋愛は無理でしょ?」

「そうね。前の彼ともそれで別れちゃったから。
ヘリもユナも遠距離恋愛は厳しいからやめた方がいいわよ」

あきらめたらしいミギョンにヘリはホッと息をついた。

そんな事を話しつつ、
女子会が進むと同時に酒もすすんできた気のおけない友人達の集まりで、“女子”達の言動が次第に過激にエスカレートしていった。


「だから~…結婚する前と全然違うわけよ。旦那が」

「分かる分かる。もう、恋とか愛とかじゃないよね?うちも家事をしてくれる家政婦さんとか、子供の面倒をみる母親みたいな目になっていて、女として見てないって感じ」

「ねえ、そっちは週何回くらいしてる?」

「やだ~。何の話よ?…でも、週どころか月2くらいよ」

「うちなんて1回あるかどうかよ」

「・・・・・・・」

結婚している“女子”達のきわどい会話に、ヘリは、目をキョロキョロさせながら、グラスの酒を飲んでいるふりをしていた。

未婚の友人達は、この話にはのらないだろうな、と思っていたヘリだったが、
ユナもミギョンも積極的に会話に参加していた。

「回数じゃないでしょう?満足するかは、量より時間より質だと思うわ」

「あはは。質って何?ユナ。今彼氏がいないから、どんなだったか忘れちゃったわ」

「でも、言えてる~」

ハハハと愛想笑いを口に浮かべたまま、黙って、爆弾酒を作っていたヘリに、
とうとう友人から白羽の矢がとんできた。

「で、ヘリはどうなのよ?」

「え…」

「そのイケメン弁護士の彼とどんな風にしてるの?」

「どんな風って、何が?」

「とぼけちゃって。アレよ。アレ」

「アレって?」

「大きな声で言わせないでよ。ヘリ」

…十分、みんな大きな声で凄いこと話しているけど。

個室といえども、酒がはいって声高に、外に漏れると恥ずかしい事を話している事に
友人達は気づいていないようだった。
ヘリは、酒にかなり強い事もあり、シラフのままで、さらにあけっぴろげすぎる会話についていけず、おいてきぼり感を味わっていた。


「頭脳派の職業の人って、意外とアッチは結構激しくて、それに、危ない事も取りいれるって聞いた事あるんだけど、ほんと?」

…ほんと?って、誰に聞いてるの?私?

「し、知らないわ」

ヘリはあわてて首を横にふった。

…そんな話職場で聞いたこともないし(聞けないし)
他人と比較したことないから、どこからが激しいのかも分からないし(でも、激しいかもしれない)
それに、イヌとそんな危ないプレイはしたことないわ。…今のところは。

「ヘリって、こんな外見で、結構奥手そうよね~」

ヘリの答えに、友人達が訳知り顔で溜息をついていた。

「でも、そのイケメン弁護士彼氏にいろいろ教えてもらってるんじゃない?」

「そうなの?ヘリ」

「…そういう事にしておいて」

ヘリがやけくそ気味に言った。

「でも、羨ましいわ。ああ、みんなみたいに恋人時代に戻りたい。数も少ないけど、
質なんてもう…。すぐ私にやらせようとするのよ?楽をしたくて」

「ああ、そうよね。そっちがその気ならこっちにもサービスしてよって感じ」


・・・なんの話?

急に内容の変わったような話にヘリがきょとんとなった。

「別にそれ、結婚してるからって関係ないわよ」ユナも言った。

「男にとって楽で気持ちがいいのは分かるけどね」

「結構ハードよね。アレ。奉仕するのも大変」

…アレって?


「ヘリはどうなの?」


…だから、何の話?さっきのアレとは違う話?


完全に話についていけなくなったヘリに、友人達が注目していた。

「アレって…」

そう言うヘリに「アレ、分からないの?」と友人達が訝しげな視線を集めた。

「だから、アレ。ほら、する前に男性が女性にする事の反対で、女性が男性にしてあげるやつ」

「・・・・・・」

友人の言葉に、いいかげん何のことか薄々理解したヘリは、
あたふたとなって手にもっていたビールを勢いよくグラスの中に注いだ。

「そっか。アレね。あはは」

…わかってる?とジットリとした目を友人達から向けられたヘリは、
首筋を手でかきながら、グラスのビールを飲みほした。

「好きよね~。男の人って。私の彼もよくしてもらいたがるもの」

…まだ、やったことないけど。

心の中でつぶやきながらも、そして、実際、イヌから、それを求められたこともないのに、
ヘリは、友人達と話を合わせるための出まかせを口にしていた。

そんなヘリの答えだったが、友人達は満足したように頷いた。

「ヘリは上手そう。それに根が真面目だから、彼氏を喜ばすために一生懸命してそう」

「そうね。そう見える」

うんうん。と賛同するように、頷いて、注目する友人達に、

「そう?アハハハハ」とヘリは、照れ笑いを装った、つくり笑いを浮かべると、
近くにあったつまみの皿に手を伸ばして、普段めったに食べない唐揚げを口にいれた。

緊張したり、何かを誤魔化そうとしてストレスがたまった状態のヘリは、
無意識に食べ物を口に運ぶ癖があった。

そんなヘリを余所に会話はまだ続くようだった。

「かなり、疲れるのよね。アレって」

「長い時間してるとね。噛んじゃいそうにならない?」

ゴホっとヘリがむせ返って、唐揚げを吐きだした。

「ちょっと。大丈夫?ヘリ?」

コホコホと苦しげに息をつくヘリの背中を心配そうに横にいたミギョンとユナがさすった。

「う…気持ち悪…ちょっとトイレに行ってくるわ」

ヘリは、胸をさすりながら席を立つと、化粧室に向かった。

…もう、びっくりしちゃった。
いくらお酒が入っているからって、みんな暴走し過ぎよ。

そんなヘリをユナが追い駆けてきた。

「ねえ。大丈夫?ヘリ。飲みすぎちゃった?」

「ん。平気。唐揚げの油が合わなかったみたい」

「そろそろ飲み会もお開きにしようって話してるんだけど、代行呼んでおく?」

「ありがと。お願いするわ。あ、私の携帯電話を使って。
よく使う代行の電話番号が登録されているから」

ヘリはユナに携帯電話を渡した。

「分かったわ」

ヘリはそのままトイレに向かって、ユナはヘリの携帯電話を持って、
友人達のいる個室に戻った。


「ユナ。ヘリ大丈夫だった?苦しそうだったけど」

「心配ないみたいよ。…ねえ。それより」

ユナが、少し考え込んだ後、企むような笑みを友人達にむけた。

「ヘリの彼氏に会いたくない?」

「ええ?会いたい、会いたい!!ここに来るの?」

浮かれたようにはしゃぐ友人達にユナがヘリの携帯電話を皆の前でちらつかせた。

「呼ぶのよ。これで」

そう、ニンマリと笑って、ワクワクした顔になっている友人達の前で
ユナはヘリの携帯電話を操作した。



やがて、何も知らないヘリがトイレから出て来た。

「ヘリ、代行呼んでおいたから、もうすぐ来ると思うわよ」

そう言ったユナから携帯電話を受け取ったヘリは「ありがと、ユナ」とお礼を言うと、
会費のお金を幹事役の友人に支払った。

「今日は楽しかったわ。また、こういうのやろうね」

アルコールでいい気分になって顔を赤らめた友人達の中で、
一人出遅れてシラフ状態のヘリだったが、久しぶりの友達との飲み会を堪能出来たようだった。

「ええ、是非」

しばらくして、店の扉が開いた音がした。

部屋から顔を出して店の出入り口の方を見たユナが振り返ってヘリに言った。


「ヘリ、代行の人が来たわよ」

「わかったわ。じゃあ、私はお先に失礼させてもらうわね。みんな、またね」

そう言って、手をふって立ち上がって部屋を出ようとしたヘリだったが、
なぜか友人達全員がヘリの後についてきた。

「見送りなんていいわよ」

振り返ったヘリがそう言って、不思議そうに
なぜか一斉に戸口の方を見ている友人達の視線の先を追った。

目の前にイヌが立っていた。

「イヌ!?」

ヘリと目線のあったイヌが店に入って来た。

そして、ヘリの後ろにたたずむ女性達に軽く会釈したあと、腰に手をあてて言った。


「泥酔して動けないほど気分が良くない、マ・ヘリという女性の代行依頼はこちらでいいのかな?」




(優等生3(1話)終わり2に続く)





「優等生3」スタートです。

構成しながら、やっぱりこれ、お蔵入りしようかな…と何度も思いました。
往生際が悪いですけど、「優等生」シリーズは、毎回公開をためらいます(苦笑)
これよりバージョンアップ(?)してる優等生SPの方を書いている時は結構平気だったのに。。。

1話はイヌがほとんど出てきません。
削っても良いシーンと思いましたが、ヘリってドラマでも女性の友人って名前だけで、
ユナしか出てきてませんでしたよね?
なので、ヘリと女性友達との交友関係も出してみたくて書きました。

ドラマ1話にヘリの独り言に出てきていた友人達を登場させてみましたが、
ユナ以外の電話番号を覚えてないということは、やはり、ユナが一番の友人のようです。

それにしても、あまりにも…な女性達の会話。創作といえどもごめんなさい。
でも、この女子会の会話が創作のくせに自分の中で妙~にリアルに感じてしまうのは、どうしてでしょう?(汗)

実際、私は今月4件女子会の予定が入っているのですが
(今月は多いです。でも、独身時代は週4ペースで飲みにいってました(笑))
ここまでぶっ飛んだ会話はおそらく無いと思います。…似たような話は最近の女子会であったけど…。


パク・シフさんのファンミのチケットの件。
私も発券しました。いい席とは言えない場所でしたが、
ゲット出来て行けるだけ有り難い事、と受け止めてみました。
どの会場でも席でも、めいいっぱい楽しんで来ましょう♪
ほら、イヌ…じゃない、パク・シフさんに会えるんですから!♪

拍手、拍手コメントありがとうございます♪
この二次小説「優等生3」や「埋もれた約束」で見直さなくてはいけない場面があったので、
「検事プリンセス」のDVDを見直してました。

うちも子供が同じアニメを何回も繰り返して見るのですが、
私も毎日、「検事プリンセス」の同じシーンを何回も見てます。
創作とは関係なくても、見てしまいます♪


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先日、ランキング登録している「ブログ村」の登録画像をヘリから、イヌのイラストに変更しました。

私の好きなサングラスイヌ♪…のはずだったのですが、縮小されて容疑者○さんみたいになってます(汗)

関心のある方はブログ村のカテゴリの小説「二次小説」のランキングの中のどこかにいますので見て下さいね♪


それで、勢いに(?)のって描いたイラスト


「イヌのワイシャツを着たヘリ」


↓これ


     検事プリンセス 「イヌのシ




マ・ヘリの画像の体の輪郭をトレースして、漫画イラストに描き直したものです。
二次小説「部屋とワイシャツと僕」の時のヘリのイメージイラスト♪





ところで…。

先日の4コマ漫画「タキシード妄想」なんですけど。
私、とっても大きな勘違いをしてたようで(汗)

パク・シフさんのタキシード姿が「月影の騎士」に見えるって書いてたんですけど、
「タキシード仮面」の間違いでした。。。

「月影の騎士」は「タキシード仮面」の影のような存在の別名で、姿もタキシードじゃなくて、なんか白っぽい衣装だった気がする。
話の途中で、何かで力を失ったタキシード仮面(前世で地球の王子様)が、それでも愛するプリンセスのセーラー○―ンを守りたいという強い思いから「月影の騎士」が出てきたんですよね…。思い出してきました。

ファッションショーの時、もし行ってたらパク・シフさんに「月影の騎士様」って声かけて恥かくところだった。
←違うって(笑)

漫画を全巻持ってたのですが、たび重なる引越しで…。
何だかもう1回読み返したくなってきました(笑)
知っている方がいてくれて嬉しいです♪良かった~。



コスプレといえば…。

今さらばらしますが、
4コマ漫画「ランジェリー観賞会」で、ヘリの持って来たランジェリーは
アニメ「エヴァンゲリ○ン」の綾波○○のコスプレ衣装です(これも分かる方いるかしら?)

それで、真面目な話、
「検事プリンセス」のイヌとヘリなんですけど、前も書いたかもしれませんが、
コスプレをするとしても、「チン検事の結婚式」の時のようなドレスとか、今回のイラストのような服装とか、職業的な制服姿は、イヌにとって有りだと思うのですが、おそらく、セーラー服等やマニアックな物は好みじゃないかもと。
私にとって、こういう所は結構真っ当(?)な男の印象のイヌです(面白くないけど(笑))

対して、ヘリってロマンチストで、結構妄想族系ではないかと。
ほら、ドラマでも、7話で引越しした直後テラスで、ユン検事とのロマンチックな妄想にふけてたし♪(イヌの電話で我に返ってましたが)
なので、マニアックなコスプレもまんざらでもなさそうな気がします♪

でも、イヌも「僕の好みじゃない」とか言いながら、ヘリのコスプレ姿を見たら、結局最後はノリノリになってたりして♪…そんな大人な妄想しました。私も妄想族なもので(笑)



二次小説の話。

「優等生3」は、構成が終わり次第更新予定です。


「家門の栄光」無料視聴を教えて下さった方ありがとうございます。
パク・シフさんファンミまでに見ておきます♪ツンデレタイプも結構好きなので♪


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「埋もれた約束」で少しめげそうになっているみつばに「頑張れ―」の感じで
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恵理(ヘリ)ちゃんと仁優(イヌ)くんシリーズ43です。

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タキシード妄想





   検事p「タキシード」


桂由美さんのファッションショー時のパク・シフさんの
黒のタキシード姿が

「月影の騎士」様に見える~とブログに書いたのですが、
全く反応が無かったので(←いえ、別に全然かまわないのですが)
もしかして、誰も知らない!?(汗)とか思いつつしつこく描いてみました。

漫画・アニメ(実写もあった)美少女戦士セーラー○―ンで出てきた王子様の別名です。
一時期、かなり「月影の騎士」に夢中になっていた私(笑)
…少女漫画だけどラスト、ベッドシーン仄めかした絵もあった衝撃の大人気漫画でした♪

愛称、まもちゃん♪

主人公のピンチにかけつけ、助ける王子様。
「検事プリンセス」のイヌみたい~♪

そして、「検事プリンセス」のヘリも、ロマンチックで昔は王子様が出る漫画や小説を読んでいたイメージがあるので、日本の漫画「セーラー○ーン」も見ていたんじゃないかと♪

世界に、どれだけパク・シフさんファン多しとも、あの画像や動画見て、
リアル「月影の騎士」様だ~♪♪♪と結びつけたのは、私くらいかもしれませんね(汗)

キム・ソヨンさんがセーラー服着て、あのパク・シフさんと並んで欲しい♪…とか妄想しました(笑)


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今回の話は二次小説「ヘリ兎と猟師イヌの物語」
ヘリ兎が人間になってイヌの家に行った後の後日談を漫画に♪





続・ヘリ兎と猟師イヌ




   検事p「続ヘリ兎と猟師イヌ」




ヘリが人間になってイヌの元を訪れてから、~結ばれて、子供が生まれて~の間を
妄想したらこんなネタが浮かびました(笑)

魔女ジェニーの魔法のアフターサービスは万全です♪
人間のような暮らしをしていても、やはり人間界に来たばかりにヘリはきっと分からない事ばかりだったでしょう。
そんなヘリにイヌはきっと、必要なことも、都合のいいことも(笑)教えていたのでは?と。

人間になったヘリに、ずっと純愛(?)だったイヌも、もういろいろ抑える必要が無くなりましたしね。
…こんな妄想をする自分には、ほのぼの童話なんて書けない(苦笑)

…ヘリ兎と猟師イヌ…じつは続編も妄想しちゃったのですが、いずれまた(?)
でも、続編は、たぶん“純愛”だけでなくて、大人向けもは入るかも。
おまけにファンタジー世界のイヌ×ヘリだから、何でもありに書けそう♪♪←何が?


ちなみに…漫画の1コマ目のイヌ。
胸元ちらりで描いてみました♪(パク・シフさんイメージで)
ついでにヘリも(笑)



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」最終話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話はドラマの「検事プリンセス」の設定やキャラクターをベースにした、
完全パロディ小説で、ファンタジー童話調で語られる、兎と猟師の純愛物語です。

思いつきで描いたパロディ4コマ漫画から生まれた、ヘリ兎と猟師イヌのキャラクター。
コメディタッチですが、完結している4コマ漫画の話は、
検事プリンセス漫画INDEX」の中のタイトル「ヘリ兎と猟師イヌ」でご覧下さい。

「ヘリ兎と猟師イヌの物語」他の話は検事プリンセスパラレル小説INDEXで。






ヘリ兎と猟師イヌの物語(最終話)




「人間になるだと?」

サンテはヘリの言葉を不思議と冷静に受け止めていました。

ヘリはコクリとうなずきました。

「魔女ジェニーが何でも願いを1つかなえてくれると言ってたわ。
私は魔女ジェニーに“人間にしてほしい”と願うつもりよ」

「…人間になって、お前は、あの猟師の男の元に行くつもりか?」

質問ではなく、確認のようにサンテがヘリに聞きました。

「ええ」

ヘリがまたコクリとうなずきました。

サンテはジッと娘の顔を見つめました。
ヘリの目は真剣そのもので、そして、固い決意が現れているのが一目で分かりました。

「…とめても、無駄なんだろうな」

サンテが深い溜息をつきました。

「お前は、昔から頑固で、一度こうと決めた事は曲げない娘だから」

怒ったり、悲しんでいるというより、どこか感心したように苦笑するサンテに、ヘリは眉を下げました。

「ごめんなさい。パパ」

…私は、猟師さんに会いたい。
そのために人間にならなくてはいけないのなら…そして、そのチャンスがあるのなら、
私はそれに賭けてみたい。

「人間になったら、たとえお前でも、もう二度とこの森に戻れないことは分かってるのか?」

サンテの問いに、ヘリは頷きました。

「…もう私とも会えないことも?それでもか?」

サンテの言葉にヘリは、泣きそうな顔になりました。

人間になるということは、ヘリにとっては、今までのすべてを捨てるということでした。
外見も、生活も、住みかも、友人も、そして、父親も。それでも…。

「それでも、私、人間になりたいの」
人間になって、猟師イヌに会いに行きたい。

涙を流しながら、そう言うヘリにサンテも涙ぐみました。

辛いことでしたが、娘のヘリの気持ちが痛いほど分かったサンテでした。
そして…猟師イヌの気持ちも。

…今のあの猟師の男の心が、娘と同じものかは分からない。
しかし、娘と森を助けてくれた、あの男の事は信じることが出来る。

「…お前の気持ちはよく分かった。ヘリ。お前の望む通りにしろ」

サンテの言葉に、ヘリが目を見開きました。

「私は、どこにいても、ずっとお前の幸せだけを願っているからな」

「パパ!」

ヘリはサンテと固く抱き合うと、「私もよ」と言って、泣きじゃくりました。

それからヘリは、森の仲間に、自分の決意を話に行きました。

ヘリと親しい友人達は、ヘリの話に強いショックを受けたようでした。
しかし、ここ最近見なかったヘリの晴れ晴れとした明るい表情に、
ヘリの前途を祝して、激励の言葉を贈りました。

1週間がたち、
魔女ジェニーが約束通り、ヘリの家にやってきました。

「願い事は決まったかしら?」

そう聞くジェニーにヘリは頷いて言いました。

「私を人間にしてください」

ジェニーは、ヘリの横に座ったサンテをチラリと見ました。
サンテは、固い表情でしたが、ヘリと同様に決意した面持ちでした。

「分かったわ」
ジェニーは、ヘリがそう答えると分かっていたかのように、あっさりと言いました。

「貴女の願いをかなえて、人間の娘にしてあげましょう。…もう、今で良いのかしら?」

ヘリは、コクリとうなずきました。

「お願いします」

ヘリの決心した態度に、ジェニーは頷くと、ヘリを森の結界の境界線近くの丘の上に連れて行きました。
猟師イヌが、住んでいた家があったところです。

魔女ジェニーはそこにヘリを立たせて、魔法の呪文を唱えました。

サンテと、そして、ヘリの友人達もその様子を少し離れた場所でヘリ達を見守っていました。

魔女ジェニーの杖から魔法の強い光が出て、ヘリを包み込ました。
そして、ヘリ兎の体を一瞬消したように見えましたが、
次の瞬間、白い霧の中から美しい人間の娘が現れました。

すらりと長い手足。透き通るように白くすべすべした肌。
ぱっちりと大きな瞳に長いまつげ、整った鼻筋と、愛らしい赤い唇。
体には、白く柔らかい布地で作られた衣服を身につけていました。
フワフワとしたウェーブのかかった髪の毛に、チョコンと、ヘリ兎が耳につけていたリボンだけがそのままの状態でついていました。

「どこからどう見ても、人間の娘よ」

魔女ジェニーは自分の魔法が上手くいったことに満足したように、ヘリの体を見つめました。ヘリは、自分の体を珍しげに、眺めまわした後、魔女ジェニーに言いました。

「私これから猟師さんの所に行きたい。場所を教えて欲しいの」

「わかってるわ。西の領地まで私が送ってあげましょう」

「ありがとう。魔女ジェニー」

ヘリは魔女ジェニーにお礼を言うと、サンテと友人達、そして、ヘリを見送りにきた森の動物達に向き直りました。

みんなの顔は涙でぐしょぐしょになっていました。
ヘリも涙で滲む視界の中で、懸命に前を見ようとしました。

「さようなら。元気でね」

「ヘリ、もし、辛かったら、いつでも森に戻って来い」
「私達のこと忘れないで。私達もあなたのこと忘れない」
「頑張れよ。幸せになれ」

みんな口ぐちに別れや激励の言葉を述べて、魔女ジェニーと一緒に結界の森を出て行くヘリの姿が見えなくなるまで、見送りました。


一方。

西の人間の領地で農夫となったイヌは―――。

領地の外れの家に一人で暮らして、
今日も畑のニンジン作りに精を出していました。

イヌが領地に戻ってくると、領地は、『守りの石』の奇跡の力で、とても緑豊かで美しい肥沃な大地に生まれ変わっていました。遠くに行っていた領地の民も戻ってきて、田畑を耕し、家を建て、街が出来、他国の行商達も訪れて、国は石があった時以上に活気にあふれた所になりました。

人々はイヌの功労をたたえて、イヌに領主の座について欲しいと頼みましたが、イヌはそれを辞退しました。そして、まだ、あまり開墾されていなかった土地に家を建てると、そこで、『幸運のニンジン』の栽培に取り組み始めました。研究を重ねたり、いくつもの栽培方法を試したイヌは、ようやく『幸運のニンジン』を育てる事に成功しました。

イヌは、領地の人々にも栽培方法を教えて、『幸運のニンジン』は西の領地の特産品となって、国はますます栄えていくようでした。

好青年で、働き者。そして元領主の息子のイヌには、領地内外のあらゆる所から縁談話が舞い込んできました。しかし、イヌは、その縁談の話を聞くのもそこそこに、すべて断っていました。

…女性には興味がないらしい。
そんな噂話にもイヌは、全く関心を持たないようでした。

ただ、毎日、一心不乱に、畑のニンジンの世話をして暮らしていました。

イヌの家の周囲は、最初イヌが来たころとは見違えるほど美しい庭が出来ていました。
イヌが植えた苗木たちが大きく育ち、果樹園のようになっていたのです。
そして、花壇には、珍しい七色の花が沢山咲き乱れていました。
それは、ヘリがイヌにプレゼントした『願いをかなえる花』でした。

肥沃な土地という理由だけでなく、まるで何者かの魔法の祝福の力にも支えられている…そんな事を考えさせてしまうような、作物や植物達のめざましい成長ぶりでした。

イヌは、ニンジンを収穫する手をとめて、
『願いをかなえる花』をふと見つめました。

「願いをかなえる花…か」イヌはふっと寂しそうに微笑みました。

脳裏に、花をくれた時のヘリの顔がいつでも浮かんできました。

そして、短い間でしたが、結界の森で、ヘリ兎と一緒に楽しく過ごした日々の事。
そして北の森に向かう道中の事も。
辛く厳しい時でしたが、なぜかその間の出来事も思いだすと、ヘリと共に過ごした記憶だけが美しく輝いていました。

しかし、同時に、最後に見た、涙でいっぱいにうるんだ瞳で自分を見つめるヘリ兎の顔も頭から離れませんでした。

…ごめんよ。僕は君を傷つけてばかりだった。
しっかり謝ることも、お礼を言うこともできなかった。
せめて、豊かで安全なあの森で幸せに暮らして欲しかった。

だけど…。

願いをかなえるというのなら、これだけ咲いたんだ。
もう、いいかげん、僕の願いをかなえてくれてもいいだろう?

イヌは、そっと手で『願いをかなえる花』に触れると言いました。

「…ヘリに会いたい」

その時、

「猟師さん」とイヌの後ろで声がしました。

ハッと弾かれたように振り向いたイヌは、畑の向こうで自分を見て佇む一人の娘の姿を認めました。

領地では見たことがない、綺麗な娘でした。
イヌは、立ち上がると、その娘をジッと見つめ、目を細めました。

「ヘリ?」

イヌが、目の前に立つ娘に、そう呼びかけました。

ヘリは目を丸くしました。

「私がヘリだって、どうして分かったの?」

もう、兎でいた時とまるで違う外見なのに…。

…ヘリ。

イヌは、柔らかく微笑むと、ヘリのすぐ目の前まで近づいていきました。
そして、ヘリの頭にそっと手をさしのべました。

「ここに、以前僕があげたリボンがついてる」

ヘリの頭の髪の毛にイヌが、幸運のニンジンにつけてヘリに贈ったリボンがついていました。

「それに…目が変わっていない」
…大きくて綺麗で純粋な瞳。

イヌが、手をゆっくりと降ろすと、ヘリの頬を優しく撫でました。

「そ、そう?」

イヌの温かい手を頬に感じて、
ヘリはドギマギしながら、イヌを見つめ続けました。

「一言お礼が言いたくて来ちゃったわ」

ヘリが言いました。

ヘリは、イヌが、自分が想像していたより、ずっと落ちついた態度で、
この奇跡的な再会を迎えていることに、内心とても当惑していました。

…もっと驚くかと思ったのに。

「私の命を助けてくれてありがとう。猟師さん。
それと、森の事も。森の代表としてお礼を言いに来たの。
おかげでみんな今まで通り楽しく暮らしているわ。本当にありがとう」

「…お礼の言葉だけ言いにわざわざ人間になって来たのか?」

「え?」

ヘリは、口元を綻ばせながらも、意地悪くそう言うイヌに、言葉をつまらせました。

「え、えーっと。…あなたに会いたかったから」

「会いたかっただけ?」

「…何を言わせたいのかしら?」

尚もからかうように言うイヌにヘリがプウっと頬を膨らませました。

兎の時とおなじ、機嫌を損ねた時のヘリの変わらないしぐさに、イヌがフッと噴き出しました。
そして、じーっと恨めしそうに自分を見つめるヘリの愛らしい顔に、イヌは、目を細めました。

…もう、君には降参だよ。ヘリ。僕も素直になる時がきたようだ。

「僕も君に会いたかったよ。ヘリ」イヌが言いました。

「猟師さん…」

「イヌだよ。ヘリ」そう言って、微笑むイヌに、ヘリは恥ずかしそうに、頬を染めました。

「イヌ…」

ヘリの言葉に満足そうにうなずくと、イヌはヘリの視線を畑に向けさせました。

「どうだ?君の大好物だった『幸運のニンジン』だ。栽培に成功したんだよ」

「素晴らしいわね。今も大好物よ」
…人間になっても、この美味しそうな誘惑には逆らえないわ。

ヘリのゴクリと生唾を呑む音にイヌが笑いました。

「たっぷり食べさせてあげるけど、かわりに君にはやってもらう事がある」

「何かしら?」

「この畑のニンジンを僕と一緒に作ってくれ。これからずっと。
そうだな。君がよぼよぼのお婆さんになっても手伝ってもらおうかな」

イヌの言葉にヘリが目を丸くして、イヌを見上げました。

…それって、もしかして…。

ヘリは聞かなくても、自分を見つめるイヌの優しく温かい眼差しにイヌの言わんとしている事を悟りました。
そして、わざと、「んー」と悩むふりをしました。

「私、ニンジンだけじゃなくて、あなたの作るラーメンも好きなの。
あなたがよぼよぼのお爺さんになっても私にラーメンを作ってくれるって約束してくれるならいいわよ」

「お安い御用だよ。早速、今日の昼食はそれにしようか」

イヌは笑って頷くと、手でヘリの肩を抱き寄せました。
そしてヘリと見つめ合い、微笑み合うと、一緒に家の中に入って行きました。


…その後。

人間になったヘリは、イヌと結ばれて、二人の間には可愛い子供が何人も生まれました。

イヌの畑は毎年豊作で、とても質の良い美味しいニンジンが沢山収穫されました。
そして、様々な種類の果樹と美しい七色の花に囲まれたイヌの家は、
いつも明るい笑い声が絶えなかったということです。

これは、昔、昔のお話。
誰がいつ作ったのも分からない。

ヘリ兎と猟師イヌの幸せな愛の物語です。


おしまい。



エピローグ


すうすう、と子供たちの安らかな寝息が聞こえた。

話の最中、

「明日、動物園にくまはいるかな?」
「私はリスが見たい」

と、時々、はしゃいだ声をあげていた子供たちだったが、
物語の後半からだんだん静かになっていった。

そして、ほとんど物語のラストまで聞かずに寝てしまう子供たち。

…いつもの事だけど、だから何度も聞きたがっているのかもしれないわね。

フフフと、女はひっそりと笑うと、
眠っている子供たちの肩まで布団を引き上げた。

その時、コトリと微かにドアの向こうでした物音に、女は顔を上げた。

…帰って来たのね。

女は子供部屋を出ると、リビングに歩いて行った。

そこに愛する男の姿を見つけて女は思わず微笑んだ。

「おかえりなさい」

「ただいま」

そう言って男は女を引き寄せると唇に軽くキスした。

「あの子たちは寝たのか?」

「ええ、今さっき寝たわ。明日動物園に行く事が嬉しくて、はしゃいでなかなか眠れなかったみたい」

「そうか」
男は女の言葉にうなずくと、つれだって、子供部屋の方に歩いて行った。

そして、子供たちの安らかな寝顔を眺めると、男が目を細めて「かわいいな」と言った。

「寝ていると特にね」女はそう言って、男と顔を見合わせて微笑むと子供部屋の扉を閉めた。

「今日は事務所の人達と飲んできたのよね?」

「軽くね。だから少しお腹がすいている。何かある?」

「雑炊を作りましょうか?」

「ああ、いいな。頼むよ。その間にシャワーを浴びてくる」

女はキッチンに、男はバスルームに向かった。

そして、男がバスルームから出てくると、リビングのテーブルの上に
いい匂いのする、出来たての雑炊がおかれていた。

「おいしそうだ」

男が席につくと、女はお茶と冷水の入ったグラスもテーブルの上に置いた。
そして、男のはす向かいに腰かけた。

「…ん。いい味だ。また腕を上げたんじゃないか?」

「あなたにそう言ってもらえると光栄だわ」

男の褒め言葉に女が素直に嬉しそうな顔をした。

「それにしても、子供たち。はしゃいでいたと言っていたが、よく寝たな。
眠らせるのに一苦労したんじゃないか?」

雑炊を口に運びながら男が女に聞いた。


「いつもの話をしてあげたのよ」

「いつもの話?…ああ、兎と猟師の話か。好きだな。あの子たち」

「ええ。ほんと。私も好きだから何度話しても嫌じゃないけど」

「何度か聞いた事があったけど、君の話は話すたびに内容が少しずつ違っているからな。
きっと子供たちも飽きないんだよ」

からかうように言う男の言葉に女が抗議するように頬をふくらませた。

「変わってなんかいないわよ。時々脚色を加えたりするけど。ラストはいつも変わらずハッピーエンドなのよ」

「どんな終わり方だったかな?」

「兎が人間になって、農夫になった猟師と再会して、結婚して、子宝にも沢山恵まれて幸せに暮らしました~。よ」

「きっと、再会して結婚する間にもいろいろあったんだろうな」

男の、味もそっけもない物語の解釈に女が上目づかいになった。

「…あなたってリアリストよね。少しはロマンというものを理解して欲しいわ」

「ロマンね」

溜息まじりに苦笑する女の言葉に男が肩をすくめると、箸をおいて、食べ終えた雑炊の器を脇にやった。
そして、女の方に手を伸ばした。

「ロマンっていうのは、こういうことか?」

そう言って、女の体を引き寄せた。

「もう。やめてよ。酔ってるの?…片付けをしなくちゃ」

そう言いながらも男の膝の上に体を乗せられた女が甘い吐息をもらした。

…酔ってるよ。

男は心の中で思った。

可愛い子供たちに、愛しい妻。
大切な家族といる今という時間に自分は酔いしれている…。

「片付けなら明日の朝すればいい。そうだろ?僕の可愛い兎」

女がたまらずに噴き出した。

「もう」

男が女の耳元に顔を寄せて、さらに囁いた。

「物語のように、もっと沢山子供を作ってみるか?」

低めで甘い声。ふざけた言い方だが、半分は本気のようだった。

「…きっと結婚して、子宝に沢山恵まれました~の間にもいろいろあったんでしょうね」

そう、わざと真面目腐って言う女に男が笑って、つられて女も一緒に笑った。

ひとしきり笑い合うと、男は女の頬に手を添えた。

「いろいろあっても、話は変わらないさ」

「幸せに暮らしてます。よね?」

…そうだな。

応えるかわりに男が女の唇に己のそれを重ねた。

…僕は今幸せだ…。
唇を重ねる前、男が女の名前を囁いた。

…私もよ…。

女も男の名前を呼んで、そう答えると、
男の腕の中でその抱擁に身をゆだねていった。

こうして、

物語は語り終えても、

現実でも、兎と猟師の幸せな愛の物語は、
この先もずっとずっと、長く続いていくようだった。


(終わり)


ここまで読んで下さった方、お疲れ様でした。
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」完結です♪
「刻印」の時もそうでしたが、思いつきで描いた4コマ漫画のネタを小説で書くと思いませんでした。

エピローグの女と男、そして子供たちが誰かは分かりますよね?♪
分かった方は女と男に名前をあてはめて読んで見て下さい。

イヌ役のパク・シフさんが以前テレビのインタビューで「子供は何人欲しいですか?」という質問に、「娘一人、息子一人の二人」とお答えになっていたので、参考までに(笑)

あと、パク・シフさんが赤ちゃんを抱っこしたり触っている動画見て、
頭の中ではすっかり「イヌがヘリとの赤ちゃんを父親としてあやしてるのね♪」と妄想状態。

「ヘリ兎と猟師イヌの物語」を更新している間に、長編「埋もれた約束」を完成出来るかも…と思ってたのですが、まだもう少しかかりそうです…初めてマラソンを走っている気持ち。

それで、明日、明後日は予約投稿で、久しぶりに4コマ漫画。
週明けは、まだ未定ですが、短編か、「優等生3」を先に更新します。

「優等生スペシャル」は、かなりアレがアレな話なもので(←何が何?)
更新はシリアスな「埋もれた約束」の後にします。気分直しに読む方もその方が良いかと。
「優等生3」も大概な感じですが(笑)まだ初初しい感じなので(…たぶん)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」第10話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話はドラマの「検事プリンセス」の設定やキャラクターをベースにした、
完全パロディ小説で、ファンタジー童話調で語られる、兎と猟師の純愛物語です。

思いつきで描いたパロディ4コマ漫画から生まれた、ヘリ兎と猟師イヌのキャラクター。
コメディタッチですが、完結している4コマ漫画の話は、
検事プリンセス漫画INDEX」の中のタイトル「ヘリ兎と猟師イヌ」でご覧下さい。

「ヘリ兎と猟師イヌの物語」他の話は検事プリンセスパラレル小説INDEXで。






ヘリ兎と猟師イヌの物語(10話)




「…領地に帰っちゃうの?」

つとめて冷静に言おうとしたヘリでしたが、声が震えていました。


…猟師さんが、人間の領地に帰ってしまう。

「ああ、『守りの石』も取り返したし、目的がかなって魔女ジェニーとの契約も終わった。もうこの森にいる必要はなくなったからな」

イヌはそう淡々と答えると、荷物をまとめ上げたようでした。

「…もう会えないの?」

ヘリの問いにイヌは返事を返しませんでした。

「猟師さんっ。こっちを向いて。どうして私の顔を見ないの?」

ヘリはイヌの前に回り込みました。

イヌは目を逸らすと、「…もう行くよ」そう言って、荷物を抱えあげました。


「・・・・・・」

ヘリは、イヌの冷たい態度に茫然となっていましたが、
イヌが歩きはじめると、チョコチョコと後を追いました。

「ついてくるな」

イヌが振り向きもせずに低い声で言いました。

「どうして?」

「もう、君には魔力のかかった首輪がついていない。この結界の森を出たら君はただの兎に戻ってしまう」

ヘリはハッとなって自分の首に手をあてました。

今までつけていた首輪がたしかにありません。

…魔王を倒したから首輪も無くなってしまったの?

ヘリは、それでも歩き続けるイヌの後をついていきました。

結界の境界線の近くにきたイヌはたまらなくなって振りむくと、ヘリを睨みつけました。

「ついてくるな、と言っただろう」

「私、猟師さんと一緒に行きたい」

ヘリの言葉にイヌが目を見開きました。


「本気よ。ねえ、猟師さん、私を一緒に連れて行って」

ヘリの真剣な眼差しに、イヌは、立ち止ったままヘリと見つめあいました。


「ハハ…何を言っている。バカを言うな」

イヌが、ヘリを嘲るように笑いました。

「僕は、君を食べる怖い猟師だ。君が一歩でもこの結界の森を出たら、この銃で君を撃つことだって出来るんだぞ」

「脅しにはのらないわ」

ヘリがきっぱりと言いました。

「あなたはそんな事をしない。だって、あなたは優しい人だもの」

「やめろ…」

イヌがうめくように言いました。

「それに、私はそんな猟師さんのことが…」

「やめるんだ!」

尚も話を続けるヘリの言葉をさえぎるようにイヌが大きな声を出して顔をそむけました。

「目的を遂げた今、もう僕にとって君は何の価値もないただの兎だ。
これ以上つきまとわないでくれ。迷惑だ」

「猟師さん…」


イヌはそっとヘリの方を見ました。

大きな瞳にいっぱいの涙を浮かべて、自分を震えながら見つめているヘリに
イヌの心はとても痛みました。

「…さよなら。この森で元気で暮すんだ、ヘリ。…この花は大事にするよ」

イヌはショルダーバッグに目を落としました。
そこには、ヘリがイヌにあげた『願いをかなえる花』の鉢が入っていました。

「…さよなら。猟師さん。元気でね」

ヘリは何とかそう言うとコクリとうなずきました。

イヌは、そんなヘリの姿を見ると振り切るように、踵を返して、結界を出て行きました。


後ろ髪をひかれるように、イヌは、何度も振り返りたい衝動をおさえこみました。

…人間の世界に君を連れていくわけにはいかない。
君にとってはとても危険なところだから。
ずっと、その森で幸せに暮らすんだ。僕のことは忘れて幸せに…。

心の中でそう言いながら、イヌは、結界の森を離れていきました。

その後ろ姿が見えなくなるまでヘリは涙を流しながら見送っていました。


そうして、結界の森から猟師が去ってからも、
森の動物達の暮らしは今まで通りのようでした。
結界の中で安全に、そして豊かな森の中で、動物達は楽しく暮らしていました。

動物達は、すっかりイヌに慣れ親しんでいたので、
最初の方は、「挨拶もなしに黙って出て行くなんて…」と寂しそうでしたが、
いつしか、忘れて、話にも出なくなってきました。


…ただ、一匹、ヘリ兎を除いては。

ヘリ兎は、普段は明るくふるまっていましたが、前のように元気いっぱいという感じではありませんでした。
ヘリの縁談の話は無くなりましたが、時々沈んだような顔をしたり、溜息をついては、結界の境界線の丘の上から外を眺めている事が多くなりました。

そんなヘリを、友達の動物達はいつも心配そうに見ていました。
もちろん父親サンテも日に日にやつれていくようなヘリを悲しげに見守っていました。

サンテは北の山の森で何があったのか、詳しい事情を知りたいと思いました。
しかし、猟師は何も語らずに森を出て、魔女ジェニーも結界の森に姿を現す事はありませんでした。

もう魔力のついた首輪がなくなったサンテもヘリも結界を出て、魔女ジェニーの森に行く事ができなかったのでした。

それから、時が流れて、1年がたちました。

ある日、突然、結界の森に魔女ジェニーが現れて、ヘリの家をたずねました。

ジェニーはヘリとサンテに向き合って座りました。
そして、すっかり元気をなくしたヘリ兎を見て、苦笑しました。

「訪ねてくるのに、時間がかかってしまってごめんなさいね。
魔力を取り戻してからも、魔王のいなくなった北の山の森の管理や、『守りの石』の事を処理するのに時間がかかってしまったの」

「『守りの石』はどうなったのですか?」
サンテがジェニーに聞きました。

「『守りの石』は私が封印して管理することになったの。人間世界においておけば争い事の火種になるかもしれないと、イヌと相談して決めたのよ。もう西の領地は、奇跡の力で、豊かな土地になり石は必要のないものになったから」

「猟師さんの願いがかなったのね?じゃあ、猟師さんは今はご両親と一緒に暮らしているのね?」

そう聞くヘリにジェニーが首を横に振りました。

「イヌは、石に自分のご両親を生き返らせる事を願わなかったのよ」

「え?」

ヘリとサンテは同時に驚きの声を上げてジェニーを信じられないという風に見つめました。

「じゃあ、何を願ったの?」

ヘリの問いに、ジェニーが気の毒そうな目をヘリに向けました。

「あなたを生き返らせる事を願ったのよ」

「!!」

ジェニーの言葉に、再びヘリとサンテは驚いたように目を見開きました。

「私は、イヌに預けた剣についた魔法の石から、一部始終を見ていたのよ、ヘリ。
あなたが傷ついて息絶えてから、イヌは魔王を倒して、そして、一番最初に石に願ったの。
あなたを生き返らせて欲しいって。あなたは一度死んでいたのよ」

ヘリは、ただ茫然とジェニーを見つめていました。

「それから、西の領地の土地を豊かにするように願って、最後に、イヌが願ったのは、
あなた達の住むこの森を今の状態のままにしておいて欲しいということよ」

これには、さすがのサンテも言葉が見つからないようでした。

「…どうして、猟師さんはそんな願い事を?」

ヘリが聞きました。

「分からない?ほんとに?」

ジェニーの問いにヘリが俯きました。

「…わからない」ポツリとヘリが呟きました。

別れ際の冷たいイヌの態度を今でも覚えていました。
自分を生き返らせるために願いを使ってしまったイヌは、本当は後悔していたんじゃないだろうか…。

そんな事を考えたヘリにジェニーがフウっと溜息をつきました。

「…世話のやける人間と兎ね…」

ジェニーの言葉にどういうことが分からずに首をかしげるヘリに、ジェニーが微笑みかけました。

「今日は、あなたに聞きたいことがあって来たの」

「なに?」

「『守りの石』を取り返す協力をしてくれたあなたに、何かお礼がしたかったの。なんでもいいわ。何か願い事を1つだけかなえてあげる。その願い事を聞きに来たのよ」

ヘリは魔女ジェニーの言葉に驚きました。

「願い事をかなえてくれるの?」

「ええ、ただし、誰かを生き返らせるということは無理だけど」

ジェニーはそう言って、チラリとサンテの方を見ました。

「北の魔王から魔力を取り返す事が出来たから、今の私はそれなりに強い魔法を使えるわ」

「・・・・・・」

「今、浮かばないというなら、1週間後にまた来るから、その時に願い事を教えてくれる?」

ヘリはコクリとうなずきました。

ヘリの態度に、ジェニーは満足したように微笑むと、ヘリの家を出て行きました。
ヘリは、ハッとしたように、ジェニーの後を追いかけました。


「魔女ジェニー、私もききたい事があるの」

「何かしら?」

「猟師さんは今どうしているの?あなたは知っているんでしょう?」

「ええ」

ジェニーは頷きました。

「西の領地で暮らしているわよ」

「どんな風に?」

「もう狩りをする猟師はやめたようね。今は農夫をしているみたい。
領地の外れに一人で住んで、畑を耕して、ニンジンを作って暮らしているわ」

「ニンジンを?」

「そう。ニンジンを。…そういえば、ニンジンは貴女の大好物だったわね」

ジェニーは、そう言って、いたずらっぽくヘリに笑いかけると、
茫然と佇むヘリに、手を振って、去って行きました。

一方、

魔女ジェニーが家を出て行ってからも、サンテは茫然と椅子に座っていました。

「…あの人間は、願い事をヘリと、この森に使ったのか…」

魔王の首輪を切って、自分を助けてくれた猟師。
そして、娘の命も取り戻してくれて、自分たちが住む森も今まで通り安全で豊かなままにしてくれた。

…自分は過去彼にとても酷い仕打ちをしたのに、どうしてそこまで…。


ヘリも、家の自室に戻ると、寝床の中でジェニーの言った事を考えていました。

…私の命を救ってくれたんだわ。…でも、どうして?もう用のない私を…。
それに、森の事も…、もう猟師さんには関係のないことなのに、どうして?

考えれば、考えるほど、分からなくなったヘリ兎でした。

ただ、分かる事が一つだけありました。

自分の猟師イヌへの気持ちでした。


イヌが結界の森を去った後も、ヘリは強く想っていました。
たとえ、このまま会えなくても、自分のこの気持ちだけはずっと変わらないだろうと思っていました。

…猟師さんに会いたい。
会って、伝えたいことがある。

ヘリは決意しました。

翌朝、

ヘリは、朝食を食べた後、父親のサンテと向き合いました。


「パパ、話があるの」

「なんだ、ヘリ?」

ヘリは、サンテの目を見て、きっぱりと言いました。

「私、人間になるわ」


(ヘリ兎と猟師イヌの物語10終わり 最終話につづく)



…長かったですね。こんなに長くなると思わなくて。
童話風にさらっと書ける♪って思ってたんですけど(汗)

次回、最終話です。


拍手、拍手コメントありがとうございます♪

大昔(笑)、趣味でオリジナルで書いてたファンタジー小説の
悪役も「魔王」みたいなやつでした。私の悪者のイメージって、
時代劇の悪徳代官みたい(苦笑)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」第9話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

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完全パロディ小説で、ファンタジー童話調で語られる、兎と猟師の純愛物語です。

思いつきで描いたパロディ4コマ漫画から生まれた、ヘリ兎と猟師イヌのキャラクター。
コメディタッチですが、完結している4コマ漫画の話は、
検事プリンセス漫画INDEX」の中のタイトル「ヘリ兎と猟師イヌ」でご覧下さい。

「ヘリ兎と猟師イヌの物語」他の話は検事プリンセスパラレル小説INDEXで。





ヘリ兎と猟師イヌの物語(9話)




「魔王…」

イヌはギリっと歯ぎしりをして、魔王を睨みつけていました。

…サンテ兎をそそのかして、領地から『守りの石』を奪った張本人。
こいつのせいで、領地と僕の両親は…。

「この『守りの石』は、西の領地の物だ。お前には渡さない。…お前を倒しても」


「ほお?」

魔王は、面白そうに、イヌを見つめていました。

「『守りの石』を守れずに、そして、兎一匹守れなかったお前が私を倒すと?」

「・・・・・・」

魔王の嘲りにもイヌはただ黙って、
西の魔女ジェニーの魔力のかかった剣を鞘から抜いて魔王に向けました。


…魔王を倒して、魔女ジェニーとの約束を守る。
そして…。

イヌは腕の中でぐったりしているヘリを見つめました。

…君を助けるからな。ヘリ。

イヌの心の声を読んだように魔王が薄く笑いました。

「その兎を助けたいか?…そういえば、なぜ私がその兎の首輪をそのままにしたと思う?」

魔王の言葉にイヌの眉がピクリと動きました。

「その首輪を通じて、お前達の動きはこちらに筒抜けだった。
それに兎の命は私の手のうちだった。
なのに、なぜ、わざわざお前達をこの森に来させたと思う?」

魔王は、この状況を心底楽しんでいるようでした。

「私はな、実は兎が大好物なんだよ」

そう言って、魔王は舌舐めずりして、イヌの腕の中のヘリを愛おしそうに見つめました。


「裏切りもので年をとった兎のサンテはもうこの際どうでも良いが、その娘はとても美味しそうだった。

お前達が『守りの石』を取り返しに来ることも好都合だった。
私も手下たちも、この森に住む者は、1000日の奇跡の時間になる瞬間まで、西の魔女の魔力のかかった『守りの石』を手にすることは出来ないからな。正午には太陽の元に出さなくてはいけない石を、洞窟から出してくれる者が必要だった。

すべては私の計画通りに事は運んでいたのだよ。ソ・イヌ」

魔王はゆっくりとイヌの方に近づいてきました。

「さあ、『守りの石』と兎の娘をこちらによこせ。そうすれば命だけは助けてやろう。
この森の中で私にかなう者はいない。観念するんだ」


「観念するのはお前の方だ。魔王。石もヘリもお前には渡さない」

イヌが、剣の切っ先を魔王の方に向けたまま言いました。

「強がっているのも今のうちだぞ。ソ・イヌ。ほら、お前の腕の中で兎はもう息が絶えそうだぞ」

魔王の言葉にイヌはハッとなってヘリに目を落としました。
ヘリは目を閉じたままで、苦しげに息を吐いていました。

「ヘリ」

イヌは、魔王から目を話さずに、じりじりと後ずさると、そっとヘリの体を柔らかい草むらの上に置きました。

「しばらくここで待っていろ。ヘリ」

…きっと助けるから。

そして、イヌは立ち上がると、魔王と対峙しました。

「…あくまで私に立ち向かおうと言うのだな」

魔王は魔法の杖をイヌに向けて憎々しげに言いました。

「こい。お前も父親と母親の元に送ってやる」


イヌは魔王の言葉を合図のように、剣をかまえて魔王に向かっていきました。

魔王の杖から妖しい光がイヌに向かって放たれましたが、
西の魔女ジェニーの魔力のかかった剣がそれを弾き返していました。

この日のために剣の鍛錬を積んでいたイヌは、魔王の攻撃にも耐えて、
互角に戦っているようでした。

しばらく、イヌと魔王の死闘が続いていましたが、

魔王の結界内で、力をふるう魔王に比べて、イヌの方は体力が少しずつ落ちていき、
動きが鈍くなってきました。

そして、

ガチャリと、

とうとう、剣を落としてしまったイヌは、荒い息をつきながら
ガクリと膝を地面につけました。
イヌは、疲労で魔王の魔力の毒におかされた体で朦朧となりながら
空を見上げました。

太陽は高くのぼりはじめ、正午まであとわずかな時間のようでした。

…こんなところで。ここまできたのに。

イヌは、悔しさで心の中はいっぱいでしたが、
体は動けなくなっていました。

「どのみち、もうお前には逃げ場はない」

魔王は余裕の表情でイヌを見降ろしながら悠然と歩いていました。
そして、ヘリが横たわっている側まで来ました。

「ヘリに触れるな!」

イヌは、力を振り絞って、魔王に吠えました。

「…可愛い、可愛い兎」

魔王は不気味な猫撫で声を出して、ヘリの側にしゃがみこみました。

「首輪を通じてお前が大きくなるのをずっと見ていたよ。
お前は、ただ食べてしまうには惜しいメス兎だ。
食べる前にたっぷりと可愛がってやろう…私の花嫁としてな」

「!」

魔王の言葉にイヌの中で何かがプツリと切れたような気がしました。
落ちた剣を拾って、握り直すと、イヌは立ち上がりました。


「そんなことはさせない!」

イヌは咆哮をあげて、魔王に突進していきました。

余裕の表情で、イヌの剣をすりぬけようとした魔王でしたが、
イヌの渾身の力で振り切った剣が魔王の杖を切り落としました。

驚いた魔王の一瞬の隙をついて、イヌが、魔王に剣ごと体当たりしました。

次の瞬間。

魔王が絶叫をあげ、

北の森中に地響きが鳴り、大きく揺れたかと思うと、結界がパンっと弾ける音がしました。

そして、イヌの剣をうけた魔王の体から、封じ込められていた西の魔女の魔力が飛び出すと、
イヌの持っていた剣についた宝石に吸い込まれていきました。

それと同時に、魔王の体はみるみる黒い煙のようなものに姿をかえて、
やがて、塵のように空気中に散っていきました。


イヌは、荒い息をつくと、そっと剣を降ろしました。

…倒したか…。

イヌは、西の魔女の魔力に満ちた剣を鞘に納めました。

そして、弾けるようにヘリの方に振り返りました。

「ヘリ!」

イヌがヘリの元に駆け寄り、ヘリの体に身を屈めました。
そして、手をのばして、その体に触れて…。

「・・・・・・」

イヌはそのまま力を無くしたように、ガクリと膝を折り、
その場に座り込みました。

手の平の下でヘリは息をしていませんでした。
ヘリがつけていた首輪がカシャンという音をたてて、ヘリの首から地面に落ちました。
…死んだらはずれるという首輪が…。

イヌは、茫然となって、ヘリの体を腕にもちあげました。

そして、まだ、温かいぬくもりがのこっているヘリの体を
強く抱きしめると、イヌは泣きました。


ヘリは固く目を閉じていましたが、表情は穏やかで、
まるで眠っているようでした。

イヌは脳裏で、ヘリの、ピョンピョンと元気に跳ねまわる姿や、
自分に向けた明るい笑顔や、嬉しそうに話しかける可愛い声を思い浮かべていました。


『私、猟師さんが好きだから』

ヘリの最後の言葉が胸の奥に響いて、イヌの心を締め付けました。

「…守ると約束したのに…」

しばらくの間、静かになった森の中でイヌの嗚咽の声だけが木霊していました。


やがて…

太陽が高く、森の真上にのぼり、

『守りの石』の奇跡の力が覚醒する時間になりました。

石はイヌの掌の中で、太陽の光を受けて、白く輝きはじめ、
やがて、その光は大きく広がって、ヘリ兎の体を抱いたイヌの体を包み込み始めました。


光の中で、声がしました。

『あなたが石の所有者ですね。…何でも望みを3つまでかなえて差し上げましょう。
ただし、人の命を生き返らせるのは、1人につき1つの願いになります。さあ、あなたの願いを言ってごらんなさい』


イヌは、静かに頷きました。

…願いは決まっている。

「一つ目の願いだ」

イヌが言いました。


「この兎を、ヘリを生き返らせてくれ」

「それがあなたの1つ目の願いですね?」

光の声が言いました。

イヌが頷きました。

「わかりました」

光の手が伸びて、イヌの腕の中のヘリの体を包み込みました。
すると、ヘリの体の傷がみるみる消えて、体温が戻り、ヘリが安らかな呼吸をしているのをイヌは感じました。

「これで、1つ目の願いはかないました。2つめの願いは何ですか?」
光が聞きました。

イヌが言いました。

「2つめの願いは、人間の西の国、領地「ハヌル」の土地を、
未来永劫、肥沃で豊かな場所にして欲しい」

…民が飢えることのないような、作物が実り、動物達も育つような
そんな土地にしてほしい。


「わかりました。かなえましょう。…3つめの願いは何ですか?」
…これが最後です。

そう言う光の声にイヌがうなずきました。

「僕の、最後の願いは―――…」



光が強くなり、まるで、白く消してしまうかのようにイヌとヘリの体を包み込みました。


…時が過ぎて。

「…ん?」

目覚めたヘリは、ゆっくりと起きあがると、キョロキョロと周りを見渡しました。

…ここは私の部屋だわ。一体どうして?いつ戻ってきたのかしら?

ヘリは不思議に思いながら、ぴょんと寝床から飛び降りました。

扉をあけて部屋を出たヘリは、驚いたように見つめるサンテを見つけました。

「ヘリ!目覚めたのか」

「パパ!!」

すっかり元気そうになっているサンテにヘリが抱きつきました。

「良かった。元気になったのね」

「それは私の台詞だ。ヘリ。…よく無事で」

サンテが涙ぐんでヘリを抱きしめました。

「パパ、私、どうして家にいるの?猟師さんと一緒に北の山の森に行ってたはずなのに」

ヘリは、洞窟で魔王の罠の蔓の檻に穴をあけたところまでは覚えていたのですが、
その後の記憶がほとんどありませんでした。

『ヘリ!』と呼びながら、悲痛な面持ちで、自分を見つめ涙を流すイヌの顔を最後に見たような気がしていましたが、それすら夢のような気がしていました。

「猟師さんはどうしたの?『守りの石』は?魔王はどうなったの?」

矢つぎ早に問うヘリを落ちつかせるようにサンテがヘリの肩をさすりました。


「…魔王は猟師が倒したらしい。そして、『守りの石』も取り返した。猟師は眠ったままのお前を背負って、この森に戻って来たんだ」

「じゃあ、猟師さんは無事なのね?」

「ああ」

うなずくサンテに、ヘリはピョンっとはねました。


「私、猟師さんに会いに行ってくる」

「まて。ヘリ!」


ヘリは、サンテの制止の声も聞かずに外に飛び出すと、
一目散に駈け出して、イヌの家のある野原の丘の上に向かいました。


「猟師さん!!」

ヘリは、丘の上の家の近くにイヌの姿を認めて、嬉しそうに走り寄りました。

「・・・・・・」

イヌは、チラリと、そんなヘリを一瞥(いちべつ)すると、何も見えなかったかのように目の前の作業を続けていました。

「猟師さん。無事だったのね。『守りの石』も持ち帰ることが出来たのね?」

ヘリの言葉にイヌが「ああ」とそっけなく答えました。

「『守りの石』は魔女ジェニーに預けた。…もう必要ないからな」

…もう必要ない。その言葉で、ヘリはイヌの願いがかなったのを知りました。

「良かった。…それで魔王も倒したのね?」

「魔王は倒したよ。もう、この森にも悪さをすることは出来ない」
…安心しろ。

そう続けるイヌにヘリはほーっと息をつきました。

…魔王を倒して、『守りの石』も手にいれて、猟師さんの願いもかなったのね。

領地の土地を豊かにして、そして、ご両親を生き返らせて…。

そこで、ヘリは、何かに気づいて首をかしげました。

…あれ?私、どうして猟師さんとまだお話が出来るの?
魔王を倒したのなら、もう人間のように暮らしたり、話したり出来ないはずじゃ…。

ヘリは不思議に思いましたが、それよりも気になることがありました。
イヌが、さきほどから、ろくにヘリの方も見ないで何か黙々と作業をしていたのです。

「猟師さん、何をしているの?」

ヘリの問いに、やはりイヌはヘリの方を見ずに答えました。

「荷造りだ」

「荷造り?何の?」

「今日、この森を出て、領地に帰る」


イヌの言葉にヘリがハッとしたように目を見開きました。



(ヘリ兎と猟師イヌの物語9終わり 10に続く)




昨日、「ロード・オブ・ザ・リング」の魔王の強さが分からない~とか
コメント書いておいて、自分が小説で書いた魔王…。

強さと恐ろしさより、変態さが際立ってるんですけど(汗)
シリアスな話のあとがきで、ふざけたコメントすみません。
でも、自分で書いていて何度も苦笑した場面です。

ファンタジーアドベンチャーゲームのような展開の小説でしたが、
あと、2話続きます。大丈夫ですか?そろそろ現実感のあるイヌ×ヘリ見たくないですか?

読むのが厳しかった…という方もおまけのラストシーンは見て下さい♪


拍手、拍手コメント、コメント、メールフォームのメッセージ等ありがとうございます!

この話を更新している間にシリーズ話の続き「埋もれた約束」が少しずつ完成に近づいてます♪
文字数が10万字に(汗)薄めの単行本並みになってきた、今までで一番の長編になりそうです。



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」第8話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話はドラマの「検事プリンセス」の設定やキャラクターをベースにした、
完全パロディ小説で、ファンタジー童話調で語られる、兎と猟師の純愛物語です。

思いつきで描いたパロディ4コマ漫画から生まれた、ヘリ兎と猟師イヌのキャラクター。
コメディタッチですが、完結している4コマ漫画の話は、
検事プリンセス漫画INDEX」の中のタイトル「ヘリ兎と猟師イヌ」でご覧下さい。

「ヘリ兎と猟師イヌの物語」他の話は検事プリンセスパラレル小説INDEXで。






ヘリ兎と猟師イヌの物語(8話)




「猟師さん!!」

ヘリは、イヌの腕の中で必死に身をよじると、何とかイヌの体の下から這い出ました。

そして、あわてて、イヌの顔を覗き込みました。

イヌの顔は青白く、目は閉じていました。
ヘリは、イヌのうつぶせになった背中を見て、ハッとして体をこわばらせました。

イヌの肩から背中にかけて、ザックリと斬られたように大きな傷が出来ていて、
そこから血があふれていました。
右足にも大きなケガをしているようです。

「猟師さん!猟師さん!しっかりして」

ヘリの必死の呼びかけに、イヌは、うめき声をあげて、少し目を開けました。

「…ヘリ…」

「猟師さん」

ヘリはホッと息をつきました。

「…君は無事か?」

この状況で、自分を心配するイヌにヘリは泣きそうになる気持ちをぐっとこらえて
うなずきました。

「ええ、大丈夫よ」

「…よかった」

そう言うとイヌは、気を失ったようでした。

「猟師さん!」

ヘリは、あわててあたりを見渡しました。

急に真っ暗になった周囲。
ヘリとイヌの周りを何かが取り囲んでいました。

ヘリがそっと歩いてみると。

「いたっ」

ヘリの体に大きな刺のようなものが刺さりました。

目をこらしてみると、それはイバラの蔓(つる)のようでした。

大きな刺のついた太い蔓が何重にもヘリとイヌの体の周りを包み込んでいて、
頑丈な檻のようになっていました。

この蔓が鞭のように、イヌの体を傷つけたのです。

…これは、もしかしたら魔王の魔力?
『守りの石』を持ちだそうとしたら、発動するようにしかけられてたんだわ。


ヘリは、イヌの手にある守りの石をまずイヌの服のポケットの中にしまいこみました。
そして、バッグから布や簡易手当の薬を出すと、イヌの体を手当てしました。

イヌは、痛そうに顔をしかめて意識を取りもどしたようでした。

「…魔王の罠がはってあったか」

イヌはそう言うと、ゆっくりと起き上りました。

「猟師さん。無理しないで」


悲痛な声をあげるヘリに猟師が安心させるように無理やり微笑みました。

「平気さ。大したケガじゃない。…それにこのままここにいたら、
やがて魔王がやってきて、僕らは袋のねずみ…じゃない袋の兎だ。このイバラの檻を出なくては…」

イヌは魔女ジェニーの剣を鞘から抜くと、イバラの蔓にあてて、斬ろうとしました。
しかし、魔力のかかった太い刺の蔓はビクともしないようでした。
再度、渾身の力で剣を振り上げて降ろしたイヌでしたが、剣は蔓を断ち切れず、
イヌは、背中の傷の激痛にうめいて倒れ込みました。

「猟師さん!やめて」

ヘリ兎は泣きながら訴えました。

猟師イヌが傷ついた体で、何度も立ち上がっては剣を蔓にふりおろす姿に、ヘリは耐えられなくなってきました。

「大丈夫だ。…ヘリ」

イヌが言いました。

「きっと。ここから出してやるからな」
…そして、あの森に、父親と友人達の元に君を返してやるから。

イヌは、その後もあきらめずに剣で蔓の檻に立ち向かっていきました。

しかし、魔王の魔力によって頑丈につくられた檻はびくともしないようでした。

やがてイヌは力尽きて、倒れ込んだまま動かなくなりました。

「猟師さん!」

ヘリは泣きじゃくりながら、イヌの体にしがみつきました。

…どうしたらいいの?
どうしたら…。


その時、ヘリは、自分の首にかけられた魔女ジェニーからもらった魔法の水の入った小ビンのネックレスに気づきました。

…疲労や、どんなケガでも直してしまう癒しの魔法の水…。

『1回分しか無いから使う時をよく考えて』

ヘリは、決意すると、ネックレスから魔法の水の入った小ビンを取り出しました。
そして、蓋を開けると、小ビンを倒れているイヌの口元に寄せました。

「猟師さん。これを飲んで」

ヘリは、意識のないイヌの口を無理やりこじあけて、
小ビンの中味の水を全部注ぎいれました。

そして、イヌが、コクリと喉をならして飲み込むのを見届けると、
ほうっと息をつきました。

…これで、1晩もすれば、猟師さんは回復するわ。

そして、ヘリは、自分達を取り囲んでいる蔓を睨みつけました。

…魔法の剣も使えないなら…。

ヘリはある事を思いつきました。
それから、そっと、地面に横たわって眠っているイヌを振り返りました。

…待ってて。猟師さん。私が猟師さんをここから出してあげるからね…。

そう心の中で言うと、ヘリは、思いつきを行動にうつしました。

自分の歯で蔓を噛み切り、手で引きちぎっていくこと。

魔王の首輪をしているヘリにはそれが可能なようでした。

それは、途方もなく困難な作業でしたが、その時のヘリには、
ただ猟師を助けることしか頭にないようでした。

ただ、ひたすらにヘリは、太く頑丈な蔓の檻に立ち向かっていました。


やがて…。

どのくらい時間がたったのでしょう。

「…猟師さん。猟師さん…」というヘリの呼びかけに、
イヌがうっすらと目を開けました。


「ヘリ…?」

イヌは、ボンヤリとした頭でゆっくりと体を起こしました。

体をケガしたことと、剣で蔓に立ち向かっていたことは覚えていましたが、
いつのまにか気絶していたようでした。

まだ、洞窟の中にいるらしく、あたりは真っ暗でほとんど見えません。

その中で、姿は見えませんでしたが、ヘリの声が聞こえました。

「猟師さん。…蔓の檻が破れたわ。外に出られるわよ。こっちよ」

イヌは、ヘリの声のする方向を見ました。
あれだけ頑丈に取り巻いていた蔓の檻に小さな穴が開いていて、そこから外の光がボンヤリと漏れているようでした。

「そこにいるのか?ヘリ」

イヌは、身をかがめて、その穴から匍匐前進で進みました。

なぜか背中と足の痛みが消えていました。
不思議に思いながらも穴の中を前に進みつづけたイヌは、
明るい光で、洞窟と、檻を出た事を知りました。


…そうだ。『守りの石』は!!

ハッとしたイヌは、自分のポケットの中を探りました。
そこにちゃんと『守りの石』が入っていました。

ほっとしたイヌは、あたりを見わたしました。
どうやら、朝のようです。
どれくらいあの洞窟の中にいたのか、イヌは不安になりました。
魔法のかかった時計をみると、今日が奇跡の日になっているようでした。

…あの洞窟に2日もいたのか。
あと、数時間後の正午に、『守りの石』の奇跡の力は目覚める…。


「ヘリ、どこにいる?」

イヌはヘリの姿を探しました。

「ここよ」

ヘリの小さな声が聞こえました。

イヌは、ヘリの声のする方向に歩いて行って、
そして、愕然として、足をとめました。

「ヘリ!!」

目の前にヘリがいました。

しかし、その姿は、壮絶なものでした。
美しい純白の毛は全身、血で真っ赤に染まり、
裂傷だらけで、草むらにぐったりと体を横たえたヘリが、弱弱しく息をしていました。

「一体、どうしたんだ?」

しゃがみこんで、イヌは震える手をヘリに向けました。
しかし、あまりに痛々しくて触れることも出来ません。

ヘリはそれには答えずに苦しい息をしながら、なんとか微笑もうとしていました。

「『守りの石』は、明るい太陽の下でしか願いをかなえられないって聞いたわ。
だから外に出なきゃって思ったの」

「質問の答えじゃない。どうして君がこんなことに…」

激しく動揺しながら、イヌは、ヘリを見つめました。

そして、ハッと何かに気づいて洞窟を振り返りました。

洞窟を取り囲んでいた魔力のイバラの蔓の檻の小さな穴。
それは、まるで何かにひきちぎられたように雑に空けられていました。

その穴の周囲のイバラの刺には、赤いものが所々付着していて…、
それはヘリの体から流れた血のようでした。

「まさか…」

イヌは、震える声で言いました。

「君があれを…」

よく見ると、ヘリの両手の傷が特にひどく、ズタズタに切り裂かれていました。
口にも血が流れています。
蔓の刺に傷つきながらもヘリは、手と歯で蔓をちぎり続けていたのです。


「ヘリ、魔女ジェニーからもらった癒しの水を…」

そう言いかけて、イヌは、ヘリの首にぶらさがったネックレスの小ビンに液体が入っていないことに気づきました。

…魔法の水が無い!?どうして?

そう思ったイヌは、次の瞬間何もかもすべてを察して、
わなわなと体を震わせながら、ヘリを覗き込みました。

「僕に使ったのか?」

ヘリは黙ったまま頷きました。

「どうして、そんなことを」

イヌが、わめくように言いました。

「僕は、君を利用した悪い人間なんだぞ。それに君の父親を脅すような真似もした。『守りの石』のことも君には何の関係もないのに。どうして、そこまで」

…どうして、僕にここまでする。

そんなイヌにヘリが「だって…」と答えました。

そして、ニッコリと、やわらかくイヌに微笑むと言いました。

「だって、酷い人間だって分かってるけど…私、猟師さんが好きだから」


「~~~~~!」

イヌは、たまらくなって、ヘリの体に身をふせました。
そして、腕でヘリの体を包み込むように抱きしめると、声を押し殺して泣きました。


イヌの涙がポタポタと頬をつたって、ヘリの体の上に落ちていきました。


…酷い人間を…そして、こんな目にあわせてしまった僕を…。

――― ヘリ!!


「ヘリ…しっかりしろ。絶対助けてやるからな。これから君を結界の森に連れ帰ってやるから」

西の森に戻れば魔女ジェニーがきっとヘリを助けてくれるはず。

イヌはそう決意すると、ヘリの体を抱き上げました。

激しい痛みと苦痛の中、ヘリにはほとんど意識がないようでした。
それでも、ヘリはイヌの腕の優しいぬくもりを感じて心の中は満たされていました。

…これで猟師さんの願いがかなう。


そうして、
ヘリを腕に抱えたイヌが、北の森を後にしようと歩き出した時、

あたりの空気が重くはりつめて、森中の木々が不吉にざわざわと風も無いのに揺れはじめました。

「!」

緊張したように身を固くしたイヌの前に
黒い霧のようなものが立ち込めました。
そして、霧の中から人影が現れました。

「よく、ここまで来たな。人間」


不気味にかすれて響く恐ろしい男の声でした。

イヌの目の前に北の山の森の魔王が立っていました。

魔王はニヤリと笑うと、優美な動きで手をイヌの方に差し出しました。


「さあ、守りの石を私に渡すんだ。西の領主の息子、ソ・イヌ」



(ヘリ兎と猟師イヌの物語8終わり 9に続く)



魔王は、ドラマに出ていた「キム議員」のイメージで♪
…悪そうですが、あまり強そうじゃない?(苦笑)

そういえば、「ロード・オブ・ザ・リング」の(←ひっぱります)
魔王の強さが私にはよく分かりませんでした。小説でも映画でも。
魔力は凄いのですが、結局、どのへんが恐ろしい存在だったのか。
映画だと…灯台のような光る大きな目という印象が強くて(汗)


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」第7話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
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この話はドラマの「検事プリンセス」の設定やキャラクターをベースにした、
完全パロディ小説で、ファンタジー童話調で語られる、兎と猟師の純愛物語です。

思いつきで描いたパロディ4コマ漫画から生まれた、ヘリ兎と猟師イヌのキャラクター。
コメディタッチですが、完結している4コマ漫画の話は、
検事プリンセス漫画INDEX」の中のタイトル「ヘリ兎と猟師イヌ」でご覧下さい。

「ヘリ兎と猟師イヌの物語」他の話は検事プリンセスパラレル小説INDEXで。






ヘリ兎と猟師イヌの物語(7話)




朝、

出発のための荷造りをしていた猟師イヌとヘリ兎の元に
魔女ジェニーがやってきました。

ジェニーはイヌに、ひと振りの剣を渡しました。
綺麗な宝石のついた剣でした。

「これには、私の魔力がかかっているわ。北の森でどこまで効力が現れるか分からないけど、魔王と対決する時に使って」

イヌは、剣を受け取ると、無言でうなずきました。

ジェニーは、今度はヘリに液体が入った小ビンのついたネックレスを渡しました。

「ケガや疲れを癒す魔法の水が入っているわ。1回分しか無いから使う時をよく考えて」

「ありがとう魔女ジェニー」ヘリはお礼を言いました。

「お礼は…私の方こそ言わなくてはいけないわね」

ジェニーはヘリに微笑みました。

「決意してくれてありがとう。サンテの事は貴女が留守の間、私が看ているから安心して。私の今の魔力では西の森を守るので精いっぱいで貴女達と一緒には行けないけど…頼んだわね」

「ええ」

イヌの家のベッドの上でサンテは昨夜から眠ったままでした。
命に別条はないとジェニーは言っていましたが、出発する前に、ヘリはもう一度サンテの顔を見たいと思っていました。

「パパに行ってきますって言ってくる」

そう言って、ヘリは家の中に入りました。

魔女ジェニーはそのヘリの後ろ姿に目をやった後、
イヌの方に意味ありげな眼差しを向けました。

「…イヌ、少し話しておきたいことがあるの」

「…?」

魔女ジェニーの深刻そうな顔に、イヌも真剣な顔で
ジェニーの話を聞きました。


…やがて、ヘリが眠っているサンテに挨拶を終えて戻ってきました。

イヌの家の周りに、動物達が噂を聞きつけてあつまっていました。

ヘリの友人達、熊、コアラ、栗鼠、馬、猿達は、心痛な面持ちでヘリを見つめました。
北の山の森がどんなに恐ろしい所か聞かされていたからです。
そんな所に、仲の良い、そして、かよわい女の子のヘリ兎が行くなんて…いっそ代わってあげたいとさえ思っていました。


「頑張ってね」

「お前なら大丈夫だ」

「無事に戻ってこいよ」

「ヘリ兎の好きなニンジンをいっぱい取っておくから、帰ってきたらお祝いしような」

「猟師イヌ、ヘリ兎のこと頼んだぞ」

そんな声援をうけて、ヘリ兎と猟師イヌは、動物達と魔女ジェニーに見送られて、
結界の森を出て、北の山の森に向けて出発しました。


結界の森を出ると、鬱蒼として暗く、荒れた森に入りました。

足場も良くない道無き道を、イヌが歩き、その後ろをぴょこぴょことヘリ兎がついていきます。


「僕の背中のバッグに入れ。ヘリ」

しばらくすると、イヌが言いました。

慣れない荒れた森の中を歩くヘリ兎がとても疲労しているのが分かりました。

「いいわよ。大丈夫」

ヘリの息はきれていましたが、懸命にイヌの後を追って歩いていました。

…足をひっぱりたくないわ。

「君を背負うくらい何でもない。いいから僕におぶされ」

尚もそう言うイヌにヘリは、ツンと顔をそむけて、
わざと足早にイヌの前に出て、ぴょこぴょこと歩いていきました。


「私、記憶力はいいの。地図は頭の中に入っているから、先に歩くわね」


「…いじっぱり」

イヌは、苦笑すると、ヘリ兎の後をついていきました。


そうして、日が暮れるまで1日中歩いたイヌとヘリでしたが、
北の山まではまだまだかかるようでした。

イヌとヘリは、高台で岩場になっている場所で野宿をすることにしました。


…あと、8日か。

猟師イヌは、たき火をおこしながら、まだ遠くに見える北の山の方を睨みつけていました。

ヘリ兎は周囲でたき火に出来そうな木の枝を集めてまわりました。

イヌは、たき火で、ラーメンを作ると、ヘリと一緒に食べました。
ヘリは美味しそうにラーメンを食べながら、

「私、ニンジンの次に、このラーメンが好きだわ」と言いました。

「ラーメンが好きな兎なんて、初めて見たよ」イヌが笑いました。

「人間の言葉を話す兎もでしょ?」ヘリが悪戯っぽく言いました。

「そうだな」

目を細めて優しい表情で自分を見つめるイヌに、
ヘリは照れくさくなって目を逸らしました。


…もし、猟師さんが、『守りの石』を取り返して、そして、魔王を倒したら…。

ヘリは、その先の事を考える事が出来なくなりました。

今の結界の森が魔王の魔力によって支えられたものだとすれば、

イヌが、魔王を倒して、そして『守りの石』を人間の世界に戻すということは、
ヘリの住む結界の森が今の状態では無くなるということでした。

当然、ヘリもただの兎に戻ってしまうのでしょう。
そうなれば、もう人間のイヌと話すことは出来なくなります。

今のうちに沢山話を聞いておきたい…ヘリは思いました。

イヌは、ヘリを先に寝かせると、たき火の番をしました。
そして、朝方になると、ヘリを起こして、夜が明ける少しの間仮眠をとりました。


こうしてその日から、夜、野宿して、就寝する前、ヘリとイヌはいろいろな話をしました。

日中、深い崖の谷間や険しい山道、荒れた森の中を歩き続け、
さらに、時々猛獣などに襲われたりするアクシデントなどもあり、
ヘリもイヌもクタクタになっていましたが、眠る少し前のこの一時が楽しい時間でもありました。


何日か過ぎて、ようやく北の山の森近くまで来た猟師イヌとヘリ兎は、
その日も野宿をしていました。

「明日には北の山の森に入れるな」

イヌが、そう言いました。

…1000年に1度の奇跡の日まで、もうあと3日。
その間に『守りの石』を見つけなくてはいけない。

「ええ。地図を見ると、もうかなり近くまで来てるわね」
…だから大丈夫。

ヘリは、イヌの不安を取り除くような明るい声で答えました。

簡単な食事を終えたイヌとヘリはたき火の側に並んで座っていました。

「…悪いな。石を取り返して森に戻るまでの辛抱だ。我慢してくれ」

食事の量が少ない事を気遣うように言うイヌにヘリが微笑みました。
体の小さい自分より、猟師イヌの方がよほどお腹をすかせているように思いました。

「大丈夫。私、ラーメン好きよ」
それに…、こうして猟師イヌの側にいて食事をするだけで嬉しいヘリでした。

「君はニンジンが好物だろう?」

「ええ。好き。…あの猟師さんがくれた『幸運のニンジン』が一番大好き。
森の中でもなかなか見つけることが出来ないけど。人間の土地にはいっぱい生えているの?」

ヘリは美味しかったニンジンの味を思いだしただけで生唾を飲み込んでいました。

「あのニンジンは、人間の土地でも珍しいものだよ。栽培が難しいんだ。かなり高値で売られている」

「そうなの」

ヘリはイヌの住んでいた人間の世界に思いを馳せました。

「…猟師さんの住んでいた所、見てみたいな」

イヌは、フッと寂しそうに笑うと、首をふりました。

「荒れ果てた地以外は何もないところだよ。緑もないし、動物もほとんどいない。…今はね」
…だからこそ、きっと『守りの石』を取り返して、昔のような土地に戻す。

イヌの心の声をヘリはジッと聞いていました。

…猟師さんは石を取り返すだけじゃなくて、奇跡の日に願いをかなえるつもりなのね。

1000年に一度、所有者が3つだけ、どんな願いもかなえてもらえるという石。

自分の住んでいた領地の土地を豊かにすること。
そして、父と母、両親を生き返らせること…。
それが猟師イヌの願い。

「猟師さんの願いはきっとかなうわ。そして猟師さんの住む所も、今の私の住んでいる森のように素晴らしい所になるはずよ。だから、頑張ろうね」

ヘリは、イヌを力づけるように言いました。

イヌは、黙ってヘリの言葉にうなずくと、ヘリの頭をなでました。
ヘリは、イヌの温かい手に優しく頭と背中をなでられ、ジッとして目を閉じました。

…眠ったか。

やがて、ヘリの目が閉じたままになった事に気づいたイヌでしたが、
そのままずっと、ヘリの背中をなでていました。


そして、呟くように低い声で一人言のように話しはじめました。


「ヘリ…、君は、不思議な兎だ。
魔力で人間の言葉が話せるという事じゃなくて。

僕は…、

両親を失ってから、ずっと、『守りの石』を取り戻す事や、荒れた領地の事を考えて生きてきて、正直疲れ果てて、心の中はすさんでいたようだった。
でも、君と出会って、君と一緒にいると、楽しくて、そしてとても安らいだ気持ちになった」

…君の純粋で、明るくて、優しいところが僕をそうさせたんだろう。

イヌは、たき火に照らされたヘリの安らかな寝顔を見つめながら続けました。

「君を傷つけると分かっていても、僕はやるしかなかった。
本当は君の泣く姿を見たくなかったのに…。謝ることすら出来なかった。

ごめん。ヘリ。

『守りの石』を取り返したら、絶対君をあの森に帰してやるから。
そうしたら…」


イヌは、そこで口を閉じて、夜空を見上げました。
星が満天の夜空でした。

イヌは、その星空を、見上げながら、いつまでもヘリ兎の体を撫でていました。

…そうしたら?

眠っているふりをして話を聞いていたヘリは、心の中で、イヌに問いかけていました。


…そうしたら?…その後は何て言おうとしたの?猟師さん。

しかし、イヌは、それきり黙ったままでした。

こうして、
イヌとヘリの心の声を閉じ込めたまま、その夜も更けていきました。



次の日。

夜になる前に、猟師イヌとヘリ兎はとうとう、北の山の森の結界の中に入ることが出来ました。

「地図の通りだと、『守りの石』はこの近くよ」

ヘリは、はしゃいだようにピョンピョンととびはねていました。

「今日はやけに元気だな」

そう苦笑するイヌに「だって嬉しいんだもの」とヘリは答えると、笑って見せました。

昨夜、猟師イヌの本心の言葉を眠ったふりで聞いてしまったヘリには、
もう怖い事などないようでした。

「これで、目的がかなうわけでしょ?」

そう言うヘリに、イヌは微笑み返しながらも、心の中では何かがひっかかっていて、
ヘリ兎のように素直に喜ぶことができませんでした。

イヌは、出発の前に魔女ジェニーの言っていた言葉を思い出していました。


『気をつけて。ソ・イヌ。ヘリ兎の首には北の森の魔王の首輪がかかってるわ。口封じでマ・サンテがあんな事になったのに、ヘリには何の変化も無いというのがひっかかるのよ。もしかすると罠かもしれない。北の山の森に入ったら、十分注意して、油断しないで』

…たしかに。

魔力のかかった首輪はどうして魔王と契約したサンテだけでなく娘の首にもついているのだろう。

もしかすると、秘密を洩らさないために人質としてヘリの首につけられていたのかもしれない。
だったら、サンテがイヌに秘密を漏らした時に同時に魔力が発動してもおかしくなかったのに…。

イヌは、ヘリの首輪に目を落としていました。

ヘリの首には魔王の魔力のかかった首輪の他に西の魔女ジェニーからもらった、魔法の水のはいった小ビンのネックレスもかかっていました。

しばらくして…。

サンテが『守りの石』を隠したという洞窟につきました。

その洞窟の中を慎重に歩いていった猟師イヌとヘリ兎は、
その奥で、台座のようになった岩の上に置かれた、石を見つけました。

その石は、光の加減で虹色に見える乳白色の
イヌの手の平におさまるくらいの丸い小さな球体でした。

「『守りの石』だ」
イヌが驚いたように呟きました。

「これが?」
イヌの言葉にヘリが、石をまじまじと見つめました。

初めて見る『守りの石』は、想像とはかなり違うものでした。

イヌは、慎重に、石に近づくと、そっと手にとりました。
手の中で石が綺麗な光をはなっています。
どうやら本物のようでした。
しかし、イヌの心は穏やかではありませんでした。

…何かおかしい。こんなにあっさりと見つかって、そしてこんなに簡単に手にいれられるなんて。

洞窟の周りには結界もなく、番人もいませんでした。
それどころか、猛獣のたぐいの動物達の姿も見当たりません。

北の山の森、魔王の管轄下というのに…。

「やったわね。猟師さん。『守りの石』を取り返したわね」

ヘリが嬉しそうに言いました。

「ああ、だが用心しろ。ヘリ」

イヌがそう言って、ヘリと一緒に洞窟を出ようとした、
その時でした。

洞窟の中に不気味な音が響いたと思うと、
何かがイヌとヘリに襲いかかってきました。

「ヘリ!!」


とっさに、ヘリを庇って、身をふせたイヌは、
背中と足に激痛を感じて地面に倒れ込みました。

「…猟師さん?…猟師さん!、猟師さん!!」

ゴオっという大きな音を聞きながら、
ヘリは、自分を抱えたまま無言になったイヌの腕の中で、
何がおこっているのか分からずに必死にイヌを呼び続けていました。


(ヘリ兎と猟師イヌの物語7終わり 8に続く)



拍手、拍手コメントの小説の感想、応援などありがとうございます。

今回は、完全にみつばの趣味の世界にはいった小説ですが、
(今までの二次小説も趣味なことは趣味でしたが)もう少し続きます。

舞台は「ロード・オブ・ザ・リング」のような世界を想像して下さい…って
分からない方もいらっしゃいますよね?(汗)
以前、みつばがどはまりした映画&小説です。アラゴルン王♪…旧日本訳名、馳男さん(笑)が好き♪

そういえば、二次小説の「100日記念日」でヘリが例えに出してましたが、
ヘリって、過去の姿をドラマで見てると、乙女ちっくな性格なので、
王子様、王女様が出てくる漫画や小説が好きで読んでいたイメージがあります。
だから、「ロード・オブ・ザ・リング」は読んでいても、「恋人たちの初デート」の「ハリー・ポッター」は読んでないということで♪

…「検事プリンセス」公式ブック出たら嬉しいですよね♪二次創作もしやすくなりますし(笑)
パク・シフさんのドラマだと「王女の男」あたりどうでしょう?小説は出てますね(韓国語だけど)


ユン熊(笑)前ブログにも書きましたが、私も最初はユン検事寄りでした。
4話のトマト事件から7話の強引キス~おんぶ~わめきイヌ~そして、10話の
「僕脱いだらすごいんです」的なシャワーシーンの上半身で完全にイヌに落ちました(笑)



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」第6話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話はドラマの「検事プリンセス」の設定やキャラクターをベースにした、
完全パロディ小説で、ファンタジー童話調で語られる、兎と猟師の純愛物語です。

思いつきで描いたパロディ4コマ漫画から生まれた、ヘリ兎と猟師イヌのキャラクター。
コメディタッチですが、完結している4コマ漫画の話は、
検事プリンセス漫画INDEX」の中のタイトル「ヘリ兎と猟師イヌ」でご覧下さい。

「ヘリ兎と猟師イヌの物語」他の話は検事プリンセスパラレル小説INDEXで。






ヘリ兎と猟師イヌの物語(6話)






「なんだと!!」

サンテはイヌの言葉に思わず立ち上がりました。

「『守りの石』を返せだと!?それに娘をどうする気だ!?」

すっかり取り乱したサンテをイヌは冷えた眼差しで見つめ続けていました。

「人間の国の西の領地『ハヌル』を御存じですね?」

「うっ…」

サンテが言葉につまりました。

「あなたが『守りの石』を奪った土地です。僕は、その『ハヌル』の領主だった男の息子です。僕は『守りの石』を取り返しに来ました」

イヌの話にサンテが冷や汗を流し始めました。

「あなたが『守りの石』を取って行ったことは分かっています。しかし、今その在りかが分からない。この森の中にはない。一体どこにあるのか、あなたは魔女ジェニーに脅されても口を割らなかった。あなたが僕にも教えてくれないというなら、仕方が無い。そうなったら、あなたの娘さんに協力してもらいます」

「娘に協力だと?何をさせるんだ?」

「北の山の森に連れて行きます」

「なんだと!!」

「北の山の森の魔王のところに、あなたが『守りの石』を持って行ったことは知っています。しかし、魔王は、まだ西の魔女の守りのかかった『守りの石』に直接触れることは出来ない。だから北の森のどこかに隠してあるはずです。あなたはその場所を御存じのはず。
そのありかの場所を話して、僕を連れて行きなさい。それが嫌だと言うなら、
娘さんを無理やり連れていくしかありません」

「あんな危険な森に娘を連れて行くことは私が許さん!!」

サンテがわめきました。

「…いいでしょう」

イヌの声の温度がさらに低く、冷たいものになりました。

「魔女ジェニーとの契約で、この森にいる間は動物達に危害を加えられない掟があります。
しかし、結界から一歩出れば契約内容は無効。娘さんを結界の外に引きずり出して、銃を向けることも出来るのですよ?」

「脅しているのか!?卑怯な!」

サンテの言葉にイヌが、目を細めました。

「…卑怯なのは誰です?人の物を奪っておいて。娘さんには自分の悪事を話してないのでしょう?あんな純粋な娘さんをずっと騙しておいて、あなたは石の見返りに魔王から権力をもらったのですか?」

「違う!!」

サンテは息巻いてイヌに言いました。

「私は権力のために魔王の手先になったんじゃない。私は…、人間が憎かったんだ」

サンテの握りしめた手がぶるぶると震えていました。

「私の妻を。ヘリの母親を奪ったのは人間だ。ヘリの母親は人里近くで、人間の銃で撃たれたんだ。私は動物達が安全に暮らせる場所が欲しかった。そんな私に魔王が声をかけたんだ。願いをかなえてやるから、石を取ってこいと。でも、石を取ったせいで人間の土地がどうなるかなんてまでは知らなかったんだ」


わめくように話すサンテの言葉をイヌはジッと黙って聞いていました。

「それに、魔王が言っていた。石の奇跡の力が覚醒する時には3つの願いの1つを私にくれるとも。だから、私は取引したんだ」

「何を願うつもりなのです?」

イヌの問いに、サンテは悲しそうに目を伏せました。

「エジャを…妻を生き返らせてくれと」


答えた後、サンテは脱力したように椅子に座って頭をかかえました。

「…すまなかった…。君と、君の国には悪いことをした。だが、私はこの森を幸せな土地にしたかった。ヘリに、もう二度とあんな辛い思いをさせることが無いようなそんな場所にしたかった」


サンテとイヌの間に沈黙が流れました。

しばらくして、サンテが、重い口を開きました。

「…『守りの石』のありかを話そう。ただ少し時間をくれ。ヘリと話がしたい。
明日の朝君の家に行く。そうしたら一緒に北の森に行こう」

「わかりました。待っています」

イヌは、頷くと、ヘリの家を出ました。


猟師イヌは丘の家に戻る途中、目の前をヘリ兎が歩いてくるのを見かけました。
ヘリも、前から歩いてくるイヌに気づきました。

「こんにちは」

すれ違いがしら、ヘリがおずおずと頭を下げて挨拶しました。

「…こんにちは」

イヌも少し頭を下げると、ヘリの横を通り過ぎて行きました。


お互い何か話したいと思ったのですが、言葉が出てきません。
ヘリとイヌは、黙って、そのまま前を向いて歩いて行きました。


ヘリが家につくと、サンテが、暗い顔をして椅子に座って待っていました。

「へり、そこに座りなさい。話がある」

「パパ…私も話があるの」

「『守りの石』のことか?」

「どうしてそれを?」

驚くヘリに、サンテが苦笑しました。

「それは私の台詞だ。ヘリ。もうほとんど猟師や魔女ジェニーから話は聞いたのだろう?」

サンテの言葉にヘリが固い表情で頷きました。

「…話は本当だ。私が15年前、人間の西の領地から『守りの石』を盗み出して、北の森の魔王に届けた。そして、見返りに、この森の動物達が人間のように暮らせるようにしてもらった」

「どうして、そんなことを?」

ヘリは震える声で聞きました。

「お前や、お前の子供たちが、幸せに暮らせる場所が欲しかったんだよ。西の森の魔女の守りで森は穏やかだったが、お前達にはもっといい所に住んで幸せになって欲しかった」


「私は、十分幸せだわ」

へりが言いました。

「だって、パパと一緒だったんだもの」

サンテはそっと目にたまった涙をぬぐいました。

「…私はあの猟師に『守りの石』を返すつもりだ。明日、猟師の手助けをして北の山に向かう」

「パパ」

ヘリは感動したようにサンテを見ました。
サンテは、ヘリに微笑んでみせると、言いました。

「だから、お前は何も心配しなくていい。安心して、私達の帰りを待っていなさい」

「わかったわ。パパ」


しかし、その夜遅く。

サンテはイヌの家に向かいました。

自室の部屋で眠ったふりをしていたヘリは、サンテの出て行く音を聞くと、
布団から抜け出して、こっそりとサンテの後を追いかけました。


イヌは、やってきたサンテを家の中に招き入れました。

「どうしたのです?約束は明日の朝のはずですか?」

サンテは青い顔をしていました。

「約束通り、『守りの石』のありかを伝えに来た。
その場所はこの地図に書いてある」

サンテはイヌに巻紙を渡しました。

「地図?話は聞きますが、一緒に行くのになぜ地図を?」

その時、椅子に座っていたサンテの体がグラリと揺れて床に崩れ落ちました。

「!!」

イヌの家の窓から中を伺っていたヘリも驚いて、
とっさにイヌの戸口から中に飛び込みました。


「パパ!!」

サンテの首輪が妖しい光を放って、そして、サンテの首を絞めつけていました。


「これは!?」

イヌが驚いて、サンテの体を抱き起しました。

「…魔王の力だ。私が誰かに秘密をもらしたら発動する魔力がこめられていた。…私が死んだら、この首輪ははずれる。…そうしたら、この首輪を持って、北の山にむかえ…。結界を通れる」


サンテは息も絶え絶えにイヌに言いました。

ヘリもサンテの側に駆け寄っていました。

「ヘリ……辛い思いをさせて悪かった。幸せに生きろ。猟師ソ・イヌ…君にも…本当に悪い事をした…ゆるしてくれ」

魔王の首輪はどんどんサンテの首を締め付けるようでした。

イヌは、ナイフを取り出すと、サンテの首輪にあてて切ろうとしました。

サンテが苦しい息の中、必死でイヌの手を止めようとしました。

「や…めろ。私が生きているうちに首輪をはずしたり、切ってしまったら、魔力がなくなる。…私が死んでから首輪を取るんだ」


イヌはサンテの必死の制止の言葉もきかずにナイフに力を込めて、首輪を切ろうとしていました。

ヘリは半泣きでその様子を見守っていました。

やがて、プツリという音がして、首輪が切れました。

床に落ちた首輪は妖しい光も消え、そして同時に、魔力も消えたようでした。

サンテは青い顔をして、気を失っているようでした。

「君は父親の側にいろ。僕は魔女ジェニーを呼んでくる」

イヌはヘリにそう言うと、銃を持って結界の外に走っていきました。

「パパ」

ヘリは、泣きながらサンテの体にしがみついていました。
心臓の弱弱しい鼓動が聞こえて、サンテは生きているようでした。

やがて、猟師イヌが魔女ジェニーを連れて家に戻ってきました。

ジェニーはサンテの姿を見ると、眉をひそめました。

「…北の魔王の魔力の光の毒が体に入ったようね」

ジェニーは、横たわったサンテを魔法の力で慎重に癒していきました。

その様子をヘリが心配そうにジッと見つめ、イヌはそんなヘリを安心させるように頭を優しく撫でていました。

しばらくすると、サンテの顔に赤みが戻ってきました。

魔女ジェニーはホッと息をつきました。

「これで命に別条はなくなったわ。2、3日もすれば動けるようになるでしょう」

「ありがとう。魔女ジェニー」

ヘリはお礼を言うと、眠っているサンテの側にいきました。

「それにしても…」

魔女ジェニーは床に落ちていた切られた首輪を手にとって溜息をつきました。

「この首輪を切ってしまうなんて…。もうこの首輪には魔王の魔力は無いわ。『守りの石』のありかが分かっても結界が通れないなら意味がないのよ?」

猟師イヌを責めるようなジェニーに、ヘリはイヌをかばうように前に出ました。

「猟師さんはパパを助けるために首輪を切ってくれたの。そうしなきゃパパは助からなかったわ」

「そうでしょうね。でも、これで魔王の結界の中に入ることは不可能になった」

ジェニーの言葉に、ヘリが首を振りました。

「いいえ、私がいるわ。私はまだ魔王の魔力を持つ首輪をしている。私が猟師さんと一緒に北の森に行くわ」

「へり」

猟師イヌは驚いた目をヘリに向けました。

「分かってるのか?遊びに行くわけじゃないんだぞ。北の森に行くには険しい山道を通らなくてはいけないし、危険な動物達も沢山いる。それに魔王の管轄の森に入ったら命の保証はない」

イヌの言葉にヘリがプッと噴き出しました。

およそ、この重い空気には似つかわしくないヘリの笑顔でした。

「でも、猟師さんはそこに行くつもりなのよね?そして、行くには私が必要な事も分かってるじゃない。今さら何を言ってるの?」

可笑しくて仕方が無いというように笑うヘリにイヌは渋い顔をしました。

「あなたの負けね。イヌ。ヘリ兎の方がよっぽど肝が据わっているわ」

魔女ジェニーも笑って言いました。
そして、笑い終えると真面目な顔でイヌの方に向き合いました。

「もう時間がないわ。明日の朝には出発しないと」

「ああ」

イヌは、重苦しい顔でうなずき、そして、ヘリの方を見ました。


…出来れば一緒に連れて行きたくなかった。
そんな顔をしているイヌにヘリは、微笑みました。

猟師イヌが自分の事を心配してくれる気持ちが嬉しかったのです。

魔女ジェニーはまた明日の朝、イヌ達が出発する前にここに来ると言い残して、
家に帰って行きました。

その夜。

ベッドをサンテに貸していたイヌは、部屋の隅で藁を積み上げた上にシーツをひいて、
ヘリと一緒に横になりました。

「北の山に向かうまでは何日か野宿になる。今日はゆっくり眠っておくんだ」
イヌがそう言いました。

「わかったわ」と言ったヘリでしたが、暗闇の中で目を閉じると、明日からの不安と魔王に対する恐怖心に襲われて、自然と体が震えていました。

そんなヘリ兎の様子に気づいたイヌは、ヘリの体を胸に引き寄せると、抱きしめました。

「猟師さん…」

別の意味でドキドキしてきた兎は、イヌの腕の中で体を固くしていました。

「大丈夫だ…君のことは僕が守ると約束する」
…だから安心しろ。

そう小さく低い声でしたが力強い猟師イヌの言葉。

イヌの腕の中の温かさに、ヘリは心底安心して、そっとうなずくと
その夜はゆっくりと眠りにつくことが出来たのでした。

そして―――。

猟師イヌとヘリ兎が北の山の森に向かう朝がきました。


(ヘリ兎と猟師イヌの物語6終わり 7に続く)


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ヘリ兎と猟師イヌの物語(5話)





「どこから話を聞いていた?」

イヌがヘリに聞きました。

「…私を利用してるってところから」

ヘリは言いました。

魔女ジェニーは深い溜息をつくと、ヘリの所に近づきました。

「中に入って。ヘリ兎。この際だから貴女には詳しい事情を知ってもらう必要があるわ。
あなたも知りたいでしょう?」

ヘリはコクリは頷きました。

「ジェニー、席をはずしてくれ」

イヌの言葉にジェニーが顔をしかめました。

「ここは私の家よ」

「頼む。“二人だけ”にしてくれ。ヘリには僕から話をしたい」

「…分かったわ」

イヌの固い決意をしたような表情を見たジェニーはしぶしぶ頷くと、
家の外に出て行きました。

ジェニーが家を出て行くと、イヌはヘリ兎を手招きしてテーブルの椅子に座らせました。

「・・・・・・」

しばらく向かい合ったまま沈黙していたイヌとヘリでしたが、
イヌが、思い切ったように口を開きました。


「…先に僕があの森に来た目的を話しておこう。僕の目的は、『守りの石』だ」

「『守りの石』?…知ってるわ。昔パパが森に持って来たという魔法の石のことね。
その石を持つ者には強大な守りの力が授けられるという…」

ヘリの言葉にイヌが、薄く笑いました。

その笑みには、冷たい憎悪のようなものが感じられました。

「『守りの石』が元々どこにあった物か君は知っているか?
あの石は、昔から僕の国の領地で管理されていた魔法の石だったんだよ。
そして、それを管理するのは代々その時代の領主…僕の父だった」

ヘリ兎はハッとして息をのみました。

父サンテが石を持って来たという話は知っていましたが、その石がどこにあって、誰のものだったかは知らなかったのです。

「猟師さんは、領主さんの息子なの?」

イヌは頷きました。

「15年前。『守りの石』を管理していた屋敷の結界が破られて、石が何者かに奪われてしまった。必死に捜索したが、犯人も守りの石も見つけることが出来なかった。領主の父親は、『守りの石』を失った責任を取らされて、牢屋に入れられた。そして、しばらくして牢屋の中で病死した。…母もその後、心労や苦労が重なって父の後を追うように亡くなった」

「・・・・・・」

ヘリは、イヌの話を黙って聞いていましたが、小さく震えていました。

イヌの顔も青白くなっていました。

「もともと肥沃ではない土地を魔法の力で豊さを保っていた領地は、
『守りの石』を失ってどんどん荒れ果てていった。畑には作物は実らず、木々や緑も枯れていった。人々は領地を離れ、そして、慣れない狩りや漁で飢えをしのぐような生活を強いられるようになった。…僕はあれから、ずっと『守りの石』の行方を追っていた。そして、君の父親、サンテが『守りの石』を盗んだ事をつきとめたんだ」

「…でも、どうして?…パパが『守りの石』を盗む事が出来たの?
屋敷には結界がはられていたんでしょ?ただの兎に結界を破るなんて出来るわけがないわ」

ヘリが反論するように言いました。
父サンテがそんな事をするはずかないという可能性を1パーセントでも信じたかったのでした。

イヌはヘリの言葉に頷きました。

「ああ、確かにその通りだ。君の父親だけの力だったら不可能だった。
『守りの石』の結界は代々西の魔女がはることになっている。人間にだって破る事は出来ない。…何者かが君の父親に力を貸していたんだ」

「何者かって?」

イヌは暗く鋭い目を窓の方に向けました。
窓の向こうには森が広がって、そして、その向こうには遠くの山々が見えます。
イヌが、低い声で言いました。

「…北の山の森に住む魔王だ」

「魔王…」

ヘリは、茫然としてつぶやきました。

噂だけは聞いたことがありました。
北の山の森には、それはそれは、恐ろしい魔法を使う魔王が住んでいると。
森の動物達や領地の人間達にも悪い事をするとも聞かされていました。
でも、結界に守られていて、さらに西の魔女の管轄に入っている森には
手出しは出来ないから安心しろ、と父サンテから聞いたこともありました。

イヌが話を続けました。

「これは、推測にすぎないが、おそらく君の父親サンテは、北の森の魔王の指図で『守りの石』を持ち去ったのだろう。
サンテには西の魔女の守りがあったから結界の中でも入れたんだ。
それに魔王の魔力が加われば、屋敷の守りを破る事は可能だっただろう。
そして、石を盗んだ見返りが、あの森の今の状態だ」

「どういうこと?あの結界の森は『守りの石』と西の魔女に守られているんじゃないの?」

ヘリの不思議そうな声にイヌは首を振りました。

「『守りの石』の力は普段は土地を豊かに守るだけの魔法で、動物達を人間のように生活させる事は不可能だ。結界は西の魔女のものだが、君達の森のあの状態は、魔王の魔力によって作られたものだよ」

「!!」

今度こそ、ヘリは驚愕のあまり声も出なくなりました。

美しく豊かで安全な森の状態も、自分や、森の動物達が人間のように話をして、
暮らしていたのも、全部魔王の魔力のおかげだったなんて…。

「魔女ジェニーも守りの石を探していた。サンテが『守りの石』を盗んだ事は分かっていたようだ。何度も問い詰めたらしいが、『守りの石』のありかは言わなかったらしい。そして、すでにサンテは魔王の魔力で守られていたため、手出しすることも出来なかったようだ。その後魔女ジェニーは、直接北の森の魔王と対峙して戦ったようなのだが、ほとんど力を奪われてしまって、最近まで回復するために眠りについていた」


…だから、ずっと森に姿を見せなかったのね…。

ヘリは家から出て行ったジェニーの姿を探すように戸口に目を向けました。

「だから…あなたと魔女ジェニーは手を組んで、『守りの石』を取り返すことにしたのね」

ヘリの言葉にイヌがうなずきました。

「もう、サンテには直接言葉で交渉しても聞かないことは分かっていた。
話しあいでは『守りの石』を取り戻すことは不可能だ。
魔王に脅されているのか、それとも、何か他に事情があるのかもしれないが、
サンテは命をかけても『守りの石』のありかは言わないだろうと、魔女ジェニーと僕は確信していた。…だからヘリ、君に目をつけた」

…私に?

「君はサンテの一人娘だ。そして、あの森の中でサンテの他に唯一、北の魔王の魔力をもった首輪をしている。北の魔王の結界の中に入るには、その首輪をした者が必要だ。サンテが無理だというなら、君を連れていこうと思った」

…近づいて、そして、気を許させて。

素直で単純な娘だと魔女ジェニーから聞いていたから、簡単に手なずけられると思っていた。そして、言い含めて、『守りの石』を探させること。
それが目的だった。でも…。

「…それだけじゃないんでしょう?私がサンテの娘だから、もし私があなたの計画通りにならなかったり、話を拒否したら、私をおとりにしてパパを脅すつもりだったんでしょう?」

暗い目をしたイヌが頷きました。

「その通りだ」

ヘリは、大きく丸い目から涙をあふれさせていました。

猟師イヌの話に、驚き、悲しみ、そして、どうしようもない虚しさと悔しさ。
さまざまな想いが心の中でうずまいていて、ただ泣くことしかできませんでした。


猟師イヌは、そんなヘリを冷静な顔で見つめていました。

「君が泣いても、嫌だと言っても、僕はやるしかない。僕には父のかわりに領地の人々の生活を守る義務と責任がある。それに今も人々の生活は苦しく、子供たちは飢えている。早く『守りの石』を取り戻して国を前のように豊かな土地にしたい。それが僕の願いだ」


…そのために、1匹の兎を利用することに何のためらいもない。

まるで、そんなイヌの言葉にヘリは、ますます涙をあふれさせました。


「…話は分かったわ。…少し考えさせて」

ヘリはそう言うと、椅子から飛び降り、
イヌの方を見向きもしないで魔女ジェニーの家を出ました。

「送って行く」

イヌが、ヘリの後ろからついてきて言いました。

「…いらない」

ヘリは、うつむきながらどんどん歩いて行きました。

イヌはそっと溜息をつくと、ヘリ兎からつかず離れずの距離を保って後ろから見守り
ヘリが無事結界の森までたどり着くまでついて歩いていきました。

なんとか、森の自宅についたヘリは、フラフラと自室の寝床の上に倒れ込みました。

そして、さっきの猟師イヌとの会話を思い出していました。


…猟師さんの目的はパパの盗んだ『守りの石』を取り返すこと。
そのために目的が同じ魔女ジェニーと契約を結んだ。
そして…そのために私を利用しようとした。
…今まで優しくしてくれたのも、狼から助けてくれたのも、全部
私が計画に必要だったからだったんだわ。

ヘリは、その夜一晩中、寝床の中でしくしくと泣いていました。


次の日。


ヘリは、魔女ジェニーの家をたずねました。

魔女ジェニーは、怖い顔をして、一人で来たらしいヘリに、
ニッコリと微笑みました。まるで昨日何も無かったかのような表情でした。

「何か御用かしら?」

「猟師さんから話を聞いたけど、貴女からも話を聞きたいの」
ヘリは言いました。

「いいわよ。どうぞ」魔女ジェニーはヘリを家に招き入れました。

「何を聞きたいの?」

「魔女ジェニーさん、貴女の目的も『守りの石』なんでしょう?それを取り返すために、猟師さんが私を利用しようとしたように、貴女は猟師さんを利用しているんじゃないの?」

ヘリの鋭い質問にも魔女ジェニーは涼しい顔で頷きました。

「その通りよ。あなたは私が思っていた以上に賢い兎のようね。
私には、あの猟師イヌと同じであの国の土地を守るという使命がある。
だから『守りの石』はどうしても取り戻さなくてはいけないの。
そして、それだけじゃない。北の魔王に奪われた私の魔力を取り返したい。
それが出来るのは、あの猟師しかいないと思ったのよ。
北の魔王を倒して、石も魔力も取り返してくれるのはね」


…魔王を倒す?


ヘリは、想像していた以上の事をジェニーに言われて、顔を青ざめさせました。


「猟師さんに、魔王を倒させようとしているの?そんな危ないことどうしてさせるの!?ひどいわ」

ヘリの荒げた声に魔女ジェニーが面白そうにコロコロと笑いました。

「あら、その猟師に怒っていたんじゃないの?利用されて。そんな貴女がどうして猟師の心配をするのかしら?」

「・・・・・・」

「お人よしね。兎さん。そんな貴女だから、利用しろと猟師を焚きつけたのは私よ。それに、猟師自身、私に利用されていることを知ってるわ。分かってるのよ。もう、それしか『守りの石』を取り返す方法は無いって。時間もないもの」

「時間って?」

「猟師イヌから聞いてないの?『守りの石』の奇跡の力のこと?」

ヘリは首を横にふりました。

ヘリが本当に知らない事を悟ったジェニーは溜息をつくと話はじめました。

「『守りの石』にはね。1000年に一度、大きな魔力が覚醒する時があるの。
その時、石を所有していた者には3つの願いが叶うと言われているわ。どんな事でもね。
その日が今近づいてきているの。今から10日後の5月22日正午よ。石は太陽の光の下でしか力を発揮しないけど、おそらく北の魔王は、その魔力で、良からぬことを願うに違いないの。そうなったらこの世界がどうなるか分からない。それは絶対に阻止しなくてはいけないの」


…『守りの石』にそんな大きな力が…。

ヘリ兎は愕然となってジェニーの話を聞いていました。

「だからこそ、私も猟師も『守りの石』を取り戻したい。でも猟師イヌには他にも目的があるみたい」

「目的って?」

「3つの願いの中で、自分の両親を生き返らせたいのよ」

「・・・・・・」

ヘリ兎の胸がズキンと痛みました。

ヘリには母親がいません。
ヘリは覚えていませんでしたが、小さい時に亡くなったと聞かされていました。
顔を覚えていませんでしたが、会いたいと思う時がありました。

『守りの石』を無くしたせいで、両親を失ったイヌの気持ちが痛いほど分かりました。

「それに、領土のことも。守りの石を取り返したとしても、石の魔法は緩やかに作用するから、荒れ果ててしまった土地を緑にするには時間がかかる。イヌは、奇跡の力を使って、未来永劫、国の人々が豊かに暮らせる所であるよう願うつもりなのよ」


ヘリは、結界の森を素晴らしい所だと、うらやましそうな表情で言っていたイヌの事を思い出しました。

イヌの住んでいた領地も、『守りの石』がある時は、きっと豊かで素晴らしい所だったのでしょう。


「イヌは『守りの石』を取り戻し、願いをかなえたい。私は石と自分の魔力を取り戻したい。私達の利害は一致している。お互い利用ではなく協力しあっている、とも言えるわね」

魔女ジェニーが言いました。

「…魔王を倒すことは簡単なことじゃないわ」

ヘリの言葉にジェニーが頷きました。

「彼は命をかけている。それも覚悟の上よ」


…イヌが、どんな思いで森に来たのかようやく分かったヘリでした。
自分の子供っぽい拗ねた感情など、そのイヌの強い想いの前には、くだらない事のように思われました。


「分かったわ。私も協力する」

ヘリは覚悟を決めたようにきっぱりとジェニーに言いました。

「ありがとう」

魔女ジェニーは、少し微笑むと、ヘリに頷いてみせました。


しかし、その頃。

イヌがヘリの家を訪れていました。

イヌを見たサンテは渋い顔をしましたが、イヌを家の中に招き入れました。

「一体、なんの用だね?ヘリに用事か?ヘリは今出かけているが」

そう言うサンテをイヌがジッと見つめました。
その目は、今まで見た事もないほど険悪で、憎しみの感情に満ちていました。

「な、なんだね?」

イヌの目にサンテがひるんだように、体をそらせました。

しかし、口を開いたイヌの言葉は静かでした。

「話し会いにきたわけではありません。最後通告です」

イヌは、まるで嵐の前の静けさのように、穏やかで、淡々とした口調で
サンテに向かって言いました。


「守りの石を返しなさい。でなければ、娘さんを奪います」


(ヘリ兎と猟師イヌの物語5終わり 6に続く)



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ヘリ兎と猟師イヌの物語(4話)





ヘリ兎を背負った猟師イヌが結界の森につくと、
そこには、噂を聞いた多くの動物達と、戻ってきていたサンテが待っていました。

イヌはリュックサックの中からヘリを取り出すとそっと地面に置きました。

「戻ったのか」

ユン熊はイヌとヘリ兎を見てホッとしたように息をつきました。

先についていた子タヌキの兄弟は、ヘリの姿を見ると、喜んで飛んできました。

「ヘリ姉ちゃん。良かった。無事だったんだね」
「途中で猟師さんに会ったら、猟師さんが『兎の事は僕にまかせて、森に帰っているんだ』って言ったから…」

…え?

ヘリは、子タヌキ達の言葉に驚いてイヌの方を見上げました。
イヌは素知らぬ顔をしていました。

サンテが渋い顔で怒ったようにヘリの方に近づいてきました。

「なんて無茶な事をしたんだ。どうして私を待たなかった?
結界の外には出るなとあれほど言っておいたのに」

そうヘリにどなりつけるサンテの前にタヌキの夫婦がとりなすように出てきました。

「ヘリさんを責めないで下さい。子供たちを助けてくれたんですから。
ヘリさんが来てくれなかったら、子供たちは狼に食べられていたかもしれません」

サンテはタヌキの言葉に少し冷静さを取り戻したような顔をしましたが、
銃を肩にかけたイヌの姿を見ると、再び顔をしかめました。

「…とにかく、みんな無事で良かったが…どうして君がヘリと一緒にいる?」

今度は、ヘリがあわててイヌをかばうようにサンテの前に出ました。

「パパ、猟師さんは私を助けてくれたのよ。足がぬかるみにはまって動けなくなって狼たちに食べられそうになっている所を、銃で助けてくれたの」

「お前を助けてくれただと?」

サンテは信じられないという顔でイヌをジロジロと見つめました。

動物達もそんなヘリ達の様子を遠巻きで眺めながら、ヒソヒソと話をしていました。

…兎を助けたって。

…悪い人間じゃないのかな?

「…とりあえず礼を言っておく」

サンテは、渋々イヌにそう言うと、「帰るぞ」と言ってヘリを促し、家の方に歩きだしました。

ヘリは、イヌの方を振りかえり、ぺこりとお辞儀すると、
サンテの後をヒョコヒョコとついて丘の下に降りていきました。

…家について。

ヘリは、サンテがまだ納得いかないように怒っているのを、
ほとんどうわの空で聞きながら過ごしていました。

そして、寝床に入ると、森中を歩きまわってクタクタになっているはずでしたが、
猟師イヌの事を考えて眠れなくなっていました。

…偶然出会ったんじゃなかったんだわ。私があそこにいること知ってて、助けに来たの?どうして?森の外に出たら、契約なんて関係ないのに。…それに。

ヘリは、イヌの温かい背中のぬくもりを思い出していました。

…ほんとは親切で優しい人間なのかも。


それからのヘリにとって、猟師イヌは、ますます気になる存在になりました。

ヘリは、翌日から再びサンテの目を盗んで、イヌの所に行くようになりました。

イヌの家には、他の動物達も訪れるようになっていました。
それは、先日、イヌがヘリ兎を助けたという噂が広まって、イヌに対する不信感を無くした動物達が好奇心でイヌに近づいてきたからでした。

子タヌキ達も、すっかりイヌになついた様子でした。
動物達が持って来た森のお土産で、イヌの家は美味しい食べ物でいっぱいになっていました。

…あんなにあったら、もうこれはいらないわね。
ヘリは、手にもっていたリンゴを見て溜息をつきました。

一度森の中に戻ったヘリは、ある物を探しまわり、ようやくそれを見つけると、
それを持って再び猟師イヌの所に向かう時には日が暮れかかっていました。

動物達は帰った後で、家にはイヌが一人でいました。

「猟師さん」

「ヘリ?」
…今日は遅い訪問だな。何かあったのか?

イヌは体全体に砂や木々の葉がついて汚れたヘリの姿に気づきました。

「これ」

ヘリが家から出て来たイヌに花の鉢を渡しました。

「これは?」

「森の中で『願いをかなえる花』と言われる花よ。猟師さんにあげる。」

それは、七色に輝く珍しい花でした。
イヌは、とまどったように花の鉢を見ました。

…これを探すために…見つけるのに苦労したんじゃないか?

「助けてくれて嬉しかったから」

照れくさそうに言うヘリをイヌが感慨深めに見つめました。

そして、自分を見つめる可愛いヘリ兎の笑顔にイヌの心がズキリと痛みました。
純粋無垢で素直な瞳。その中に明らかに自分に対する好意を感じとったイヌは、
たまらない気持ちになってヘリ兎から目を逸らしました。

「…ありがとう」
イヌの言葉にヘリがパアっと嬉しそうな顔をすると、森の中に帰って行きました。

イヌは、その後ろ姿をジッと見送っていました。


その後も、ヘリはイヌの所を毎日訪問したのですが、
次第にイヌが留守がちになって会えない事が多くなりました。

…どうしたのかしら?外に狩りに行ってるのかしら?

ヘリは、そわそわしながら、結界の外を見つめて、猟師イヌの帰りを待っていました。

すると、結界の向こうからイヌが戻ってきました。

…猟師さん!

嬉しさで駆け寄りそうになったヘリでしたが、
イヌが一人で無いことに気づくと思わず足を止めました。

イヌは、魔女ジェニーと一緒でした。
二人は談笑しながら、こちらに近づいてきていました。

「あら?」

魔女ジェニーがイヌより先に二人を見つめて家の前に立っていたヘリに気づいたようでした。

「こんにちは」

ヘリがおずおずと挨拶しました。

「こんにちは。イヌに会いに来てたの?」

ジェニーの言葉に、ヘリはチラリとイヌの方を見ました。

イヌは、無表情でヘリを見つめていました。
なんだか、冷たく感じるイヌの態度にヘリはがっかりしました。

…私、お邪魔なのかしら。

「いいえ。…結界の外を眺めていたところなの。もう帰るわ」

そう言って、ヘリ兎はすごすごと森の中に帰って行きました。

そんなヘリの後ろ姿をイヌは辛そうに見つめ、
魔女ジェニーは、そんなイヌを呆れたように見つめました。

「…計画はうまくいってるように見えるけど、今の態度は何かしら?」

「…ここでその話はしないでくれ」
…この森の中で。

イヌは低い声でそう言いました。


「分かってるの?もう時間が無いのよ?」

魔女ジェニーの意味深な言葉にイヌが溜息をついて空を見上げました。

「分かってる…」
…十分に分かってる。そんなことは。だけど…。

空は暗い雲でどんより覆われていて、まるでイヌの心の中のようでした。


その頃、
森の中をヘリ兎は、悶々としながらとぼとぼと歩いていました。

…さっきの猟師さんと魔女ジェニーはとてもお似合いに見えたわ。
そうよね。だって猟師さんは人間だし、魔女ジェニーも元人間だもの。
それに、とっても仲良さそうだった。
そもそも、猟師さんがこの森に来たことを許すくらいだから魔女ジェニーと猟師さんって前から知り合いだったんだわ。

どういう関係なのかしら?

友達…恋人?

そんな事を考えたヘリ兎はだんだん悲しくなってきました。
それでもへり兎は自分がどうしてこんなに悲しくなっているのか分かりませんでした。

ヘリ兎は、まだ誰かを本気で好きだと思った事がなかったのです。

ヘリは、次の日も猟師イヌの所を訪ねました。

しかし、ヘリを見た猟師イヌは、昨日のような冷めた態度で
ヘリと接しました。

「なにか用?」

…機嫌が悪いのかしら?

ヘリは、イヌの態度にもめげずに明るい声で話かけました。

「猟師さんのラーメンが食べたいの」

「・・・・・・」

突き放そうと考えたイヌでしたが、結局、ヘリにラーメンを作ってあげました。
へりはそれを美味しそうに食べました。

「それを食べたら帰ってくれ。僕は出かける用事がある」

イヌがそっけなく言いました。

「出かけるってどこに?狩りに行くの?それとも…魔女ジェニーのところに行くの?」

「君に言う必要はない」

イヌは冷たく言うと、ヘリに背を向けて荷造りを始めました。

「ええ、わかった」

ヘリ兎は内心とても悲しかったのですが、明るい声で返事をして、
ラーメンを食べました。ラーメンは口の中でもう何の味も感じませんでした。

ヘリがラーメンを食べ終えると、イヌにお礼を言って、家を出ました。

「ごちそうさまでした。ありがとう」

そう言って、ぴょこぴょこ去って行くヘリの後ろ姿を
イヌが悲しそうに見つめている事をヘリは知りませんでした。

しばらくして、イヌは、荷物と銃を持って森の結界の外に出ていきました。

しかし、家の影に隠れてその後ろ姿をヘリが見ていた事に気づいていませんでした。

ヘリも結界を出ると、足音をしのばせて、離れた場所からイヌについていきました。

イヌはどんどん歩いていき、そして、西の森に入っていきました。

…やっぱり。魔女ジェニーのところに行くんだわ。

ヘリはなぜかズキズキする自分の心に首をかしげながら、歩いて行きました。

そして、イヌが魔女ジェニーの家の中に入ったのを茂みに隠れて遠巻きから見守っていました。

「どうしたの?何か相談?」

魔女ジェニーは、重い空気をまとわせた、イヌのただならぬ様子に顔をしかめました。

「魔女ジェニー…僕はこの計画をやめたい」

イヌの言葉に魔女ジェニーはますます顔をしかめました。

「本気なの?どうして?これはあなたにとって今までの人生をかけた計画だったんでしょう?」

「…僕はもう誰も傷つけたくないんだ」

弱弱しく言うイヌに魔女ジェニーは呆れたような顔をしました。

「誰もってどういうこと?この計画で傷つける人はいないじゃない。…いえ、いてもそれは当然の報いじゃないかしら?貴方が気にすることではないわ。…違うわね。貴方の言っている誰かっていうのは、『娘』の事ね?」

ジェニーの言葉にイヌは暗い目をジェニーに向けました。

…何を話しているのかしら?

ヘリは、ジェニーの家の近くまで来ると、そっと窓から中を覗き込みました。
魔女ジェニーと猟師イヌが話している姿は見えましたが、会話が聞こえません。
何かとても深刻そうです。

…ここじゃ聞こえないわ。

ヘリは、どこか聞こえる場所に行こうとあたりを見渡しました。

家の中ではジェニーとイヌの会話が続いていました。

「『守りの石』を取り戻すのがあなたの使命でしょ?
それに、守りの石の1000年に1度の奇跡の日も近付いている。その日に間に合わなければ、あなたの長年の念願はかなわない。それを分かっているの?」

「分かってる」

「どんなに大事なことかも分かってる?その為に貴方はここまで来たんでしょう?
そして、計画にはあの兎の娘が必要なことも。それに体を傷つけるわけじゃない。
何をためらっているの?」

「やめてくれ」

ジェニーのきつい尋問のような問いにたまらなくなってイヌが声を荒げました。

「僕にはもう耐えられない。あの娘を騙して利用するなんて」
…あの純粋で優しい娘を…。

「しっかりして。ソ・イヌ。彼女は人間のように生活しているけど、ただの兎なのよ」

「違う!」

「何が違うの?どうしちゃったの?同情?憐れみ?彼女に愛着でもわいた?彼女はサンテの娘なのよ。『守りの石』を盗んだ極悪兎で、あなたの住んでいた所やご両親をあんな目にあわせた憎い兎の娘なのよ?」

「違う、違う!!」

イヌが激しくかぶりを振ってうつむきました。
そして、強く両手を握りしめました。

「彼女は、ヘリはそんなんじゃない」

「…そんなんじゃない…って?何?」

猟師イヌと魔女ジェニーは、小さく聞こえた第三者の声に、
ハッとして家の戸口の方を振り返りました。

ジェニーの家の戸が少し開いていて、そこにヘリ兎が震えて立っていました。

「…どういうこと?パパが極悪兎で、盗んだって…。猟師さんが…私を利用してるって、どういうこと?」

「ヘリ…」

ヘリは激しく動揺していて、
猟師イヌの顔も魔女ジェニーの顔もまともに見ることができませんでした。

今聞いた会話の意味が全く理解できませんでした。
しかし、はっきり分かったことがありました。

猟師イヌが森に来たのは、目的のために自分を利用するためだったということ。


「ヘリ…」


イヌは、唇を引き結んで、戸口で震えながら睨みつけているヘリと見つめあいました。


(ヘリ兎と猟師イヌの物語4終わり 5に続く)



いつも拍手、拍手コメントありがとうございます♪

「ヘリ兎と猟師イヌの物語」は「検事プリンセス」のパロディ小説なので、
ドラマの名シーンに似た場面が所々に出てきます♪

2話では、8話のラーメンのシーン。3話では8話のおんぶシーン。
この4話には9話、10話、11話のシーンが入っています。
どこに何が投影されているかは、ドラマを見ていた方ならすぐ分かるかと♪
もう10話のバーでのジェニーとイヌの会話シーン、ほとんどそのまんま(笑)

猟師イヌの目的が、何となく分かったところで5話に続きます。

韓国ドラマの「シティハンター」
あれ、日本の漫画が版権なのかしら?…とずっと思ってたのですが、
内容やキャラクターは全く別物でした。
4コマ漫画にも描いたことがあったのですが、これ(笑)
私は漫画とアニメの大ファンだったもので♪アニメソングのCDも持ってます(笑)
↑年ばれますね。

明日と明後日のブログは予約投稿になります。
…といってもいつも通りの時間にこの小説の続きを更新予定。
コメント等のお返事は遅れますが、何かあったら拍手コメントか二次小説INDEXページのコメント欄、またはメールフォームよりお知らせ下さい。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」第3話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話はドラマの「検事プリンセス」の設定やキャラクターをベースにした、
完全パロディ小説で、ファンタジー童話調で語られる、兎と猟師の純愛物語です。

思いつきで描いたパロディ4コマ漫画から生まれた、ヘリ兎と猟師イヌのキャラクター。
コメディタッチですが、完結している4コマ漫画の話は、
検事プリンセス漫画INDEX」の中のタイトル「ヘリ兎と猟師イヌ」でご覧下さい。

「ヘリ兎と猟師イヌの物語」他の話は検事プリンセスパラレル小説INDEXで。






ヘリ兎と猟師イヌの物語(3話)




その日、
ヘリの父サンテは森の寄り合いがあると言って、朝から出かけていました。

ヘリ兎は、サンテの言いつけ通りに、家の中にいて、家事仕事をして過ごしていました。


…今ごろ猟師さんは何をしてるのかしら?

そんな事を考えて溜息をついていた時、

ドンドンドンと家のドアを激しく叩く音がしました。


「大変です。大変です」

緊迫した声が外からしました。

…どうしたのかしら?

ヘリが家のドアを開けると、外には、タヌキの夫婦が泣きそうな顔で立っていました。


「サンテさんは?」

「今、留守にしているわ。一体どうしたの?」

「子供たちが結界の外に出てしまったんです」

「ええ?」

「遊んでいて、結界を踏み越えて…そしたら、よんでもこちらの声が届かなくなってしまって、結界の外の森の向こうに行ってしまって…サンテさんなら結界の外に出てあの子達を連れ戻してくれると思ったのですが…」

タヌキの奥さんは、取り乱して、ほとんど崩れ落ちそうになっていました。

ヘリは、そんなタヌキの奥さんを見て、すぐに決意を固めました。

「安心して。私が子供達を連れ戻すから」

「え?」

タヌキの奥さんと旦那さんが、びっくりしたような目をヘリに向けました。

ヘリは、力強くうなずくと、二人の制止の声も聞かずに、走り出していました。


一方。

森の中で食べ物の果物や木の実を採集して、丘の上の家に戻ってきた猟師イヌが家の前に誰かいることに気づいて目を細めました。

…あれは…。

「人間、聞きたいことがある」

家の前にユン熊が立っていました。

「なんだ?」

「この結界の外にヘリ兎が出て行ったのを見なかったか?」

イヌは、ユン熊の言葉に驚きました。

「ヘリが結界の外に出たのか?どうしてそんな事に?」

イヌの言葉に何も知らない事を察したユン熊は、踵を返して去っていこうとしました。

そんなユン熊をイヌはあわてて引き留めました。

「話してくれ。一体何があったんだ?」

「人間のお前に話すことはない」

ユン熊の突き放した冷たい言い方にもイヌは尚も食い下がりました。

「何か力になれることがあるかもしれないだろう。教えてくれ」
…魔女の契約でここにいる間は森の動物達には手出しをしない約束だ。

「…猟師のお前が力になれる事はないと思うが」

ユン熊は、イヌの真剣な目を見ると、溜息を一つつくと話始めました。

「タヌキの子供たちが結界の外に出てしまったらしい。この森の動物達は、結界の外に出ると、野生に戻ってしまう。子タヌキはこの森から離れて行ってしまった。連れ戻したいが、俺達もこの結界から出ると子供達と同じように、ここには戻って来られなくなるかもしれない。理性を保ったまま外に出る事が可能なのは、魔力のかかった首輪をしているサンテとヘリだけだ。サンテは会議に行くと言って出掛けたらしいが、森にはいない。どうやら魔女ジェニーの所に行ったようだ。それで話を聞いたヘリが、子供たちを連れ戻すと言って飛び出して行って…」

ユン熊の話にイヌが青ざめた顔になりました。

「…結界を出て行ったのか?」

ユン熊はうなずきました。

「ヘリ兎が、結界の端のここに向かって走って行く姿をカッコウの兄弟が見ていたらしい」

イヌは家の周りを見渡しました。ヘリ兎の姿は見当たりませんでした。
どうやらユン熊の言う通り、本当に結界の外に出て行ったようでした。

「森の外には、狼や鷲達が住んでいる。熊の俺が外に出ても大丈夫だろうが、野生に戻れば、逆にヘリ兎やタヌキの子供たちに被害を与えてしまうかもしれん」

ユン熊が辛そうに言いました。

ユン熊の話が終わるか終わらないうちに、イヌが家の中に駆け込むと、
銃を持って出てきました。

「その銃でどうするんだ?」

イヌが銃を点検するように眺めまわすのを、ユン熊は蒼白な顔で見ていました。

「助けに行く」

イヌは、一言そう答え、銃に弾を装填すると、
ユン熊の呼びかけにも答えずに結界の外に飛び出して行きました。

ユン熊はあっという間に結界の外に消えていったイヌの姿を茫然と見送っていました。



その頃、ヘリ兎は―――。

タヌキの子供たちを探して、結界の外の森の中をさまよっていました。
魔力のかかった首輪をしていたヘリは、結界の外に出ても理性のある兎でした。
しかし、兎は兎。安全な森の中と違って、ここには兎にとって危険な動物達が沢山ひそんでいます。

怖がりのヘリは内心ビクビクしながら茂みの中を歩いて行きました。


「モックー。ナックーっ」

兎は、子タヌキの名前を呼びました。

野性の動物になったとしても、森に住んでいた動物にはヘリの言葉は通じるはずでした。


ヘリは、慎重に匂いをかいで、そして、2匹のいた痕跡を見つけようとしました。
そして、ぬかるんだ土の上に小さな足跡を2つ見つけました。
ヘリは足跡をたどって行きました。

足跡は、洞窟の方に続いていました。

「モックー、ナックー、いるんでしょう?」

ヘリが洞窟の中に声をかけました。

すると、洞窟の中の岩陰から、子タヌキたちが顔を出しました。

…ヘリ姉ちゃん。

タヌキの子供たちは、言葉は話せなくなっていましたが、
ヘリの言っている事が分かるようでした。

「良かった。無事なのね?ケガはない」

…うん。だけど、帰り道が分からなくなっちゃって。

子タヌキたちはヘリにしがみつくと泣きだしました。

「私が来たからもう大丈夫。一緒に帰りましょう」

ヘリは、安心してホッと息をつくと子タヌキたちの頭を撫でました。
そして、一緒に並んで、森の方に歩きはじめました。

…ヘリ姉ちゃん。帰り道分かるの?
…ヘリ姉ちゃん、方向音痴なんだよね?

タヌキの兄弟の不安そうな声にヘリが苦笑いしました。

「大丈夫。来る途中に、ずっと目印になる『光る小石』を置いてきたのよ。この小石をたどっていけば森に帰れるわ」

ヘリは、そう言って、袋の中に入れてきていた小石の粒をタヌキに見せました。

暗闇の中でも、ヘリが落してきた光る小石が、ヘリ達の帰り道を示してくれていました。

ヘリとタヌキの兄弟がその小石を見つけてはピョンピョンと歩いていた時、

ザワザワと低い木々が不吉な音をたてました。
木々の上の鳥達も騒いでいます。

…何?
子タヌキたちがおびたようにヘリの体にしがみつきました。
ヘリも不安そうにあたりを見渡しました。

その時です。

茂みの中から1匹の狼が現れました。

「!!」

ヘリは、とっさにタヌキの兄弟を後ろに隠しました。

しかし、狼は1匹ではありませんでした。
その後ろからさらに1匹。…別の茂みからも1匹。

言葉は通じませんが、明らかにヘリ達に非好意的な様子でした。
しかし、その口元は嬉しそうにゆがんでいます。

狼達が一体何を考えているのか、言葉が分からなくても理解したヘリ達でした。

…ヘリ姉ちゃん。

「逃げるのよ」

ヘリは、恐怖ですくんだ足を何とか出すと、タヌキの兄弟を押し出しました。
そして、狼達に背を向けて駈け出しました。

狼達も一斉にヘリ達のあとを追いかけてきました。

…このままでは結界の森までたどり着くまでに追いつかれてしまう。

そうヘリが思ったとたん、足がぬかるみにはまりヘリは転んでしまいました。

…ヘリ姉ちゃん!!

足が抜けない!!

ヘリは焦りましたが、狼達の姿が迫っているのを見ると、
前のタヌキの子供たちに言いました。

「走るのよ。光る小石を辿って行けば結界につくから!!結界のすぐ外まで近づけば、きっと誰かが中に入れてくれるわ」

…でも、ヘリ姉ちゃんが。

「私は大丈夫だから。先に行って」

ヘリの賢明な叫びに、タヌキの兄弟達は泣きながらうなずきました。

…サンテさんか、ユン熊さんを連れて戻ってくるから。

そう言って、森の中に消えていく子タヌキ達の姿にヘリはホッと息をつきました。

しかし、もう危険は目前まで迫っていました。
ヘリは、狼達に取り囲まれてしまいました。

低いうなり声をあげて、じりじりと距離をつめてくる狼達。

…どうやって食べてやろうか。

そんな事を考えているように、舌舐めずりしてヘリを見ています。

ヘリは、絶対絶命の危機にギュッと目をつぶりました。

…もう駄目。

その時です。

パアンという、乾いた大きな音が森中に響いて、
森の木々の上にいた鳥達が一斉に飛び立ちました。

――― なに?

ヘリが驚いて目を開けると、目の前に猟師イヌが立っていました。
手に銃をかまえて、鋭い眼光と銃口を狼達に向けています。

威嚇射撃でしたが、狼達の肝を冷やすには十分だったようでした。
狼達は、猟師と銃を見ると、あわてて、森の奥の方に逃げ込んで行きました。

イヌは、銃をかまえたまま、その後ろ姿を睨みつけていました。
ヘリは、茫然とイヌを見上げていました。

「…大丈夫か?ケガはないか?」

イヌは、狼達が再び現れない事を確認すると、
銃をさげてヘリの方に近づいてきて言いました。

「ええ…でも、足がぬかるみにはまってしまって…」

ヘリが自分の足元に目を落としました。

イヌもそんなヘリの足元を見ると、軽い力でヘリを持ち上げて、
ぬかるみから助け出しました。
そして、腕の中に抱えあげると、ヘリの足についた泥を手で優しく落していきました。

「どうして、ここにいたの?狩りをしていたの?」

そう聞くヘリにイヌが苦笑しました。そして、「そんなところだ」と答えました。

…やっぱり猟師なのね。結界の中では動物達を傷つけない契約だからだけど、
結界から出たら、こうして狩りをする人間なんだわ。
…それでも、私を助けてくれた…。

ヘリは、そう思いながら、だまって自分の足の泥を落としてくれるイヌの横顔を見つめましたが、ハッとしたように言いました。

「ここに来る途中にタヌキの子供たちを見なかった?」

「見たよ。結界の森の方に走って行った。もう今頃森についているんじゃないか?」

「そう…」良かった。ヘリはホッと胸をなでおろしました。

「…もう降ろしてちょうだい。私も結界の森に帰るから」

ヘリは、わざとそっけない調子でイヌに言いました。

なんだかイヌの腕の中に抱かれているのが照れくさくて仕方が無かったのです。
それに、しばらく会っていなかった事で話しているのも気恥かしい気がしました。

イヌはヘリをそっと地面に降ろしました。

「おかげで助かったわ。一応お礼言っておくね。…狩りごゆっくり」

…助けてもらったのに、私ったら嫌みっぽいこと言って。
ヘリは、心の中でそんな後悔をしながら、イヌに背を向けました。・

ぬかるみにはまった時に足をくじいたようでした。
ヘリは、ズキズキ痛む足首をかばうようにヒョコヒョコ歩き出しました。

そんなヘリをイヌが後ろから手を伸ばして再び持ち上げました。

「なにするのよっ。降ろしてよ。」
あせって抗議しようとしたヘリの体をイヌは強引に背中のリュックサックの中に入れました。

「僕も帰るところだから、ついでだ。そこに入ってろ」

イヌは、ジタバタとリュックサックの中で暴れるヘリにそう言うと、銃を持ちなおしました。

…まだ危険な動物がひそんでいるかもしれないから銃を持つ手をあけるために私をリュックサックにいれたのは分かったけど…。

ヘリは思いました。

…私が足をケガしてるから、おぶってくれたのかしら?
それとも本当に帰るついでだから?

ヘリは、そんな事を考えながら黙って、ジッとしている事にしました。

背中で大人しくなったヘリにイヌがフッと微笑むと、結界の森の方に歩きだしました。

ヘリは、リュックサックごしのイヌの背中のぬくもりに
先ほどの狼への恐怖心と緊張がやわらいでいくのを感じました。

…あたたかい。猟師さんの背中。…悪くない。

ヘリは、うっとりと目をとじて猟師の背中に頬を擦り寄せました。

イヌも、背中に感じるやわらかく温かいヘリの気配に、
自然に口元を綻ばせて歩き続けていました。



(ヘリ兎と猟師イヌの物語3終わり 4に続く)



ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます♪

最近ようやく録画をためていた「シティハンター」を10話ほど見られました。
最初は…やっぱり道明寺?×つくし?(苦笑)という印象が強かったのですが、ユンソン×ナナにじわじわとはまってきてます(笑)検事プリンセスの監督さんで、出演の役者さんがたくさん出演されている事と、挿入歌も随所で流れる事があり、たしかに「検事プリンセス」ファンの方も楽しめそうですね♪
それと、あの監督さん…“あのシーン”ははずせないのかな?と思いました。
萌えツボが、私と似ている気がする(笑)

でも、ユンソン(ジョン・リー)も良いですが、やっぱりソ弁護士(ソ・イヌ)が好き♪


「トキメキ☆成均館スキャンダル」をおすすめして下さる方が多いのですが、
「検事プリンセス」好きの方たちが面白いというのなら、見たら私も絶対はまる予感がします。創作のスピードが遅いのに、頭の中が妄想だらけになりそうで怖いです。
とりあえず、「検事プリンセス」と、もう誰も読む人はいないかもしれない(苦笑)過去にはまった韓国映画の二次創作が落ち着いてから見たいです♪


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