韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」第2話です。
二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。
みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
「
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「
お願い」を一読してください。
この話はドラマの「検事プリンセス」の設定やキャラクターをベースにした、
完全パロディ小説で、ファンタジー童話調で語られる、兎と猟師の純愛物語です。
思いつきで描いたパロディ4コマ漫画から生まれた、ヘリ兎と猟師イヌのキャラクター。
コメディタッチですが、完結している4コマ漫画の話は、
「
検事プリンセス漫画INDEX」の中のタイトル「ヘリ兎と猟師イヌ」でご覧下さい。
「ヘリ兎と猟師イヌの物語」他の話は
検事プリンセスパラレル小説INDEXで。
ヘリ兎と猟師イヌの物語(2話)猟師イヌから、魔女ジェニーとの契約書を見せられたサンテは、
渋い顔をますますしかめました。
契約書には、他にもこんな事が書かれていました。
・森の中の動物には一切危害を加えないこと。もしこの約束に反した場合は、
ひき蛙に姿を変える。
・ただし、森の中にいる間は、動物達も人間に危害を加えないこと。
その約束に反したら、森の結界の外で暮らさなくてはいけない。
「…確かに契約書は本物だ」
「では、森に住むことを認めて頂けますね?」
「しかし、これとそれは別だ」
サンテは重々しい口ぶりでそう言いました。
「契約書のどこにも、君の目的が書いていない。一体何が目的なんだね?
どうしてこの森に来た?魔女ジェニーは君の証人になっているようだが、一体なんの根拠があって君の事を信じているんだ?これだけ謎のある君を、森の代表者としてまだ認めるわけにはいかない」
サンテの言葉に、猟師イヌは内心
…想像した通り、一筋縄ではいかないようだ。と思いました。
「僕の目的のことは話すわけにはいきません。それも魔女ジェニーとの約束なので。
それに、魔女ジェニーからもう1つ貴方宛てに手紙を預かっています。
もし、あなたが契約書を見ても僕を信用しないなら、これを渡せと」
猟師イヌは一通の手紙をサンテに差し出しました。
サンテは不思議そうな顔で、その手紙を開いて中に目を通しました。
やがて、文面を読み進めるうちに、サンテの顔が赤く気色ばんできました。
しかし、手紙を最後まで読み切ったサンテはむしろ、おびえたように
青白い顔になると、唇を引き結んで手紙を閉じ溜息を一つつきました。
「…わかった。君が森に住むことを承諾しよう」
そう言うと、サンテは、タンスから印鑑を出すと契約書に判を押しました。
「これで契約成立ですね」
イヌは、冷静な顔でそれを見ると、判の押された契約書を懐にしまいこみました。
ヘリは、その様子をジッと見守っていました。
…この人間がこれから森に住む…。
事情はよく分からないけど、動物達には危害を加えない事は約束されているようだし、
安全なのよね?普通に話も出来るし…見たところそんなに悪い人じゃなさそうだもの。
森の外の話とかいっぱい聞いてみたいわ。
「君は…」
「ソ・イヌです」サンテの言葉に猟師イヌが言いました。
「…ソ・イヌ、君は森のはずれの野原の丘に住むといい。
あそこは結界の境界線で動物達はあまり近づかない。それと、いくら魔女ジェニーの契約書があるからといって、森の動物達に慣れ慣れしくしないようにしてくれ。
昔から森に住んでいる動物の中には人間を怖がったり、恨んだりしている者もいるからな」
「分かりました。心得ておきます。今後よろしくお願いします」
丁寧に挨拶するイヌに、サンテは「うむ…」とえらそうにうなずきました。
話がすんだらしく、猟師イヌは立ち上がりました。
ヘリもあわてて席を立ちました。
猟師イヌは、扉から出て行く時にヘリの方を振り返りました。
「さようなら。案内してくれて、ありがとう」
「ヘリよ」
ヘリがあわてて言いました。
「ヘリ…」
イヌがヘリの名前をつぶやくように反復しました。
そして微笑んで言いました。
「可愛い名前だ」
ヘリの胸の鼓動がまたドキンと跳ねました。
ヘリは、とっさに身をひるがえすと恥ずかしそうに家の奥に
入って行ってしまいました。
その後ろ姿をサンテが不思議そうに見て、
イヌが、微笑しながら見送っていました。
…何やってるのよ。私ったら。今日は変よ。
ヘリは自分の部屋に入ると、寝床の中でジタバタしていました。
すると、
コトンと窓の外で小さな音がしました。
怖がりのヘリはビクンっと身をすくめてしばらくジッとしてましたが、
おそるおそる、窓の方に近づきました。
外の窓枠に何か置いてありました。
…なにかしら?
ヘリが窓を開けてみると、
窓の縁の上に、少しかじった跡のある『幸運のニンジン』が置かれていました。
「!!」
ヘリはハッとなって、あたりを見渡しました。
そこにはもう猟師イヌの姿はありませんでした。
ヘリはニンジンを手にとりました。
ニンジンにはかわいいリボンがかかっていました。
ヘリは、嬉しくなって、リボンを取ると、そのリボンを自分の耳につけました。
そして、甘くておいしいニンジンを口いっぱいにほおばって食べました。
次の日。
ヘリは、森のはずれの野原の丘に向かいました。
父親のサンテには「もうあそこには近づくな」ときつく言われていたのですが、
猟師イヌの事が気になって仕方ありませんでした。
それに、大好物のニンジンをもらっていたので、お礼を言いたいと思いました。
ヘリは森の中で熟した果物や木の実や野菜をいっぱい収穫すると、それを大きな籠に入れて、野原に行きました。
丘の上の野原で、猟師イヌが家を作っていました。
イヌは、体より大きな籠を抱えてえっちらおっちら歩いてくるヘリに気づいて手を止めました。
「こんにちは。ヘリ」
「こんにちは、猟師さん」
ヘリは汗をいっぱい滴らせて、イヌの所に籠をおきました。
ヘリの耳にはリボンが可愛く揺れていました。
「昨日はニンジンをありがとう。これ、良かったら食べて」
「ああ、美味しそうだな。ありがたく頂くよ」
イヌは籠の中の食べ物に嬉しそうな顔をしました。
その顔を見て、ヘリは満足して汗をぬぐいました。
そんなヘリにイヌは自分の持っていたタオルで顔をふいてあげました。
ヘリは、自分の頬をぬぐうイヌの優しい手にドキドキしていました。
イヌとヘリは一緒に並んで、ヘリの持って来た食べ物を食べました。
「美味しいな。この森の食べ物は」
イヌが感動したように言いました。
「猟師さんが住んでいた所ではどんな物を食べていたの?こういう食べ物はなかったの?」
ヘリの問いに、イヌが少し悲しそうな顔をしました。
「僕の住んでいた街の土地は荒れていてね。作物があまり育たないんだよ。
だから、皆、海や川で魚を取ったり、森に行って狩りをしたりしているよ」
『狩り』という言葉に、ヘリがピクンっと耳を震わせました。
「心配しなくても。君は食べないよ…今はね」
そう意地悪く言うイヌに、ヘリが目を細めました。
「…あなたって変な人。親切で優しいかと思ったら意地悪したりするのね」
ヘリの言葉にイヌが声に出して楽しそうに笑いました。
「親切で優しいか…。気をつけた方がいい。そういう男っていうのは裏がある時もあるから」
「…猟師さんがそうなの?」
「さあ、どうだろう」
とぼけたように言って、果物をかじるイヌをヘリは困惑した眼差しで見つめました。
…ニンジンをもらったから思ったんじゃないわ。
この人はそんな悪い人には見えないのだけど。
「ねえ、聞かせて。この森の外のこと。一体どんな世界なの?あなたはいっぱい見てきたんでしょう?」
ヘリの言葉にイヌが曖昧に頷きました。
「ああ、見てきたよ。…この森は最高だ。綺麗で、安全で、皆仲良く暮らしている。こんな所は他にはないよ。ここを一歩外に出れば君達にとっては危険な場所だ。
この森には住めない肉食獣達がいるし、狩りをする人間達もいる。それにここより豊かな土地は無い。決して、ここを出ようなんて考えるなよ」
まるでヘリが外に出たがっているのを見透かすようなイヌの言葉に、
ヘリは、気恥かしそうに頬を膨らませました。
「…どうして出ようって考えると思ったの?」
「だって、見てれば分かるよ。君は好奇心いっぱいの兎だ。
僕がこの森に来た時だって、結界のこんなギリギリの所に立っていた。
いつか、この森の外に出ようなんて無謀な事を考えているのはお見通しだよ」
「…心が読めるの?あなたも魔法使い?」
イヌがまた声をたてて笑いました。
「そうだったら、いいんだけどね。あいにく、僕はただの人間だ」
ただの人間というイヌの言葉が可笑しくて、ヘリも笑いました。
そうやって、猟師イヌと楽しく話をして食事した後、
ヘリはイヌの家づくりを手伝って1日を過ごしました。
次の日も、次の日も。
毎日、ヘリはイヌに会いに行きました。
ヘリが森の中の家づくりに必要な木の場所を教えたり、便利な道具を持ってきたりしたので、
イヌの家はイヌの思っていた以上に早く出来上がりました。
「いい家が出来た。君のおかげだよ。ありがとう」
「素敵なおうちね」
出来上がったイヌの部屋の中に招いてもらったヘリが言いました。
「お腹がすいてる?あの珍しいやつじゃないんだが、ニンジンがあるから食べるか?」
そう言うイヌにヘリが嬉しそうに頷きました。
イヌは、皿にニンジンを乗せるとヘリの前に差し出しました。
イヌは、バッグから何か取り出して料理をしていました。
その様子をヘリが不思議そうに眺めていました。
「猟師さんは何を食べるの?」
「僕はラーメンを食べるよ」
「ラーメン?」
首をかしげたヘリにイヌが作った器の中のラーメンを見せました。
「これだよ。食べてみるか?」
「…うーん…いらない」
…何かよく分からない食べ物だもの。
「そう言わずに一口食べてみたら?」
イヌがラーメンを1本すくうとヘリの皿の上に置きました。
ヘリはそれをおそるおそる口の中にいれました。
そして、「…おいしい」と言って目を丸くしました。
「初めて食べたものだけど、すっごく美味しい」
ヘリがそう言って目を輝かせるのをイヌは面白そうに見つめて、
ラーメンをヘリの皿の上に分けました。
「ほら、もっと食べていいよ」
「ええ」
ヘリはイヌから分けてもらったラーメンをもぐもぐ食べました。
そんなヘリの様子をイヌが微笑ましそうに見つめて、ラーメンを食べていました。
そんな風に、ヘリは猟師イヌと一緒に過ごすことが多くなりました。
そんなヘリを、森の動物達は心配そうに見ていました。
特にヘリとよく一緒に遊んでいた森の仲間達、
ナコアラ、チェ猿、イ馬、ユン熊、チン栗鼠は、ヘリの事が気がかりでなりません。
「兎。あの人間にはあまり近づかない方がいい。
何の見返りもなしに親切で優しい人間なんているはずがない」
ユン熊はそう、ヘリに忠告したりしました。
「ええ…」
そううなずいたヘリでしたが、自分の中でイヌの存在が大きくなっている事を自覚していました。
…少しも危害を加えられた事はないわ。それに一緒にいて楽しい。
ワクワクするようなお話もいっぱいしてくれるし。
しかし、森中の動物達の噂は、ヘリの父親サンテの耳に届いてしまいました。
『ヘリ兎が猟師の男といつも一緒にいる』
サンテはその話を聞いて、ヘリを家の中に閉じ込めました。
「もう、あの男が森にいる間はお前は家から出てはならん。
それに、お前の縁談はもう決まった。だから結婚するまで大人しくしていなさい」
ヘリは驚いて嘆きましたが、
父親サンテの言うことに逆らうことができませんでした。
ヘリは泣く泣く、サンテに従って、自室に閉じこもったままジッとしていました。
何日か過ぎて、
ヘリ兎の訪問がぱったり途絶えた事にイヌは不思議になって、
森の中に入って行きました。
そして、偶然出会ったユン熊に話しかけました。
「最近ヘリ兎を見かけないけど何か知らないか?どこか体を悪くしているとか」
ユン熊は、イヌを冷めた眼差しで見返すと首を振りました。
「ヘリは結婚するから、その準備をしているそうだ。…人間、もうあの娘には近づかないでやってほしい。どのみち、君は人間で、あの娘は兎だ。それにいずれこの森から出て行くんだろう?だったら、そっとしておいてやってくれ」
ユン熊の話にイヌは驚きましたが、ユン熊の言う通りだと思いました。
しかし、心の中はなぜかとても寂しい想いでいっぱいになりました。
…確かに僕はある目的のためにここにきた。
その為にあの兎が必要だったのだけど、そういう事は別にして、
こうして会えなくなるのがこんなに辛いなんて…。
猟師イヌは、ヘリ兎と一緒にいると、いつもとても楽しい気持ちになっていました。
そして、つい『目的』の事を忘れてしまうこともありました。
…このままずっと、この美しくて素晴らしい森で、兎と一緒に暮らしていけたらいいな。
そんな事すら考えるようになっていました。
しかし、ユン熊に言われた通り、イヌは人間でした。
そして、イヌにはどうしてもやり遂げなくてはいけない使命もありました。
そう、たとえこの先、あの可愛い兎を傷つけることになっても…。
…いっそ、こうして会えない方が良いのかもしれない。
そう思ったイヌは、うなだれるように、とぼとぼと丘の上の家に戻りました。
もうこのまま会えなくなるかもしれない。
ヘリ兎と猟師イヌは、お互い、そんな事を考えて辛い夜を過ごしたのですが、
そんなあくる日。
森で事件が起こったのでした。
(ヘリ兎と猟師イヌの物語2終わり 3に続く)
ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます♪
「トキメキ☆成均館スキャンダル」は1番気になっている韓国ドラマです。
…でも、見たら絶対はまると思っているので、今は見られません。
私も、「きゅん」とか「とくん」←(爆)系のものに弱いです。
まずは原作読んでみようかしら♪
イヌ役、パク・シフさんのファンミーティングのこと。
2012年のパク・シフさんのファンミーティングのチケット、当選しました(涙)
徳川の陣地で参戦してきます!!(←合戦じゃないですよね)
どこの席になるかまだ分からないのですが、行ったら詳細なレポート書きますね♪
ブログの記事を気にいって頂けたら、
【拍手ボタン】を押してお知らせください♪
↓こちらも参加中♪
にほんブログ村 