韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「さめない夢」前編です。
二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。
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この話は書き下ろし中編小説です。さめない夢(前編)…ヘリ…?
目を覚まして体を起こしたイヌは、
ベッドの中にヘリがいない事に気づいて、訝しげに周囲を見渡した。
ヘリの部屋の中。
朝の光がカーテンの隙間から洩れて、部屋を明るくしていた。
起きはじめた街の喧騒の気配も微かに伝わって来ている。
しかし、マンションの部屋の中は静まり返っていた。
バスルームにも、トイレにも、キッチンにも。
ヘリの姿がどこにもない。
ヘリの部屋で、ヘリが、こんな風に自分より先に起きて、
そしていなくなることは無いのに。
…コンビニに買い物に行ったのか?
イヌが訝しげに玄関の方を見やった時、
イヌの携帯電話に着信があった。
ジェニーだった。
…こんな休日の朝から?
不思議に思いながら携帯電話を耳にあてるイヌ。
「ジェニー?」
『…良かった。イヌ』
電話の向こうからジェニーのホッとしたような溜息が聞こえた。
「良かったって何が?」
ジェニーの言葉にイヌが首をかしげた。
『…事務局長から、あなたから何の連絡もなく無断欠勤してるから、何か知らないかって聞かれたわ。
事務所の方からも何度も連絡がいっていると思うけど』
「え?」
イヌはジェニーの言葉に時計を見た。
出勤時間だったら、とっくに過ぎている。
しかし…。
「今日は、日曜じゃないのか?」
そう聞くイヌに、電話の向こうのジェニーが一瞬沈黙した。
『…あなた、二日酔いから覚めてないの?今日は金曜日よ。もし、体調が良く無いならこのまま休めばいいけど、とにかく一度事務所には連絡をした方がいいわ。午後からクライアントとの約束も入っているそうだから』
…まさか。
イヌは、信じられないという風にジェニーの電話を聞いていた。
「ジェニー…、今日は何月何日だ?」
『寝ぼけてるの?イヌ、とにかく起きて顔を洗って。そして目覚めたら事務所に電話して。
事務所に来られるなら昼食の時に話しましょう』
そう言って、ジェニーの電話は切れた。
イヌは、ほとんど茫然となって手の中の携帯電話を見つめた。
…一体どうなってる?
イヌは頭をふって、洗面所に行った。
そして、顔を洗うと鏡の中の自分を見つめた。
少しやつれているように見える。
…寝坊した?金曜日?しかし、ここはヘリの部屋だぞ。
じゃあ、ヘリはもう出勤したのか?眠っている僕を置いて?
昨夜はヘリの部屋に泊まって…。
そこで、イヌは自分の記憶が全くない事に気づいた。
…昨夜、何があった?思いだせない。なぜヘリの部屋に?
平日でも、たまにお互いの部屋に泊まることがあった。
だから、それは別段不思議な事ではなかったのだが…。
しかし、今は考える事よりも行動を優先することにした。
イヌは、まず事務所に電話をかけ、遅刻する旨を話し、
部屋を出て、5階の自分の部屋に向かった。
そして、部屋の扉を開けようとしたが、
暗証番号を何度押しても部屋のドアは開かなかった。
…開かない?故障か?
イヌがドアノブに手をかけた時、カチャリという音がして部屋の中からドアが開いた。
「!」
部屋の中から顔を出したのは知らない男性だった。
「何か御用ですか?」
イヌは、一瞬驚いたように立ちすくんだが、気を取り直して、
勤めて冷静な声で聞いた。
「…この部屋の持ち主は誰です?」
「私ですが?」男が言った。
イヌは、部屋の番号をもう一度目視した。
イヌの部屋に間違いなかった。
「いつから、こちらにお住まいですか?」
「もう1年近くになるけど…何の用です?」
男が、イヌを胡散臭そうな目でジロジロと見つめた。
「ねえ、どなた?」
部屋の中から女性の声が聞こえた。
「…すみません。下の階の者です。部屋を間違え、お騒がせしました」
イヌは、男に頭を下げて引き下がると、階段を下った。
…どうなってる?
イヌは、混乱した頭を落ちつかせようと、歩いて、4階のヘリの部屋に戻った。
そして、イヌは、部屋に入るとクローゼットを開けた。
中には、自分が予備で置いていた外出着もあるはずだったが…。
イヌは、そこで又動けなくなった。
クローゼットの中には、ヘリの服が1着も無くイヌの服しかなかった。
イヌは、あわてて携帯電話を操作してヘリに電話しようとした。
…が、その中にヘリの登録がなかった。
「まさか…そんな…」
イヌは、震える手で携帯電話を握りしめると、何とか自分を落ちつかせようとした。
一晩、寝ている間に何があった?
それとも…僕はまだ夢を見てるのか?
こんなに感覚が鮮明なのに?
イヌは、外出着に着替えると、とりあえず事務所に行って、
そして、この状況を説明してくれそうな人物、ジェニーに会うことに決めた。
イヌは、法律事務所につくと、まず事務局長に無断で遅刻した詫びを述べると、
自分のオフィスに入った。
…ここは、このままのようだ。
働いている事務所。人間も変わらない。オフィスも仕事も。
なのに、どうしてだ?
どうして、ヘリの姿がない。部屋が変わっている?
混乱しつつも、イヌは、午前中は、とにかくいつもの手順のまま仕事をこなすことにした。
そして、昼になって。
イヌは、親友のジェニーと一緒に外の店でランチをすることにした。
「イヌ、あなた大丈夫なの?昨夜は随分飲んでたけど」
第一声、心配そうにそう聞くジェニーに、イヌはうなずいた。
「ああ、体はいたって平気だ。だが、かなり混乱している。
ジェニー説明してくれないか?一体何があった?」
「…覚えてないの?」
ジェニーがイヌに戸惑ったような目を向けた。
イヌはうなずいた。
ジェニーはフウっと深く溜息をつくと話始めた。
「昨夜、私と一緒にバーで飲んでいたのよ。あなたはかなり飲んで、そしてずいぶん取り乱してて、それがあまりに酷いから、バーから追い出されたの。その後あなたは一人で代行タクシーで帰って…思いだせない?」
イヌが、当惑しながらも又うなずいた。
「僕が取り乱してた?一体どうして?」
「どうしてって…それは…」
歯切れ悪く無言になったジェニーにイヌが眉をひそめた。
「…何か隠してる?」
「何も隠してないわよ。どうしてそんなことを聞くの?」
「不思議な事があるんだよ。ジェニー」
イヌが、息をついて、そして話始めた。
「ヘリがいなくなった」
イヌの言葉にジェニーが息をのんだ。
そして、「ヘリさん?」とこわごわと聞いた。
イヌがうなずいた。
「ああ、ヘリの姿がどこにもない。それに連絡先も消えてる。
部屋はあるのに、持ち物も消えている。君は何か知らないか?」
…自分の住んでいた5階の様子も変だった。
しかし、それよりもヘリのいた痕跡がないことが不思議だった。
「…イヌ…」
完全に当惑したようなジェニーが何とか声を出したようだった。
そのイヌを見る眼差しは憐憫そのものだった。
「あなた…それ本気で聞いてるの?」
「ああ、知っていたら教えてくれ。何があった?」
イヌの真剣な目にジェニーが溜息をついて、ソッと店の窓の外を見た。
「…私には、あなたの方に何があったのか知りたいけど…」
そう呟くように言った後、一度口をつぐんで、イヌの方を見なおった。
「イヌ、よく聞いて」
「ああ」
「あのね、ヘリさん…マ・ヘリは」
ジェニーが言った。
「もう、いないのよ。どこにも」
イヌの周囲で音が消えた。
(「さめない夢」中編へ続く)
昨夜の深夜のつぶやきへのコメント、ありがとうございます。
そして、すみません!!
大変ご心配おかけしました。暖かいコメントを頂きましてありがとうございます。
自分が好きでやっている事なのに、息切れした弱音を吐いてしまいました。
日常、表面上どうあれ、人それぞれ、いろいろな事抱えて生きているから
たとえ、ブログでも弱音や愚痴は吐くまい。と思ってたのですが…ぼろりと。
こういう思いこそ創作にぶつけないと!
…で、あらすじだけメモしておいたネタで書いた小説がこれ。
少し(かなり?)暗めです(汗)
いつもイヌ目線で書くと、何故かかなり真面目な方向に。
小説書く時、目線がヘリならヘリに、イヌならイヌに同調するように
気持ちが入り込んでしまうのですが、自分がイヌになる時、重くなる気がします。
ふざけてたり、からかい意地悪イヌでも、底の方は真面目で、そして、やはり
闇を抱えているからかもしれません。
ただ、「真夜中のつぶやき」気分ではスラスラ書けました。
この調子で「埋もれた約束」も突破したい所です。
…でも、これが終わったら気分転換に大人話も書きたい(笑)
コメントで、このブログを読んでくれている方々の思いも頂きました。
ほんとに、ほんとにありがとうございます。
途中暗い話もありますが、前向きになったり、ハッピーエンドを目標に
これからも「検事プリンセス」二次創作続けていきます!!
よろしくお願いします。
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