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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「刻印」第1話です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この話は、短編の

印ーホクロ-」「印ーしるし-」「印-しるし-(SIDEイヌ)」の完結編です。




刻印(1話)





ヘリは、内心ソワソワしながらオフィス内の壁掛け時計を見ていた。

時計の針は、検察庁内規程の職務終了時刻の6時を過ぎている。

休前日の金曜日。
ヘリと同室の事務官と捜査官も、今日は予定が入っているらしく、
デスク周りの書類を整理しはじめていた。

「マ検事、今日は残業ですか?」

チャ捜査官が、帰り支度を始めないヘリに気づいて声をかけた。

「珍しいですね。金曜日に定時で帰らないなんて」

普段、金曜日の夜は恋人と予定をいれていて、ヘリが大抵定時であがる事を知っているイ事務官が不思議そうに言った。

「きりのいい所まで調べておきたい案件があるの。私に気遣わずお先にどうぞ」

あたふたと、忙しそうに書類を広げて見るふりをしながらヘリは応えた。

「そうですか。でも、ご無理をなさらずに。お先に失礼します」
「失礼します。お疲れ様でした」

ヘリにそう挨拶すると捜査官と事務官はオフィスを出て言った。

二人が去った後、ヘリはソッと溜息を1つついた。

…ほんとは帰りたいのだけど…。

そう思ったヘリだったが、

『今度お礼をさせてもらうよ…たっぷりとね。覚えてろ』

脳裏に、低く囁かれた男の言葉が蘇った。

「~~~~~」

ヘリは、思いだした事を振り払うようにブンブンと頭を振った。

あれからのこの数日間。
結局、“あの男”に対抗出来る策は何も思い浮かばなかったヘリだった。

『たっぷりとお礼をする』の言葉は、決して誇張表現ではないだろう。
それに、あの男は言った事は必ず実行する。…そんな事はもう嫌というほど知っている。

週末実家に帰ろうと母親のエジャに連絡をしたヘリだったが、
『パン屋が忙しい時期だから帰って来なくていいわよ』という、つれない言葉をもらっていた。

…一人娘より仕事が大事なのね。というショックを受けつつも、
いつも週末はイヌと過ごしていて実家に帰っていなかったから当然の扱いかも、とも思っていた。

親友のユナの家に…とも思ったが、ユナの仕事は週末の方が忙しく、また空いていたとしても、きっと彼氏とデートの予定が入っている事だろう。

…やっぱり、どこかに逃亡かしら?

真面目にそんな事を考えこみながら、書類に形式上目を通していた時、
デスク上に置いていた携帯電話が着信した。

バイブ音にビクリっとして動揺しつつ、ヘリはおそるおそる携帯電話をとった。
画面に通知された名前は『ママ』だった。

…ママ?何かしら?

ヘリは、不思議に思いながら、携帯電話に出た。

「ママ?どうしたの?」

『ヘリ、今職場?仕事忙しい?』

「うん、そう。仕事は…もう終わるところだけど」

『良かった』ホッとしたようなエジャの声が聞こえた。

『じつはね。大事な事があって、急いで行って欲しいのよ』

「え?大事なこと?行くって?」

ヘリは、きょとんとした。
しかし、次の瞬間あわてたように携帯電話を耳にあて直した。

「ママ。何があったの?もしかして、パパに何かあったの?」

『いいえ。パパは大丈夫なんだけどね。…ちょっと電話じゃ言いにくいことなのよ。
だから、ソ君と一緒に行って欲しいの』

…ソ君?「イヌ?」

どうして、イヌが一緒に行かなくてはいけないのだろう?
しかも、どこに?

『ほら、あなただと動揺しながら車の運転をすると危ないじゃない?
だから、ソ君に運転手をお願いしたのよ』

エジャの歯切れの悪い、あたふたとした話し方に、
ヘリは逆に、本当に何かあってエジャが取り乱しているものと思いこんだ。

「でも、ママ。あのね…。私、今イヌと…」

喧嘩してる…ってわけでもないけど、
今は正直顔を合わせなくない状況だということをエジャに伝える事をためらったヘリだった。
しかも、そういう経緯になった事を事細かに、エジャに教える事になるのはもっと避けたかった。…とても親に話せるような話ではない。

『もうすぐソ君が迎えに行くと思うから、そこで待っているのよ?じゃあね。ヘリ』

エジャは、ほとんど早口でまくしたてるように、ヘリに念を押すと、
ヘリの返事も待たずに電話を切ってしまった。

「あ、ママ!ちょっと待って…」

ヘリは、通話の切れてしまった携帯電話を握りしめたまま、
少しの間、途方にくれたように突っ立っていた。

…一体、何があったのかしら?

ヘリは、エジャの態度に不思議になりながらも、
実家の一大事らしい電話にあわてて帰り支度を始めた。

その時、再び携帯が着信した。

イヌだった。

「・・・・・・」

ヘリは、数百グラムの携帯電話が数キロにも感じるような手つきで耳にあてた。

「…はい」

『ヘリ』

いつもの金曜の夜だったら、聞いた瞬間、飛び上がりたくなるほど嬉しい男の声がした。
…いつもの金曜だったら。

“今度お礼をさせてもらうよ”と言われた相手からの電話は、決して有り難い物では無かった。

『今検察庁の前にいる。君を迎えに来た』

イヌが続けて言った。

「さっきママから聞いたわ。一体何があったの?あなたは聞いてる?」

『いや。お母さんの話は何も聞いてない。ただ、僕は君を迎えに来ただけだ。もう出られるか?』

「ええ。すぐ出られるわ。正面玄関で待っていてくれる?」

『わかった。待ってるよ』

「うん…」

ヘリは携帯電話を切ると、荷物を持ちオフィスを出た。

検察庁の正面玄関を出ると、すぐ脇の道路にイヌの車が停車していた。
イヌが車の中からヘリを見つけて軽く手をあげた。
ヘリは、駆け足で階段を下りるとイヌの車の助手席に乗り込んだ。


「仕事お疲れ」

イヌは、ヘリがシートベルトを締めるのをチラリと見てそう言うと、車のエンジンをかけた。

「あなたも…。ねえ、仕事大丈夫なの?無理して早退したんじゃない?」

エジャの頼みを断り切れなかったんじゃ…。
ヘリは、イヌの都合を慮って、車の運転をするイヌに心配そうな目を向けた。

イヌがフッと笑った。

「もともと今日の予定は空けていたから問題ない」

…予定を空けていたですって?
なんのために…まさか、本当に私への“お礼”の為じゃないでしょうね。

ヘリはジットリとイヌを見つめた。

イヌはヘリの視線に気づいているようだったが、知らないふりで、前を向いて運転を続けていた。

しばらく、イヌの車が街中の道路を走っていたが、
ふと、ヘリは、イヌの車が実家とは違う方向に向かった事にきづいた。

「イヌ。ここ実家に向かう道じゃないわ」

そう言いながら、不思議そうにあたりを見渡すヘリに、

「知ってる」とイヌが答えた。そして、
「向かっているのは君の実家じゃない」と続けた。

「実家じゃないの?どこに行くつもり?」

「お母さんから聞いてない?」

逆にそう聞かれたヘリは、ますます不思議になって、怪訝そうに眉をひそめた。

そして、バッグから携帯電話を出すと操作してエジャに電話した。

『どうしたの?ヘリ』

第一声のエジャの声に、ヘリがわけが分からないというように首をかしげた。

「それは私の台詞よ、ママ。一体どういうこと?実家で何かあったんじゃないの?」

『ないわよ』

ケロリとそう答えるエジャにヘリが閉口した。

『今、ソ君と一緒?』

「ええ…」

『じゃあ、作戦成功ね』

…え?作戦?
「ママ!?何を言ってるの?今のこの状況が分からないわ!」
この事態が全く飲み込めないヘリは、電話口でエジャにまくしたてた。

『ソ君に聞いてみたら?』

「なに?どういうこと?」

『じゃあ、楽しんで行ってくるのよ。またね』

ヘリの質問に全く応えていない言葉を最後にエジャが通話を切った。

「・・・・・・」

しばらく、切れた携帯電話を握ったまま茫然としていたヘリだったが、
キッとイヌの方を睨みつけた。

「一体、ママに何を吹き込んだの?」

睨み殺したい、というようなヘリの視線にも、
イヌは痛くもかゆくもないという表情だった。

「協力をお願いしただけだ。これからの僕らの予定のね」

「“私達の予定”ですって?あなたの予定でしょ?」

ヘリは憤然となってイヌにくってかかった。

「何の計画か知らないけど、ママを引き込むなんてひどい!!
…ママもママよ。一人娘の私より、イヌの言いなりになって私を騙すなんて!もうっ信じられない!」

…いくらイヌがお気に入りだからって、こんな風に丸めこまれちゃうなんて。

「そう言うな。お母さんは君の幸せをいつも願ってる。だから僕の計画に協力したんだ。これから君と一緒に行く“楽しい”旅行のね」

「旅行?旅行ですって?そんな話聞いてないわよ」

「だから、君には内緒で決めたんだよ」

「…月曜日に決めたんでしょ?」

何とか落ちつきを取り戻したヘリは、ふてくされたように、そっぽを向いた。

「これが“お礼”ってわけ?あなたって本当に陰湿な男ね。こんな回りくどい事するなんて。だいたいね~。先に私に自分の所有物みたいな印をつけたのは貴方でしょ。私がつけたって、おあいこだね♪って笑い飛ばせなかったのかしら?」

「僕はされた事を2倍返しするのが礼儀だと思ってるよ。とくに、されて嬉しかったことはね」

イヌの口の端に浮かべた薄い笑みにヘリは、目を細めた。

「嬉しかったのなら、お礼は結構よ。どうかお気になさらずに。…降ろしてちょうだい」

「遠慮しないで。それにもう高速にのってる。一緒に週末を楽しもうか」

イヌの言葉にヘリが目を丸くして、あわてて窓の外を確認した。

…高速道路ですって?
「一体どこに行くつもりなの?」

「ついてからのお楽しみだ」イヌがサラリと言った。

ヘリにとってはもう“お楽しみ”でもなんでもなかった。
それでも、もうイヌの車の中にいて、どこに行くかも分からない道を高速で走っている。
自力でこの状況から逃れる事は出来そうもなかった。

「…これは誘拐よ」

ヘリの完全に機嫌を損ねた冷たい声にもイヌは、冷笑で応えただけだった。

「訴えてやるんだから」

ヘリは、腹立たしげにブツブツとつぶやくように言い続けた。

…旅行なんて言ってるけど、これは絶対日曜の夜の仕返しに決まってるわ。
それにしても…。

高速道路をおりて、一般道に入ったらしいイヌの車は、
どんどん人里離れた山道の中を走っていた。

ヘリはだんだん不安になって、窓の外に心細そうな目を向けていた。

…どこに連れて行かれるのかしら?

いくら自分のした行為に腹を立てていたとしても、まさか恋人を(基本的に)酷い目にはあわせないだろう。…そう信じていたヘリだったが、車が、建物や民家すら見えない山奥に入って行くにつれて次第に疑心暗鬼に囚われてきた。


人里離れた山奥…人のめったに踏み込まない場所…湖畔…。

脳裏に、ヘリが担当した事件の数々が浮かんで、ヘリの妄想を大きくしていった。

「・・・・・・」

やがて、イヌの車が停止した。

「ついたぞ」

イヌの言葉にヘリが、こわごわと外を覗き込んだ。

真っ暗闇の山奥のようだった。湖横は通りかかったが、雑木林に囲まれて今はよく確認できない。

ただ、1軒の家が目の前にあった。

山の中で、他の建物も見当たらない中、その家の周りは綺麗に整備されているようだった。
家の状態も綺麗だった。誰かが管理しているのだろう。
ただ、明かりは消えていて、人の気配もないようだった。

「ここ?一体誰の家なの?」

ヘリが不思議そうに家の方を見ながらイヌに聞いた。

それには答えず、イヌはシートベルトをはずすと、「降りて」とヘリを車の外に促した。

当惑しながらも、しぶしぶ車から降りたヘリは、冷たい外気に身震いした。

…寒い。

そんなヘリの肩にイヌが車から出した毛布をかけた。

「…イヌ」

もう、一体何がなんだか分からないというヘリの眼差しにイヌが目を向けた。

「ヘリ」イヌが言った。

「今夜の僕らの家だよ」

…!?

もう、完全に理解不能なイヌの言葉にポカンとしたまま固まったヘリ。

イヌが、にっこりと優しげな笑みを浮かべた。

そして、「とにかく中に入ろう。ここは寒い」と言って、毛布ごとヘリの肩を抱くと
家の方に歩いて行った。

一歩、一歩、イヌに促されて家の方に近づくにつれて、
ヘリは、ますます不安を大きくしていた。

…たしか、こういうサスペンス映画があった気がする。
少しホラーもはいったサイコものの…。

そう思いながら、

玄関の前で、イヌがコートから取り出した、古びた鍵束のシャラシャラとなる音に
ヘリはビクビクとおびえた目を向けていた。


(刻印1終わり 2に続く)



ブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます。
今後の二次小説予告してしまいましたが、
2月中にどこまで更新出来るかは未定です。

ただ、長編「埋もれた約束」は、どんなに遅くなっても、
それを更新しない事にはシリーズは先に進めないので、
どうか気を長くしてお待ちください。
プロット自体は、「初めての夜」や「過去の亡霊」より先に出来てたものなんですが(汗)


10話のジェニーの食べていたイヌの用意した料理は
イヌが外でテイクアウトで買ってきたものです。
あれを買いに行っている間にヘリがキムチを借りに来て、
ジェニーに「イヌはシャワーあびている」と嘘を言われたシーンですね。

地上波ではカットされてたので、
私も料理はイヌの手作りで、本当にイヌがシャワー浴びてると思った場面です(苦笑)


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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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