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韓国ドラマ「検事プリンセス」の夢小説2(二次小説)です。
夢小説というのは、読み手(書き手も(笑))が主人公になりきって読む小説のことです♪

普段の二次小説とどう違うかというと、
登場人物、三人称(へり、イヌ等)で書いている小説を、
一人称(私)というヘリ目線で書いてます。

なので、読んでいる「貴女♪」が主人公ヘリになりきって、読むことが可能です。
もちろん、イヌ×ヘリ好きの方は「私」を「ヘリ」で読んで下さいね。

今回のシチュエーションは、イヌの部屋に行く貴女のお話です♪


みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。




夢小説2(部屋編)




自分のマンションの部屋につくと、

私は荷物をおき、まず最初にバスルームに入った。

今夜はイヌの部屋にお泊まりすることになるだろう。
先にシャワーをあびて、身体を綺麗にしておかなくては。

…別にイヌの為に綺麗にするわけじゃないわ。
いつも私は自分の体を綺麗に磨いているんですからね。

そう自分自身に言い訳めいた事を考えながらも、
身体を洗うスポンジには、イヌが好きな香りだと言っていた
シャワージェルをたっぷり染み込ませた。

自分の身体をこうして大切にする時間はもともと好きだったけど、
イヌと関係を持ってからは、違う意味で大好きになったような気がする。

自分が大切にしているこの体を愛する男も大事に扱ってくれる。
それが嬉しくて、そして、もっと好きになって欲しいって思ってしまう。

肌にスポンジでシャワージェルの泡をひろげながら、
つい、イヌの事を思い出して、赤面してしまう。

すぐ後で会えるというのに…。

私は、体と髪の毛を丁寧に洗うと、バスルームを出た。

着る服は、ラフな部屋着。
下着は、お気に入りの中からセットになっているものをチョイスした。

今夜は、白色でレースがふちにはいった乙女チックなファンシーな物にしてみた。

清純ぽいでしょ?
男はこういうランジェリーに弱いって、聞いたことがあったのだけど、
でも、学生時代の話だからアテにはならないわね。

実際、イヌの好みのランジェリーっていうのは今だによく分からない。
だって、どれを着てもいつも同じ表情なんだもの。
たまに「どう?」って聞いても、「いいんじゃないか」って言うだけ。
それに、すぐに脱がされてしまうことが多いから。

ほんとはもっとセクシーな物の方が好きなのかしら?


そんな事を考えて、私は服を着替えた。

それから、髪の毛をドライヤーで乾かして、
化粧台の前で顔の肌の手入れをした。

ふと、化粧台の上のオードトワレが目にとまった。

この前イヌとデートしていた時に入った店で、オードトワレやオーデコロンをお互いいろいろ試してみた時に買ったもの。

私は気にいったし、イヌもこの香りが私に似合うかもって言っていた。
ふだんは、ほとんど香水のたぐいはつけないのだけど。

ほんの少しとって、首筋にのせてみた。

うん。ほのかに甘い花のような香りがする。
でも、爽やかで清潔な石鹸の香りに近いから、今つけても嫌じゃない。

…イヌは気づくかしら?

身支度を整え終わると私は時計を見た。

あ、もうこんな時間。

とくにイヌと時間を約束したわけじゃないけど、ゆっくりしすぎちゃったわ。

私は慌てて、部屋着に上着を重ねて着ると、
携帯電話だけを持って部屋を出た。

そして、階段でイヌの部屋のある5階までのぼった。

イヌの部屋について、チャイムを押すと、
中から「開いてるよ」という声が聞こえた。

私は、ドアを開けて、イヌの部屋の中に入った。

「下の階から来ました~。おじゃましま~す」

「いらっしゃい。どうぞ」

ドアを開けてすぐに見えるキッチンにイヌがいた。

ちょうど私の為にココアを作ってくれていたようだった。

甘い匂いがたちこめている。

「いいタイミング。まるで、来るのが分かったみたいね。
あなたってまるで本物の超能力者ね」

…もしかして、私の部屋の中に監視カメラでも仕掛けているんじゃないかしら?

ふとそう思ってしまう。
この男ならあり得ないことじゃないわ。

イヌが笑った。

「君のことは何故か分かるらしい。ココアの好みの味も間違ってなければいいけど」

そう言って、イヌがキッチンカウンターにホットココアのはいったカップを置いてくれた。

さっき、デート帰りに私が飲みたいって言っていた、イヌのココア。

「ありがと。頂きます」

私は、キッチンカウンターに座って、イヌの入れてくれたココアに口をつけた。


甘くて、でも、砂糖はいれすぎていない。
濃い目にたっぷりとはいったカカオパウダーに、絶妙な甘さ加減。
そして、ミルクの温め方も最高。熱すぎない。

イヌのココアを初めて飲んだのは2年ほど前の“トマト事件”の時。

あの時から、ココアを飲むたびに、イヌの作ったココアが飲みたいって思ってしまった。
それくらい、私はイヌの作ったココアが好きだった。

「美味しいわ」

そう言って、コクコクとココアを飲む私をイヌが嬉しそうに目を細めて
カウンターに対面した席に座って見守っていてくれていた。

イヌもココアのはいったカップを持っている。

「今日、外は冷えていたな」

イヌがそう言って、部屋の空調パネルのある方を見た。

「もし、寒かったら部屋の温度を上げるが」

「平気。シャワーを浴びてきたし、温かいココアも飲んだから、体が温まったわ」


そう答えて、イヌをジッと見つめる私。

イヌも部屋着に着替えていた。

さっぱりした顔をしているから、シャワーも浴び終えているみたい。


しばらく、黙って、お互いココアを飲みながら見つめあっているだけ。
でも、全然気づまりな感じがしない。
二人の間をゆっくりと時間が流れていくような気がする。
優しくて、あたたくて、ちょっぴり甘い時間が。

この時間を楽しみに、私は1週間一生懸命働いているって気もすることもある。

「あなたは今週どんな事をしてたの?何か面白い事はあった?」

「面白いこと?仕事で面白い事っていうのは無いな…」

イヌが、肩をすくめて見せてから、少し考えるそぶりをした。

「ああ、そういえば、こういうことがあったよ」

「どんなこと?」

私は興味しんしんで身をのりだした。

イヌが、仕事で外に出ていた時に遭遇した出来事を語ってくれた。
聞いてみると、特に爆笑するというネタでもないのだけど、
イヌの話術にかかると、どんな些細な出来事でも楽しい話になってしまうみたい。

私はイヌの話にあいずちを打ちながら、いっぱい笑った。

「やっぱり、イヌは口が上手ね。何でもない話でここまで笑えるなんて」

目にたまった涙をぬぐいながら私がそう言うと、イヌが嬉しそうに微笑んだ。

「こんな話でここまで笑えるのは君くらいだよ」

「そうかしら」

「そうだよ」

イヌの台詞。私のこと単純だって、いつもの皮肉がはいっているのよね。
でも、怒らないわ。だって本当のことだし、それに、そう言って私を見つめているイヌの目が優しいもの。


私はココアを全部飲み干すと、ごちそうさまと言って、回り込んでキッチンのシンクの前に立った。

「いいよ、そんなこと。僕がやるから」

そうイヌが言ってくれたけど、

「これくらい、させて」とイヌの飲んだカップと一緒に洗った。

洗い物をする時、そっと、指輪をはずす。

100日記念日にイヌからもらったお気に入りの指輪。もらってからは、ほとんどいつもしている。洗い物くらいでは傷つかないって分かっていても、大事にしたいもの。

洗い物を終えた私にイヌが「ありがと」と微笑むと、私をソファの方に促した。

手にはワインとグラスが2つ。

…私の好きなワインだわ。

私がコクリと喉を鳴らすのをイヌが面白そうに見ていた。

「音楽をかけるか」

そう言って、立ちあがってCDが並べてある棚の所に歩いて行くイヌ。
イヌはCDを沢山持っていた。
いろいろなジャンルの音楽を聞くみたい。

「待って、イヌ」私は慌てて言った。

「今はクラシックはやめてね」
そう言う私にイヌは呆れたように苦笑して頷いた。

「分かってるよ」

私にはクラシックを聞くと眠くなるという習性があるみたいだった。
どうしてなのか分からないけど。

それをイヌに知られた時は、すごく面白そうな顔をされた。

また一つ弱点を知られたようで、恥ずかしくなった私が
「変な事に悪用しないでね」と言うと、ますます笑みを大きくしていった。

…きっと、又ろくでも無いことを思いついたのかも。

イヌはジャズをかけてくれた。

ゆったりとしたテンポのムーディーなやつ。
イヌのこの部屋、そして、今の夜の雰囲気にぴったりだった。

イヌは手に雑誌を何冊か持って戻って来た。

「明日、ドライブする場所を調べておこう。他にも行きたい場所があったら寄り道しようか」


明日の土曜の休日。

イヌと一緒に少し遠方で、行ってみたいと思っていた場所にドライブする計画をたてていた。ずっと気になっていた美味しいと評判のレストランも、もう予約してあった。

イヌがワインのコルクをあけて、グラスに注いでくれている間、
私はイヌが持ってきてくれたマップやドライブ情報誌を手にとって眺めた。

「ここなんてどう?」

「どこ?」

イヌが私の見ている雑誌を一緒に覗き込んだ。
さりげなく私の横に腰かけて、肩と肩が触れ合うほど近くにいるイヌ。

それだけのことに、ときめいている事を悟られたくなくて、
私はわざと平静を装った声で話す。

「美術館。去年開館したばかりの新しいところだけど、私の好きな作家の絵もあるみたいなの」

「ふーん…僕の好きな作家のオブジェもあるようだな。いいよ。行こう」

こうして話してみると、私とイヌの好みは結構似ている所があるようだった。
もちろん全然違う事もあるけど、共通点を見つけると何だかとても嬉しくなってしまう。

「イヌは、どこか行きたいところがあるの?」

「僕は…」

イヌは、雑誌に付箋をはってあるページをめくった。

もうすでにチェック済みのようだった。

「陶芸体験をしてみたい」

「陶芸?出来るところがあるの?」

「ほら、ここ。目的地からそんなに遠くない。予約は当日でも可能だそうだ」

「楽しそうね。私もやってみたいわ」

「じゃあ、明日予約して大丈夫ならランチの後にここにしよう。
美術館は午前中だな」

「ええ」

こうして、明日の予定も決まって、私達は寝酒のワインを軽く煽った。

音楽を聞きながら、ワイングラスを片手に、
イヌに肩を抱かれて、ソファの背もたれに深く腰をおろしている。

イヌの温かい体温が体の触れている部分から流れ込んでくるみたい。
体がふわふわしてくる。…なんだか、とってもいい気分。

「…おい、こんな所で寝るなよ」

ふと、目を閉じてうっとりしていたら、
イヌの声が頭上からふってきた。

目を開けて、イヌの顔を見上げると、呆れたように微笑むイヌの目があった。

「寝てないわよ」

「一瞬いびきが聞こえたぞ」

「うそよ。噓。もう、噓ばっかり。それに全然眠くないってば」

あわてて言って、イヌを睨む私。

「ほんとか?君には前科があるから信じられないな」

前、こうやって、クラシック音楽を聞きながら、
イヌのソファで寝てしまった事があったから、イヌはその事をからかってる。

「もう。そんな事を言うなら本当にもう寝るから。明日はドライブで朝早いもの」

明日は早いからって言った私だけど、車を運転するのはイヌなのよね。
それは分かってるけど。

案の定、イヌの方も私の言葉に笑って言った。

「運転するのは僕だ」

そして、私の手のワイングラスをとりあげ、自分のと一緒に
テーブルに置くと、顔を近づけた。

「寝てもいいけど…」

イヌの顔がもうほとんど息がかかるくらい至近距離にあった。

照明の明かりが少し落ちているイヌの部屋。
二人のわずかな沈黙の間をムードたっぷりの音楽が流れている。

細められたイヌの瞳が妖しい熱で煌めいて見えた。
…きっと私の瞳の方が、
心の中の動揺を如実に映し出して、イヌに伝えているのだろうけど。

「…まだ、すぐには眠らせないよ」

イヌの手が私の頬と首の後ろに置かれ、引き寄せられる。

イヌに塞がれる唇。

優しくて、やわらかい。
でも、少しずつ激しくなっていく。

イヌの舌に私も積極的に舌をからめて応えていた。

イヌがどうしたいのか、もう分かってる。

…私も同じ気持ちだもの。

この後の甘い展開を予測した私は、そっと瞼を閉じると
イヌの熱い抱擁に身をまかせていった。


(夢小説2【部屋編】終わり)



検事プリンセス夢小説、第二弾です。

前回のデート編の続きになります♪
この「部屋編」の続きは…R指定になりますね。おそらく(汗)
三人称を一人称にしただけで、書いていてドキドキします(笑)
「私」はもちろん、あくまで「ヘリ」なんですけど。

昨日の4コマ漫画、ヘリ兎と猟師イヌの感想ありがとうございました。
恵理ちゃんと仁優くんタッチで、シリーズ化します。
パロディで童話風に二次小説でも書いちゃおうかな?と思うほど、
自分がツボにはまりました(笑)
そうです。4コマの猟師イヌの横にいるのは、魔女ジェニーです。
ほんと、一体どういう設定なんでしょうね?←自分に聞いてみる。

次回作のシリアス書きながら、大人短編話、メルヘン、コメディもいろいろ書かせてもらいます。
頭の中の妄想がすでに闇鍋化してますが、あいかわらず全部「検事プリンセス」二次創作です♪♪

拍手、拍手コメントありがとうございます♪
コメントはいつも楽しく読ませて頂いてます。

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次創作。

みつばの4コマ漫画
恵理(ヘリ)ちゃんと仁優(イヌ)くんシリーズ32です。

他の4コマ漫画作品は、検事プリンセス漫画INDEXからどうぞ♪

4コマ漫画は、完全にコメディタッチなので、
「検事プリンセス」のドラマや、キャラクター、
このブログの二次小説のイメージが崩れると思われる方は
スルーでお願いします。

どんなヘリもイヌもOKという方はご覧ください。↓

おかげさまで、仕事少し落ち着きました。
締切明けのブログの「検事プリンセス」二次創作第一弾は4コマ漫画で。

時々、二次小説で、イヌとヘリを「猟師と兎」に例えていたのですが、
実際、「検事プリンセス」をメルヘン童話風に例えるとこんな感じ?と描いてみました♪




たとえるなら




   検事p「たとえるなら」



ヘリ兎と、猟師イヌ(笑)


すみません。
これ、自分の中ではかなりはまったんですけど。。。
二次小説でも漫画でも大人向け(笑)の話も好きで書きますが、
こういうロマンチックでほのぼのメルヘン設定も大好きなんです♪
これ、「ヘリ兎と猟師イヌ」シリーズ化したい。ダメ?(笑)

ところで、二次小説次回作の長編どうなってますか?なのですが、
引き続き、少しずつ書いてます。ただ、まだ完成しません。長いです…。
「過去の亡霊」よりシリアスが増している上に重いので、エネルギーためて
一気に書かないと…と頑張ってます。
とにかく、これを更新しないとシリーズは先に進めないので、もう少し待って下さい。

でも、「印」が本当にシリーズ化するとは思わなかったのですが(苦笑)
もう、完結編(?)として続編は書く予定です。
あと、2月にはいったら、先に「バレンタインデー」の話も。
たぶんシリーズ話にはあまりさし障りないと思うので。

そんな感じで、今後も
創作の方の更新はゆっくりになるかもしれませんが、
末長く、おつきあい頂けると嬉しいです。


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こんにちは。

仕事追い込み(追い込まれ)中の、みつばです♪

明日には落ち着く予定。…多分。


寝不足が続くと、ハイテンションになってきますが、そうなると、検事プリンセスの妄想が、夢小説のような方向に行きます(笑)

例えば、

ドラマ9話で、仕事で徹夜をして帰ってきたへりが、マンション前で座り込むシーン。

見つけたイヌが、あわてて下まで駆け下りて、でも何気なくへりに声をかける場面。

フラフラのへりを支えながら、部屋まで連れて来て、
ぞんざいな感じで「横になってろ」とか、「もの好きな奴」とか言うのだけど、
心の中では心配してるんだよね~。

…あれ、私がイヌにして欲しいです♪


仕事を無事終えたら、

…よくやったな。
みたいな5話のへりの裁判後みたいな顔をして欲しい♪

とか(笑)

自分の状況にあったイヌのセリフを抜き出して妄想するのも楽しいですよ♪。
是非お試し下さい♪

↑ある程度妄想にふけったら現実に戻るのも忘れずに(笑)


いつも励ましや応援拍手をありがとうございます。
メールやコメントのお返事は明日以降にさせて頂きますね♪
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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「印-しるし-(SIDEイヌ)」です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。


この小説は、「印-しるしー」の続編になります。

事の発端となった話は「印-ホクロ-」より。





印-しるし-(SIDE イヌ)




…やってくれたな。


鏡に映った自分の姿を見ながら、イヌは苦笑いを浮かべていた。


月曜の朝。

目が覚めたイヌは、すぐに、横に眠っているはずのヘリの姿が無いことに気づいた。

ヘリが自分より先に目覚めることは珍しかったから、

…トイレか、バスルームにいるのか?

一瞬そう思ったが、いる気配はなかった。

…自室に戻ったか…。
それにしても、書き置きもせずに黙って出て行くなんて。

イヌはベッドサイドに置いていた携帯電話を操作して、メール確認をした。
ヘリからのメールは入ってはいなかった。

何か急ぎの用事でも出来たか、仕事の用件でも思い出したのかもしれない。

イヌは溜息をつきながら、そう考えた。

昨日の日曜日。
日中、一緒に外でデートをして過ごした後、夜、ほとんど強引に
自分の部屋にヘリを連れ込んでいたイヌだった。

『明日は仕事だから帰らないと…』

そう言って、
弱弱しく抵抗する恋人のそぶりにも、
それが「承諾」の意味だと勝手に解釈させてもらっていたイヌだった。

『僕がいる方が確実に起きられるだろ?朝食もつくぞ』

そう言って、ベッドの中に引きずり込んで、甘い時間を共に過ごし、
寄り添って就寝したと思っていたのだったが…。

ヘリに電話をしようか、と考えたイヌだったが、
…もしかすると、本当に仕事が多忙で早くに出勤しなくてはいけなかったのかもしれない。
僕の誘いを断りきれずに泊まったのだったら悪いことをしたな。

そう思って、携帯電話をサイドボードの上にそのまま置いた。
そして、ベッドから起き上がると、洗面所に歩いて行った。

洗面台で顔を洗った後、ひげを剃ろうと、鏡を覗き込んだイヌは、
ふと、自分の首の肌のところの異変に気づいて、眉をひそめた。

…なんだ、これは。

首筋のところにうっすらと赤い斑点のようなものが出来ていた。
それも2か所。

よく見ると、耳元の後ろにも1か所ある。

虫さされ?じんましんか?

そう考えたイヌだったが、その考えも一瞬で取り消した。

そして、
鏡でその箇所をしばらくまじまじと確認したイヌは、フッと息をついた。


「…やってくれたな。…ヘリ」

おもわず、そう呟いて苦笑するイヌ。

『昨夜の行為』でついた跡では無いことは分かっていた。
こんな跡がつくような事をされた覚えは無かった。…少なくとも自分が起きている間は。

これは、自分が眠っている時につけられたもの。
それも意図的に。

イヌは、夜中にこの跡を、こっそりと自分につけて、
そして、嬉しそうにほくそ笑む、ヘリの姿を容易に想像出来た。

…随分と楽しんでくれたようだな。

1つならずとも、3つもつけるとは。
しかも、こんな目立つ場所に連続して。

これが、以前自分がヘリにした、
いつかの行為の仕返しだということを思い出したイヌだった。

あの時、ヘリは、随分本気で腹を立てていたようだった。
そして、しばらくはベッドの上で隙さえあれば仕返ししようとしていた。

『あなたにも同じように印をつけてあげるんだから』

それから時々、行為の最中に、自分の首に唇を寄せようとしている事に気づいて阻止すると悔しそうな顔をしていたヘリ。

やがて、そういう事もしなくなっていたから、諦めたか、忘れたものと思っていたが…。

「さて…どうするかな」

首にはっきりと浮き上がっている、妖しい印。

スカーフを巻くにしても室内では、不自然だ。
ベージュ色の絆創膏を貼るにしても、やはり不自然すぎる。
かえって目立ってしまうことだろう。

それなら、いっそこのままでいい。
これに気づく者は勝手に頭の中で想像力を働かせるだろうが、
事実は、そんなロマンチックな産物ではない。

…いっそ、行為の最中につけられた方が良かったな。

こんな風に知らないうちに、不意打ちをするとは。
こういう事は、僕ならいざ知らず、君には似つかわしくないな。ヘリ。
いつから、こんな悪い事をするようになったんだ?

そう心の中でつぶやくイヌだったが、
世間一般では、そういう恋人の悪影響を受けてしまったヘリが
ある意味被害者と認定されるのかもしれない。

それに、先にイヌに同じ事をされたヘリが報復としてとった行動。
イヌが文句を言える立場では無かったはず。

しかし、そんな道理はイヌには通用しないようだった。

しかも全部理解した上で、イヌは、それでも、恋人のした事を
ただ笑って見過ごす事は出来なかった。


…僕がどういう人間か。まだ分かっていないようだね。マ・ヘリ。

つけられた印をジッと見つめるイヌ。
鏡の向こうに、美しく、それでいて、この上無く愛しい『おバカ』な恋人の顔を想像して、
自分でもゾッとするような微笑みを浮かべていた。


その後、
法律事務所に出勤したイヌは、

自分のオフィスにバッグを置くと、
呼ばれていた事務局長のオフィスに入室していた。

ソファで対峙してイヌと仕事の話をする事務局長だったが、
時々目線がチラチラとイヌの首元に向けられていた。

そんな事務局長の視線に気づきながらも、
イヌは意に介さない様子で会話を続けていた。

話が終わり、「それでは」とイヌが立ち上がると、
「ソ弁護士…」事務局長が何か言いかけた。

「何か?」

「いや、その、あなたの首の所の…」

普段、冷静に淡々と話をする事務局長が珍しく動揺しているような声色だった。

「首のところが何か?」

イヌの平然とした応対に、事務局長が唖然としたような表情をした。

…気づいていて、この態度なのか。

「…いえ、なんでも。もう行って結構です」

事務局長は務めて平静を装ったように首を振ると、イヌから目を逸らした。

見ている方が恥ずかしくなる…まるでそう言っているような事務局長に、
イヌは微笑を浮かべると、「失礼します」と部屋を後にした。

事務局長の部屋を出て、自室に戻ったイヌはしばらくデスクで仕事をしていた。


やがて、パソコンで事務所内のネットワークメールが入った。
ジェニーからだった。

『今日は、事務所で仕事をしているのだけど、お昼に時間があるなら一緒に食事しない?』

イヌはすぐにジェニーに返信した。

『いいよ。昼食を食べたら出かける予定だ。どこか外で食べよう』


昼時になって、イヌは、ジェニーと事務所のビルのロビーで待ち合わせした。

イヌと顔を合わせたジェニーは、一瞬驚いたような顔をしたが、
次に、呆れたような目をイヌに向けていた。

それでもランチをする店につくまで黙っていたジェニーだったが、
店の席についた時、我慢の限界のように口を開いていた。

「イヌ…あなた、気づいているとは思うけど、今日はずいぶんとハクがついてるわよ。
その首のところ、誰の仕業か、聞くのも愚問だと思うけど」

…ずいぶんと、まあ、派手にやってるわね。

ジェニーは脳裏に、ハハハとあっけらかんと笑う、親友の大事にしている女性の顔を思い浮かべていた。
いでだちは派手で天真爛漫だけど、純粋で、こういう事には奥手そうな印象もあった。

あのマ・ヘリがこんな大胆な事をするようには思えないのだけど…。

案の定、イヌがメニュー表に目を通しながら、そっけなく答えてきた。

「愚問だな。分かっているなら聞かないでくれ」

ジェニーは開いた口もふさがらないという風にイヌを見つめていたが、
店員がオーダーをとりに来た時に、自分に向けられた視線に、さらに困惑した。

店員はまず、イヌの首に目を走らせると、呆気にとられたような顔をした。
次に、ジェニーの方に顔を向けて、笑いを噛みしめるような表情になった。

ジェニーには店員が何を考えたのが一目瞭然で分かった。

どうやら、イヌの彼女だと勘違いされたらしい。
それも、イヌの首のマークをつけた張本人だと思われたようだった。

それでも、
店員の好奇心まるだしの視線を物ともせずに、平然とメニューをオーダーするイヌに、ジェニーは憮然とした顔になった。

「…その首のところ何とかしないの?」

「何とかって?」…何をするんだ?

「隠すとか、誤魔化すとか」

一緒にいる私が恥をかいたじゃない。そう、恨めしそうに言うジェニーに、
イヌが肩をすくめてみせた。

「何も悪いことはしていない。誤魔化す必要があるか?」

「…面の皮が厚いってこういう事を言うのね。
…それとも首の皮が厚いとでも言えばいいのかしら?まあ、似合っているわよ、イヌ」

親友の女性の嫌みを含んだ言葉に、イヌがフッと笑った。

「うらやましいなら、君も誰かさんにつけてもらえばいい」

「・・・・・・」

ジェニーは、イヌを軽く睨んだあと、これ以上この会話を続けるのは不毛だと察したらしく、話題をかえることにしたようだった。

「…午後からはどこに出かけるの?」

「検察庁だ」

そう答えたイヌに、またもジェニーが呆気にとられたような顔をした。

「検察庁?何しに?」

「仕事だ。当然だろ?他に何しに検察庁に行くんだ?」

「…仕事?ほんとに?…誰かさんに会いに行くんじゃないの?」
検察庁で仕事をしている、イヌの首に強烈なマークをつけた『誰かさん』。

「ああ…もしかすると“偶然”会うかもな」

飄々と答えて肩をすくめて見せるイヌに、ジェニーは失笑した。
そして、検察庁にいるヘリに心の中で密かに同情した。

…お気の毒さま。何があったのか知らないけど、
こういう冷静すぎる時のイヌにはかえって気をつけてね。

だが、当然ジェニーのそんな心の忠告は、当のヘリには届いてはいなかった。

その頃何も知らず、検察庁の仲間たちと一緒に昼食を食べていたヘリは、
午前中の仕事の忙しさで、すっかりイヌにつけた印の事を忘れていた。

何か1つの事に夢中になると、他の事は考えられなくなるのがヘリだった。
その後、無理やりにでも思い出させられることになるとは、想像もしていなかったようだったが。

その後、
食事を終え、ジェニーと別れたイヌは検察庁に向かった。

担当検事はヘリのいる刑事5部の人間では無かったが、フロアは同じ階の検事だった。

イヌと対峙して話をしていた検事は、やはりイヌの首元が気になって仕方がないようだった。同室にいる事務官も捜査官も、イヌの方に何度も目をやっては、顔を見合わせていた。

中部地検の検事達のほとんどは、イヌがマ検事、つまり、ヘリの恋人だという事を知っていたから、イヌの首につけられた『印』が誰がつけた物か勝手に決め付けていた。

しかも休日明け。ある意味説得力のある当然の推察だった。

…マ検事って見た目通り情熱的ね。

…同じ男として、あそこまでされると恥ずかしいけど、うやらましい気もするな。

もちろん、そんな囁きはイヌの耳に入っていた。
全部、馬耳東風のように聞き流しながら、イヌは仕事を終え、担当検事のオフィスを出ると廊下を歩いて行った。

廊下でイヌと行きかう人々もオフィス内と変わらない噂話をコソコソとしていた。

イヌの歩みより早く、その噂話は先に検察庁中を駆け巡っていたらしかった。
ヘリの先輩検事が、早足でヘリのオフィスに入るのが見えた。

その時
「ソ弁護士」
イヌの後ろからユン検事の声がかかった。

「ちょうど良かった。この前の担当事件で聞きたい事があったのだが、今少しいいか?」

「ええ、構いません」

そう言って振り向くイヌを見たユン検事が、一瞬ひるんだような顔をした。
目はしっかりイヌの首元に釘付けされているようだった。
唖然としたように口元を半開きにしていたユン検事だったが、
さすがに、すぐに普段の冷静さを取り戻したように、淡々と仕事の話を始めた。

立ち話でユン検事と話すイヌの近くでも、ヒソヒソとした声が微かに耳に届いていた。


「…ほら、噂をすればマ検事よ」

「もう彼は自分の物よって言いたいのかしらね」

「でも、あんなカッコいい彼氏だったら、印をつけたくなる気持ちも分かるわ~」

…ここの連中は本当にこういうゴシップが好きだな。

イヌはそう思いながら、心の中で冷笑を浮かべていた。
そして、近くでこちらを息をひそめて見ているだろう、ヘリにも。

ユン検事と話し終えたイヌは、ヘリの方を振り返った。
ちょうど、ヘリがコソコソと自室の中に戻ろうとする姿が目に入った。

…逃がすか。

「マ検事さん」

ビクっとヘリの肩が揺れて、こわごわとイヌの方に顔を向けた。
怯えた表情。
底抜けに鈍いヘリもさすがに何かを察したようだった。

「こんなところで会えるなんて奇偶ですね」

「そ、そうね。そういうこともあるわね」

社交辞令のような会話を続けたあと、
「失礼するわね」とさらにオフィスに逃げ込もうとするヘリの腕をイヌが掴んだ。

「僕に素敵なアクセントをつけてくれたね」
…おかげさまで今日1日、いや、これからの数日、“楽しい気分”を味わえそうだよ。

ひきつった笑みを浮かべながら、「良かったら又つけてあげるけど?」
そう言うヘリに、イヌが微笑んで見せた。
…やれるものならやってみろ。

せいいっぱい虚勢をはっているらしい恋人の心情は全部見透かしている。
まだ、分かっていないようだから、君にも分かるように、僕の心情を伝えてあげよう。
なあ、ヘリ?

イヌは、ヘリの耳元に声のトーンを落としてゆっくりと囁いた。

「今度お礼をさせてもらうよ。…たっぷりとね。覚えてろ」

ヘリの、カチンコチンに硬直した表情を見て、満足そうにイヌが微笑んだ。

そして、周囲の人間にも愛想笑いを浮かべながら、エレベーターに乗り込んだイヌは、去り際、ヘリに軽く手を振った。

目を見開いて、ある種の恐怖にかられたようなヘリの顔。

…これからヘリの考える事も予測ずみだった。

イヌは、スーツのポケットから携帯電話を取り出して操作した。

かけた相手は…

『ソ君?どうしたの?』

携帯電話からヘリの母親、エジャの第一声嬉しそうに弾んだ声が聞こえた。

「こんにちは。お母さん。お仕事中にすみません。じつは、今週末に、ヘリさんと旅行に行く予定をたててまして、娘さんをしばらくお借りしてもいいかとお伺いをたてたくてお電話しました」

『まあ、そんな事わざわざ断らなくてもいいのよ。ソ君なら全然心配してないんだから』

エジャは、イヌに全幅の信頼を置いているようだった。

「ええ。ありがとうございます。でもヘリさんには内緒にしているので、もし彼女が実家に帰るような事を言ったら…協力して頂けますか?」

『もちろん。分かったわ。ヘリには実家に帰らせないようにするから。どうぞ、楽しんで行って来てね』

エジャの胸をはったような言い方に、イヌが爽やかにお礼を言った。

「ありがとうございます」

電話を切ると、イヌはフッと微笑んだ。
…これで、逃げ場はふさいだ。

イヌは、あたふたと、今後の展開の打開策を必死に練っているであろう哀れな恋人を思い浮かべた。
まるで、すでに、罠をはった森の中で逃げ惑う、可愛い兎を見守る猟師のような目をして。

「週末が楽しみだな」

そう呟いて、
どこまでも、残酷で魅惑的な笑みを浮かべるイヌの姿を
検察庁のエレベーターの防犯カメラも、背後だけしか捕らえられなかったという。

そして、

その後の、哀れな兎…ではなく、ヘリがどうなったかというと…。
それは、又いつかのお話。


(印-しるし-(SIDE イヌ)終わり)



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「検事プリンセス」の「夢小説」楽しんで頂けたでしょうか?
私は、書きながら妄想にひたれました~♪
他の二次小説と一緒に夢小説の方も続編を更新したいな。と思ってます。

妄想といえば、萌えツボ。

…ということで、今回は勝手に私の萌えツボの話を雑記で(笑)

萌えツボというのは、自分が好きだ~、面白い~とはまるツボのことですが、

好きになったり、はまったドラマ、小説(漫画も)には似た共通点があります。

私の場合、

ほとんどパートナーといっていいほど
仲の良い(あるいは普段喧嘩ばっかりしているけど)友情関係の男女。

いざとなると、凄い息のあったところを見せたり、
恋人じゃないのに、深い部分でつながっていたりする関係。

たとえば、私の好きなドラマでいうと、

海外ドラマの

「アグリー・ベティ」のベティと編集長の関係。
「Ⅹファイル」のスカリーとモルダー

「踊る大捜査線」の青島とすみれさん(笑)

でも、「踊る大捜査線」の場合は青島と室井さんの関係も好き。
それを言ったら「チーム・バチスタ」の白鳥さんと田口先生とか。
↑(男女じゃなくても男同士の名コンビという設定も好きなんです)

男女の場合、もう。この二人、いっそ、くっついちゃえば?っていうほど、
もどかしくなるのが、又いい感じなのですが、

でも、これは私の意見なのですが、

「アグリー・ベティ」のベティと編集長の場合、永遠に親友でいて欲しい男女です。
だから、ファイナルシーズンのラストの終わり方がすごく好き。
(「ファイナルシーズン」しっかり見てないけど、ラストだけ知ってたりします)


永遠に親友でいて欲しい男女に、

「検事プリンセス」のイヌとジェニー←やっぱり結びつけますが(笑)

でも、この二人、親友なんだけど、私には「姉弟」に見えてしょうがないのです。
または、司令官と参謀みたいな。←これもツボですが(笑)

「検事プリンセス」でいうとイヌとヘリが、前半この男女の「親友」関係に見えました♪
それに、事件を調査している時とか15~16話で二人で協力して事件にあたるシーン。
すごくいいコンビです。


あと、私の萌えツボは「師匠」と「弟子」という関係♪

それでいうと、小説なのですが、

「シャーロック・ホームズの愛弟子」 ローリー・キング著

どはまりしました♪
あの名探偵シャーロック・ホームズが、未成年の少女を弟子にするという設定。

1巻ずつ読み切りですが、シリーズもの。
上記のタイトルのものは第一作です。この後、この二人の関係が変化して、
驚く展開になります♪

これはミステリーと冒険もはいった推理小説なのですが、ロマンスとしても楽しめます。
…年の差カップル好きな方には。ちょっと(?)離れすぎてますが、私は好きです。


それで、「検事プリンセス」なんですけど(笑)

前半、イヌってヘリに助言したりしてますよね。
4話の空港でも、7話でも。

そうやってヘリを成長させていたのはイヌだったような気がします。

この「師匠」と「弟子」みたいな関係で好きでした(笑)


あとは、障害のある恋。(敵対関係にある二人、とか、禁断の関係とか)
ここも萌えツボなのですが、もちろん、イヌ×ヘリ当てはまってます♪♪♪


結局何が言いたいかというと、

「検事プリンセス」のはまった理由をあげただけみたいな雑記でした♪
あいかわらず(笑)

ところで、

私の周囲でもインフルエンザが猛威ふるっているようです。
子供の担任の先生がインフルエンザで休んでいて、隣のクラスは閉鎖になっているそうで。

私へのご心配、ありがとうございます。
皆さまもご注意くださいね。

でも、
「検事プリンセス」熱とか、「ソ弁病」(ソビョンアリ)←ソ弁護士に夢中という意味。
には、是非、かかっておきましょう!!(笑)


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「みつばのたまて箱」初の試み。

韓国ドラマ「検事プリンセス」の夢小説(二次小説)です。
夢小説というのは、読み手(書き手も(笑))が主人公になりきって読む小説のことです♪

普段の二次小説とどう違うかというと、

普段、登場人物、三人称(へり、イヌ等)で書いている小説を、
一人称(私)というヘリ目線で書いてます。

なので、読んでいる「貴女♪」が主人公ヘリになりきって、読むことが可能です。
もちろん、イヌ×ヘリ好きの方は「私」を「ヘリ」で読んで下さいね。

今回のシチュエーションは、仕事帰りにイヌとデートする貴女のお話です♪


みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。
このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。



検事プリンセス夢小説(デート編)



今日は金曜日。
仕事帰りにイヌと食事をする約束をしていた。

定時で仕事を終え、

「今日は早いな。今夜はデートか?」という先輩のからかいにも
「そうですよ~」とうきうきした声で応えて、職場を出た。

待ち合わせの場所は、もう決めてあった。
私のお気に入りのお店。

イヌもこの前美味しいって言ってたから。

店は繁華街の中にあった。
街なかの駐車場につくと、イヌの車が停めてあった。

…もう来てるわ。

少し早足で店に向かう。

そして着くと、店のドアを開けて、中を見渡した。

「いらっしゃいませ」
店員が案内しようとする前に、奥の席から声がかかった。

「ここだ」

イヌが微笑んで、私に手を振っていた。

仕事帰りのスタイリッシュな格好のイヌ。
今日はネクタイをしめていた。
細みのチャコールグレーのスーツもイヌによく似会っている。

私はつい顔をほころばせると手を振り返した。
そして、店員に「連れです」と言うと、イヌの方に歩いて行った。

「仕事、お疲れ」

イヌが言った。

「あなたも。お疲れ様」

私も言って、イヌの前の席に座った。

「待った?」

「いや、さっき来たばかりだ。注文もまだだ」

「そう、でも私の食べたい物はもう決まっているのよ」

イヌが笑った。

「ディナーのAコースだろ?最近の君のお気に入りだよな」

「そうよ。あなたは何がいいの?決まった?」

メニューに目を通しているイヌに聞いた。

「そうだな。君と同じAコースの料理にするかな。アルコールは…今はいいか?」

イヌの問いに、私はうなずいた。

「部屋に帰ってからゆっくり飲みたいわ」

「僕の部屋の酒を、だろ?」

からかうようにニヤリと笑うイヌを、私は軽く睨んだ。

「そんな意地悪言うなら、全部飲み干してやるんだから」

私の言葉にイヌが楽しそうに笑った。

私も笑って、グラスの水に口をつけた。


食事をしながら、私たちはいろいろな話をした。

今日の仕事の話。
もちろん、込み入った仕事内容の話はしないけど、
お互い興味深い事は話しあったりする。

それに、職場の人間関係も。

昼間の職場でのランチ会で仕入れたネタや話などをイヌに話すこともあった。

普段、部屋にこもって仕事をしている事が多いから、
私の職場の人間達は、娯楽に飢えているようだった。
だから、職場内でも外でもゴシップ的な話が好きな傾向があった。

そんな話をイヌに披露すると、イヌは面白そうに聞いてくれる。

そんなイヌの表情を見て嬉しくなった。

「ね?面白いでしょ?」

そう言う私にイヌが言った。

「話も面白いが…君の面白そうに話す姿も見ていて楽しいよ」

「なによ。それ」

…又からかってるのね。

そう、拗ねたように膨れてみせたけど、
イヌは、私をじっと見つめて微笑んでいるだけだった。

イヌの私を見るまっすぐな視線に、時々直視できなくなってしまう。

きっと、勘違いなんかじゃない。
イヌが私のことを好きだということを確信してしまう、そんな視線。

今さら照れることなんて無いのに。
そう思ってしまう。


…食事を終えて、

食事代はイヌが払ってくれた。

「誘ったのは僕だから」と言うけど、
いつもそう言って、食事代はイヌが出してくれていた。

「ありがと」

最初の方は、とまどっていたけど、
最近は素直に礼を言うと、イヌが嬉しそうな顔をしてくれる。

店を出ると、冷えた空気が身を包んだ。

「寒い」

思わずそう言って、身を縮こませた私の肩をイヌがひき寄せた。

イヌが風上に立って、寒風を防いでくれた。

「イヌ…」

イヌが私を柔らかい笑みで見降ろしたけど、すぐに、おや?という顔をした。

「君、手袋はどうした?」

両手をさすっていた私に気づいてくれたイヌ。

「職場に忘れてきちゃったの」

「まったく、そそっかしいな」

イヌが苦笑して、自分の手袋を脱ぎ始めた。
そして、私の方によこした。

「ほら。君には大きいけど、はめて」

「いいわよ」

私はあわてて、手を振った。

「すぐに車につくから」

「いいから、それまで、はめていろ」

「いいったら」

「っとに、強情だな」そう言って、呆れたようにイヌが溜息をつくと、

「…じゃ、こうしよう」と手袋を片方だけ私の左手に強引にはめた。

「?」

不思議に思って、左手のイヌの手袋を見つめている私。

イヌがもう片方を自分の右手にはめると、はめていない左手を私の方に差し出した。

イヌの大きくて温かい手が私の右手を包んだ。

手袋をしている手よりつないだ手の方が熱くなっていく気がする。

「これでいいだろ?」イヌが聞いた。

「…うん」

今度は素直にうなずく私。

駐車場まで歩くのに、そんなに時間がかからなかったけど、
もっと歩いてもいいな、ってそんな事を思った。

「寒くなってきたわね」

私は、照れくささを誤魔化すように言った。

「部屋で酒でも飲めば温まるさ。…今夜は僕の部屋に来るだろ?」

聞いておきながら、確認なんかじゃない。
イヌは、私に念を押しているのよね。
それは分かってる。

「ええ」

私は、コクリとうなずいた。
何気なさを装って見たけど、口元は自然に綻んでいるみたい。

私の返事にイヌも満足そうに微笑んだ。

「お酒の前に飲みたいものがあるの」

私が言った。

「なに?」

「あなたの作ったホットココアが飲みたい」

こんな寒い日。
甘くて、温かいココアが飲みたくなる。

でも、自分の作ったものじゃ駄目。

なぜかイヌの作ってくれるココアが無償に飲みたくなる。

「イヌの作るココア、私大好きなの。作ってくれる?」

心も体も温めてくれる。

「お安い御用だよ」

イヌが言った。


駐車場につくと、

私はイヌに手袋を返した。

「じゃ、また後でね」

私がそう言って、自分の車の方に行こうとするのを、イヌがよびとめた。

「待って」

「え?」

イヌが、私の腕をつかんでいた。

「口元に何かついてる」

「やだ。何?」

あわてて、口元を指でぬぐう私。

はずかしい。
さっき、食事した時のソースでもついているのかしら?

「ねえ。とれた?」

あせったように聞く私に、イヌが首をふった。

「まだだ」

「うそ。どのへん?」

手鏡でも出そうかしら?と考えた私の頬に
イヌが手をおいた。

「ここ」

イヌの指が私の顎をとらえて、
そして、

目をみはった私に顔を近づけたイヌが、私の唇に唇を重ねた。


柔らかく、優しいイヌの口づけ。

からまるイヌの舌から、
食後にイヌが飲んでいたエスプレッソの香りと味がした。

「…何もついてなかったんでしょ?」

唇を離したイヌに私が、わざと睨むふりをした。
たぶん、口には笑みが浮かんでいたと思うけど。

駐車場には私達以外人の姿は見えなかった。

そうじゃなくても、イヌは時々いきなりこんな事をして
私を困惑させるのよね…。

イヌが、してやったり、という顔でニヤリと笑った。

「グロスだったな」


そして、耳元で囁くように、つけ足した。


「続きは後で。…部屋で待っているよ」


そう言って、
イヌの指が私の頬をなぞって、離れた。

甘くて、低い、熱のこもったイヌの声。

体の奥がゾクゾクする。

私はイヌの言葉に微笑んでみせて、うなずくだけで、
せいいっぱいだった。


別々の車でマンションに帰る私達。

離れがたい思いと、
すぐ後で会えるという気持ちが、私に寒さを感じなくさせていた。

私は自分の車に乗り込むと、シートベルトをしてエンジンをかけた。

イヌも自分の車に乗っていた。

私が駐車場を出るのを見守るつもりなのだろう。


私が手を振ると、イヌが振り返してくれた。

…また後でね。イヌ。

私は、車を運転しながら、これからイヌと過ごす甘い時間の事を考えていた。


あたたかくて、それでいて、くすぐったくなるような予感に胸を躍らせながら、
マンションまでの帰路を走って行った。



(夢小説、デート編終わり)

どうでしょう?こんな感じの「検事プリンセス」の夢小説。
とりあえず(デート編)でした♪

…小説は無理でも妄想文なら一気にかける♪
↑違いは何?ですが(汗)

仕事でミスをしてしまって自分を慰めるために
突発的に書いてしまいました。
ヘリ気分になってイヌに癒されたかったんです。私が(涙)

デート編ってことは、他に何かあるの?と言われそうですが、
自分がイヌとしたい事は今後書いてしまうかも♪
でも、大人話の夢小説は…危険かな。。。(苦笑)

夢小説書いて、気分一新♪
パク・シフさん(イヌ)の卓上カレンダーの
2013年(2011年の間違い?)12月(笑)の写真に見守られて仕事頑張ります!!
または2012年8月のカレンダーの写真♪(バスルームの(笑))

↑持っている方は分かります?


やっぱり普通の二次小説のほうが…の方も、
夢小説で妄想にふけるのもいいよね♪の方も、
それより次回作の長編早くして、の方も、何かあったら
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先日、こちらでは雪が降りました。

積もる事が珍しいので、雪かきは大変ですが、
大人も子供も何だか非日常的な出来事に、朝から楽しそうなイメージを受けます。
通勤、通学等は大変ですけど。…子供の送り迎えだけで2時間費やしましたし。


引き続き、私事ですが、月末までたて混んでます。
仕事があるのはいいことなのですが、
自分の技術を上げて時間を短縮させて二次創作出来る時間を
作っていきたいところです。


せめて「検事プリンセス」のイヌ×ヘリのイラストを。

↓「贅沢な時間」の雪合戦を恵理ちゃんと仁優くんタッチで。



   検事p「雪遊び」




ここしばらくテレビもつけず、新聞も読めてないので、
何があったとか、ニュースもほとんど知らないのですが、
天野祐吉さんのコラムだけはかかさず読みます♪
大好きです。この方のような素敵で楽しい文章を書けたらいいな~といつも思います。


そんな感じの今日は雑記とイラストでした。


いつも拍手、拍手コメントありがとうございます。
「印」の続編は、…考え中ですが(笑)、イヌサイドの話は書けたら更新しますね♪


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先日の「検事プリンセス」の二次小説「印‐しるし‐」への
拍手、拍手コメント、コメントありがとうございました。


「続編」希望の御声を頂きありがとうございます(笑)
4コマ漫画では描こうかな?と思ったのですが、二次小説であの続きをかくと、
「プールへいこう」とか「100日記念日」をある意味越えちゃうかもしれません(汗)

イヌが、「たっぷりとお礼する」って言ってますし(苦笑)

かいたら、「印」3部作とかになるのかしら?(笑)
ブログで更新できる範囲で書けたらアップしますね♪

あと、イヌが、堂々と検察庁に来てたけど、
法律事務所や外では隠しているんじゃないか?~
との推察も何人かの方からコメント頂きました。

やっぱり、ジェニーにつっこまれるから。と。


じつは、私は、法律事務所でも外でも隠してないんじゃないかと思ったんです。

当初「印」は4コマ漫画のネタだったのですが、
そこでは、印をつけらえたイヌが堂々と仕事をしてる…って話でした。


↓ラフなイラストですが。こんな感じ。

検事p「注目の的」



法廷でも隠さずに。
みんな、裁判の行方や弁論より、イヌの首元が気になって仕方ないみたいな(笑)

ジェニーも、あまりにもイヌが堂々としてるので、
からかうこともつっこむ事も出来ずに呆れているという感じで。

たとえ、ちょっとからかったとしても
「いいだろ?うらやましいか?」みたいな態度のイヌだったり♪

隠さずに、それで、あまりにも平然とした態度でいるイヌに、
かえって、周囲が一目おいたりして株を上げる~…みたいな話でした♪

でも、だからって、やはり、周囲の好奇心の目にさらされて
何とも感じないわけじゃないから、

心の中では、じっくりとヘリへの「お礼」計画をねっていると思います。
だから、余計怖い…何するんだろう?イヌ(笑)


でも、ちょっと考えたら、

最初に、ヘリに「印」つけたのイヌでした。
自分が先にやったくせに、やられた事は倍返しするなんて、
本当に私の書くイヌはSです。

でも、ドラマの14話と16話のイヌ。
「写真を一緒にとる。とらない」の会話。

本当自分の都合いい、強引な感じみてると、イメージがSなんですよね。イヌ。


でも、

そこも、ちゅき(好き)♪←(笑)




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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「印-しるし-」です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

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この話は以前書いた短編「印-ホクロ-」の続編になります。




印-しるし-





…ふふふ。やってやったわ♪


心の中でガッツポーズをとりながら、ヘリはニヤニヤと一人笑いをこらえていた。

日曜日の夜。

週末、恋人のソ・イヌと一緒に楽しく過ごした後、
つい、いつものようにイヌの口車に乗せられて、ヘリはイヌの部屋に泊まっていた。


夜中に珍しく目を覚ましたヘリは、
横でぐっすりと眠っているイヌを見て、ふとある事を思いついていた。


…そうだわ。これは、あの計画を実行するチャンスよね。

ヘリは、おそるおそる、イヌの顔を覗き込んで、
閉じた瞼の前で手をちらちらさせると、確実に眠っている事を確認した。

自分が起きている時にイヌが眠っているなんて。

――‐こんな機会、めったにないんだから。今よ。


ヘリは、ドキドキする鼓動をおさえつつ、そおっとイヌの首に顔を寄せた。

そして、イヌの耳元のすぐ後ろ付近に、口づけすると少し強く吸った。

イヌが起きてくるんじゃないかと、ハラハラしながら、ヘリは、顔をおこしたが、
イヌは身じろぎもしないで、目を閉じているようだった。

ほっ…熟睡している。

ヘリが今イヌに口づけた部分を見ると、少し赤くなっていた。


ヘリはニンマリと微笑んだ。

やったわ。

…以前、イヌに『ホクロを見つける』と言われて、身体中に、こんな「印」“ホクロ”をつけられたヘリだった。

しかも、服を着ても、隠せないような場所、首にもいくつもつけられたヘリは、
その後の数日間、職場の検察庁に出勤する時はスカーフが欠かせない物になっていた。

『印』が消えるまでの間、スカーフをし続けたヘリは、
なんとか職場の人々をごまかせたのだったが、心の中では、ひそかにイヌを呪っていた。

…絶対、しかえししてやるんだから。


その絶好の機会が今ここにある。

ヘリは、何も知らず、まだぐっすりと眠っているらしいイヌに、
調子にのりはじめた。


…もう1つ、2つ、つけちゃおうっと♪

耳元の後ろは本人には気づかれないかもしれない。
それに、虫さされだと思われるかも。

本人も気づいて、他人も「おや?」と思う位置にもつけておかないと、
『しかえし』の意味が無いものね。


ヘリは、そっと、イヌの首スジに顔を寄せると、再び、唇で鋭く吸いつくと、
鏡でも目視出来るような場所に跡をつけた。

暗がりで、今はよく分からないが、きっと明日、
明るい日中にさらされると、ヘリのつけた印は濃く浮き上がることだろう。

…やったわ。

これで、職場で恥をかくといいわ。イヌ。
もしかして、法廷に立つ日もあるかもしれないわね。

こんな印をつけて、何て思われるかしら?

ふだん、すました顔して仕事をしている男が、周囲に奇異の目にさらされる…。


ヘリは自分の想像が可笑しくなって、ひっしで笑いをかみしめた。

でも、イヌのことだから、さすがに気づくと思うけど、きっとあせるわよね。
そうしたら、スカーフでも絆創膏でもして誤魔化せばいい。

この間の私の屈辱を味わうといいわ。


ヘリは、自分の悪戯が成功した喜びで、はしゃぎたくなる気持ちをおさせて、
そおーっと、イヌのベッドの布団から出た。

そして、近くに置いてあった自分の上着を羽織ると、
眠っているイヌの顔を見ながら、忍び足でベッドから離れた。

…おやすみなさい。イヌ。
ゆっくり眠ってね。朝になったら、いろいろ大変だろうから。


ヘリは、心の中でクスクスと笑うと、そのままイヌの部屋を出て、
自室に戻って行った。


――その日の朝、

ヘリは、イヌと出勤時間が鉢合わせ無いように、早めにマンションを出て、
検察庁の方に出勤していた。


午前中、最初の方は、時々

…今ごろ、イヌどうしてるかしら?

と、ワクワクしながら、頭の中で想像して楽しんでいたヘリだったが、
仕事が忙しくなってくると、すっかり、その事を忘れてしまっていた。


やがて…、

昼下がり、

書類に目を通していたヘリのオフィスのドアがノックされた。

「はい」

ヘリが返事をすると、

先輩のチェ検事が、ドアを開けた。

その顔は、からかうように、ニヤニヤとした笑みをうかべていた。

「マ検事、彼氏が来てるぞ」

「…え?」


弁護士のイヌは仕事で時々検察庁の方に来ることもあった。

それは、別段珍しいことではなく、
ヘリの職場の人間達もイヌが、ヘリと付き合っている事も知っているから、
何も不思議な事ではなかったのだったが。

ヘリは、チェ検事のからかうような態度に訝しがりながら、
席をたつと、ソッと廊下の方に顔を出した。


廊下の向こうにイヌが立っていて、ユン検事と話をしていた。

…イヌ?私に会いにっていうより、仕事で来たみたいだけど。


しかし、ふと、ヒソヒソと聞こえてきた会話に、ヘリは不思議になって
耳をそばだてた。

…あの人、マ検事の彼氏のソ弁護士でしょ?

…そうらしいわよ。

…ねえ、見た?あの首のところ。

…見た。見た。あれって、アレよねえ。

…大胆よね~。マ検事も。彼氏のあんな目立つところにつけるなんて。


「え・・・」


ヘリは聞こえた会話の内容に愕然として、固まった。

そんなヘリの横に、
チェ検事と、噂を聞きつけてやってきたイ検事、キム検事がいつの間にかいた。

仕事をそっちのけで、面白そうな匂いをかぎつけて部屋から出て来たらしい
職場の仲間の面々をヘリは、呆れたように見渡した。


「いやあ。あんな跡をつけて、あそこまで堂々としていられるとは、さすがマ検事の恋人だね」

イ検事の誹謗とも感嘆ともとれる言葉にヘリが、ジットリとした目を向けた。

「あれ、マ先輩がつけたんですよね。先輩って激しいんですね。素敵です」

うらやましそうに溜息まじりで、うっとりと本気で言っているらしいキム検事の言葉にのけぞり、

「君って結構、所有欲が強いのな」

と、感心したように言うチェ検事に、ヘリがガクリとうなだれた。


イヌは、ヘリのつけた『印』を堂々と見せていた。

首にスカーフを巻くこともなく、絆創膏もはってはいなかった。

耳元に1か所。

首すじの横に2か所。

もう、確実に、「むしさされ」や「料理の油がとんで火傷した」とは誤魔化されないような
跡になっている。

それが、はっきりと浮き上がって、検察庁の廊下の煌々とした蛍光灯の下にさらされている。

これだけ、目立っている。
当然、朝起きて、鏡を見た時に当の本人のイヌも気づいただろう。


なのに、何もしないばかりか、
よりにもよって、検察庁の方に来るとは…。


ヘリは、好奇の目と噂話にもちきりになっている廊下にいる事が
いたたまれなくなってきて、こそこそと自室の中に戻ろうとした。

その時、

「マ検事さん」

背中にかかる声に、ギクリとヘリが足を止めた。

振り返らなくても誰の声か分かる。

何気なく、そして、普通の音量、普通のトーンのイヌの声が、
どこか、地獄の底から響いてくる呼びかけに聞こえた。


ヘリが、そおっと後ろを向いた。

ユン検事と話終えたらしいイヌが、ヘリの方に近づいて来ていた。

その顔には静かな笑みが浮かんでいる。

ニッコリと、優しげで、穏やかで、そして、

…怖い!!

ヘリは、イヌのそのあまりにも魅惑的な笑みが、
実は、とてもおそろしい物だということを経験上、知っていた。

「…お仕事お疲れ様です」


職場内ということもあって、固く他人行儀で挨拶するヘリに、
イヌの方も、軽く頭を下げた。

「お疲れ様です。こんなところで会えるなんて奇偶ですね」

検察庁に来ておきながら、そこで働くヘリに会うことには何ら不思議は無いはずなのに、
そう淡々と言うイヌにヘリは冷や汗をかきはじめた。

「そ、そうね。そういうこともあるわね」

イヌが、さらに目を細めて微笑んだ。

「“この前”、さよならも言わずにいなくなっていたから、心配したよ」

こっそり夜中に、ベッドから消えた事を根にもっているような
イヌの言葉にヘリは、ハハハと空笑いをうかべた。


「仕事が忙しいから、早めに出たのよ。…今も取り込んでるから、
失礼するわね」

そう言って、周囲の好奇心まるだしの視線を気にしたヘリは、
そそくさとオフィスの中に入ろうとした。


そんなヘリにイヌが、スッとさらに近づくと、
ヘリの腕を手で掴んで、身体を寄せた。

「マ検事さん」

「な、何?」

イヌの方に目も合わせられずヘリはあせったように答えた。

「僕に素敵な『アクセント』をつけてくれたね」

イヌが言った。

「気にいったよ」


どこか楽しそうなイヌの声の響きに、ヘリは、
逆に、身体の血の気がひいていくような気がした。


「そ、それは良かったわ」

ハハハと無理やり笑いながらヘリは言った。

「良かったら、また、つけてあげるけど?」

ついそう言ってしまったヘリ。

そんなヘリの耳元に顔を近づけるイヌ。
口の端には笑みが浮かんでいたが、目は笑ってはいなかった。

「今度、お礼をさせてもらうよ」


もう、ヘリの耳に吐息がかかるくらいの位置に唇をよせると、
イヌは…。

「…たっぷりとね。覚えてろ」

…と、低い声で囁いた。


硬直したヘリから顔を離したイヌは、
ニッコリと営業スマイルをヘリや周りの人間に向けたあと、

「じゃあ、また」と軽く手を振って、エレベーターにのって去って行った。

――‐きゃあーーーつ


ヘリの心の叫びは、職場の人達には聞こえなかったようだった。

…あいかわらず、ラブラブで、いいことだ。

そう、ほほえましそうにヘリ達を見つめて呑気そうに、話す仲間たち。


ヘリは、茫然と佇んで、イヌの後ろ姿を見送っていた。

イヌにしかえしするつもりが、
逆に自分が恥ずかしい思いをすることになったヘリ。

そればかりでなく、

さらに、次に会った時のイヌの行動はもう、予測がついていた。

やはり、イヌにはかなわない。そう悔しさで地団駄をふみながら、
ヘリは心の中で絶叫していた。

や~だ~!!!


今度の週末は実家に帰ろうか、それとも、
本気で国外逃亡を図ろうか…と悩むヘリだった。



(印-しるし-終わり)


いつも、小説を待って下さってありがとうございます。
せめて、ショートストーリーでもと、
4コマ漫画で書こうと思っていたネタを書いてみました。


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ティアラの指輪、欲しいですよね…。
それがイヌからだったら余計に。私も欲しいです(笑)



仕事が少し落ち着いたので、夜中に(もう朝)PC開けました。
現在は検事プリンセスの大好きな挿入歌、「Goodbye My Princess」を聞いて、一息ついてます♪


まだまだ、どはまり中の韓国ドラマの「検事プリンセス」ですが、
ドラマのOST以外でも、イメージソングになるような歌や曲ってありますよね。

きっと、人それぞれ、いろいろあると思うのですが、

私の場合、二次創作をする時は、検事プリンセスの挿入歌はもちろん、
その時の二次小説のイメージにあった歌を聞いたりしてます。

以下は、私が勝手に、検事プリンセスのイメージソングにしてしまった歌~の
ご紹介です。


ヘリのテーマ曲

ドラマ「16話」でイヌと離れた後のヘリの歌として。

・「最愛 」 KOH+



なんて、せつない歌なんでしょう(涙)
この頃のヘリの心境になって聞くと本当に泣けます。


ドラマ「5~8話」あたりのイヌの気持ちとして。

・「僕達のTomorrow」 池田綾子


この方のこの歌と声はまった時があって、
ライブにも行ったことがあります。
サビの部分が、せつない歌です。


みつばの二次小説、現在のヘリのイメージソング


・「ZUTTO」 永井真理子

↑どちらかというと、将来のヘリのイメージソング♪


・「piece of my wish」 今井美樹


大好きな歌です。特に「piece of my wish」は、目ざまし時計かわりにタイマーにして毎朝聞いてました。

↑…年齢、ばれますね(汗)


・「Wish You Were Here」 Avril Lavigne

↑これは動画サイトで、
「検事プリンセス」のMVとして作られた動画で知った歌ですが、いいです。
この動画もすごくお気に入りなのですが、歌も切なくて(涙)
イヌとヘリの、あの切ない名シーンを沢山集めた動画でこの歌が本当にぴったりなんです。



でも、正直、今はどんなラブソングを聞いても、
それがハッピーな物も切ない物も全部、「イヌ×ヘリ」のイメージソングに聞こえてしまう、
「検事プリンセス」病の私です♪


そんな感じで、本日は検事プリンセス勝手にイメージソングを上げてみました♪


ぞれでは~子供が起きてくるまで仮眠します♪
ラストにもう1度「Goodbye My Princess」聞いてから♪♪♪


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嬉しいです。「検事プリンセス」好きの人はいい方ばかりです♪


今日は、じつはこんな事もしていた~を、雑記で携帯更新。


二次小説「100日記念日」「プリンセスの指輪」で書いた、イヌがへりに贈ったティアラの形の指輪、気になって、ネットで検索してみたら、…ありました。

オーダーメイドで出来るお店もあって、イメージがピッタリでした♪

妄想が現実になったようで嬉しかったです。

それで、ついでに指輪の値段を勝手に見積もってみたのですが…プラチナで…石の事を入れると少なく見積もって…50万円以上するみたい。

私が考えていた石を全部いれると、もっと高い。


100日記念でこれなら結婚指輪はどうなるんだろう?イヌ(笑)


あと、ついでに「秘密の観賞会」のへりのランジェリーも調べてみました(笑)

ありました♪イメージしてた物が。

セクシーで可愛いのがいっぱいの店も。

それで、ついあまりに素敵だったので買っちゃいました。自分が(笑)

↑自分が着てどうする!?な感じですが、妄想のへり気分を味わえるかも?♪


時間的に今は小説書くのは難しいのですが、頭の中は二次小説の妄想を膨らませていくつもりです♪


小説の方、待って下さってありがとうございます。
仕事が落ち着いたら、いつか必ずアップします。
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こちらでは雪が降ってます。寒いですね…。




この前アップした検事プリンセスの二次小説

贅沢な時間」のイラスト。


ラフで書いたものは清書する余裕が今は無いので、
恵理ちゃんと仁優君タッチで。


こんな感じ。





検事p「贅沢な時間イラスト




私事ですが、仕事が急に立て込んできまして、
次回作の小説、1月中更新も難しくなってます。

もう、いつに更新ということがお約束出来ないのですが、
アップする時は1日に2回更新したいと思っているので、
まだ、検事プリンセス萌えのある方は、待っていて下さると嬉しいです。

よろしくお願いします!


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次創作。

みつばの4コマ漫画
恵理(ヘリ)ちゃんと仁優(イヌ)くんシリーズ31です。


他の4コマ漫画作品は、検事プリンセス漫画INDEXからどうぞ♪

4コマ漫画は、完全にコメディタッチなので、
「検事プリンセス」のドラマや、キャラクター、
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どんなヘリもイヌもOKという方はご覧ください。↓


今回の話は大人向けの4コマ漫画です。
ギャグも下ネタも全然OKという方のみお読みください。




それぞれの切ない夜



   検事p「切ない夜」



イヌがヘリと離れてアメリカにいる時の話。
ドラマでいうと16話。


ヘリは、イヌの服を着て、夜中に泣く。
イヌは、ヘリの事を想って、夜中に・・・(描写自粛)という話。

4コマ目のような描き方をしてはいけません、と
昔担当さんに注意された事があったような・・・(苦笑)

真っ暗闇の中でイヌが何をしていたのかは、
大人モードで「イメージしてみて♪」な感じでお願いします。

みつばの「検事プリンセス」の二次小説を読んでいる方か、
大人モードで想像力(?)を働かせないと
オチが分からない漫画です。。。ごめんなさい。


ヘリのシーンは、小説の「部屋とワイシャツと僕」の回想シーン。
アメリカに行ってしまったイヌを想って夜、イヌの服を着て泣くヘリ。
対して、アメリカにいるイヌは、こちらも「初めての夜12」のイヌの回想シーンから。
ヘリを想って、夜中に・・・という話です(汗)

それぞれ、お互いを想って、夜中に涙するところは同じなんです。
乙女モードのヘリと、男モードのイヌの違いってだけで。

ほんとは、自分が書いた二次小説の話からひっぱってきた
切ないシーンのはずなんですが、4コマで描くとこんなギャグみたいに。

同じ事書いて、(描いて)
こういう風になってしまうって、創作の不思議なところです。。。


ブログの拍手、拍手コメントありがとうございます。
韓国ドラマ、おすすめもありがとうございます。
「宮」も見てました。「マイプリンセス」「トキメキ☆成均館スキャンダル」も気になってますが、
いつか見てみたいです♪


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1月15日から衛星の方で、とうとう、パク・シフさん出演の「王女の男」(姫の男)はじまりましたね♪

うちは衛星入ってないので、見られないのですが、いつか見たいと思っているドラマです。
ただ…勝手に自分の中で時代劇版「検事プリンセス」だと思ってたりします。


韓国ドラマにはまっている、と周囲にもらすと、
「韓流はまってるの?」と聞かれますが、う~ん…、じつは、「検事プリンセス」以降は、新規の韓国ドラマは見てないのです。

その前までいくつか見てたり、好きだったものがあります。

今日は、そんなみつばの、他にはまった韓国ドラマを雑記で書いてみます。

↓いろいろネタばれもありますので、これから見る方は注意してください。

「宮廷女官チャングムの誓い」

途中から見ていたのですが、もう、ドはまりしましたよ!
ミン・ジョンホ様に!!(笑)ミン・ジョンホというのは、主人公に想いを寄せる役人の男性なのですが、常に主人公チャングムを見守り、チャングムが遠い島に流人として行かされた時も、島に赴任してついて行っちゃうほど情熱的な人なんですよ~~~。
二人の身分違いの恋の行方に、ドキドキでした。こちらもハッピーエンドで嬉しかった♪


あとは、定番(?)
「花より男子」と「イタズラなキス」の韓国版。
こちらは、日本版も台湾版も見ていたのですが、どれを見ても、それぞれ面白かったです。
原作がとても好きなので、実写版、イメージがぴったり!、うーん、かなり違う(笑)等、いろいろありますが、良かったです。

ただ、これと間逆な事が言えたドラマもあります。
どうしても、オリジナルの役者さんやドラマの印象強くてリメイクが見れないというものも。
どれとは言えませんが…。

面白かったのは「私の名前はキム・サムスン」
パワフルで、前向きな主人公に、親近感♪

「美男ですね」も、初めて見た時は面白いな~と。
「僕の彼女は九尾狐」も。

↑ただ、この二つは、面白いと思ったけど、ある、みつば的にう~ん…な共通点があって、
それで、「検事プリンセス」よりはまれなかったです…。


思わずDVD買いそうになったのは(今でも買おうか迷っているのは)
「タムナ」。

時代劇物だけど、暗行御史の両班(王の密命を受けた身分の高い役人)と、島の海女少女と、島に流れ着いた異国の男性との3角関係の恋…って言ってしまうと、どうかな?という話なのですが、私がはまったのは…

イム・ジュファンさん演じる両班パク・キュ♪

身分を偽って、流人として身を寄せる家で、海女としては半人前の少女、ボジンと喧嘩ばかり。
でも、異国の男性ウィリアムを好きだと言っているボジンに淡い想いを抱いてきていて、
そして、それがドラマ中、どんどん切なくなっていくの。

もう、「検事プリンセス」前半のイヌみたい。←どうしても結びつけちゃいますが。

身分違いということもあるし、ボジンは他の男性に夢中だし、
自分の使命もあるわ、で、むくわれない愛に涙するパク・キュが本当に美しい♪
でも、いつもボジンを守っているの。
アクションシーンもラブシーンも良かった~~。
この話もハッピーエンドなので、安心♪漫画が原作の話なんですよね。

あとは…、「茶母、チェオクの剣」…。

でも、ラストに納得いかず、悲しい思いを(涙)
もう少しなんとかなりませんでしたか…。

他にも見ていたものはあるのですが、「はまった」と言うほどではなく。


これから気になるのは、もちろん「王女の男」♪

あと、コメントで、パク・シフさんの他のドラマをよくお勧めして頂くのですが、

「素敵な恋人を見つける方法」と「家門の栄光」「イルジメ 一枝梅」は気になってます。
なんとな~く、あらすじは知っているのですが、いつかしっかり見てみたい。

それと、「王女の男」で思い出したのですが、ずっと気になる韓国映画があって

「王の男」

これも見てみたいです。…でも、話、きっと切ないを越えて痛そう。。。


いろいろ書きあげてみましたが、

やはり、私が一番はまったのは「検事プリンセス」♪と再確認してみました♪

↑結局これ(笑)



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次創作。

みつばの4コマ漫画
恵理(ヘリ)ちゃんと仁優(イヌ)くんシリーズ30です。


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今回の話は、ドラマ1話の、
コメントのリクエストにもあったあのシーンを取り上げました♪






衝撃的な出会い




   検事p「衝撃的な出会い」



「検事プリンセス」ドラマ1話より。

スキ―場のホテルで『はじめて出会う』イヌとヘリのシーンより。
名場面の「風呂で溺れるヘリと助けるイヌ」から。

私、1~2話は、数えるほどしか見たことなくて←普通数えられますが。
…というのも、何回もブログで呟いてますが、この頃のヘリがあまりにもぶっ飛んでいて、
直視できなかったから。(…あと、イヌの髪型もあまり好きじゃなかったから)ぶつぶつ(笑)

でも、この風呂シーンは好きです。

イヌ役のパク・シフさんがインタビューで何回も

「僕は見ちゃった♪」と言うのを、横でヘリ役のキム・ソヨンさんが、
「なにを?」と半笑いだけど、やや引き気味で言っていたのが印象的でした(笑)

もちろん、ドラマの中でもイヌは、泡風呂といえども、
ヘリを引き上げた時にバッチリ見たと思います。(あの表情ったら)

それで、4コマ漫画なんですけど(笑)

イヌに助けてもらったけど、裸を見られて、大慌てで、わめくヘリに
イヌの言い訳って…。

「ドアが開いてた」

おいおい…。

ドアが開いてたら、入ってきていいのか?
それに1階と2階。溺れているのに気づくにしても、すぐ外で見張っていないと気づかなかったと思うの。
もしくはのぞいて監視していたか。

イヌ、この後も含み笑いしてます。

そして、ヘリがホテルを出るのを上から眺めながら、ここでもニヤリ。

このイヌの謎の笑いなんですけど、原作者さん(脚本家さん)いわく、
つまり公式設定では。

『計画通りに事が運んでいるな』という笑みだそうです。

決して、4コマ漫画の4コマ目のような心境では無いようです。

それは知ってたのですが、あえて描いてみました♪
どうしても私、イヌを、ある意味「完璧な男」にしたくないらしいです(笑)


そういえば、コメントにもありましたが、私も
いくらなんでも初めて会った男と部屋をシェアするなんて、ヘリは、かなり
無防備すぎると思ったのですが、この時点で、イヌの彼女(本当はそんな人いません)が
来ると思ったから、気を許してたのかもしれません。

何度も「彼女」の事を気にしていたので、(靴のこともありますが)
ヘリなりに、気は使っていたようです。

でも、そうそう。「恋人」になったヘリとイヌが本当にこの部屋に泊まったら…。
そんな話を来月あたりに書けたら(描けたら)いいな~と妄想中です♪
…その前に次回作の二次小説の長編更新ですね。。。すみません。



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本日は、昨日アップした「検事プリンセス」の二次小説「プリンセスの指輪」の
インスピレーションの源となった宝飾展での出来事を雑記で。プラス、イヌとヘリ考察もちょっと♪


高価な石やジュエリーアクセサリーも美しく、魅力的なのですが、
私のお目当ては、個人のデザイナーやクラフトマンのお店。

真っ先にはまったお店はインポート物で、デザイナーは不在だったのだけど、
自分好みのデザインだったので、心の中で大フィーバーしてました(笑)


高価な素材や石は使用してないのだけど、細工が細かく、技法が素晴らしい物に、
虜になってしまいます♪それに素材の使い方の発想が凄い。これをこういう風に使うのか~…とか、この石をこんな加工にするとは…、など。

そんな作品が並ぶところに、それを創ったデザイナーやオーナーさんがいらっしゃる時は、尚、盛り上がります。一人で勝手に(笑)

作った人の顔を見て、話ながら作品を拝見するのも楽しい。

手にとると、作った人が、『創る事が楽しくて仕方無い』という空気が伝わることがあって、
やっぱり物作りっていいよね♪とテンション上がります。

その中で、見つけてしまいました。

ティアラの形、王冠の形の指輪を♪

100日記念日4」書いてた時は、勝手に妄想した、イヌのプレゼントしたヘリの指輪の形。
おそらく、デザイン的にはちまたにあふれているかな~?と思ったのですが、実際目にすると、何だか嬉しかったです♪

プラチナではなく、宝石も入ってないのですが、繊細で、優しい感じの作りの指輪でした。

ワクワクして、手にとって、指につけさせて頂いたのですが、

自分の指にはめたとたん…、笑っちゃいました。
似合わなすぎて(苦笑)

ソッと戻したら、後ろで何人も女性が指輪を覗き込んでいたので、おゆずりしました。

すごく可愛かったけど、あの指輪もどこかで、すごく欲しいと思う方や、似合う方の指にはまるんだろうな~と思いました。


「100日記念日」の時に、イヌが、たくさん悩んで、いろいろ店を巡って指輪を決めた~…という記述を書いてたのですが、そんなみつばの経験から、ふと、

イヌなら、プレゼントをオーダーメイドにしてるかもしれない。
自分の思った事を手間暇かけて計画的に実行する男だから。
それに、ヘリに一番いいと思える物をあげたかったに違いない。

…とか考えて、昨日の「プリンセスの指輪」を書きました。

なので、以前書いた「100日記念日」の記述、ほんの一部文末を修正して、ぼかしました。「出張前に指輪を決めて購入した」という部分を、「出張前に手に入れた…」という風に♪

…ただ、オーダーメイドにしたってことは、かなり前から指輪を探してたってこと。
もしかすると、「初めての夜」の後くらいから。。。
でも、「プールへいこう」のホテルの予約もかなり前から(たぶん夏前)していたイヌなので、有りかも。

私の二次小説の中のイヌもドラマ設定と同じ「完璧」な感じ目指してます♪
ドラマでも、自分の計画を長年かけて、そしてヘリとの接触も2年かけて練っていたイヌ。
用意周到で計画性のあるところ…、正直私は引いてますが、相手がヘリだから大丈夫ですよね。
この分だと、どこまでヘリとの将来の計画練っているのかしら?(笑)

4コマ漫画で描いた「100回記念日」の手帳が、黒皮の…じゃなくて、『イヌの手帳』みたいに怖いです。←これも4コマ漫画に出来そう(笑)


ヘリは、ドラマ見ていても、服や靴、バッグだけでなく綺麗な装飾品もかなり身につけてましたよね♪前半は特に。

後半になって、シンプルなものになってきましたが、私は後半のヘリの姿がとても好きです。

化粧もナチュラル系だし、装飾品も服も品のいい感じで、ヘリの美しさが余計際立って見えました♪

ヘリは、「服飾学科」にいたから、自分で作るって事も経験してると思います。
なので、美しい物を好きなだけでなく、美しい物を作りだす気持ちも分かるのでは?と思ってしまいました。それに……。う~ん、ここから先はこれからの二次小説に関わるので、今は言えません(笑)



話はかわって…、服飾学科といえば、ファッションショーの事。
あの、パク・シフさんゲストの桂由美さんの。誘って下さった方ありがとうございます。
近場なので、行くのは可能だったのですが、希望の時間のチケットが売り切れていたので、今回は行かない事にします。

チケットを購入された方は、どうか私に遠慮なさらず、行かれたら、是非、
拍手コメントやコメントの方で感想を聞かせて頂けると、嬉しいです♪

ファッションショーの事も、リアルなイヌ…じゃなかった(苦笑)パク・シフさんのお話を教えて下さいね♪楽しんで来てください。


そんな感じの本日は雑記でした。



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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「プリンセスの指輪」です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。



この話は、先日ブログで書いた、宝飾展に行った事で、
触発されて、突発的に書いてしまった短編です。




プリンセスの指輪




検察庁、中部地検、刑事5部のマ・ヘリ検事のオフィスの中。

装飾品を豪勢に身につけた人物の来訪に、
ヘリと同室の捜査官と事務官があっけにとられたような表情で
仕事の手を止めていた。

ヘリも、全身煌びやかな宝飾品に包まれたような女性の姿に
一瞬ひるんだように目を見開いたが、

「ファン・ミンジョンさん。どうぞお座り下さい」と

冷静な声で女性に席を進めた。

ファン・ミンジョンと呼ばれた女性は、とくに悪ぶれるそぶりも見せず、
堂々とした優雅な身のこなしで、ヘリのデスクの前の椅子に座った。

「どうして、ここに呼ばれたかご存じですね?」

ヘリの質問に、ミンジョンがフッと冷笑した。

「わたくし、悪い事は何もしてませんわ」

「そうですか?」

「ええ」

「では…」

ヘリは、写真のはいった資料をミンジョンの前に差し出した。

「これらの宝飾品を購入されたのは、あなたではありませんか?」

写真をチラリと見たミンジョンは、すぐに目を逸らすと

「そうです」とそっけなく答えた。

ヘリは、そんなミンジョンをジッと見つめたまま尋問を続けた。

「ファンさん。あなたはこれらが盗難品だと知っていて、何度か購入されていましたね?」

すでに、捕まっていた盗品のバイヤーの証言で、その事はヘリの耳に入っていた。

宝石店や美術商などで非売品として展示されていて、盗まれた宝飾品たちが、
闇売買のバイヤーを通じて、何品もこの女性に買われていたこと。

気前の良い顧客ではあったが、その客が単なるコレクターではなく、
それらを堂々と着こなして、外を歩く女性だったが事を、見抜けなかったのは、
バイヤーの痛い手落ちだった。


「それが何か?盗めとわたくしが指示したことではありません。売られた物を買っただけです。」
…何が悪いんです?

ミンジョンのあくまでふてぶてしい態度に、見ていた事務官と捜査官は
呆れたように顔を見合わせていた。

しかし、ヘリは、冷静な姿勢を崩さなかった。


「ファンさん、あなたは、宝石や装飾品が好きなのですよね?」

「そうです。わたくし、美しい物が大好きですわ。とくに美しい装飾品というものは」

「私も美しい物は大好きです」

そう言ったヘリの言葉に、ミンジョンは、初めて、少しヘリに打ち解けたような表情を見せると、口元を綻ばせ、なめらかに話し始めた。


「わたくし、宝飾品は、心底、欲しいと思う者が手に入れてこそ、そして似合う者が身につけてこそ、その価値が出るものだと思ってますわ。
ケースの中に置かれて目で愛でるだけでは、それらが生み出された存在意義を否定するようなもの。検事さんも美しい物がお好きなら、わたくしの気持ち、分かって頂けるのではありませんか?」

…女性なら、美しい物で、自分をより美しく輝かせたい。そう思われるでしょう?

持論の同調を求めるようなミンジョンの言葉に、ヘリは苦笑した。

「ええ、美しい物でより自分を輝かせたいと思う気持ちは分かります」

「でしょう?」

ミンジョンが嬉しそうにうなずいた。

「ただ…」ヘリが続けた。

「それらの美しい宝飾品を、心をこめて作り上げた創作者たちは、
犯罪に染められた手に渡ってまで、それらを誰かに身につけて欲しいと思ったでしょうか?」

ハッとしたようにミンジョンが、わずかに目を見開いた。

己の中の思いや創造力をつぎ込んで精魂こめて生み出した美しい物。
自分の子供のように思って世に出していく。

人の欲や悪意の為に利用される事を望んで創られたものでないはず。

それに・・・

仮に、そういう意図であえて創りだされた物も、この世にあるかもしれない。

しかし、それらの美しい物自体に罪はなくとも…。

「そういう物だと知って手にいれた人の心に罪悪感が少しでもあるのなら、
それは本当に美しいものだと思いますか?」


「・・・・・・」

ヘリの静かな問いに、ミンジョンが黙ったまま、目をふせた。


俯いた先で、手の指すべてにつけられた沢山の宝石がつけられた指輪に、
しばらくミンジョンは目を落としていた。

キラキラとまばゆく輝くそれらの光が、ミンジョンの中で曇ったように見えた。


「ファン・ミンジョンさん。あなたには、盗品の確認と証言をお願いします」

…いいですね?

ヘリの言葉にミンジョンがソッとうなずいた。


ミンジョンのしおらしくなった態度に、ヘリの捜査官と事務官は顔を見合わせて微笑んだ。

ヘリも、少し、微笑むと、書類に手続きを書きはじめた。

「検事さん…」


ミンジョンの呼びかけにヘリが顔を上げた。

「はい」

「その、検事さんの指輪」

「え?」

ヘリは、自分の右手の薬指につけられた指輪を凝視しているミンジョンの視線に気づいて、
不思議そうに、首をかしげた。

「この指輪が何か?」

それは、ヘリの恋人のイヌが、交際100日記念日にヘリに贈った、
ティアラの形をした指輪だった。いくつもの宝石が散りばめられたプラチナの指輪。

ヘリがとても気にいっていて、ほとんど毎日身につけていたものだった。

「ちょっと、見せて下さらない?」

少しひるんだようなヘリの顔に、ミンジョンが可笑しそうに口元を押さえた。

「別に盗ろうなんてしませんよ。それに、こうして、見せて下さるだけでいいです」

自分の手のひらを裏返してヘリに見せるミンジョンにヘリが、
心の中でホッと息をつくと、ミンジョンの方に指輪の手を差し出した。


デスクの上のヘリの手を取って、
その指輪をジッと見つめたミンジョンの目が輝いていた。

美しい物を見つめる自分の瞳によく似たミンジョンの目に、
ヘリは、心ならずも親近感を覚えていた。

綺麗な物を何より愛している…という女性の目だった。

「…この指輪、あのお店で購入されたのでしょう?」

ミンジョンは、ある宝飾店の名前を出した。

それは、イヌが、確かに指輪を購入した店の名前のようだった。
もらった時に指輪の入っていた箱の内側にあった文字にもそう書かれていた。

ヘリが「ええ、…おそらく」とうなずくとミンジョンは、ホオっと息をつくと、
羨ましそうな目をした。


「わたくしも、このお店のデザインが大好きなのよ。買った物の中で、このお店の盗品の物もあったのだけど…。でも、検事さんの指輪はオーダーメイドのものですね」

「え?」

…オーダーメイド?

ミンジョンの意外な言葉にヘリが目を丸くした。

「どうして、そんな事が?」

「その指輪の側面の下の方に、小さいけど、刻印が入っている。
そのデザイナーが、オーダーメイドとして必ず入れる印です」

ヘリがあわてて手をひっこめると、自分の指輪に目を凝らした。

よく見ると、確かに指輪の表面に小さな模様が刻まれていた。

それは、彫金された模様の一部だとヘリは思いこんでいたのだったが。

「知らなかったのですか?もしかして、恋人からのプレゼントかしら?」

驚きを隠しきれない様子のヘリの顔に、ミンジョンが面白そうに言った。

「なら宝石も選ばれているはずね。もし、気が向いたら調べてみると良いと思いますわ。
指輪に使われている宝石のこと。石にも花言葉のように、それぞれ意味がある言葉が隠されているのはご存じ?」

ミンジョンの言葉にヘリは、ますます目を見開いていた。


「…あの、この指輪の宝石の意味もお分かりになるのですか?」
…すごく知りたい。

そんなヘリの視線に、優位にたって息を吹き返したようなミンジョンが、
クスクスと笑った。

「それは、検事さん、ご自身で知られた方が良いと思いますわ。とくに、恋人からもらったものなら尚更。そうでしょう?」

他人から、その意味を聞けば、隠された美しさも半減するんじゃないかしら?

そう続けるミンジョンの言葉に、ヘリは、思わずうなずいていた。

…この指輪がオーダーメイドで、石にも意味があったなんて…。

ヘリは、すぐにでも調べて見たい、という欲求を無理やり抑え込むように、
書類を見つめると、再び仕事に意識を集中させた。

そんなヘリの姿に、ミンジョンのつぶやくような声が聞こえた。


「ほんとに…綺麗な指輪。欲しくなる。でも、あなたを輝かせるための指輪ね。
きっと、あなたにしか似合わない…」

どこか、ふっきれたような、でも、うらやましげな溜息まじりのミンジョンの言葉を、
ヘリは、やや頬を染めた顔を伏せて、聞きながら書類にペンを走らせていた。


――‐そんな事のあった、週末。


ヘリはイヌといつものようにデートをした後、
少し遠出をして一緒にディナーを食べた帰り、
駐車場までの夜道を手をつないで橋の上を歩いていた。

「ねえ、見てイヌ」

ヘリが楽しそうに、橋の欄干の向こうに見える街並みの景色を指差した。

「ここから見える夜景って綺麗でしょ?」

「そうだな…。これが見たくて、今日この道を通ったのか?」

「そうよ。」

しばらく、立ち止って、ヘリとイヌは橋の上から街の夜景を眺めていた。

「これも、君の『恋人としたい33のリスト』のうちの一つか?」

そう、からかうようなイヌの言葉にもヘリが、弾んだような声で応えた。

「どうかしら?でも、『恋人と来たい33のスポット』の一つではあるわね」

「君の計画性もなかなかだよな」

「あなたほどじゃないけどね」

訳知り顔でニヤニヤするヘリの顔をイヌが怪訝そうに見た。

「なんだ?」

「・・・・・」

ヘリが黙って、顔の近くまで上げた手にイヌはますます不思議そうな顔をした。

「この指輪、オーダーメイドだったのね」

得意げに言うヘリに、イヌが驚いたような目を向けたあと、
観念したように、フッと笑った。

「どうして分かった?」

「私は検事よ。それくらい何でもないわ」

…本当は事件の証人に教えてもらわなければ、永遠に分からなかったかもしれないけど。

ヘリは、その日の事を思い出していた。

ファン・ミンジョンの取り調べの後、
ヘリは、事件の裏付け捜査のために、外の宝飾店をめぐっていた。
そして、その一つ、イヌからプレゼントされた指輪の店にも訪れていた。

店の奥から出て来たオーナーに、盗難事件の事を一通り話終えたヘリは、
自分の指輪の事も聞いていた。

「…もう一つ聞きたい事があるんです。事件とは関係のないことですが、
この指輪は、こちらのお店の物で間違いないでしょうか?」

おずおずと、自分の指を差し出して、指輪を見せるヘリに、
オーナーは不思議そうな顔をしたが、一目見て嬉しそうにうなずいた。

「ええ、そうです。私の創ったものです」

「オーダーメイドの物に刻印があるというのは間違いないですか?」

ヘリの言葉に店のオーナーが驚いたようにうなずいた。

「ええ。よくご存じですね。模様と一緒に分からないように彫らせて頂いてますが。
その通りです」

ヘリが「恋人」からもらって、嬉しかったから、自分も指輪をオーダーメイドしてあげたいけど、どれくらい時間がかかるのか?と聞くと、オーナーは、「あなたが…」と嬉しそうにいろいろ教えてくれていた。

それによると、

オーダーメイドの物というのはもちろん時間がかかるということ。

イヌが、もちろん100日記念日近くではなく、随分前から依頼していた事が伺えるようなオーナーの『裏付け』の言葉だった。

『何度も指輪をお探しに見えても、なかなか決め手にかけるように見えるお客様には、オーダーメイドの方をおすすめする事があるんです。
とくに、この指輪は、贈られる方に気にいって頂けるように、素材や形、色、石、一つ、一つ、よく吟味されて注文されていました。
依頼主の方の熱意に動かされて、私も創りがいがあって、思い入れのある作品です』

オーナーの言葉に、ヘリは心の中が熱い思いでいっぱいになってくるような気持ちで、
改めて自分の指にはめられた宝飾品を見つめた。



「綺麗だわ」

今、イヌの手を握っている方と反対の手につけらえた、宝石の煌めく指輪に
ヘリは、うっとりとした声で言った。

「気にいってくれているようで嬉しいよ」

イヌが嬉しそうに目を細めている顔にヘリもニッコリと微笑んだ。

…ありがと。イヌ。

きっと、ずいぶん前から、あちこちの宝飾店に足を運んでいたのだろう。
そして、自分の思った物が見つからなかったから、あの店でオーダーメイドを頼んだ。

改めて、イヌの用意周到で計画的な性格に、感服すると共に、
そんな手間をかけるほどの想いを向けてくれたイヌに、ヘリは、純粋に嬉しいと思っていた。

宝石がちりばめられたような夜景。

だけど、この明りは人工的な物。

人によっては、それが冷たいと感じるものであり、
綺麗とも思われないものかもしれない。

だけど、私には、一人でこれを見てた時より、
今、数段、美しく見える。

…本当に美しいと思えるものは
人の感情や想いが、投影されたものなのかもしれないわね。


そんな事を考えながら、



街の夜景の、人工的な光の煌めきの中にも暖かい灯りがともるような温かさを感じて、
微笑み合いながら、イヌと一緒に佇んでいたヘリ。



星の見えない夜空の下、



イヌが贈ったティアラの形の指輪が、まるでその夜景の一部のような輝きで
優しくヘリの指を包み込んでいた。



(プリンセスの指輪 終わり)


しばらく仕事と長編に力を注ごうと思っていたのですが、
勝手に頭の中で一気に創作してしまったので、アップしました。


ヘリのしている指輪は二次小説「100日記念日」でイヌが
ヘリにプレゼントした指輪の事です。

昨日の経験で、あの指輪にこんないきさつ出来ました。

経験が妄想を生む事も多い私なので、ブログの小説書くだけでなく、
他の事にも時間を割くこと、大目に見てください(ぺこり)


私の実家の方も星空が綺麗な場所です。
空気の澄む冬は☆が満点で、人工衛星も見えるほどです。
そんな夜空が好きでした。

今住む場所は、先日の写メールのように、夜景はあっても、
星はあまり見えません。

でも、どちらがより綺麗という事は断言出来ず、
やはり、その時々の心が強く作用してるみたいです♪

(追記)

アップしておいて、「100日記念日」の記述と矛盾する箇所が
あるのですが(涙)後で、修正しておきます。


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こんばんは。

今日は仕事関係で、宝飾展に行って来ました~な話を携帯更新で。


素敵なハイジュエリーを見るたびに、私の場合は欲しいとか、着けたい、というより、作ってみたい…という視点で、凝視するのですが、今回はやはり…


…こうゆうの、検事プリンセスのへりに似合うだろうな~という気持ちになってました(笑)

当然、男性向けを見れば、これ、イヌに似合うかも♪と。


やっぱり、まだまだ、今年も「検事プリンセス」に深くはまっている、みつばです(笑)


結局、個人的にアクセサリーも、いい石も安価で購入出来て、大満足♪


最近少し凹んでいた気分が浮上しました。

帰りに、レインボーブリッジから、お台場の夜景見て。


…自分の二次小説「プールへいこう」のへりが言った、「漆黒のキャンパスに宝石を散りばめたみたい」な、夜景ね~(笑)と思ってました。


東京タワー込みの夜景、写メール撮ってみました。ボケてますが…。


綺麗なものをいっぱい見て元気が出たので、また明日から、いろいろ創作頑張れそうです。


コメントでの励まし、ありがとうございます。

ブログの小説も漫画も、「楽しみにしてる」というコメント、本当にいつも嬉しいと思ってます。


妄想+自分の経験を生かした創作物をこれからも、
いろいろ手を出してはいますが、楽しんで作って、
待って下さる方にお届けできたら嬉しいな~と思ってます。


…という感じで、帰途から本日は雑記をお届けしました♪


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先日のブログへの拍手、拍手コメントありがとうございました。


「検事プリンセス」の二次小説、なかなか次回の長編が更新出来ずすみません。
せめて、小説では短編を…とか書いてたのですが、ブログをはじめてから、初めての
山場かもしれません。。。

この状況下で、次々に襲いかかる試練。←試練ってわけでもないのですが、
立ち直るたびに違う事がやってくる。新年早々、何か試されてる?

なんだろう。次回作の長編はサスペンスなので、その力でも働いているのかしら?(苦笑)

いつも、どんな状況でも、弱音を(読者には)吐かず作品を描きあげる、
みつばの師匠(ベテラン漫画家)は、やっぱり凄いな~と改めて思いました。



二次小説の方は、少しずつ書きすすめているのですが、構成に手間取ると思うので、
楽しみにされている方に申し訳なのですが、お待ち下さい。

ピザの配達だったら、冷めた頃にお届けしちゃう感じで、怒られそうですね。


そういえば、待って頂いてるうちに、なんだかハードルが高くなっているような気がして心配なのですが…たとえば、「恋人としたい33のリスト」の続編とか。

かなり、ロマンチックな話を想像されている方が何人もいらっしゃっているようなのですが、…私の考えた「33のリスト」の上位って、ちょっと違うかもしれませんよ?(汗)

あの話を書いた時、まさか続編を書くことまで考えてなかったのもありますが、
小説の中でユナが言っていたことや、「イヌの誕生日」でヘリが言ってた台詞。
あれで、だいたい、どんな事が想像つくかと…。

「え~?こんなことがヘリのリストの上位なの?」って思われそうで、書くのが怖くなってきてます(汗)


あと、昨日の「贅沢な時間」の元になったイラスト。

あれは、実は年末に、これからの更新予定の小説のダイジェストを漫画で
紹介しようと思って、描いたイラストの一部です。

小説の更新がすごく遅れているので、せめて、これから更新予定の「検事プリンセス」の二次小説の数話を予告のような形で紹介しようと思ってたのですが、年末のいっぱいいっぱいで、それも描けませんでした。(いつか描けたらアップします)

時間がかなりずれてきたので、
もしかすると、シリーズの中の話でも先に更新する話が出るかもしれません。
たとえば、「バレンタインデー」の話とか…。

「ここにいるから」もこれから4話目になるので、さしつかえない話は先に~ということで。


それから…また、コメントで『素朴な疑問』を頂いたのですが、

イヌとヘリ。。。Hした後で、服を着ないで、そのまま寝てること多いですよね。
私の小説の中では。それは、普通なのか?という疑問なのですが。

・・・・・大人の方々は着眼点が鋭い(笑)

大人話って、リアルを追及しすぎると、今度はロマンチック度や、乙女モードが低くなる可能性があります。
なので、「素朴な疑問」の時の男女のエチケット物と同じ技法で、
あまり取り扱わないと考えてます。

それは、男性向けでも女性向けでも…私、結構「資料」(笑)は見てるんですけど、そういうシーンほぼカットされてます。

たとえば、事が終わった後に、いそいそとお互い服を着出すシーンを出すと、
なんだか、それだけが目的だったような印象が残るんですよ。
冷めたカップルのような印象になってしまうって感じで。
…でも、実際は、夏はともかく、寒い時期は着ますよね。普通…たぶん。

だから、特に女性向けの乙女モードの場合、一緒にシャワーあびたり、風呂に入るシーンはあっても、服を着るのは描かない(映像化しない)気がします。

でも、海外ドラマ(アメリカなど)のカップルなどは、
そのまま寝てたりするシーン多いですよね♪…韓国は分かりませんが。。。

ただ、事が終わった後に、すぐ眠ってしまうのは、体(心臓)によくないということ。
マラソンした後に、すぐに立ち止らないのと一緒ですよね。
(私の二次小説、かなりの頻度で寝てますが)

そのへん、文章と文章の行間の空白部分で、何かしたって思って下さい♪

それでも、…これも「素朴な疑問」みたいに、挑戦してみるのも面白そうです♪
あえて、これをどれだけ乙女モードで書けるか試してみてもいいかもしれませんね。
「素朴な疑問2」とか(笑)


そんな感じで雑記でした♪


(お知らせ)私事ですが、しばらく仕事と長編優先させて頂きます。
小説は書ける時に…ということになるのですが、ご了承ください。


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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「贅沢な時間」です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。



この話は、書き下ろしの短編です。
時間的には、シリーズよりさらに少し先です。





贅沢な時間





…あら?珍しいわね。


自室のベッドの中で目覚めたヘリ。

布団の中で、
手を伸ばせば届く距離にいる人物のぬくもりを感じながら、
目覚めたばかりのボンヤリとした頭の中で不思議に思っていた。

同じ布団にくるまりながら、ヘリに寄りそうように横たわる人物。

ヘリの恋人、ソ・イヌが目を閉じて眠っていた。

…いつもなら、休日でも私より早く目覚めているのに。


ヘリは、モソモソと布団の中で、イヌの側までにじり寄ると、
ソッとイヌの寝顔を伺った。

切れ長の瞳を閉じたイヌの寝顔は、安らかで、あどけなさも感じて、
少年のようにも見えた。

…ふーん…こうしてみると結構まつ毛も長いのね。

ヘリは、改めてイヌの寝顔をまじまじと観察し始めた。

…あ、ひげが伸びてる。

ヘリは、イヌの顎や鼻下にわずかに伸びたひげを感心したように見つめた。

…イヌもひげが生えるのね。男の人だから当然だけど。
普段は綺麗に剃っているけど、やっぱり早朝はこんな風になるのね。

ヘリは、そおっと手をのばすと、イヌの顎の下のわずかに伸びたひげに触れた。

チクチクする、その指下の感触に、ヘリは思わず小さな笑い声を漏らした。


…おもしろ~い。

クスクスとしのび笑いしながら、
夢中になってイヌの顎や鼻の下のひげに触れていたヘリは、
イヌの目がうっすら開いていた事に気づいてないようだった。

「…たのしいか?」

ちょうどイヌの口元を触っていたヘリは、
少しかすれた低い声が、開いた口から出た事に驚いて指を硬直させた。

「イヌ、起きたの?」

「起きてた」


イヌがソッと体をヘリの方に傾けると、布団の中から手を伸ばして
自分の顔に触れたままのヘリの手を握った。


「起きたけど、目を閉じてジッとしていたら、
誰かが僕の顔に見とれているようだったから、寝たふりをしてた」

イヌがニヤリと笑った。

寝ていることをいいことに、いたずらを始めた恋人の指の感触に、
さすがに、くすぐったくなって、眠ったふりを続けていられなくなった。

イヌは、握ったヘリの手を自分の口元に持ってくると、
その指先に軽くキスをした。


「おはよう」

「お、おはよう」

イヌにキスされた手をあわててひっこめるとヘリは、
うろたえながら挨拶を返した。

…イヌにキスされた指先が熱い。

「どうして寝たふりしてたのよ」

照れくささを誤魔化すように、口をとがらせるヘリに、
イヌが、すました顔で微笑んだ。

「だって、寝ていたら、お姫様がキスして起こしてくれると思ったから」

「いつもは、王子様がお姫様をキスで起こしてくれるんじゃなかったかしら?」


…お寝坊の僕のプリンセス。

一緒に眠った翌日は、

そう言って、イヌは、寝ているヘリに口づけて起こしてくれる事があった。

…その口づけがいつも優しく軽いものばかりでなく、甘くて、長い、…ともすれば、
違う意味で、そのまま体の中の熱を呼び覚ましてしまうような激しい物もあったりするのだが。


「たまには、その役を譲ろうと思ったのだけど、キスのかわりに悪戯をしかけてくるとはね」

イヌがわざとらしく溜息をついてみせた。

「あのまま眠ったふりしてたら、何をされてたか知れたもんじゃなかった」

「もう。何もしないわよ。眠っている顔が珍しくて触っていただけよ」

「へえ。じゃあ、もっと触っていいよ」

イヌがニヤッと口をゆがませた。

とっさに悪い予感を感じて、後ずさったヘリの体をイヌが捕らえて、
無理やり、抱きすくめると、わざと顎をすりよせるようにヘリにキスをした。


「やっ。やめてよ。痛いわ。ちくちくするっ」

ヘリが嫌がるのを承知で、楽しくて仕方ないという風に、強引に口づけを続けるイヌ。

力ではかなわないと分かっていながらも
イヌの腕の中で、ヘリはバタバタと足掻いていた。

…ようやく解放されたヘリは息を荒くして、イヌを睨みつけた。

「…ほんっとにドS男なんだからっ」


そう言って、ぷりぷりしながら、布団をはいで、起き上るヘリ。

大きくめくられた布団に冷気がはいりこむのを、イヌは惜しむように、
フッと息をついた。


「目がはっきり覚めただろ?やっぱり王子のキスは必要だな」

そう後ろから声をかけるイヌにヘリが振り向きもしないでそっけなく答えた。

「ひげを剃ってからにしてちょうだい。私ひげは嫌い」

「へえ、いつか少し伸ばしてみようと思ったんだが」

そう言って、口ひげをイメージしたように指をあてるイヌに、
ヘリが、たまらずに噴き出した。

「似合わないと思うからやめた方がいいわよ」

すぐに機嫌を直したように、コロコロ笑うヘリに、
イヌも楽しそうに微笑むと、ベッドから起き上がった。

暖房のスイッチはタイマーで早朝からついていたが、
それでも、底冷えする寒さが、布団から出た体を震え上がらせた。

「今日は、冷えるな」

そう言って、部屋着に上着をはおったイヌに、
すでに上着を着て、テラスの窓から外を見ていたヘリが声をかけた。


「寒いはずよ。イヌ、来てみて」

「ん?」

イヌが、ヘリのいる所まで歩いて、ヘリの横に佇んで、
テラスの窓の外を見ると…。


テラスに地面や手すりに雪が少し積もっていた。

そして、まだ降り積もるかのように、空から雪がちらちら舞い降りていた。


「雪か…」

「積もるなんて珍しいわね。ここ最近冬は雪が降る事もあまりなかったのに」


ヘリが感慨深そうに言った。

窓からの冷気で、吐いた息が白くなる。

「冷えるはずだ」

しばらく窓の外を眺めていた二人は、
キッチンの方に移動すると、軽い朝食を一緒に食べた。

「この雪だ。今日は街の交通網はマヒしているだろうな。
出かけるのはやめておこう」

イヌの言葉にヘリがうなずいた。

「そうね。こんな日は部屋の中でのんびり過ごすのも悪くないわね」

ヘリの言葉にイヌが微笑んだ。

「何をする?」

「んー…、まず朝食を食べたら、一緒にテラスに出てみない?」
寒そうだけど、せっかくだから雪にさわってみたいわ。

「いいよ」

朝食を終え、防寒着を着るとテラスの外に出た二人。


少し積もった雪が足元でサクサクと音を出した。

「ほんっと珍しい」

降り積もる雪と、テラスの手すりから、雪の積もった街の外観を眺めながらヘリがつぶやいた。

「去年の冬は、雪は積もらなかったのか?」

昨年の冬は韓国にいなかったイヌの問いにヘリが微笑んだ。

「そうね。少し降ったこともあるけど、積もるほどじゃなかったわ。
あなたのいたニューヨークの方は寒くて、雪が積もったでしょ?」

「ああ、あの冬の寒さは、慣れてもこたえるな」

それに…。

イヌは、横に立つヘリの横顔をそっと見降ろした。

…去年の冬の寒さは僕には、いつも以上に冷たく感じたよ。ヘリ…。

君を失った心に穴が開いていて、まるで、そこに雪が吹き込むように、
体も心も凍っていくようだった。

今も外の空気は冷たいが、どうしてだろうな。
ほとんど寒さを感じない。


隣にいる、雪のように白く透き通った肌のヘリの美しい顔を見つめながら
イヌはまぶしそうに目を細めていた。

「ねえっ」

ヘリの明るい声にイヌは我にかえった。


「雪合戦しましょう」

嬉しそうに、そう言って、バタバタとテラスの向こう側にかけて行くヘリに
イヌは苦笑した。

「君は子供か」

「いいじゃない。やったことない?雪合戦?」

「あるよ。でも…」

そう言いかけたイヌの足元に不意打ちのように雪玉が投げつけられた。

「ほら。あなたも早く応戦しないと、ボコボコになるわよ」
…私、コントロールはいいのよ。

そう言って、積もった雪をかき集めて、
雪玉を作って投げるヘリは、心底雪を楽しんでいるようだった。

はしゃいで、雪を投げているヘリの姿にイヌは微笑んだ。

「OK。受けて立つよ。ただし、負けて泣きごというなよ」

そう言って、雪玉を手で握ったイヌが応戦した。

「いたーい。ちょっと、やったわね~っ」

「ほら、投げてこいよ」

「卑怯よ。植え木の後ろに隠れるのは反則だからねっ」

しばらく、
マンションのテラスの上で無邪気な子供のように、雪合戦を続けた二人。

しかし、やがて

空から降っていた雪が激しくなって、風も強くなってきたようだった。


「ヘリ。雪がふぶいてきたから、部屋に戻ろう」

そう提案するイヌに、ヘリが身震いしながら、素直に頷いた。

「ええ、そうしましょう」

雪合戦で上着や頭についた雪を手で払いのけると、二人は部屋の中に入った。
温かい空気が二人の体を包み込んだ。

ヘリがすぐに洗面所に行って、タオルをとってくるとイヌに渡した。
ヘリもそうだったが、イヌの髪も溶けた雪で少し濡れていた。

「楽しかった~。雪合戦なんて久しぶり。でも、冷えたわね。
温かい飲み物でも飲む?」

そう言って、
キッチンの方に向かおうとするヘリの手を、
タオルで自分の髪の毛を拭いていたイヌの手が止めた。

「まずは体をあたためたい」

「じゃあ、先に熱いシャワーを浴びる?」

そう聞くヘリにイヌが、フッと微笑んだ。

そして、ヘリの頬に両手を添えると、唇に口づけを落とした。

唇をはずすと、戸惑ったように、頬を染めたヘリの顔があった。

「…ほら、君もこんなに冷えてる」

イヌが、ヘリの冷たくなった頬を手でなぞった。

「手もこんなに…」

そう言って、イヌは、ヘリの手をもう片方の手で握った。

「…あなたの手はあたたかいわ」

はにかんで、つぶやくように答えるヘリに、イヌが笑って言った。

「心が冷たいからな」


そして、ヘリの体を引き寄せ、抱きしめると、
耳元で低く囁いた。

…あたためてくれ。へり。

僕の冷たい心を、君の優しい心であたためてくれ。
かわりに僕は、君の冷たくなった身体を…

「あたためてやる…」

優しい口づけから、しだいに激しくなっていくイヌのキスと熱い抱擁に、
ヘリは、翻弄されるように、身をゆだねていた。

…冷たいだなんて…。

ヘリが、昔イヌに言った台詞。

『性格は昔と変わらず冷たいみたい』


だけど、今は、

…あなたは、この体と同じくらい温かい人だって知ってるわ。

熱いとも感じるような、イヌの肌のぬくもりに強く包まれながら、
ヘリは、次第に心も体も理性も溶けて行くように感じていた。


――‐時がたって、

すっかり温まって、
むしろ、恋人と体を重ねた行為で汗ばんだ身体を、布団の中に横たえていたヘリの元に
キッチンからイヌが湯気のたつカップを持って戻って来た。


「ヘリ。ホットミルクティーだ」

「ありがと」

毛布を身体に巻きながら、ベッドの上で上半身だけ起こして、それを受け取ったヘリは、
照れくさそうに、カップの中の飲み物をすすった。

スウエットパンツに、上半身裸に軽く上着をはおったイヌも
飲み物を口に運びながらベッドに腰掛けた。

濃いロイヤルミルクティーにほんの少し砂糖が入って、やわらかい甘みが加わっていた。

体にしみわたるような優しい味だった。

「おいし…」顔を綻ばせて飲むヘリにイヌが微笑んだ。

「あたたまったか?」

…十分身体は『あたためて』もらったけど…。

ジットリとヘリがカップごしに上目づかいでイヌを見つめた。

「…子供の遊びの次に、大人の遊びをするとは思わなかったわ」
…だから、なんだか、眠くなってきちゃった。

「それを飲んだら、一緒に昼寝しよう」

そう言ったイヌが、ゴロリとベッドに横たわって、ヘリの布団の中に潜り込むのを、
ヘリは不思議そうに見つめた。

「…やっぱり、どこか体の調子でも悪いの?」
休日でも、朝早く起きることが多く、いつも行動的なイヌなのに。

「どこも悪くない」

ヘリが中味を全部飲んだカップを、取り上げて、ベッドのサイドテーブルの上に置くと、
イヌは、ヘリの体を布団の中に引きずり込んだ。

そして、やわらかくヘリの体を腕の中に抱きしめると、目を閉じた。

「たまには、いいだろ。こうして過ごすのも」

こんな雪の積もるような寒い日に。

お互いの体の熱で暖められた布団の中で、
ぬくぬくと、そのぬくもりに包まれながらこうして、ゆっくり時を過ごすのも…

「悪くないだろ?」

…今、こうして君を抱いているあたたかい時間を
ゆっくり味わっていたいんだよ。へり。

ヘリは、イヌの言葉に、そっとうなずいて、イヌの胸に顔をすりよせた。

外はまだ雪が降っているようだった。
どんよりと曇った空で、日中だというのに、部屋の中も薄暗かった。

だが、温められた空気の中、ベッドの中は最高の居心地を与えている。

特に、恋人と一緒に過ごす布団の中は。

…贅沢な時間ね。


イヌの体に腕をまわして、抱きしめ返しながら、
ヘリも、目を閉じて、うっとりと温もりの中にまどろんでいった。



(贅沢な時間 終わり)


贅沢だ。贅沢すぎる(笑)
最近、朝布団から出られません。

ブログでは公開してないのですが、
ラフで描いていたイヌ×ヘリのイラストを元にした
話を短編で書き下ろしました。

自分で描いておいて、このシーン

外は雪。
ベッドにいるヘリに飲み物を渡しながら
上半身裸のイヌがキスをしているイラスト。

いったい、どういう状況だ?(笑)と
小説で書いてみました。
…あと、自分の願望ですね♪

私事ですが、凹む事が重なって、
(例のパク・シフさん出演の桂由美さんのイベントの
二次応募にも抽選落ちましたので、もうあきらめます)
↑それだけじゃなくて、いろいろあるのですが、
癒されたくて書きました。

ええ「みつば、万事塞翁が「検事プリンセス」ですから
大丈夫です♪前向きに生きてきます。

昨日のブログへの拍手、拍手コメントありがとうございます♪
イヌなら、ありえそうと思って頂けて、
嬉しいです。いえ、でも、たぶんありえる(笑)

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次創作。

みつばの4コマ漫画
恵理(ヘリ)ちゃんと仁優(イヌ)くんシリーズ29です。


他の4コマ漫画作品は、検事プリンセス漫画INDEXからどうぞ♪

4コマ漫画は、完全にコメディタッチなので、
「検事プリンセス」のドラマや、キャラクター、
このブログの二次小説のイメージが崩れると思われる方は
スルーでお願いします。

どんなヘリもイヌもOKという方はご覧ください。↓


今回の漫画は、少し大人向けです。
ギャグや下ネタも全然OKという方はお読みください♪




100回記念日




   検事p「100回記念日」



ほんと、おバカですみません。。。


みつばの二次小説「チン検事の結婚式」でイヌの言っていた
「100回記念日」のネタです。
何が100回って…、二人の夜のラブラブ回数のことです(笑)

拍手コメントでも、この100回記念日の小説を読んでみたいという
リクエストを頂いたのですが、考えたら、こんなおバカな話に。

4コマ漫画、どちらが正しいかというと、おそらくイヌ。
ヘリは記憶力は確かにいいみたいだけど、数までしっかり記憶してないと思う。

…ただ、こういうメモしたものを、相手の男に見せられたら、
ヘリじゃなくても完全に引くかもしれませんね(苦笑)

これ、小説で書くとどうなるのかしら?
気がむいたら、書いてみます♪


拍手コメントの方で、リクエストのあった

「ランジェリー観賞会」の下着姿のヘリや
「プールへいこう」の水着ヘリ。
ドラマ1話のホテルの風呂のヘリ…なども、

ブログで公開出来そうな範囲で(笑)いつか描いてみたいです♪


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旅行&帰省から戻ってきました。

食事の用意とか、全部、実家の方の義母や母がしてくれたので、
久しぶりに、羽を伸ばせました♪

10代で家を出てからは、年に1、2回くらいしか、家族や親せきに会ってないのですが、
久しぶりでも、顔を見ると、ホッとしますね。

「検事プリンセス」でも←やっぱり結びつけます(笑)

ずっと実家暮らしだったヘリが、家をでて、一人暮らしを始めた時。
あの時の夜眠れない気持ちとか、ちょっと分かる気がします。

あと、そう、昨日書いたブログで、

16話でイヌがアメリカに発つ時の荷物の話。

拍手コメントで、イヌは、ぎりぎりまでアメリカに発つのに、躊躇があって、
荷物整理も進まなかったのでは?というコメントを頂いたのですが、

そうかもしれません。

私は、下記の事は考えていたのですが、↓

荷造りはしてたと思うのですが、未練がいっぱいで、
そして、棄てようと思っていたけど、やっぱり棄てられない物を
バッグに詰めて持って来てしまったのでは?と思いました。


…しかし、その中味がちょっとおバカな方向にいってましたが(苦笑)
それは、描けなかったので、せめて
↓アメリカに着いて、持って来た荷物を開けるイヌをイラストで。



検事p「イヌの荷物」




考えられたのは、もちろん、ヘリとの想い出の品。

二次小説でも書いたのですが、尾行、調査の時に撮ったヘリの写真は
結局捨てきれなかったんじゃないかな?と…。

おそらく、事件関係者の写真や資料は棄てたと思うのですが。

それから、もちろん、ヘリからもらったブレスレット。

二次小説の「恋人に望むこと」や「100日記念日」でつけさせた、あの、ブレスレット、素敵です♪
イヌに似合います。ヘリ、いっぱい悩んで決めたものね♪


そんな感じで、イヌの荷物を考えてみました。

私は、旅行も引越しもかなり数をこなしてるはずなのですが、
毎回、荷物が多いです(汗)減らせません。
今回も、飛行機にイヌのようにキャリーバッグを持ちこんでました。
何入れてたんだろう?って後で思うものも結構入れてます。


外出中の間の、拍手、拍手コメントありがとうございました♪
年末、年始のご挨拶も、楽しく読ませて頂きました。

ブログは、ひきつづき、コメント記入可能のページは限定して、
他は機能を停止させているので、何かあったら拍手コメントのコメント欄か、
メールフォームのメッセージの方でお知らせ下さい。

1月に新作の二次小説がアップ出来るように、頑張ります。

では、改めまして、これからも「みつばのたまて箱」よろしくお願いします♪


(お知らせ)

検事プリンセス二次小説INDEX、更新しました。
最近書いたものが、時間軸の中にパズルのように(笑)入ってます。



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私事ですが、本日は移動日なので、このブログが更新される時は
飛行機に乗っているかもしれません。

飛行機といえば、

「検事プリンセス」の飛行機シーン←やっぱり、結びつけます。

名場面(みつば的に)

5話の飛行場シーン。ヘリが海外に逃げようとして、イヌが追いかけてきた場面。

そして、16話のイヌがアメリカに行ってしまうシーン。
夢を見て、思わず飛び出して、マンションの外の庭から空を見上げて、
飛行機を悲しげに見つめるヘリのシーン。

ヘリ。

先日のブログで書いた「つないだ手」のシーンでは、
大人な別れ方をしたヘリだったけど、本心は、イヌに行って欲しくなかったんだよね。
もしあの時、イヌに会っていたら、ヘリは「行かないで」って言ってた気がする。

原作者さんが、「バッドエンディング」もあり得たとおっしゃってたようですが、
その場合、ここで、エンディングか、もしくは、どっかかが、交通事故になっちゃったりするパターン?
・・・本当にハッピーエンドで良かったです。←この話前もブログで言ったような(苦笑)


16話のヘリの夢→飛行機のシーンは、地上波ではカットされてたのですが、BSもそうでしょうか?

そして、イヌとジェニーが飛行場にいるシーンも。

あの時、イヌの持っていた手荷物旅行バッグが素敵で、ちょっとカラフルだったので、
ジェニーの荷物を持ってあげていたのかしら?って思ったのですが、1年後韓国に戻ってきたイヌが同じバッグを持っていたので、イヌのだったみたいです♪

しかし、

女性にしては軽装のジェニーに対して、イヌ・・・いったい何を機内にまで持ち込んでいたんだろう?って気になってました。

そんなに重要なもの手持ちであったの?

そして、勝手に4コマ漫画の「恵理ちゃんと仁優くん」のネタのような事を妄想しました♪
でも、あまりにもおバカな妄想なので、漫画で描くこともためらわれます(笑)

1年後に帰国したイヌの荷物も結構いっぱい。
生活必需品とか、仕事関係の本が入ってたのかな?


そういえば、ついでにドラマの1年後の事で言いたいことが。

撮影の時間的なものでしょうがないと思うのですが、
1年後なので、少し、人物の外見にも変化が見たかったな~と。

ヘリの髪の毛の長さも髪型も全く変わってないところ。
せっかくウエーブにしてるのに、ずっと髪の毛を結んだままなんて・・・。
欲を言ったら、5話のようなストレートロングのヘリとか見たかったです♪

イヌはあれでいいです♪
伸びていたとしてもドラマ前半程度で♪


そんな感じで、本日は無理矢理ですが、DVD感想(飛行機)でした♪


(追記)

昨日のブログの二次小説「シンデレラの靴」の件。

書いていた時は、「囚われのプリンセス」の中の出来事だったのですが、
何か、自分で勘違いして前コメントで9月の話とか書いちゃってました。

そんなに重要なことじゃないからいいか~とも思ったのですが、
イヌがヘリに「買ってやろうか?」とか言っていて、
たぶん、もう普通にデートしてる時は、イヌはそんな上からな態度で、
ヘリにポンポン買い与えてない気がしました。
なので、これは、「初めて記念」としてイヌがヘリにプレゼントを
いっぱい買った日というのがしっくりくると思って、時間直しました。

それに、「靴」のことはなるべく早く会話しておいた方が
後々いいと思って。

シリーズ話でも、時間あちこち飛ばして書いていたら、
自分でも混乱しちゃった(汗)というミスです。




今日はひさしぶりに我が家に帰ります。



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本日、昼に更新した小説について、取り急ぎ修正個所を。

時間軸が9月の話と前コメントで書いてますが、正確には、この話は「囚われのプリンセス」の中の話です。

間違えました。

たいしたことでは無いけど、自分の中で気になる点があったので、急ぎで追記します。
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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「シンデレラの靴」です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。



この話は、書き下ろし短編ですが、
時間的には「囚われのプリンセス」の中の話になります。
(昼食食べた後の街中デート中の話)






シンデレラの靴





「その靴が気に入ったのか?」



街中デートをしている途中、

ある店の前で立ち止まって、
中で飾られている靴に目が釘付けになっているヘリにイヌが声をかけた。


「そうね。素敵な靴だわ」


ヘリはうっとりとした表情で靴を見つめていた。

まるで靴に恋をしているかのようなヘリの顔に、イヌは、
・・・そんな目で自分は見られた事はないな・・・と心の中で苦笑していた。


「買ってやろうか?」

さらりと、そう提案するイヌに、ヘリがびっくりしたように振り返った。
そして慌てたようにブンブンと激しく首を横に振った。

「いえ、いいわよ。・・・じゃなくて、駄目よっ」

「駄目?・・・ああ、また僕が君に何か企んでいると思ってるんだな?」

「違う。そうじゃなくて・・・あなた知らないの?」

あせったようなヘリの態度にイヌが首をかしげた。

「知らないって何が?」

「・・・恋人に靴をプレゼントしちゃ駄目ってこと」

それは、韓国で言われているジンクス。


恋人に靴をプレゼントすると、相手がその靴を履いて、
別の人のところに去ってしまうという言い伝え。

とくに若いカップルは、そのジンクスを恐れて、
恋人に靴をプレゼントすることを避けていることが多いのだが・・・。


・・・知らないの?


そう気まずそうに見つめるヘリにイヌが、「そんなことか」と事もなげに答えた。


「僕は信じてないから」

そうあっさりと答えるイヌにヘリは目を丸くした。

「どうして?」

「だって、何の根拠もない」

イヌが肩をすくめて言った。

「言い伝えがほとんど根拠の無いものだって分かっているわよ。
だけど、先人の言うことには何かしら意味があるって思わない?」

「アメリカにはそんなジンクスは無かったぞ」

非論理的じゃないか?というようなイヌの言葉に、ヘリは、
・・・イヌにかかっては、ジンクスも形無しね・・・と心の中でため息をついた。

「私は韓国生まれの韓国育ちなのよ。気にするわ。・・・だから靴はプレゼントしないでちょうだい」


「ふーん・・・」

イヌは、ヘリのジンクスをかたくなに信じる態度に、

・・・型破りな行動をする君がこういうところは律儀に型にはまるんだな。と思っていた。


・・・靴をプレゼントか・・・。ん?待てよ。


「・・・そういえば、君に靴をあげたことがあったな」

「えっ?嘘っ?いつ?」

ヘリが、イヌの言葉に驚いて、焦ったようにイヌに詰め寄った。

・・・やだ。気づかないうちにそんな事あったかしら?


「ほら。あの、オークションの靴」

「オークション?」

「スキー場の」

「・・・・・・」

ヘリは、ようやくイヌの言っているのが、
スキー場でのオークション会場で、ヘリが競り落として、結局手持ちのお金もカードもなく、イヌに買われてしまった、あの靴の事だとわかった。

・・・ジオベルニの靴。

ヘリは、抜群の記憶力で、当時を鮮明に思い出しながらも、
同時に脳裏に様々な思いが駆け巡って、ふて腐れたようにイヌから目をそらせた。

「・・・あの時は、どこかのストーカー男の策略のせいで酷い目にあったわ」


財布も、携帯電話も盗まれて、ホテルの部屋もキャンセルされていて、
ヘリは心底途方にくれていた。

それが全部、今目の前にいる男のせいだと知って、改めて思い出すと、
理由があった事が分かった今でも、苦い気持ちになるのは押さえられなかった。


とくに、今のように、からかうような眼差しを向けている男には。


「まあ、その後、どこかの親切な男がホテルの部屋を貸してくれたおかげで凍死せずにはすんだけど」

元々、検事の研修をさぼって、行ったオークション会場。

すねに傷持つ身はヘリの方だったのだが、
それにしても、やっぱり・・・。


「思い出すと、近くの男を蹴飛ばしたい気分になるわね」

そう言い切る前に、イヌに蹴りをいれるヘリの足をイヌが、スッとよけた。

「・・・よけたわね」

「君の蹴りは痛いんだよ」
・・・経験ずみだから見切っている。

イヌが苦笑しながら、言うと、

「ごめん」と、付け足した。

その謝罪の言葉が、蹴りをよけたことではなく、
スキー場の出来事に対してだと気づいたヘリは、気まずそうに、目を伏せた。


「・・・謝ったから許してあげる」


ヘリの言葉に、イヌが微笑むと、ヘリに近づいて肩を抱き、自分に引き寄せた。

「ありがと」

息がかかるような距離で微笑むイヌの顔に、
ヘリが照れ隠しにわざと素っ気ないふりをした。

「・・・私、あなたにあの靴はもらってないわよ。だって、あの後ちゃんと代金を払ったもの」


再会した後、現金でホテル代も、靴の代金も全部返した。

「だから、それは絶対『あげた』とは言わないわ。譲ってもらったのよ」

頑なにジンクスを気にするヘリの言葉に、イヌがうなずいた。
そして、同時に、『あなたと絶対別れたくない』と代弁しているヘリに、
イヌはフッと口元を綻ばせていた。

「そうだな」

イヌの言葉にヘリもにっこりと微笑むと、イヌに肩を抱かれながら、歩き出した。

「あの靴はいいのか?」

イヌが、後ろを振り返って、ヘリの見ていた店の靴の方を見た。
・・・欲しかったんじゃないのか?

「いいの」

ヘリが首を振った。

「素敵な靴だけど、どうしても欲しいって思える物ではないから。それに・・・」

ヘリが続けた。

「もう少ししたら、『買い物貯金』が満額になるのよ。そうしたら、今一番欲しいと思っている靴を買いに行くつもりなの」

ヘリは、毎月の給料から少しずつ、『買い物貯金』というものをしていた。

前のように富豪暮らしではないヘリは、堅実にお金を貯めて、欲しい物の中で厳選した物だけを決めて買うようにしていた。

それがすごく楽しみだと、微笑んで言うヘリに、イヌが目を細めた。


・・・きっと、慣れないうちは辛かっただろう。


今まで、好きなものを迷わず購入できていた人生から、
いきなり、節約を強いられる境遇になったヘリ。

マ家のそれまでの家財や、宝飾の類いは、
サンテの会社が倒産した時の借金の抵当にほとんど取られた事も知っていたイヌは、
当然、ヘリの持ち物の大部分も失った事も想像していた。


スキー場で『初めて』再会するまで、長い間ヘリの事を観察していたイヌは、
その事がヘリにとってどんなに辛い事だったか知っていた。

それでも、今、こうして自分の貯金で買い物ができる事を、嬉しそうに語るヘリの姿に、
イヌは、街中の人目をはばからずに、ヘリを抱きしめたい気持ちになっていた。


自分の肩を抱くイヌの手が強くなった事に、ヘリは気づかないふりをしていた。

そして、

「そういえば、あの時の靴ね。今でも大切にしているのよ」と言った。

イヌが、少し驚いたような目をヘリに向けた。

あの靴。


サンテの会社の債権者たちが、家に押しかけて、金目の物をあらかた持ち去ってしまった日。

家にいたエジャが自分の物より、何より、ヘリのジオベルニの靴だけは、取り返して必死に守っていたのだった。

家に戻って、惨状に驚愕するヘリに、エジャが言った。


『これだけは守り通したわ。幸運の靴でしょ?大切にしなきゃ』


ヘリの大切な靴の中で、エジャがどうしてこの靴だけを守ったのか。

それは、ヘリがエジャに、イヌとの『初めての出会い』の話をしていたからだった。

スキー場で出会って、自分を助けてくれて、そして靴を譲ってくれたと。
そして、潜入捜査でも一度は落としてしまった靴をイヌが見つけて届けたくれたことも。


それはまだ、イヌの素性が分からずに、イヌが消えて、
ヘリが初めて自分の気持ちに気づいて、エジャに打ち明けた夜のことだった。

・・・ソ弁護士が好きなの。


そう言って泣く娘の打ち明け話しにエジャは心を打たれていた。

その後、イヌが、ソ・ドングンの息子で、ヘリに近づいた目的も知った後も、
娘のイヌへの変わらない気持ちを察してエジャは心を痛めていた。

せめて、あの娘と、あの男性を結びつけたこの靴だけは守らなくては。

エジャは嵐のような状況の中で、命に代えても靴を守ろうと、
靴を抱えて、部屋の隅に身を潜めていたのだった。


ヘリは、あの事件をきっかけに大切な物をたくさん知った。

イヌがいなくなった後も、あの靴を見るたびにヘリは何度も立ち直る事ができた。


・・・一番大切なものたちは残っているわ。だから大丈夫。


そして、何度も勇気づけられた。


「普段はシューズクロークに飾ってあるけど、ここ一番大事な時に履くようにしてるの」


法廷での裁判の時などに。


・・・私にとって、いろいろな意味で大切な幸運の靴だから。


この先、きっと好きな靴や、欲しい靴がいっぱい出てくると思うけど、
あの靴は、ずっと私にとって特別な靴でしょうね。


落とした片方の靴が見つかった時のおとぎ話のお姫様のように。



「そうか」

なにげない相づちをうつイヌの、でも、自分を見つめる優しく暖かい眼差しに、
ヘリは、そっとうなずいて見せた。


・・・だけど、ヘリ。

並んで歩く、美しく清廉なヘリの横顔を見ながら、
イヌは心の中で思った。

・・・君はもうあの靴に頼らなくても大丈夫なように見えるよ。

自分で歩いていく靴を買って、
自分の足で立って、自分の力で、道を切り開いて、自ら幸運を見つけていくのだろう。

君を見守り続けていた僕の手を借りなくても、
君は一人で歩いていくことができる人だ。

再会してから、こうしてつきあって、それを知って、
嬉しい反面、正直少し寂しい気持ちにもなったけど・・・。


だけど、もし、君がまた、あの潜入捜査の時のように、

幸運の靴を片方失った時のように助けが必要な事があったら、


・・・僕が君の側にいる事を思い出してくれ。へり。


――― これからも、ずっと君を見守っているから。





ゆっくりとヘリの歩幅に合わせて歩きながら・・・


自分の想いを胸に秘め、


イヌは、

地に足をつけて、一歩一歩、軽やかに靴を踏みしめながら前を向いて歩いて行くヘリに
そっと寄り添うように、共に街の雑踏の中を歩いて行った。



(シンデレラの靴 終わり)



この時にヘリが言っていた「買いたい靴」というのが、
後の話「ここにいるから」の靴です。

・・・というわけで「ここにいるから」は、話の流れでいうと、
これから、4話目になるということになるのかしら?←かしら?って自分の頭に聞いてます(苦笑)

旅行中書き下ろしている話たちは、書き下ろしなのですが、
今後の話の伏線少しずつ張ってます。
・・・でも、伏線はったこと後で忘れないようにしないと(笑)


拍手、拍手コメント、コメントありがとうございます。
いろいろ、他の私事の事情も重なって、
思った以上に、抽選にもれたこと凹んでたのですが(苦笑)
元気づけられました♪ありがとうございます。

架空の人物だろうと、イヌ、ヘリ妄想の中でだって
ずっと生きていって欲しいです。


(追記)前コメント修正しました。

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こんにちは。

韓国ドラマ「検事プリンセス」のソビョン病にかかっている、管理人のみつばです。

現在、まだ外出中の身ですが(相方は仕事で一足早く帰りましたが)
少し困ったことになってます。


・・・というのも、

イヌ欠乏症で元気無くしてます。


「イヌに会いたい~~~(涙)」


相方じゃなくてね(笑)

夏の旅行の時は、まだ大丈夫だったのですが、
今はもう、動いているイヌをしばらく見てないだけで、禁断症状のようになってます。

フラッシュメモリで持ち歩いていた検事プリンセスの二次小説の続きを書いていても、
なんだか元気がでません。

ようやく、夜中にパソコンを借りて、動画サイトで検事プリンセス関係の動画見て、
動いているイヌを見て、ほっとしました。

最近イヌ役のパク・シフさんがますますご活躍されているというのは、知ってます。

雑誌の表紙にどんどん出ていらっしゃるし、「王女の男」もまもなく日本公開でしょうし。

2月には来日予定のようですし。
パク・シフさん、桂由美さんのファッションショーのゲスト出演。

実は・・・。

私、そのチケットの先行応募してたんです。

パク・シフさんだから知った情報ですが、
ファッションショーにも関心が強かったので。

でも、いろいろな理由で迷ってたのですが、

それを相方に言ったら、さらりと

「行ってくれば」と。

「でも・・・」というみつばに

「行かない後悔より行った後悔の方がいいだろ?」と。

さらに、子供に何かあった場合は平日でもサポートしてやると言ってくれたので、
思い切って、応募してみたんです。

ドキドキの抽選待ち。

ところが、それを知人に言ったら、

「・・・それ実年齢で応募した?」と聞かれました。

当然そうしたけど?というみつばに

「ブライダルのファッションショーでしょ?年齢で外れるんじゃないの?」

・・・え?

そんな事ないはずだよ。抽選だもの。年齢とか関係ないよ。

そう思っていたみつば。

しかし、結果は・・・はずれました。

でも、知人の言うように年齢とか関係ないですよね?きっと。
ただ、今は二次応募を受け付けているので、どうしてだろう?ってちょっと疑問に思ったりもしてます。
小分けにして抽選してるのかしら?

でも、二次応募も、一般チケット販売もまだあるようです。


イヌ役のパク・シフさんの今後のご活躍は、影でひっそりと応援しつつ、

私は、検事プリンセスのDVD見て、また鋭気を養うことにしたいです。

時々現実と妄想の狭間に落っこちて、凹むこともありますが、
私は元気です(←魔女の○○便風に)♪




上げ膳、据え膳生活をさせてくれた義母や母に感謝しつつ、
今は体を休めているみつばです。

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今回の韓国ドラマ「検事プリンセス」の感想のテーマは、
「つないだ手」です。

つないだ手って何?って感じですが(笑)

ドラマ中、ヘリとイヌのラブシーンって少なめですよね。

キス2回にハグは・・・少し多いかな?

その中で、ラブシーンではないけど、私の好きなシーンがあります。

それは手をつなぐシーン。

ヘリは、桜並木の下で、ユン検事と手を握って歩いています。
でもハグとかキスされながら、イヌとは手を握ってません。

最初に手を握ったのは、
ヘリが、イヌに声をかけて、バランスを崩して転びそうになったのを
イヌに手で引き起こされるところ。

「はじめて手にぎっちゃった~」とはしゃぐヘリにイヌは
少し怪訝そうに手を離します。

2回目は、

「今日は一緒にいよう」と14話で、ヘリの手を取って、写真撮影のため公園に向かうイヌ。

ヘリは困惑してます。


その後、イヌとヘリは、お互い、どっちかが歩みよろうとすると、
どっちかが拒絶するというすれ違いパターンに。

ついには、「もう君の顔は見飽きた」と言うイヌに、「こっちこそ、あなたに会いたくて会ってるわけじゃない」と言うヘリ。


・・・あんたたちね・・・。

ほんとに、喧嘩中の中学生カップルか!?の言動が多いヘリとイヌです(苦笑)

「もう、僕らは普通に話しもできないのか?」
「そうよ。進む道が違う」

・・・ヘリ。少しはイヌの気持ちも考えようよ。な感じで、イヌにそっけないヘリ。

こちら、もうどうしようもないですが、

サンテの事件が片付いて、手伝おうとするヘリをきっぱり断るイヌ。
サンテとの約束もあるからなのでしょうが、突き放してます(涙)

そして、裁判が終わって、ヘリを無視するように立ち去るイヌ。
でも、それは、法廷に記者がいたので、うかつな事を話せなかったこともあるのですが、
気持ち的にすれ違ってます。

しかし、ヘリがチン検事の送る会から帰った夜、
マンションを見上げていて感慨にふけっているところにイヌがやってきます。
そして、お礼を言って、ヘリの今後を励まして、握手を求めて手をさしのべます。

とまどう、ヘリが、イヌに促されて手を握ります。

この時に初めて手をつないだ事を思い出すヘリ。

無言で、お互いの手を握り合って、見つめ合う二人。

ヘリが、微笑んで、イヌが何か話したそうに口を開きかけ、・・・でも閉じて、
ヘリを見つめるシーン。

ここでね、ヘリは言いたかったと思うの・・・きっと。

「行かないで」って。「そばにいてって」

でも、あのイヌへの微笑みにすべてを込めたと思うの。

「よかったわね」と
「今までありがとう」と
「さようなら、元気でね」と
「私はがんばるから大丈夫」と・・・、

「愛してる」って。。。。

対して、イヌの方も

「ありがとう」と
「ごめんな」と
「さようなら、元気で」と、
「これからがんばれ」と、

「愛してる」って気持ちをこめてたと思う。

無言でつないだ手のシーンが、ようやく二人が心を一つにした場面のようで、
すごく切なかった・・・。ほんとに切なかった。

泣いて、ハグしたり、キスしたりするより、
たとえば、ヘリがわめいて「いけないで」とか言うより、
イヌが思わずヘリに告白したりするより、
お互いを思い合う二人の姿が強調されてた気がする。


私は、大人向けのHなラブシーンものもドキドキして好きですが、
実は、いわゆるたぶん『胸キュン』←(苦笑)がもっと好きなんです♪

たとえば、両思いになる前のドキドキ、はらはらなカップルシーンとか。
こういうただ、つないだ手で想いを伝えるシーンとか。
純粋な愛を感じるな~と思ってしまいます。

そんなシーンが「検事プリンセス」には多いです。

自分の気持ちを抑えても、お互いを思いやる二人の行動。
それが、この「つないだ手」のシーンに一番出ていた気がしました♪

「大人話」も多くなってきた、このブログですが、
一番最初に書いた二次小説「カップケーキ」の初心忘るべからずな感じで
今後も「検事プリンセス」の話を書いていこうと思ってます♪




管理人みつばはまだ外出中です。

パソコンは夜中に借りている状態なので、
可能な時だけ使用できる感じです。

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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「恋人に望むこと」です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

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この話は、現在旅行中のみつばが携帯で書いたものを
PCに写して書き直した短編です。

先日のブログ「完璧な男」のコメント書いていて、
想像してみたことを小説にしました。

時間的には「プールへいこう」の最終話の続きになります。





恋人に望むこと





「ユナは付き合っている彼氏の事好きなの?」

「は?」


いつもの行き着けのカフェで、
突然、突拍子の無い質問をするへりにユナは目を剥いていた。

「当然でしょ。好きだから付き合ってるのよ」

「そうよね。そんな事は分かってるわよ」

へりが慌てて言った。

へりの親友、ユナは今付き合っている彼氏と100日記念日も過ごし、まだ交際が続いていた。

「…でも、ちょっと気になった事があるのよ」

「何?」
…どのへんが?

歯切れの悪いヘリをユナが怪訝そうな顔で見た。

「昔ユナが話してくれた恋愛したい理想の男性像と、
今のユナの彼氏が全然違うタイプに見えたから…。」


告白したのは彼氏からだと聞いた。

勿論、ユナの方もいいと思ったからこそ、
交際をOKした、と言っていたのだが…。

「確かに私の理想のタイプじゃないわね」

ユナが認めて頷いた。

「でしょ?」

…じゃあ、どうして付き合いたいって思ったの?

不思議そうなヘリにユナがサラリと言った。

「好きになったから」

「…タイプじゃないのに?」

「理想と現実は違うっていうじゃない?」
ユナはカフェオレをすすりながら、淡々と答えた。

「…そういうもの?」

ヘリは首をかしげた。

…どうして理想と違う人を好きになるのか分からない。

そんな様子のヘリにユナが呆れたように苦笑した。

「ヘリ、あなたは理想が高すぎるんじゃないかしら?」

「そんな事ないわよ」

「そうかしら?あなたの事だから、理想の男のタイプは、白馬に乗った王子様って所じゃないの?」

「やぁだ。やめてよ」

ユナの言葉に唇を尖らせて反論したヘリだったが、
ほとんど図星をさされてドキリとしていた。

事実、大学生までのヘリの理想は、
ロマンチックな小説や漫画に出てくるような王子様のような男だった。

…そんな人はいないって分かってるけど。

「…でも、夢くらい見てもいいでしょ」

ヘリの言葉にユナが目を丸くした。


「やだ。何?ほんとに王子様みたいな完璧な男が理想?…そういえば、ヘリが夢中になってるっていってた先輩検事って、そんな感じの人なの?」

「…先輩は、確かに好みのタイプに近いけど…」

ヘリは少しうつむいた。

そんなヘリを、照れていると受け取ったユナが
ヘリの席の横におかれた買い物バッグにからかうような視線を送った。

「プレゼントを一生懸命選んじゃうくらいヘリが夢中になる人だものね」

「……」

バッグの中には、カフェに入る前に、ブティックで買ったブレスレットが入っていた。

ただそのブレスレットはユナが勘違いしてるように、
先輩のユン検事にあげるものではなく、世話になってるお礼として、
ソ弁護士にあげるために選んだ物だったのだが…。


「先輩検事って人がどんな人か知らないけど、
ヘリの理想の男のタイプっていうなら、あのソ弁護士さんが、ピッタリだと思うんだけど」


「え?」

何故かドキリとした胸の鼓動にヘリは何気ないフリを装った。

「ソ弁護士のどこが?」

「だって、ずっとヘリの事を助けてくれる人でしょ?仕事も出来て、カッコ良くて、紳士的。素敵な人じゃない」

…ユナはソ弁護士のいい所しか見てないから。

えらそうで、意地悪で、人をからかったりする、白馬の王子様がいるかしら?


それに…

「ユナ、私ね。理想のタイプはともかく、恋人になる人に望む事はたった一つしかないのよ」

「そうなの?」

ユナが興味深そうに身を乗り出した。

「ヘリが恋人に望むことって何?」


「…それは…」

「それは?」


ヘリが少女の頃から、「恋人」になる人に望む事は今も変わってはいなかった。


例え、それが世間知らずのロマンチストな戯言と言われようとも。

自分の体がふくよかで後ろ指をさされていた時も、
今の体になって男達からちやほやされても変わらない理想。
恋人になる人に望むこと。


「それは…」



シャラリ…。


微かな金属音で、ヘリは目を覚ました。


「起きたか?」


ハッとして、焦ったように周囲をキョロキョロするヘリに、声をかけた男が手を伸ばしていた。

その手首には、銀色のブレスレットが揺れていた。


「…ここ、どこ?」

「寝ぼけているのか?」

自分の頬をブレスレットをはめた手で優しく撫でる男の顔を見たヘリが、呟くように言った。

「…イヌ…」

イヌの車の中、
車は街中で、信号待ちの為停止しているようだった。


「…私、寝ちゃってた?」

「ああ、途中から返事が無いと思っていたらな」

「どのくらい?」

「30分くらい」

休日にホテルに泊まって、ブランチを食べた後、
ドライブデートをしていたイヌとヘリ。

へりは車を運転するイヌの手首につけられた、
自分が昔プレゼントしたブレスレットを見つめて、
過去を思い出しながら、そのまま眠ってしまったようだった。


「何を話している途中だったかしら?」

へりが気まずそうに首をすくめた。

「ああ、確か、君の友人のユナさんの彼が働いている店にいつか食事しに行こう、というような事を話していたな」
…場所はどこだ?と聞いたけど、君から返事が無かった。


スヤスヤと気持ち良さそうに眠るへりにイヌは微笑んで、黙って車の運転を続けていた。

「起こしてくれて良かったのに」


気恥ずかしさを誤魔化すためにわざとぞんざいな言い方をするヘリにイヌが苦笑した。

「君があまりにも幸せそうな顔で眠ってるから起こせなかったよ」

「幸せそうな顔してた?」

「ああ。微笑んでた」


そういえば、昔もこういうことがあったわね。
車の中で眠った私を起こさないで、ずっとイヌが待っていてくれたことが・・・。

ヘリは、イヌとつきあうようになって、
あの時のイヌの優しさは本物だった、とこうして知るようになっていた。


「よく眠れたみたい。…ありがと」

少し照れながら礼を言うヘリにイヌが微笑んだ。

「いい夢でも見てたのか?」

「・・・夢は覚えてないけど」

…昔の事は思い出してたわ。

信号が青になって、車を発信させたイヌをへりはチラリと見た。
ハンドルを握る手首に揺れるブレスレットは自分が、あの日、イヌにあげたものだった。

ユナと買い物してカフェに行った日。


『ヘリが恋人に望むことって何?』

ユナの質問にヘリは、嬉しそうに答えていた。

「世界中の誰よりも私が愛して、そして愛してくれる人」

堂々と、宣言するように胸をはって言うヘリに
ユナが呆気にとられたように、ポカンと口を開けていたかと思うと、

次の瞬間、弾けるように笑い出した。

最初はきょとんと不思議そうにしていたヘリだったが、
お腹を押さえて、涙まで出して笑う親友に、次第に、ムッとしたように頬を膨らませた。

「なにが、そんなにおかしいの?」
・・・私、おかしなことでも言った?

「おかしいことは言ってないわよ。まともすぎておかしいのよ」

ユナは、目にたまった涙をぬぐいながら、ようやく言った。

「へり、それって当たり前のことじゃないの。恋人なら当然の条件でしょ?」

誰よりも愛して、愛される人。それが恋人っていうのよ。

「まじめな顔で、ふざけるんだから。ヘリったら」

「・・・そうよね。ハハっ」

ユナに曖昧に笑い返しながら、ヘリは
・・・ふざけてはいなかったんだけど。と心の中で思っていた。

そんな恋がしたいとずっと思っていた。

そして、あの後、イヌへの気持ちを自覚した時に知った。

世界中の誰よりも愛している人ができたという気持ちと喜びと同時に切なさを。

『あの弁護士さんのことは忘れた?』と聞くユナに、

「あの人は忘れるとか、忘れないとかいう人じゃなくて、・・・ただ、そういう人なの」と。
答えていた自分。

ただ、愛してる人。


その相手が、今、恋人として自分のそばにいる。


ヘリは、ニヤニヤと一人笑いをしながら、車窓を流れる風景を見ながら
鼻歌を歌っていた。


「どうした?やけにご機嫌だな」

おもしろそうに尋ねるイヌに、ヘリは「別に」とすまして答えた。

「たいしたことじゃないわ。私の考えていることって、いつも至ってシンプルなのよ」

「知ってる」

イヌが笑った。


そう、シンプルな望み。

欲しかった恋人。


それは、

世界中の誰よりも愛して、そして愛してくれる人。

それだけ。


人に言えば、当たり前の条件だと言われるだろうけど、
そんな人に巡り会うのは奇跡に近いと思っていた…そんな理想の人と一緒にいる幸せ。

こんなこと、イヌには絶対教えられないけど・・・。


「愛してる」

ヘリが、はっきりと言った。

「イヌ、愛してるわ」

突然、助手席で告白めいた言葉を語るヘリを、
イヌが、ちらりと横目で見て、口元をほころばせた。

「まだ、寝ぼけてるのか?」

「そうかもね」ヘリがうなずいて、楽しげに答えた。

「・・・・・・」

再び信号待ちで、車をとめたイヌが、スッとヘリの方に顔を寄せて、
かすめるように唇にキスをした。

「イヌっ」

通行人や、周りの車からの視線を気にしたヘリが
あせったように、抗議しようとするのを、イヌが、ふてぶてしい顔で笑った。

「寝ぼけたお姫様にキスはつきものだ」


・・・理想の恋人に望むものに、これからはもっと条件が必要かもしれないわね。


恥ずかしそうに苦笑するヘリに、「理想の恋人」がにっこりと微笑むと、
再び車を発進させた。



イヌの手首で光るブレスレットを見ながら、


まるで、自分たちを乗せた車が、その先の幸せな未来へ続く道を、
これからもずっと走り続けて行くように感じていたヘリだった。



(恋人の望むこと 終わり)


・・・現在は実家にいるみつばです。
とにかく人目が多いので、携帯電話で小説を少しずつ書いてましたが、
なかなか構成が進まずにいたので、こっそりと夜中にリビングのパソコンを
拝借して使用中。

ヘリは、6話の過去とか見ていると、
ずっとロマンチックなことにあこがれている乙女だったと思います。
なので、理想も高いように見えて、夢見てたことは
シンプルでも、熱望していたのでは?と考えてこんな話に。

ただ、相手がイヌなので、ロマンチックな恋かどうかは
わかりませんが(笑)


拍手、拍手コメントたくさんありがとうございました。
公開コメントの方には返事を書いたのですが、
万一、返事が無い方がいたら教えてください。


まだ、みつばは外出中です。ブログ管理ができない時もあるので、
ひきつづき拍手コメントレスは遅くなるかもしれませんが、何かあったら
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今日のブログは携帯更新です。

今回のブログテーマは韓国ドラマ「検事プリンセス」の中のキャラクター、ソ・イヌについて。

…ええ、もう彼の事は、去年から何度も何度も書いてますが、まだ書き足りません(笑)

今年もまだソビョン病(ソ弁護士に夢中という意味)にかかってる私です。


イヌというキャラクターは、原作者の方(脚本家さん)は、完璧な男というイメージを…ということをインタビュー記事で読んだ事があるのですが、確かにパク・シフさん演じるイヌは完璧な男に見えます。

カッコ良くて、仕事も出来て、お金もち、センスがよくて、優しくて、困った時にすぐに助けてくれる…女性にとっては
理想の男でしょうね。


ただ、私が、イヌに惹かれたのは、そういう部分では無くて、どちらかというと、情けない部分。


何回もやらかしてる、ウッカリな所や、無理やりへりにキスして自己嫌悪したり、10話で、泥酔した、わめきイヌ。

あれで落ちました♪

母性本能くすぐらせますね~。

完璧に見える男の完璧じゃない所。

そこも又原作者さんの意図かもしれませんが。

逆に本当に完璧な男って、何か胡散臭い気がします。

乙女時代に憧れる男性像ですが、頭の中をほぼ妄想人生(笑)で生きてきた私でも、流石に今では…

現実にそんな男は、ほとんどいないんじゃないかな~。

…と、心の中で思ってしまいます。


でも、理想や妄想は自由ですもんね♪


それに欠点があってこそ、「完璧」って言えるのかも?♪


ここまで書いておいて、そうか~と気づいた点。
わめきイヌあたりも、へりを欺く自分に耐えられなくなった所だから、本当は嘘がつけない男…を現してたのか。

うーん、やっぱり完璧な男なのかな?


人によっては、イヌにどこで落ちたか違いますよね。最初から、どんなイヌでも好き♪の人から、途中から、私のようにはまった人もいますよね。

ちなみに、イヌの髪型は黒っぽい短髪が好きです♪
12話以降の。

なので、私の妄想の中では、今後イヌがヨンシクの髪型(逆転の女王のパク・シフさん)や姫の男(王女の男のパク・シフさん)←(笑)にはならないような気がします。

なんだかんだ言って、理想高い私。


現在、みつばはまだ、外出中の為、しばらくは携帯更新させて頂きます。

年末年始にかけての、拍手、拍手コメントありがとうございます。
読める時に読ませて頂きました。
ありがとうございます。
よくいらっしゃって下さる方も新しくいらしてくださっている方も、
今年もよろしくお願いします♪
コメントレスは遅くなりますが、何かあったら引き続き拍手コメントの方でお知らせ下さい♪

…余談ですが先日、相方と父がいる部屋で、自分のブログをパソコンで開いて、ドキドキしてました。

こんなに人目を気にしなくてはいけないブログだったのね…と、反省です(苦笑)
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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「秘密の観賞会」後編です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
ドラマのネタバレ等も含んでいますので、現在ドラマを見ている方、
これからドラマを見る方はご注意ください。

みつばの「検事プリンセス」の他の二次小説のお話、コメント記入は、
検事プリンセス二次小説INDEX」ページからどうぞ。

このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「お願い」を一読してください。

この話は、「海へいこう(後編)」と「海へいこう(おまけ話)」に出てきた
『ランジェリー観賞会』の話で、「花遊び」の続きになります。


(警告)

この話には、大人向けの表現と描写が出てきます。
精神的に大人だと思える方のみお読みください。




秘密の観賞会(後編)




ベットに座った状態のヘリに、イヌが四つん這いになって顔を近づけていた。

「観賞会なのよ。観賞っていうのは見るだけなのよ」

今更、自分でも往生際が悪いと思いながらも
ヘリはジリジリとベッドの上で後ずさっていた。

こうなるのは、いつもと変わらないはずなのに、
場所が違うせいか、初めての夜を過ごした時のような戸惑いを感じていたヘリだった。

それに、こうして改めてイヌに明るい所で、下着姿をジロジロ見られるのも初めてかも。


「…素敵なランジェリーだな」

イヌが言った。

「そ、そうでしょ?選ぶの苦労しちゃったわ」

「それは、僕に見せるために?」

「それだけじゃないわよっ。自分のお気に入りを選ぶ時はいつも時間をかけているのよ」

本当はいつもなら時間をかけずに買い物をするヘリだった。
確かに今回は、旅行に行くために、
そしてイヌに見られる事を特に意識して選んだもの。

普段だったら選ばないような色やデザインだったが、
なんとなく、イヌが好きなタイプに見えて購入を決めた。

だからこそ、イヌの反応が気になってしまうのだが…。

「…イヌも気にいった?イヌはこういうランジェリーが好み?」


イヌがフッと笑った。

「君が普段しているものも好きだが…」

イヌの手が、スッとヘリのブラジャーのヒモに触れた。

「こういうのも君に似合うと思うよ」

…普段もつけてみるといい。そう言っているようなイヌの言葉に
ヘリが、素直にコクリとうなずいた。


…もちろんランジェリーもいいが、やはり僕が一番関心があるのは。

イヌが、ヘリの体を引き寄せると、その首筋に唇を寄せた。

「ん…っ」

自分の首を這うイヌの唇と舌の感触にヘリはくすぐったそうに身をよじった。

「…ランジェリー見てないじゃない」

ヘリの照れ隠しの抗議にイヌが、笑った。

「見てるさ。背中の方もね」
…それに触っている。

イヌの手がヘリの座っているお尻の方に伸びていた。

「…やだっ」

イヌの手の感触に、ヘリはたまらなくなってイヌの体を手で押した。

「やっぱり明るいのは嫌。電気を消させて」

「…この観賞会の主催者は頑固だな」

…昼間に、明るいバスルームの中で、
お互いの体を見せて、さんざんじゃれあって、
さらにその後ベッドの行為にも及んでいたというのに…。

イヌが、呆れたようにフーっと息をつくと、立ち上がって、部屋の電気を消して、
ベッドサイドのスタンドランプの小さな明かりだけをつけた。

…モデルの機嫌を損ね過ぎたら、観賞会も中止させられるかもしれないしな。

「これでいいか?」

「ええ、いいわよ」

ヘリがえらそうな声で頷いた。

…主導権は私にあるんだからね。というようなヘリの態度にイヌが薄く笑った。

「じゃあ、続きをして」

「え?」

「君の観賞会だろ?この後どうするんだ?」

「この後って…」ヘリが、想像していなかったイヌの受け身の姿勢に戸惑うようにうつむいた。

「観客をもっと楽しませてくれるんだろ?」

「そうよ。お客様はくつろいでいて頂戴」

からかって挑発するイヌにヘリがムキになったように顔を上げて言った。

…相変わらず単純だな。

自分の言葉にのってくるヘリをイヌはほほえましく感じながらも、
主導権をさりげなく奪い返していた。

「じゃあ、そうさせてもらうよ」

イヌが、ベッドの枕に頭をもたれて仰向けに横になった。

「・・・・・・」

「くつろいだら、モデルが見えないな」

わざとらしく天井を見つめるイヌにヘリが、恥ずかしそうに唇をかみしめた。

イヌが自分に何を求めているのか、薄々察することは出来た。
…次にどうしたらいいか分かるけど…。

ヘリは、チラリと、先ほどイヌが飲んでいて、ベッドサイドのテーブルに置いた飲みかけのビールに目をやった。

それを取って、一気に中味を煽ると、ヘリは、濡れた唇を手の甲でぬぐった。

…やってやるんだから。

いつもと違うシチュエーションなんだからね。
これはイベントなんだから。
旅の恥はかきすてって言うでしょ。

自分を納得させる言い訳を心の中で繰り広げながら、
ヘリは、自分自身を振るい立たせていた。

ヘリは、仰向けになっているイヌの側に四つん這いで近づくと、体の上に覆いかぶさった。

そして、イヌの顔に顔を近づけると、その唇に自分の唇を押しつけた。

「ふっ…」

自分からキスしておいて、イヌの舌がヘリのキスに応えて舌にからまってくると、
吐息を漏らしたのはヘリの方だった。

…キスだけで気持ちいい。

そんなヘリを見つめているイヌの目が嬉しそうに細められたのに気づいたヘリは、
ハッとなって、身を起こした。

…だめだめ。これじゃ又イヌの手の内に入っちゃうわ。
えーっと。次にどうすればいいのかしら?

いつもイヌが私にしてくれる事をすればいいんだから…。

ヘリは、普段イヌが自分を恍惚とさせるような愛撫の手順を必死で思いだそうとしていた。

…どうしてかしら。
いつもやってもらっているのに、うまく思いだせないわ。
私、記憶力だけはいいはずなのに。

ヘリの抜群の記憶力は集中している時に発揮されるもので、
快感に朦朧とした意識の上では何の役にも立たない事を思い知ったヘリだった。


…でも、つまりは喜んでもらえればいいわけだから…。

ヘリは、イヌのバスローブに手をかけると、ぎくしゃくした手つきで脱がせていった。

そして、イヌの露わになった上半身の素肌に屈みこんだ。

「・・・・・・」

ヘリがおずおずとした動作でイヌの体を唇でなぞっていった。

唇より先に肌にふれたヘリの絹糸のような髪の毛の感触に、
イヌがくすぐったそうに目を細めた。

…とても色気とはほど遠い『観賞会』だな。

ヘリのぎこちない愛撫を体に受けとめながらイヌが、苦笑していた。
だが、そんなイヌの表情も顔を伏せて、懸命になっているヘリには全く見えていないようだった。

…気持ちいいというより、くすぐったい感触の方が大きいが。

イヌがチラリとヘリを見降ろした。

普段のヘリらしくない色とデザインのランジェリーが美しいヘリの体を、
いつも以上に艶っぽく引き立てて、イヌの内側の熱を煽っていた。

そして、何より、自分を悦ばそうとするヘリの必死で一生懸命な姿が、ほほえましく、
そして、愛しかった。


「…ヘリ、こっちへ」
ヘリが、イヌの呼びかけに顔を上げると、当惑したような目を向けた。

イヌが、蠱惑的な笑みを浮かべて、手でヘリを誘うようなジェスチャーをしていた。

…こちらに体を向けて。

「・・・・・・」

恥じらいながらも、おずおずとイヌの方に向けたヘリの下半身を
イヌの手が捕らえた。

そして…。

「イヌっ!…」

イヌの行為に驚いたヘリが、弾かれたように振り返った。
その瞳には恥じらいと共に抗議の色も浮かんでいた。

…新品のランジェリ―なのよ!

「…いいから続けて」イヌがヘリのショーツ越しの肌に舌を這わせながら言った。
…楽しませてもらったお礼だ。

「…ふっ…」

一瞬、抵抗しようと思ったヘリだったが、イヌの指の愛撫も受け入れた体が、
すでに、逆らう力を失っていた。

しばらく、

静まり返ったホテルの部屋の中で、
ヘリとイヌがお互いの体を愛し合う行為の音だけが聞こえていた。


やがて、

「ヘリ」イヌがヘリを呼んだ。

…おいで

低く甘いイヌの声色に、ヘリは、抗うことも出来ずに、
体の向きをかえると、イヌの方にフラフラと近づいた。


「ん…んんっ…」

横たわったままのイヌの上にヘリがゆっくりと身を沈ませた。

「っ…イヌ…無理…」
辛そうに顔をしかめるヘリの頬に手を伸ばしてイヌが撫でた。

「大丈夫。力を抜いて」
…あせらなくていいから。

誘導するようなイヌの声に、ヘリが微かに頷き、従いながら行為を続けた。

「くっ…っ」

ようやく、ショーツを履いたまま、イヌとつながったヘリは、
息を荒くして、シャワーをあびたばかりの肌に汗を滴らせていた。


…動いてみて。

イヌの言葉に、ヘリはまるで操られているように動いた。

「ぁっ…ん」

イヌに執拗に愛撫されていたヘリだったが、
ランジェリー越しのもどかしい快感がかえって、体に火をつけているようだった。

その熱に意思も思考も乗っ取られているかのように、
ヘリはほとんど意識を朦朧とさせていた。


「イヌ…イヌ・・・・・イヌ…」

動きながら――。
甘い熱に浮かされたように、自分の名を連呼するヘリのかすれた艶やかな声。

その声を聞いているだけでイキそうに逸る気持ちをイヌは必至で押さえていた。


ホテルの部屋の薄暗がりの中。


行為の間中、イヌが見上げている先で、

ヘリの深紫色のランジェリーが、
上気したヘリの白く美しい素肌の上で、妖しく浮かび上がって揺れていた…。



――‐ 事が済んで…。


「ランジェリー観賞会」は、無事成功に終わったかに見えたが、

バスルームでシャワーを一緒に浴びながら、
主催者、兼、モデルのヘリが、怒ったような目をイヌに向けていた。


「なんだよ」

「…新品のランジェリーがもう履けないわ」

すっかり行為の犠牲になった下着一式を握りしめて、ヘリは、溜息をついた。

「洗濯して乾けばすぐに使える」そっけなく言うイヌをヘリは睨みつけた。


「…ランジェリー観賞会じゃなくて、堪能会だったわ」

「面白いな。それ」

「面白くなーいっ」

ハハハと楽しそうに笑った後、イヌが、ヘリに顔を近づけた。

「で、第二回はいつ開催されるんだ?」

ふざけているようで、半分以上本気らしいイヌの言葉に、
ヘリが、頬を膨らませてそっぽを向いた。

「知らないっ」

…こんな刺激的な観賞会は、そうそう開催なんてできないわ。

そう思っていたヘリだったが…


その後、

この秘密の観賞会は、少なくともこの旅行の間に
強引な観客によって、数回開催される事になり、
ヘリのランジェリーの犠牲は、増える一方だったとか…。


(秘密の観賞会 終わり)


この続きが「優しい手」になります。

書いていて、まだ初々しいヘリでした。
でも、この後、「100日記念日」のヘリになるんです♪

プールへいこう」でも書きましたが、イヌのバスローブ姿、
ちょっといいと思いませんか?♪頭の中で想像してみて下さいね。
(イヌ役のあの方のそういう画像あるかしら?♪)

それにしても新年初の更新小説がこれで、すみません。
「優等生」シリーズみたいな内容でした。

今年のみつばの検事プリンセス二次小説は、ラブコメ基調ではありますが、
いろいろ、サスペンス、アクション含む、シリアス話も予定してます♪
もちろん今回のような大人話も(笑)


管理人みつばは現在旅行中のため、
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韓国ドラマ「検事プリンセス」の二次小説
「秘密の観賞会」前編です。

二次小説は、ドラマ最終回16話以降の続きをみつばが、勝手に妄想したお話ですが、
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これからドラマを見る方はご注意ください。

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この話は、「海へいこう(後編)」と「海へいこう(おまけ話)」に出てきた
『ランジェリー観賞会』の話で、「花遊び」の続きになります。


(注意)

この話には、大人向けの表現と描写が出てきます。
精神的に大人だと思える方のみお読みください。




秘密の観賞会(前編)





「花遊び」を終えて、ホテルの部屋に戻って来た、ヘリとイヌ。



「さて、次のイベントは何だったかな?」

とぼけたように聞きながら、楽しそうな表情を浮かべるイヌに、
ヘリは、微笑みながらも気恥かしそうに言った。

「忘れてないわよ。『観賞会』でしょ?でも、その前にモデルにシャワーを浴びさせて頂戴。
花火の煙が体に染み込んでいるみたいだから」

「どうぞ」イヌが、ヘリにバスルームの方を指差した。

「…あなたが先に浴びて来て」

「いいのか?」

「ええ、観賞会のモデルには準備時間が必要なのよ」

ヘリがチラリと荷物のトランクの入ったクローゼットの方に目をやった。

「わかった。じゃあ先に使わせてもらうよ」

イヌが笑って、ヘリに手をふってバスルームに入って行くのを確認した後、
ヘリは、そそくさとクローゼットに向かった。

そしてトランクから、中に入れていた下着一式を取り出した。

旅行前に新調した下着。

『水着よりずっと素敵で大胆なやつ』とイヌに言ってしまったヘリだったが、
確かにこれは、ちょっと、派手だったかも。と、今さらながら下着の前で困惑していた。


…ユナにアドバイスをうけて買ったものだけど…。



『旅行?じゃあ、下着もうんっと魅力的な物にしないとね』
…そういういつもと違うシチュエーションが愛を深めるんだから。

親友のユナが、そう先輩面でヘリに言っていた。

ヘリより年下でも、そういう点ではおそらくはるかに経験値では上をいっているであろう、
ユナの言葉をヘリは鵜のみにする傾向にあった。


布少なめの下着。

ブラジャーの方はエレガンスな雰囲気で、ヘリが普段あまりつけないような色の、
濃いめのパープルに黒のレースの入った大人っぽいデザインだった。

それとセットになっていた方が…Tバックのショーツ。

普段も時々履いていたヘリは、購入する時は、
別段それが派手だとも恥ずかしいとも思わなかったのだが…。


…普通につけるのと、恋人に観賞される為につけるのでは勝手が違うわね。

ヘリは、胸の鼓動を抑えるように、フーっと深く息を吐いた。

「ヘリ、バスルーム空いたぞ」

ガチャリと音がすると同時にバスルームから
イヌが濡れた髪の毛をバスタオルで拭きながら出て来た。

イヌは、身体にホテルの白いバスローブをはおっていた。

…初めて見るイヌのバスローブ姿。

ヘリの胸の鼓動はしずまるどころか大きく跳ねていた。

大きく開いた胸元も、見慣れているはずなのに。
それに昼は海でずっと裸に近い姿を見ていたのに。

こうして、場所を変えると、とても新鮮だわ。

これがユナの言っていた『いつもと違うシチュエーション』ってことね。

ヘリはそんな事を考えて、知らず知らず、イヌを凝視して固まっていたらしく、
そんなヘリの視線に気づいたイヌが苦笑していた。

「観賞会のモデルは僕なのか?ヘリ」

このバスローブを脱ごうか?とからかうようなイヌの言葉にヘリが我に返って、
ブンブンと首を横に振った。

「ち、違うわよ。シャワーあびてくるわね」

ヘリはあわててそう言うと、
イヌの側を俯き加減でそそくさとすれ違いバスルームの扉を開けた。

「あ、そうだ。もう入って来ないでよね。昼間みたいに。
入ってきたら、観賞会が台無しになってしまうからねっ」

「残念だけど、承諾するよ」
イヌが、おどけたように肩をすくめてみせた。

…入ってくる気だったのね。もう油断も隙もない。

ヘリはバスルームに入ると、扉を閉めた。
中で鍵をかける音を聞いて、外にいたイヌが、フッと笑っていた。


…しばらくして、


ガチャリ☆

扉が開く音がして、

ホテルの部屋のソファで、ビールを片手に新聞を読んで涼んでいたイヌが顔を上げた。

バスルームから、バスローブをはおったヘリが出て来た。

ドライヤーを使ったらしく髪の毛が渇いていて、
艶やかな光沢でさらさらとヘリの首筋で揺れていた。

顔が、シャワーの熱気のせいか、気恥かしさのせいか、
ほのかに上気してピンク色になっていた。

「じゃ、観賞会始めましょう」
やけになったようなヘリの言い方に、イヌが、笑った。

「色気が足りないな。音楽でもかけるか?」

「音楽はいらないから、明かりを落として」

「明かりを落としたら観賞出来ない」
…それは許可出来ないな。

イヌがソファにあぐらをかいて、ニヤニヤした顔をしながらヘリを見つめていた。

「…主催者は私なのよ」

「このランジェリー観賞会の客は僕一人だろ?恥ずかしがらなくてもいい」

…十分恥ずかしいわよ。
でも、最初にこの提案をしたのは私なんだから、約束は守らないと。

ヘリはやけくそ気味にバスローブを肩からはずして床に脱ぎ捨てた。

「・・・・・・」

イヌの食い入るような視線を感じながら、
ヘリは、まともにイヌの方を見れずに、もじもじと佇んでいた。


「ど、どうかしら?に、似合う?」

…下着をつけてるといってもこんな明るい所で見られるなんて。


そう思ったヘリだったが、もしヘリの心の声がイヌに聞こえていたら、
公衆の面前に晒した昼間の水着姿と大差はないぞ、と言われそうだった。

「…後ろ向いて」

「ええっ?…えーっと。こう?」

ヘリがクルリとUターンして後ろを向いた。

イヌの無言の視線が背中に突き刺さるように感じるヘリだった。

…なんで黙っているのかしら?
この下着も気にいらないのかしら?

ヘリが首だけ後ろにむけて、イヌの顔色を伺った。
ヘリの目がイヌの目線と合った。

「!」

イヌの目には、もうからかうような色は浮かんでいなかった。
熱を含んだイヌの瞳が、ヘリを捕らえた。

「もう、いい?」ヘリがあわてて床に落ちていたバスローブを拾い上げると
体にはおろうとした。

イヌがゆっくりとソファから立ち上がるのをヘリは目の端で捕らえて、
ビクリっと体を硬直させた。

イヌの手がヘリのバスローブを着ようとする手をさえぎった。

「…まだ十分に観賞してない」

「続きは明かりを消してからっていうのはどうかしら?」

イヌの熱っぽい視線に耐えきれず、
あたふたと目を逸らすヘリをイヌが黙って抱えあげた。

「イヌっ!」

ヘリを抱き上げたイヌは、そのままヘリの体をベッドの上に運んで置いた。

ヘリは、カーテンが開いたままの窓の方を気にするように見た。

「せめてカーテン…」

「この部屋は高層階で、あちらは海側。街の方も建物は離れている。
誰にも見えやしないよ」

ヘリの危惧をさらりとイヌがかわして言った。

「・・・・・・」



「観賞会の本番はこれからだ。ヘリ」


ゾクリとするほど、魅惑的なイヌの低く甘い囁きに、
ヘリは寒くもないのに、自分の肌が泡立つのを感じて、ふるふると身震いしていた。



(秘密の観賞会 前編終わり 後編に続く)


今年初めて更新した「検事プリンセス」の二次小説がこれになってしまいました(苦笑)
そして、真冬なのに、真夏8月の話です。

あの時、書かなかったヘリの「ランジェリー観賞会」。
タイトルにこれを使用すると、いかにも(汗)なので、「秘密の観賞会」ということで♪

夏の時は「鑑賞会」と書いてました。
「観賞会」とどちらの漢字が正しいのか調べたのですが…
この話に関しては、どっちでもよさそうです(笑)


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