「検事プリンセス」のソ・イヌ役、
パク・シフさん出演(キム・スンユ役)の韓国ドラマ「王女の男」の二次小説です。
「王女の男」最終話22話、23話の、スンユとセリョンが、
夫婦の契りを交わした夜のシーンから。
ノーカット版も、小説も、録画してあるものも、全部は(今でもまだ)見て無いのですが、
みつばが、勝手に妄想したスンユとセリョンの話です。
ラストのネタバレがあるので、未視聴の方はご注意ください。このブログに初めていらした方、このブログを読む時の注意点は「
お願い」を一読してください。
それでも、良いという方のみ、お読みくださいね。
契りの夜…私の妻になってくれるか?
…私の夫になってください。
そう言って、玉の指輪を交換した後、
スンユとセリョンは、再び固く抱き合って、口づけを交わした。
乗馬での遠出の最中、驟雨から逃れ着いた、空家の中。
それは二人だけの婚姻の儀式だった。
約束は無くとも、どこまでも共にいるつもりだった。
自分の父の命を狙っているスンユの側にいて、
その後何があろうともついていくつもりだったセリョン。
セリョンを連れていることで、より危険にさらされたとしても、
どこまでも側に置いておくつもりだったスンユ。
しかし、セリョンがスヤンの娘であることが周囲に知れてしまった。
キム・ジョンソの息子という立場のスンユといえど、
敵であるスヤンの娘を側に置いている事で不信感を抱く者も多いだろう。
スンユが周囲の反対を押し切って、自分を側に置けば、
スンユの重荷になってしまう。
これから先、自分の父の勢力と、
さらに激しい戦闘の中に身を置くことになるスンユに、
「私は都に残ります」と、
セリョンは、身が引き裂かれるような想いで、スンユに伝えた。
「待っていますから。…どうか、私を忘れないでください」
これが今生の別れでは無いように。
先生が、心を痛めないように。
気丈にふるまって、スンユの目を見て言うつもりだった。
しかし、決意とは裏腹に、セリョンは、
血のような涙を流して震えていた。
今、スンユの顔を見たら、この決意がにぶってしまう。
そんな思いで、セリョンは、涙で濡れた顔をふせていた。
雨に濡れた寒さよりも、この過酷な未来を
自ら選択した事で、心も身体も冷え込むような辛さに
セリョンは必死で耐えていた。
そんなセリョンの気持ちが痛いほど伝わったスンユも又、
断腸の思いで、セリョンを見つめていた。
「…必ず迎えに来る」
スンユは屈みこむと、
小さく震えているセリョンの背中を後ろから抱きしめた。
…かならず迎えに来るから待っていて欲しいと。
本来なら、自分が先に伝えなくてはいけなかったのに。
しかし、今スンユ側にいる己の立場をわきまえ、
自ら身を引くけなげなセリョンの姿に、スンユは、申し訳なさ以上の
感情を高ぶらせていた。
自分より一回り近くも年下の、
一見、庇護を必要とするようなか弱い娘なのに…。
スンユは、そっとセリョンの肩にかけていた衣に手をかけた。
露わになったセリョンの背中の素肌に目を落したスンユは、
そこに、自分をかばった時に出来た矢傷を見つけた。
セリョンの美しい肌に残る痛々しいまでの痕。
スンユには、その痕からもセリョンが血を流しているように見えた。
己を狙って放たれた矢を、自らの体で受け止めた時のセリョンの姿を、
スンユは今も鮮明に覚えていた。
細く小さな体で、精いっぱいスンユを守ろうとしたセリョン。
その内側の強さと勇気に、自分は今までどれほど癒され、
励まされてきたのだろう。
きっと、今も、この体の奥に、痛みをいっぱいにして耐えているのだろう。
自分を守るために。
…そなたは…。
湧き上がるセリョンへの強い想いに突き動かされるように、
スンユは、セリョンの背の傷跡に、口づけし、涙した。
別離の辛さや悲しさ。
自分達の運命の過酷さ。
セリョンに募る愛しさと、感謝。
すべての混沌とした想いをこめて、
スンユは、セリョンの傷跡に唇をあてた。
「生涯、私達はひとつです」
体は離れていても、心はずっとおそばにおります。
…想いと心は、ずっと先生のおそばにいます。
はめられた指輪の片割れをスンユの指に入れたセリョンは、
はっきりとした意志を持って、スンユの顔を見据えた。
そのけなげな強さを秘めたセリョンの瞳に、スンユは応えるように、
セリョンの体を引き寄せ、抱きしめた。
…体は離れても、永遠に一緒だ。
こうして、再び、口づけを交わし、抱き合って。
スンユとセリョンは、お互いに宿る同じ想いを確認し合った。
それから・・・
スンユは、ゆっくりとセリョンの体を下に横たえさせた。
傷痕を気遣い、セリョンの背中をそっと腕で支えながら、
スンユは、セリョンの横顔に頬を寄せて、抱きしめた。
「…寒くはないか?」
聞くまでも無いことをスンユは口にした。
寒くないはずがない。
雨に濡れ、気温も落ちた夜。火を炊いたとはいえ、
家の中に暖をとる為の、厚い布地や衣服は見当たらなかった。
この家に住んでいた者たちは、迫りくる戦の気配に、
あらかたの荷物を持ってどこかに逃れていってしまったのだろう。
それでも、
触れ合っているセリョンの頬も剥き出しの肩も、
濡れたチマの中の身体も心もすべて、
己の体の熱で暖めるように、スンユはセリョンの体を抱き包んでいた。
セリョンが小さく首を横にふった。
「もう、寒くはありません。こうして先生が側にいてくれるから…」
私達は一つなのだから。
耳元で聞こえるセリョンの言葉を噛みしめるように、
スンユは、瞳を閉じて、セリョンの体をさらに強く抱いた。
スンユの手が、セリョンのチマの裾をそっとまくり上げた。
そして、外気にさらされたセリョンの素足を手の平で摩りあげながら、
セリョンに深く口づけていった。
その後のスンユの行動を悟ったセリョンは、
おずおずと、両足をわずかに広げるとスンユの体を迎えた。
外からは、まだ雨の音が聞こえている。
それ以外、
スンユとセリョンの微かに荒くなった吐息だけが、
静かな家の中に響いた。
体の動きに合わせて、少し苦しげに顔を歪ませているセリョンの
頬を、スンユは優しく手で撫でた。
「…辛いか?」
背中の傷だけでなく、
セリョンの初体験を気遣い、動きを止めたスンユに、
セリョンは、首をふって微笑んで見せた。
そして、両手をスンユの首にまわすと、
ぐっと、体を密着させるようにしがみついた。
「辛いことなどありません。
これで、私達は、夫婦なのですから」
触れ合って、気付いた。
寒いだろう、と、気遣ってくれていたスンユの肌の方が、
セリョンより冷たく、冷え切っていた。
雨に濡れ、暖をとるための物を探していたスンユの方も
寒かったはずなのに。
セリョンの体を抱きながらも、
常に、セリョンの体温を上げるように、四肢で愛撫するスンユ。
その想いが、嬉しくて、切なくて、温かくて、
セリョンは、破瓜の痛みよりも、
スンユへの愛おしさで、涙していた。
そして、心だけでなく、セリョンの体で、
甘い快楽も確実に感じているようなスンユの表情に、
セリョンは密かに体中で歓喜していた。
そんなスンユに自らの体をささげるように、
セリョンは、スンユの頭をかき抱いていた。
…本当なら。
止められない想いと肉体をセリョンにぶつけながら、スンユは思った。
…シン・ミョンとの婚礼からさらった時に着ていたような
美しい結婚衣装とカンザシを身につけて、
こんな粗末な家ではなく、清潔な広い部屋で、
冷たくかたい土間の藁の上でなく、暖かでやわらかな褥で、
セリョンは、誰よりも幸せな花嫁になれたかもしれない。
たとえ、王女ではなくても、
良家の娘でなくても、
少なくとも、こんな風に婚姻を結ぶことなど無かっただろう。
家族に愛され、ずっと何不自由なく、育てられてきただろうに…。
そんな思いで、
「…後悔してないか?」
セリョンの体を抱く行為を続けながら、言うことではないと分かっていて、
それでも、スンユは聞かずにはおられなかった。
「私のせいで、こんなことになって後悔は無いか?」
セリョンは又、すぐに首を横にふった。
「私は、先生と夫婦の契りを交わすことが出来て嬉しいです」
スンユの言外の問いかけも、セリョンには聞こえていた。
この指輪と、スンユとの先ほどの誓いと約束。
そして、こうして結ばれた体。
その記憶があれば、
この先、私は、先生と離れても、ずっと信じて待っていけるから。
「他には何もいりません。望みはただ一つ…」
セリョンが言った。
私の体も心も全部差し上げますから…。
だから…、
「私を忘れないでください。先生」
「…忘れるものか」
約束する。
そなたへの想いも、今、この瞬間の記憶も。
・・・もし、迎えに来ることが出来なくなっても、忘れたりなどしない。
そなたは、この世で唯一の私の妻だ。
「愛している」
スンユがセリョンの耳に囁いた。
「私もです。私も、先生を愛しています」
小さな声でも、十分に届く距離で、
二人は想いを伝え合い、再び、互いの身体を引き寄せあった。
―――私たちは一つです。
二人の行く末さえ見えない
深い闇夜の中で、
人知れず、結んだ愛の契りの証を、さらに深く刻み付けるように、
その後も、スンユとセリョンは、体と想いを強く強く、重ね合っていったのだった。
(終わり)
「王女の男」22、23話の、二人の契りのシーンを二次創作しました。
この話のイメージイラストは
こちら。
二人の初夜シーンを、みつばにしては(?)軽いタッチで書きましたが、
ドラマ自体、この場面も設定も、まだシリアスなので、純愛重視で。
一区切りついたイヌ×ヘリ(検事プリンセス)の二次小説「初めての夜」みたいな感じには出来ませんでした。←キャラも時代も違うからね(汗)
動画以外、めちゃくちゃカットが多い地上波でしかドラマは見ていませんが、
「先生」のスンユより、セリョンの精神的な強さと勇気が強い印象でした。
時々、セリョンの方が年上に見えました。
そして、セリョンの一途さとけなげさ。
スンユが、セリョンの正体を知った後、素性だけでなく、
会うたびに、セリョンの内面もさらに深く知っていって、やはり愛さずにはいられなくなった気持ちの変化が、ドラマの回を追うごとに現れていたように思います。
…ちょっと、セリョンの演技が、年齢のわりに、
落ち着いているというか、冷たいというか、淡々としすぎている印象もあったのですが…ぼそぼそ。
そして、テレビ放映では、みつばが楽しみにしていた、
スンユがセリョンの肩に頭をコテンっと預けるシーンや、
セリョンの煤がついた顔の箇所を口づけしていった後の、口チューとか、
みつばの大好物の野外での焚火前、バックハグシーンが、丸っとカットされてました(涙)
あとは、「王女の男」。
スンユ役、パク・シフさん繋がりで「検事プリンセス」でも言えることなのですが、ドラマの脚本の中で、場面やセリフがリンクしている所が多い気がしました。
何気ない台詞や動作なのですが、
後の場面で同じことが繰り返され、意味のある部分。
たとえば、これもテレビ放送ではカットされてましたが、
妓生館で、慣れない仕事で疲れているセリョンの腕を、スンユが手で優しくもみほぐすシーン。
これは、ラスト24話の最後の方のシーンで、
杖をついて歩き、娘と家に戻ってきたスンユの腕を、セリョンが手で揉むシーンがあるんですよね。
「検事プリンセス」でも、ノーカット版だと、こんな脚本の仕掛けがいっぱいありましたけど。
「王女の男」でも、ノーカットを見ていないみつばも気づいた部分がかなりありました。
なので、23話の初夜にセリョンが言った「私を忘れないで」と、24話でひん死の重傷を負ったスンユが「生まれ変わっても、私を忘れないでくれ」もそうですが、
ラストの「後悔してませんか?」のセリョンの問いかけも、スンユが初夜で言っていたのでは?と…。そんな妄想から、この話を書きました。
ドラマでの二人だけの婚姻式。切ないけど、本当にいいシーンでした~。
そして、すごく辛い別れのはずなのに、翌朝、二人が結構晴れ晴れした表情で馬にのっているシーンを見て、ノーカットでもカットされていた二人の時間の間に、本当に心も身体も固く結ばれたんだなって事が想像できました。
「王女の男」最終話頃のみつばの妄想話は「
愛惜慕情」で♪
キム・スンユてんてー(先生)、みつばに萌えをありがとう。
ソ・イヌの次に好きです!←やっぱりソビョン重病患者(笑)
みつばの「検事プリンセス」の二次小説シリーズは
こちらから。
「王女の男」の検索でいらした方で関心があればどうぞ♪
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